(B)における 火災の発生について

平 成 27 年 1 月 2 3 日
日本原子力発電株式会社
東海第二発電所 廃棄物処理建屋3階 送風機室(B)における
火災の発生について(原因・対策)
1.経 緯
東海第二発電所は、第25回定期検査中のところ、平成26年12月19日
14時頃、廃棄物処理建屋3階送風機室(B)(管理区域)にて溶接作業中、
作業員が、作業場所下部の送風機給気フィルタ(以下、「当該フィルタ」とい
う。)から煙が発生していることを確認しました。作業員は直ちに水をかける
とともに、中央制御室に連絡をしました。
連絡を受けた発電長は、14時19分に公設消防に通報しました。公設消防
による現場確認の結果、15時06分に、本事象は「火災である」との判断を
受け、同時刻に鎮火が確認されました。
(平成 26 年 12 月 19 日お知らせ済み)
本事象について、当該作業を中断し原因を調査するとともに、その再発防止
対策を取りまとめ、本日、関係自治体へ報告しました。
2.原因調査結果
当該作業の状況調査や原因調査を実施しました。
その結果、作業で用いた後打ち金物※1と固定用ナットの溶接時に、溶接の熱
で炭化した後打ち金物の塗装材が火種となり、養生の隙間から落下し、当該
フィルタに付着したことで火災に至ったものと推定しました。
(添付資料−1、2、3)
また、状況調査から「可燃物排除の不足」、
「火気養生の不備」及び「溶接時
の表面処理の未実施」について問題点を確認し、この原因を調査しました。
(1)可燃物排除の不足
・当社監理員及び作業員は、溶接作業の際、溶接士が立つ仮設足場を不燃
シートで火気養生するため、仮設足場の下方にある当該フィルタについ
ては、難燃シートでの養生で十分と考え、当該フィルタを取り外しません
でした。
・この可燃物排除の確認は、当該作業員のみで行われていました。
1
(2)火気養生の不備
①作業員
・TIG溶接※2では、火種の飛散は無いと思い込み、作業関係者による
火気養生状態(火気養生の範囲や隙間の有無)の確認が不十分でした。
・溶接開始前の火気養生状態の確認は、作業員のみで行われていました。
②当社監理員
・当該作業における火気養生確認は、当社監理員の立会確認項目ではなかった
ため、当社監理員による火気養生状態(火気養生の範囲や隙間の有無)
の確認を行いませんでした。
(3)溶接時の表面処理の未実施
・作業員は、溶接時に表面処理(塗装材の剥離)を行うことは理解してい
ましたが、TIG溶接では、塗装材が炭化して火種になるとは思わな
かったため、表面処理を実施しませんでした。
※1: 吊込み搬入作業時等にフックをかけて使用するための金物。25 ㎝×25 ㎝の四角形で金属
に錆止め塗装と上塗り塗装を施工。
※2: 電気を用いた溶接方法の一種。TIG は Tungsten Inert Gas の略でタングステン-不活性ガスの意
であり、電極にタングステンを用いている。溶接の中では火花等が飛散しにくい溶接方法の一つ。
3.再発防止対策
原因調査結果を踏まえ、以下の再発防止対策を実施します。
(1)当該作業及び作業員に関する対策
・当該フィルタの取り外し、当該作業の火気養生不足箇所の再養生及び当該
溶接箇所の表面処理を行うとともに、当社監理員及び発電所防火担当など
が立会い、その実施状況を確認します。
・当該作業員は、可燃物排除、火気養生及び溶接時の表面処理について再教育
を受け、当社がその教育状況を確認します。
(2)発電所での火気作業に関する対策
①可燃物排除、火気養生及び溶接時の表面処理に関する周知徹底
・今回の事例の周知を行うとともに、下記②、③について、当社監理員
及び協力会社へ周知徹底します。
2
②可燃物排除、火気養生及び溶接時の表面処理に関するルールの整備
・当社の溶接・溶断時等の火気養生を定める手引書に、撤去可能な可燃物
排除の徹底、養生の隙間が発生し易いポイント及び塗膜等の不純物除去
を明記します。
・火気養生の具体的な確認項目のチェックシートを作成します。
③教育テキストへの反映と再教育による意識向上
・火気作業に関する教育テキストに今回の事例を反映し、定期的に事例
教育を行い、意識向上を図ります。
④当社による立会強化
・撤去可能な可燃物が排除されていること、火気作業開始前に火気養生や
作業対象物の状態を確認することを、新たな当社立会ポイントと定めます。
・当社監理員に加え、発電所防火担当などを上記立会ポイントに立会わせ、
改善すべき点が無いかの観点で確認します。
添付資料
添付資料−1
添付資料−2
添付資料−3
事象発生時のメカニズム
事象発生時の廃棄物処理建屋送風機室(B)内の現場配置状況
当該フィルタの焦げ跡状況
以
3
上
添付資料−1
事象発生のメカニズム
隙間:約14cm×約3.5cm
焦げ跡
給気フィルタ
添付資料−2
事象発生時の廃棄物処理建屋送風機室(B)内の現場配置状況 建屋外(非管理区域)
建屋内(管理区域)
後打ち金物
(寸法:25cm×25cm)
給気ルーバー室
給気フィルタ(網掛け部)
(出入口扉)
溶接士
火気養生補助者
上段仮設足場
給気加熱コイル室
中段架台
火気監視員
(出入口扉)
送風機室
火気養生補助者
後打ち金物
(寸法:25cm×25cm)
溶接士
上段仮設足場
当該フィルタを取り付ける
ための鎖
フィルタを取り付けるための鎖
火気監視員
焦げ跡
全体写真
中段架台
拡大写真
送風機(C)室の当該フィルタ設置状態
難燃シート
給気加熱コイル室(側面図)
添付資料−3
当該フィルタの焦げ跡状況
奥行 91.5cm
高さ 59.2cm
幅 59.2cm
当該フィルタ1つ当たりの寸法
給気フィルタ 外観図
2枚目
当該フィルタ焦げ跡 (ユニット取付状態)
1枚目
約10cm
約7cm
約30cm
1枚目
約30cm
2枚目
当該フィルタ焦げ跡(取外し後の展開状態)