フェアクロ設定資料集 - タテ書き小説ネット

フェアクロ設定資料集
埴輪星人
タテ書き小説ネット Byヒナプロジェクト
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︻小説タイトル︼
フェアクロ設定資料集
︻Nコード︼
N1916CC
︻作者名︼
埴輪星人
︻あらすじ︼
フェアクロの登場人物紹介その他になります。
基本不定期投稿、忘れた頃に更新されます。
注意:ネタバレ要素や本編に登場しない情報が満載となっておりま
す。
見るときは注意してください。
1
登場人物紹介 日本人
東宏︵あずまひろし︶
恐らく本作の主人公。ダサい、ヘタレなど主人公らしくない評価
を割とコンプリート気味な高校三年生︵注:本編開始時︶。極度の
女性恐怖症だが、本人と周囲の懸命な治療により、日常生活はどう
にか送れるようになっている。物語が進むにつれ、徐々に女性恐怖
症が改善していく。家族構成は両親と姉が一人。実家は家族経営の
零細鉄工所。諸般の事情で、関西から工場ごと引っ越してきている。
容姿自体は好き好きと言ったところで、表情や雰囲気、服装、シ
チュエーションなどで多少イケメンに見えもすれば彼氏にするには
あり得ない顔に見えもする感じ。プロのカメラマンとスタイリスト
なら、メイクなどに頼らなくてもある程度フォロー可能な範囲。
小学校時代に体力のなさと慢性鼻炎が原因でいじめの対象となっ
ており、その延長線上で中学に入った時にかなり深刻ないじめにあ
う。無論、それ以外にも原因はあったが、ほとんどはいじめという
環境で悪化した要素で、本質的にそこまでいじめられなければいけ
ないような性格要素は持ち合わせていない。
不運にも社会の風潮が﹁いじめの原因は全ていじめられる側にあ
る﹂となっていたころで、しかも当時の中高生女子の間では﹁ダサ
い男に存在価値は無い﹂という意識が一般的だった時期だったため、
まったく歯止めなくエスカレートすることになる。その結果起こっ
た事件に関しては、本編を参照の事。
特技として、時間はかかるが汎用の平面フライス盤での六面体加
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工で直角度・平行度をプラスマイナス0.02ミリ程度で出す事が
できる。これは、高校進学後、平日の放課後および長期休暇は基本
的にずっと家業を手伝っていたためで、汎用フライスの腕は一般的
な職人程度の技量をもつ。また、平面マシニングセンターのプログ
ラムを手計算で組む能力もある。ただし、少々複雑な形状になると、
段取りに若干問題を抱える。
成績は全国レベルで見ればそこそこ上の方。地方の国立大なら、
現役合格を狙える範囲。ただし女性恐怖症その他の問題で寮や下宿
での生活に不安を抱えるため、行くなら実家から通える大学という
事で合意している。両親や姉は大学に行って欲しいが、本人は高校
卒業後すぐに親の後を継ぐために修行を開始、一生独身で女っ気の
ない生活に入るのが理想。
ネットゲーム﹁フェアリーテイル・クロニクル﹂で数少ない、最
上位クラスの生産スキルを持つ職人プレイヤーで、もはや人間の領
域をはるかに超えた生存能力を持つ。作中での役割は基本的に壁役
兼博士役。余計な事をしてトラブルを起こすのも大体こいつ。現地
の料理を率先して魔改造し、快適な暮らしのためには手間暇努力を
惜しまない、素材と聞くと目の色を変える生産ジャンキーでもある。
戦闘面では総合的にはいいところ上の下。極端な防御力とは裏腹
に、とにかく攻撃面に問題が多く、相手の回復能力が高いと永久に
勝負がつかなくなる可能性がある。通常攻撃の威力は日本人チーム
で最強なのだが、それをかさ上げするような攻撃手段をほとんど持
ち合わせていないのが致命的で、使う武器が大振りになりやすいポ
ールアックスやヘビーモールであることも手伝い、単位時間当たり
の攻撃力はフェアクロ世界の一般的な冒険者といい勝負だったりす
る。
3
