秋元様

2014年10月27日
⽇日本と⽶米国でのスタートアップ⽀支援体制の違い
⽉月並みですが、エコシステムが重要
2
1.ベンチャー市場の環境
-‐‑‒1.ベンチャー企業への投融資額(⽇日⽶米⽐比較)
-‐‑‒2.ベンチャーファンドについて 0
-‐‑‒3.⽇日⽶米におけるベンチャー企業のEXIT状況(M&Aの状況)
-‐‑‒4.⽇日⽶米におけるベンチャー企業のEXIT状況(IPO時の調達額)
-‐‑‒5.⽇日⽶米における投資家及びベンチャーキャピタル構成割合
2.ベンチャーを取巻く環境
-‐‑‒1.⽂文化⾯面
-‐‑‒2.法制度度⾯面
-‐‑‒3.⾦金金融、財政、税制⾯面
-‐‑‒4.教育⾯面(⼈人材養成⾯面含む)
-‐‑‒5.上記以外での政府の関わり(政府⽀支援等)
3.まとめ・考察
-‐‑‒1.⽇日⽶米のベンチャーを取り巻くエコシステムにおける共通点と相違点
-‐‑‒2.課題及び⽇日本のベンチャーエコシステム形成に必要な要件
3
1-‐‑‒1.ベンチャー企業への投融資額(⽇日⽶米⽐比較)
・⽇日本のベンチャーキャピタルによる投資社数/投資額は2008年年(リーマンショック)後減っているが、 2010年年より回復復の兆しがみられており、2013年年の投資は891社/1,695億円となっている。
・⽶米国におけるベンチャーキャピタルによる投資社数/投資額はリーマンショックの影響等も限定的で、 2013年年における⽇日⽶米の投融資額の違いは約16倍の違いが確認できる。
US:約2.7兆 vs 日本:1,675億円
ベンチャー企業への投融資の実績
(億円)
3000 (件数)
2790 2500 1993 2000 1695 1366 1500 1132 1240 875 1000 1026 500 0 2006 2007 2008 2009 年間投融資額(億円)
2010 2011 2012 5000 4500 4000 3500 3000 2500 2000 1500 1000 500 0 319 330 6000 299 310 295 290 5500 267 270 250 275 4000 204 210 3500 190 3000 170 150 2500 2006 投融資先社数(社)
2007 2008 2009 2010 投資額(億ドル)
((出典):ベンチャーエンタープライズセンタ 投資動向調査)
2011 2012 2013 投資件数
((出典):NVCA YEARBOOK2013(※1))
4
5000 4500 233 230 2013 (※1)NVCA Year Bookに登録されているされているVC数は388
(件数)
(億ドル)
1-‐‑‒2.ベンチャーファンドについて
・⽇日本における2013年年度度の設⽴立立ファンドは38本/847億円。2012年年に⽐比べて、12本増/189億円減
・アメリカにおける2013年年の設⽴立立ファンドは203本/176億ドル。2012年年に⽐比べて、
2本増/25億ドル減
US:約1.7兆 vs 日本:847億円
設⽴立立ベンチャーファンド数とファンド額
設立ファンド数とファンド額(単位:億円)
設立ファンド数とファンド額(単位:億ドル) 4000 3000 39 2740 31 23 2000 15 848 1000 474 13 1197 50 350 38 40 300 30 200 26 1036 525 847 2008 2009 ファンド額
2010 2011 2012 162 235 215 150 20 193 50 162 0 2013 2007 設立ファンド数
2008 2009 175 188 183 2011 2012 設立総数
(出典):NVCA YEARBOOK2013
5
176 250 203 200 150 2010 コミットメント総額
(出典):ベンチャーエンタープライズセンタ 投資動向調査
201 135 100 0 2007 256 250 10 0 300 294 2013 1-‐‑‒3.⽇日⽶米におけるベンチャー企業のEXIT状況(M&Aの状況)
・⽶米国のイグジットは、⼤大半(8~∼9割前後)がM&Aによる事業売却であるが、⽇日本は7割前後と
