熊本大学学術リポジトリ Kumamoto University Repository System Title 新規ノイラミニダーゼ阻害薬ラニナミビルのプロドラッ グ化による気道貯留性の向上とそのメカニズム解析 Author(s) 小山, 久美子 Citation Issue date 2013-07-05 Type Thesis or Dissertation URL http://hdl.handle.net/2298/28905 Right 新規ノイラミニダーゼ阻害薬ラニナミビルのプ口ドラッグ化による 気道貯留性の向上とそのメカニズム解析 小山久美子 ro c t a n o a t e, LO) は、ノイラミニダーゼ阻害活 ラニナミビルオクタン酸エステル Oaninamivi 性を有する laninami v i rにオクタン酸エステルを付加した吸入型プロドラッグであり、類薬の o s e l t a m i v i rや z 叩 a r m V l fに比べて抗ウイルス作用が持続するという特長を有する 。すなわち、イン フルエンザウイルスのマウス感染モデルにおいて、 osel t a m iv i rや zanaml Vげが反復経口/ 反復経鼻 投与により抗ウイルス作用を示すのに対し、 LOは単回経鼻投与で充分な抗ウイルス作用を示す。 さらにインフルエンザウイルスの感染患者においても、 l回の吸入投与により治療効果を発揮す る。そこで本研究では、このような作用 の持続をもたらす要因やメカニズムを薬物動態の観点か ら明ら かにすることを目的に、マウスあるいはラットを用いて m VIVOおよび m Vltroで検討を実 施した。以下に本研究で得 られた知見を要約する。 1 ) マウスに LOを単回経鼻投与後 、 LOは気道組織に存在する加水分解酵素(カルポキ シルヱス テラーゼやコリンエステラーゼと推定)により laninamivirへと効率良く 変換された。 この l a n i n a m i v i rは気道組織に長時間貯留し、投与後 24hにおける気管中および肺中 l a n i n a m i v i r濃度は、 l a n i n a m i v i r自身の単回経鼻投与に比べて 1 0倍程度高か った ことか ら、プロドラッグ化によ り望ま しい貯留特性を獲得していることが明らかとなった。さらに、この貯留性は zanamlVlfの単回経 鼻投与よりも高〈、なおかつ laninamivi rの I Cs o値よ りも充分高い濃度を維持 していたこ とか ら、 この高い気道貯留性が LO投与による抗ウイルス作用の持続に寄与していると考えられた。 2 ) ラッ トの LO単回経気管投与でも、マウスの場合と同様に、活性体 l a n i n a m i v i rが気道組織に長 時間貯留した。血!疑中における l 叩 mam l Vl fの t 'l 2( 14 . 1h)は 、 l a ni n細 川r単回静脈内投与時の tl 2 ' ( 0 . 5h ) に比べて非常に長く、この差異は気道組織に存在する l a n i n a m i v i rが循環血中へと吸収 さ れる過程が律速(日 i p f l o p現象)となることにより生じているものと考えられた。さらに、循環 血へと徐々に吸収された laninamiv江は、さ らな る代謝を受けること なく主 として尿中へと排池さ れ、その排 I 世は糸球体糠過によると考えられた。これより、気道組織における薬物濃度評価が困 難なヒトにおいても、血築中の薬物動態あるいは尿中への薬物排池挙動を評価することにより間 接的に l 叩 m回 l V l fの気道貯留性を推測できると考えられた。 1
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