筑波大学附属駒場中・高等学校 第42回教育研究会のご案内 「グローバル人材の育成をめざして」 「グローバル人材の育成」は、今や教育現場のみならず、産業界などをはじめとして、国をあげ て取り組むべき課題となっています。しかしながら、「グローバル人材」とは一体どのような人物 を指すのでしょうか。単に英語ができればよいわけではないことは明らかでしょう。本校ではそれ を、問題を自ら見いだし、他と協力して解決を目指すことができる「問題解決能力とリーダーシッ プのある人間」ととらえています。 本校は 2002 年度に文部科学省からスーパーサイエンスハイスクール(SSH)の指定を受けて以 来、第一期、第二期の 10 年を経て、2012 年度からは第三期の課題として「豊かな教養と探究心あ ふれるグローバル・サイエンティスト(global scientist)を育成する中高大院連携プログラムの研 究開発」をテーマとして掲げ、5 年間の指定期間で世界的な視野を持った人材の育成に取り組んで います。 その具体的成果の一例として挙げられるのが、台湾台中第一高級中学との研究交流です。授業見学な どの表面的な活動にとどまることなく、互いの研究成果の発表と質疑応答や異文化交流など、科学を志 す若者同氏のより深く親密な交流が毎年行われています。さらに、他のコア SSH 校の企画による海外 校との交流や国内外における研究発表などの機会から、自ずと他の研究活動も活発となり、好循環を生 んでいます。 そこで、2015 年度教育研究会では、 「グローバル人材の育成をめざして」を研究主題とした公開 授業および研究協議会を、国語科、数学科、保健体育科、技術科の教科別に実施します。協議会後 は、国立教育政策研究所および国際交流に積極的に取り組んでいる SSH 校からシンポジストの先 生方をお招きし、シンポジウム「SSH の現在と今後―国際交流のあり方を考える―」を開催いた します。現在までの実践報告、成果、問題点、今後の展望などについて、先進校の事例報告から今 後の国際交流のあり方を模索したいと思います。 校務ご多忙のこととは存じますが、ぜひ諸先生方にご参加頂き、ご助言賜りますよう、ご案内申 し上げます。 2015 年 10 月 筑波大学附属駒場中・高等学校 校長 林 久喜 記 1.期日・場所 ○ ○ 2015 年 11 月 21 日(土) 筑波大学附属駒場中・高等学校 〒154-0001 東京都世田谷区池尻4丁目7番1号 電話 03-3411-8521(代表) FAX 03-3411-8977 URL http://www.komaba-s.tsukuba.ac.jp/home/ 2.研究主題 「グローバル人材の育成をめざして」 3.日程 8:30~9:30 9:30~10:20 10:40~11:30 12:30~14:30 14:50~17:00 受付 第1校時 第2校時 研究協議会 シンポジウム ※ 第1次案内より開催時間に変更のある部分がございますので、ご注意下さい。 〈1〉公開授業(9:30~11:30) 第1校時(9:30~10:20) 教 科 題 目 と 要 旨 学 年 授 業 者 中学2年 関口 隆一 中学3年 須藤 雄生 詩の読解・鑑賞 韻文には散文とは異なる言葉の用いられ方があり、その読解に 国 語 あたって分かりにくさ、親しみにくさにつながる場合もある。そ うした「分かりにくさ」とどのように接するかを考えたい。 確率 中学3年の学習においては、高校での学習へ向けて、それまで別個の 数 学 ものとしてきた代数的分野(方程式、関数、確率・統計)と幾何的分野 (図形の性質)の学習を統合していく視点が大切である。本時において は、確率に関する課題解決の場面を通して、ときには代数、ときには幾 何の複数の知識が結びついていく面白さを、生徒とともに味わいたい。 保健「私たちの生活と環境問題」 環境の単元は、教材を探したり作ったりすることが比較的難しい。そ 保 健 の実態を受けて、この授業では一般的な書籍や WEB で入手できる素材 体 育 から教材を作成し、シンプルな授業スタイルで、教材の中身で面白さを 引き立てることを目指した。なお、「私たちの生活と環境問題」は、大 修館書店の次年度教科書から新設される予定の単元である。 中学2年 徐 広孝 ※ 以下は第1校時(9:30~10:20) ・第2校時(10:40~11:30)の2時間連続で実施します。 制御モジュールの内部とプログラミングによる計測・制御の問題解決 開発向けツール(Microsoft Visual Basic)を用いた計測・制御を 行う。その際、ライントレースカーを制御するために必要となる「制 技 術 御モジュール」に着目し、内部の構造にどのような仕掛けがあるの 中学3年 渡邉 隆昌 学 年 授 業 者 か解説する。また、ライントレースするための合理的な考え方を知 り、プログラミングによる技術的な問題解決を図る。 