名前のコンセプトは漢字二文字でひらがな六文字になること。最
初東と乾で迷ったが、高確率で出席番号が一番になる事と、アミバ
のトップを防げる主人公という呼び名の魅力に負けてこの名前に。
主人公らしいかどうかはともかく、良くも悪くも物語を動かす人
物。
藤堂春菜︵とうどうはるな︶
間違いなく本作のメインヒロインであるムッツリスケベ。物語開
始時点で宏のクラスメイトである高校三年生。イギリス人の血が八
分の三混ざっており、母方の祖父譲りの濃い金髪と青い瞳を持つ、
若干掘りが浅めで童顔である事以外、容姿に日本人らしいところは
皆無な女性。
両親が芸能人、それもいい加減大物に分類される程度の芸歴を持
つほか、父方の曽祖父が京都の一流料亭のオーナー兼元板長、母方
の曽祖父が戦前のイギリス駐在大使、母方の祖父母はヨーロッパオ
ペラ界の重鎮という、普通にエリート扱いされてしかるべき家系に
生まれている。他にも母のいとこに財閥系商社の社長とVRシステ
ムを開発した天才科学者がいたりと、とにかく恐ろしい肩書の身内
が沢山おり、特に大げさな肩書を持たないのは父方の祖母だけとい
う、家庭環境と容姿だけを見れば間違いなく勝ち組といえるだろう
立場にいる。なお、同居の家族は両親と中学二年の妹だけ。妹は髪
の色が母親と同じ銀髪であることと年齢差による体格・体型の差以
外は春菜とほぼ同じ容姿をしている。
4
実のところ、母親に対してはある種のコンプレックスを持つ。幼
いころからそれなりの頻度で両親の仕事場に出入りしているため、
才能では母に絶対かなわない事を自覚しているのがその原因。一度
でも聞いた事のある歌は完璧以上の出来栄えで歌う事ができる春菜
だが、流石に母親のように聞いた事のない曲まで完璧以上に歌い上
げる真似はできず、それがコンプレックスとなっている。妹はその
あたりは完全に割り切っており、時折芸能界で小遣い稼ぎをする程
度の図太さはあるのだが、春菜にはそのあたりの割り切りはない。
こんな家庭環境に育っている割に、人肉及び食ったら死ぬか病気
になると分かっているもの以外基本的に何でも食うという某四千年
の歴史を誇る国の人たちもかくやな悪食を見せるが、これは別に春
菜だけでは無く、母親や妹も同じだったりする。身内にそういう教
育をする人がいて、母の代からその影響を色濃く受けているのが原
因。
とっかかりさえあれば一瞬しか見ていないようなものでも思い出
せる記憶力と相まって、成績は全国三桁以内とかなり上の方。本気
を出して勉強すれば最高学府も狙えるが、あまり興味は無いらしい。
ファーレーンでの食生活では当初その悪食が鳴りをひそめていた
が、それは宏と同居しているという理由に加え、食っても死なない
と確信が持てない食材が多かったからである。決して、見た目だけ
で食わず嫌いをしていた訳ではない。
ゲームでは回復よりの万能選手。いわゆる勇者もしくは賢者ポジ。
器用貧乏一歩手前だが、エレメンタルダンスなどの切り札となる技
も持っているため、この手の万能型にありがちな決め手に欠けると
いう弱点はある程度克服している。ただし、日本人チームでは二番
目に防御面が脆いという欠点もちゃんと持ち合わせている。もっと
5
も、脆いと言っても普通なら十分すぎるほどの防御力はあるので、
むしろ達也以外の三人がやたら硬いだけではあるが。
なお、ゲーム時代は宏とは一切接点なし。あくまで学校でクラス
メイトだっただけの赤の他人。宏の事は顔と名前と女性が苦手らし
いという事以外、何一つ知らなかった。
名前に関しては、両親の設定が先にあったためにそこから自動的
に決定。父親が藤堂なので名字が藤堂に、四月一日の春生まれで母
親が雪菜なので母親から一字取って春菜、という実に普通の決め方
で決まっている。
誕生日の四月一日について補足しておくと、日本の民法及び学校
法では、四月二日から翌年の四月一日までに生まれた人間が一つの
学年として扱われる。理由は二月二十九日生まれの人が毎年ちゃん
と年を取れるよう、満年齢は誕生日の一日前に一歳増えるという規
