152.ビーチ・リゾートと下水道 国際戦略室長 藤本

JS技術開発情報メール
◇ 下水道よもやま話 ◇
№173 号掲載
禁無断転載
152.ビーチ・リゾートと下水道
国際戦略室長
藤本 裕之
ホテルのプライベート・ビーチ。椰子の木陰のデッキチェア。ペーパーバックを枕元に
置いて、うたた寝。タイのビーチ・リゾートでの光景です。20年程前、タイに住んでい
た頃は、休暇になると、ビーチ・リゾートに行きました。バンコクの近くでは、パタヤ、
チャアム。飛行機に乗って、シャム湾のサムイ島やアンダマン海のプーケット。プーケッ
トから船でピピ島、プーケットから車でクラビー。タイのビーチ・リゾートはまだまだ限
りなくありますので、私が行けたのは、ごく一部です。
タイのビーチ・リゾートは、プライベート・ビーチが常識です。と、言ってしまうと言
い過ぎかもしれませんが、パブリック・ビーチは「物売り」で一杯です。Tシャツ売り、
お土産の雑貨売り、サンダル、帽子、タイシルクと何でもあります。次から次へと、あれ
を買え、これを買え、と寄って来ます。とてもゆっくり昼寝とは行きません。この点、プ
ライベート・ビーチであれば、ホテル側が規制してくれますから、物売りフリーで、ゆっ
くり昼寝も出来ます。そう言えば、公園もそうでした。「パブリックの公園」と言うのも変
ですが、バンコクの中心にあるルンピニ公園では、
「物売り」が大勢いて、水売り、お菓子
売り、Tシャツ売りなど、何でも売りに来ます。ゆっくりベンチに座っていることも出来
ません。このためか、市の中心部から外れた場所にあるラマ九世公園では入場料を取って
いました。入場料を払ってまで入ってくる物売りはいないようです。ただ、最近良く行く
スクムビット地区のベンチャシリ公園(別名クイーンズ・パーク)では、物売りを見掛け
ません。水やお菓子を売っている公式の売店があるためでしょうか。「物売り禁止」の看板
があるのか、次回行った時に確認するようにします。なお、「天秤棒に斜線」の物売り禁止
の表示は、バンコク市内のBTS(高架鉄道)の駅で見たことがあります。(写真)
話が逸れてしまいましたが、ビーチの話です。抜けるような青空、どこまでも青い海、
真っ白な砂浜、椰子の木。ビーチ沿いに散歩を楽しんでいると、集落を見つけました。そ
の集落に近づくと、何やら水路らしきものがあり、黒い水が流れています。どうやら未処
理の下水が、ビーチの近くで海に入っている様子です。20年前は、下水道整備が始まっ
たところで、プーケットやパタヤには下水道が整備されていましたが、その他の地域はほ
ぼ未整備でした。現在では、タイ全土で100箇所の下水処理場がありますが、ビーチ・
リゾートでの下水道整備状況はどうなのでしょうか。下水が未処理で海に流入している姿
は、美しいビーチの景色とは対照的です。ビーチ・リゾートの美しい環境、ひいてはタイ
の水環境を守るためにも、下水道整備は必要です。きちんとした維持管理も、もちろん重
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№173 号掲載
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要です。「この地域だと真空式下水道が適しているかな」などと思いながら、当時ビーチを
散策したものです。タイのビーチ・リゾートを守る下水道整備に、微力ながら力を尽くし
たい、と思ってはいるのですが、さてチャンスはあるでしょうか?
写真
物売り禁止の表示
(表示の下部、右はBTS、左はバンコク市役所のロゴ)
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