平成 26 年度 国際審判員早期育成プロジェクト 報告書 栃木県 日 時 参加者 平成 27 年1月 10 日(土)~1月 12 日(月・祝) 場 所 武井晋平 国立代々木競技場第一体育館・競技場会議室 国際審判員資格の取得に可能性を有する各ブロックの推薦審判員 13 名(新規 AA 級4名、A 級2名、A 級新規昇格7名) ◆早期育成プロジェクトについて(指導グループ副長 平 育雄氏) 早期育成プロジェクトは、2010 年から行われており、今回で5回目。これまでに参加者の中から8名の AA 級と5名の FIBA referee が誕生している。また、早い段階での国際審判員資格取得に向けてのモチベーションアップ(語学・英会話・ルール・コミュニケ ーション能力の必要性)と国内のトップゲーム及び審判員に触れる機会を持つことを目的としており、私自身もこの早期育成プロ ジェクトがいかに今後の自分の活動に重要であるかを改めて強く感じた。 ◆ルールテスト及び語学研修 ルールテストは、ケースや処置についてほとんどが英文で出題された。日本語での問題もいくつかあったが、バスケットボール 特有の英単語をさらに勉強しなくてはならないと感じた。また、当たり前なのだが、英語だけでなく普段の日本語でのルールを熟 知しておくことがいかに重要か痛感した。また、髙城邦弘氏と服部智博氏により2グループに分かれての英会話インタビューが行 われた。自分の出身地やレフリーを始めた時期やきっかけについての質問のほか、住んでいる町や会場に来るまでの手段など日常 会話が中心であった。終了後講師のお二方からは「文法ばかりを考えてしまいがちだが、文法よりとにかく相手に伝えるというこ と、英単語を多く知っておくことが英会話には必要である」とお話いただいた。 ◆国際審判の活動について 須黒祥子氏 海外へ行くと様々な国があり、日本のような環境と同じであるとは限らない。自分のペースをいかに保つことができるかが必要 で、日ごろから平常心を持つ訓練をした方が良いとのこと。また、皆と仲良くやっていけるかといったパーソナリティや危機管理 能力、また国の文化や背景を知ることが大切である。さらに、国際審判員には、Physical(ゲームで必要とされる体力・違う環境 で生活できる体力)、Mentality(常識・協調性) 、Skill(レフェリーとしての技術)そしてこの3つを成し遂げるためには、それ を取り囲む Support(家族、職場、友人、仲間の協力)がなにより重要であるとおっしゃっていた。 ◆ナショナルチーム遠征帯同の経験から 中嶽希美子氏 チームの遠征帯同であるため、チームとのやりとりをメールで頻繁に行い、チームの状況を細かく確認しながら当日に備えたそ うだ。中嶽氏からもやはり環境についての話があり、遠征初日は到着後すぐに試合に臨んだとのこと。私はその話を聞き、いつで もどんな状況下でも試合に臨む心構えが常に必要なのだと感じた。 ◆クリニックの経験から 熊谷久美子氏 FIBA クリニックは、2日間の日程で行われ、3パーソンの実技のほかフィットネスやルールテスト、インタビューテストが行わ れ、まさに早期育成で経験したことが大切だったと感じたそうだ。クリニックに参加するにあたり準備をしたが、 「日頃から指導さ れていること」、「いつもやっていること」がいかに大切であり、普段の自分が出せるかが重要であったという。今後はいつ自分が その立場になってもいいように、語学は勿論、ルールの理解を継続して勉強し、常に「志」をもってほしいとお話いただいた。 ◆アジア競技大会報告 東 祐二氏 報告の中で、担当したゲームで実際に起きたお話をいただいた。プレイヤーからルールについて質問を受けた際に、勘違いして 答えてしまったため、それがチームの考えとは違った結果になりチームから抗議を受けたいう話をしてくださった。チームが何を 考え、何をしようとしているのかを瞬時に判断し「英語」で伝えられるようにすることの難しさを知ることができた。またそうい った場面では更なる語学力が求められてくるのだと感じた。 ◆NBL レビュー NBL レフェリーディレクター 阿部哲也氏 前ディレクター 吉田正治氏 日本のトップリーグについてのお話をいただいた。試合は「商品」であり、お客様がお金を払って観戦に来ていることを忘れて はならない。とても心に響いた言葉だった。レフェリーは試合にとって重要な一翼を担っているということを常に意識することが 大切なのだと感じた。 ◆3×3活動について 岩田千奈美氏・3×3活動報告 緒方 崇氏 3×3では年間2回の国際大会が行われている。担当するレフェリーは、FIBA の有資格者。海外での活躍の場が増えている。3 ×3では他の国際大会と比べ大会期間が短いので海外に出やすいかもしれないとおっしゃっていた。