第2校時(10:40~11:30) 教 科 題 目 と 要 旨 和歌の学習 和歌が分からないという生徒は多い。気軽に歌群を眺めて、ことばや 国 語 表現の特徴を見つけることから始めたい。和歌の読解を通して、ことば 高校2年 杉村 千亜希 高校1年 吉崎 健太 高校2年 横尾 智治 がどのように和歌の表現世界を作っていくのかということを生徒とと もに考えたい。 整数の性質 合同式やユークリッドの互除法といった技能に終始せず、具体的な作 数 学 業を通して規則性や法則を予想する、といった活動が数学を学習する上 では重要な活動である。本授業ではそうした活動を重視した課題を提示 し、帰納的な考察をすることで、課題の本質を解き明かしていく。 体育「学習ノートを用いたサッカー」 障害予防と運動量確保の観点から工夫をして体育の準備運動を行う。 保 健 サッカーの技能についての学習ノートを用いて、目標とする技能を明ら 体 育 かにして授業を行う。また学習ノートに困難度順に項目を示して学習し ていく。更に技能の理解のためにタブレットアプリを活用し技能の習得 を目指す授業を検討する。 〈2〉研究協議会(12:30~14:30) 教 科 主 題 ・ 内 容 「公開授業をめぐって」授業者による報告・質疑応答 担 授業者 語 て、参加者とともに考えを深めたい。助言講師からは、文学の指導 や、話し合いの指導方法について、実証的な研究に基づいた助言を 助言者 教育学域教授) Ⅰ「公開授業をめぐって」 Ⅰ授業者 Ⅱ「創造的な教材・指導法及びカリキュラムの開発 ―中高6カ年から大学へ―」 学 塚田 泰彦 (筑波大学人間系 いただく予定。 数 関口 隆一 杉村 千亜希 公開授業を振り返り、普段の授業におけるさまざまな困難につい 国 当 者 数学科では、スーパーサイエンスハイスクール(SSH)研究に連 動して、様々な場面で数学的思考力を養うような具体的教材の開発 吉崎 健太 Ⅱ発表者 助言者 三井田 裕樹 坂井 公 (筑波大学数理物質系 を試み、実践している。これに関した今年度の取り組みを報告する。 Ⅰ「公開授業をめぐって」 須藤 雄生 数学域准教授) Ⅰ授業者 Ⅱ「中学・高校保健体育における健康教育について」 徐 広孝 横尾 智治 保 健 前半は公開授業についての意見交換を行い授業について検討す Ⅱ発表者 横尾 智治 体 育 る。助言講師よりサッカー競技の専門的な指導について解説してい 助言者 大嶽 真人 ただき体育での指導との共通点について考える。後半は体育の学習 (日本大学文理学部 アプリを実際に体験しながら ICT 活用について議論する。 Ⅰ「公開授業をめぐって」 Ⅰ授業者 渡邉 隆昌 中学校技術・家庭科(技術分野)から視た「情報」と高等学校普 Ⅱ発表者 渡邉 隆昌 通教科情報科から視た「情報」の差異を明らかにし、検討を行う。 助言者 樋口 直宏 Ⅱ「中学校技術科の情報領域と高等学校情報科の系統性について」 技 術 体育学科教授) 双方の学習指導要領から連続性を導き出し、特に情報の科学的側面 に重心を置いた指導の方向性を提案する。教育実践の現場から、教 科間の系統性について検討していきたい。 (筑波大学人間系 教育学域教授) 〈3〉シンポジウム(14:50~17:00) 題名 「SSHの現在と今後 ―国際交流のあり方を考える―」 概要 今年度教育研究会では、「グローバル人材の育成をめざして」を研究会主題とした公開授業および研究 協議会を実施する。協議会後は、国立教育政策研究所、および国際交流に積極的に取り組んでいる SSH 校から先生方をシンポジストとしてお招きし、シンポジウム「SSH の現在と今後―国際交流のあり方を 考える―」を開催することにした。現在までの実践報告、成果、問題点、今後の展望などについて、先進 校の事例報告から今後の国際交流のあり方を模索したい。 シンポジスト(講師及び参加校) 銀島 文 氏(国立教育政策研究所 総合研究官・基礎研究部副部長) 筑波大学第一学群自然学類(数学専攻)卒業。大学院博士課程教育学研究科で数学教育学を専攻。金沢 大学助教授を経て現職。現在、TIMSS(国際数学・理科教育動向調査)の研究代表を務める。研究テー マは、数感覚の発達と育成、教育評価。近年は、卓越性に焦点化した科学の教育課程編成に関してグルー プ研究を行っている。 立命館高等学校 2002 年、スーパーサイエンスハイスクール(SSH)事業の初年度から指定を受け、現在は第 4 期指定と なっている。今期の研究開発課題は「国際ネットワークを活用した理数系グローバル人材育成システム の開発」 。将来国際的に活躍する「グローバル・リーダー」の育成を目的とした文部科学省の「平成 26 年 度スーパーグローバルハイスクール(SGH)事業」にも指定された。なお、系列校の立命館宇治高校と 立命館慶祥高校は SGH 校、立命館慶祥高校と立命館守山高校は SSH 校である。 