北海道の自然学散歩-3「大雪山周辺の名勝 北海道の自然学散歩-3

北海道の自然学散歩-3「大雪山周辺の名勝・奇岩
北海道の自然学散歩-3「大雪山周辺の名勝 ・奇岩」
・奇岩 」
大雪山国立公園には美しい景観が数多くありますが、今回は名
勝・奇岩が連なる層雲峡と天人峡を探訪して見ましょう。
ふたつの渓谷は何れも同じ地質で構成されていて、その谷を削った
のは石狩川とその支流の忠別川であり、成因が同じなのでとても良
く似た地形となっています。そこで、これらの見応えのある景観が
どの様にして形成されたのか紐解いて行きます。
大雪山
は約 100 万年前に活発化した火山活動でその基盤が誕生しました。
その後も火山活動が続き多くの山々が形成されたのですが、約3万年前にお鉢平
と呼ばれる
火山が大爆発を起こし、周囲に多くの噴出物を放出して直径約 2kmのカルデラが出来ました。
その際、層雲峡
付近に火砕流が流れ込んできて堆積し、その厚さが 200mにもおよびました。
この時、古大雪湖とよばれる大きな堰き止め湖ができたのですが、後にその堆積物も石狩川の激流
に依って削剥され、現在見られる様な大岩壁や大函と呼ばれる柱状節理などが形成されたのです。
大岩壁に沿って幾筋もの滝が懸っていますが、これは支琉より流れ落ちる水量が本流より圧倒的
に少なかったため、削剥量の差によって川底に段差ができ落差の大きい滝となったのです。
層雲峡の代表的な名瀑は「銀河・流星の双滝」ですが、滝の上部を見ると削剥差が見て取れます。
一方、層雲峡の反対側に位置する天人峡も上述とまったく同様な成因によって、北海道一の落差
を誇る「羽衣の滝」 や柱状節理が忠別川の削剥作用によって造られました。
この度の巡検では、羽衣の滝へのアクセス遊歩道が通行止めとなっていて、天人峡観光の目玉を
間近にみることが出来ませんでした。止むを得ず対岸のトムラウシ山への登山道を小一時間ほど登
り、滝見台からの遠望を余儀なくされたのです。
この事は後で調べて分かったのですが、2 年前の土砂崩れが放置されたままになっていました。
北海道では 2020 年までに外国人観光客を 2 倍強の年間 300 万人にすると計画している様ですが、
道の名勝にも指定されている所がこの様なお粗末な状況では、如何なものかと疑いたくなります。
層雲峡の流星の滝(右)と銀河の滝(左)
大函の柱状節理岸壁を貫く石狩川
天人峡の柱状節理
天人峡・滝見台からの羽衣の滝