建築設計・監理収入ランキング

2016年 (平成年)
3月22日 (火曜日)
(第三種郵便物認可)
第2部
(1)
建築設計データファイル
大分県立美術館OPAM (撮影:Shinkenchiku-sha)
事務所の直近業績
全国規模の大手建築設計事務所を中心に前回から引き続いて業績
を伸ばした設計事務所が目立つ一方、地域に密着してきた中小規模
の建築設計事務所では苦戦が続く。特に設備系の技術者については
人手確保が大きな課題となっている。発注方式が多様化し、ECI
(アーリー・コントラクター・インボルブメント施工予定者技術
協議)やPM・CMも取り入れた発注も増加するなかで、変化する
市場環境を切り開く全国事務所の業績データをまとめた。
常盤橋街区再開発イメージ(日本橋側方面より)
掲載データについての注釈
掲載データは、昨年7月に全国約


の設計事務所を対象にアンケー
トを実施、9月下旬までに事務所
から回答を得た。アンケートでは、
各社の



年4月から調査時直近の
本決算までの業績、
所員・資格者数、
設計・監理収入の用途別比率などを
聞いた。
事務所の組織形態は「総合(総合
設計事務所)」「建築(建築設計事
務 所 )」
「 設 備( 設 備 設 計 事 務 所 )」
「構造(構造設計事務所)」「コン
サル(コンサルタント)」で表して
いる。
売上高、設計監理収入では前期比
増減率を記載しているが、1期前の
数字が不明の場合は記載していな
い。用途別区分では、「事務所系ビ
ル」はオフィス・IT関連施設・庁
舎など、「医療福祉施設」は病院・
医療福祉施設・介護施設など、「生
産系施設」は工場・物流施設・交通
施設など、「商業施設」は観光・ア
ミューズメント・物販施設など、
「文教施設」は教育・スポーツ・研
究・展示・葬祭施設など、「集合住
宅」はマンションなどを示す。
それら用途別ランキングなどにお
ける収入額は、各社の建築分野の設
計・監理収入に回答のあった用途別
比率を乗じて本紙が独自に算定した
もので、各社の実際の数字とは異な
る場合がある。
カッコ内については、
人員が前年、
業績が前年比を示す。
掲載事務所一覧(事務所名、組織形態、決算期)
、
面:用途別収入ランキング 面:建築設計・監理収入ランキング
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第2部
(第三種郵便物認可)
2016年 (平成年)
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2016年 (平成年)
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(10) 第2部
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3月22日 (火曜日)
(第三種郵便物認可)
用途別収入ランキング
金額単位:万円
事務所系ビル
医療福祉施設
減収事務所 2倍に拡大
位までは顔ぶれ同じ
日建設計、三菱地所設計、日本設計の上位3社に順位の変動は
ないが、久米設計と山下設計はワンランクずつアップした。ジェ
イアール東日本建築設計事務所は、前回の位から6位に浮上し
た。東急設計コンサルタント、北海道日建設計、INA新建築研
究所の3事務所が、位以内に新たにランクインしている。東京
都内のオフィスビルは、空室率が低下して賃貸需要が堅調だが、
前期比で減収を示した事務所数は前回の5事務所から2倍強の
事務所に増えている。上位陣では、日本設計とジェイアール東日
本建築設計事務所が、ともに3割近い伸び率で好調だ。
1位の日建設計から7位の佐藤総合計画まで、前回と順位は同
じ、位までの顔ぶれも変わらない。位以内に新たにランクイ
ンしたのはアール・アイ・エーだけで、他の分野に比べ順位は安
定している。収入の伸び率を見ても、他の分野は2倍、3倍など
急増している事務所があるが、最も伸び率が大きいアール・アイ
・エーでも.
%増だ。収入が前期比で減少したのは、前回の
事務所から7事務所に縮小した。7事務所のうち減少幅が最も大
きいのは大建設計の.
%減だが、そのほかの事務所は1桁か
%台で比較的小さい減少率にとどまっている。
生産系施設
商業施設
前回27位が繰り上げ
8事務所で前期比マイナス
前回、