横浜市立横浜サイエンスフロンティア高等学校 平成 21 年開校。平成 22 年度から 5 年間の SSH 活動に続き、第2期として平成 27 年度から 5 年間の 【実践型】の SSH 研究を行っている。また、科学技術人材育成重点枠としても 3 年間の中核拠点の指定 を受けた。SSH と合わせて、文部科学省より平成 26 年度スーパーグローバルハイスクール(SGH)に 指定され、研究主題「内外の多様な教育資源を活用したグローバル・リーダー教育の研究開発」に取り組 んでいる。 学校法人市川学園 市川高等学校 平成 21 年度に SSH の指定を受けて以来、「市川サイエンス」など様々な取り組みを実践している。 国際交流に関しては、タイをはじめ多くの経験がある。研究開発の課題は「探究的な授業と課題研究を両 輪とする指導方法を完成させ、国際的に活躍できる課題発見型研究者育成の基盤を構築する」 。 学校法人静岡理工科大学 静岡北高等学校 平成 19 年度からの SSH 校で、現在 2 期目。海外の理数系重点校との連携に取り組む「科学技術人材 育成重点枠」にも採択され、世界の高校生と協力し研究活動に励むなど、SSH 指定校の中でも中核的な 役割を担っている。 筑波大学附属駒場高等学校 SSH 第 3 期の課題として 「豊かな教養と探究心あふれるグローバル・サイエンティスト (global scientist) を育成する中高大院連携プログラムの研究開発」のテーマを掲げ、研究開発に取り組んでいる。 4.問い合わせ・申し込み ○参加資格 参加は教育関係者に限らせていただきます。 ○資料代 1人当たり 2,000 円です。学生・大学院生は 1,000 円です。 当日受付でお支払い下さい。 (資料および報告集の印刷・郵送費です。ただし、 学生・大学院生には報告書の送付は致しません。 ) ○参加申込 11 月 16 日(月)までに本校 WEB サイト(下記)からお申し込み下さい。折り返し 返信メールが届きます。返信のない場合は、下記の問い合わせ先まで、問い合わせ 下さい。 ○弁当 本校 WEB サイトから事前申し込み(昼食の注文)をされた方にのみ、当日、弁当 (1,000 円)を販売いたします。本校周辺の飲食店は数に限りがございますので、 昼食をご持参、または弁当販売をご利用下さい。 ○問い合わせ先 本校研究部 e-mail アドレス:[email protected] ○交通機関 末尾の地図をご参照下さい。自動車でのご来校はご遠慮下さい。 ○宿泊施設 宿泊施設は、渋谷周辺の宿泊施設が便利です。各自でお申込み下さい。 ―― 参加申込先 ―― 本校 WEB サイト URL http://www.komaba-s.tsukuba.ac.jp/home/ スーパーサイエンスハイスクール(略称SSH)について 文部科学省が平成 14(2002)年度から始めた研究開発事業で、高等学校等を対象とし、理数系教育を 重点的に実施することにより、その改善に資することを目的としています。平成 27(2015)年度は全国 で 203 校が SSH の指定を受けています。 具体的には、 ①学習指導要領によらない教育課程の編成により、理科、数学に重点を置いたカリキュラムの開発 ②大学や研究機関等と連携し、生徒が大学で授業を受講、大学の教員や研究者が学校で授業を行うな ど関係機関等との連携方策の研究(高大連携) ③論理的思考力、創造性や独創性を一層高めるための指導方法の研究 ④科学クラブ等の活動の充実 ⑤トップクラスの研究者や技術者等との交流、先端技術との出会い、全国の SSH 校との相互交流 を目標としています。 本校では、これまでの研究を踏まえ研究開発課題「豊かな教養と探究心あふれるグローバル・サイエ ンティスト(global scientist)を育成する中高大院連携プログラムの研究開発」のもと、以下の六つ を SSH の柱として、今年度5年計画の第4年次の研究を推進しています。 (1)すべての生徒の探究心や研究意欲を高める大学研究室体験の実施 (2)意欲の高い生徒のためのグローバル・サイエンティストを目指す「課題研究」等のプログラム研 究と実施 (3)科学者・技術者としての研究活動に必要な情報収集能力・メディア活用能力の育成 (4)国際交流や学会発表の場で通用する英語プレゼンテーション能力の育成 (5)SSH 校や大学との連携を活かした数学的思考力を育てる教材の開発と普及 (6)科学者・技術者に必要な科学的リテラシーの育成 筑波大学附属駒場中・高等学校案内図 ○利用交通機関 京王井の頭線「駒場東大前」駅西口下車徒歩 7 分 東急田園都市線「池尻大橋」駅北口下車徒歩 15 分 (渋 51)東急バス(渋谷−若林折返所) (渋 54)小田急バス(渋谷−経堂) いずれも「駒場」下車徒歩 1 分
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