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低次元強相関電子系におけるクロスオーバーと相転移 :
電子系繰り込み群ミニマム(第47回物性若手夏の学校
(2002年度),講義ノート)
岸根, 順一郎
物性研究 (2002), 79(3): 502-530
2002-12-20
http://hdl.handle.net/2433/97382
Right
Type
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Departmental Bulletin Paper
publisher
Kyoto University
講義 ノー ト
低次元強相関電子系におけるクロスオーバー と相転移
- 電子系繰 り込み群 ミニマム 岸根順一郎 (
分子科学研究所 ・理論研究系)
1 は じめに
2 繰 り込みか ら繰 り込み群へ
繰 り込み,固定点,有効理論,自発的対称性の破れ と 外か らの刺激 (
外場)に対す る系の レスポンスを調べ
い う基礎概念を素描 し,現代の凝縮系物理学を拓いた るのがお よそすべての物性実験の手段であるが,同 じ
のはランダウである.その基盤理論であるフェル ミ液 系に対 して実験 を行った場合でも,プローブによって
1
,2
]は,断熱的連続性仮説: 「自由電子ガスか 異なるエネルギースケールでの レスポンスを見ている
体論 [
ら出発 して電子間相互作用を ゆっ くり入れてい くと, 点が重要である.4 そ こで,理論の側か ら実験結果 を
もとの低エネル ギー個別励起状態は,各状態の占有数 解釈 しよ うとす るとき,その実験で問題 となるエネル
と呼ばれ る量子数の組 nq( -0,
1でラベルできる個 ギースケールは何か?そのエネルギースケールのウイ
・
・
■
k
)
別素励起 (
準粒子)状態に断熱的に繋がる」に基づい ン ドウ内で採るべきモデルハ ミル トニアン (
有効理論)
ている.1 「
断熱的連続変形」をミクロな素過程に戻っ の形は何か? とい う見方が重要になる.この見方は
1
1で広範 に議論 されている 繰 り込み群の発想そのものであるといえる.この意味
て実行す る手法が,AGD[
多体摂動論 と繰 り込み (
di
ag
r
ammat
i
c
s
)の処方である で,繰 り込み群 と有効理論の発想法は極めて現実的な
ものの見方である,ともいえるだろ う.
【
3
1
.
さて,多体問題 の難 しさの本質は 「
一般 に異なるエ
そ して, 高 エ ネ ル ギ ー (
バ ン ド幅 程 度)か ら
低 エ ネル ギー (
フェル ミ面)- 向 けて 系 を眺 め る ネルギースケールの物理は独立でない」とい う点に尽
エネルギースケールを変 えなが ら この連続変形 を遂 きる.この困難は,「
量子力学」の 2次摂動公式に既に
行す るシステマティックスが 「
繰 り込み 群」の処方で 蘇れ る.
ある.繰 り込み変換が充分進んだ先 (
繰 り込みの固定
点)での作用 (
a
c
t
i
on)が有効作用 (
e
fe
c
t
i
veac
t
i
on)で
あ り,有効作用を議論すれば低温低エネル ギーでの物
理がわかると考 えるのである.
擬 1次元有機導体や,梯子型伝導体,高温超伝導の
舞台 となるモ ツ ト絶縁体近傍の金属相など,いわゆる
低次元強相関電子系では低次元性 によって顕著に増強
された揺 らぎ2が準粒子 コヒー レンスを著 しく阻害す
る.その結果,準粒子括像の破綻 した金属 (
インコヒー
レン ト金属)からフェル ミ液体 (コヒー レン ト金属)の乗 り移 り (
クロスオーバー)が起 こった り,イ ンコ
ヒー レン ト金属相か らいきな り超伝導や磁気転移が起
きるケースが遍在 している.ここでは,この種の難題
den -
∑
I
(
mE
VI
n)
l
2
m≠
n en - em
において,中間状態 E
m)は,"EVERYTHI
NGI
NTHE
WORLD"を含む.ここで,em ∼ en(擬縮重)となる
n,
m)がた くさんあれば摂動補正は膨 らむ.金
ペア (
属電子の真空 l
O
)はフェル ミ海が満 ちた状態 (フェル
ミ真空)であ り,中間状態 回 として粒子 ・正孔 (
ph)
対,粒子 ・粒子 (
pp)対をゼ ロエネルギーで励起す るこ
とができる.これ らの対励起を中間状態 として足 し上
げたものをダイアグラムで表す と 「
ループ」ができる
(
Fi
g.1)
.これが金属電子系における赤外発散5の起源
である [
6
]
.繰 り込み群は,この赤外発散が 対数特異性
を繰 り込み群の立場か ら理解す る処方 (
の ミニマム) の形で顕れ る場合 に強力な手法 となる.6 これが以降
をまとめる.路傍に古 くて新 しい問題が山積 している
の主題である.
ので,適宜寄 り道 しなが ら進めたい.
3
ht
t
p:
/
/
ma
ge
l
l
a
n・
i
ms
・
a
c
・
j
p/
ki
s
h
i
ne
/
not
e
s
/
c
o
nt
e
nt
s
.
ht
ml
「
ゆっくり」の条件をノジェ-ル [
2
】流に言 うと 「
1
/準粒子 に置 くので適宜参照 されたい.
≪ 温度,となるよ うな (
ゆっくりした)スケール R
の寿命
4輸送,熱測定は OHz
,NMR は 106Hz,pSR は 1
08Hz,中性
が存在する」い うことになる.
01
1
Hz,といったあた りが特徴的なェネルギースケール
子散乱は 1
2絶対零度での量子揺 らぎ (
量子ゼ ロ点振動)と有限温度の熱 となる.
揺 らぎをひっくるめて揺 らぎと呼ぶ.有限温度では量子揺 らぎと
5金属電子系の場合,高エネルギー側 には格子間隔 αで決まる
熱揺 らぎを峻別す ることは原理的に不可能である.
自然なカ ッ トオフ - 1
/αがある.このため紫外発散は有 りえな
3詳細は 【
4
1を参照 されたい.また,関連す る計算ノー ト(
ほと い .
ん ど雑記状態)を
6以下で詳述するように,1次元電子系 【
7
】では p
pループ,ph
1
≪R
-
50
2-
「
第4
7
回 物性若手夏の学校 (
2
0
0
2年度)
」
ていきな りやったか ら発散が出たのだ.ここで,対数
i+q
-,e+W
の基本的な性質を想 い出す と,0か ら Eoに渡 るエネ
ルギー 0≦ l
EI≦Eoの 「
窓」を
右+q
T:E+W
等,
・
n些
n塾
n竺
n
O -l
L
J1 . l
L
J2 +- + l
と 「
小窓」に分割できることに気づ く.重要なのは,
分割 された各々の小窓が すべて同 じ重みで効 く点で
ある.これがスケール不変性である.電子系の繰 り込
み群解析の基本理念は,隣接す る小窓に属す る状態を
=
=
コ
-k.
-E
拾いなが ら,スケール不変性 に基づいて 漸化的に 繰
り込みを実行 し,低エネルギー有効作用の形を見極め
p
pl
o
o
p
q
右+l
,
e+W
ようとい うことである.
8 逆にいえば,
繰 り込みが漸化
的に遂行できる根拠の背景に 「
対数特異性」あ りきな
のである.
さて,繰 り込み群の枠組みでは,相互作用の結合定数
9(
一般には複数のチャンネル に分かれ る)が系を眺め
Fi
g
ur
e1
:ph励起,pp励起 とループ
るエネル ギースケール wiに依存 して変動す ると考 え
g.2にま とめた.まずは wo…Eo
(
バ
る.概念図を Fi
'を持った p
p対,ph対 の励 起エネ
波数 k
-と k
ン ド幅程度)での結合定数 g(
L
J
o
)か ら出発す る.す る
L
J
l
)は,9(
wo
)を摂動 として,小窓 (1)か ら来る
と g(
ル ギーは E
k
-土E
k
,
(
プ ラスが p
p対,マイナ スは ph 繰 り込み補正 (
l
n
l
L
J
o
/
L
J
l
]に比例)を受 ける・9(
W2
)は,
対)で あ り, これ らを中間状態 とす る摂 動補 正 は 9(
L
J
l
)を摂動 として,小窓 (
2)か ら来 る繰 り込み補正
2/l
Ek
lj
=玩,
]
,の形になる (
Fi
g・1 (lnl
∑k
-I遷移行列要素 J
L
J
l
/
L
J
2
]に比例)を受ける…・か くして,g(
L
L
)
i
+1
)は,
の記法 に対応 させ
る
と
E0
,
L
J0
,
p
h
対
につ
9
(
w
i
)
を摂動
として,
小窓
(
i
+1
)
か
ら来る繰
り込み補
■
・
●
いては k
I- k+q
,pp対 について は k
-- -k
,正(
l
nl
L
L
J
i
/
wi
+1
]に比例)を受 け,
k
′-k
-+q
7・この和 ∑k
-を積分 に直 した とき,i(
の絶
a(
L
J
i
+1
)-g(
L
L
)
i
)+Pl
g(
L
J
i
)
i
l
n
対価)が ゼ ロか らバ ン ド幅 Eo程度まで連続的 な値を
とり得 る結果,状況が 災い7 して
l
a
]・
(
1
)
なる形の漸化式が得 られ る.9(
wo
)を初期値 として こ
2
l
遷移行列要素 l
E
k
一土 E
k
′
- /.
Eo讐
れを解けば,低エネルギー-向けての 9(
L
J
i
)の r
流れ」
n些
l
o'
が一意に定まることになる.β[
9(
L
J
i
)
】
(
繰 り込みのベー
タ関数)は,積分測度にかかる定数や遷移行列要素か
となって しま うと対数特異性 が出る. このため,繰
9(
wi
)が高エネルギー側のすべて
ら東る.重要なのは,
り込まれた相互作用定数 gを 2次摂動で計算す ると の g(
L
J
3
・
)
(
0≦j<i
)の繰 り込み情報を抱き込んでいる
9
21
n尊 なる寄与が出て破綻が起きる・
g.2にダイアグラムで示 したよ うに単純な pp
為,Fi
さて,この災いを福 に転 じさせ るのがスケー リング ループや p
hループを 「
種」 としてこれ らが 「
入れ子」
と繰 り込み群の発想である.積分をゼ ロからEoに渡っ になった複雑な繰 り込み過程が 自動生成 され る点であ
ループ共に対数特異性 を示す.2次元,3次元でも一般 に ppルー
プの対数特異性 は浅 る (これが超伝導を引き起 こす)
.フェル ミ面
にネスティングがあれば phループも対数特異性 を示す.近顔問
6
】では,局在 ス ピンと伝導電子の散乱過程が対数特異的であ
題【
る.軟 X線異常吸収端及び及び異常放射端問題 [
6
]も近藤問題 と
同根の対数特異性が出る.これ らと異質ではあるが,アンダー ソ
ン局在の問題では 2次元弱局在領域でクーロン相互作用 とクーペ
8
ト このように,
ca
s
ebyc
a
5
eで
ロンの結合が対数特異的 となる 【
あるが,いろいろな場面で対数特異性が現れ,それぞれ に繰 り込
み群の手法が発揮 され る.
7-
目して,災いの鍵 を握 るのは 毎 と Eh
l
,の関係 お よび和を
積分に直 した ときの 些星 であることがわかる (
具体例は後で)
.
Fi
g.2には入れ子構造のほんの一部の例 しか描い
る(
ていない).9 この操作 (
繰 り込み変換)を充分繰 り返 し
た先を繰 り込みの固定点 と呼ぶ.固定点での結合定数
8相転移点近傍の臨界現象に対す る繰 り込み群で も,
揺 らぎの
相関長が無限大になって特徴的な距離スケールが消失す る,とい
う事実が根底にあったことを思い出 してお こう.
9この入れ子構造の生成 をパルケ (
寄木細工)と呼ぶ こともあ
る.アンダー ソンは "Ba
s
i
cNot
i
ons"の中で,パルケのことを
"Thi
sr
e
mar
k
abl
ef
e
ati
nvol
ve
sdoi
ngbubbl
e
sandl
adde
r
sat
t
hes
amet
i
me・
・
・
.I
twor
ksi
ns
pe
c
i
alc
a
se
s
,butIs
spe
u
c
tt
he
r
e
nor
mal
i
z
at
i
ongr
oupofal
wa
ysbe
i
ngbe
hi
ndt
hi
ss
uc
c
e
s
s
."
-5
03-
講義 ノー ト
r
r
e
l
e
v
antな結合定数を落
9'-l
i
mi
→∞9(
L
J
i
)を含む理論が低エネル ギー有効理 が必要 となる.固定点では i
論である.
r
gi
na
l
/
r
e
l
e
v
antな結合定
として差 し支えないので,ma
c
i
r
P
き下せ る 【
uni
ve
r
s
al
i
t
y(
普遍性 クラス)の考え方は 「
固
定点の分類学」である]
.
∫
.
.
′
/
I_
g
≡
「
3
.
」J
∩
_
㌔
H
t
3
U
lH
.
.
・
3」
Ttl .1:ll.=」 .︰]・(..1壬Y
数だけを残せば有効作用 (
有効ハ ミル トニアン)が書
,
_
-
_
r
e
l
e
va
nt
J聖撃i
na
l
i
r
r
e
l
e
va
nt
s
c
a
l
i
mgpa
r
a
me
t
e
r ∞
Fi
gur
e3:繰 り込みの流れ
3
「
固定点」 と してのフェル ミ液体
Fi
gur
e2:電子系繰 り込み群の概念図
3.
1 フェル ミ液体論
さて,8節で例示す るよ うに,この漸化式を正 しく
ランダウは相互作用す る (
等方的 3次元)フェル ミ粒
決定するためには次の 3つのステ ップ (ウイル ソン流
子系の低エネルギー有効理論は何か?と問 うて固定点
の繰 り込み群処方)を踏む必要がある :
1
]
.こ
の有効ハ ミル トニアンを現象論的に書き下 した [
I
.粗視化,
れがランダウ汎関数
Ⅰ
Ⅰ
.スケール変換 と波動関数の繰 り込み,
Ⅰ
Ⅰ
Ⅰ
.結合定数の漸化式-繰 り込み群方程式の立式.
6
E-
エネルギー準位は桐密なので,wiを連続変数 と見て
Ek
t6
nq (-
k )
A,
q
・去
_
∑f
q
q
,
(
k
,
k
,
k
/
;
U
,
q
/
0≦2≦∞)を導入 し,
スケー リングパ ラメータ e(
we-E°
e
-e
,
∑
k
,
)
6
nJ(
k
)
6
nJ
,
(
k
,
)
,(
4)
(
2)
である・ 6
n
q(
k)は準粒子分布 関数の基底状態 (
フェ
とパ ラメタライズす る.e→ c
x
)がゼ ロエネルギー極
ル ミ真空)か らのズ レ・ 1粒子分散は E芸- 窯 (
k一
限である.す ると
転 )で与えられ,m*はフェル ミ面上の有効質量であ
一
・
◆ー
9(
L
L
,
i
)- 9
2
,9(
L
L
J
i
+1
)- g
e
+de,
る
h - kB - 1
】
・系が等方的な ら No
fq,
J
′
(
k,
k
'
)(
)
〇l
l
nt
w
i
/
wi
+1
】- l
nl
L
L
,
e
/
we
+d
e
]- d
e
,
∑l
FI
S+F
l
a
O
-1・
♂′
]P
l
(
c
osO
)と分解 してランダウ関数
l
=
O
FI
S,Fl
aが導入できる・これによって比熱の 7,スピン
と対応す るか ら (
1
)は
%-plg],
(
3
)
なる "Li
eの微分方程式 "の形に書ける.これが繰 り
込み群方程式の一般形である.
g]の形によって結合定数は r
e
l
e
va
nt
,
ベータ関数 β[
mar
ina
g
l
,i
r
r
e
l
e
v
antな場合に分かれる (
Fi
g.3)
.後で
具体例を扱 うが,
β[
g]
を知 るには具体的なループ計算
帯磁率 x,電荷圧縮率 J
t-のランダウ補正 (
相互作用
の無い場合 との比)が,
7
有
m* r
c
言 ,石
m* 1
石 打 帝
x
石
m*
1
言 行 両 ,(
5
)
o
a
)
ウイル ソン比は Rw - (
x/
xo
)
/(
†ho
)- 1
/(
1+F
と書ける・さらにガ リレイ不変な系では m*
/
m -1+
FI
B
/
3となる・時間変化 を含めた S
n
J
(
k
;
r
∼
,
i
)に対す る
ボル ツマン方程式を導き,解が極 (自発分極)を持つ条
件か
ら ゼ ロ音波 の分散が求まる.この有効理論に基
なループを足 しこんでい く操作であ り,背後に繰 り込み群がある
のはほぼ明 白に思 える.
づ く現象論は大成功 を収 めたが,同時に ミステ リーを
(
Ba
s
i
cNot
i
o
n
S【
5
】
p.1
2
4)と述べてい る・パル ケ とは対数特異的
-5
04-
「
第4
7
回 物性 若手夏 の学校 (
2
0
0
2年度)
」
残す.
(
1
)fqq
′
(
k
,
k
′
)
の ミクロな意味は何か ?(
2
)何故
・
・
●
6
n
q(
k
)
6
n
q
′
(
k
′
)
の形の積だけが E に入っているのか ?
な どな ど.
3.
2 繰 り込 み群 に よ る解 釈 【
9]
3.
2.
1 Tr
eeレヴェルの解析
この ミステ リーに対 し,AGDは 「
骨格 ダイアグラム+
1
ト
ウォー ド・
高橋恒等式」を駆使 した論証を展開す る [
ー方,モダンな正 当化 を標梼す るのがシャンカーによ
9
]である.これはフェ
る繰 り込み群によるアプローチ 【
ノ
ウミ液体の有効作用 (
ランダウ汎関数)を固定点の有効
作用 と捉 え,繰 り込み群によって 導 こ う とい う視点で
ある.問題は単純で,ランダウと同 じ設定 (
等方的フェ
ル ミ面)のもとで 「
フェル ミ面上 (
つま り低エネルギー
Fi
g
ur
e5:2次元電子系散乱過程の t
r
ee レベル解析
r
gi
na
l
或いは r
e
l
e
v
a
ntな散乱チャンネルは
極限)で ma
何か ?」 とい うことである.Fi
g.4に示す よ うにフェ
ル ミ面近傍のエネルギー 2
Eoの薄皮内での散乱過程 を
ル,前方 (
f
o
r
wa
r
d)散乱:gF(
0)
, 交換 (
e
xc
ha
ng
e
)敬
乱:g
E(
0)
, クーパー (
Coo
pe
r
)散乱:gC(
¢)が生き残
-0
(
i
,
2,
3,
4)に据 え置
考 える.エネル・
ギーは
●■ei・
◆
・
◆- 1
・
ることが判 る.ここで,βも ¢も連続的な角度変数で
き,運動量保存 kl
+k
2
1k
3- k
4-0を満た しなが ら
あるので無限個の散乱チャンネルが存在す ることにな
フェル ミ面を挟み込むカ ッ トオフ Eoを どん どん狭 め
r
e
el
e
v
e
lの議論 は終ったので 1ループ レ
る.さて ,t
触 ≦Eo(
i-1,
2,
3,
4)
,E
k
に l2/2m -EF べェル (pp或いは phループひ とつだけを種 に した解
てい く [
はフェル ミ面か ら測った 1電子エネル ギート
析)に進む・
Tk
3.
