サッカーワールドカップにおけるディフェンダーからのパスの特徴と有効性

サッカーワールドカップにおけるディフェンダーからのパスの特徴と有効性
小川
純平(競技スポーツ学科 コーチングコース)
指導教員 山田 庸
キーワード:センターバック,ビルドアップ,ゲームパフォーマンス分析
1
緒言
近年のサッカーでは,ディフェンダーから
の攻撃の組み立てや攻撃参加が有効である.
球を入れるボールポゼッションを指導してい
く必要があると考えられる.
4.まとめ
フィジカル面で不利な日本人にとって,特に
吉田麻也は,マッツ・フンメルスやロン・
ディフェンスからのビルドアップ,ボールの
フラールに比べ効果的なパス数が少なく,ミ
配給,特徴,有効性に着目することは重要で
スパスの割合が高い.すなわち,ビルドアッ
ある.本研究では,サッカーワールドカップ
プ能力に劣る.
2014 ブラジル大会におけるディフェンダー
引用・参考文献
のパスの特徴と有効性を検討することを目的
FIFA (2014) FIFA World Cup 2014 Brazil
とした.
technical report. galledia ag, Berneck.
2
Pp45-46
研究方法
ワールドカップ 2014 ブラジル大会におけ
る,日本代表吉田麻也,ドイツ代表マッツ・
フンメルス,オランダ代表ロン・フラール,
の 3 選手によるパス,
計 453 本を対象とした.
本研究では,ディフェンダーのパスを分析す
るために,パスを出したディフェンダーとレ
シーバーの位置情報を記録した.測定誤差を
最小化するためにピッチの縮尺図を用いて記
録した.分析項目は,以下の 5 種類のパスを
集計した.①くさびのパス,②サイドチェン
ジ,③つなぎのパス,④クリア,⑤ミスパス
3
図 1 くさびのパス数
結果と考察
3 選手のうち,吉田麻也は,5 項目すべて
でマッツ・フンメルス,ロン・フラールより
劣っていた(図 1,2)
.吉田麻也は,くさび
のパスやサイドチェンジといった攻撃のスイ
ッチを入れるような勝負球が他の 2 選手と比
べても圧倒的に少なかった,勝負球を入れず
後ろで繋ぎのパスを繰り返していた.日本サ
ッカーの強化のためには,育成年代のセンタ
ーバックに対して,サイドチェンジ,くさび
のパスといった攻撃のスイッチを入れる勝負
図 2 ミスパス数