平成 27 年度事業計画 1 業務の基本方針 平成 27 年度のわが国経済は、海外の景気の下振れ、テロへの脅威による社会経済活動 の抑制等に留意する必要はあるものの、 雇用・所得環境の改善による景気の好循環の進展、 円安の定着による交易条件の改善、原油価格の大幅な下落による燃料費の減少等により、 景気の回復が続き、実質 GDP 成長率はプラスになると見込まれている。このような中で、 産業安全技術協会の主たる業務である防爆構造電気機械器具の検定に関しては、検定合格 品の主要なユーザーである石油・化学産業において、設備が過剰の状態にあり、その影響 で新規検定申請件数が減少すると予想される。一方、性能試験、技術支援、IECEx システ ムの下での試験・認証など、検定以外の業務については、国際化の進展や社会の多様なニ ーズを背景に事業の拡大が見込まれる。 このような状況を踏まえつつ、当協会としては公益社団法人としての社会的使命、責務 を果たせるよう、次の事項を基本として平成 27 年度の業務の運営に当たることとする。 (1) 当協会は、内閣府から「事故又は災害の防止を目的とする事業を行なう」団体とし て公益社団法人の認定を受けているほか、労働安全衛生法第 42 条に規定される機械器 具に係る検定に関して厚生労働大臣から個別・型式検定機関の登録を受けている。か かる社会的使命及び責務を十分に認識し、公益社団法人としての信頼を損ねることの ないよう、関係法令等の規定を踏まえた運営管理を行う。 (2) 業務の実施においては、公平、公正かつ誠実に対応するとともに、顧客ニーズの的 確な把握と、迅速、適切な対応を通じて顧客満足度の向上に努める。特に、検定関係 業務のうち、防爆構造電気機械器具(以下「防爆機器」という。)に係る新規検定申 請の処理については、その効率化に努め、処理期間の短縮に取り組む。また、顧客の 多様なニーズに対応し、公益認定の枠内で、化学物質の危険性評価試験、呼吸用保護 具等の性能試験、技術支援に係る業務、IECEx システムの下での試験・認証等に積極的 に取り組む。そのほか、多様な顧客ニーズに的確に応えていくため、新たな業務の検 討を続ける。 (3) 防爆機器の検定の基準として、国際規格(IEC 規格)に整合した技術指針が本年改正 されることに伴い、改正指針に基づく検定が円滑に行なわれるよう、職員への教育訓 練の実施のほか、申請用手引きの作成、当協会のホームページ等による関連情報の提 供、説明会の開催等による改正指針の周知に努める。また、IECEx システムの下での試 験・認証については、顧客の幅広いニーズに応えられるよう、試験・認証業務に用い る IEC 規格の範囲の拡大について、IECEx システムへの追加申請を検討する。 (4) 前年度に開設した大阪事務所を活用し、サービスの充実に努める。また、企業活動 の国際化、海外展開の動きに対応し、顧客への迅速、的確なサービスの提供が可能と なるよう、海外の関係機関との協力・連携を強化していく。 (5) 前年度に取りまとめた事業戦略プロジェクト報告書の検討結果を踏まえ、実施体制 の整備等に取り組む。 - 1 - 1.1 業務の実施 事故・災害の防止に貢献することを目的として、前年度に引き続き、機械器具の検定・ 認定、化学物質の爆発・火災危険性についての特性試験、機械器具等の安全性能試験、安 全衛生に関する技術指導・技術支援、講習会、安全衛生に係る調査・研究の受託等を実施 する。その主なものは次のとおりである。 ・登録個別・型式検定機関として認められている 13 品目の機械器具の検定 ・Ex コンポーネント等の機械器具の安全性能の認定 ・化学物質の危険性評価試験、呼吸用保護具・防護服の性能試験等の実施・ ・安全衛生に関する知識の普及・技術の向上のための技術講習会の開催及び資料の頒布 ・機械器具の安全対策、海外での認証取得等に係る技術支援の実施 ・IECEx システムに基づく認証機関及び試験機関としての認証及び試験の実施 ・国内外にわたる規格・基準等の調査 ・安全衛生に係る調査・研究業務の受託 ・公益社団法人としての産業安全衛生活動の広報・支援等の実施 1.2 組織・体制等の見直し 効率的かつ適切な業務の執行管理がなされるよう、部門間の情報共有及び連携を図りつ つ、業務の運営管理方法の見直しを行う。