環境都市工学科 コンクリ−トの特性と品質評価法について コンクリート材料,とくに使用骨材のコンクリートの特性(強度及び耐久 性))に及ぼす影響について明らかにすることに,研究上の関心があります。 本研究室の研究課題に関連して,ここ最近までに取り上げてきた研究テ−マには次のようなものがあります。 1)アルカリ・シリカ反応に関する研究 アルカリ・シリカ反応は,セメント中に含まれるアルカリ(Na および K)とある種の骨材との反応に よってコンクリ−ト構造物に膨張やひび割れの発生をもたらし,早期劣化原因の一つとして指摘されて いるものです。わが国において,アルカリ・シリカ反応によるコンクリ−ト構造物の早期劣化の存在が 広く認識されて 20 年近く経過した現在,コンクリ−ト工学上の関心事は新規構築時の防止対策から,未 だに確実な劣化または耐用期間の予測が難しいとされるアルカリ・シリカ劣化構造物の維持・補修方法 の確立に変わっているようです。そのような劣化構造物に対する維持管理対策または補修・補強方法を 選定する際の重要な判断基準の一つは,劣化コンクリ−トの将来にわたる膨張特性を予測することと考 えられます。とくに,実際のコンクリ−ト構造物の環境条件は地域的および時間的にも大きく異なって いることから,各種環境条件におけるアルカリ・シリカ膨張特性を十分に理解することが重要と考えら れます。このような観点から,本研究テ−マにおいては各種養生条件(温度,湿度および期間など)下 のモルタルのアルカリ・シリカ膨張特性を明らかにすることを目指しています。 2)反発硬度法(シュミットハンマ−)によるコンクリ−ト強度の推定に関する研究 実構造物コンクリ−トの品質評価は,施工及び維持管理等多くの面で重大かつ積年の関心事となって います。とくに,コンクリ−トの品質評価において圧縮強度が果たす役割が大きいことから,実構造物 コンクリ−トの圧縮強度の推定法が多種多様に提案されています。そのような中でシュミットハンマ− を用いた反発硬度法による圧縮強度の推定法については推定精度が低く,適用に限界のあるとの指摘が 度々されていますが,実務上簡便かつ非破壊的試験法として比較的よく用いられていようです。この圧 縮強度推定の不確実性は測定原理上の問題だけでなく,測定精度に及ぼす影響因子が多いことが指摘さ れています。とくに測定原理から,表層および内部コンクリ−トの差異がある場合強度推定が甚だ難し くなることが考えられます。しかし,それらの推定精度に及ぼす影響に関して,実際に検討された報告 例は少ないようです。本研究では,内部コンクリ−トの不均一性と測定精度の関係を明らかにし,シュ ミットハンマ−によるコンクリ−トの圧縮強度推定における適用限界について再考するものである。 3)骨材の含水状態のコンクリ−ト強度に及ぼす影響 使用骨材が表乾状態に調整された場合,コンク リ−トの強度はその使用セメント量と水量の質量 比(セメント水比)と直線関係にあります。しか し,骨材中の水分は常にその内部に拘束されてい るわけでなく,まわりの湿度条件によって含水量 が容易く変わるものと考えられます。よって,コ ンクリ−トの乾湿条件によっては骨材の含水状態, 言い換えればセメントぺ―ストの含水状態(セメ ント水比)が変化し,延いてはコンクリ−ト強度 に影響することが推測されます。さらに,近年の 骨材需給の変化に伴う低品質骨材や建設材料のリ サイクル促進による再生骨材の利用など,コンク リ−ト製造においてより多孔質な骨材を使用する 機会が増加するものと思われます。このような観 点から,使用骨材の含水状態とコンクリ−トの強 度特性の関係について実験的に検討するものです。 竹本 邦夫(たけもとくにお) 【職名】教授 【学位】工学博士 【学位論文名】アルカリ・シリカ反応によるモルタルの膨 張とポゾラン材料によるその膨張抑制効果に関する研究 【専門分野】土木材料,コンクリ−ト工学 【研究課題】コンクリ−トの特性と品質評価について 【キーワード】骨材,耐久性,配合設計
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