定にある。この規定により、四月一日生れの人は満年齢では三月生
まれと同じ扱いになるため、その学年で一番年下になるのは四月一
日生れの子供、という事になる。
なので、先の解説は、正確には三月三十一日時点で満年齢が同じ
子供が一つの学年になる、という表現になるのだが、民法と学校法
はこのあたりの記載を非常に回りくどく記してあるため、知らない
人は混乱しがちである。とりあえず、本編で春菜が言った﹁一日後
ろにずれていたら宏の後輩になっていた﹂という台詞は正しいので
注意されたし。
6
水橋澪︵みずはしみお︶
本編の恐らくサブヒロイン。微妙に恋に恋している感じが否めな
い中学生。物語開始時点では十二歳。春菜とは対照的に、日本人形
を思わせる美少女ではあるが、本編開始時点では難病に加え事故に
よる半身不随の影響もあって病的に痩せており、発育も悪く少々痛
々しい外見をしている。
家族は両親のみ、現在親戚の中では最年少。家庭環境は極めて一
般的なそれで、従兄の達也がエリート街道驀進中である以外は特に
特筆する人物はいない。家もそこそこ裕福ではあるが、春菜の実家
ほど極端な金持ちではない。
小学校に上がる頃に複数の臓器の機能が低下する原因不明の難病
にかかり、一年の半分は病院で過ごす体に。小学校三年生の時に通
院途中にトラックから落ちた荷物が直撃、跡が残るような怪我はし
なかったものの当りどころが悪く頸椎を損傷し、寝たきりとなる。
その経歴から交友関係は狭く、現在同年代の友人は皆無。学校の
宿題と本とゲームとアニメが友達という生活を長く続けている。オ
タクの道には達也とは別の従兄が引きずり込み、一般向けより接続
時間上限が緩い医療機関用のVRシステムの恩恵も受けてどんどん
ディープな世界に踏み込みつづけている。事故のせいで肉体的には
改善の可能性が低いこともあり、両親は最低限の勉強をしていれば
細かい事は言わなくなっている。十八歳未満御断りのゲームに関し
ては、大半が年齢確認認証の甘いダウンロードサイトから購入、パ
ッケージ版しかないソフトは従兄名義で購入し、その従兄に持ち込
んでもらうというやり方で入手している。
対人関係は極めて未熟な上、小学校三年の頃からディープな世界
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に足を突っ込んでいるため、いろんな意味で手遅れな所まで突入し
ている。元の世界に戻った時に何らかの奇跡で身体が健康体になっ
たとしたら、将来が色々心配な娘さんである。
ゲームではちんちくりんな自身の身体と運動能力の低さに対する
コンプレックスから、マッシブな大男のアバターを使っている。外
見とは裏腹に盗賊系スキルと生産系スキルに特化し、弓による精密
射撃とスピード主体のテクニカルな戦い方をメインにしていた外見
詐欺キャラ。ただし、実はスピードはレイピア主体で多彩な技能を
持つ春菜に一歩譲る。
宏と知り合ったきっかけは達也の紹介。採取をはじめとしたいろ
んなアドバイスを受けた事でなつき、そのまま今に至る。
女物の下着や生理用品など、女性恐怖症的な意味で宏では手を出
せないジャンルのものを作ってくれる、チームの縁の下の力持ちで
ある。
名前の由来は特になし。なんとなく水関係で統一した。
香月達也︵かづきたつや︶
本編のレギュラーおよび準レギュラーでは数少ない男性で、更に
希少価値の高い突っ込み役。女房命のイケメン。とある一流メーカ
ーの営業職をしている。本編開始時点で二十六歳。澪の従兄。
本人に自覚は無いが、産まれてからずっとエリート街道を驀進し
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てきたハイスペック男。ただし、育ってきた環境は特筆すべき要素
は無し。家族構成は両親に弟と妹が一人ずつ、それから詩織という
嫁。ただし、実家から既に独立していることもあり、家族構成で話
題になるのは嫁の事ばかり。恐らく今後も、両親や兄弟についての