なっている。
・総イグジット件数においても、⽶米国の件数は⽇日本の約2倍で推移しており、活性化という点で
⽇日本は⽶米国に遅れていると⾔言える。
イグジット状況のデータ(IPOとM&Aの⽐比率率率)
700 100% 90% 80% 70% 60% 50% 40% 30% 20% 10% 0% 600 500 400 300 200 100 0 2008 2009 2010 M&A件数
2011 IPO件数
2012 700 100% 90% 600 80% 500 70% 400 60% 300 40% 50% 30% 200 20% 100 2013 10% 0 0% 2008 M&A比率
2009 2010 M&A件数
(出典)左図 総務省省「ICT産業のグローバル戦略略等に関する調査研究」(平成25年年)
(出典)右図 ベンチャーキャピタル投資等動向調査、トムソンロイター資料料
6
2011 IPO件数
2012 2013 M&A比率
1-‐‑‒4.⽇日⽶米におけるベンチャー企業のEXIT状況(IPO時の調達額)
・⽇日本は⽶米国と⽐比較してIPO時の時価総額が低く、⽇日⽶米⽐比較を⾒見見てみると10倍以上の開きがある。
また、創業からIPOまでの年年数を⾒見見ると、⽶米国は⽇日本に⽐比べ1〜~4年年程度度短い傾向にあり、
短期間で上場に⾄至る傾向が強いといえる。
・⽇日本のM&Aは⾦金金額の⾮非公開が多く⽇日⽶米⽐比較が難しいが、⼤大きな違いがあると想定される。
IPO時の調達額
M&A⾦金金額の推移(アメリカ)
(出典)総務省省「ICT産業のグローバル戦略略等に関する調査研究」(平成25年年) 及びベンチャーキャピタルリサーチ、DowJones Venture Source、各種報道記事より
7
1-‐‑‒5.⽇日⽶米における投資家及びベンチャーキャピタル構成割合(ベンチャーキャピタル)
・⽇日本のベンチャーキャピタルの属性を⾒見見ると⾦金金融機関系がもっとも多く(57%)、アメリカは
ほとんどが独⽴立立系(91%)である。
(昨今、⾦金金融系の割合が減っており、独⽴立立系&事業会社系の割合が増えている。)
・アメリカでは、過去数年年にわたりほとんどが独⽴立立系で構成されている。
ベンチャーキャピタルの属性別の構成⽐比
事業会社系
2%
その他
3% 事業会社系
22% その他
2%
金融機関系
5%
独立系
18% 金融機関系
57% 独立系
91%
199,200(M$) / 2012年年
2010年年
(出典):NVCA YearBook 2013
(出典):⽇日本ベンチャーエンタープライズセンター
8
1.ベンチャー市場の環境
-‐‑‒1.⽇日⽶米のベンチャー企業数の推移
-‐‑‒2.⽇日⽶米のベンチャー企業への投融資額
-‐‑‒3.⽇日⽶米における投資件数・投資額・投資先ステージ毎の割合
-‐‑‒4.⽇日⽶米におけるベンチャー企業のEXIT状況(IPO&M&A)
-‐‑‒5.⽇日⽶米における投資家及びベンチャーキャピタル構成割合
2.ベンチャーを取巻く環境
-‐‑‒1.⽂文化⾯面
0
-‐‑‒2.法制度度⾯面
-‐‑‒3.上記以外での政府の関わり(政府⽀支援等)
3.まとめ・考察
-‐‑‒1.⽇日⽶米のベンチャーを取り巻くエコシステムにおける共通点と相違点
-‐‑‒2.課題及び⽇日本のベンチャーエコシステム形成に必要な要件
9
2-‐‑‒1.⽂文化⾯面(起業家精神の⽐比較)
・起業に関する意識識調査(社会浸透、経営能⼒力力、機会認知)では、⽇日本⼈人の消極性が表れている。
・⽇日本⼈人の起業活動や計画に関する各種数値は、上昇の傾向ではあるがアメリカの数値を下回っている。
起業に関する意識識調査
20.0% 起業活動率率率(※1)
15.0% 起業家の社会への浸透
60.00% 10.0% 50.00% 5.0% 40.00% 30.00% 0.0% 20.00% 10.00% 経営能力
0.00% 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 起業計画
失敗に対する恐れ
14.00% 12.00% 10.00% 8.00% 日本
