夏休みと金魚そして子供たち H27.8.5 第197号 先日から図書室の前を通ると、 何だかブクブクと音がする。水槽 の音のようだ。風が吹くとチリン チリンと涼しげな音が耳に心地よ い風鈴のように、このブクブクと 水中から沸き出てくるような泡の 音も夏を感じさせる。 惹きつけられるように、足を図 書室へと運ぶ。その水槽には赤い 金魚が泳いでいる。いや正確には ヒブナのようだが、いずれにして もこの時期水槽の中で泳ぐオレン ジ色は心を穏やかに和ませてくれ る。 穏やかで和やかといえば、やはり夏休み中子供たちはどことなく心にゆとり を感じさせる。それはたまたま顔を合わせた際の、元気なあいさつの声にも感 じられる。声だけではない。例えば真っ黒に日焼けした顔から、笑った際に真 っ白な歯が覗いたときなどにも感じられる。 ああー、このとき、この瞬間、この子等は自分の時間を真剣に生きているん だ。眩しいなあー、良かったなあーなどと思うのである。夏休み水槽の中の魚 たちはゆったりとのんびりと泳いでいる。子供たちもしばし日常の忙しさから ちょっぴり解放され、子供だけの時間を楽しんでいるよう。 昔から何となく夏休みというと、花火、浴衣、金魚すくい、スイカ…などと、 夏休みと音にしただけで次から次へと様々なものを連想することができる。ひ ととき目をつむり、こんな想像のひとときをもつことも楽しい。 何処かへ行かなくても、何かをやらなくても、何も買うことをしなくても、 人は想像の世界で豊かに自らの心を解放することができる。人とはそんな素晴 らしい存在なんだと思う。 図書室へふたば級から避難した水槽の金魚たちから、子供たちのステキな夏 休みを想像することができる。夏休みもいよいよ中盤、子供たちには夏休みの 宿題ははかどっているだろうか?3年生には、自らの進路についていよいよ真 剣に考え始めているだろうか?そんなことも想像して楽しんでいる。 そう、教員は学校を出て直ぐにまた学校に入る特殊な職業である。そのせい で物心ついたときから大人になってからも、何となく夏休みという生活のリズ ムがずっとあるのだ。そんな私にとってこの夏は、最後の夏休みである。 変な話なのだが、だから余り休みたいとは思わない。もっともっと皆さんと ときを共に過ごしたいなどと、我が儘に考えている校長である。この仕事が私 にとって一番お似合いの仕事なら、私は皆さんとずっとずっと一緒に生きたい。 だが、それは許されない。だからこの短い夏を、本当に心の底から楽しみたい と考えている。 「夏休みと金魚そして子供たち」そしてそして -1- 私… ありがとう!
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