スイッチング電源のリップル改善 其の二

The Intelligent Technology Company
スイッチング電源のリップル改善 其の二
文書管理番号:ELS100-00007
アナログ技術者への道
( アナログ超初心者からの挑戦 )
ELS100-00007
スイッチング電源のリップル改善 其の二
目次
1.
はじめに .............................................................................................................. 3
2.
題材は? ............................................................................................................. 3
3.
前回までのおさらい............................................................................................... 3
4.
LC フィルタ単体での動作確認................................................................................ 4
5.
LC フィルタの効果を確認 ....................................................................................... 6
6.
この課題で学んだこと.......................................................................................... 10
改版履歴 .................................................................................................................... 11
参考文献 .................................................................................................................... 11
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1.
はじめに
この資料はアナログ初心者の私が、先輩社員の指導を受けアナログ製品を学んでいく様子を示したもので
す。本資料では、私が分からない点や疑問に思った点を中心に記載しておりますので、これからアナログ製品
に携わっていく方のご参考になればと思います。
2.
題材は?
前回、簡単なフィルタの説明とシミュレーションを行いましたので、実際に動作を確認してみます。
リップル除去には 2 次の LC フィルタを使い ADP1613 出力リップル値が下がるか確認してみます。
3.
前回までのおさらい
2 次の LC フィルタで ADP1613 の出力リップル値を下げるには、スイッチング周波数の 1.3MHz のノイズを下
げる必要があります。シミュレーションでは定数は自在に変えることができますが、手元にあった部品の都合
上、以下の定数で実験を行いました。
◆回路定数
以下の定数で実験を行います。
実験回路
L1=10uH、C1=2.2uF
L1=10uH
シミュレーションでは
C1=2.2uF
-63dB ほど減衰しています。
1.3MHz
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4.
LC フィルタ単体での動作確認
LC フィルタ単体でフィルタの効果を確認してみました。
◆LC フィルタ単体の実験環境
実験環境は以下の通りです。実験環境としてはファンクションジェネレータ、オシロスコープ、そして評
価対象を準備しました。 ファンクションジェネレータからリップルに相当する疑似的な信号を与え、リップ
ルが減衰するか確認します。
◆実験結果
スイッチング周波数と同じ 1.3MHz のノイズを与え、フィルタ後の波形ではノイズが除去されたことが認
できました。
1.3MHz
入力に与えたノイズ(100mVpp の正弦波)
LC フィルタによりノイズ除去
シミュレーションでは
-63dB ほど減衰しています。
出力(LC フィルタ後)
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◆パルスジェネレータの周波数を変えると不思議な現象が出現
Ch1(黄色)がパルスジェネレータ出力ですが、波形が何かおかしいと思いませんか?
パルスジェネレータからは 100mVpp の正弦波を出力しているので振幅は一定かと思っていたのです
が、周波数によって振幅が変わってしまうのです。不思議です。
◆先輩の助言で疑問解決
先輩社員に相談すると、パルスジェネレータの出力インピーダンスは 50Ωだからね。と一言。
シミュレーションで 50Ωの抵抗を入れると見事に共振周波数付近で減衰しています。
傾向を見る限りでは、シミュレーション結果と一致していそうです。
増幅
1.3MHz
変わらない
50Ω
100kHz
10kHz
減衰
減衰
パルスジェネレータ出力
33kHz
10kHz
変わらない
33kHz
増幅
100kH
減衰
1.3MH
減衰
シミュレーション結果と傾向が一致
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5.
LC フィルタの効果を確認
LC フィルタ単体ではスイッチング周波数の 1.3MHz を減衰させることが確認できましたので、実際に ADP1613
の出力に接続してリップルを測定します。
◆実験環境
使用した機材は、電源(3.3V 供給)、電子負荷、そしてオシロスコープです。
追加した LC フィルタ回路
先輩社員の実験用に基板加工されていますが、
気にしないでください。
◆結果
リップルが小さくなったのに加え、ノイズも減衰されました。
LC フィルタ前
ノイズ
LC フィルタ後
リップルとノイズが減衰
しかし、シミュレーションでは 1.3MHz 付近では 63dB 減衰するはずなので、
もう少しリップルが小さくなっても良いはずです。
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◆引き回しを変えて再度実験
最初の実験では配線の引き回しが長いため、短く配線をしなおして実験しました。
配線:長い
配線:長い
配線:短い
配線:短い
両者を比較しても、微妙な感じです。
見た目では分かりにくいということで、先輩社員からのアドバイスでオシロスコープ機能の
FFT 解析で確認してみました。
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◆FFT 解析結果
FFT 解析で両方のパターンを比較しましたが、-75dB -> -76dB ということで、それほど変わりません。
あまり配線の影響はなかった様です。
配線:長い
-75dB
配線:短い
-76dB
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◆LC フィルタで-16dB 減衰
最後に LC フィルタ無しとフィルタ出力後の FFT 結果を比較してみます。シミュレーションでは-63dB で
したが、実際は-16dB でした。シミュレーション値まではいかないものの、LC フィルタで簡単にリップルを
小さくすることができますので、十分に利用できそうです。
LC フィルタ無
-60dB
LC フィルタ後
-76dB
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6.
この課題で学んだこと
今回の実験でフィルタのすごさを改めて実感しました。L と C のたった 2 つの部品で簡単に LPF が作れる上、
効果が得られたことに驚きです。スイッチングレギュレータはリップルが大きくなる傾向にあり、後段にリニアレ
ギュレータを使うなど、コスト、回路面積増が避けられませんが、LC フィルタの特性で十分ということであれば、
非常に有効な手段ではないでしょうか?先輩社員の話では LC フィルタ以外にビーズを使う方法もあるとのこと
なので、先々、こちらも実験してみたいと思います。
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改版履歴
Version
改定日
改定内容
1.0
2015 年 6 月
・新規作成
参考文献
 各データシート、アプリケーションノート
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