【別紙2】 平成28年度募集に係る研究テーマについて 平成28年度は、以下の20件の研究テーマについての技術的解決方法(研究課題)を公募します。各 研究テーマの細部について確認した上で応募をお願いします。なお、研究テーマは毎年更新します。 1. 革新的な反射制御技術を用いた光学センサの高感度化に関する基礎技術 2. レーザシステム用光源の高性能化 3. 光波等を用いた化学物質及び生物由来粒子の遠隔検知 4. 機能性多孔質物質を活用した新しい吸着材料 5. 再生エネルギー小型発電に関する基礎技術 6. 赤外線の放射率を低減する素材 7. 高出力電池に関する基礎技術 8. 革新的な技術を用いた電波特性の制御 9. 移動体通信ネットワークの高性能化 10. 音響・可視光以外の手法による広指向性の水中通信 11. 合成開口レーダの分解能向上 12. 画像の持つ特徴量を活用した革新的な対象物体抽出技術 13. 革新的な手法を用いたサイバー攻撃自動対処 14. 遠隔作業を円滑化するための触覚/力覚提示に関する基礎技術 15. 昆虫あるいは小鳥サイズの小型飛行体実現に資する基礎技術 16. 水中移動を高速化する流体抵抗低減 17. 革新的原理に基づく音波の散乱・透過特性の制御技術 18. 高温・高圧環境下で用いられる金属の表面処理 19. 3D造形による軽量で高耐熱性を持つ材料 20. 複合材料を用いた接着構造の非破壊検査 本制度では、防衛装備庁が提示する研究テーマに対し、基礎研究領域の段階にまで立ち返ってその 解決策を検討し、具体的な研究計画として提案いただくことを想定しています。提出していただくのは最 長3カ年に及ぶ研究の計画であり、新規性、革新性、独創性を期待します。特に、機能性能や使用環境 の極限を追求するような研究は、本制度の対象として歓迎します。現時点で、民生応用としてはあまり注 目されていない技術の極限に関する研究提案は、まさに本制度の意図するところです。一方、たとえ新 規性があっても、単なる技術の紹介や応用例の提示だけでは、本制度の応募の要件を満たしたことには なりませんのでご注意ください。 各研究テーマの細部は、次ページ以降をご参照ください。 1 1 革新的な反射制御技術を用いた光学センサの高感度化に関する基礎技術 キーワード 赤外線センサ、メタマテリアル、ナノスケール、サブ波長、電磁場制御 募集テーマとその背景 メタマテリアル、ナノスケール構造等の近年研究が進捗している微細加工技術を用いることにより、赤 外線の光学系及び受光素子部の性能及び効率を向上させ、高感度な赤外線センサシステムを実現させ る新しい光学材料の作成、その実証及びその原理の解明に関する基礎的な研究を募集します。 期待される技術的解決方法(技術提案)の一例 ここで示した技術提案は一例であり、募集テーマに合致した内容を幅広く募集します。 ○メタマテリアル等を用いて入射光をより効率的に受光させる技術 光を赤外線センサの検知部に効率よく入射させるため、従来の反射防止膜の代わりにメタマテリアル 等を適用することにより、検知部を構成する材料(HgCdTeやGaAs等のII-VI、III-V族半導体)表面にお ける反射を防止し、受光感度(透過率)を向上させる技術 ○集光部分の光学系(赤外線センサのレンズ)にメタマテリアル等を付与することにより、反射を低減(透 過率を向上)させる技術 委託研究実施にあたって満たすべき条件 【提案が必ず満たすべき条件】 ○研究実施にあたっては、研究成果が定量的なものであること、原理解明のために物理理論に基づいた 考察を行うことを必須とします。 ○シミュレーションのみではなく、何らかのサンプル作成による実データ取得により、従来品(反射防止 膜、屈折レンズ等)と光学特性を比較することを必須とします。 【望ましい、または考慮すべき事項】 ○可能な限り、近赤外線(1~2μm)、中赤外線(3~5μm)または遠赤外線(8~12μm)のいずれかの 波長域を対象とした光学センサシステムを考慮してください。 その他特記事項 特になし。 2 2 レーザシステム用光源の高性能化 キーワード レーザ、高出力レーザ、レーザ光源、量子カスケードレーザ 募集テーマとその背景 高出力のレーザ光は、様々な用途があることから研究が進められております。本案件では、新たな方 式により、既存のレーザ光源の性能を飛躍的に向上するために必要な基礎的な研究を募集します。今回 は、サブテーマとして高出力・高ビーム品質を狙った研究(サブテーマ1)と、小型レーザ光源の高出力化 (サブテーマ2)の2つについて募集します。 期待される技術的解決方法(技術提案)の一例 ここで示した技術提案は一例であり、募集テーマに合致した内容を幅広く募集します。 サブテーマ1: 高出力かつ高ビーム品質の高出力レーザ発生 ○レーザ光源の高出力化 ・セラミックやファイバー等のレーザ媒質を用いたレーザ光源 ○レーザの高ビーム品質化 ・遠方での集光性能を飛躍的に向上させる高いビーム品質 サブテーマ2: 小型レーザ光源の高出力化 ・室温で動作することを目標とした量子カスケードレーザの高出力化 委託研究実施にあたって満たすべき条件 【提案が必ず満たすべき条件】 ○サブテーマ1及び2とも、レーザ光源の高出力化を目的とすること。 【望ましい、または考慮すべき事項】 ○サブテーマ1について、既存のレーザ媒質を使用する場合は現在の最高出力を超えること、新しいレ ーザ媒質を使用する場合は発振を確認すること。また、将来的に高出力が見込まれる方式であること を前提とし、その実現可能性を研究の中で示すこと。ただし、波長帯は問いません。 ○サブテーマ2について、単一素子からの連続発振で1W以上の出力を期待します。波長帯は3~5μm 帯であることを要望します。特にシステムとしての小型高効率化を重視します。 ○サブテーマ1及び2について、遠方での集光性能を向上させるため、可能な限りビーム品質(M2)の良 いレーザ光源であること。 その他特記事項 特になし。 3 3 光波等を用いた化学物質及び生物由来粒子の遠隔検知 キーワード 光波センシング、化学物質及び生物由来粒子、遠隔検知 募集テーマとその背景 諸外国では、人体に有害な微生物や化学物質を遠隔検知する技術が様々な部門で研究されていま す。微生物と化学物質の両方を検知可能な技術はまだ実用化に至っていませんが、原理的には可能性 があり、実現すれば、検知・識別等において、運用に及ぼすインパクトが非常に大きいと予想されます。 本案件では、微生物や化学物質の両方について、光波等のエネルギー照射やパッシブでの観測により 遠隔から検知・識別することを可能とする検知器実現に向けた基礎的な研究を募集します。 期待される技術的解決方法(技術提案)の一例 ここで示した技術提案は一例であり、募集テーマに合致した内容を幅広く募集します。 ○検知・識別技術の検討 空気中に存在する化学物質及び生物由来粒子の両方の遠隔検知が将来的に可能な技術について の、検知・識別方式の提案及び実現性の検証(たとえば、レーザ誘起蛍光法(Laser-Induced fluorescence)やレーザ誘起ブレークダウン分光法(Laser-Induced Breakdown Spectroscopy)等) ○化学物質及び生物由来粒子の検知原理の実証 空気中に存在する化学物質及び生物由来粒子の両方を遠隔より、将来的に検知・識別が可能である ことの実証 委託研究実施にあたって満たすべき条件 【提案が必ず満たすべき条件】 ○将来的に、同一の検知方式により化学物質及び生物由来粒子の双方を遠隔で検知・識別可能である と見込まれる提案であること。 ○化学物質及び生物由来粒子について、遠隔での検知・識別の実現可能性を、研究実施期間において 実験的に検証すること。 【望ましい、または考慮すべき事項】 ○擬剤を含む広範な物質を高精度に識別できる可能性について検討することを希望します。 ○光波等のエネルギー照射部や観測装置については、将来的に小型化及び高性能化する可能性があ る手段であることを希望します。 その他特記事項 ○本研究テーマでは、光波等のエネルギー照射、あるいはパッシブでの観測により離隔した箇所に存在 する特定の物質をセンシングするための原理的な技術を募集するものです。検知用センサを対象地域 に運搬する手段の提案、あるいは検知用センサを対象物質へ暴露する必要がある検知方法の提案等 は対象外です。 ○ここで言う「遠隔」とは、将来的には野外において数百メートル~数キロメートル先の距離を期待してい ますが、研究課題の提案においては、近距離における実証でも可とします。 4 4 機能性多孔質物質を活用した新しい吸着材料 キーワード 機能性多孔質物質、選択的吸着、触媒的無毒化 募集テーマとその背景 人体に有害なガスに対する防護においては、表面にある多数の微細な細孔にガスを吸着する活性炭 が使用されていますが、吸着剤に関しては、さらなる高性能化や長寿命化が必要とされています。金属 有機構造体(Metal Organic Framework, MOF)をはじめとする機能性多孔質物質は、単位重量あたりの 表面積が非常に大きいという特長を有しており、将来的には活性炭を代替する素材として注目されてい ます。本案件では、機能性多孔質物質に対して、有毒化学物質を選択的に吸着するとともに、触媒的作 用等により化学的に無毒化する機能を人工的に付加することにより、従来よりも長持ちで使い勝手のよ い防護素材の実現に向けての基礎的な研究を募集します。 期待される技術的解決方法(技術提案)の一例 ここで示した技術提案は一例であり、募集テーマに合致した内容を幅広く募集します。 ○有毒化学物質を選択的に吸着する機能性多孔質物質の製作技術 ・機能性多孔質物質について配位子と金属の組み合わせにより様々なサイズの細孔を設計することによ って効率的かつ選択的にガス状及びミスト状の有毒化学物質を吸着する材料の構築 ・比表面積の増大を追及しつつ加工性にも配慮した機械的強度を有する機能性多孔質物質の製作 ○長期間の使用に耐える吸着剤とするための機能性多孔質物質の高機能化技術 ・配位子に種々な官能基をデザインすること等により、ガス状及びミスト状の有毒化学物質を物理的ある いは化学的に吸着し、触媒的な作用等により化学的に分解することにより無毒化させる技術 委託研究実施にあたって満たすべき条件 【提案が必ず満たすべき条件】 ○本案件ではMOFをはじめとする機能性多孔質物質を基材とした、ガス状及びミスト状の有毒化学物質 の除去が可能な素材の検討を実施するものですが、少なくともガス状有毒化学物質に対する吸着性 能又は分解性能を有する素材を研究することを必須とします。 ○研究実施期間において吸着・無毒化に関する提案技術の有効性を実験的に検証すること。 【望ましい、または考慮すべき事項】 ○使用する物質について、人体に対する安全性についても配慮することを要望します。 ○防護衣、防護マスク等に適用することを視野に、耐環境性、耐久性及び機械的強度を確保する手段に ついても検討することを要望します。 ○産業毒性物質を含めた人体に有害な化学物質全般を対象としますが、有機リン系化合物についてど のような効果があるのかについての考察を期待します。 その他特記事項 特になし。 5 5 再生エネルギー小型発電に関する基礎技術 キーワード 排熱発電、振動発電、再生エネルギー 募集テーマとその背景 人間が携行する電子機器は今後も高性能化、多種多様になっていくものと考えられます。限られたリソ ースの中で、将来の電力需要の増大に対応していくためには、これまではそのまま破棄されていた排熱・ 振動等からのエネルギーを再利用する効率的な発電が有望です。