2.
2 1ルー プレヴェルの解析 :ppループの計算
Fi
g.1に現れ た有限の T,L
J,
すに対す るループの計算
は,温度 グ リー ン関数 10
・
・
・
●
Q
o
(
k
,
i
E
n)- 話
二
㌔
,
(
6)
を使 ってダイアグラムを式で書き,下記の (
7)を用い
て松原和を とった後,解析接続す るのが一番簡単であ
k
-はフェル ミエネルギー EFか ら測った電子の
る・11E
n- (
2n+1
)
7
T
T,wm - 2
m7
T
Tは
運動エネル ギー,E
それぞれ フェル ミオ ン,ボ ゾンの松原振動数である.
公式
Fi
g
ur
e4
:フェル ミ面近傍の散乱過程
ス ピン反転過程が無ければス ピンも保存 (
C
,
1- 63,
・n
=
Su £
- I
(
a,- 去 [
1 -t
a
nh卦
(
7)
0
1
2- 0
1
4)す る.す ると,2次元 3次元の丸い フェル ミ
面の場合 , 「
相空間の幾何」だけで散乱チャンネル の
(
申ま正の無限小数 ,
aは実定数 ,
I(
a)はフェル ミ分布関
絞込みはほぼ完了す る.この絞込みはループを含 まな
数)お よび t
a
nh肇㌢ -t
a
nh券 を使 うと,phルー
いので 「
t
r
e
eレベルの解析」 と呼ばれ る.2次元の丸
1
0温度 グ リーン関数 (
6)
,グ リーン関数 (
1
9)
,遅延/先進 グ リー
いフェル ミ面の場合 (
3次元フェル ミ球の場合 もほ と ン関数の解析的性質および相互関係 については 【
1
】参照.
a
g
r
ammat
i
c
sを実行す る場合,複雑 なダイア グラ
ん ど同 じ)
,Fi
g.5のよ うな絵 を描 けば良い (
文献 [
9
] 11通 常 di
ムに対応す る項 を温度 グ リー ン関数 を使 って書 き下 し,必ず
では も う少 しきちん と した議論 が与 え られ てい るが 内線の松原和をすべて とり終えたあとに 外線 の虚振動数 を実振
本質 は同内容)
.図 中に示 した よ うな 3つのチャンネ 動数に解析接続す る
-5
05-
講義 ノー ト
プ ,ppループはそれぞれ (
ダイア グラムを拾 う際の ウ
E
イ ック定理か ら来 る符号を別 に して)
,
C
phループ :I
I
q
ii
w.
n;
T)
0
0
≡ T
∑ ∑ go
(
k
-+q
,
l
e
n+ iwm)
g
o
(
k
,
i
E
n)
n=o
OA
-
E
E
(
8)
k無 芸 碧,
ppループ :△q
ii
um;
T)
(
:
X
)
≡ T ∑∑Q
o
(
k
-十q
∼
,
i
E
n+i
w
m)
Q
o
(
-k
,
-i
e
n)
n
=
∞k
- +芸写 t
昔
′
ヽ
■
l
罠.
c
Fi
g
ur
e6:積分路
anh鼻 の 1位の極 zn -i
(
2
n+
第 2項の積分路 e は t
1
)
7
T
T を囲む (
C と e は逆向きなので第 2項にマイナ
スがつ く)
.これ よ り,
A
a
i
n
uh
無
,
.碧
_
ご
竺
∑
(
9
,
と求 まる.m >0に対 して iw m - W+i
O+ と解析接
続すれば,遅延部分の実振動数ループ関数が得 られ る.
gCを繰 り込む対数特異的な 1ループダイアグラムは
1
S(
L
J,
T)-4
7
T
i
T
V、
ー7
-I '
Y
-n
f
foi
(
2
n+1
)
7
,
T-W/
2'
が得 られ る・ ここで ,nc は (
2
nc +1
)
7
T
T - Eo-⇒
nc-l
Eo
/
2
7
T
T-1
/
2
】で決 まる整数である.ダイガ ン
Fi
g.7右辺第 2項 である (
phループ も gCを繰 り込む マ関数
が,対数特異性は出ないのでベー タ関数には寄与 しない
0
〇
として捨てる)
.ここで,後々のために ppループの計算
を最後までやってお く(
類似の計算が揺 らぎの関与す る
棉
-3
)
--71∑
(右
も
k
=
0
一読
) ,
多体問題一般 に頻 出す るので)
・(
9
)で iLJm - W+i
O+
を導入 し,
と解析接続す る と ppループの実部 は
A(
W;
T)≡沢△q
=o
(
L
J+i
O+;
T)
-
宣k 誓
4
,
(
nc+a+1
)-4
,
(
a+1
)
n
!
1
完-
莞
に a--1
/
2+i
w/
4
7
T
T を入れ る と,
と書ける・E
k
-にカッ トオフ 闇 ≦Eoがある点に注意 し
よう.フェル ミ面近傍の状態密度 を NF -一定,として
S(
U,
T)-2[
ゆ(
)-¢(去十
∑k
--NFI
d
Eと和 を積分 に直す と 次元 に依 らず に
Eoに対 して L
L
'を無視 し,大きな引数 Z に対す る漸近
億)
]
・
慕+
堤
A(
W;
T,-筈
/
_
E
i芋類 d
E-
形*
(
I
)∼l
nz及び 4
,
(
1
/
2)-l
n等 h,
-0・
5
7
7
21
-:
S(
W・
T)
・(
1
0
) オイ ラ-数)を使 うと,
筈
ここに出た積分 を実行す る為 に,
謡 +ゆ(芸)旬 (
芸
.
嘉)
]
(
ll
)
A(
W;
T)
-NFl
l
n里
・
≡fcdz宗 男
が得 られ る. これ よ り直 ちに
-0
を考 える (
積分路 C 内に特異点は無い)
.経路 を実軸
に沿 う経路,半円周部,虚軸 を這 う部分 に分け,半円周
部 か らの寄与が Eo
/
2
Tの大 きい極 限で消 えるこ とに
注意す る と
A(
W -0
;
T)-NFl
n呈諾
が得 られ る.また ,T≪ Uで最 も特異的な項 を拾 うと
雲
・(
叫r - 0)-NFl
n
-f
e
d
z
芸当
I-S(
U,
T)
(
1
2)
-o
となる (
経路 C,
∂ は Fi
g.6図参照).
,
(
1
3
)
とな る こ とが判 る [
T - 0の極 限で t
a
nhl
E
/
2
T]s
i
gn(
E)
,に注意す る と (
1
0)か らす ぐ導 ける]
.
-5
06-
「
第47回 物性若手夏の学校 (
2
0
0
2年度 )
」
ppループを骨格 として引力 9< 0を仮定 し,
となる.ここで,(
1
2
)よりエネルギー と温度 を入れ替
えてスケー リングパ ラメー タを e- l
nl
Eo
/
T]と置き
換えてもまったく同 じ繰 り込み群方程式が得 られるこ
とに注意 しよう.つま り,繰 り込み群方程式において
W と T はエネルギースケール として同格である.
1.g◇
の様にクーパー散乱が無限に繰 り返 された梯子型ダイ
ここで,繰 り込み群 と梯子型求和 との関係を考えよ
う.梯子型求和は W-0
,有限の Tに対 して ppルー
アグラム (
幾何級数の和)を計算す ると,相互作用 に
プを骨格 とす る散乱過程を摂動のすべての次数に渡っ
よって繰 り込まれたクーパー散乱振幅 として
て足 し上げたものである.一方,繰 り込み群方程式は
ppループを 「
種」として,エネルギースケー
ひとつの
C(
T)(
1
4)
gl
A(
L
J-0;
T)
1- l
ルを変えなが ら梯子型求和に含まれる過程を自動生成
1
6
)を解 けば
する.実際,(
が得 られ る.これが発散す る温度
g
C;
0
Tc
BCS- 1.
1
3E。
e-1
/
bl
NF,
(
1
5
)
がB
CS理論の与える超伝導転移温度である.Tcを使
e= 1gc・
,
bc;
oI
NF
e
-
1
」
g
C;
0
(
1
7
)
gc ;
oI
NFlEo
/
W]
n
l
(
gC;
0は繰 り込みの初期値)となって (
1
4)と一致す る
1
3
ことがわかる.
うと l
gI
△(
L
L
,- 0;T)- l
nl
Tc
/T]と書 ける. ここで
フェル ミ面にネスティングがあると phループも対
A(
L
J
;
T)が 次元に依 らず 対数特異的であることを強
数特異性
を示す. これ に伴 う密度波転移 については
調 してお く.
2節で触れ る.
cの繰 り込み 群 解析 をや ろ う.2節の 5.
さて,次に g
e
議論に従ってスケー リングパラメータに依存 した gc;
3.
2.
3 繰 り込み群方程式
の微分方程式を導 く.1ループ レベルで g
cを繰 り込
む 「
種」は ppループだけである.中間状態の積分 を さて,残る前方散乱 と交換散乱を繰 り込む最 も特異的
L
J
e
+d
e≦板 l≦weに限定 して g
C;
eとgC;
e
十deの関係 を
図示す ると Fi
g.7の様 になる.
1
2
液体論の微視的正 当化 回 に際 して主役 を演 じる.し
か し,2次元,3次元の等方的フェル ミ面の場合,この
特異性は対数特異性には至 らないので繰 り込みのベー
1
5よって繰 り込み群のコンテクス
タ関数には効かない.
トのなかでは捨ててよい.
g
妄 言・
w
k
t c;
l
l
+
d
l≦ ほ盲匡 wz
に属する盲点だけを含む
- 内線積分=NF
dl
J
Fi
g
ur
e7:クーパー散乱の繰 り込み群方程式
ル ー プ部分 の寄与 は
な1
4ダイアグラムを Fi
g.8に示す.これ らは短距離
斥力系の集団励起であるゼ ロ音波の種 とな りフェル ミ
以上を踏まえて 1ループ レベルで繰 り込み群方程式
c(
¢)を角運動量 lごとに分解 し
を改めて書き下す・g
♭-I
.
2
甘藍eilQgc(4,
)と書 くと,
て9
雷
(
1
3) よ り 直 ち に
-0,箸
-0,碧
一去 【
g
b]
2
/
4, (
1
白)
とな る (
結合定数 は適 当に無次元化 した)
. 9F(
0)と
gE(
0日ま流れない,つま りma
r
ina
g
l
である.一方 ,
g
と
NFl
nl
L
Je
/L
J
e
+d
e
] - NFd
eで あ るか ら, 繰 り込 み
は(
1
7
)同様 g
b-g
b;
0
/[
1+(
gb.
,
0
/47
T
)
e
]となって,初
3)は
群方程式 (
e
+de-(
-gC;
i
)- (
lgC;
e
)
NFd
eト gc;
e
)
lgC;
→
繁
ニーNFg
呂;
A
,
(
1
6)
12ダイアグラム中 一g
Cのマイナスは相互作用項を摂動展開す
るとき現れ るものである.ハ ミル トニアンか ら作用を作 るときマ
2
2
)
,(
2
4
)を見よト このマイナスが摂動展開に
イナスがつ く [
式(
顕れ る、と見て も良い.
13だった ら繰 り込み群 をや らずに梯子型求和 と泡型求和 (
これ
らをあわせて RPA)で済ませればよいではないか? と思われ るか
もしれないがそれは違 う,いまの問題の場合 クーパー散乱は pp
g.2に示 し
ループによってのみ繰 り込まれ る.しか し一般に Fi
たよ うに ppループと phループが絡み合って繰 り込みが進行す
る.このよ うな場合 RPA は使 えない.
1
4ループが l
i
mq→ oGo
(
k)
Go
(
k+q
)を含 むので.詳 しくは
AGD[
1
】のセ クシ ョン 1
8.
1
51次元では Fi
g.7,8のダイアグラムすべてが対数発散する
(
Fi
g.17を見よ)
.
-5
07-
講義 ノー ト
1
】
・
で与 え られ ることが判 る [
4フェル ミ液体 と非 フェル ミ液体 [
1,10】
il
il現
出
i
i
l
l
駕
準粒子過程 (
1粒子過程)についての情報は,グ リーン
関数
Fi
gur
e8:前方散乱 (
aと b)と交換散乱 (
C)を繰 り込
G(
k
,
i
)- -i(
OI
Tc
k
l
(
i
)
c
t
l
(
0
)
l
O
)
,
(
1
9
)
3次元の丸いフェ
む "最 も特異的な "ダイアグラム.2,
ル ミ面の場合,対数特異性 は示 さない.
に込められている.相互作用のないバン ド電子の場合,
T一
積 に注意 してフー リエ変換す ると
・
◆
Go
(
k,
E
)'
;
Oが斥力か引力かによってそれぞれ i
r
r
e
l
e
v
ant
期値 gt
E-E
k
-+i
O+s
i
gn(
E
k
)
或いは r
e
l
e
v
a
ntとなる・gb;
0< oとなる Ib特 在すれ
となる.スペ ク トル関数
ば,対応す る角運動量のチャンネルでクーパー不安定
・
◆
・
.
・
◆
性が起 きる,とい うのが コーン ・ラ ッテ ィンジャーの
定理である.これ を 「
繰 り込みの流れ図」 として表す
A(
k
,
E
)
-一旦
I
mGo
(
k
,
E
)
-6(
E-E
k
)f
orE>0
7
r
g・9の様 になる・つま り,gb;
。>oな ら gcはゼ
と Fi
ロ-繰 り込まれて流れは止まる.これがフェル ミ液体
が励起 された粒子 (
E<0に対 してはホール)のスペ ク
トル密度分布 を与える.
相 互作 用 が あ る と 自己エネル ギー (
の既約 部分)
固定点である・一方 9
b;
0< oな ら超伝導転移が起 こ
k,
E
)- ∑′
(
k
,
E
)+i
∑′
′
(
k
,
E
)が生 じ,ダイ ソン方程
る.ここに 「
固定点 としてのフェル ミ液体」 とい う見 ∑(
式を通 して相互作用す る電子系のグ リー ン関数
方が整 えられた.フェル ミ液体論 とは,前方散乱 と交
r
gi
na
lな結合定数 として持つ固定点理論
換散乱を ma
とい うわけである.
フ
ェ
ル
ミ
液
体
固定点へ
a(
k,
E
)-
E-E
k
--∑(
k,
E
)
が求まる.
ー
「
フェル ミ液体挙動」は,
a(
k,
E
)の挙動によって以
下の よ うに定義 され る (
大切なのは,
「
∑′と ∑〟の両
方を見 よ」 とい う点である)
・
グ リー ン関数が
Gk
(,
E
)-
Z
1
e
-Ek
--≡(
k,
E
)∼E-E
k
t+i
r芸,
E
芸
≡aEk- -慧 (
l
k
l
-k
,r
芸≡b∑′
′
(
k
,
E
k
)
F)
Fi
g
ur
e9:2,
3次元等方的 フェル ミ系の繰 り込みフロー
ここか ら
4
)-辿
g・4の相互作用
◆(
ー
ー ーり着 くために,Fi
定数 を g
(
kl
,
k2
,
k
3,k
4・
,
L
J)と書 く (
Wは散乱 に伴 うエ
と極 (
pol
e
)を持 つ 形 にか け 【
Z,
a,
b は定数]
,次 の
(
1
)
,
(
2)の二つの条件 を ともに満 たす.
(
1
)0<Z<1-⇒
フェル ミ面の存在
【
バ ン ド幅 Z倍に縮む.DOS,比熱 の 71
/
Z倍 に増強】
-- 0を考えると,
ネルギー移行)
さな運動量移行
● I ●.小+
_ .q
.
1
4 ■
k
3
k
l
+
q
,k
4 -k
2q
の場合が前方散乱
,
k
3-k
2q
, この条件 は ∑
′
(
k
,
e
)の k- kF,e-0周 りでの展開可
ー k4-k
l+q
lの場合が交換散乱である.16これ らの引き 能性 と等価であ り,
Fi
g.8のダイアグ
起 こす集 団励起 (
ゼ ロ音波)の種 (
Z=
ラム)を注意深 く扱 うと,ランダ ウ関数が極限値
∂∑′
(
毎,
亡
)
を与える.aも bも自己エネルギーの微係数で書ける
I
(
k
l
l
,
k
1
2
)- Z2li
l
.l
i
i
1
.
a
(
k
l
l
,k
12,
k
1
3,k
-4;W
)
]
1
6
AGD はじめ従来の文献では,(
ここで述べている繰り込み群
定数 となる.準粒子の波動関数は
のコンテクストでの)前方散乱と交換散乱をひっくるめて(
q
-- 0 l
準粒子k
-,
J) - 、
々l自由電子k
l
,
c
r
)
の意味で)"前方散乱"と呼んでいる.言葉の問題ではあるが,
混
乱を避けるために指摘しておく.
+ 粒子 ・正孔対励起な ど多電子励起,
ー5
0
8-
「
第4
7回 物性若手夏の学校 (
2
0
02年度 )
」
とい う形に書け,一個の準粒子励起は多電子励起を引
-iImG(ki)
,
きず る.L
準粒子k
l
,
q)と l自由電子k
-,
q)が 1対 1対応
す る,とい うのが断熱連続性原理の ミクロな表現であ
∑'
(
k
,
0
)のためにフェル ミ面は変形す るがフェル
り,
Lut
t
i
nge
rの定理)となる.
ミ海の体積は不変 (
さて,ハバー ド型の短距離相互作用 U を仮定 して
3次元、2次元の丸いフェル ミ面の場合に 2次 (
2ルー
プ)自己エネル ギ-を計算す ると,
・(
k,
E)-
-i Cl_ei;4f2En,iF(-d3',2).
