モノが散らからない仕組みのある部屋づくり ~学生ブランドによるマンションのリノベーション実施設計~ 諌見研究室 12TH007 梅森 晴子 ■三好不動産スマイルデザインプロジェクト連携事業 リノベーションとは、 中古物件を現代のライフスタイルに合った住まいによみがえらせる ことである。 現在の日本では新築物件に価値が見出され、 20~30年ごとに建物を壊しては建て替 ■テーマについて える 「スクラップアンドビルド」 が繰り返されるフロー型社会となっている。 その一方で、 私はワンルームロフト付きの賃貸アパートで一人暮らしをしている。 狭いながらもお気に入りの家具や雑貨をおいて日々の生活 を快適に暮らそうと工夫を凝らしているが、 収納が少ないため部屋がすぐにちらかってしまいせっかくのインテリア空間を楽しめ ない。 既存の住宅の1割超が空き家になっているという状況が20年余り続いており、 このような いわゆる中古ストックすなわち 「既存建物」 のあり方について見直しが行われるようになっ た。 福岡市でも賃貸市場は 「需要<供給」 という状況に陥っており、 完全な 「借り手市 部屋がすぐにちらかってしまう理由は自身の性格の問題を別にすれば、 収納の少なさとモノを収納するゾーニングの計画や家 事動線の確立があいまいさだからと考えた。 これらの問題は設計の段階で解決できるのではないのだろうかと思う。 そこで私は 中古物件を改修することで新たな付加価値をつけるリノベーションに着目し、 片付けやすさという観点から住まいを見つめなおし ていく。 そこで 「モノが散らからない仕組みのある部屋づくり」 をテーマに設計を進めていく。 場」 である。 こうした中で物件の空室を埋める対策として、 少ないニーズに対してどの ようなアプローチを行うかが課題となっている。 従来の空室対策として家賃 ・ 敷金 ・ 礼 金の値下げが行われている。 これは一種の入居条件の緩和であり、 経済面において入 居者のメリットにはなるが、 貸し手は他の同業者との値下げ競争に巻き込まれてしまう。 新しいインテリアデザインにより付加価値をつけて差別化を図ることが値下げ競争から抜 ■「なぜ、 散らかるのか」 を探す け出した空室対策となると考えられる。 本研究では連携機関である株式会社三好不動産 片付けが容易にできて、いつも心地よく暮らせる部屋とはどんな部屋だろうか。 「収納スペースがたっぷりある部屋」 であると、 たいていの人は考える。 たしかに大きな納戸があれば、 あれもこれもと詰め込んで、 「部屋からモノがなくなってスッキリ」 と満 賃貸管理部が所有する福岡市の中古マンション一世帯を対象にリノベーションの実施設計 を行っていく。 足する。 しかし時間がたつと、 気がつけばまた元の状態に逆戻りである。 なぜそうなるのか。 それは必要な場所に必要な収 納スペースを作れていないからである。 片付く部屋というのは、 片付けという行為を生活シーンごとに想定し、 モノを引き受ける準備をしている部屋のことである。 ■これから行っていくこと 私は収納スペースの設計がうまくできていれば、 片付けが容易で楽しくおしゃれな生活が営めるのではないだろうかと考えた。 「なぜ、 散らかるのか」 その理由をひとつひとつつきとめ、 解決できるアイデアを提案していく。 そして 「片付けやすいしかけ」 5月 情報の収集 ・ 分析 ・ 整理 生活シーンごとに生活の動き、 モノの把握、 収納術など を施し、 モノが散らからない仕組み作りを行っていく。 をひとつひとつ考察してレポートとして整理しまとめていく。 三好不動産との打ち合わせ ■たとえば…洗面所の収納スペースを見つめなおす 6 月 参考事例の収集 使い終わったバスタオルを干して翌日も使いたい場合は、 洗面 ・ 脱衣室にタオルなどの収納スペースを設け デザインテーマにあった参考事例を多く集めておく。 脱衣室に少なくとも幅750㎜以上の壁がなければならない。 てしまうとバスタオルを干せる壁がほとんど残らな マテリアルの種類や価格、 照明計画などを学習しておく。 い。 収納の開き戸のせいで壁がなくなる。 7月 物件および敷地調査 ・ 構想 ・ 計画 物件の周辺地域の立地や様子に合わせニーズを調査し、 ターゲットを絞った案をいくつか構想し計画していく。 収納スペースの扉は開き戸ではなく、 引き戸 8月 実施設計 9月 施工 (工事監理) にしておくとタオルを干す壁が確保される。 10 月 モノが散らからない部屋づくりの実現
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