1 平成 27 年度「経済の好循環と日本経済再生に向けた国際共同研究

平成 27 年度「経済の好循環と日本経済再生に向けた国際共同研究」募集要項
内閣府経済社会総合研究所では、現在、研究プロジェクト「経済の好循環と日
本経済再生に向けた国際共同研究」を実施しております。本研究は、経済の好循
環実現と日本経済再生、デフレ脱却、経済成長といった経済政策の最重要課題に
資する実証的知見の拡充を目的としています。
そこで、内外の気鋭の研究者の参加を求め、これらに関する研究を進めていた
だくべく、研究テーマに即した実証研究を広く公募することといたしました。
研究成果については、内閣府経済社会総合研究所発行『経済分析』の特集号を
設け、掲載する予定です。
1. 研究内容・テーマ
経済の好循環実現と日本経済再生、デフレ脱却、経済成長といった経済政策
の最重要課題に即した実証的知見の拡充に資する新規の論文。
(分析内容や手
法に新規性があることも期待)
特に、マクロ経済政策(課題1)、労働市場と人的資本(課題2)、生産性(課
題3)等の関係各分野で、経済政策の効果の波及メカニズムや要因の分析など
について分析したもの。
別紙1①~③に上記3つのテーマに関する論点・研究例が示されています。
ただし、別紙論点に密接に関連する内容も応募を認めます。
2. 研究計画の提出
当国際共同研究への参加を希望される方は、別紙から選択したテーマに関
する研究計画を作成し、2015 年5月末日までに内閣府経済社会総合研究所の
募集アドレス([email protected])へ提出してください。
研究計画のフォーマットは本要綱末の別紙2の様式をご利用ください。
(課
題1、2については日本語での研究計画提出フォーマットもあります。)
募集アドレスへご連絡いただく際は、メール本文に
氏名、所属、職名、連絡先住所、電話番号、e-mail アドレス
を明記してください。
研究タイトルは、暫定的なもので結構です。論文趣旨が変わらなければ執筆
途中でのタイトル変更も認めます。
研究のねらいや手法等について、できるだけ計画時点で判明していること
を示してください。
(特に関連テーマに関するこれまでの提案者ご自身の実績
(学会での発表実績等も含む)や、自筆論文を含めた関連の先行研究等あれば、
その参考となる文献の出典を明記してください)
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研究内容に関して、事務局から質問をする場合や資料提出をお願いする場合
あります。
なお、同じ人(複数名による研究の場合は当該チーム)からの複数応募は受け
付けません。
3. 研究の審査・推進体制とスケジュール
提出された研究計画は、当研究の推進委員会において1.に掲げた研究内
容・テーマの趣旨に即して審査し、経済社会総合研究所長が採択を決定した上
で、本年 6 月中に提出者に連絡いたします。マクロ経済政策、労働市場と人的
資本、生産性の 3 つのテーマごとに若干数の採択を予定しております。
なお、本件推進委員会の委員は以下の通りであり、別紙1のテーマごとに主
査を定めます。
福田 慎一 東京大学教授、樋口美雄 慶應義塾大学教授、
山本勲 慶應義塾大学教授、川口大司 一橋大学教授、
深尾京司 一橋大学教授
研究採択後は、以下のスケジュールで進める予定です。
平成 27 年9月末 中間報告の提出
テーマごとに中間報告会実施される場合があります。
12 月末~1 月(報告会までに)
一次原稿の提出
平成 28 年1~3月(時期調整)最終報告会の開催
(一次原稿に基づく)研究成果を発表いただくため、報告会にご出席いただ
きます。
4月以降 最終原稿の提出
「経済分析」(特集号)に掲載するための最終原稿を提出いただきます。
「経済分析」は査読付きのジャーナルとしての位置づけであり、今回の特
集号に関しても、各論文について研究者の方に査読をお願いします。
(英
文の論文に関しては、事務局にて英文校正を行います。)
経済分析への掲載作業
「経済分析」に掲載するための編集作業を行い、掲載手続きを行います。
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4. 研究費について
内閣府の基準に基づいて研究費を算定します(約 18000 円/日(教授級の方
への謝礼金)、30 日程度を上限としています)
支払いは第 1 次原稿(1~3月の報告会出席)の提出をもって支払います。