A
C3E
% 2 2.
=
iE
uo(
k
k
F
) up(
k
一
年)
Fi
gur
ell:朝永 ・ラツティンジャー (
TL)液体
とな り(
c
l
,- ,
C
4は定数)
,フェル ミ液体挙動の条件が
ク リアできていることがわかる 【
11
]
.この条件がク リ
アできている場合の準粒子の分布関数はフェル ミ面で
さて,3次元の等方的 フェル ミ液体の場合,短距離
不連続な跳びを示 し,スペ ク トル関数はロー レンツイ 斥力な らゼ ロ音波,長距離 クーロンな らプラズマ振動
がコヒー レン トなボゾン的励起 (
集 団励起)となって
アンになる.これ らを Fi
g.10にま とめる.
個別励起 と結合す る.しか し電子運動の幾何学的制限
が緩いため,準粒子 コヒー レンスを破壊す るには至 ら
ない (
集団励起の波が襲ってきても相空間に個別励起
の逃げ道がた くさんある)
・これに対 して 2次元,1次
元と次元が下がるにつれて集団励起 と個別励起の結合
が強 くなって準粒子 コヒー レンスが脅かされ るように
なる.高温超伝導の問題 と関連 してアンダー ソンは,2
次元では前方散乱の位相シフ トが直交性カタス トロフ
1
2
]
.
を引きこして Z - 0になるとい う見解 を述べた [
要は,1次元 フェル ミ点が集積 した ものが 2次元フェ
ル ミ面であると考えて特異性の起源 を 1次元性に求め
t
omog
r
a
phi
c(
断層的)Lut
t
i
ng
e
rl
i
qui
ds
]
・
るのである [
これは誰 も証明 していないが,高温超伝導体常伝導相
のフェル ミ面にはヴァン ・ホープ特異性や フェル ミ面
Fi
gur
e1
0:フェル ミ液体
どんなに小 さくとも準粒子 ウエイ ト2
:
が有限である から少 し離れた処にあるフラッ トバン ドなど広義の 1
限 り,準粒子 コヒー レンスは健在である.
1
7 この意味 次元的特異性が潜 んでい る場合が多い. これ らの場
で,Zをフェル ミ液体の "オーダーパ ラメータ "と呼 合を繰 り込み群によって解析する方向の研究は,ヨー
んでよい.
ロッパを中心に現在 も活発に続いている [
1
3
】
.高次元
一方,後述す る朝永 ・ラッテ ィンジャー (
TL)液体 ボゾン化 [
1
4
]
のアイデアも類似の路線に沿ったもので
po
l
e
)か ら分岐 ある.
の場合,グ リー ン関数の特異性 は極 (
(
br
a
nc
hc
ut
)に代わ り[式 (
3
2)参照]
.
,
I-oとなって Hi
h Tcに関 しては さらに,始 めか ら自己エネル
g
分布関数の跳びは消失 し,スペ ク トル関数の形状は下 ギ-を
図のよ うになる.
光 電 子 分 光 は ス ペ ク トル 関 数 A(
k
,
E
)
」7
l
mG(
k,
E
) を 直 視 す るの で フェル ミ液 体 挙 動
r
・R(
e)- Al
el
n宝 -i
;I
eL
s
i
gn(
E)
]
の検出に極めて有効である.しか し,入射フォ トンエ の形で与えていろいろな物理量を計算すると実験 と良
V のオー ダーである為 に Zが 「
ゼ ロ」 く合 う,とい うma
ネルギーが ∼e
r
inalFe
g
r
mil
i
qui
dのヴァルマのア
の場合 と 「
極 めて小 さいが有限」場合 を判別す るこ
イデア (
【
1
0
]
7.
2節)もある. 準粒子 ウエイ トは E- 0
とは事実上不可能である.TL液体の直接検出がほ と で
ん ど不可能な所以である.
17例 えば,
重い電子系
)
]1- 0
Ce
A1
3では Z ∼ 1
0-3
Z- [
1+ 入l
n(
Eo
/回
-5
0
9-
講義 ノー ト
となって非 フェル ミ液体 となる.この形の 自己エネル a∝l
nT/
Tc
,b> 0,C>0,弟 ま電磁場のベク トルポ
ギーは 1次元電子系の 2ループ 自己エネルギーその も テ ンシャル,を書 き下 した.Q'はオーダーパ ラメー タ
28ペー ジの (
42)参照]
・2次元で非 フェル (
のである 【
ハバー ド・
ス トラ トノピッチ場 【
1
8,1
9,
2
0]
)である.分
ミ液体挙動 を出そ うとすれ ば,1次元的特異性 に起源 配関数の経路積分表示か ら出発 し,クーパー対 ck
・T
C-k
-1
を求めるのはひ とつの 自然な発想であるといえる.し を補助場 と見て相互作用 をガ ウシアン化 し,個別励起
か し,1次元的特異性 を潰 さない よ うに 2次元方位角 過程 を積分 (
i
nt
e
g
r
at
eout
)す ると Fi
g.12の よ うに
詳細は 【
1
9
]
)
・aα l
nl
T/
Tc
]は
して SGLが得 られ る (
チャンネルの問題 も含めて)
,現時点でも極 めて非 自明 ppループか ら来 る・この形は既に求めた △(
u-o
;
T)
な問題 である.
に他 な らない 【
式(
1
5
)直下の議論ト
積分 をす ることが可能か否かは (
取 り入れ るべ き散乱
さて,若干横道 にそれ るが,非 フェル ミ液体挙動が
現れ る興味深い例が横波 ゲー ジ場 と結合 した電子系
(
a
)
s
t
e
i
nNor
t
onPi
nc
unsによって
である.この例は Hol
見出 され,固体物理の側か ら Re
i
z
e
rが,原子核の側 か
ら Pol
onyiとBa
ym らが再発見 した とい う経緯 を持つ
[
1
5
]
.自己エネル ギー を計算す ると
c
I
El
nl
El
+ic2El
,
(
d-3
)
,
-〈
C
3J
E
r
2
/
3
s
i
gn(
e)+i
c
4回2
/
3
,
(
a-2
)
,
∑R(
e
)
l
(
c
l
,
-,
C
4は定数)なる特異性 が出る [
1
6
]
・この特異
性は酸化物高温超伝導体のゲージ理論や量子ホール効
果における複合 フェル ミオ ン (
【
1
8
】第 5章)と深 く関連
している.
5 フェル ミ面の不安定性
低温になると準粒子間の残留相互作用が効いてフェル
ミ面は崩壊 し,残留相互作用のチャンネル によって超
伝導,密度波 といった巨視的量子状態に落 ち込む.
5.
1 超伝導転移
Fi
gur
e1
2‥超伝導状態の有効作用 SGLの導出.(
a)が
a約 ㌧
申
4
m を,(
b)が b
(
W '
)
2を,(
C)が
・
◆C
ー*膏2g/
i
c
e
や*
A・
∇g/m を,(
d)
+(
e)
+(
f
)が c
e
2
Qr
*
A
r
Q
v/
m
を与え, これ らを寄せ集めるとゲー ジ不変な有効作用
gGLの形 にまとまる.電磁場 との結合 を表すバーテッ
クスは,【
15
]で与 えたもの と同 じ.
既 に見た ように,粒子間に引力があれば粒子 ・粒子対
BCSで超伝
形成に対 してフェル ミ面が不安定 とな りTc
さて,オーダーパ ラメー タは一般 に複素数 であ り,
導転移 を起 こす.さて,超伝導状態はクーパー対 とい
転移温度以下で振幅
と位相の 自由度 に分離す る:
う 2粒子対がマ クロコヒー レンス獲得 した状態 であ
り,準粒子 コヒー レンスが消失 した状態である.超伝
導状態を記述す る有効理論がギンツブル ク ・ランダウ
中(
r
1- 悼(
r
lL
e
i
O
(
r
7
(
GL)理論である.相転移 は不連続 である為,高温側
位相角 0
(
r
lがマ クロなスケール に渡って 0
(
r
7 -0
0と
常伝導相の固定点理論であるフェル ミ液体論か ら GL
の有効作用 を繰 り込み操作によって連続的に得 ること
はできない.仕切 りなお しが必要である.ランダ ウは
フェル ミ液体論の有効作用 を書き下す 1
0年前 に超伝
導状態の有効作用 (
GL汎関数)
sGL -
a附
凍結 した [
U(
1)ゲー ジ対称性が 自発的に破れた]状態
が超伝導状態である.Q
,
(
r
7-l
O(
r
7l
e
i
O
oを SGLに代
入す ると,超伝導状態ではフォ トンが質量を獲得す る
こと (
アンダー ソン ・ヒッグス機構)がわかる.巨視
的スケールで凝縮 したクーパー対が ヒッグス場 となっ
てフォ トンが質量を獲得す るのがマイスナー効果であ
*+b(
Q,
せ*
)
2
・
c
g
十去(
育
2
i
e
A
1
2
]
せ
,
-
り,超伝導の本質である.超伝導はフォ トンに質量を
与えるただひ とっの方法である.
51
0-
「
第4
7
回 物性若手夏の学校 (
2
0
02年度 )
」
5.
2 密度波転移
--NF[
l
n軍票
クーパー不安定性は粒子 ・粒子対形成に対するフェル
+ *(
;)-¢(喜.堤
)
]・
(
20)
2.
2節での超伝導転移 と平行な議論ができ,ネステ
ミ面の不安定化であ り,超伝導転移 を引き起 こ した. 3.
ィングベ
ク トル 豆 をや りとりす る粒子 ・正孔散乱が
これに対 し,粒子 ・正孔対形成に対す るフェル ミ面の
e
l
e
v
antとなって密度波転移 (
粒子 ・正孔対凝縮)が起
不安定性 (
広 くス ト-ナ-不安定性 と呼ぶ)は密度波 r
p
h
ループの対数特異性
はネ
こり得
ることがわかる.
(
ス ピン密度波,電荷密度波)転移 を引き起こす.対応
す る粒子 ・正孔対の運動量移行が す - 0な ら-様な密 ステ ィングの度合いに非常に敏感であ り,ネスティン
g.14にいろい
グが不完全になると潰れて しま う.Fi
ろなフェル ミ面に対す る ppループ と phループの L
J
度波 (
例 えば強磁性)
,
q
-≠0な ら空間変調 を伴 う密度
波 となる.ス ト-ナ-不安定性が起 こるには粒子 ・正
依存性 を比較す る [
4
]
.
孔対が大増殖す る必要がある.
空間変調を伴 う密度波を発生 させる一般的な機構が
フェル ミ面のネスティングである.フェル ミ面上の k
一
点に対 し,
ネスティング条件 E
k
・- -E
k
l
+Q
-を満たす Q
-が存在
す る場合,そのフェル ミ面はネス トしているとい う.
フェル ミ面上の全 k
L点に対 してネスティング条件が成
立 している場合を完全ネスティングとい う.限 られた
k
1
点でのみネス トしていれば部分ネスティングである
(
Fi
g.13)
.
Fi
gur
e1
4: pp ルー プ △(
W,
T - 0)と ph ルー プ
I
l
e
(
L
U
,
T - 0)の L
J依存・(
a)
1次元 【
Q - 2kF】
,(
b)
・
r
l
E(
k)-vF(
l
kI
-kF)-2t
⊥c
osk⊥+2
t
/
lC
OS2k1,の形
†完全 ネス
テ
ィ
の擬 1次元的フェル ミ面 [
Q-(
打,
W)
]
,(
C)d-1+e
次元の等方的フェル ミ面 【
l
Ql-2kF],(
d)2次元等方
的 フェル ミ面 l
l
Q
1-2kF].
部分ネスティング
ング†
(
署?
.
・
6)-V
フェル ミ面がネス トしているとしても,どのような
Fi
gur
e1
3:フェルミ面のネスティング
チャンネルの密度波 (
スピン密度波,反強磁性,螺旋磁
性,電荷密度波,…)が誘起 されるかは相互作用の中身
ハバー ド斥力 U,次隣接サイ ト間斥力 V その他の大
完全ネステ ィングの場合 (
1次元の場合は常にそ う (
小関係な
ど)に敏感なので C
a
s
ebyc
a
S
eの考察が必要
,(
8)で iLJm - L
J+i
O十と解析接続す ると,ph
である)
となる.
ループの実部は
n
e(
6 結合定数の r
el
evanc
e:
相転移 とクロ
L
J;
T) ≡ 沢HQ
(
L
J+i
O';
T)
スオーバー
g-tanh*
t
a
nh
IEk
-+Ek
+a
kw
・is
結合定数 9が r
e
l
e
v
a
ntである場合,特に 1ループ レベ
ルの解析では,あるエネル ギースケール Toで 9が発
t
anh嬰
′ノ
+∑
12
E(
k)
散す ることが しば しばある.この場合,
Toで (
不連続)
相転移が起 こると即断す るのは重大な誤 りでる.次の
とな り,3.
2.
2節で議論 した ppループの符号が逆転 し 二つの可能性がある :
たものが得 られ る.
(
1)Toで不連続変化 (
相転移)が起 きる.
k
-L
J
(
l
l
)よ り
(
2)To近傍で連続変化 (クロスオ-バー)が起きる.
gi
nal
/
r
e
l
e
v
antc
ouどち らが起 こるか知 るには mar
ne(
L
U
;
T)ニー△(
L
J;
T)
-
5
11
-
講義 ノー ト
pl
i
ngの入 ったモデル をきちん と調べ る しかない.(
1
) バーな どが挙げ られ る.これ らはいずれ も繰 り込み群
による解析の格好のターゲ ッ トとなる.
1
8
の例が先 に見た超伝導転移,密度波転移である.
(
2
)の例 として,物性物理 において最 もよく理解 の
進 んだ (
かつ重要な)クロスオーバー現象が近藤効果 7 量子的無秩序
である. 1
963年近藤 は,非磁性金属 中伝導電子 と磁
9
66年,マ- ミン とワー グナー [
22
】は 「
1次元 ,2次
性不純物局在ス ピンとの間の反強磁性交換相互作用 J 1
元の短 (
有限)距離相互作用 を持つハイゼ ンベル ク模
が,温度低下 とともに対数的に増大す る電気抵抗 をも
型に有限温度の長距離秩序は存在 しない.1次元では
6
]
・この 「
対
た らす ことを摂動計算によって見出 した [
絶対零度 で も然 り」 とい う定理 を示 した. この定理
数的」増大 とい う数学の背後にスケール不変性 を見て
はハイゼ ンベル ク模型 に限った ものではなく,連続対
取 り,近藤 問題 に繰 り込み群の視点 を持 ち込んだのは
称性 【
ス ピン空間での回転対称性,並進対称性 ,連続
アプ リコゾフ [
21
】であった.
近藤問題のスケー リング理論 として最 も簡単な例題 的ゲー ジ対称性 な ど]を持つ系で成立す る極めて一般
ge
ne
r
i
cな)性質であることが ワーグナー [
22
】に
的な (
or
man'
ss
c
a
l
i
ngである.こ
はアンダー ソンによる Po
よって示 され, 「
マ- ミン ・ワー グナーの定理」 とし
れ は交換相互作用 Jz,Jlに関す る 2次 (
1ループ レ
1,2次元では,連続対称性の破
て広 く知 られている.「
ヴェル)の解析 であって,繰 り込み群方程式は
れに伴 うギャップ レス励起 (
南部 ・ゴール ドス トー ン
d
J
z
;
e
/
d
e-NFJ
i;
E
,d
J
l;
e
/
d
e-NFJ
z
;
e
JJ
_
;
e
,
J
z
2
-J
とな り 【
6
]
i-c
ons
t
.に沿った繰 り込み フロー
が得 られ る.相互作用がス ピン空間で等方的な (
現実
的な)場合 (
J-Jz- Jl)
,近藤温度
TK-Eo
e-1
/
J
o
NF,
モー ド)が長距離秩序 を破壊す る」 と言い換 えて も良
い."ワイ ンボ トル '
'の底を遜 る位相 の揺 らぎが秩序
を破壊す るのである (
量子的無秩序)
.
モデルハ ミル トニアンを設定 し,揺 らぎの効果を無
視 して 自由エネルギーを極小化す る状態 (
平均場基底
有限温
(
21
) 状態)が得 られて も,1次元系では量子揺 らぎ (
度では熱揺 らぎ)が これ を破壊す ることになる.一般
と呼ばれ るエネル ギースケールで 薫 が発散す ること には,相 関関数が距離のベ キで減衰す る複数のチャン
が見て取れ る 【
(
1
5)
,
(
21
)
,
(
2
9)が同型であることと背後 ネルで特徴付けられ る平均場状態が競合す る.揺 らぎ
の物理の相違 (
転移 とクロスオーバー)に注意]
.近藤 を介 したツバ迫 り合いの結果,この うちいずれかが優
問題 は自由電子系に 1自由度の不純物が付加 されただ
勢な相関 (もっとも緩やかなべキ減衰 を示す相関)の地
けの "0次元 "問題 なので不連続転移が起 こらない こ 位 を獲得す る.系が純粋 な 1次元系であれば長距離秩
Ba
s
i
cNot
i
ons
t
5
]
p・1
91,下か ら 21行 序は望めないが,揺 らぎを押 さえる要因 (
とは 自明である (
3次元性)が
TKとい う温度の 「上」 と 「下」をどう繋
目)
・しか し,
ぐか ?とい う一点が,6
5年か ら 75年 に至る 1
0年 の歳
月 を強いた近藤 問題 の本質である.T
Kはクロスオー
バー温度 スケール であって不連続転移 (
不安定性)が
どこにも無いこと,基底状態で伝導電子のス ピン分極
と局在ス ピンがシングレッ トを組んで局在スピンが消
あれ ば優勢 な相関が真 の長距離相 関 として浮 き出 し,
平均場基底状態が真の長距離秩序状態 となる.19
8 朝永 ・ラ ツテ ィンジャー (
TL)液体
1次元電子系に戻 ろ う.1次元ではフェル ミ面は点で
ne
ma
t
i
c
sは著 しく制限 され,考慮すべ
失す ること,を知 るには よ り精撤 な議論 (
詳細 は [
6
】
) あ り,電子の ki
き散乱チ
ャンネル
も有限個
しかない.1次元電子系の
が要求 された.低温側か ら眺めると,絶対零度では局
g.15に示す ようなチャンネルに分別す
在 ス ピンは存在 しないが,温度 が上昇す ると局所的に 散乱強度 を Fi
ス ピンの揺 らぎが発生す る.Poo
r
man'
ss
c
a
l
i
ngによ
る流儀 を 9
ol
o
gyl
7
]と呼ぶ ・2次元の前方 ,交換,クー
7
r
)- gC(
1
r
)
,
T ≫ TK)側 か ら パー散乱 との対応 をつ けると,91- gE(
る Jの成長 は,この揺 らぎが高温 (
9
2
9
F
(
7
T
)
g
c
(
0
)
,
9
4
9
F
(
0
)
g
E
(
0
)
,となる.ウ
TK付近-向けて成長す る様子 を見ているのである.
