Supplementary materials B 本文書は以下の論文の補足情報を掲載しているものです。※査読過程で内容について審査済 後藤崇志・石橋優也・梶村昇吾・岡 隆之介・楠見 孝 (印刷中) 日本版自由意志・決定論信念尺度の作成. 心理 学研究. 掲載している尺度の詳細につきましては、必ずそれぞれの尺度を報告している論文/学会発表をご参照いただ きますよう、お願いいたします。 1. 研究 1、2 で使用した短縮版 LOC-7 尺度(間・林・桑田・中嶋, 2000)の全項目 1 私が生活の中で体験することは、たいていは誰か影響力の強い人たちによって 決められているような気がする (External) 2 私の人生の大部分は影響力の強い人たちによって左右されている (External) 3 望みをかなえるためには、目上の人に気に入られなければならない (External) 4 私が計画を立てても、私に影響力を持つ人たちの意向にそわない計画であれば、 それを実現させることはできない (External) 5 たいていの場合、自分の個人的な利益は自分自身で守ることができる (Internal) 6 望みがかなうのは、自分がそうなるように努力したからである (Internal) 7 自分の人生は自分自身のなせるわざである (Internal) 2. 研究 2 で項目を削減した尺度の詳細 (a)社会的自己制御尺度(原田・吉澤・吉田, 2008) 使用した項目 1 多数派の意見とは違っても自分の意見を言う 2 たとえ言いにくくても、間違っていることは指摘できる 3 周囲の人と自分の意見が違っていても、自分の意見を主張する 4 周囲の人の考えに流されることなく、自分の考えを言うことができる 5 話し合いの場で、進んで自分の意見を述べる 6 自分が考えていることを相手にわかるようにはっきり言う 7 自分が正しいと思っていることでも、人から「間違っている」といわれる 可能性があるときは何も言わない 8 嫌なことを頼まれたとき、嫌だという気持ちを伝えることができる 9 やりとおさねばならない仕事があるときは、どんな誘惑があっても最後まで やりとおすことができる 10 周りから決められた役割が困難なことでも、すぐにあきらめたりせずに、 我慢してやりとおす 11 集団の中で、自分の決められた役割があるときは、どんな誘惑にも負けずに取り組む 12 困難なことでも、集中して取り組む 13 皆でやるべき課題があるときは、放棄したい衝動にかられても我慢できる 14 自分の思い通りに行かないと、すぐに不機嫌になる 15 納得のいかないことがあったとき、すぐにかんしゃくを起こしたりせず、 落ち着いて話すことができる 16 嫌なことがあっても、人やものに八つ当たりをしない 17 相手から不快な事を言われても、自分の感情を露骨に表したりはしない 18 自分が気に入らない人には、つい過剰に注意をしたり、文句を言い過ぎたりしてしまう (1~8 は自己主張、9~13 は持続的対処・根気、14~18 は感情・欲求抑制) 使用しなかった項目(いずれも原田他(2008)の因子分析結果より因子負荷量が.50 未満であった項目) やりたいことに自分から進んで参加できる 友達が嫌がらせや悪ふざけなどをしているときでも、よくないと伝えることができない 順番に並んでいるときに横から入り込んでくる人がいたら注意をする 仕事・課題や遊びなど、周囲の人にいちいち聞かずに、自分のアイデアで進めることができる 先生から不当なことを言われても黙っている 面倒くさいことは人に押し付ける やりたくないことや興味のないことは、皆と一緒にやらなければならないときでもサボってしまう 自分の意見を否定する相手の意見を受け入れることができない 自分がされて嫌なことは人にもしない 自分の考えだけを聞いてもらおうとするのではなく、相手の考えも聞いて、 分かってあげようとする 友達から間違いを指摘されたら、素直に自分が間違っていたことを認める (d)日本版 Buss-Perry 攻撃性尺度(安藤・曽我・山崎・島井・嶋田・宇津木・大芦・坂井, 1999) 使用した項目 1 なぐられたら、なぐり返すと思う 2 挑発されたら、相手をなぐりたくなるかもしれない 3 権利を守るためには暴力もやむをえないと思う 4 人をなぐりたいという気持ちになることがある 5 どんな場合でも、暴力に正当な理由があるとは思えない* 6 相手が先に手を出したとしても、やりかえさない* 7 かっとなることを抑えるのが難しいときがある 8 ばかにされると、すぐ頭に血がのぼる 9 いらいらしていると、すぐ顔に出る 10 たいした理由もなくかっとなることがある 11 ちょっとした言い合いでも、声が大きくなる 12 友人の中には、私のことを陰であれこれ言っている人がいるかもしれない 13 私を嫌っている人は結構いると思う 14 陰で人から笑われているように思うことがある 15 私を苦しめようと思っている人はいない* 16 人からばかにされたり、意地悪されたと感じたことはほとんどない* 17 友達の意見に賛成できないときには、はっきり言う 18 自分の権利は遠慮しないで主張する 19 意見が対立したときは、議論しないと気がすまない 20 誰かに不愉快なことをされたら、不愉快だとはっきり言う (1~6 は身体的攻撃、7~11 は短期、12~16 は敵意、17~20 は言語的攻撃、*は逆転項目) 使用しなかった項目(安藤他(1999)で無関項目とされている項目) かっとなって、物を壊したくなることがある 人とよく意見が対立する 使用しなかった項目(安藤他(1999)の因子分析結果で因子負荷量が.40 未満の項目) 嫌いな人に出会うことが多い でしゃばる人がいても、たしなめることができない (安藤他(1999)では無関項目以外に因子負荷量が.50 未満の項目が 10 項目あり、敵意が 2 項目しか 残らないなど、極端に項目数が減少してしまうために基準を他の尺度とは変えていた) (e)対人反応性指標(明田, 1998) 使用した項目 1 感動的な映画を見ると、すぐ主人公の立場になれる 2 小説の登場人物の気持ちになりきってしまう 3 劇や映画を見た後は自分が登場人物の 1 人になったかのように感じる 4 感動的な本や映画に極端にのめりこむことはめったにない 5 映画や劇を見るときは普通冷静で、その中に完全に巻き込まれることはない 6 面白い物語や小説を読むと、そのようなことが私に起こったらどのように感じるか想像する 7 誰かを批判する前に、自分がその立場に置かれたらどのように感じるかを想像しようとする 8 誰かに悩まされているときは、しばらくその人の立場にたってみようといつもする 9 問題点にはすべて 2 つの立場があると思い、両立の意見を考慮しようとする 10 友達のことを、相手の立場からの物事の見え方を想像することで、より理解しようと努める 11 何か決定をする前には、一致しない全員の意見を考慮しようとする 12 他の人たちが問題を抱えていてもそれほどかわいそうにとは思わないことが時々ある 13 誰かが傷ついているのをみても平静でいるほうだ 14 誰かが不公正な扱いを受けているのを見ても、かわいそうにとは思わないことがある 15 他者の不幸を知っても大きな混乱には陥らない 16 突発事態に合うと、われを失ってしまうほうだ 17 突発事態になると不安感にかられる 18 突発事態にはかなりうまく対応できる 19 突発事態で助けを懇願している人がいると、取り乱してしまう 20 緊張する場面はこわい (1~6 は想像性、7~11 は視点取得、12~15 は共感的関心、16~20 は個人的苦痛) 使用しなかった項目(いずれも明田(1998)の因子分析結果より因子負荷量が.50 未満であった項目) だれかがいいように利用されているのをみると、守ってあげたいと思う 自分の身に起こるかもしれないことを空想したり想像したりすることがよくある たまたま見かけたことに感動することがよくある 自分より幸せでない人の気持ちを思いやることがよくある 感情的になると、どうしようもなくなることがある 他の連中の立場から物事を見るのは難しいと時々思う 自分が正しいと確信できれば、人の意見を聞くために時間を浪費しはしない (f)厳罰志向性尺度(板山, 2012) 使用した項目 1 裁判所は犯罪者に甘すぎると思う 2 自分が裁判員に選ばれたら、今までよりももっと重い刑を与えたい 3 殺害したのが 1 人だからという理由で、死刑にならないのはおかしいと思う 4 凶悪な事件の加害者でも人権は十分に尊重される必要がある 5 メディアの報道を見て、なぜ刑罰があんなに軽いのかと疑問の思うことがある 使用しなかった項目(いずれも板山 (2012)の因子分析結果より因子負荷量が.50 未満であった項目) 犯罪者への刑罰を精神疾患があるという理由で軽くするのはおかしいと思う たとえ殺人事件を起こしたとしても、死刑にすることには反対である 裁判では、加害者の社会復帰を優先するべきだと思う 裁判官だけで裁判がおこなわれていた時の刑罰は軽すぎると思う 罪の重さ(例:万引きと強盗)に関わらず、犯罪者には厳罰を与えるべきだと思う 刑罰は、犯罪者に「苦痛を与えるため」のものだと思う 犯罪に対してはそれ相応の罪をもって償うべきだと思う(目には目を、歯には歯を) 引用文献 明田芳久 (1998). 共感性の測定の試み――Davis の共感性多次元尺度の検討――. 日本社会心理学会第 39 回大 会論文集, 302-303. 安藤明人・曽我祥子・山崎勝之・島井哲志・嶋田洋徳・宇津木成介・大芦 治・坂井明子 (1999). 日本版 Buss-Perry 攻撃性質問紙(BAQ)の作成と妥当性, 信頼性の検討. 心理学研究, 70, 384-392. 原田知佳・吉澤寛之・吉田俊和 (2008) . 社会的自己制御(Social Self-Regulation)尺度の作成――妥当性の検討お よび行動抑制/行動接近システム・実行注意制御との関連――. パーソナリティ研究, 17, 82-94. 間三千夫・林 仁実・桑田寛子・中嶋和夫 (2000) . 母親を対象とした L O C 尺度の交差妥当性の検討――. 信愛 紀要, 40, 59-64. 板山 昴 (2012). 刑罰に対する考え方が量刑判断に及ぼす影響――厳罰志向性尺度の作成と検討――. 日本心理 学会第 76 回大会論文集, 482.
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