話題は出ないだろう。
文武両道だが文の方に力点を置いていたため、運動周りは全体で
見ればそれほど目立つ活躍はしていない。周囲にイケメンだからみ
たいな理由でやらされていたテニスで、高校二年の時に一度だけ運
に恵まれて全国大会まで勝ち残った事はあったが、そこで反発する
気も起こらないほどぼろぼろに負けているので、スポーツにはそれ
ほど思い入れは無い。むしろ、大した実力でもないのに騒がれるの
が面倒なので、それをきっかけに趣味の範囲にとどめるように。余
りのぼろ負けぶりから当時を知っている人たちも、テニスに本腰入
れて頑張れとはだれも言わない。
逆に文の方は春菜のように全国模試で順位三桁とまではいかない
が、一流大学に簡単に合格できる程度には優れており、また試験秀
才では無いことを証明するように時折鋭い分析能力を見せる。その
分析能力で配属以来ずっと成績トップを維持し、大きな取引もいく
つも成立させた若手のホープ。地味に秋の人事異動で昇進が内定し
ている。そこそこの地位にいる自身の父親にはまだまだ勝てる要素
が無いが、ボーナスや特別給も含めた稼ぎは澪の父親に迫る。
嫁の詩織は、エリートの達也とバランスを取るためか、それほど
才気走った人物ではない。どちらかという心身ともにとフワフワし
たタイプで、春菜ほどではないが大きめの胸に栄養を全部持ってい
かれていると周囲に言われるような人物。達也と並んで見劣りしな
いような凄い美人ではあるが、ぱっと見た印象は陽だまりで寝てい
る猫、という感じの女性。ただし、見るべきところは見ているし頭
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が悪い訳でもなく、少々の悪口は笑って流すタフさも持ち合わせた、
ある意味でこれ以上ないぐらい達也にふさわしい嫁。達也の外見や
能力をどうでもいいと言ってのける珍しい女性でもある。
ゲームのフェアクロには夫婦そろって老人キャラで参加しており、
しかも性別を入れ替えるというマニアックな遊び方をしている。こ
れは、嫁の詩織が老騎士にあこがれており、それならばと達也の方
があわせたのが真相。なんとなく老婆のロールプレイが気に入った
ため、そのまま進めている。
チームでの立ち位置は魔法使い。それもオキサイドサークルとい
うマイナーな魔法をメインで使う、少々変わった魔法使いをやって
いる。実際には他にもいろいろ身につけているのだが、残念ながら
フィールド主体のこのチームでは、オキサイドサークルの圧倒的な
利便性のおかげでほぼ出番がない。ゲーム時代でも、素材がたくさ
ん取れるからという理由でオキサイドサークルの使用率が高く、一
般的な魔法使い系プレイヤーと比較すると他の魔法の熟練度が低め。
ただし、一般スキルで最強の単体攻撃魔法、聖天八極砲はちゃんと
熟練度を上げきっているため、火力で劣る訳ではない。攻撃以外で
は防御魔法を良く使うが、実はちゃんと回復系や障害系の魔法も使
える。
宏との接点は、フェアクロの正式サービス開始直後の頃にあった
ちょっとした公式イベント。プレイヤー同士での横のつながりを強
化する目的のイベントで、ランダムで組まされたパーティメンバー
の一人が宏だった。その後女性恐怖症が発症してからも老婆である
事と中身が男であったことから、それまでと変わらぬ付き合いがで
きた。というより、女性アバターでまったく関係が変わらなかった
数少ない人物。なお当然のことながら、宏は詩織ともフレンド登録
している。こちらに飛ばされるまでは老婆の中身がここまで若いイ
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ケメンで老騎士の中身が女性と知らなかった、というあたり、夫婦
そろってどれだけ高度なロールプレイをしていたかがうかがえる。
名前の由来は特になし。達也という名前だけが決まっており、苗
字はなんとなく響きで。
溝口真琴︵みぞぐちまこと︶