近藤効果 の他のクロスオーバー現象 としては,以下
に詳述する擬 1次元電子系の次元クロスオーバー,乱れ
た金属における高温金属相か ら低温絶縁体 (
アンダー
ソン絶縁体)棉-のクロスオーバー,整合 フィ リング
の擬 1次元有機導体 TMTTF系に見 られ る高温金属
相 か ら低温絶縁体 (
モ ツ ト絶縁体)棉-の クロスオー
-
1
8繰 り込み群はもともと連続変化を追跡する処方であるか らク
ロスオーバー挙動の解明に最適なのである.
19この表現で伝わるとは思 うが ,1次元系の平均場解析が断 じ
て無意味でないことを強調 してお く.平均場解析なくして多様な
ハ ミル トニアンに潜む多彩な基底状態を見抜 くことは不可能であ
る.一方,揺 らぎによる他の平均場状態 との競合や破綻の危機が
控 えている.この意味で,低次元強相関系の平均場解析は極端な
プラスとマイナスの面を併せ持っているといえる.
5
1
2-
「
第4
7回 物性若手夏 の学校 (
2
0
0
2年度 )
」
さて,フェル ミ点周 りで線形化 されたバ ン ド分散 を
ムラップ散乱 93は電子のフィ リングが整合である場
合 に現れ るが,これについては後述す る.
k
f
E
R(
k
)-v
F(
+k-k
F)(
k>0),
E
L
(
k
)- vF(
-k-k
F)(
k<0)
,
とし (
v
Fは相互作用の無い場合のフェル ミ速度)
,カ
uI
ッ トオ フ (
2
)を導入 し, k一
点 を集 合 Ce
< - (k I
-L
J
e≦ E
v
(
k
)≦w
e
)に限定す る (
Fi
g.15)
. 系を
眺めるエネル ギースケール を L
L
l
eとす るわけである.
作用の形 自体が eに依存す る のでe依存性を顕わに書
92模型の作用をま とめると Se-So
;
e
+Sint;e,
いて 91
㌦臥.
k
FC
r
l
J2
'
・
k
F
(
2
3
)
kEC
e
<
鳥ム
ク
ラ
ツ
少、
散
乱
si
nt
;
A- - 7TVFT
∑
g
eq2 54R;L;L2Rl,(24)
ql
g3
(
k
i
)∈C
e
<
Fi
gur
e1
5.
・散乱チャンネルの分類 (
9ol
ogy)
・実線は
右向き電子の伝播,破線は左向き電子の伝播 を表す.
8.
1
∑ l
Qi1
R'R+Q
L
11
L*L]
,
so
・
,
e-
となる.Rと Lはそれぞれ右 向き,左向きブランチ上
のフェル ミオンに対応す るグラスマン数であり,
Rlは
Rql
(
Kl
)l
Kl- (
kl,e
l
)
】を略記 した ものである・相
∬ 1十
互作用項で,エネルギー運動量は保存 している (
K2- K3+K4). エネルギー とスピンについての和
繰 り込 み群 解 析
1次元格子上をホップす る電子系に対 し,まず,連続
の表記は省いた.また,結合定数を無次元化す るため
7
T
VFをくくりだ した.
20 作用の定義か ら,運動エネル
極限をとる.次に低エネルギーの物理に限ればフェル
ギー項に温度 グ リーン関数
ミ点近傍の励起のみが寄与すると考え,バン ド分散を
Fi
g・15)
・この操作 (
逮
フェル ミ点近傍で線形化す る (
続極限+分散の線形化)を経ない と,系のスケール不
変性が破れて繰 り込み群が wel
1
de
丘ne
dでな くなる.
ol
ogy模型 (
gr92模
さて,91と92のみ取 り入れた 9-
型)を使 って TL液体を議論 しよう.ウイル ソン流の
摂動的繰 り込み群を定式化す るに当たって,分配関数
Q
v
(
k
,
i
E)-
E-E
v
(
k
)'
i
(
I
,
-R,
L)
が現れ ることが 自然に理解できよう.相互作用定数は,
ge
ql
J
2
q
3
g
4-6
JI
J
46
62
6
3
92
;
i-6
ql
q
3
6
6
2
5
4
91
;
A
,
と分離 して書 くことができる (
Fi
g.15でスピンのイ
ンデ ックスに注意)
.
さて,繰 り込み群の処方を実行 してみ よ う.
Z(
β)
(
p)
=_C
(
0,Dc
*
Dc
e
SC■,
C
'
STEPI.粗視化
高エネルギー側か ら漸化的に繰 り込みを実行す る為
か ら出発す る.C,C
*は時間空間スピンでラベル され
たグラスマン数を表 してお り,Dc*Dcは積分測度,描 に,C
e
'を C
e
' -C
e
'
+d
eOd
C
2
',と分割する・ここで,
数の肩に乗っているのは作用
C
e
'
+d
e≡ (
k
H
E
v
(
k)
I≦L
J
e
+d
e
),
低波数領域 :
2
3
]
の経路積分表示 [
-i
'
S(
C
・
,
C
)- - I.
pd
x
dTC*(
x
l
,
T)
些㌘
(
2
2
) 高波数領域
-/.
Pd
T-
‥
d
C
e
> … (kl
L
J
e
+d
e≦l
E
v(
k)L
<w
e
)
・
である.フェル ミオンの反周期的境界条件に注意 して
これに応 じてグラスマン数は低波数領域の波数のみを
グラスマ ン数をフ- リエ分解す ると
含む成分 (
<)と高波数領域の波数のみを含む成分 (
>)
L- L<+L>,
R- R<+R> と書ける.作
に分かれ ,
2
∑
C
(
I
,
T)-β-1
/
k
<+Si
<
n
t
+So
>+Si
>
n
t
・となる・ここで,1粒子
用も Se-So
R- (
R*
>+R*
<)
(
R>+
過程 (
運動エネルギ一項)は R*
e-i
enT'i
k
-・
x
C
(
l
,
E
n)
,
た,
En
>R>+R*
<R< とい うふ うに <成分 と >
となってフェル ミオンの松原振動数 e
n-(
2
n+1
)
7
T
/
β R<)- R'
が現れ る.
2
027T
VF で くくりだ してい る文献が多いが.
-
513-
講義 ノー ト
赤外対数発散を示す)最低次の自己エネ
成分 に完全 に分離できる (
R+
<R> とい うよ うな項は ββを与える (
g・16に示す 2ループ (
相互作用の 2
運動量を保存 しないので消える)
・一方,相互作用 は ルギー過程は Fi
計算手順
R'
L'
LR -(
R;+R'
<)
(
L;+L;)
(
L>+L<)
(
R>+R<) 次摂動)レベルであることを強調 してお く (
とな り,エネルギー運動量を保存す る項 を拾い上げて を [
2
4
]にま とめた)・
も 4つの R*
,L*
,
L,Rの うち >に属す るものがゼ ロ, 準粒子 ウエイ トの繰 り込み フロー を議論するには最
1,2,3,4個の場合がある.ゼ ロの場合の項が Si
Stで 低でも 2ループレベルでの解析が必要.1ループ解析
あ り,残 りの場合がすべて Si
>
ntに入 る・
さて,高波数領域に属す る自由度の積分 (
粗視化 -
とい うことである.この場合,摂動を自己無撞着に実
c
oa
r
s
egr
a
i
ni
ng)を摂動的に行 うのが摂動的繰 り込み 行す るにはウォー ド・高橋恒等式に注意 して,バーテッ
群の処方である.>のついた場を積分 (
i
nt
e
g
r
at
eout
) クス補正を 3次まで取 り込む必要がある.
して しま うと,形式的に (
積分測度省略)
,
Z=
一
一
I
●
′
4
ヽ
g
lg
2
2
g
2g
eSo
<+Si
<
n
t
+So
>+S
i
>
nt
/c
e
<
-/
c
e
<
.
戯
e
S
o
'
・
S
i
'
n
t
l
/
a
c
e
,
e
SS
i
'
n
t
]
o
'・
-/
l
/
ce
<
.a e
s
o
<・s
i
<
n
t
-/
c
<
、
、
、
ミ
′
一も㌫→ 、
:
o
相互作用 : /-t
h
′・・
一 一、
:
相互作用
′
u e
,
二
'
、
、
、_吋 ノ
o
<+si
<
n
t+
p
;l去(
{
l
s
i
,
n
t
,
P
》C
]・
e
.a ex
pl
s
′
分解
外線
簡略表記
(
対称化 されたバーテ ックス表記)
t
;
、
、
、
、_
<
ノ
:
外線
ルー プ部分
Fi
gur
e1
6:赤外対数発散する自己エネルギー
ここで,《(
-)
》-Z
,
1
d
C
e
,e
S
o
'(
-・
)
,
Z,- /dCe
,e
S
o
',であ 。,《- )
)
Cは連結 (
c
onne
c
t
e
d)
ダイアグラムだけを拾 うことを意味する.結果,粗視
STEPI
I
.スケール変換 と波動関数の繰 り込み
粗視化の都度カッ トオフを回復 し,作用の運動エネ
ルギー項をスケール不変にしてお く必要がある.
2
1S
o
t
の中身が
化 された作用が
s
o
<I i
t
-So
<IS
孟
t
.pS
去(
"
s
i
f
t
,
P
》C,
5
l
UI
U
w
L
:
.d
i
e
:,
V
v
F
F 芸(
1ICe
d
e,l
i
e- v
Fk
・
R・
<R<
,
(
1・O
e
de
)l
R
-1R*
<R<+Q
L
-1L'
<L']
e
<
+de
k∈C
であることに注意す ると l
K≡(
k
,
i
E)として]
,
S
.
i- ∑
Q
S
i
'
n
t- -7
T
VFT
∑
(
ge
+we
d
e
)
R*
<L*
<L<R' ・
(
R<
(
ki)∈Ce
<
+de
と得 られ る・ここで ge
, Weはそれぞれ
;
(
K
i,
=
=e l
K.
=
& 葦
ge
Jl
q2g3g4,
w
e
q
l
g
2
g
3
g
4 と書 くべ き ところを略記 した・ 各項 の う
K,
,
なるスケール変換 を施せ ばよいことが判 る.
TEPI
H.相互作用定数 g
eの繰 り込み
gl
q2
g
3
g
4はバー S
ち, Oeは 自己エネル ギー過程か ら,we
テ ックス補正か ら来 る.
<
n
tには因子 (
1l
スケール変換の結果,相互作用項 Si
)
6[
1-(
0
2-3)
de
/2
】
4が掛か り,バーテ ックス補正か
さて,粗視化 された作用の運動エネルギ一項 So
<を de
眺めると,準粒子 ウエイ トz
eに対す る繰 り込み群方 らの繰 り込み因子 と掛 け合わせ ると
程式
(
11de)
6[
1I(
O
e-3)
de
/
2
】
4×(
ge十 we
de
)
- 里謡 - -oe,
z
e
1
.
1
m-(
1+Ce
d
e
)
z
e
-1
- ge
+(
W2-20e
ge
)
d
e+0(
de
2
)
(
2
5
)
21
例えばS.
i+Sl
'
n
tは2
S.
i+2Sl
'
nt と
等価であるがSo
'+2
Si
'
n
t
が得 られ る.Oe>0なら zeはゼ ロに繰 り込まれ,系 とは等価でない.知りたいのは運動エネルギー項と相互作用項の
は非フェル ミ液体相に繰 り込まれ る.ここで,有限の 関係であるから,運動エネルギー項を揃えておく必要がある.
-
5 1
4 -
「
第4
7
回
物性若手夏 の学校 (
2
0
0
2年度 )
」
が得 られる.この結果,粗視化 +スケール変換 を受 け
た相互作用項は
S
i
'
n
t-
-7
T
V
FT ∑
[
g
e
+(
we-2
e
e
g
e
)
d
e
]
R+
<
L'
<L<R<・
(
k
i
)∈C
e
'
e
'
C
e
となる・(
ki
)の範囲が C+deか ら 'に戻っているこ
とに注意 しよう.これ より相互作用定数の繰 り込み群
3
)が
方程式 (
g
e
q
i
q
d
蔓34-9 q 4+(
we
e
q l 2g3g
J g
→
孟9
e
q
lq2g3g4
qlq2g3g4 -
-
w
e
qlg2g3g4
2
0
e
g
e
qlq
2
g3g
4
)
d
e
-2
0
e
g
e
ql
q2g3g4
,
(
26)
2ループ レベルで β ≠0の場合,波動
?形で得 られ る (
関数の繰 り込みに由来す る右辺第 2項 12
0
2
9
2を忘れ
る と決定的な ミスになる)
.91
,9
2に対す る繰 り込み
群方程式は
d
91
/
d
e-
W1-
2
0
91,d
9
2
/
d
e-
W2-
W2に寄与するダイアグラム
2
0
92
,
となるが,
91
,
92に対す る w l
,W2 を 2ループ レベルで
g.17のすべてのダイアグラムを拾 う
求めるには,Fi
必要がある.ループの中に pp と書いたのが ppルー
プ,phは phループ,残 りが 2ループダイアグラムで
ある.対数発散す るダイアグラムは他にもたくさんあ
g.17のダイアグラムだけが
るがキャンセル されて Fi
残 る.
内線波数 を高波数領域 dCe
>に割 り当ててループ部
分だけを評価す ると,
drpp
、
、-㌔
各 第
一
′
′ 、
ヽ
ノ
drpp-d
e
/
2
7
T
VF, drph ニ ー
Fi
gur
e1
7:2ループレベルでのすべてのダイアグラム
i
E)-Q
R
-1
(
k,
i
E
)
d
e
/
8
7
T
2
v
i,
d∑2
1
。
。
。
(
k,
(
27)
dr21
.。
。-咋1∂[
d∑(
k,i
E
)
]
/
∂k-d
e
/
8
7
r
2
V
2
.
,
とな る (
2ループの評価 は [
2
4
]を見 よ)
. ここで 自
然 に現れた ウォー ド・高橋 (
WT)恒等式
dr21
。。p
-
W1
咋1
al
d∑(
k,
i
E)
]
/
∂k,は摂動 の各ステ ップで 自己エネ
ルギー補正 とバーテ ックス補正をコンシステン トに取
り入れな くてはな らないことを保証す るものである.
WT恒等式を図解す ると,Fi
g.18のよ うに 自己エネ
ルギーダイアグラムを加工 して対応す るバーテ ックス
補正の 2ループダイアグラムを切 り出す操作 となる.
これ を心得てお くとダイアグラムの拾い落 としが防
-
-91
9
2 十(
gl
g
2-g
至
)
ppループ phループ
十91
92
/
2-gf
g
2
/
2
2ループバーテックス補正
W2
-(
9至+92
)
/
2 +9
2
/
2
ppループ
phループ
+92
3/
2十g2
92
/2-g1
92/2-92/
4
げる.
2ループバーテックス補正
さて,符号勘定,スピン,等価なダイアグラムの数に
2ループ
注意 して寄与を拾い集めると,
(
gf
+92-91
9
2
)
/
4 - 自己エネルギー
-
5 15
-
講義 ノー ト
外線 と繋がる内線に
は望 勝
レグェルではまった く流れない.つま りベータ関数が
/トーー
ヽ
る
、
ト
キ
ヽ
一
ラー
・
三
上T
._
≡
; 、 ′
占芹 ;
一J■-ヽ
/
t
、
ヽ
一、
九
Ol
o
gy
ゼロ)である.ハバー ド相互作用か ら派生する 9-
′
結合定数の うち,92と 9
4を取 り入れた模型 を朝永 ・
ラッテ ィンジャー (
TL)模型 と呼ぶ.
ところで,1次元では ppループとphループは異符
叫 一′
自己エネルギー
のノレープ部分
バーテックス補正
号で同 じ大 きさの対数発散を示す (
pe
r
f
e
c
tc
a
nc
e
l
l
a
t
i
on)
・3次元性が入 ると両者のバランスが崩れ る.エ
メ リーは,1ループ繰 り込み群方程式で ppループ と
のノ
レープ部分
Fi
gur
e1
8:WT恒等式 を表すダイアグラムの加工
phループのアンバ ランスを手で入れ 【
(
28)で ppルー
プ と 2ループの寄与を落 とすト 高エネルギー側の 1
次元領域か ら低エネルギー側の R
P
A領域-のクロス
これ よ り,
繰 り込み群方程式
d
g
l
/d
2- -91
92 +(
91
92-9f
) -91
3
/
2
ppループ
phループ
d92
/d
eニ ー(
gf+92)
/2 +92
/2
2ループ
}
ppループ
phループ
9
f
/
4
、
一一}-′
2ループ
2
5
]
・これは次元クロスオーバーの
オーバーを論 じた [
現象論である.phループのみが赤外対数発散す ると
(
28)仮定すれば,斥力-バー ド模型の場合 92が r
e
l
e
v
antな
結合 になる.
1ループ レベルで繰 り込みフローをみると,5.
1節
P
Aダイアグラム (
Fi
g.17
pp)の 1ループか らの寄与, で見たの と同様に,92は R
が得 られ る・粒子 ・粒子 (
粒子 ・正孔 (
ph)の 1ループか らの寄与,2ループか ら で,W2に寄与す る phダイアグラムを骨格 とした梯子
92がス 型求和2
2
)
の寄与を分 けて示 した.ここで,a -91-2
ケール不変にとどまることに注意 しよう.Gは系の圧
g
2
1
'
g
2
(
、
縮率に入ってくる量であ り,G が不変であるとい うこ
とは圧縮率が弱結合領域か ら変化せず,系が圧縮性の
・
4一
金属状態 を維持す ることを示唆す る.
