コンテクスト解析を用いた目覚ましアプリケーションの実装

コンテクスト解析を用いた目覚ましアプリケーションの実装
大澤 慎太郎 (shintaro)†
Shintaro Osawa
1.
背景, 概要
既存のシステムのアクチュエーションはユーザのコン
テクストとは無関係である. 例とえば目覚まし時計はあ
くまで特定の時間に音を鳴らすだけである. そのため,
二度寝をしてしまったとしてもシステムは動作を終了し
てしまう. これだけではシステムの目的が達成されない
場合がある. また, ユーザが既に起きた場合でも音を鳴
らす.
このような問題を解決するためにはシステムがユーザ
のコンテクストを検知し, 状況に応じたアクチュエーショ
ンが行なえる必要がある.
今回の WIP では特定の条件下でユーザを指定した状
態にさせるシステムを提案し, システムの実現にあたり
解決すべき研究課題に取り組み, デモアプリケーション
として目覚ましアプリケーションを実装する.
2.
目的
特定の条件とコンテクストに応じたアクチュエーショ
ンをするシステムを提案する. このシステムが完成した
場合, ユーザは生活の中で失敗を減らすことができる.
2.1 シナリオ
A 君が家で寝ている時, システムは A 君の起きなけれ
ばならない時間を自動的に判断する. 起きる時間が来た
時に A 君が起きていればシステムは何もしないが, もし
寝ている場合はアラームを鳴らすバイブレーションをす
るといたアクチュエーションをする. さらに A 君がなか
なか起きない場合には, システムはアラームの音量を上
げる, バイブレーションのパターンを変化させるなどし
てより激しく起こそうとする.A 君が起きたらシステム
はアクチュエーションを終了する.
2.2 研究課題
本研究の課題を以下に示す. 今期は課題 1 の『現在の
コンテクストの取得』に取り組む.
井村 和博 (iphoo)‡
Kazuhiro Imura
リケーションの起動, 起きる時間の指定はユーザが手動
で行なう. ユーザが起床時間になった時に, ユーザが寝
ていればアラームを鳴らす. 起きている場合には何もし
ない. このアプリを実現させるために, ユーザが寝てい
るか起きているかというコンテクストの取得を試みる.
3.1 睡眠検知の手法
android 端末は寝ている時は枕元に置き, 起きている
時はユーザが所持していると想定する.
ユーザが寝ている時, 加速度センサはユーザの動きを
監視し続ける. 寝返りによって加速度の値が変化するが,
ユーザが起きれば加速度の値がより大きく変化すると予
測される. この変化の大きさによってユーザが起きてい
るかどうかを判断する.
しかし, 加速度センサのみではユーザが食事をする,
シャワーを浴びる時などに android 端末を置いた時でも
アプリが睡眠状態だと誤検知してしまう. そこで, ユーザ
がベッドの上に存在しているかどうかを判断するために
圧力センサも使用する.
寝返りをうったとしても, 圧力センサが反応するよう
に, ベッドに圧力センサを横 1 列に並べる (図1). 圧力
センサが高い負荷を検知した時にユーザがベッドにいる
と判断する.
図 1: 圧力センサ配置イメージ
課題 1: 現在のコンテクストの取得
ex. 寝ている, 起きている
課題 2: コンテクスト遷移パターンの学習と予測
ex. 何時に起きるか
課題 3: 最適なアクチュエーション
ex. アラームの音量, バイブレーションのパターンの
変化
3.
Sleep alarm
Sleep alarm はユーザが起きた状態になるまでユーザ
を起こし続ける android アプリケーションである. アプ
† 慶應義塾大学環境情報学部
‡ 慶応義塾大学政策メディア研究科修士課程
図 2: システム構成図
4.
評価方法
実装したアプリケーションを実験参加者が起きたい時
間を設定して就寝, 仮眠してもらう. 実験場所はτ 41, 実
験参加者は 5 人とする. 実験する際にはカメラを設置す
る. システムがユーザの睡眠を検知した際に, ユーザが実
際寝ていたかを映像で検証する.
そこで寝ていた時にアラームが鳴り, 起きている時に
アラームは鳴らなければ成功として, 精度を評価する