達也と並んで、貴重な突っ込み役の二十三歳引きこもり腐女子︵
物語開始時点︶。物語開始時点の澪にすら負けるほどの洗濯板。オ
タクとしての濃さもなかなかのもの。容姿面では洗濯板である事以
外、これと言って特筆すべき要素は無い。ころころ変わる表情が愛
嬌があって魅力的だが、容姿設定ができるTRPGだと普通に設定
される範囲。
家庭環境は特に特筆すべき要素は無し。家族構成は両親と結婚し
て独立した兄が一人。ただし、家庭環境が話題になる事が少ない上、
兄弟について話を聞かれる事が無いため本編で話題に出る事は無い。
恐らく今後も、真琴の兄については本編で話題に上がる事は無いだ
ろう。
高校時代に友人に腐の道に引きずり込まれた以外、大学進学まで
特筆すべき経歴は無い。せいぜい、高校二年の冬コミで角サークル
になった程度。引きこもりになったのは大学三年の頃。腐女子特有
の病気で彼氏とその友人の絡みを描いてしまい、それを彼氏に発見
された揚句に最悪の外道扱いされて大学に行きづらくなり、そのま
ま中退して引きこもってしまう。
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実はこの彼氏、何度か真琴と肉体関係を持った事で満足し、合法
的に別れる手段を模索していたという外道である。腐女子であるこ
とを伝手で知った時に、それを利用する事を考えたという筋金入り。
真琴をその手段で振って大学から追い出した後、同情されるべき立
場である事を利用して何人かと肉体関係を持ち、それを似たような
手段で振って次々に女を毒牙にかける悪党であった。ただし、そん
な事を平気でする性根が海千山千の人事担当者に見抜かれぬはずも
なく、現在見事に就職浪人中である。また、そういう人物である事
は、真琴から話を聞いた達也にも見抜かれている。
引きこもり中に過去との決別のため、すっぱり資金を食いつぶす
つもりで始めた株式取引でひと山当て、就職しなくても食っていけ
るだけの資産を持っている。自分で稼いだその金に甘えてだらだら
引きこもりをしていたが、フェアクロ世界に飛ばされて否が応でも
社会と関わらざるを得ない状況に追い込まれた事で一念発起、脱引
きこもりに成功する。
大学時代の経験から直接の知り合いはできるだけ掛け算しないよ
うに心掛けていたものの、そうそう完治しない腐女子という病気は
なかなか手ごわく、何度か無意識に宏と達也を掛け算してはこっそ
り自己嫌悪に陥った経験がある。ただし、掛け算された宏と達也は、
腐女子なんてそんなもんだと割と鷹揚に構えており、本人達にそれ
を強要しなければ実害は無いからと掛け算されること自体は特に気
にしていない。
エルフの森編でのフェアリー達の勧誘、実は最初のイラスト以外
はまったく関係ない第三者のもので、揉めていたフェアリーの責任
者二人の直接的な絡みは一切描いていない。その程度の仁義は守っ
ているのだが、最初に責任者二人がそういう目で見られるようなイ
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ラストを描いている時点で仁義もくそもあったものではないだろう。
チームでの立ち位置は物理アタッカー兼サブ壁。ただし、メイン
壁の宏の性能が高すぎて、壁役としての出番はほぼない。無属性物
理での火力は突出しているのだが、属性攻撃のバリエーションが少
ないのが弱点。また、チームで一人だけ、一切生産スキルを伸ばし
ていない。ただし、採取と伐採は、初期の頃にスキルだけは習得し
ている。
日本人チームで唯一、ゲームでもリアルでも宏と接点がない人物
で、辛うじて一度、臨時パーティで達也のキャラと一緒に狩りをし
た事がある以外、他の四人とは一切接点がない。一度だけなのでま
ともに覚えていない上、真琴も達也もゲームとは性別も外見も違う
ため、お互いに組んで狩りをした事がある事にまったく気が付いて
いない。
名前の由来は某格闘ゲームの虎バズーカな兄貴から。作中でも子
供のころにネタにされたという描写あり。