それまでの各段階において、一定の水準に達しないと判断され、当研究におけ
る研究計画として却下される場合もありますが、その場合は、お支払しません。
(中間報告会、最終報告会に参加いただく際の旅費及び出席謝礼については
研究費とは別途お支払いします。)
5. 執筆要領について
本研究に参加いただいた研究は、内閣府経済社会総合研究所が発刊する『経
済分析』の特集号に掲載予定です。掲載にあたっては、3.に示すプロセスを
すべて経たものを掲載いたします。本研究への参加が決まった段階でより詳
細の書式等について追って連絡を申し上げます。
日本語の場合(課題1、2)
・原則として 40 字×36 行×20~30 枚程度を目安とする。
(図表・参考文献リス
ト、
(あれば)付注・付表を含む。図表・参考文献等については、本文末に
集約し、本文中には引用する図表等の位置を指定する)
・別途 A4 1 枚以内で、タイトル、執筆者名、半ページ程度のアブストラク
ト(和英)JEL Classification Number とキーワード3つを記載。
英語の場合(課題1、2及び3)
・1 ページ目に
タイトル、執筆者(氏名、所属、役職)、100 語程度のアブストラクト
JEL Classification 、キーワード
本文:ダブルスペース 12 ポイント(余白は基準:1.5 インチを想定)
・およそ 30 ページを目安
・図表・参考文献等は別ページ
6.本研究問い合わせ先及び研究案提出先等
経済社会総務部総務課
TEL 03-6257-1603
メールアドレス
[email protected]
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別紙1-①
課題 1(マクロ経済)
:長期停滞懸念の下のマクロ経済
主査 福田慎一先生(東京大学教授)
世界的な金融危機後 6 年が経過し、日米欧において名目金利が歴史的低水準
にある中で、依然として GDP は潜在 GDP の水準を大きく下回っている。こ
れを受けて Summers は、現下の状況が長期停滞-完全雇用を保証する実質利
子率が負となるという事態-に陥っているのではないかという仮説を提示し
た。低金利、低成長、低インフレといった米欧との共通の状況に加え、人口減
少、巨額の政府債務残高といった状況に置かれた日本経済等について、長期停
滞の観点から現状を分析することは現下の課題と言える。
また、名目金利がゼロ近傍まで低下し、従来の金融政策が行えない中で、量
的・質的緩和による非伝統的金融政策が採られ、これまでのところ株価の上昇
や為替の減価等といった現象が観察される。こうした資産価格に加え、実体経
済や海外経済への影響について、非伝統的金融政策の効果に関する実証的知見
を蓄積することが必要となっている。
以上の問題意識に基づき、国際共同研究 WG1 では長期停滞論の観点から日
本経済の現状分析を行うとともに、非伝統的金融政策効果の実証分析を行う。
論点1.長期停滞論
研究例 1:
 ローレンス・サマーズ教授等が提唱している長期停滞論の観点から日本経済
の現状を分析する研究
研究例 2:
 先進国における自然利子率に関する分析
 負の自然利子率が長期停滞論の中核的な要素と考えられるため、日米欧
といった先進国における自然利子率に関する実証分析を募集
研究例 3:
 先進国の低金利を背景としたグローバル・インバランスの原因に関する研究
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論点2.非伝統的金融政策
研究例 1:
 非伝統的金融政策の効果の実証分析
 日本銀行、FRB、ECB で非伝統的金融政策が実施され、資産価格には何
らかの効果が見受けられる中、金利、株価、為替レート、期待インフレ
率、GDP、輸出数量等への影響に関する実証分析を募集
研究例 2:
 非伝統的金融政策が長期間にわたって実施されることの潜在的な影響につ
いて考察する研究
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別紙1-②
課題2(労働市場と人的資本)
:持続的成長に向けた労働の役割
主査:樋口美雄先生(慶應義塾大学教授)
委員:山本勲先生(慶應義塾大学教授)
川口大司先生(一橋大学教授)
デフレ脱却とその後の持続的な経済成長を目指し、企業収益の拡大を、雇用の
拡大から賃金の上昇、さらに、消費の増加という経済の好循環の実現につなげる
ことが政策課題となっていることに鑑み、国際共同研究のひとつとして、