N
RP
Aで無限大に繰 り込まれる・この
ハバー ド模型か ら出発 して繰 り込みを行 う場合,繰 が発散す る温度 T
2
0
)よりphルー
温度でス ピン密度波転移が起きる.(
り込みの初期値 は,ハバー ド斥力 U によって gl
;
01
2
k
F(
W -0
;
T)- ll
n[
2
e
T
Eo
/
7
T
T]となること
92
;
0-U
/
7
T
VF,と与えられ る [
7
]
・摂動的繰 り込み群を プが I
に注意すれば
/
7
T
VF は 1よ り小 さく (
弱結合で)
や っているので,U
28)を解 け
な くてはな らない・連立 1次微分方程式 (
T
N
RP
A- 1
.
1
3
Eo
e
ll
/
9
2
,
(
29)
g.19のよ うな繰 り込みフローが得 られ る.
ば Fi
5
1
0
1
5
が得 られ る (
1次元では NF - 1/2汀VF であることに
1節の議論 と照 らし合わせなが ら,ppループ
注意)
.5.
とphループの対数特異性のバランス とアンバランス,
e
l
e
va
nc
e,1ループ繰 り
超伝導 と密度波,結合定数の r
込みフローの発散 と平均場的相転移の関係 といった諸
点を確認するとよい.
2
0
Fi
gur
e1
9:91
9
2模型の繰 り込み プロ1.
8.
2 固定 点 の物理 :ボ ゾン化
繰 り込み群解析によって準粒子 ウエイ トがゼロとなっ
繰 り込みの固定点は
て非 フェル ミ液体相が実現 していることは判っている
9-0,92'- U/27TVF
が,基底状態 と素励起が どのよ うなものであるかは判
1
*
明い
り'
リ
らない.これを明 らかにするには,TL模型をボゾン化
であ り,glは i
r
r
e
l
e
v
a
nt
,92は mar
inalな結合である で扱 う必要がある.ボゾン化を経て始めて,素励起が
g
e
l
e
v
a
ntな結合が無い為,この固定点
ことがわかる.r
pの 1ループを 「手で」落 とす.
22ェメ リー 【
2 は,文字通 り p
は弱結合圃定点である.か くして,固定点の有効- ミ そのココロは、 擬 1次元で斥九 フェル ミ面は p
e
r
f
e
c
tn t
i
n
g
の場合を考え,
2
)「
斥力なら p
pチャンネルは i
r
r
e
l
e
v
a
n
t
」である
ル トニアンには92のみを残せばよい.尚,ここで考慮 ことを踏 まえ,
p
hの 1ループのみを残せば擬 1次元のスピン密
しなかった前方散乱 9
4も ma
r
gi
nal
(こちらは 2ループ 度波転移が議論できるだろ うとい うことである.
ー
5 16
-
e
s
「
第47回
物性若手夏の学校 (
2
0
0
2年度 )
」
コヒー レン トなボゾン的集団励起 (
朝永ボゾン)で尽 起であることが判 る.ホ ロンとスピノンの速 さはそれ
くされ,個別励起のコヒー レンスが完全破壊 される様 ぞれ up-V
FJ(
1+94
・)
2a
,
・
2
,uq- vF(
1-9
4
・
)
,つ
子が明 らかになる.自由粒子のフェル ミ点は相互作用 ま り,uq ≠ up であ り,相互作用効果によってス ピノ
によってズレ,ボゾン的 自由度 (
位相)に吸収 され る. ンとホロンの速度にズ レが生 じる.電荷 とス ピンの剛
この状況を発見法的に論 じたのが朝永であ り,ソル 性度 (
s
t
此l
e
S
S
)は
7
】で詳述 されている・一方,ハルデ
ヨムの レビュー 【
1+94
㌧ 9
2
*
)
/
(
1+9
4
++9
2
*
)
,KJ-1
,
Kp- (
ン【
2
6
]は有限サイズ格子系に戻って構成的論理構築を
展開 しボゾン化の基礎付けを行った 【
2
8
]
.ここでは前
と与えられ る.Kq-1は,「
スピン励起に関 しては相
者 に従って実用的な要点をま とめる.右向き,左向き
互作用効果無 し」 とい うことを意味 している.
フェル ミオンの演算子を
ボゾン化 された演算子を使 うと遅延 グリーン関数が
計算でき,
言霊
≡嚢
工芸 ;二…禁 ,
,
a(
'
x,
冒
慧
,(
3
0
)
GR†
(
I,
i
)- -iO(
i
)
く
く
RT
(
I,
i
)
,
RI
T
(
0,
0
)
)
)
と書 く.αは短距離カ ッ トオフ,α -†/Jはス ピン・
α(
I
)は:
,ボゾン自由度 宛(
I
)
,と共役 (
ジョ
位相 ◎R/L,
α(
I)-7
r
l
x
l
l
α(
y)
dyを使って
セ フソン)自由度 0
(
I)I0
a
◎
R
,
a
(
I
)
-匝
+
〈
が得 られ る (
αは短距離カ ッ トオフ)【
導出は 【
2
7
廿 1粒
子分布関数は
(
I)
]
/
2,
α(
I) O
a(
x)
]
/
2,
-l
Qα
◎L,
α(
a)
a+iupt)2+x2
(
I-u
p
i
)
(
I - uq
t
)(
と書け,これ らはさらに電荷 pとスピンUのチャンネ
ルに組み分けられ る:
n(
k)∼ 芸IC
OnS
t
・
S
gn(
k-kF)
l
k-kFET・
となる.これ らを Fi
g.11にまとめてある.
¢p
/
q- [
4
・
†土4
,
1
]
/
J5
,o
p
/
q- l
oT士 O
l
]
/
V
6,
ここに,
anomal
ouse
xpone
ntと呼ばれる重要な指数
ん(
I
)
-O
u
(
I)
】
/
2,
≡
≡
】
¢U
(
x)十O
v(
I)
]
/
2,
〈◎L,〟(I)-[
◎R"(
I)-[
p+1/Kp - 2)/4
7- (
K
(
i
,-P,
C
r
)
・チャンネルの組換えの際,共役関係
が現れた (
相互作用がなければ 7-0
)
・9
芸を無視 して
l
QI
L
(
I)
,uy)】-iu6(
3
:
-y)
,
II
(
6p
(
F
L
,
Z
,- P,
q)のチェックには注意 を払 う(
特に多バ ン
これを 9
2
*について展開すれば 7-(
9
2
*
)
2
/
4+0[
(
9
2
+
)
3
]
となる.一方,摂動的繰 り込み群で 2ループの 自己エ
ネル ギー補正か ら出て来 る βの固定点での値は β*=
i
me
→∞0
2- (
9;
)
2
/
4である.相互作用が小 さい限 り
ド等でチャンネルが多い場合は要注意)
・組換 えのせ l
β
*
が等価
であることが判
る.低温の応答関数 は
Tと
いで混乱するが,例 えば
【
2
9
】
RT
(
I)- 去
H
ei
kFXZ
J5◎R誹
/
=P,
qe i
,
(
31
)
cDW ∼TK -1
l
l
nTr 3/2
p
E ≡】
双対
となる (
ma
s
t
e
rf
or
mul
aを使 ってグリーン関数を計算
す るとき使 う)
.
TL模型は位相ハ ミル トニアン
V
妄g
?/ dxl
去( w
HiL
ax
SS∼Tl
/
Kp-1
l
l
nTI
l3/2
sDW ∼TKp
-1
l
l
nTLl/2
E
≡
:
】
双対 TS∼Tl/Kp-1ElnTl
l
/
2
,
'
2・TKu
nv
'
x'
2
]
u
s
J
紬蒐 (
鋸
湖 )
2IKy(
axO
v
'
x。2
],
となる (
CDW -2kF電荷密度波,SDW-2k
Fスピン密
度波,SS=シングレット超伝導,TS- トリプレット超伝
dua
l
i
t
y)は Kp -1
/
Kp の入れ替えに対
導)
・双対性 (
する対称性 を意味 している.絶対零度-向けてベキで
の形に書き変えられ る.つま りス ピン励起 (
ス ピノン) 成長す る相関 (
量子臨界性)が見て取れ る・Kp<1(
斥
と電荷励起 (
ホロン)は独立な (
C-1
)ガウシアン理論 力ハバー ド模型の場合に対応)な らス ピン密度波相関
で記述 され (
スピン電荷分離)
,ともにギャップ レス励 が他を凌駕 して優勢 となるが,これは対数補正まで考
-
517 -
講義 ノー ト
慮 して始めていえることである.他の平均場状態 との 9112
92,
が現れたが,91-92モデルの場合 と違って今度
は G も"流れる"ことに注意 しよう.-バー ド模型を考
競合がいかに微妙なものであるか判 る.
TL液体の比熱 7,スピン帯磁率 x,電荷圧縮率 F
c
,- えて繰 り込みの初期値 を 91;
0- 92;
0- 93;
0- U/
打VF
の補正はそれぞれ,
孟 -緩
+冨 )
,芸
と設定する・1ループ レベルだとG も93も発散 して し
冨
)
芸 -Kp; , (
3
3
)
ま うが 2ノ
レープまで進む と非自明な固定点 (
nont
r
i
vi
l
a
丘Ⅹe
dpoi
nt
)
ウイル ソン比は Rw -2
up/(
up+uq
)と与 えられ る・
5
)と対比 してみよう・
フェル ミ液体補正 (
g
l
*- 07
9
3
*- -G*- 27
が現れ る.93,G の絶対値はともに初期値か らどん ど
ん成長 して弱結合領域を突き破 り2とい う強結合値に
格子上の電子系に対 して連続極限をとった時点で格子 落ち着 く.この意味で,この固定点は強結合固定点で
の離散性 は塗 り潰 され,電子が 1格子点あた り何個 ある.
9 モ ツ ト絶縁体
(
o≦ n ≦2
)いるのか (
充填率)
, とい う情報はフェル
ミ波数に吸収 されて終いである.しか し,充填率が有
A
.-様なホッピング,I
/
2フィリング 由P 9
.
1
節
′
土′
土′
i
」、
+++ ++ + +
理数 n
/
mである (整合 フィリングと呼ぶ)場合,逆格
子ベ ク トルを吸った り吐いた りする散乱過程が現れる.
電子
2
k,ウムクラップ散乱
k
F
k
F
これがウムクラップ散乱である.ウムクラップ散乱で
は,実空間で見ると同方向-走る複数の電子が同時に
反対方向-折 り込 まれて (
umkl
a
ppe
n)散乱 され るた
め電子の遍歴性が顕著に抑制 され る.格子系を背景 と
して電子波の定常波が形成 され るといっても良い.広
C
-k
F
L_
:;
≡
て
鮎 …ン
混
b.ダイマー化したホッピング.1
/
4フィリング
●
電子
く,電子相関によるウムクラップ散乱が引き起 こす絶
( (●
(t
lt
2(t
lt
2 唱F 実例
●
●
:TM 系 (
1
6
.
1
節)
縁体をモ ツ ト絶縁体 と呼ぶ.Fi
g.20に,い くつかの
単純な場合のウムクラップ散乱 とモ ット絶縁体の関係
/
m な ら逆格子ベ ク トル は
を示す.一般 に,充填率 1
mkF となる.この場合のウムクラップ散乱を mkFウ
ムクラップ散乱 と呼ぶ.
k
F
・
n
a
t
n
i
d
b
d
in
g
監
嘉
鮎
格子
議 .
=
7
-
〕
手
∴
.k
f-冗′2
℃
k
>
4
プ
6
3
乱
㌔
9.
1 ハー フフ ィ リングの場 合
Fi
g.20a)の場合 ,2kF-ウム
さて,ハーフフィリング (
クラップ散乱 (
強度を93と書 く)を入れて 2ループ レ
ベルの摂動的繰 り込みを実行す ると,自己エネルギー
..
LÅ.
L
/F
i
. 4'
補正か ら
か、
/
b
C
由F
.\
-様なホッピング
i+
実例 :pl
結晶格子
DCN
,1
QⅠ
/
)
4
2フィリング
Ag(
1
6
.
3
節)
k
d
F 4k3
Fウムクラップ散乱
k
F
k
A k
4
F
3 l
k
.
か
O
-(
g至十 g2I 91
92十g
3
2
/
2)
/
4,
が得 られ る.結合定数の繰 り込み群方程式は
d
g
l
/
d
ed
g
2
/
d
e-
Fi
gur
e20:いろいろなウムラップ散乱 とモツ ト絶縁体
g
-91
92 +(
91
921 g至) l f
/2,
ppループ phループ 2ループ
非 自明な固定点の物理を直接考察す るには再びボゾ
93
2
G)
/
4,ン化 を用いる.対応す る固定点の有効ハ ミル トニアン
/
2
+
(
g
2
+
9
3
2
)
/
2
-(
g卜
(
g
f
+
9
2
)
ppループ
phループ
2ループ
d
9
3
/
d
eニ ー93
G -(
9
3
G2+9
3
)
/
4,
phループ
はサイン ・ゴル ドン模型
2ループ
H
G-c
ons
t
.
)
2-932に沿った繰 り込みの流れ
とな り,(
が得 られ る.ここにも電荷圧縮率 と関係す る量 G-
-5
1
8-
s
*
G
-U%
/d
xl
'
a
x
W '
2 n
v
'
x)
2
]
十念 /
dxc
os
l
声 高 ¢^x)
]
, (
3
4)
S 5
十
「
第4
7回 物性若手夏の学校 (
20
0
2年度)
」
となる.
2
3 さて, この非線型項をガ ウシアン項に対す
る摂動 とみて 93の 2次のオーダーまで評価 して繰 り
込み群方程式 を立ててみ よう.
24 ウイグマン流の処方
[
3
0
]に従 うと,
% -2(
1-Kp)93
,
3
93
2K p
3・
0
.
2
が得 られ る.
2
5 ここで A-/
.
ldpp3
Jo
(
p)であ り,Ae Åo
e
-2は時空カ ッ トオ フである.
0.
4
0.
6
0.
8
Fi
gur
e21
‥厳密解 と繰 り込み群によるモ ッ トギャップ
の比較
evant
初期値 の Kp<1な ら93は rel
(
3
5)
とな り,つ られて Kpがゼ ロに繰 り込 まれ る [
非圧縮
9.
2
一般 の整合 フ ィ リングの場 合
3
3
)を見 よ]ことがわか る・ Kp< 1は 例 えば 1/
性 絶縁 体 ,(
4フィ リングの場合 ,4毎 ウムクラップ散乱
U > 0に対応 してい る. 93 が rel
evantであれ ば, は Fi
g.20Cに示 したよ うな多重散乱 によって生成 さ
¢p
]項 が支配 的 とな り,位相 4,
pが ロック れ る. これ をフェル ミオ ンのまま議論す るのは見 る
c
osl
僻
され,電荷励起 にギャップが開 く.
か らに困難であるが,ボゾン化 を使 うと容易 に扱 える
さて,電荷ギャップ (
モ ッ トギャップ)の正確な大き [
3
3
]
.フィ リングが 1/帆(
m は偶数 とす る)
2
6である場
さについてはベ-テ仮説 によるハバー ド模型の厳密解 令,もとの フェル ミオン演算子で見 ると m毎 の高次
【
31
】か ら
ウム クラ ップ散乱は [
Rl
]
mLmと書ける.これ を (
3
0)
、・
声
-t
(
6)- 蒜
Å ex
を使 ってボゾン化す ると,(
3
4)と同様 に
1
上∞ dn
J
蒜石 Qp(x)],
喝 F∼gX-/dxcosl
m
(
6 - U/
7
T
V
F)であることが知 られている.
一方,繰 り込みフローか ら電荷 ギャップを見積 もる なる非線型項が現れ る.この項のスケー リング次元は
ことが可能である.ウムクラップ散乱強度が強結合領 D - (
m周
2
/
47
T- m2Kp/2であるか ら,条件
e
g
a
p- 1 (
域 に突入す るエネルギースケール,つま り93;
3
5)は,
で決まる △ RG -E°
e
-egap をギャップの大き さと見な
x
a
c
tの U依存性 を比較す
す ことができる.△ RGと △。
ると,少 な くとも弱結合領域 6 ≪ 1では両者の一致
が見 られ,繰 り込み群 によるギャップ同定の信頼性 が
わかる (
Fi
g・21)
・
23フェル
ミオンで書いた ウムクラップ散乱 Rt
RI
LLを (
3
0
)を
,
- ¢p V% o
p- op
使 ってボゾンで書 き,さらに 4
・
p/席
と置 き換 える.
24このロジックだ と,まず 9
1
0l
og
yで元のフェル ミオン系の繰
r
gi
na
l
/
r
e
l
e
v
a
ntな項のみを残 し,
り込み フローを調べる.次に ma
そのような項をボソンで書 く.その結果得 られたサインゴル ドン
模型 に対 し再度繰 り込みを している,とい う混乱めいた印象を受
i
r
r
e
l
e
va
ntな項も含 めて最初か らボゾン化 して
けるだろ う.実は,
も等価な繰 り込み群の議論 に至 る.この意味で,1次元 繰 り込み
群解析 をフェル ミオンのまま進 めても,始めか らボゾン化 して進
めて も結論は等価である (
等価でなければオカシイ)
.ただ,フェ
ル ミオンのままの進め方は高次元の場合でも使 えるので,この意
味では一般性があるといえるだろ う.この当た り,技術的な問題
1
4節での議論が参考になると思 う)
.
も絡むので微妙である (
/
m2 な ら g
X
mは rel
evant
初期値の Kp <4
(
36)
と一般化できる・m -4な ら Kp <1
/
4でない と絶縁
化が起きない ことになる.o
ns
i
t
e斥力 U のみ含むハ
バー ド模型の場合 ,Kp を U に関 して摂動展開する と
Kp- 1- U/
2
7
T
VF +
0【
(
U/
7
T
VF)
2】となるので,(
摂動
破綻 を知 りなが ら)
打 を大 きくすれ ば絶縁化が起 こる
かに思われ る. ところがフィ リングを 0≦n< 1で
n- 1はモ ッ ト絶縁体なので特異点 )U を ど
振って (
んなに強 くして も,墜
Kp >1/2であることが知
られ てい る [
3
2
】
t摂動的には,長距離 クー ロン斥力 を
Kpの厳密な下限は不
入れ ると Kpを小 さくできるが,
明である.
高次 ウムクラップ散乱による絶縁化は,実空間で見
ると電荷整列(
CDW)に対応す る (
Fi
g・20Cを見 よ)
.