億円の大台を超え1位だったNTTファシリティー
ズが位圏外となり、2位から7位までの事務所がそのまま繰り
上がった。1位の日建設計は前期比.
%減、2位のジェイアー
ル東日本建築設計事務所も.
%減と、ともに2桁の落ち込みを
示したものの、億円以上の実績を上げたほか、3位の日立建設
設計も億円以上の収入となった。梓設計が


.
%増と前回を
大幅に上回る実績を上げ、位から9位に順位を上げた。また、
横河建築設計事務所が.
%増と位圏外から位に入った。
上位6事務所の顔ぶれは変わらないものの、ジェイアール東日
本建築設計事務所が億円近くの実績を上げ、前回の2位から1
位に順位を上げたほか、アール・アイ・エーが5位から4位とな
った。ジェイアール東日本建築設計事務所は前回の前期比マイナ
スから.
%増とプラスに転じた。日建設計は.
%増と、引き
続き高い増加傾向にある。
観光企画設計社が7位に躍進したほか、
類設計室が


.
%増と位に駆け上った。ただ、前期比マイナ
スは前回の6事務所から8事務所に増え、中長期的に予断を許さ
ない傾向が続いている。
(12) 第2部
2016年 (平成年)
3月22日 (火曜日)
(第三種郵便物認可)
建築設計・監理収入ランキング
金額単位:万円
受注環境は比較的安定
民間分野の好調目立つ
日
本
設
計
は
6
年
ぶ
り



億
円
台
トップ社の顔ぶれでは前回とほぼ変わらなかった
ものの、事務所が前期比マイナスであり、2桁減も
3事務所あった。ただ、落ち込み幅が1桁台前半にと
どまっている事務所も多く、厳しい受注環境の中でも
収入を維持しようと工夫を重ねた様子がうかがえる。
結果的には、適切な設計料確保という大きな問題を抜
きにすれば、受注環境は比較的安定しているともいえ
る。
特に目立つのは民間分野の好調だ。2桁増となった
ジェイアール東日本建築設計事務所、東急設計コンサ
ルタント、内藤建築事務所、東電設計、IAO竹田設
計のうち、内藤建築事務所を除く4事務所は民間収入
を大きく伸ばした。日本設計も