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登場人物紹介 ファーレーン王家
エアリス
ファーレーンの第五王女にして女神アルフェミナの巫女。メイン
ヒロインの一人。ギャルゲーならば春菜さんと同じぐらいの扱いで
パッケージに描かれるであろう人物。物語開始時点で十歳。銀髪に
青い瞳の少女。身長百五十センチちょっと。登場時点でBカップぐ
らいあって、宏と真琴を絶望の淵に叩き落としたワンコ属性。
カタリナとその腹心であるバルドの手により護衛ともども命の危
機に追い込まれ、宏と春菜に救出される。その時、お付きの人員は、
ドーガとレイナを除き全滅している。また、宏達に救助された時に
偽名としてエルという名前をつけられており、事件後もその呼び名
はアズマ工房関係者からの愛称となっている。
腹違いの姉で第四王女のカタリナに生まれた時から嫌われており、
さまざまな嫌がらせを受けて育つ。特に侍女がすべてカタリナの息
のかかった存在だったのが致命的で、エアリスの意思を無視してや
りたい放題やった揚句に主の命として責任を押し付け続けたため、
対外的には最悪の姫として悪名をほしいままにすることに。
いくらなんでもおかしいと考えていた国王や王妃による調査が何
度も入っており、状況自体は割と早い段階で押さえられていたのだ
が、いかに国王といえども迂闊に短期間で何人も侍女を切る事はで
きず、またあまりに目に余るものを解雇してもそれ自体がエアリス
の悪評につながってしまうため、決定的な事が起こるまで孤立無援
に近い状況に置かれざるを得なかった。
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カタリナの乱までは王宮にいるときは常に毒殺の危機にさらされ
続け、そうでない日も侍女たちの悪意ある行動により量はともかく
見た目と味はむちゃくちゃな食事を取らされ続け、ちゃんとしたも
のを食べられるのは王や兄達との食事の時か神殿にいるときだけと
いう環境が長く続いていた。そのため、宏達に保護されるまでは食
事に対して欠片も関心を持たなかった。
割と早い段階で所属が神殿に移った事とアルフェミナの加護が無
ければ、恐らく悪名にふさわしい性根に育っていたであろう酷い環
境で育ったが、それらの経験が上手く作用してか、奇跡的に聖女と
呼ぶにふさわしい人格に育ちつつある。ただし、基本的にほとんど
わがままを言わないため、周囲の人間は少しやきもきしている部分
はある。
長い間楽しい雰囲気でまともな食事をしなかった反動か、宏に保
護されて以降はとにかく食事にこだわるようになった。ただし、出
されたものに文句を言う方向ではなく、どうやって美味しく食べる
かに興味が集中している。また、豪華な料理よりも粗食やB級グル
メを好む傾向があり、更にゲテモノと呼ばれそうな食材や妙な味付
けの料理でも積極的に口にするようになってしまい、そっち方面で
も関係者の頭痛のタネとなっている。十歳にしてワサビの良さを理
解するとか、好みに渋い部分も。
歴代の巫女の中で最高の資質を持ち、アルフェミナから溺愛され
ている。その可愛がりぶりは凄まじく、神様のはずなのに近所のお
姉さんと大差ない間柄になっている。他の神の巫女も含む歴代の巫
女の中で、最も頻繁に神をその身におろした人物でもある。
ダール編にて宏の女性恐怖症に対するリハビリとして提唱した内
容は、実の所こっそりアルフェミナをはじめとした神々と相談して、
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宏の現状などをちゃんと分析した上で口に出している。別に誰かれ
構わず同じ方法で治療しようとしている訳ではないので要注意。む
しろ、そうでなければ宏が受け入れる事はなかったであろう。
余談ながら、アルフェミナの巫女はその資質を持つ者がファーレ
ーン王室からしか現れず、また巫女になってからも王族としての活
