みなさん、こんにちは。私は和気町消防団本部に所属している松 岡と申し

「地 域 コミュニティとしての消 防 団 」
和気町消防団
団員
松岡広大
みなさん、こんにちは。私 は和 気 町 消 防 団 本 部 に所 属 している松
岡 と申 します。普 段 は和 気 町 役 場 の職 員 として働 いています。今 日
は「地 域 コミュニティとしての消 防 団 」というテーマで私 が消 防 団 に
入 って感 じていることをお伝 えできればと思 います。
まず始 めに私 の住 んでいる和 気 町 の紹 介 をさせてください。みな
さん、「和 気 町 」と聞 いて、どういうイメージをお持 ちでしょうか。和
気 町 は岡 山 県 の東 南 部 に位 置 する人 口 1万 5千 人 ほどの豊 かな自
然 に囲 まれたのどかな田 舎 町 です。毎 年 4月 末 から5月 上 旬 にかけ
て行 なわれる「藤 まつり」、8月 16日 に行 なわれる「和 文 字 焼 き」で
は多 くの方 にお越 しいただき賑 わいます。消 防 団 員 のみなさんなら
「操 法 が強 い」というイメージを持 っていただいているかもしれませ
ん。私 は和 気 町 が大 好 きで、「和 気 を少 しでも活 気 のある町 にした
い」と思 いながらいつも働 いています。
それでは本 題 に入 りますが、初 めに現 在 全 国 にどれくらいの数 の
消 防 団 員 がいるかご存 じでしょうか。現 在 、全 国 には約 87万 人 の消
防 団 員 がおられます。その87万 人 いる団 員 の中 で10代 ~30代 の方
の割 合 は約 57%・20代 以 下 の団 員 に至 っては20%以 下 となってお
り、消 防 団 員 にも高 齢 化 が進 んでいます。和 気 町 消 防 団 も例 外 で
はなく、操 法 訓 練 の際 にも年 配 の方 が番 員 をされている部 も多 くあ
り、どこの分 団 でも若 手 団 員 の確 保 に苦 慮 しています。
では、どうして高 齢 化 が進 み団 員 数 の減 少 が進 んでいるのでしょ
うか。少 子 高 齢 化 の影 響 もあり若 者 の絶 対 数 が減 っているというこ
ともありますが、私 は若 者 が消 防 団 を避 ける傾 向 にあることが最 大
の理 由 だと思 います。そういう私 も役 場 に入 るまでは消 防 団 に入 っ
ていませんでした。私 が想 像 していた消 防 団 は、「土 日 に出 事 が多
い」や「毎 晩 夜 遅 くに小 学 校 で操 法 の練 習 をしている」ということ
でした。高 校 生 の頃 、夜 、塾 の帰 りに小 学 校 の脇 を通 ったときにグラ
ンドの照 明 が点 いていて、その頃 は操 法 のことを知 らなかったので
「何 をしているんだろう」と思 ったことを今 でも覚 えています。消 防
団 に入 っていない若 者 の多 くは私 と同 じようなイメージを持 ってい
るかもしれません。
しかし、このようなイメージは実 際 に消 防 団 に入 ってみて 180 度
変 わりました。平 日 仕 事 が終 わったあと小 学 校 に集 まって操 法 の訓
練 を夜 遅 くまでしたり、大 雨 や台 風 の際 は真 っ先 にかけつけ地 域 の
見 回 りをする。各 分 団 各 部 の消 防 団 員 の方 々は、地 区 の隅 から隅
まで把 握 しており、「以 前 ここで火 事 があった」「何 年 にここら辺 りが
水 で浸 かりそうになったときはこうした」など過 去 の経 験 から対 応 さ
れておられます。この経 験 は本 やデータで残 っているわけではありま
せん。経 験 を次 の世 代 に語 り伝 え、人 と人 の輪 を広 げていくことで、
情 報 を蓄 積 し地 域 を守 っているのです。
他 にも各 種 イベントの警 備 や行 方 不 明 者 の捜 索 など出 動 機 会 は
多 いですが、人 から感 謝 されることも多 くそれぞれの活 動 にやりが
いや充 実 感 を感 じます。そして今 では消 防 団 は究 極 の地 域 貢 献 組
織 だと思 います。このように思 えるようになったのも、実 際 に消 防 団
に入 ってからのことですので、消 防 団 に入 っていない若 者 が消 防 団
の素 晴 らしさを感 じるのは難 しいことなのかもしれません。
また消 防 団 員 は地 元 のスポーツ少 年 団 やPTA、壮 年 会 など消 防
行 事 以 外 でも活 躍 しています。これは消 防 団 と地 域 の関 わりによる
影 響 が大 きいのではないかと思 います。消 防 団 での人 間 関 係 がそ
の他 の活 動 にも活 かされている。そう考 えると町 や地 域 の活 動 の中
心 になっているのは、消 防 団 ということになるのではないでしょうか。
若 手 消 防 団 員 の減 少 は、消 防 団 だけの課 題 ではなく地 域 全 体 にと
っての課 題 と言 えるでしょう。
今 後 、20代 から30代 の若 者 を取 り込 んでいくことは、消 防 団 だ
けでなく地 域 コミュニティを維 持 していくうえでもとても重 要 なこと
だと思 います。そのために最 近 は様 々な取 り組 みが行 われていて、
大 学 生 を中 心 とした学 生 消 防 団 員 を増 やす取 り組 みがあったり、
女 性 も積 極 的 に消 防 団 に入 り女 性 消 防 団 員 の数 も年 々増 えてき
ていると聞 きました。大 学 生 や女 性 が入 ることで、消 防 団 に入 って
いない若 者 にも消 防 団 がより身 近 な存 在 となると思 います。
男 性 ばかりだった消 防 団 が、男 女 を問 わず様 々な年 代 ・職 種 の
方 が入 り、情 報 の交 換 ・共 有 し、人 の輪 ・情 報 の輪 を広 げていく。そ
れぞれの輪 がどんどん広 がっていくことで、より強 い「消 防 団 =地 域
コミュニティ」となり、最 終 的 には地 域 に若 者 が増 え地 域 の活 性 化
につながっていくのだと思 います。
ご清 聴 ありがとうございました。