本案件では、人体等からの排熱・振 動等、比較的低温で微少なエネルギーを再利用する高効率かつ小型・軽量な発電システムの実現に向 けての基礎的な研究について募集します。 期待される技術的解決方法(技術提案)の一例 ここで示した技術提案は一例であり、募集テーマに合致した内容を幅広く募集します。 【熱電発電システム】 ○低中温域に適応可能な新たな素材による熱電変換材料および量子効果等を利用した高効率熱電変 換素子技術 ・マイクロワットからミリワット程度の出力ができる電気エネルギーへの変換 ・低温度差熱サイクルを利用した機関による発電 ○効率的な熱回収及び熱分離技術 ・排熱回収の高効率化とデバイスの熱分離構造の最適化 【振動発電システム】 ○高効率振動変換材料および素子 ・圧電材料、磁歪材料等を使用した高効率発電素子 ・高効率発電可能な圧電効果、静電誘導、電磁誘導材料 ・数Hz~数100Hzにおける発電量がマイクロワットからミリワット程度のもの 【再生エネルギー変換発電システム】 ○広温度域、長時間の環境下で低劣化の耐環境性 ○高効率コンバータおよび微少電力蓄電技術 ○人体・各種個人携行品への適用が可能な小型軽量化技術 委託研究実施にあたって満たすべき条件 【提案が必ず満たすべき条件】 ○新たな再生エネルギー変換材料(構造を含む)を提案する場合、それらの材料に関する性能検証だけ でなく、再生エネルギー発電システムとしての実証までを目指すことを希望します。 ○既発表の材料(構造)を用いた、先進的な再生エネルギー小型発電システムに関しても対象とします が、新規の着想に基づく性能の飛躍的向上を目指すことを希望します。 ○熱電発電システムの場合、常温~200℃程度(人体・個人携行用電子機器の最高温度)の廃熱エネ ルギーの再利用を対象とします。ただし、特に独創性や革新性がある場合に限り、車両等の排気温度 である400℃程度の熱源までを対象とした提案も可とします。 ○人が装着して活動することを前提とした評価を行うことを必須とします。ただし、車両等からの排気を利 用する場合、将来的に車載可能(エンジンルームに組み込める程度)となるまで小型軽量化の目処が あること、熱エネルギーの電力変換効率10%以上を目指すことを希望します。 その他特記事項 特になし。 6 6 赤外線の放射率を低減・制御する技術 キーワード 赤外線、放射率 募集テーマとその背景 物体からの赤外線放射は、物体の温度に依存しますが、加えて表面状態によって大きく変化します。 本案件では、300~1000K程度の物体からの赤外線放射を対象とし、赤外線放射量の制御、特定の波長 放射を低減することができる表面構造や材質等、これまでにない革新的な技術や素材に関する理論的な 研究を募集します。 期待される技術的解決方法(技術提案)の一例 ここで示した技術提案は一例であり、募集テーマに合致した内容を幅広く募集します。 ○赤外線の放射率を制御あるいは低下できる構造あるいは材料の提案 ・高温物質からの赤外線(主として中赤外線)の放射率を飛躍的に下げる技術 ・赤外放射量が背景の変化に適応的に同化できるよう、遠赤外線(波長域8~12μm)の赤外線放射量 を制御する技術 ○熱輻射エネルギーを特定スペクトルに集中させる材料、構造 委託研究実施にあたって満たすべき条件 【提案が必ず満たすべき条件】 ○制御は、基本的に物体の赤外線放射量を減らす方向であること。たとえば、物体を加熱すれば赤外線 の放射が増えますが、こうした制御方法は対象外とします。 ○赤外線の放射率を低減・制御できる原理について理論的説明を行うとともに、研究実施期間において 試作を行い、提案する技術や材質の有効性を実験的に検証すること。 【望ましい、または考慮すべき事項】 ○外部からの入力により赤外線放射率を高速に可変できる技術提案を希望します(可視光における液晶 のような技術)。 ○これまでにない新たな構造や材質を提案する場合、研究実施期間において当該構造や材質の有効性 の検証や実現方策の具体的な検証を図ってください。 その他特記事項 特になし。 7 7 高出力電池に関する基礎技術 キーワード 一次電池、二次電池、熱電池、エネルギー密度、出力密度 募集テーマとその背景 近年、ハイブリッド車、電気自動車等への適用を目的とした二次電池の研究が盛んに行われていま す。一般家庭用機器等向けの二次電池の場合、サイクルの長寿命化及び放電時間の長時間化が重視 されますが、これらの観点を犠牲にする代わりに、出力密度やエネルギー密度を指向する研究を行え ば、革新的な高出力電池が実現する可能性があります。本案件では、高出力な電池についての基礎的 な研究を募集します。 期待される技術的解決方法(技術提案)の一例 ここで示した技術提案は一例であり、募集テーマに合致した内容を幅広く募集します。 ○サイクル寿命及び放電時間が短くても出力密度、エネルギー密度の高い二次電池技術(スタック化) ○高出力な一次電池や熱電池等の特殊電池技術 委託研究実施にあたって満たすべき条件 【提案が必ず満たすべき条件】 ○提案技術による電池の試作を必須とします。試作する電池はシステムとして想定する作動電圧、出力 密度等を満たす必要はありませんが、ある程度のスタック化を行い要求仕様の実現可能性を評価して ください。 ○エネルギー密度として、400Wh/kg以上、あるいは可能な限り高い値が実現できること。提案書に は、必ずエネルギー密度の見積りとその根拠を記載してください。 ○密閉空間における使用を前提(放電に伴うデガスや過熱等がない)として検討すること。 ○原理的に、振動・衝撃にある程度の耐性があること。 ○二次電池の場合、出力電圧の放電特性及び電池容量のサイクル特性(劣化度)について研究の中で 検証してください。 