Document

 英語 【出題の基本方針】 立命館大学の諸学部において教育を受けるにふさわしい、基本的な英語力を備えた受験
者を選抜するために、高等学校卒業段階で到達すべき英語力を公正に測定できる内容で出
題することを基本方針とした。 【設問の講評】 Ⅰ 700〜750 語程度の英文をもとにした、大意把握と内容理解の力を試す問題である。 一
定のまとまった長さの英文を読んでその内容の概要や要点をとらえ、また著者の意向や
ものの見方を適切に理解して、本文中の言い回しの引き写しではなく整理して表現する
力があるかを試す。 Ⅱ 600〜650 語程度の英文の内容理解を試す問題で、細部の正確な理解が要求される。幅
広い英語コミュニケーション活動を通じて身につけた多様な英語表現や、英文全体の話
の流れを正確に把握する力をもとに、先を予測しながら積極的姿勢で読解する力を試す。 Ⅲ 二人の対話文をもとにした問題である。対話の中の空所を埋めるのにもっとも適当な
表現を選択肢から選ぶ形式である。さまざまな場面で、話の流れを正確につかみながら
話し手の意向や気持ちなどを理解することができるか、また、適切な表現で応答し必要
な情報を伝えることができるかを試す。人との関係を円滑にする(あいさつや呼び掛け
など)、相手の行動を促すなど、いろいろな言語の働きをする英語表現に親しんでおくこ
とが必要である。 Ⅳ 文型や文法事項に関する問題である。動詞の時制、助動詞、不定詞、関係詞、また仮
定法や分詞構文の基本的なものなどを含む文法の規則をふまえて、適切な英語で表現す
る力を試す。 Ⅴ 日本文と同じ意味になるように、与えられた語句を並べ替える問題であるが、逐語的
な置き換えではなく、意味や意図を具体的にイメージしながら英語で表現する力を試す。
文型や品詞を意識しながら、ブロークンではなく標準的な語順で、伝えたいことを正確
に表現することが必要である。 Ⅵ 語彙に関する問題である。教科書に出てくるような基本的語彙をはじめ、自立した英
語使用者に必要な語彙を幅広く身につけておくことが期待される。たんに日本語訳を知
1 っているというだけではなく、その単語が英文の中でどのように使われるか、連語関係
などにも注意を払いながら学習しているかが試される。 大問Ⅰ、Ⅱの解答状況をみると、多くの受験生は、辞書など少しの助けがあれば、学習者
向けにやさしく書き直した文章でなくても雑誌や新聞などの英文を十分に読みこなせる力
があると感心した。しかし、なかには、長文中の正答に関連する箇所に下線を引く程度の
力はあっても、一文一文の精確な理解ができていないために、あるいは豊かな英語表現を
身につけていないために、自分の言葉で整理して要約するのは難しいのではないかと疑わ
れる解答もあった。主要な単語(名詞・動詞など)の語義だけに強く依存し、構文を理解
しないまま、設問や選択肢を支えになんとなく本文の内容を推測するようでは、少々心許
ない。 英語は語順が大切な言語である。高校生段階では、標準的な英文をたくさん聞いたり読ん
だりする活動を通じて英語らしい語順(文法・文型)をしっかり身につけておくことが、
大学でのライティングやスピーキングに有用である。そうすれば、大問Ⅳ・Ⅴ・Ⅵのよう
な設問にもっと自信を持って解答できるようになるだろう。また、意図を正確に理解し伝
達するためには、耳で聞いたときには弱い音になってしまう前置詞などもおろそかにせず、
丁寧に学んでほしい。 大問Ⅲなどの会話表現は、定型的なものはよく身につけている受験生が多い。しかし、How do you do?というごく基本的な言い回しの意味・用法を誤解していると思われる解答が意
外に多く、驚いた。高校1年生は、中学で学習した語彙や表現を使う機会を増やし、しっ
かり定着させることも重要かと思う。また、決まり文句をおうむ返しに唱えるだけの学習
ではなく、言語の働きに注目し、応用がきくような形で一般化しながら英語表現を身につ
けることが望まれる。 【学習のポイント】 ・設問を見てから、探し読みで必要な情報をすばやく効率的に拾い出すだけではなく、選
択肢などの助けなしに、すくい読みで全体の流れを把握する、即座に理解できない部分
はじっくり精読するなど、緩急を意識しながら読解の経験を積む。また、言外の意図
(implication)も含め書き手の意向を適確に理解し、自分の言葉でまとめるなどの活動を
つうじて、自立した読み手にふさわしい長文読解力をつける。 ・国内外のさまざまな場面における会話表現に親しみ、状況や相手の立場も考慮しながら
適切な言い回しがとっさに口をついて出るレベルまで習熟する。素材として短編小説や
コミック、映画などを活用するのもよい。 ・言語コミュニケーションの土台となる語彙力をつけ、基本的な文型や文法はたんなる知
識としてではなく英語表現に使えるレベルまで、しっかりと身につける。 2