ゲームは、展開が早く笛を多 く入れると面白さに欠けてしまうので、特有の判定基準を身につけることも必要なのだ。 ◆FIBA WORLD CUP 2014 報告 平原勇次氏 報告のお話の中で、早期育成参加者に向け数々のアドバイスをいただいた。国際審判員には、世界史や日本の歴史、文化などの 知識も覚えておくと良い。世界の状況を把握することがとても重要である。また多くの人の協力により海外に行けるのであるから、 そういった恩恵を受けていることを忘れてはならない。また、世界のバスケットは常に変化している。そういった情報をつかむこ とも大切。語学については、リスニング CD を活用しひたすら聞いて英語を覚えた練習方法などを紹介いただいた。 ◆国際審判(トップレフェリー)に望むこと 宮武庸介氏 宮武氏が経験した国際試合の映像を見ながら大会の臨場感を感じた。世界では、一試合一試合がものすごい盛り上がりを見せて いる。そういった大舞台で国際審判員として求められるものは「強さ」である。自分を高めようとする強さと、心の強さが必要で あり、求められるのだとお話いただいた。 ◆AA 級取得までの国内での活動について 小澤 勤氏 上級になれる(た)ということは、それなりに努力して活動してきた結果ではないか。しかし、これまでよりも相当な努力が必 要となってくる。AA 級になるには、沢山のゲームを審判し色々な経験をすること。また失敗をすることが大切。それには地元の大 会を含め1つ1つのゲームを大切に吹くこと。また環境に対応できる能力が必要。そのほか、 「信頼」とはなにか。ゲームを任され ること。ゲーム中の判定も大事であるがその他の気配りも大切。審判として、大会役員として、一社会人(人)として「この人な ら頼れる人に」。それには、色々なことを真義に受け止める。誠実さが必要なのだとおっしゃっていた。 ◆観戦研修について 男女準決勝2試合 女子決勝 男子決勝 計4試合 自分にとってもはじめて1階フロアに下りての観戦であった。会場全体が歓声で包まれ、さすが日本のトップゲーム。ものすご い雰囲気だった。テレビ中継も入っていたのでテレビでご覧になった方もいると思うが、やはり会場で見る雰囲気は違う。試合も そうだが、担当審判の方々の姿も心に焼き付いた。どの試合も判定や動きなどは勿論のこと、OKサインを常に取り合いレフェリ ー同士のコミュニケーションを図っていて3人の協力が行き届いていると思った。観戦終了後には、担当審判員を交えてのディス カッションが行われた。その中の一つでは、平育雄氏から「3人の協力には、全員がその状況を把握しているからできること」と おっしゃっていた。ただ一人だけが分かっているのではなく、全員がその起きた状況やコート上で感じていることなど、情報を共 有していることがとても大切、そしてそれが四原則のうちの一つ「ボクシングイン」であるとおっしゃっていた。またエリアにつ いても同様であり自分のエリアだけ吹いていたり、知っていればいいのではなく、ほかの二人のエリアで起きていることを把握し ていることも必要なのだ。このディスカッションを通じて、四原則の意味の重要さを改めて感じることができた。 ◆参加しての感想等 今回、このプロジェクトに参加させていただき本当にありがとうございました。研修を振り返ると、とても充実した3日間でし た。この3日間を通し、日本のトップゲームそして日本のトップレフェリーの方々の姿を間近に見ることができ、さらには同年代 の同じ目標を持つ審判員の仲間に出会えたこと、私のレフェリー人生にとってかけがえのない財産の一つになりました。また、今 後の審判活動においてとても刺激を受けた研修会でした。研修会の最後には平育雄氏から「覚悟」についてお話をいただきました。 「日本のトップゲームを吹く覚悟、AA 級になる覚悟、国際審判員になる覚悟、その『覚悟』がありますか。」その問いかけに、と ても身が引き締まりました。私は、このお話を聞いて、まずは4月に行われる京王杯に向けて AA 級になる「覚悟」を持ち日々精進 しようと改めて強く心に決めました。それには、今回のプロジェクト参加にあたっての準備よりも更なる目標を持ち準備をしよう と思います。また、今回の研修会で得た多くのことをブロックをはじめ県内、地元審判員に広く還元したいと思います。 今回の研修会参加にあたり、吉田利治委員長をはじめ推薦いただいた安西郷史関東ブロック長、渡邊整栃木県審判長、そして今 回の研修会の講師の皆様や開催にあたってお世話になりました総務グループの皆様、参加に際し後押しをしていただいたブロック、 県内審判員の皆様に心より感謝申し上げ報告とさせていただきます。 以上。
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