【望ましい、または考慮すべき事項】 ○電源システムとしては、約400キログラム程度の質量または約0.4立方メートル程度の容積において 成立し、以下の仕様を満たせることをイメージして検討をお願いします。このサイズを大きく越える規模 が必要となる蓄電システムは、本研究テーマの対象外です。 ・作動電圧:300~500V程度の間、または、それ以上可能な限り高い値 ・出力密度:1500W/kg程度、または、それ以上可能な限り高い値 ○自己放電が極力小さいことを期待します。 その他特記事項 サイクル寿命、充電時間、一次電池二次電池の違いは問いません。 8 8 革新的な技術を用いた電波特性の制御 キーワード メタマテリアル/メタサーフェス、電波、クローキング、マイクロストリップライン、平面パッ チアンテナ 募集テーマとその背景 メタマテリアルによる電波特性(反射・透過・吸収・放射)制御や電波位相制御は興味深い研究テーマ であり、様々な技術が研究されています。これらは不要電波の電波特性制御やアンテナ指向性の制御を 行うための技術として有望です。本案件では、マイクロ波及びミリ波の周波数帯の電波を対象とし、メタマ テリアル/メタサーフェスやMEMS等を用いた屈折率制御、アンテナ指向性制御等の新しい電波制御技 術に関する基礎的な研究を募集します。 期待される技術的解決方法(技術提案)の一例 ここで示した技術提案は一例であり、募集テーマに合致した内容を幅広く募集します。 ○メタマテリアル/メタサーフェス技術による電波特性制御(反射、透過、吸収、放射) ○広帯域、薄型のメタマテリアル/メタサーフェスによるクローキング技術 ○電気的、機械的制御による電波的な透明化材料 MEMS技術や自己組織化材料技術を用いた新しい電波特性制御材料 ○メタマテリアル技術によるアンテナ指向性及びビーム形状の制御技術 ○電波指向性やビーム形状の制御をアンテナ本体で実現可能な小型化技術 ○その他、革新的手法を用いた電波制御の方式 委託研究実施にあたって満たすべき条件 【提案が必ず満たすべき条件】 ○提案内容は、原理的にある程度の広帯域性が期待できること(たとえば吸収制御であれば、ピンポイ ントの周波数のみでなく、ある程度の帯域幅を持った電波の吸収が可能なこと)。 ○反射・吸収特性については、入射角度や反射・吸収体の形状に依存しないこと、もしくはこれらの条件 依存を解消する解決策を持った技術的提案であること。形状に依存しないことに関する技術的な説 明、または解決策を提案書に記載してください。 ○材料、デバイス等を試作し、提案技術の有効性を検証すること。実験的な検証に関する具体的な計画 を提案書に記載してください。 ○電波指向性やビーム形状の制御については、アンテナ面やアンテナ給電系に可変移相器や遅延線を 設置する、従来のフェーズドアレイ技術は対象としません。また、外部からの電子的な入力により指向 性等が制御できるものとし、送受信波の周波数スキャンにより指向性等を制御する手法は対象外とし ます。 【望ましい、または考慮すべき事項】 ○原理的に、様々な周波数帯に適用できる手法(特定の物質の物理定数に過度に依存しない手法)であ ることを考慮してください。 ○電波指向性制御については、アンテナ指向性や半値角は努めて広い範囲が制御可能であることを求 めます。 ○反射・吸収を制御する周波数帯の超広帯域化に関する提案も歓迎します。 その他特記事項 メタマテリアル/メタサーフェス技術に限らず、独自性や新規性があれば、様々なアプローチによる提 案を募集します。 9 9 移動体通信ネットワークの高性能化 キーワード 移動体通信、ネットワーク、周波数共用 募集テーマとその背景 移動体間のネットワークを自立的に構築する際には、割り当てられた周波数の効率的利用、不要波と の干渉に対する抗たん性、中継ノードの最適配置、高速移動体間の直接通信等、様々な条件を考慮しな ければなりません。このような制約がある中で、高速かつ高信頼の通信を実現するためには、技術的な 飛躍が必要となります。本案件では、基地局を介すことなく移動体相互で通信を行うことを前提として、無 線通信・ネットワークの性能を飛躍的に向上させる基礎的な研究について募集します。 期待される技術的解決方法(技術提案)の一例 ここで示した技術提案は一例であり、募集テーマに合致した内容を幅広く募集します。 ○移動体高速通信技術 周波数帯域幅を最大限効率に活用し、周波数利用効率を高め、高速・大容量通信を実現する通信方 式・変調方式等の技術の提案。 ○高信頼・高確達無線ネットワーク技術 他システムとの干渉や近接波等からの妨害環境を前提として、高信頼・高確達なネットワークを効率 的に実現する技術 移動体間を前提とした新しいネットワークプロトコルや効率的なアドホックネットワークアルゴリズム、 効率的な干渉・妨害センシング方式に係る技術 ○広帯域・高感度アンテナ技術 広帯域送受信回路と同様に、無線通信を行う際に重要となるアンテナ技術に関しての提案。 移動体相互間でアンテナ指向性制御を行い、周波数利用効率と伝送速度の向上を図る技術。 同等な性能で小型・軽量で安価に製造を可能とする技術についても対象。 委託研究実施にあたって満たすべき条件 【提案が必ず満たすべき条件】 ○研究対象は、移動体間のアドホックネットワーキングとします。固定基地局を経由した通信は対象とし ません。 【望ましい、または考慮すべき事項】 ○携帯電話等で使用されている周波数よりも低い帯域(UHF,VHF,HF)を対象とすることを希望します。 ○移動体通信ネットワークの構築、高性能化を目指す研究であり、委託相手に製造能力の有無は問い ません。 ○革新的または独創的な無線機の概念やネットワーク方式等のシステム提案を行う場合、研究実施期 間において、提案内容の実効性の検証ないし実現方策の具体的な検証を図ってください。