レビュー - 三菱製紙

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レビュー
■ 経営成績(2015 年 3 月期)
※業績
紙パルプ産業は、個人消費の低迷、電子媒体への移行に伴う国内紙需要の構造的減少、円安による原材料価格の
高騰などにより、厳しい事業環境のまま推移しました。
④その他
工務関連子会社、倉庫・運送関連子会社の売上高減少等により、売上高は 151 億 4 千万円と、前期比 5.3%減となり
ました。
このような状況下、三菱製紙グループは、2013 年11月に策定した「第1次中期経営計画フェーズ 2 ローリン
グプラン」に沿って、「成長に向けての収益基盤強化」を目指した諸施策に取り組み、当期は、八戸工場分社化
(2014 年4月)をはじめとする構造改革の推進、希望退職の実施(2014 年8月)やコストダウンの徹底等を進め、
■ 財政状況(2015 年 3月期)
収益の改善に努めました。
※資産、負債及び純資産の状況
主力の洋紙事業は需給バランスを考慮した減産体制の継続や原材料価格高騰に伴う価格修正、イメージング事業
当連結会計年度末の資産は、たな卸資産、有形固定資産の減少等により、前連結会計年度末に比べ 51 億 1 千 6
は海外での販売強化、機能材事業は水処理エレメント用逆浸透膜支持体や自動車用キャビンフィルターを中心とし
た海外市場での拡販等に注力し、連結売上高は 2,149 億 4 千 4 百万円(前期比 3.6% 増)、連結経常利益は 1 億
百万円減少し、2,534 億 8 千 2 百万円となりました。
負債は、有利子負債の減少等により前連結会計年度末に比べ 46 億 2 千 4 百万円減少し、1,983 億 8 千 8 百万
3 千 5 百万円(前期比 117.4% 増)となりました。
円となりました。
しかしながら、希望退職に係る事業構造改革費用や高砂工場生産設備の一部休止に伴う減損損失を特別損失に計
550 億 9 千 4 百万円となりました。
小数株主持分を含む純資産は、利益剰余金の減少により、前連結会計年度末に比べ 4 億 9 千 2 百万円減少し、
上したほか、繰延税金資産の取り崩しで法人税等調整額が増加したことなどにより、最終損益は 42 億 7 千 2 百万
円の連結当期純損失となりました。
※キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は 65 億 5 百万円となり、前連結会計年度末に比べ 18 億 7 千 7
①紙・パルプ事業
百万円減少しました。
主力製品の印刷用紙は、消費増税の反動や需要減の影響等によって販売数量が減少しました。
一方、情報用紙はPPC用紙をはじめとする主要銘柄の販売が堅調に推移し、販売数量が増加しました。
これらの印刷・情報用紙の販売金額は、価格修正効果もあり増加しました。
市販パルプは、販売数量、販売金額ともに減少しました。
欧州子会社では、ノーカーボン紙・感熱紙の市況が悪化しましたが、為替の影響で販売金額は増加しました。
①営業活動によるキャッシュ・フロー
営業活動の結果得られた資金は 39 億 7 百万円となりました。(前連結会計年度末に比べ 83 億 1 千 4 百万円
の収入減)これは、主に売上債権の増加、事業構造改革費用の支払い等によるものです。
②投資活動によるキャッシュ・フロー
投資活動の結果使用した資金は 11 億 6 千 8 百万円となりました。(前連結会計年度末に比べ 7 億 3 千 4 百
以上の結果、紙・パルプ事業全体の売上高は 1,654 億 4 千 9 百万円で前期比 2.3%増となりました。
万円の支出増)これは、投資有価証券の売却による収入の減等によるものです。
②イメージング事業
財務活動の結果使用した資金は 45 億 7 千 6 百万円となりました。(前連結会計年度末に比べ 43 億 1 千 2 百
国内市場ではインクジェット用紙や印刷製版材料の需要が低迷しましたが、写真感光材料が堅調に推移し、
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※セグメント別の業績
③財務活動によるキャッシュ・フロー
万円の支出減)これは、主に有利子負債の削減等によるものです。
販売金額は前期並みとなりました。
海外市場では、写真感光材料の競争激化に伴う市場環境悪化の影響を受けましたが、インクジェット用紙の
販売が好調に推移し、販売金額が増加しました。
以上の結果、イメージング事業全体の売上高は 435 億 3 千 5 百万円で前期比 4.6%増となりました。
③機能材事業
※利益配分に関する基本方針及び当期・次期の配当
剰余金の配当等の決定に関しましては、株主への利益還元を経営の重要課題と位置づけ、内部留保を充実させつ
つ配当比率を安定的に維持することを方針とし、具体的には連結当期経常利益の 20%を基準としております。
不織布は水処理エレメント用逆浸透膜支持体をはじめとする主要製品の販売が増え、フィルターでは自動車
三菱製紙グループは、目指す利益になかなか近づけない状況にあるなか、経営の立て直し、競争力強化のため、
用キャビンフィルターの伸びと家電向けの拡販、リライトメディアは海外向けの販売の伸長により、それぞ
八戸工場構造改革を遂行中であり、今期は、このための費用を要したことから、最終損益は、55 億 4 百万円の当期
れ販売金額は増加しました。
純損失を計上しました。このような理由から、利益配当を実施することができませんでしたが、今後、財務体質の
化学紙は、建材用途の化粧板原紙の販売減により、販売金額は減少しました。
改善を着実に進め、企業基盤の安定化を図り、早期の復配を目指してまいります。
以上の結果、機能材事業全体の売上高は 168 億 4 千 7 百万円で前期比 5.1%増となりました。
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三菱製紙コーポレートレポート 2015 財務セクション
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