6.00% 4.00% アメリカ
事業機会の認知
2.00% 0.00% 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 (※1)起業活動率率率とは、各国の起業活動の活発さを表す指標で、具体的には、「スタートアップ(独⽴立立・社内を問わず、新しいビジネスを始める
ための準備を⾏行行っている個⼈人で、まだ給与を受け取っていない⼈人)」及び「ニュービジネス(すでに会社を所有している経営者で、
初めて給与を受け取って3.4年年以上経過していない⼈人)」の合計の調査⼈人数に占める割合。(調査⼈人数 約2,000から回答のあったもののみ)
(出典):経済産業省省(2012)「平成23年年度度創業・起業⽀支援事業(起業家精神に関する調査)報告書」より作成
10
2-‐‑‒2.法制度度⾯面(開業規制における起業のしやすさ)
・⽇日本ではこれまで、“法⼈人設⽴立立の際の最低資本⾦金金制度度の撤廃”、“類似商号規制の廃⽌止”など、開業規制
の簡素化に努めてきたが、規制⾯面における起業のしやすさは、依然として諸外国に劣劣っている状況。
・開業に要する⽇日数と起業活動率率率の間には相関関係が認められ(※1)、特に制度度の複雑化や変更更がある
とスタートアップには、負担が⼤大きいと⾔言われている。
Doing Business 2013
⽇日本
アメリカ
Ave
事業継続の容
易易さ
26位
4位
-
開業の容易易さ
114位
13位
-
開業までの⼿手
続き数
8
6
5
開業に要する
⽇日数(※2)
23⽇日
5⽇日
11.1
開業コスト
7.5%
1.5%
3.6
(※3)
(※1)内閣府 平成23 年年版 経済財政⽩白書
(※2)⽇日本における開業⼿手続き
①社印の作成(3⽇日)
②代表取締役の印鑑証明書の取得(1⽇日) ③法務局での登記(1〜~3 週間)
④税務署への法⼈人設⽴立立の届出、⻘青⾊色申告の承認申請など(1⽇日)
⑤都道府県税事務所等への営業開始の届出(1⽇日)
⑥労働基準監督署への適⽤用事業報告、労働保険の保険関係成⽴立立の
届出など(1⽇日)
⑦⽇日本年年⾦金金機構への健康保険・厚⽣生年年⾦金金保険新規適⽤用の届出(1⽇日
⑧公共職業安定所への雇⽤用保険適⽤用事業所設置の届出(1⽇日)
(※3)開業コストと最低資本⾦金金は⼀一⼈人当たり所得に対する⽐比率率率で表⽰示
(出典) The World Bank, Doing Business 2013: Smarter Regulations for Small and Medium-‐‑‒Size Enterprises , 2013
11
2-‐‑‒3.その他 政府の関わり(主な官⺠民ファンド)
ファンド
管轄
ファンド額
備考
(株)産業改⾰革機構
経済産業省省
最⼤大約2兆円
平成24年年補正で1,040億円が政府から追加された(計
2660億円)。
(独)中⼩小企業基盤整備機構
中⼩小企業庁
5,191億円
2004年年7⽉月1⽇日創設
(株)地域経済活性化⽀支援機構
内閣府
約1兆2000億円
2009年年10⽉月14⽇日に㈱企業再⽣生⽀支援機構として創設。
地域の再⽣生現場の強化や地域経済の活性化への⽀支援
(株)農林林漁業成⻑⾧長産業化⽀支援
機構
農林林⽔水産省省
318億円
2013年年1⽉月創設。当初予算300億円でJAやみずほ銀⾏行行
などがサブファンドで出資の模様
(株)⺠民間資⾦金金等活⽤用事業推進
機構
(官⺠民連携インフラファンド)
内閣府
3,200億円
官⺠民イノベーションプログラム
(国⽴立立⼤大学に対する出資事業)
⽂文部科学省省
1,000億円
今年年1⽉月に4⼤大学に合計1000億円(東京⼤大学437億円、
京都⼤大学272億円、⼤大阪⼤大学166億円、東北北⼤大学125億
円)を出資が閣議決定されている。
(株)海外需要開拓拓⽀支援機構
(クール・ジャパン推進機構)
経済産業省省
575億円(政府:500億円、15企
業:75億円)
海外需要の獲得をねらい500億円を計画している。
耐震・環境不不動産形成促進事業
国⼟土交通省省、環境省省
350億円((国⼟土交通省省. から