2
5
β- 僻
と置 くと,繰 り込み群方程式は時空次元 d/
4フィ リングで
1+1- 2とスケー リング次元 D -β2/
47
Tを用いて d
g/
d
e- 実際,妹尾 ・福 山の平均場解析では 1
(
a-D)
93ときれいにまとめることができる・一般に,共形 スピ 最隣接サイ ト間クー ロン斥力 V があれば 4kF電荷整
/
47
Tを持つ摂動 c
os
l
卵 ‖ま,
ンゼ ロ,スケー リング次元 D - β2
26奇数の場合,電荷 とス ピンの 自由度がカ ップル して状況が複
a> D な ら r
e
l
e
v
a
nt
,d<D なら i
r
r
e
l
e
v
antである (
【
1
7
1の 2
2
雑になる.詳細は [
章参照)
.
3
3
ト
- 51
9-
講義 ノー ト
列が起きることが示 されている 【
3
4
]
.(
TMTTF)
2
Ⅹ系
これがスピンギャップ金属の描像 (
Fi
g.22)である.
や(
DI
DCNQI
)
2
Agは現実の 1
/
4フィ リング擬 1次 さて,2粒子シングレッ ト対は超伝導の種である.こ
元系であ り,実際に 4kF電荷整列が観測 されてい る. れがマクロに凝縮すればコヒー レンス長の極端に短い
しか しなが ら,高次整合 フィリングによるウムクラッ 新奇の超伝導出現が期待 される.この状況を 2次元銅
プ散乱,これに起因す る絶縁化 と電荷整列 を非摂動的 酸素面で起 こる高温超伝導 と対比 して見よう,とい う
に理解す る問題 は,依然 o
pe
npr
obl
e
m であるといえ あた りが 90年代半ばに梯子型電子系研究が勃興 した
よ う.酸化物高温超伝導の母体であるモ ッ ト絶縁体 も 所以である.
2次元 ウムクラップ散乱が引き起 こしていることは明
しか し,梯子は電子鎖 2本が桟によって結ばれた 1
らかであるが,これを うま く取 り込むのは至難である 次元系である.孤立 した梯子では長距離秩序は望めな
(
1
7節の議論 も参照のこと)
・ウムクラップ散乱の物理 い.乱れの効果 も甚大であろ う.そこで系に圧力をか
を明 らかにす ることは, 「
運動量空間における折 り返 ければ梯子間に 3次元的なネッ トワークができて超伝
し」 と 「
実空間での局在」とい う電子の 「
波動性」 と 導がおきるのでは?と期待 される.この期待を現実のも
「
粒子性」の両面を同時に記述す ることを迫 る大問題 のとしたのが秋光グループによる Sr
1
4
_。Ca3
,
Cu2
4
04
1
である.ウムクラップは,低次元強相関電子系の根底
に横たわる 「
つわもの」であるといえよ う.
系の超伝導発見 【
3
7
]である・
梯子型ハバー ド模型に対 して了 1ン ド間の遷移に伴
う 6種類の結合定数の 2ループ繰 り込み を実行す る
10 梯子系 とス ピンギャップ金属
と,バン ド内前方散乱 (
9
占
1
)
)とバ ン ド間 トンネル散乱
(
g
t
(
1
)
,
g
t
(
2
)
)が強結合領域-繰 り込まれ,強結合固定点
1次元電子系の,よりエ キゾチ ックな固定点が梯子型 が現れ る 【
3
8
]
・固定点のハ ミル トニアンをボゾン化す
3
5
】に見 られ るスピンギャップ金属である・梯 ると,結合性電荷モー ド(
伝導体 [
桟上シングレッ ト対の重心
/2ハ 運動)の位相のみがギャップ レスとな り,桁上電荷の相
子上電子系は,ハー フフィリングの場合 β - 1
イゼンベル ク梯子系 と等価である.この場合,再隣揺 対運動モー ド,2つのスピンモー ドの位相はロックさ
サイ トス ピン間の反強磁性交換相互作用 としては梯子 れてギャプが開 くことがわかる [
3
8
]
.これは 「
梯子の
桁上を滑走す
るシングレッ
ト
対」の括像
と整合す
る.
J‖
)と桟方向のもの (
Jl)がある・Jl
桁に沿ったもの (
が正 (
反強磁性的)で有限であれば同一桟上の二つの
∫- 1/2がシング レッ トを組んでス ピン励起にギャッ 11 弱結合、強結合固定点と準粒子 ウエ
イ トの繰 り込み
プ(
スピンギャップ)が開 くことが知 られている.27
反強磁性スピン梯子にホール を ドープす ると,ホー
1次元電子系の様々な固定点 と準粒子 ウエイ トの繰 り
ルは背景のシングレット対をできるだけ壊 さないよう
込みの関廃 を議論 しよ う【
4】
.準粒子 ウエイ トの繰 り
に入るだろ う.ホール ドープによって孔が開いたため,
込み群方程式 (
2
5
)をハバー ド模型 (
U>0)の場合に
シングレッ ト対は桁上を滑走す る.
解いて O
eの赤外固定点での値をま とめると,
○ 朝永ラツテ ィンジャー液体 :弱結合固定点
向
桁
方
1!
=⇒ 0㌧ l
i
me
→∞ Oe
-U2/1
67T2埠 ≪ I
○ モ ツ ト絶縁体 :強結合固定点
=⇒ β*-l
i
mh ∞ βゼ-3/
4
○ スピンギャップ金属 :強結合固定点
Fi
gur
e22:ス ピンギャップ金属
27J
⊥の符号に依 らず絶対値 が有限であれば必ず ギャップが開
く(
J
lの絶対値を振った ときに量子相転移は無い)
・J
lを負 (
蘇
/
2がフン ト結合に
磁性的)に して どん どん強めてい くと S -1
よって S = 1となって桁上に並んだス ピン 1のハイゼ ンベルク
となる.対応す る繰 り込みの流れを描 くとFi
g.23の
よ うになる.いずれ低エネルギー極限で準粒子 ウエイ
トはゼ ロに繰 り込まれ るが,強結合固定点を持つ系の
場合準粒子
ウエイ トの死に方が激 しいことが見て取れ
鎖(
ハルデ ン系)ができる・ハルデ ン系にはスピンギャップ (
ハル
デ ンギャップ)が開 く.この意味で,反強磁性ス ピン梯子 とハル る.TL液体の場合,準粒子 ウエイ トは非常に緩やか
デ ン系は同 じユニバーサ リテ イクラスに属する.スピン梯子 とハ
ルデン系の連続的な繋が りと磁気励起の関係を示唆す る重要な実
験事実が,静帯磁率 と核磁気緩和か ら見積 もったギャップの大き
3
6
1であ
さを様々な系についてプロッ トした伊藤 ・安岡プ ロッ ト 【
る.このプロッ トは示唆に富んでいるが,背後にある磁気励起 と
ギャップの関係 は未解決問題 である.
-
に減衰す る.A-6,つま りLJ ∼1
0 3Eo
(
-1
K 程度の
5程度で
エネル ギースケール)に至ってもまだ Z -0.
ある.これに対 し,モ ッ ト絶縁体やス ピンギャップ金
属ではこの程度の温度スケールですでに準粒子 ウェイ
520 -
「
第47回
物性若手夏の学校 (
2
0
0
2
年度 )
」
b程度になると系
トは死滅 してお り,非 フェル ミ液体効果が顕著に見え ない為である.温度 を下げて T ∼ l
3
次元的なネッ
トワークが浮き出
してくる.この先
の
て くる.この事情は,す ぐあとで次元性効果を議論す
る際の重要ポイ ン トとなる.
低温-向けて系の辿る道筋には二通 りのパス考えられ
る(
Fi
g.2
4)
.
2
4
6
8
1
0
Fi
g
ur
e2
4
:擬 1次元電子系の辿る二つのパス
Fi
g
u
r
e23:準粒子 ウエイ トの繰 り込みフロー
つま り,フェル ミ液体相を経ずに相転移が起きて長
12 ア ンダー ソン絶縁体
TypeI
)と,いったんフェル
距離秩序化が起きる場合 (
ミ液体相を経て,フェル ミ面の不安定化 とい う形で相
ここまでで,電子相関が引き起 こす TL液体,モッ ト絶
TypeI
I
)があ り得 る.TypeIの場
転移が起きる場合 (
縁体,スピンギャップ金属 とい う3つの固定点を見た.
令,骨格 となる 1次元系の優勢なべキ相関がそのまま
残 るひ とつの 1次元電子系固定点が,乱れ によるアン
3次元的に凍結 した と見ることができる.ここで
ダー ソン絶縁体である.1次元電子系に乱れ を入れ る
Q1.相転移温度は鎖間ホッピング強度 と同程度か?
と必ず局在する.これを摂動的繰 り込み群で見るには,
不純物 による前方散乱 と後方散乱を取 り入れ,レプ リ
が問題になる.これ に対 して繰 り込み群で答えようと
カ法を使って作用を書き,繰 り込み群方程式を立てれ
4
0
]
.
い うわけである [
ばよい.その結果,初期値が どんなに弱 くともランダ
ムポテンシャルによる後方散乱が成長 して系が局在す
13.
2 鎖 間 2粒子過 程 の生成 と繰 り込 み
ることがわかる.興味深いのは電子相関 とアンダー ソ
TypeIの場合,低エネルギー-向けて (
繰 り込みの過
ン局在のインタープ レイである 【
8
,3
9
ト
程で)ダイナ ミカルに生成 される鎖間 2体相関の成長
が相転移の鍵 を握 る.
2
8 このように繰 り込みの初期値
13 次元性効果
では存在 しなくても,繰 り込みが進む過程で発生,堰
13.
1 一般論
殖す る過程が現れることがある.このような場合,こ
1次元金属に対す る次元性効果 を調べ よ う.1次元金
のタイプの過程をあ らか じめ繰 り込みの初期段階で有
属が弱い 1電子ホ ッピング t
⊥によって レギュラーに 効作用に取 り入れておかな くてはな らない .29
繋がれ スタックした擬 1次元系を考える.これまでの
話で,
1次元系 :長距離秩序 ×,準粒子 コヒー レンス×
3次元系:長距離秩序○,準粒子 コヒー レンス○
とい うことが判っている.擬 1次元系ではどうなるだ
ろ う.例 えば,擬 1次元有機導体 TM 系は伝導性の高
い順 に 3つの結晶軸 a,
b
,
Cを持 ち,それぞれの方向の
ホ ッピング積分強度は t ∼ 0.
1
e
V,
L
b∼ 0.
01
e
V,t
c
0.
001
e
V,程度である.t
b≪ T ≪ t
a なる温度領域で
a
∼
は熱揺 らぎのせいで系は 1次元的に振舞 う(
熱的閉 じ
込め)
.鎖間方向にコヒー レン トなバ ン ド運動ができ
28この過程は,隣接 した二つの超伝導体間にバーチャルな粒子 ・
粒子対 トンネル (
ジ ョセ フ ソン トンネル)が起 きてオー ダーパ ラ
メー タの結合 (
ジ ョセ フ ソン結合)が生 じる機構 と本質的に同 じ
lの生成 は TypeIに限った ことでな く,極
である.この点で ,V
めて一般的な ことである.後述す るよ うに,いまの (
次元 クロス
オーバーの)コンテ クス トでは,
Vlが発散す るエネルギースケー
⊥ が強結合領域-繰 り込まれ るス
ル と,鎖 間 1粒子ホ ッピング t
peIと TypeI
Iを分別す る.「
気持 ち」 とし
ケール を比較 して Ty
ては,Ty
peI
Iの場合,t
⊥が発達 してフェル ミ面の曲率が無視で
きな くなる と,1ループの対数特異性が潰れ る為 Vlの成長 は著
Vlは i
r
r
e
l
e
v
ntとは言わな
a
しく抑制 され るはずである.よって,
いまでも,少な くとも 1次元的なべキ相関の凍結 はあ りえないだ
ろ うとい うことになる.
29強相関系では,繰 り込みの初期段階で はゼ ロ (
あるいは非常
に小 さい)であるよ うな過程が多体効果によって生成 され,繰 り
-5
21-
講義 ノー ト
鎖 間 2 粒 子 過 程 に対 す る繰 り込 み 群 方 程 式 は
Fi
g.25の様 に措 ける (鎖 内相互作用 を○,鎖間の
1電子ホッピング (
t
⊥)過程をジグザグ線,鎖間 2粒子
結合 をLで表す)
.
紅
Fi
gur
e26:鎖間 1粒子過程の繰 り込み
三 - ∼t
l
g
2 -g
V
1
__
._
--V12
Fi
gur
e25:鋲間 2粒子過程に対する繰 り込み群方程式
意す ると,鎖間 1粒子過程に対す る作用には単にファ
クター
(
1ld
e
)
2
〔
11(
0
2-3)
d
e
/
2
】
2- 1+(
1-O
e
)
d
e
式で書 くと
がかかるだけ (
つま り鎖内スケー リングの効果を被 る
d
V
l
;
e
Vl;
2-芸V1
2
;
i
,
i
;
e
g
e
2
・g
e
d
e --1
だけ)とい うことになる.これ よ り直ちに繰 り込み群
(
37
) 方程式
t
⊥;
i
+de-[
1+(
1-0
2
)
d
e
】
t
⊥;
e
の形になる.第 1項が鎖問過程の生成,第 2項がその
指数関数的成長をもた らし,第 3項によって発散が起
-
きる.この発散は RPA(
平均場)的な不安定性 に対応
響
- 1- 0
2
(
39)
してお り,発散 Vl;
e
c- -∞,が起きるエネル ギース が得 られ る. ここで,準粒子が コヒー レンスを回復
ケールに対応す る温度
する (
1粒子クロスオーバー)エネル ギースケール を
Tc
RG -Eo
e
-e
c
t
⊥;
e
l
ロ -E
oによって定義 しよ う・ 対応す る温度ス
(
38) ケールは
で相転移が起きることを意味す る.この扱いは 「
鎖内
TI
R
p
G-Eo
e
-e
l
P
(
40)
の相関をできるだけ正確 に (
いまの場合は 2ループ レ
グェル繰 り込み群)扱った上で鎖間方向については乱 である.このエネルギースケール以下では鎖間のホッ
雑位相近似を用いる」とい う鎖間平均場近似 [
41
]と本 ピング積分が鎖内のバ ン ド幅程度 にまで成長 してい
るため,鎖間方向にも 1電子コヒー レンス (
準粒子 コ
質的に同等である.
ヒー レンス)が十分発達 していると考えるのである.
26)
,(
37)
,
以上まとめると,3本の繰 り込み群方程式 (
13.
3 鎖 間 1粒子過程 の繰 り込 み
次に鎖間 1粒子過程の繰 り込み (
i
⊥の繰 り込み)を考
えよ う.隣接する鎖-の飛び移 りの度合いを考えるの
であるか ら,隣の鎖にどれだけ跳びやすいか ?つま り
(
39)を連立 して解き,(
3
8)と(
4
0)に従って Tc
RGとTI
R
p
G
を決定 した結果
TypeⅠ
:TI
R
p
G<Tc
RGである場合,
鎖内の 1粒子状態密度 (
準粒子 ウエイ ト)が どれ くら
いあるか?を考えればよいことになる.これは鎖内自
長距
鎖内の優勢なべキ相関が 3次元性によって凍結 (
離秩序化)し,T - Tc
RGでインコヒ- レン ト金属相
か らの相転移が起 きる.
己エネルギー過程の問題であ り,準粒子 ウエイ トが大
きければそれだけ飛び移 りの度合いが増す.繰 り込み
TypeⅠ
Ⅰ
‥TI
R
p
G>Tc
RGである場合,
g.26の形になる.
をダイアグラムで書 くと Fi
T-TI
R
p
G付近で準粒子 コヒー レンスが回復 し,フエ
ここで t
⊥が小 さいので鎖間方向の熱的 コヒー レン
ス長が鎖間距離 と同程度にな り,鎖間方向に対 しては
スケー リング仮説 を適用す ることはできない ことに
注意 しよ う.言い換 えれば,鎖間方向の波数 k
⊥は繰
り込みの過程で不変でなくてはな らない.この点に注
込みの流れ を分岐 させ,しまいには予想 だに しない赤外 固定点に
向かわせ る可能性 が常にある.
-
ル ミ面が形成 され る. しか しフェル ミ面は低温で不
この事情をより直感的に Fi
g27にま とめてお く.
14 TI
J
液体の不安定性
弱結合固定点である TL液体に対す る次元性効果を概
観 してお こう.この場合,弱結合であることが幸い し
522-
低
次
元
d
I
ー
(
例
え
ば
)
圧
力
に
よ
→
l
1
次
元
ベ
キ
棚
の
凍
別
次
元
性
コ
ン
ト
ロ
ル
l
相
子
コ
ー
T
ヽ
卓
∼
P
モ
⊂
<
l
′
J
.
【
n
I
.
尋
盛優 雅
…
ら
ぎ
カ
1
也
血
次
元
ベ
キ
相
髄
の
る
「
第47回 物性 若手夏 の学校 (
2
0
0
2年度)
」
井次元* が小 さい (
厳密解は β≦1
/8を与える)ので 1粒子過程
レンスの尭al は繰 り込みが進む と指数関数的に成長す る.この結果,
感
Ty
peI
Iの流れだけが実現す るこ とになる.繰 り込み
2-U/
7
T
VF, t
⊥- t
⊥0,VsDW -0
,
の初期値 を 91-9
⊥Oを振 ると,Ty
peIの SDW 転移温度に対応
として t
す る温度 Ts
R
D
G
w はつね に T
I
F
p
L
Gの下に埋 もれて しま う
◆
卓
t
」
ト
⊂
r
′
ヽ
ト
I
l
<
Ⅰ ことが判 る (
詳細は 【
4
2
】内で議論 した)
.斥力 U>0を
どんなに強 くして もこの相 図は定性 的に変化 しない.
peI
Iの流れ
つま り,摂動的繰 り込み群の枠内では Ty
のみが実現 し,TL液体 は不安定 とい うこ とになる.
1
4.
2
Fi
g
ur
e2
7
:次元性効果 と秩序形成.TypeI
,Ⅰ
Ⅰどち
らが起 こるか繰 り込み群 で判定できる.
ス ピン レス フェル ミオ ン 2本 鎖 :ボ ゾ ン化
次にス ピン レスフェル ミオ ン (
TL液体の電荷 自由度
だけを取 り出 した と考 えて よい)2本 が鎖間のフェル
ミオ ンホ ッピング i
⊥で繋がれた系 を考 える.ボゾン
て複数のアプ ローチが可能である.朝永ボゾン,ス ピ 化 を用いて位相ハ ミル トニアンで記述 したのちに繰 り
43
]
.この模型 はお もちゃ (
t
o
y
込み群解析 を実行す る 【
l
)といえるが,ボ ゾン化 によって鎖 内を非摂動
生 き残 る (
鎖 内に 「
閉 じ込 め」 られ る)か否かが焦点 mode
となるが,議論は収束 してお らず名 うての難問 として 的 に記述 で き るのが利 点 で あ る.位 相ハ ミル トニア
残 ってい る.