「持続
的成長に向けた労働の役割」に関し実証的知見の拡充に資する研究を実施する。
特に、少子高齢化のもとで労働供給制約が顕在化しつつある中、まず、労働の量・
質 (生産性)、さらに賃金がどのように構造的に規定されているかを分析する。
その上で、2 年目には労働需要やマッチングの分析などの幅広い研究を実施する。
論点1.労働供給制約の緩和のための高齢者や女性等の活用: それぞれにおいて
格差も扱う
① 高齢者雇用の要因分析
一例として、高齢者雇用を促進する要因にはどのようなものがある
か、高齢者雇用における正規・非正規の格差は何に起因するのか、な
ど
② 女性雇用が拡大する要因の分析
一例として、女性雇用が拡大する要因にはどのようなものがあるの
か、保育設備の充実や育休の拡充は有効なのか、女性雇用における
正規・非正規の格差は何に起因するのか、など
論点2.能力開発等 (学校教育を含む) による人材活用と最適配置の推進
③ 能力開発等 (学校教育を含む) の分析
一例として、
「教育の経済学」の視点も含めて、能力開発等 (学校教
育を含む) はどの程度個人の生産性の向上に寄与しているのか、個
人の生産性向上は労働供給制約の緩和に資するのか、など
④ 労働移動による再配置が生産性に及ぼす影響の分析
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一例として、労働移動による人材の活用や再配置はマクロの生産性
を向上させるのか、内部労働市場と外部労働市場を活用した企業内
及び企業を越える人材活用はマクロの生産性を向上させるのか、な
ど
論点3.最近における賃金水準や賃金構成の変化の分析
⑤ サーチ理論による賃金・就業の分析
一例として、サーチ理論により賃金水準あるいは賃金格差は説明で
きるのか、あるいは、サーチ理論は賃金を含めて雇用配置の分析は
解明されるのか、など
⑥ 賃金決定の分析
一例として、経済の好循環のために賃金上昇が必要な理論的あるい
は実証的背景は何か、ニュー・ケインジアン賃金フィリップス曲線
により賃金決定はどこまで明らかにされるか、正規・非正規の賃金
格差はどのように説明されるか、など
⑦ 報酬構成・報酬体系の分析
一例として、賃金カーブのフラット化などに見られる成果報酬の強
化は雇用にどのような影響を及ぼすか、最近における退職金や企業
年金の削減は何に起因するのか、など
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別紙1-③
課題 3(生産性):サービス業の生産性と成長
主査 深尾京司先生(一橋大学教授)
今後の日本経済の発展に当たっては、サービス業による自律的な成長モデル
を確立することが重要である。その際、物的生産性の上昇による財価格の低下・
生産の増加という製造業的な従来型の発想から脱却し、新たなサービスの創出
やサービスの質の向上など付加価値の向上を重視する必要がある。
しかし、そのためには多くの課題がある。まず、サービスの価格指数が適切に
計測されていないために、付加価値の向上がデフレーターの上昇として認識さ
れ、サービス業の実質付加価値の増加や生産性の上昇が適切に計測されていな
い可能性が高い。そして、このために、サービス業の成長の源泉について、付加
価値の増加ではなく製造業的な物的生産性の上昇が重要であるという認識に傾
きがちである。さらに、サービスの付加価値を高める技術革新と技術波及のあり
方はどのようなものかについての検討も不足している。
本研究では、以上のような問題意識に基づいて、以下の論点について研究を行
う。
論点1 サービス業のデフレーター及び付加価値の正確な計測
研究案・例① サービス業のデフレーター作成の国際比較
:EU 主要国、米国、日本のデフレーター作成状況の比較を
行い日本への示唆を得るとともに、いくつかの分野につい
て日本のデフレーターを他国と比較可能な方法で推計する
ことも検討。
研究案・例② サービスの質を考慮したデフレーター及び付加価値の計測
:日本について、サービスの質を考慮したデフレーターを計測
する。対象分野は商業・医療・教育(研究)。商業について
は同一商品の価格差、医療については QOL、教育(研究)
については論文生産性などをサービスの質の指標とする。
研究案・例③
アメリカにおける医療サテライト勘定の整備状況
:アメリカにおいては、疾病ベースの医療サテライト勘定を
作成するプロジェクトが進行中であり、疾病治療のコスト、