年調査以来となる


億円の大台を超えた。
一方、公共建築分野では発注者マインドに変化が起
こっている。不調リスクを避けるためのデザインビル
ド方式
(設計施工一括方式)
を採用する事例が増加し、
建築設計事務所のPM
(プロジェクト・マネジメント)
、
CM(コンストラクション・マネジメント)といった
さらなる川上分野への進出は不可避の状況だ。すでに
そうした新領域に進出している設計事務所も多いが、
公共・民間含めそうした新たな業務をどう安定的な収
益に結びつけるかが問われている。
また、建設技術研究所(CTI)のグループ会社と
して経営再建に乗り出した日総建の今後についても注
目が集まっている。震災以降、土木と建築の融合が重
視される中で、インフラ関連の知見や経営ノウハウは
建築設計事務所の受注環境に大きな影響を与えること
が予想される。
公共
民間
好不調、
明暗分かれる
8事務所が2桁増
公共収入について回答のあった上位事務所の構成はおおむね
前回と同様で、
順調に収入を確保していることがうかがえる一方、
事務所が前期比マイナスとなった。ただ、久米設計の.
%増
を筆頭に8事務所が2桁増となり、好調感を読み取れる。逆に2
桁減の事務所もあり、前回と比較して明暗の分かれる結果となっ
た。
例年同様、回答のあった上位事務所の構成に大きな変化はな
かった。目を引くのは日本設計の.
%増、ジェイアール東日本
建築設計事務所の.
%増、東急設計コンサルタントの.
%増
など8事務所が2桁増を達成した点。8事務所が1桁増、3事務
所が1%以内の増加にとどまった前回と比較して活況を示してい
る。
2016年 (平成年)
3月22日 (火曜日)
(第三種郵便物認可)
用途別収入ランキング
第2部
(11)
金額単位:万円
文教施設
集合住宅
日建設計1位に返り咲き
ランクイン4社は大幅増
日建設計が、前回の9位から1位に返り咲いた。収入は前期比
.
%減だったものの、唯一億円台の実績を確保した。1位だ
った日本設計は.
%減で3位となり、1位の座を明け渡した。
3位だった梓設計は.
%増で2位に着けた。4位には2位だっ
た佐藤総合計画、5位には前年と同じく山下設計がランクインし
ている。一方、収入が億円を超える事務所は、前回から1事務
所減り事務所となったほか、
収入が前期比プラスは事務所で、
3事務所が減っている。少子高齢化社会の到来により、文教施設
に対する設計事務所の提案力が問われている。
IAO竹田設計が前回の2位からトップに立った。日本設計も
順位をワンランク上げて2位となった一方、日建ハウジングシス
テムが1位から3位に下がった。位以内に新たにランクインし
たのは、山下設計、類設計室、ジェイアール東日本建築設計事務
所、梓設計で、この4事務所の収入は前期と比べ2倍以上の大幅
増を示している。大都市圏で需要があるタワーマンションなどの
大型プロジェクトを手掛けると、収入が急増することになる。収
入が減少した事務所数は、前回の5事務所から8事務所に拡大。
景気に左右されやすい分野のため、収入も変動しやすい。
コ ラ ム 設計・施工一貫方式への懸念
E
C
I
方
式
は
﹁
魔
法
の
杖
﹂
で
は
な
い
工事費の高騰を背景としたゼネコ
ン主体の設計・施工一貫方式への懸
念が強まっている。アンケートでは
多くの事務所が現時点で影響は少な
いとしつつも、中長期的には設計品
質の低下や社会的資産としての建築
の軽視は避けられないとしている。
課題となるのはやはり、第三者性
の欠如だ。現在は物流施設や倉庫な
ど難易度の低い建築物で設計・施工
一貫方式が採用
されているが、
「外部の専門家
による確認を重
視する社会動向
から逆行してい
る」「施工優位
となり、品質確
保や技術提案の
妥当性の検証に疑問が残る」などが
懸念される。対策としてCM会社と
協力する例も増加しているが、建築
設計事務所の「設計から監理までを
設計者が責任を持って担うべき」と
一貫性を重視する声も根強い。
一方でECI(アーリー・コント
ラクター・インボルブメント)方式
については、「設計者が主体となっ
て施工者と協働し、品質、コスト、
工期をコントロールできる」とコス
ト削減や工期短縮の手段として高い
評価を受ける。コストや品質の透明
性を重視する発注者ニーズにも合致
しており、設計者と施工者の新たな
連携のあり方として期待が高まって
いる。
ただ、ある大手総合設計事務所は
「請負代金総額の変更はないが、施
工者決定から着工までの期間で施工
者提案VE採用の名のもとに設計仕
第三者性の欠如が課題
下、設計料の減少による物件数の増
加と所員の負担増」につながる懸念
もあり、事務所経営への影響が大き
い。「(ECI方式導入は)設計事
務所が淘汰されるきっかけになる」
との見方もある。
「分離」か「一貫」か。これ
まで幾度となく議論されてきたテー
マであり、今回の調査でも設計者と
施工者のあるべき関係についての意
見はさまざまだっ
た。ただ、共通して
いるのは発注者側の
意識改革を求めてい
る点だ。ある建築設
計事務所は「良好な
社会ストックをつく
る『想像力の価値』
を認識した判断を望
みたい」と指摘する。
近年は建設コスト変動への不安か
らコストを重視した発注が広がって
おり、品質・工期を確保する難易度
は増している。どんな発注方式で設
計に携わるにせよ、良好な建築を社
会に残し、建築設計事務所の経営環
境を改善するためには「想像力の価
値」を発注者に示すとともに、建築
設計業務の社会的な意義を訴え続け
ていく必要がある。
発注者側の意識改革必要
様の低下を余儀なくされている場合
がほとんど」
と不満をあらわにする。
社内に十分な技術者を抱える総合設
計事務所にとっては、技術力の低い
施工者提案に幻滅するケースも少な
くない。「ECI方式は不調を回避
し、早期に請負契約金額を確定する
魔法の杖ではない」とも。
また、中小規模の設計事務所にと
ってはECI方式の導入が「設計量
の減少による設計者の技術力の低