対称 (
+)モー
ンは鎖 1上の位相 と鎖 2上の位相の和 【
ン電荷分離 といった TL液体の個性 が次元性 に耐 えて
ド]と差 【
反対称 (
-)モー ド】に分離 できる・ボゾン場
1
4.
1
無 限 本 の ハ バ ー ド鎖 に対 す る摂 動 的 繰 り ◎I
Lと OI
L
(
F
L- 土)の共役関係 に注意 を払いなが らボ ゾ
込 み群
1(
I)- 7
1+(
a)+7
1_(
3
:
)
,と分離できる.
ン化す ると,7
まずはこの間題 を前節で述べた摂動的繰 り込み群で扱
7
1+(
x)はガ ウシア ンで
4
0
,4
2
ト この方法だ とハバー ド鎖 が無限本並ん
お う【
で格子 を組んだ現実的な系を扱 うことができる.前節
7
L(
I)-
L
⊥
に従って容易に繰 り込み群方程式を立てることができ,
d
gl
/
2, 雷 --g
f
/
2-gf
/
4,
面
-g
f-gf
dl
nt⊥
dL
T -ト 0-1一 芸(
91
2・92-91
9
2
)
,
両
・
市
c
osl
J5
m
2
J
1
坪 c
osl
v
6m
]o
s
【
市
- c
-
]
I&
町
c
o
s
l
前 売O
]
・
となる・
k-1/K であ り,t⊥の項は tll
Rh
dVsDW
;(% 92)2・;92VsDW
・
去[
(
∇O-)
2+(
∇◎-)
2
]
十 Li
Ll
]
,
J
lの項 は J
iR去
L2
Li
Rl
,
i
_
Lの項 は J
∼
lR!
L!
LI
Rlか
- ivs
2
DW ,
ら来 る (
例 えば 月2は鎖 2上の右 向きフェル ミオ ンの
が得 られ る.優勢 な相 関は 2毎 ス ピン密度波相 関で 演算子)
.Jl,Jlが繰 り込みの過程で生成 され る鎖間
あ り,対応す る鎖 間相 関の強 さを VsDW とした.
2粒 子過程 である. この位相ハ ミル トニア ンに対 し,
さて,簡単の為 0のスケール依存性 を無視 して t
⊥ ウイグマ ン流の繰 り込み操作 を施す と繰 り込み群方程
の繰 り込み群 方程式 を解 くと,l
⊥o
e(
1e
)
e
l
P- E。よ 式 【
4
3
]
り 1粒子 クロスオーバー のエネル ギースケールが
(
蟹)
古-t (
%)
競,
・I
R
p
G - Eo
e-L
I
P-Eo
⊥o
と求まる・0-0な らTI
R
p
G-t
⊥oであるが,0>0な ら
dl
nK/
d
e- 喜仁 KJ
2+j
2
/
K),
dt
⊥/de-(
2I1
/
2
K -K/
2)
t
⊥,
d
∼
Jl/
d
e-t
2
1(
K -1
/
K)+2(
1-K)Jl∼,
dJl/de-t
2
1(
1
/
K -K)+2(
1-1
/
K)J_
L,
TI
R
p
G<t
⊥oとな り, 「
電子相関が次元 クロスオーバー が得 られ る.繰 り込みの初期値 K -Ko,t
⊥- l
⊥O
,
エネル ギースケール を抑 える」 ことが判 る (
1
3.
1節最
J= j= Oを与 えて これ を解 く.K の繰 り込み群方
後 の Q1.に対す る答 え)
.弱結合 固定点 を反映 して β 程式 の右辺 に J,Jが現れ てい る点 に注意 しよ う. こ
-
5
23-
講義ノー ト
g. 28 に示
のために 方 か 1
/
ガ のいずれかは必ずゼ ロに繰 り込 の挙 動 を見 るの で あ る.す る と,Fi
⊥ は必ず i
r
r
e
l
e
v
antとい す よ うに t
まれ ることが判 る,つま りt
⊥ が入 る と準粒 子 ピー クの現れ る こ と
うことになる.これは閉 じ込めを意味 しているのだろ が見 て取れ る.対応 す る準粒 子 ウエ イ トは Z =
に 2-(
Ko+1
/
Ko
)
/
2-0で決まる臨
うか?特に Ko
-him G
界値 Ko
*-2-∨
乍 ∼o
・
28があって,Ko<Ko
*なら
t
⊥は単調減少 してゼ ロ-向か う.ツベ リックはこの場
k
,
E
)
I
D(
-hi
mG
3
D
(
k
,
E
)
/-・き≡言
s
t
r
ongc
on丘ne
me
nt
)
」 と呼んだ
合を 「
強い閉 じ込め (
【
4
4
ト しか しなが ら再び注意が必要である・低エネル
⊥がゼ ロになるか らといって 「
閉じ
ギー漸近極限で t
込め」が示 されたことにはな らないのである.√Lあ
るいは Jが強結合領域に繰 り込 まれて 2粒子 クロス
オーバーが起 こる可能性を併せ ると,この場合 も結局
固定点で TL液体は壊れ ると考 えるのが妥 当である.
30
この点はヤコベ ンコによって強調 された.
「
二 二丁 一
一
二
Fi
gur
e2
8:配位数無限大系のスペク トル関数
⊥
/
k-kF)
2+t
2
_
Lで与えられ,準粒子 ピー ク
ここで K の繰 り込み群方程式の右辺に J,
Jが現れ f △u2(
k-ki
i+ △u2
た点を強調 してお く.これは,鎖間 2粒子過程が鎖内 位置は E
(
k-kF)
2+t
2
J
_となる・ここ
過程 を繰 り込む フィー ドバ ック効果であ り,t
⊥をゼ で i
l- 圭(
up+u
q)
,
△u- i(
up- uq)・この処方は準
粒子
コヒー
レンスを直接議論できるとい
う利点を持つ
ロ-追いや る主役 となる.この効果を前節の摂動的繰
り込み群で扱 うのは至難であ り,2本鎖をボゾン化で が,なにぶん配位数無限大 とい う非現実的状況を考え
ている.
扱 って始めて明 らかになる点である.
3
1
以上,TL液体の不安定性を巡る三つのアプローチ
3
14.
配位数 ∝)
の極限
を紹介 した.どのアプローチもそれぞれに長所 と短所
を抱えている上に結論 も整合的 とはいえない.
33 この
次元性によって準粒子 コヒー レンスが回復する状況を
問題がいかに微妙であるかが伝わっただろ うか.
字義 どお り記述す るには系の 1粒子グ リー ン関数が
極 を持つ条件 を探 らねばな らない.この 目的のため
のt
o
ymode
lが,-本の電子鎖の周囲に無限本 の電
15 ス ピン系の次元 クロスオーバー
子鎖が配位 した模型の平均場解析 [
4
6
]である.簡単 ここで若干脱線 してスピン系の次元クロスオーバーに
mal
ous
の為,鎖内の 1次元切断型 グリーン関数の ano
触れ る. この間題 は 1
975年のスカラピーノらによる
e
xpone
nt7- 0の場合を考え 【
式(
32)で 7- 0と置
41
1に遡 る長い歴史を持 ち,かつ未解
先駆的な研究 【
いた後 フー リエ変換]
,
決の問題だか らである.坂井 ・高橋はまず,擬 1次元
反強磁性ハイゼンベル ク模型をスピン波理論で扱った
GID(
k,
E
)∼
(
E-up
k)
(
E- uq
k)
[
4
8
]
・鎖内 と鎖間の反強磁性相互作用 をそれぞれ JJ
f
,
J
i
とし,量子揺
らぎによるスピンの縮みをスピン波
とす る.スピンも電荷 も両方考えてお り,ス ピン電荷
分離 (
up≠u
q)の情報 も入っている・配位数無限大で
あるか ら鎖間ホッピングを平均場的に扱 うことができ
‖こ対する自発モー
近似で計算する・小 さな r- Jl/JI
メン トは
て,
32 系のグ リーン関数が
l
(
S
z
)
ト
S一 去 I
l
nri
,
G3
D(
k,
E
)
- GID(k,E)
1- t
⊥GI
D(
k,
E
)
とな り,γ- 1程度の領域 (
2次元)か ら徐々に γ を小 さ
c∼ e 2
汀Sで自発モーメン トがゼロと
くす ると臨界値 r
と求まる.ここか ら得 られ るスペ ク トル関数
33特に最初の摂動的繰 り込みに対 しては,t
⊥ と U をともに摂
動的に扱 うのはけしか らん とい うアンダー ソンの有名な批判があ
k
,
E+i
O
.)
⊥を摂動 として入れ
る.Uの効果を非摂動的に扱 った後に弱い t
1
2
ト とい うのである.アンダー ソン
30文献 【
4
3
】は "
On
c
ea
g
a
i
na
b
o
u
ti
n
t
e
r
c
h
a
i
nh
o
p
p
i
n
g"と唐 れば 「閉 じ込め」が起 こる 【
∼派は問題 を 2本鎖系に限定 し,鎖間を 1電子が跳ぶ際に背景の
した簡潔な論文.
31フィー ドバ ック効果が l⊥を強 く抑制す る傾向 と閉 じ込め問
朝永ボゾンと結合す る効果をコヒー レンス/デ ィコヒー レンスの
4
7
ト この論法は数学的に危 うい点も有 り,他
4
5
】による一連の研究がある・ 立場か ら議論 した 【
題 との関連については土射津 ・鈴村 【
のグループを巻き込むには至っていない.
32無限大次元での動的平均場理論の発想 と同 じである.
mG3
D(
A(
k
,
E
)
-」I
-
524
-
「
第47回
物性若手夏の学校 (
2
0
0
2年度)
」
なって秩序が壊 され ることを示唆 している.S -1
/
2悼(
堅全 ス ピン密度波)転移 は,準粒子 コヒー レンス
に対 し r
c∼ 0
.
0
4,S - 1に対 し r
c∼ 0
.
0
0
2とい う が不在のインコヒー レン ト金属相か らの転移,つま り,
値 が得 られ る.ス ピン波理論 を改良す るため,坂井 ・ Ty
peIの場合に当たると考 えられる 【
5
0
]
.
高橋は鎖内を数値対角化で扱った後に鎖間結合を平均
6.
2 Sr14_xCaa,Cu240 41超伝導
場近似で扱い,S- 1
/
2に対 し r
c-0
,S- 1に対 し 1
r
c≧0.
02
5を得た [
48
ト
1
9
9
6年に秋光 グループは梯子系 Sr14_。
Ca
xC
u2
4041
S-1
/
2反強磁性ハイゼンベルク模型はスピンレス
の高圧 (
-3GPa)下超伝導を発見 した [
37
]
・超伝導が
の TL模型にマップでき,ギャップレスのスピノン励起
圧力下で起 こるとい うことは,系の次元性が重要な役
(ドクローゾ ・ピア ソンモー ド)が得 られる 〔
31
ト繰 り 割を担っているを示唆 している.3GPaか ら 8
GPaに
込み群の観点か ら見ればこれは弱結合 固定点である.
わたって圧力を増 してい くと,超伝導転移温度は山を
ハルデン 持ち,この山を挟んで低圧側か ら高圧側-かけて,常
一方 ,S- 1反強磁性ハイゼ ンベル ク模型 (
系)にはギャップが開き,強結合固定点であるといえ
伝導相での梯子の伝導軸 (
C軸)方向の電気抵抗の振 る
る.これ らの系での次元性効果については電子系の繰
舞いが rに比例す る振 る舞いからr2に比例する振 る
り込み群解析か らの類推ができる.つま り,S-1
/
2 舞い- と推移す る.これは,加圧にともなって 3次元
の場合次元性に対 して極めて不安定,S=1なら有限
的な準粒子 コヒー レンスが発達 し,非フェル ミ液体的
の γに対 しても安定にな りうると期待 され る.実際に
な挙動か らフェル ミ液体的な挙動-のクロスオーバー
坂井 ・高橋の結論はこれ と符合す る.しか しなが らこ
が起きていることを示唆 している.
3
4
れ を完全 に解析的に示 した仕事はまだ無い.
Ty
peI
16 現実の系への応用
T
ypeI
I
理論面での長い準備がほぼ終わった.いちばん e
xc
i
t
i
ng
な 「
現実の系-の応用」について手短にまとめる (
詳
細は [
4
】
)
.
16.
1 TM 系 ス ピン密度波転 移
TMTTF)
2
X,(
TMTSF)
2
Ⅹ
擬 1 次元有機 導体 (
ハバー ド梯子系を 1粒子ホッピングで弱 く繋いだ系
04,e
t
C
・
)は,1
/
4フィ リングの 7
T電 (
(
Ⅹ-Br
,PF6,C1
上図)を調べ ると,骨格である 1次元梯子が強結合固
子鎖が陰イオ ンX を介 して擬 1次元的に並んだ構造 定点 を持つ ことを反映 して,Ty
peIフローが可能 と
を持つ・伝導鎖 (
α軸)方向のホ ッピング積分がダイ なる [
42
]
・Ty
peIの場合,桟上シングレッ ト対が凝縮
f
a
l,t
a
2
)しているためにバ ン ドが bondi
ng, してインコヒー レン ト金属相か らの超伝導転移が起 こ
マー化 (
a
nt
i
bondi
ngに分裂 し,bondi
ngバン ドが 1
/
2フィリ る.Ty
peI
Iの場合,フェル ミ液体相-のクロスオー
Fi
g・20bの状況)
・これ ら一連の バーが起 きる.この領域では,2バ ン ド系のバン ド間
ングになっている (
0年来,驚 くほ ど豊かな問題 を提供 しつづ けて ネスティングによって増強 されたスピン揺 らぎを媒介
系は 2
いる [
4
9
】
・
とす る超伝導 (
ス-ル ・近藤機構)が実現 していると
我 々の視 点 か ら興味深 いの は,(
TMTTF)
2
Brと 考えられ る,
(
TMTSF)
2
PF6のスピン密度波転移 と金属相の質的相
違である.実験事実を総合す ると,常圧下金属相 につ 1
6.
3 有機混晶系 (
DI
DCNQI
)
2
Agl_。
Cux
TMTSF)
2
PF6はフェル ミ液体であ り,些堅全
いて,(
ス ピン密度波相-の転移は擬 1次元的なフェル ミ面の 鹿野 田グループによって合成 された擬 1次元有機混晶
DLDCNQI
)
2
Agl
_xCuxは,整合 フィ リングによ
ネスティングによって引き起こされる.これは,Type 系 (
るウムクラップ散乱,Cu ドー ピングによる乱れ,ドー
Iの場合に当たる.一方の (
TMTTF)
2
Brでの反強磁
I
ピングに伴 う次元性制御 とい う相 関 と乱れ と次元性
34例えば S
-1
/
2反強磁性鎖はジ ョルダン ・ウイグナ-変換に
よってフェル ミオン系にマ ップできる 【
1
8
1
.このフェル ミオン系 のイ ンタープ レイ を実現す る上でのすべての要素 を
に対 して次元性効果を調べることができそ うな気がする.しか し
ジ ョル ダン ・ウイグナ-フェル ミオンには非局所的な位相がつ く
t
素励起が非局所的なキンク (ソリトン)であることの顕れである】
.
この厄介な位相のために議論がスタックして しま うのである.
-
有 し,擬 1次元強相 関電子系にお ける局在問題 を考
える上での格好の舞台を提供 した [
51
ト 実際の (
DI
DCNQI
)
2
Agは 1
/
4フィリングであるので,9.
2節で
52 5
-
講義 ノー ト
議論 した多重散乱による高次の ウムクラップ散乱が出 プでは うま くいかない. 2次元系での 2ループ解析
て くるが,本質は乱れによる局在 とウムクラップ過程 の難 しさは,そのまま繰 り込み可能性 自体の問題 と密
によるモ ッ ト絶縁化の競合問題 として捉 えられ る.
接に関連 しているように思われる.繰 り込み群の処方
ここで起 きている物理をつかむモデル として,1
/
2 は広義の意味で摂動的であ り,対数特異的な過程を拾
フィリングの乱れたハバー ド鎖が弱い鎖間ホッピング い出す手法である.何 とか非摂動的なアプローチがで
t
⊥で 3次元的に繋がれたモデル を考えよ う.この場 きればよいのだやミこれがなかなか難 しい.ひ とつの手
令,乱れによる後方散乱が引き起 こす 1次元的な局在, 法 として既 に触れた高次元ボゾン化 【
1
4
】の考え方が
鎖間 1粒子ホッピングによる準粒子 コヒー レンス,鎖
間反強磁性相互作用による反強磁性秩序の三者が競合
す る.クエンチ された弱いランダムポテンシャル を想
ある.フェル ミ面近傍 をパ ッチに分割 し,パ ッチ上の
ボゾン的集団自由度のみを取 り出すわけである.しか
し,準粒子 コヒー レンスを議論す るためには,パ ッチ
定 して レプ リカ法を用いて有効作用を構築 し,これに 間の 1電子遷移を取 り入れ ることが本質的である.こ
対す る 2ループ繰 り込み群解析 を実行す るこ とがせ の間題 は,電子の個別 自由度 と集団 自由度の結合 とい
(
DI
I
DCNQI
)
2
Ag
l_。
Cu
xでの C
uドー ピングに伴 う点で,コヒー レンス競合の問題 と繋がっている.擬 1
き,
う相変化 を定性的に理解 できる.
次元系における準粒子 コヒー レンスの定義づけの問題
(
1
4節)とも関連 して,今後の研究の進展が望まれ る.
17 2次元系
銅酸化物高温超伝導体常伝導相における非フェル ミ液
18Compe
t
i
ngOr
der
s
一
結語 にかえて
体挙動は,相互作用す る二次元電子系を繰 り込み群の
観点から理解す る研究を促 した. 研究の流れに拍車 既に触れたように,低次元強相関電子系に潜む共通の
難題 として,平均場基底状態に隣接 (
共存,競合)す る
9
]
以降,もっぱ ら 1
をかけたシャンカーの レヴュー 【
(
c
o
mp
e
t
i
n
go
r
d
e
r
s
)
が複数存在
し,これ ら
平均場状態
ループレヴェルで 2次元フェル ミ液体の不安定性を議
1節
論す る研究が盛んになされた. しか しなが ら,8.