300億円、環境省省から50億円))
(株)⽇日本政策投資銀⾏行行に
おける競争⼒力力強化ファンド
財務省省
「既存扱い」
「設⽴立立準備中の扱い」
1,500億円(最⼤大3,000億円程度度
までの拡⼤大を視野)
(出典):財務省省理理財局「財政投融資をめぐる最近の情勢」からリストを取得し作成
12
2013年年3⽉月12⽇日創設
1.ベンチャー市場の環境
-‐‑‒1.⽇日⽶米のベンチャー企業数の推移
-‐‑‒2.⽇日⽶米のベンチャー企業への投融資額
-‐‑‒3.⽇日⽶米における投資件数・投資額・投資先ステージ毎の割合
-‐‑‒4.⽇日⽶米におけるベンチャー企業のEXIT状況(IPO&M&A)
-‐‑‒5.⽇日⽶米における投資家及びベンチャーキャピタル構成割合
2.ベンチャーを取巻く環境
-‐‑‒1.⽂文化⾯面
-‐‑‒2.法制度度⾯面
-‐‑‒3.⾦金金融、財政、税制⾯面
-‐‑‒4.教育⾯面(⼈人材養成⾯面含む)
-‐‑‒5.上記以外での政府の関わり(政府⽀支援等)
3.まとめ・考察
0
-‐‑‒1.⽇日⽶米のベンチャーを取り巻くエコシステムにおける共通点と相違点
-‐‑‒2.エコシステムに関係する項⽬目のサイズ⽐比較
13
3-‐‑‒1.⽇日⽶米のベンチャーを取り巻くエコシステムにおける共通点と相違点
スタートアップを取り巻くエコシステムの⼤大きな枠組みは、⽇日⽶米で共通点が多いといえる。
しかし、エコシステムの形成期間や国⺠民性等の⽂文化の違いから、それぞれのルールや実態について
様々な相違点が⾒見見られる。
⽇日本:
・⼤大学とベンチャーとの⼈人材交流流
は薄い
・起業家教育は始まったばかり
・官⺠民ファンドの⽐比率率率が⾼高い
政府資⾦金金
⼤大学
/政府機
関
アメリカ:
・⼈人材交流流含め、⼤大学とベン チャーとの関わりが強い
・起業家教育は充実している。
・官⺠民ファンドの⽐比率率率が低い
投資
⽇日本:
・VC投資額:1,026億円(2012)
・エンジェル投資:100〜~200億円
・個別投資が主流流
アメリカ:
・VC投資額:267億ドル(2012)
・エンジェル投資:190億ドル
・⼤大規模投資、クラブディール
なども盛ん。
新事業シーズ
⼈人材/投資
リターン
ベンチャー
企業
新製品/新技術
提携/買収
リターン
リターン
VC/
エンジェ
ル
⽇日本:
・起業家志向は低い(保守的)
・⼈人材が少ない。
・サービスのターゲットを国内向
けに始めるケースが多い。
IPO
アメリカ:
・起業家志向が⾼高い(進歩的)
・EXIT経験者やシリアルアント
レプレナー⼈人材が多い
・サービスのターゲットがそもそ
もグローバルである
新事業シーズ
⼈人材/投資
リターン
⼤大企業
投資
図:「リスクマネーを活⽤用するイノベーション・エコシステム」
情報通信技術の進展とイノベーションの仕組みとしてのコーポレー
ト・ベンチャリング(富⼠士通)
14
⽇日本:
・⼈人材が流流動的ではない
・M&A実績が少ない
アメリカ:
・⼈人材が流流動的である
・M&A実績が多い
3-‐‑‒2.エコシステムに関係する項⽬目のサイズ⽐比較
⽇日本
アメリカ
差
IT系(ベンチャー)企業数
100,860(2011)
172,628(2011)
1.7倍
IPO数
54
81
1.5倍
M&A数
180
390
2.17倍
ベンチャーキャピタル数
567社(※1)
841社(※2)
1.48倍
投資額
1,695億円
275億ドル
(2兆7,500億円)
16.23倍
投資社数
891社
4,134件
4.64倍
設⽴立立ファンド額
847億円
176億ドル
20.78倍
エンジェルの数
10,000(※3)
230,000(※3)
23倍
エンジェル投資総額(年年間)
200億円(※3)
2.5兆円(※3)
125倍
投資件数
(年年間)
不不明
60,000
-
※数値に(括弧)がないものは2013年年データ
(※1)アントレペディア調べ(2013年年11⽉月)
(※2)NVCA Yearbook2013
(※3)平成 20 年年度度経済産業省省委託調査報告書「エンジェルネットワークの形成促進に関する調査報告書」株式会社テクノリサーチ研究所
15