治療方法の変化、治療の成果等を詳細に把握して医療勘定
やデフレーターを計測しようとしている。その枠組みや推
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計方法等を概観し、今後整備する場合の示唆を得る。
論点2
質と多様性の向上による成長
研究案・例 サービス業の成長の源泉の検証
:Weinstein 氏の最近の論文に基づき、サービス業の成長の要因
を、サービスの質、Variety の拡大、コストの低下に分解して、
サービス業の成長の源泉を検証する。
論点3 効率的な技術の開発とサービスの質の向上
研究案・例 技術革新と技術波及の分析(実証)
:特に医療について、研究の結果として革新的な技術が開発され
ているか、そうした技術が付加価値を高めるような医療サー
ビスに結び付いているか、新技術がどのように普及しており、
どの程度医療サービスの質を高めているかを検証し、システ
ムとしてのイノベーションや技術選択のあり方を検討する。
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(別紙2)【日本語様式】
研究計画提案要領(該当する論点に○)
課題1.マクロ経済に関する論点「長期停滞懸念の下のマクロ経済」
論点1.長期停滞論
論点2.非伝統的金融政策
課題2.労働に関する論点「持続的成長に向けた労働の役割」
論点1.労働供給制約の緩和のための高齢者や女性等の活用
論点2.能力開発等 (学校教育を含む) による人材活用と最適配置
の推進
論点3.最近における賃金水準や賃金構成の変化の分析
(研究タイトル)
【研究目的・内容】(全体で 1000 文字以内)
○研究のねらい
○具体的仮説や分析対象
○予定される研究手法(利用データ、推計手法等含む。ごく簡単に)
(例)サーベイ、○○調査のデータを用いた××の推定を予定 等
○提案者による今回提案に関連するこれまでの主な研究実績(学会での発表実
績を含む)
○今回の提案の新規性(方法論、分析対象等)
等
【実施体制】(先生以外の参加予定者がいれば)
お名前
ご所属
備考
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【英語様式】
Research Proposal Sheet
Please check the issue that your research proposal relates to (Please do not choose
multiple issues)
Area1. Macro-economics
Issue 1-1. Secure stagnation
Issue1-2. Unconventional monetary policy
Area 2. Labor market and human capital
Issue 2-1. Aged and female labor in Japan
Issue 2-2. Human capital and job allocation
Issue 2-3. Wage structure
Area 3. Productivity
Issue 3-1. Measurement of deflator and value-added in service sector
Issue 3-2. Contributions of the quality and product Variety to service sector
Growth
Issue 3-3. Roles of technology development in service quality improvement
Title
Abstract (no longer than 300 words)
○Research aims
○Hypothesis, object of research
○Supposed methodology(Data, Estimation Method, etc.)
○Your main research achievements related to this proposal
○Newer points (methods, research object, etc.) of this research
【Co-authors】
Name
Affiliation
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