十分な確証 が得られる根拠があれば、シミュレーションによる研究も歓迎します。 その他特記事項 特になし。 10 10 音響・可視光以外の手法による広指向性の水中通信 キーワード 長波、電界、磁気、水中通信 募集テーマとその背景 水中における通信は空中とは異なり、電波の到達距離に制限があるため、音響通信が一般的です。し かし、沈底物体あるいは浮遊物体が多数散乱し、かつ透明度が低く、風浪階級の高い環境の浅海域等 においては、残響等の影響で音響通信が困難になるか、または通信速度が著しく低下する現象がしばし ば発生します。また、透明度が低いため光を用いた通信も期待できません。本案件では、こうした音響通 信が困難な場所において、安定した広指向性のデータ通信を実現するための基礎的な研究について募 集します。 期待される技術的解決方法(技術提案)の一例 ここで示した技術提案は一例であり、募集テーマに合致した内容を幅広く募集します。 ○効率的な低周波磁気通信を可能とする変調技術 ○不感方向の無い広範囲な受波を可能とする低周波磁気信号受波技術 ○超長波を用いた水中通信技術 ○環境雑音補償技術 ○送受信器小型化技術 委託研究実施にあたって満たすべき条件 【提案が必ず満たすべき条件】 ○音響あるいは可視光を用いた通信提案は対象外とします。 ○信号不達方向の無い無指向性の水中通信であること。送波器と受波器(例えばコイル)は共用でも可 とします。 ○理論的に、海水中において1kbpsのデータを100m以上伝送が可能な方式であること。提案書におい て、媒質の特性等を踏まえた回線設計を示してください。 ○伝送速度と伝送距離を見積もるために制御する搬送周波数をある程度の範囲で変化させて設計でき ること。提案する際には、その旨ご留意ください。 ○送波機能及び受波機能を備えた水中通信可能な器材を仮作し、水中通信特性の検討、少量のデータ 伝送等実験的評価による提案技術の有効性の検証を行うことを必須とします。これらの実施計画を提 案書に記載下さい。 【望ましい、または考慮すべき事項】 ○送受信器のサイズの目安として直径30cmの球に入る程度の大きさを要望します。ただし、委託研究 中にこの大きさを実現する必要はありません。 ○可能な限り伝送速度及び伝送距離が大きい水中通信であることを要望します。 その他特記事項 特になし。 11 11 合成開口レーダの分解能向上 キーワード SAR、信号処理 募集テーマとその背景 合成開口レーダ(SAR)は、遠距離から高分解能で目標情報を得ることが可能であり、リモートセンシ ングや災害対応分野で広く用いられています。現在、能力を向上させる様々な研究が民生分野で行われ ていますが、光学観測に対して解像度の点で一歩譲る点がありました。本案件では、SARの分解能につ いて、光学観測に匹敵する程度に飛躍的に向上させるための基礎的な研究について募集します。 期待される技術的解決方法(技術提案)の一例 ここで示した技術提案は一例であり、募集テーマに合致した内容を幅広く募集します。 ○今までのSARでは用いられていなかった技術や手法を用いて、これまで以上に詳細な情報を取得す る技術 ・周波数利用の効率化に資する技術 離隔した複数周波数帯を用い、高分解能化のための帯域補間を行う技術 ・ミリ波を使用した超高解像度SARの原理検証 ○近距離目標の認識 ・合成開口レーダによる近傍目標の画像化 ○電波以外を用いたSAR(レーザをプローブ光とする等)の高性能化 委託研究実施にあたって満たすべき条件 【提案が必ず満たすべき条件】 ○将来的にcmオーダーの分解能を達成する可能性がある手段であることを必須とします。 ○電波法により利用可能な周波数帯に基づいた提案であることを必須とします。 【望ましい、または考慮すべき事項】 ○電波以外を用いた合成開口処理についても対象とします。 ○革新的な方式であれば、要素技術の回路部分のみを試作し、シミュレーションと組み合わせて提案方 式を検証する研究も歓迎します。 その他特記事項 特になし。 12 12 画像の持つ特徴量を活用した革新的な対象物体抽出技術 キーワード フラクタル、自己相似性、画像、物体検出 募集テーマとその背景 レーダや光波等で得られた画像から対象物体を抽出する作業において、熟練した作業者には何とか 識別できる程度の画像では、自動認識を行うには解像度が十分でないことが多々あります。この場合、 背景画像と対象物体画像の複雑さ等の特徴量の差異を活用し、対象物体を浮かび上がらせることが一 案として考えられます。本案件では、対象物体が背景にほとんど埋没した厳しい条件下でも背景画像が 持つある種の規則性を活用することで画像中の特異箇所を抽出するための革新的な手法について募集 します。 期待される技術的解決方法(技術提案)の一例 ここに示した技術提案は一例であり、募集テーマに合致した内容を幅広く募集します。 【物体抽出技術】 ○局所フラクタル次元解析など自己相似的な情報を活用した方式やその他の検出方式により、地中のレ ーダ探査画像から埋設された人工物の抽出や、自然の画像から人の手が加えられた痕跡の抽出を行 うことなどを想定して、背景から対象物体を抽出するための理論構築、高速計算処理技法の提案 委託研究実施にあたって満たすべき条件 【提案が必ず満たすべき条件】 ○本研究テーマは、最終的なゴールとして、背景画像に埋もれた対象物体の抽出を目標としており、主 観的な見栄えを改善するための画像の高解像度化は研究の対象としません。 【望ましい、または考慮すべき事項】 ○理論のみの検討、あるいは理論に基づく実画像の実証の双方を対象とします。 ○背景画像が持つ規則性については、複数画像を用いて事前に学習できることとします。 ○対象物体の認識を目指す場合、背景画像と対象物体について、どのような違いにより認識ができるの か、提案書で説明してください。可能な限り汎用性のある認識アルゴリズムを希望します。 ○背景画像として、いくつかのテクスチャを自己相似的に組み合わせた合成画像を使用する場合、信号 処理時にはこれらのパラメータ情報は未知とし、与えられた画像のみを用いるものとします。また、最終 的には自然界の実画像を用いた検証を希望します。 その他特記事項 特になし。 13 13 革新的な手法を用いたサイバー攻撃自動対処 キーワード サイバー攻撃自動対処、AI、高可用性 募集テーマとその背景 サイバー攻撃の脅威は近年ますます増加しており、政府系のシステムを狙った攻撃も増加の一途をた どっています。このような事態に対処するため、様々な対策や研究が行われていますが、攻撃と防御の いたちごっこの状態は今後も続くと予想されます。サイバー攻撃への対処には高度な専門的知識が必要 であり、攻撃に対してすべてのシステムを防御するには困難が伴います。そこで、本案件では、防御側の 負担を軽減しつつ広範なサイバー攻撃に自動対処可能な、革新的な方法あるいはアイデアに関する基 礎的な研究を募集します。 期待される技術的解決方法(技術提案)の一例 ここで示した技術提案は一例であり、募集テーマに合致した内容を幅広く募集します。 ○柔軟なサイバー攻撃自動対処技術 外部リソースから独立し、極めて短時間かつ自動的にシステムの特性に応じた柔軟なサイバー攻撃 対処を可能とするAI等を用いた自動対処技術 ○高可用性を考慮したサイバー攻撃対処技術 サイバー攻撃発生後に、システムの停止時間を最小限にしつつ、有効な防御を行う技術 ○新しいサイバー攻撃対処技術の提案 革新的手法を用い、防御側システムの運用を考慮しつつ、サイバー攻撃自動対処を行う技術 委託研究実施にあたって満たすべき条件 【提案が必ず満たすべき条件】 ○クローズ環境で対応可能なサイバー攻撃自動対処技術であること。インターネット経由で外部データベ ース等を活用してサイバー攻撃対処を行う研究は対象としません。 ○サイバー攻撃を受けている厳しい環境においてもシステム停止時間を最小限にしつつ、自動的に有効 な防御を行うことが可能となる技術であること。サイバー攻撃発生時にシステムを単純に切り離すよう な対処を行う研究は対象としません。 ○サイバー攻撃対処を実施する者に特別な技能を必要としないことを留意してください。 ○用意する実験環境を含め、新手なサイバー攻撃の発生などの変化に柔軟に対応できるようにしてくだ さい。 ○適用するシステムの規模が増大しても対応できる拡張性があるようにしてください。 ○サイバーの分野は目で見えないため、理解しにくい分野であることから、研究成果等、研究全般にわ たり、わかりやすい表現・表示にしてください。 上記条件を満足することを提案書に記載してください。 その他特記事項 特になし。 14 14 遠隔作業を円滑化するための触覚/力覚提示に関する基礎技術 キーワード 遠隔作業、感覚提示、マスタ・スレーブシステム、ハプティックデバイス 募集テーマとその背景 マスタ・スレーブシステムを用いた遠隔作業において、作業対象物の硬さ/柔らかさ、表面の粗さ/滑 らかさ、形状、質量、把持力等をマスタ側の操縦者が知覚することができれば、作業の容易性や確実性 が格段に向上します。本案件では、特にロボットアームにより重量物の把持や操作を行う場合において、 作業対象物との物理的接触から得られる感覚を再現し、それを操縦者に提示するための基礎的な研究 について募集します。 期待される技術的解決方法(技術提案)の一例 ここで示した技術提案は一例であり、募集テーマに合致した内容を幅広く募集します。 ○触覚/力覚提示デバイス技術 作業対象物の硬さ/柔らかさ、表面の粗さ/滑らかさ、形状、質量、把持力等を再現し、人に提示す る装置に関する技術 人に装着可能な大きさ、質量が目標 ○触覚/力覚センサ技術 作業対象物の硬さ/柔らかさ、表面の粗さ/滑らかさ、形状、質量、把持力等を取得するためのセン サに関する技術 重量物の把持を想定して、高耐荷重性を有することが望ましい ロボットアームのエンドエフェクタに装着可能な大きさ、質量が目標 委託研究実施にあたって満たすべき条件 【提案が必ず満たすべき条件】 〇遠隔作業を円滑化することを目的とした、人間に触覚・力覚情報を提示するデバイスの試作を必須とし ます。 〇試作デバイスを操作者が実際に装着した状態での評価試験を実施し、遠隔操作における提案技術の 有効性を示すことを必須とします。 【望ましい、または考慮すべき事項】 〇評価試験では作業対象物を仮想物体としても可と致しますが、最終的に実空間を対象として実演が行 われることを希望します。 〇触覚と力覚の同時提示や他の感覚提示を組み合わせたマルチモーダルな提案も歓迎致します。 ○感覚提示の遅延による作業性の悪化を防ぐ技術や、低い通信レートにおいても必要な感覚提示を可 能とする技術を組み合わせた提案も歓迎します。ただし、通信遅延対策のみの提案は対象としませ ん。 その他特記事項 特になし。 15 15 昆虫あるいは小鳥サイズの小型飛行体実現に資する基礎技術 キーワード 小型飛行体、バイオミメティクス(生物模倣)、滞空飛行 募集テーマとその背景 昆虫あるいは小型の鳥程度の大きさの飛行体は、今後の発展が期待できる興味深い分野です。本案 件では、小型飛行体の実現に向けた効率的な飛行技術、一定空間内に留まるための滞空技術等、昆虫 あるいは小鳥サイズの小型飛行体の実現に向けた様々な基礎的な研究について募集します。 期待される技術的解決方法(技術提案)の一例 ここで示した技術提案は一例であり、募集テーマに合致した内容を幅広く募集します。 ○効率的な飛行技術 生物(昆虫や小鳥)の飛行メカニズムを模倣して効率的な飛行を可能にする技術 小型飛行体の大きさは手のひらサイズ以下が目標 同じサイズの回転翼機よりも低消費電力であることが目標 ○滞空飛行技術 一定空間内に滞空することを可能にする技術 搭載した動力を断続的に使用するなどして動力の使用を極力抑え、より長時間滞空することが目標 委託研究実施にあたって満たすべき条件 【提案が必ず満たすべき条件】 ○要素技術の提案であったとしても、飛行体としての概念設計と、当該技術の適用による具体的なメリッ トについては、提案書の中で必ず記載してください。飛行の可能性が議論されていない提案は対象外 です。 〇小型飛行体の実現に資する構成要素に関する技術でも可としますが、この場合、大きさ、質量、消費 電力等、小型飛行体への搭載を前提とした構成要素を試作し、実演することを希望します。 ○飛行体に搭載するセンサのみに関する研究は対象としません。 【望ましい、または考慮すべき事項】 〇小型飛行体の実用化に向けてボトルネックとなる技術課題を解明する研究提案をお願いします。ま た、軽量化、静粛性の確保、ペイロードの向上等の検討を含んだ小型飛行体の提案を歓迎致します。 〇飛行環境は、屋内外を問いません。無風状態を前提とした提案でも可と致します。 その他特記事項 特になし。 16 16 水中移動を高速化する流体抵抗低減 キーワード 水中移動体、高速航走、流体抵抗 募集テーマとその背景 水中を移動する航走体の速度を向上させることは、たとえそれが短時間のみであっても、運用の幅が 広がることが期待できます。これを可能とする有力な手段として、流体抵抗の低減があげられます。流体 抵抗の低減の研究は、水上船の運搬コストの低減や二酸化炭素の排出抑制を目的として既に民生分野 で行われていますが、その抵抗低減の効果は数パーセントに留まっています。本案件では、短時間でも かまわないので、水中移動を大幅に高速化するための先進的な技術に関する基礎的な研究を募集しま す。 期待される技術的解決方法(技術提案)の一例 ここで示した技術提案は一例であり、募集テーマに合致した内容を幅広く募集します。 ○水中移動体の表面抵抗を低減する技術 ・界面活性剤や高分子ポリマー等の添加による摩擦抵抗の低減 ・マイクロバブルの乱流境界層中への混入による摩擦抵抗の低減 ・水中移動体表面へのハイドロゲル塗膜の適用による摩擦抵抗の低減 ・水中移動体表面の制御された微振動による摩擦抵抗の低減 ・サメやペンギンなどの生物体表面構造を応用した摩擦抵抗の低減 委託研究実施にあたって満たすべき条件 【提案が必ず満たすべき条件】 ○提案技術による抵抗低減の効果を水槽の中で実験的に実証すること。 【望ましい、または考慮すべき事項】 ○水中を移動する航走体は、平底ではない形状を仮定してください。 ○高速航走をしない通常航走時のエネルギー消費や雑音等に大きな影響を与えない技術を要望しま す。 ○水中移動体の高速化のための抵抗低減技術を実現するための物理的メカニズムの解明・検証を目指 すことを要望します。 ○水中移動体の推進技術に精通したメンバーと連携することを要望します。 その他特記事項 特になし。 17 17 革新的原理に基づく音波の散乱・透過特性の制御 キーワード 音響材、音響メタマテリアル、フォノニック結晶、異方性 募集テーマとその背景 物体の音響反射の制御は、現時点では吸音材を用いる手法が中心となっているところですが、性能に は限界があるため、従来の技術に代わる技術革新が求められています。近年、メタマテリアルと呼ばれ る、自然界には無い物性を持つ人工物質についての研究が進められており、この物質で物体を覆うこと により、無反射化する可能性も指摘されています。本案件では、音響メタマテリアル等、従来の吸音材と は異なる革新的原理に基づく音波の散乱・透過特性制御についての基礎的な研究を募集します。 期待される技術的解決方法(技術提案)の一例 ここで示した技術提案は一例であり、募集テーマに合致した内容を幅広く募集します。 ○クローキング技術 ・変換音響理論(transformation acoustics)に基づき、物体を隠蔽・無反射化する散乱体の設計技術 ・実現性の高い素材による音響メタマテリアルの設計技術 ○フォノニック結晶 ・フォノニックバンドギャップ近傍における音響メタマテリアル特性 ・広帯域でフォノニックバンド構造を制御可能なフォノニック結晶 ○音響メタサーフェス・音響ダイオード ・表面に共鳴体を埋め込んだ構造体の音響特性の制御技術 ○音響スーパーレンズ ・従来のレンズの回折限界を超える分解能、レンズの平面化、小型化、高分解能化 委託研究実施にあたって満たすべき条件 【提案が必ず満たすべき条件】 ○可聴音から超超音波まで、どの音波帯域でも対象としますが、制御する波長域をある程度の範囲で変 化することが可能であることを必須とします。 ○従来の吸音材に関する提案は対象としません。 ○研究実施期間において提案技術の効果を実験的に検証すること。ただし、革新的な提案の場合はシミ ュレーションでも可とします。 【望ましい、または考慮すべき事項】 ○複合材の音響物性を予測する理論に関する提案も歓迎します。 ○メタマテリアル技術を例示しましたが、これに限らず様々なアプローチによる提案を募集します。 その他特記事項 使用環境は、水中、空中どちらも可とします。 18 18 高温・高圧環境下で用いられる金属の表面処理 キーワード レーザピーニング、表面処理、高温・高圧 募集テーマとその背景 酸化性ガス雰囲気中で高温・高圧が同時に印加される過酷環境下で用いられる金属の表面の耐久性 向上は、重要な課題になっています。こうした環境で使用される金属表面は、耐熱性、耐腐食性及び耐 摩耗性に優れたクロムで保護する方法が一般的ですが、剥離やクラックの発生等の問題が生じます。