また、業務実施体制の強化の一環として、職員 に対する教育訓練を計画的に進めるとともに、必要に応じて技術部門の職員を採用する。 職員の採用は、即戦力が期待できる経験者の採用に限定せず、新卒者の採用にも努める。 また、次代を担う職員を養成するため、前年度に引き続き、海外への研修派遣を検討する。 1.3 安定的運営のための財務体制整備 平成 26 年度の検定に係る新規申請は、 消費税引き上げに伴う駆け込み申請等の特殊要因 がなくなったことにより、件数及び手数料収入とも前年度より大幅に減少したものの、そ の水準は平成 20 年度以前の状態まで戻った。しかし、申請件数の 80%以上を占める防爆機 器の主要なエンドユーザーにおいては過剰設備の解消等を図っており、その影響で検定の 新規申請件数は減少し、手数料収入も減少すると見込まれる。一方、検定以外の業務のう ち、性能試験、技術支援、IECEx システムの下での試験・認証などについては、国際化の 進展や社会の多様なニーズを背景に事業が拡大する余地があることから、事業収入源の多 様化を図り、収入を検定事業に過度に依存しないようにすることによって、安定的運営の 達成を目指す。また、事業収入に見合った費用とするため、引き続き業務の効率化、経費 の節減に努める。 1.4 試験設備等の整備 検定関係では、呼吸用保護具関係の試験設備の整備として、粒子測定装置、ガス分析計 を購入する。また、IECEx システムの下で行う試験業務に関し、使用する IEC 規格の範囲 の拡大に伴って必要となる試験設備、機器等の整備を行う。そのほか、今後の事業展開に 備えて検定設備等引当資産の積立を行う。 - 2 - 1.5 その他 平成 27 年度は上記の内容に加えて、以下の事項に取り組む。 1.厚生労働省に対する技術面での協力として、防爆機器、呼吸用保護具等の試験、認 証に関する国際動向、産業界の動向等についての情報の提供 2.協会の施設のセキュリティの向上及びデータベースの改良 3.協会の英語版ホームページの刷新 4.協会創立 50 周年記念誌の発行を含む、創立 50 周年記念式典の挙行 5.電力の安定的供給に協力するための省エネ活動 6.外部委員会等へ協力、適切な専門家の派遣 2 業務実施計画 2.1 検定、試験等 当協会の主要な事業である検定については、厚生労働省の登録個別・型式検定機関として 13 品目の検定を実施しているが、そのうち 80%以上を占める防爆機器の新規申請について は、防爆機器メーカーでの人材難と国内の防爆機器市場の縮小によって申請件数は減少を示 すと予想される。減少傾向の緩和と新規申請への支援として、審査に係る処理期間の短縮等 に努め、顧客目線からのサービス向上を図るとともに、技術支援等を通じて新規申請への取 組みを支援する。また、検定基盤を拡大するため、ユーザーに対する関係情報の提供、説明 会の開催等によって検定制度の認知度を高め、その正しい理解と適切な運用が図られるよう 努める。そのほか、性能試験、技術支援等については、それらを総合的に実施することによ り、社会の多様なニーズに対応できるよう努める。 (検 定) 厚生労働省の登録個別・型式検定機関として、平成 26 年に新たに検定対象となった電動 ファン付き呼吸用保護具を含む 13 品目の検定を着実に実施する。このうち、防爆機器の検 定については、検定の基準として新たに示された工場電気設備防爆指針―国際整合技術指 針(以下「国際整合防爆指針 2015」という。)に基づいて検定が円滑に行なわれるよう、 協会内の検定体制を整えるとともに、関係者への新指針の周知に努める。 (IECEx システムの認証機関及び試験機関としての取組み) 防爆機器に関する国際的な認証制度である IECEx システムの下での試験の実施、適合証 等の発行の業務を着実に進める。