の周 りの揺 らぎと個別励起が強 く結合す る,とい うこ
とが挙げられる.例 えば銅酸化物高温超伝導の物理の
で強調 したよ うに,本来の興味である非フェル ミ液体
本質が,ドープ されたモ ッ ト絶縁体に潜む多様な赤外
挙動の兆候を捉 えるには準粒子 ウエイ トの 2ループ レ
d波超伝導状態,反強磁性状態,フラックス
べェルでの繰 り込み群解析が必要 となる.一般 にフェ 不安定性 (
状態,ス トライプ状態 な ど)の間の競合お よび共存の
問題 にあることは間違いない と思われ る.そ こでは,
数特異性はつぶれて しま う (
5.
2節で述べた不完全ネ
可能な限 り多くの平均場解を含んだ低エネルギー有効
ステ ィングによって phループの対数特異性が潰れ る
理論 を与え,できるだけ正確にエネルギースペ ク トル
ことと根は同 じ)
.Fi
g.29の (
a)
,(
b)のような場合に
を決定す ることが 目標 となる.実際,この問題意識 を
は,フェル ミ面の限 られた部分で分散を線形化すれば
共有する理論研究がいろいろな立場か ら極めて活発に
対数特異性が出るので何 とか 2ループ解析を実行でき
進んでいる.
る【
4
]
.
Hi
h T
g
c における "
c
ompe
t
i
ngor
de
r
s"の問題 【
53
]
に対 して,ここで述べてきた繰 り込み群の概念 と手法
ル ミ面が曲率を持つ と,2ループ 自己エネルギーの対
がどれほど有効であるかは未知である.繰 り込み群は,
広義の意味での 「
摂動的」枠組みで しかないか らであ
:
:
・ニ
ト
:
・
る.その切ない限界を楽観的に直視 しながら今後のブ
レイクスルーに臨みたい.
Fi
gur
e29:2次元電子系のフェル ミ面.太線,●で強 謝 辞
調 した処か ら特異性が出る.
石井力,小形正男 ,Ⅹi
a
o
Ga
ngWe
n,生井滞寛,福山秀
(
C
)の場合 には,フェル ミ面の 4隅にバ ンホープ特
l
nl
Eo
/
W]
)
2となる.この場
異点があるので特異性は (
∼- (
l
nl
Eo
/
L
J
]
)
2と
合 に,スケー リングパ ラメー タを e
取 り直 した 1ループ繰 り込み 岡 ができるが,2ルー
敬 ,Pa
t
r
i
c
kA.Le
e,米満賢治 (
敬称略)の各先生方か
らは,強相関電子系について共同研究等を通 して貴重
なご教示 をいただいてきま した.また,小形研究室の
安楽臨太郎氏には原稿に 目を通 していただき,貴重な
- 526-
「
第47回
物性若手夏の学校 (
2
00
2年度 )
」
コメン トを多数いただきま した.この場をお借 りして 【
11
】自己エネル ギー計算の詳細 については,藤本聡
深 く感謝いた します.
「
低 次 元 フェル ミ粒 子 系 の性 質 」物性研 究 5
4
_
3,
207(
1
990)が参考になる.
Ref
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r
e
nc
es
[
1
2]この議論に興味があれば Ande
r
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on,"
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ofSupe
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1
9
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, を参照 の こ と (
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97
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2か らも手に入 る)
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3
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4]Kopi
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"には秘伝の?
計算
ゾン化 を主題 に したモ ノグラフ.
術 が満載 されている.ロシア語で書かれてい るの
【
1
5
】Hol
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n, Nor
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on, Pi
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, Rムys
. Re
v.
, Phys. Rev.
B8,
2
649(
1
973)
;
Re
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B40,
11
5
71(
1
98
9)
. Re
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r特 異性 につい て
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p:
/
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pupgg.
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on.
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紹介のペー ジ ht
1
7
】の 1
2章にも記述がある.
は,【
xか ら辿れ ば入手できる.
1
i
ki
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t
.
ht
ml
[
1
6
】クー ロンゲー ジで の電磁 場 の温度 グ リー ン関
[
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・J・Mod.Phys.
数 は (自然 単位 系 C - 1
) Dt
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j
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,
i
o
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)B16,711(
2
002)
.
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5
]
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7
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三十 q2) (ボ ゾ ン松 原 振 動 数 L
J
n [
6
】フェル ミ縮重 に起 因す る特異性一般 を近藤先生
2
7
T
nT, AGDl
1
]第 6章)
・ カ レン ト演 算 子 は
が艶 点だが式を追 うだけでも十分価値があると思
う.プ リンス トンの Ak
aki
iMe
l
i
ki
d2
;
eによる文献
は(
近藤効果 を含 めて) 「
フェル ミ面効果 」呼ば
れた.近藤 淳著 『
金属電子論一
磁性合金 を中心に』
(
裳華房)に関連す る問題の撤密 な記述がある.
[
7
】S61
yo
m,Adv.Phys
.28,201(
1
97
9)
,が 1次元電
子系の (
古典的)バイブル.また,H.I.Sc
hul
zが
遺 した,ここで挙げ切れない膨大な講義 ノー トは
ondma
tか ら入手できる.1次元系 を学
すべて c
ぶ者 に とってはいずれ も得がたい文献である.邦
3
7
(
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1-3
7
p(
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7+3
7
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7 - 孟(
∇(, ∇,
)
,
7
→,
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1,
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ある・電子 と電磁場 との結合は H i
nt3
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(
r
l・
A(
r
1,
である.これ よ り出る 3点,4点バーテ ックスを
考慮 し,電子 によって RPA 的にスク リー ンされ
た電磁場 による自己エネルギー を考 える.
ところが この場合 ,カ レン ト相関関数
X
:
pv(
q
T
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l
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)≡
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e
i
w
T
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T,j
p
(
q
,
T)
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v
(
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,
0)
)は
書では,黒木一彦,青木秀夫 『多体電子論 Ⅰ
Ⅰ
一
超伝
L
J-0,
q
--0の極限で消 える,つま り普通の常伝
導』(
東大出版会)が情報密度が濃 く有用である.
導金属 ランダウ反磁性型 ,K/
L
U(
q
,
i
w)-(
xDq
2+
[
8
]ア ンダー ソン局在 にお ける電子相 関効果 につい
a回 /
q)
(
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pq
Jq
2
)(
xD はランダウ反磁性磁
ては,福 山秀敏 『アンダー ソン局在』(
物理学最
化率 ,αは定数)になるため,電磁場は "スクリー
,共立出版)
.
前線 2
ン"されずに長距離のままである [
電荷揺 らぎ (
プ
ラズマ振動)によるスク リーニングとの大きな違
[
9
]Shanka
r
,Re
v・Mod.Phys
.66,1
2
9(
1
9
94)が基
本文献.電子系の繰 り込み群処方についての懇切
丁寧な レビュー.
[
1
0]Var
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, "s
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c
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/
01
03393)は,フェル ミ液体論か ら近藤問題 ,
5
0
局在,高温超伝導 までを実験研 究 を含 めて 1
ページに凝縮 した レビュー.非摂動 (トポロジー)
的な観点が抜 けてはいるものの,強相関電子系研
究の現況を把握す る上で貴重な文献.
-
527 -
・Re
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e
r特異性 の起源 はこの長距離性
いに注意]
にある.
●
遍
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t
T
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--十
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く 元㌫・ .
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,
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一
迅
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什二
ン
グ
講義 ノー ト
の手順 で計算 し,最後 に解析接続 して遅延 関数 に
す る と Eに対 して特異的 な この結果 が得 られ る.
カ レン トの揺 らぎに よる比熱補正が 3,2次元で
それ ぞれ △Cv∝rl
nr,
r2/3 とな ることも指摘
してお く.
【
1
7
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i
dg
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)は非摂動的観点 を強調 し
た場の理論の現代的教科書.記述が簡潔す ぎるが
示唆に富む.
【
1
8
]経路積分に基づ く有効理論解説の邦書は,永長直
人 『
物性論 にお ける場 の量子論』 ,『電子相 関に
お ける場の量子論』 (
岩波 書店)
.
【
1
9
】超伝 導状態の有効理論 (
GL)導 出については,崎
田文二,吉川圭二 『経路積分 に よる多 自由度系の
量子力学』(
岩 波書店)第 1
1章の記述 が簡潔 で
ある.
〔
2
0
1A.
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2)
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は非摂動的な視 点を学ぶ のに役 立つ .
【
21
1Abr
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k
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o
v,Phys
i
c
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1
9
65
)
・ここでの議論 は
パル ケ近似 であるが,本質的に繰 り込み群である.
【
2
2
]原論文は Me
mi
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・
Re
v・Le
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・
1
7
,1
1
33(
1
9
66)
.連続対称性 を持つ系一般-の拡
張は Wa
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,Z・Ph
ys
・195,27
3(
1
9
6
6)
.
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【
2
3
]ス タ ンダー ドな教科 書 は,Ne
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'(
Ca
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i
dg
e
)が簡潔 で含蓄がある.
ミ液 体挙動 を招 来す る)
.グ リー ン関数 の積 を部
分分数の和 に分解 し,松原和公式
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アグラムで中間状態のエネルギー分母 をさらうと,
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on説 明は不
るところをパネルでま とめた (
来す る決定的に重要なポイ ン トであ り,非 フェル
]]
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3
・
面・
.血
n
.
t
O
【
24]2ループ 自己エネル ギーの計算手順 は以下の通 り・
まずはもとの相互作用か らダイアグラムが出て く
(
1
再ま正 の無 限小数 , En - (
2
n+1
)
7
T
T,wm 2
m7
T
T はそれ ぞれ フェル ミオ ン,ボ ゾンの松原
振動数 ,
I
(
a)
,n(
a)はそれぞれ フェル ミオ ン,ボ
-i
E- VF
(
k-k
F)+2
v
Fq
-Q景(
k,
i
E
)+2
v
Fq,
ゾンの分布 関数)を繰 り返 し繰 り返 し使 うと (
ダ
イア グラム評価 のルーチンワー ク)
,
である (
外線 の グ リー ン関数 Q
R
-1(
k,
i
E
)が生の形
で現れた点 に注 目.これ は 1次元の線形分散 に由
-
2
8-
5
「
第47回 物性 若手夏の学校 (
2
0
0
2年度 )
」
拒
作用
も
窓
'
叫
‡k
'
T
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q
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E
i
:ヽ
′
舵
残 した.この自己エネルギーによって繰 り込まれ
作用
たグ リ- ン関数は,ダイ ソン方程式 よ り
!
.
/k
q・
と誓 .
t
蔓。ま 外線
/ 悠蓋
下 猛 '
外線
BR
(
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,
)-
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k,
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,
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)
の形 とな り,準粒子 ウエイ ト
ルー プだ け
引 っ こ抜く
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,
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q,
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がL
L
710でゼ ロとなって非 フェル ミ液体になる
ことが判 る.
[
2
5
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,Phys
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.
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)
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1
98
2
)1
03
9.
.Phys
.C14.2
5
85(
1
9
81
)
,
[
2
6
】Ha
l
da
ne,∫
【
27
]机 - 1(自由ボゾン場)理論
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t
nh喜巨
a
t
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nh㌔ 芦
HS
o
'・【
c
ot
h等 -t
a
nh㌔
芦
,
箸/dxli(ax九)2+qH2
V
]
,
に対す る有限温度相 関関数 の公式 (
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s
t
e
rf
br
-
mul
a)は
が得 られ る.赤外カ ッ トオフWを導入 して,
L
J<l
E
L
l
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(
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(
x干 u.
,
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)
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とす る.T - 0を考えると,t
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.
,
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a
るので
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L<-W かつ -qc<q<EL/vF」
-⇒
8 -4,
s
i
nhl
(
x千uv)/Pu
v
]
≡ KR/L,y(I,i)I
生き残 る条件 (
パ ウリ原理)は,ER ∼ 0を見てい
「
(
J<E
L< Eoかつ E
L/
v
F<q<q
c
」
==>D -4
,
R/
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xj)
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0,
0)
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0
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ここで (
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0
)≡ Tt
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o
n2.
pdfに置いた)・さて,Kv ≠ 1な
る理論
Hv-㌢ /d
xl
去 (
as
ん)
2+打Kv
n2
V
]
,
(
q
cは運動量移行 qの上限カットオフであるが,積
分の過程でキャンセル されて消える)
・
E
Lがこれ
以外の領域にあるとパウリ原理に抵触 して D =0
は,係数因子だけ異なるボゾン場
となる.よって (
41
)は,
を導入 (
右向き,左向きのセ クターに戻って見る
と,ボゴリュウボフ変換)す ると自由ボゾン場理
品[
L
E
o
d
E
L
i
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C
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E)+2vFq
E
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L+拓 1
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Lp(
x
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L,
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0)
)融o
)る・つま りく
E
o
L
J
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,
QR
-il
ogl ・
とな る [
(
2
7)の
舌凸
.
に変換できるので,上記の ma
s
t
e
rf
o
r
mul
aが使え
1
M
ん-ん/JRI, 6
V- √百二
o
u
,
A:
A/L,
〟(
x,
i
)
・あと一歩,もとの右向きセクターの
レが,ボゴ リュウボフ変換後の右向きセ ク
場 ◎R,
ター場 ◎恥 ,左 向きセ クター場 ◎L,
Uで
∑21
。。p の形 が導 けた]
・ここで,
Q表1 ≪ W ≪ Eoとして domi
na
ntt
e
r
msのみ
-5
29-
◎R,
V
- [
(
派
+
+1
/√転 )
iR,
〟
(
JR=-1
/J斉ニ
)
るL"i
,
講義 ノー ト
と書けることに注意す る.す ると,(
31
)よ りTL [
37
]Ue
ha
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l
,
J・
Phys
・
So
c
・
J
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65,
2
7
6
4(
1
9
9
6)
.
模型のグ リー ン関数 (
1粒子相関関数)が
[
3
8
]Fa
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i
z
i
o,Phys
・Re
v・B48,1
5
8
3
8(
1
9
9
3
)
.
R
t
T
(
(
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(
I,
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) 0,
0
)
)
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L
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V
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qq
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左 TKR諭
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×侮
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v
CoR. 0,
0'
'Hv
,'
"(
I,
i
)
K:
L"(
x,
i
)
]
(
Kレ+kJl-2)/4,
a
[
3
9
]ボゾン化 による 1ループ繰 り込み群解析は Gi
ma
r
c
hia
ndH・I.Sc
hul
z
,Phys
.Re
v.B37,32
5
(
1
98
8)
.モ ッ ト絶縁体 とアンダー ソン絶縁体間の
量子相転移 については F
bj
i
mo
t
oa
ndKa
wa
k
a
mi
,
Phys
・Re
v・B54,1
1
01
8(
1
9
9
6)
.フェル ミオ ンの
ままでの 2ループ繰 り込み群解析は Ki
s
hi
nea
nd
Ybne
mi
t
s
u,Phys
・Re
v・B62,1
3
3
2
3(
2
0
0
0)
.
と求まる.‰ -1に注意すると,絶対零度 β- ∞ [
40
】次 元 クロスオーバー 問題- の (
経路積分 に基づ
で(
3
2)が得 られ る・同様な計算を反復すればいろ
く)繰 り込み群の適用はプルボネ らが創始 したも
い ろな相 関関数 をたやす く求 めることができる.
ので,ここでの記述は彼 らのフォー ミュレーシ ョ
ンに従 った ものである.原論文は,Bo
ur
bo
nna
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s
a
ndCa
r
on,
I
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・J・Mod・Ph
ys
・
B5,1
03
3(
1
991
)
.
[
2
8
】詳 細 は v
on De
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f
nd Sc
hoe
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,Phys
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コピック系 (
量子細線)-の応用 を含む]
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1
71
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9
98)
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9
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, Phys・ Rev B39, 【
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3
0
]サイ ンゴル ドン模型に対す る繰 り込み群操作は、
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9
9
8はボゾン化の数理 と物理
よって議論 され 、Ko
gutの レヴュー 【
Re
v.Mod.
7章で TL液体の不安定
を広 く扱ってい る.第 1
Ph
ys
.55,7
7
5(
1
9
8
3)
]の中で も詳細に取 り扱 わ
性が議論 されてい る.
e
gma
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れ てい る.以下 コメン トで あ るが,Wi
45
]Ts
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umur
a,Phys
.Re
v.B59,
は 2 次 の キュム ラ ン ト展 開 を きちん と行 って [
1
2
32
6(
1
9
9
9)
.
g
utは、キュム ラン ト展 開はき
いない.一方 Ko
ちん とやって い るが ボ ゾ ン場 のス ケール 変換 [
46
]Boi
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,Bour
bonna
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,Ph
ys
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に際 して 同時 に考慮 す べ き時空 のス ケール 変
Le
t
t
・74,9
6
8(
1
9
95)
・
換 を適切 に行っていない.これ らを考慮 して計
[
47
]C1
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ong,Adv・Ph
ys
・46,5
4
5(
1
9
97
)
.
算 しなおす とこの結 果 にな る.計算 ノー トを,
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,I.Phys
.Soc
.J
pn.58,
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31
31(
1
9
8
9)
.
Gor
don.
pdfに置いてお きます.
49
】有機導体の物理-の指南書は,鹿児 島誠一 『低次
[
31
]M. Tak
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元導恥 有機導体 の多彩な物理 と密度波』(
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)(
1
9
98
)
.
(
1
9
9
0)
.
【
5
0
]TM 系の解説 として,中村敏和,高橋利宏 「
有機
【
33
1一般 の整合 フィ リングの ウムクラップの議論 は,
2
9(
1
9
97
)
,が情報
導体の NMR」固体物理 32,9
Sc
hul
z
,c
ondma
t
/
9
41
2
03
6,の第 3節 を見 よ.こ
密度濃 く有用.
の文献は,1次元系の レビュー として も秀逸.
[
3
4]Se
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ndFbkuya
ma,J・Ph
ys
・Soc
・Jpn・66,1
2
4
9
(
1
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)
.
[
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2
0
01
)
.
[
5
2
]Sc
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,Eur
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.Le
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.4,6
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1
9
87
)
.
】梯子系 につい ては Da
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,Sc
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【
35
[
5
3
〕現時点では完全な "
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m"なので,(
バイ
271,61
8(
1
9
9
6)とその中の文献参照.
[
3
6
]I
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,J・Phys
・Soc
・J
pn66,3
3
4
(
1
9
97
)
.
-5
30-
アスな しに)文献を挙げるのは不可能 と思われ る.