ク ラックが発生すると、そこから母材の腐食が進行し、表面状態の劣化に繋がります。本研究テーマにおい ては、こうした保護層によらず、母材である金属(鋼鉄)の表面状態を向上させ、過酷環境下における耐 久性向上のための基礎的な研究を募集します。 期待される技術的解決方法(技術提案)の一例 ここで示した技術提案は一例であり、募集テーマに合致した内容を幅広く募集します。 ○鋼鉄表面を鍛造処理し、表面状態の抗たん性を向上させる技術 ・表面鍛造処理の深さ方向の延伸(特にレーザーピーニング処理) ・耐クラック性能の向上(高温高圧におけるクラック発生の抑制)に関する基礎研究 委託研究実施にあたって満たすべき条件 【提案が必ず満たすべき条件】 ○模擬環境における原理検証まで目指すこと、また、表面状態の改善について、高温・高圧環境下で実 験を行い定量的に検証すること、表面処理が耐えうる高温、高圧条件を明確にすることを必須としま す。これらの実施計画を提案書に記載してください。 ○化学的手法(メッキ処理等)は対象としません。 【望ましい、または考慮するべき事項】 ○既存の金属表面処理を上回る表面強度であることを要望します。 ○耐腐食性の向上についても検討することを期待します。 ○レーザによる表面処理以外の提案も歓迎します。 ○母材となる金属の組成等の条件最適化が中心になる研究は対象外です。表面処理が中心になる研究 提案をお願いします。 その他特記事項 特になし。 19 19 3D造形による軽量で高耐熱性を持つ材料 キーワード 3D造形(Additive Manufacturing)、傾斜機能材料、耐熱性材料 募集テーマとその背景 近年、3D造形技術が進展し、樹脂のみならず金属も取り扱えるようになり、セラミックスへの適用も展 望されています。3D造形技術の適用により、複数の材料を締結部無く接合して軽量化することや複数種 材料の組成比を連続的に変えて耐熱性と強度を併せ持つ傾斜機能材料を実現することが可能になると 期待されます。本案件では、3D造形技術による軽量で高い耐熱性及び強度を有する材料の実現に向け ての基礎的な研究を募集します。 期待される技術的解決方法(技術提案)の一例 ここで示した技術提案は一例であり、募集テーマに合致した内容を幅広く募集します。 ○高耐熱・高強度部材の製造技術 ・既存の製造技術では造形できない複雑形状を持つ高耐熱・高強度部材の製造技術 ・粉末制御等を用いた傾斜機能材料により、耐熱性を要する箇所を高耐熱化し、強度を要する箇所を高 強度化した部材の製造技術 委託研究実施にあたって満たすべき条件 【提案が必ず満たすべき条件】 ○3D造形で加工する材料は金属やセラミックス等の耐熱性及び高強度を有する部材とします。傾斜機 能材料を用いることで必要な箇所のみ耐熱性や高強度を有することも可能とします。 ○研究目標を明確にした上で、研究実施期間において実際に3D造形により物を作り、耐熱性や強度に ついての提案技術の有効性を検証することを提案書に記載してください。 【望ましい、または考慮すべき事項】 ○3D造形で傾斜機能の部材製造技術を提案する場合、可能な限り、適用例を具体化した上で期待され る性能を明確化してください。たとえば極超音速飛行体の機体材料やジェットエンジンの構成部品に適 用する場合、それぞれの使用環境に耐える耐熱性及び強度を有する部材であることが求められます。 ○なお、特に革新的あるいは先進的な手法の場合、具体的な耐熱性あるいは強度の議論までは求めま せんが、念頭に置いている応用先については、提案書の中で十分に記載してください。 その他特記事項 特になし。 20 20 複合材料を用いた接着構造の非破壊検査 キーワード 接着、CFRP、非破壊検査 募集テーマとその背景 近年、航空機の軽量化のため、軽量な複合材料(CFRP)の適用比率は増加の傾向にあります。また、 CFRPの適用部位は、比較的平坦な構造を有する部位から、より複雑な曲面及び部材配置を伴う部位へ と拡大しつつあります。複雑な構造を比較的容易に成形できる接着技術は、ファスナ数量の減少による 重量減少も期待できることから、CFRPの適用拡大に重要な技術となっています。しかし、複雑な形状の 部材を十分な信頼性をもって接着できる技術が確立されていないため、CFRP接着部が十分な強度を有 した状態であることを非破壊検査によって確認する必要があります。本案件では、接着部の信頼性向上 に資する新たな非破壊検査技術についての基礎的な研究を募集します。 期待される技術的解決方法(技術提案)の一例 ○CFRPの接着部におけるKissing Bond(強度が不十分な接着状態)を検出する検査技術 委託研究実施にあたって満たすべき条件 【提案が必ず満たすべき条件】 ○検査においては、実際にCFRPでKissing Bondを再現した被検査体を用いて検査の有効性を調べるこ と。また、被検査体の作成あるいは入手方法についても提案書に記載すること。 ○検査方法は原則として被検査体にダメージを与えない手法であること。ただし、接着部がKissing Bond の場合のみ剥離等のダメージが発生することを許容します。 【望ましい、または考慮すべき事項】 ○Kissing Bondを発生させる原因は複数あり、それぞれで特徴が異なります。提案される手法がどのよう な原因によるものに対応できる可能性があるのか、提案書に記載することを希望します。 ○被検査体が作成困難と見込まれる場合は、被検査体を製造可能と見込まれる各種製造会社等との連 携を視野にご検討ください。 その他特記事項 特になし。 21
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