また、IECEx システムに対し、認証等の業務に使用する IEC 規格の範囲の更なる拡大を目指して、追加申請の準備を進める。 (機械器具・設備等の規格適合性評価、リスク評価に関する技術支援等) 当協会の技術を活用し、機械器具・設備等のリスク評価、安全性確保のための技術支援、 国外の認証取得等の支援を行う。 - 3 - (危険性評価試験、安全衛生性能試験) 化学物質の爆発火災危険性評価試験、静電気に対する特性試験、機械器具・マスクの性能 試験等を実施する。これらの試験は、規格に基づく試験の受託のほか、試験に関する技術相 談等を行い、依頼者のニーズに対応していく。 2.2 講座・セミナー、育成 事故・災害の防止、技術者の育成を目的として、講習会の開催、安全資料の刊行、安全 技術情報の発信を行う。 (講習会) 計画している主な講習会は次の通りである。 (防爆関係) 1. 国際整合防爆指針 2015 及び施行通達に関する説明会 2. 国際整合防爆指針 2015 の詳細解説(総則、耐圧、本安、その他の4回に分けて 開催) 3. 防爆基礎講座(初心者向け)(2 回に分けて開催) (電気安全) 4. 静電気災害・障害防止のための基礎知識 5. 静電気安全エキスパート養成講座(初級、中級) (安全全般) 6. 特別講演会(海外認証機関による海外事情の紹介) (安全資料等) (独立行政法人)労働安全衛生総合研究所が作成し、防爆機器の検定の基準として用い られる国際整合防爆指針 2015 等の広報及び頒布を行なう。 (安全技術情報) ホームページ、TIIS ニュース、メールマガジン等により安全衛生技術情報を発信し、安 全衛生技術の普及に努める。中でもホームページを活用して、安全衛生技術情報の発信を 積極的に行なう。 2.3 相談・助言 検定申請、試験依頼等に関する無料相談を引き続き実施するほか、企業の安全衛生技術 向上のため、助言・技術支援等を有料で行う。 (技術支援・相談) 検定の申請手続及び試験依頼等に関する相談を無料で行なうとともに、爆発災害防止、 静電気対策、安全衛生器具の性能評価等、当協会の技術力を活かした助言、技術支援等を 有料で行う。また、国外への安全認証申請などについての支援を有料で実施する。 - 4 - (外部委員会) 当協会の職員等が有する災害防止に関する専門的知見、技術等を幅広く社会に役立てて いただくため、安全衛生関係機関・団体が設置した委員会等へ職員等を派遣し、専門的見 地から関係情報の提供、課題の検討等を行い、その運営に協力する。 2.4 調査・資料収集 検定等の業務に関連した規格・資料の収集の他、関連業界との意見交換会等を通じて情 報の収集に努める。 (IECEx システム(防爆機器規格適合試験制度)に係る調査研究) IECEx システム国内審議委員会の事務局を引き続き務め、日本国内の意見・要望等をま とめる。また、IECEx システムの年会に参加し、国内審議委員会の意見を踏まえた発言、 決議に加わるほか、年会参加者等から情報収集等を行い、国内審議委員会等に報告する。 (受託調査研究) 厚生労働省等関係機関が外部に委託する調査研究案件について情報収集に努め、受託を目 指して積極的に競争入札等に参加する。 3 社会貢献 公益社団法人として、以下の社会貢献を行うとともに、当協会を退職した専門性を有す る職員に TIIS フェローの称号を授与し、TIIS フェローによる社会貢献活動を支援する。 ・各種外部委員会への専門家の派遣・協力 ・安全衛生に関する講演会、展示会等の後援 ・IECEx システム国内審議委員会の事務局の運営 4 その他 平成 27 年度は次の項目についても実施する。 ・関連業界、団体等との意見交換会の開催 ・検定申請者等へのアンケート調査の実施及び調査結果の業務改善への反映 - 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