動をする事が多いため、他の神の巫女と違い姫巫女と呼ばれている。
ただし、ファーレーン政府及び王室とアルフェミナ神殿は密接な関
係はあるが、神殿は政治には一切口を挟まず、神官たちも立身出世
よりも神の声を聞く事の方が大事なので、癒着して腐敗するという
事態にはつながっていない。やはり、神が直接見ていると言うのは
大きいのだろう。
名前の由来は特になし。真琴さんと違い、某最終幻想の七作目で
途中退場するヒロインとは一切関係なく、フィーリングで決定。
レイオット
ファーレーン王国第二王子で王太子。銀髪に青い瞳の、作中一の
美男子。本編開始時点で十五歳。初登場時点では身長百七十センチ
ほどだったが、現在成長期ですくすく伸びている真っ最中。恐らく
成長が止まる頃には百八十センチは超えているだろう。
自他共に認める腹黒で、必要であればどんなえぐい事でも平気で
行う。とは言え、良心や良識を持たない訳ではなく、えぐい真似を
するのは容赦なく叩き潰していい種類の悪人や悪党に限られる。単
に主義主張や手法の問題で敵対しただけの相手には、誰の迷惑にも
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ならずかつ自身の良心が痛まない方法で可能な限り遺恨が残らない
ように対応し、納得ができるのであれば自説を曲げることもいとわ
ない柔軟さもちゃんと持っている。
また、やっている事のえぐさや腹黒さ、女性に対する冷たい態度
などから誤解されがちだが、本質的にはファーレーン王家の人間ら
しく情に厚く、一度懐に入れた人間はとことんまで守ろうとする部
分がある。単に、懐に入れるまでのハードルが、ファーレーン王家
の人間としては高いだけである。
その立場と性格から、宏達と出会うまでは同年代には友人と呼べ
るような相手はいなかった。また上流階級特有の病理により碌な女
が寄って来なかったため、宏ほど極端ではないが女性嫌いではある。
ただし、女性嫌いだからこそ判断基準は人格主体であり、まともな
人間ならば女性であっても排斥したりはしない。
地味に騎士団の副長クラスと互角の剣技を誇るほかさまざまな血
統魔法も使いこなし、更にエクストラスキル﹁次元斬﹂を身につけ
ているため戦闘能力は決して低くない。だが、よほどの事がない限
り、レイオットが戦闘するというのは避けるべき状況であるため、
次元斬と言う大技を身につけている事はほとんど知られていない。
なんだかんだ言っても唯一裏を疑わずに済む宏の事を一番の友だ
と思っており、自身に出来る範囲で最大限便宜を図ろうとしている。
宏から付けられた﹁レイっち﹂と言うあだ名を事の他気に入ってい
るのも、宏の事を大切な友人だと思っている証左であろう。
他に方法がなかったとはいえ、反乱を起こさせてカタリナを殺し
た事に関しては、褒められたやり方ではなかった事は分かっている。
ただし、先代の手による改革で現行法に変わってから、現行犯でな
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い限りはどれほど些細で明確な犯罪でも、完全に客観的でねつ造不
可能な証拠を誰でも有罪と確信できるだけ揃えて提出しろ、と言う
悪魔の証明に近い事を求められるようになっていたため、他に方法
がなかったのが実情である。それを理解しているので、調子に乗っ
て国益を害する連中を一掃するためには、褒められた手段ではない
事を行って無能の烙印を押されても仕方がないと割り切っている。
幼いころから非常に出来が良く、早い段階で長男であるはずのア
ヴィンがとっとと継承権の放棄を宣言し、それを誰も反対しないほ
どの実力を見せつけていた。おかげで変な女が異様に寄ってくるこ
とになり、色々とえらい目を見て女嫌いに。
目下の悩みは、ファーレーンの王太子妃にふさわしい女性が、上
流階級の中では壊滅している事。ファーレーン王室は基本的に身分
にこだわらないが、市井の一般人にそれほど知り合いがいる訳でも
なく、この人でなければと言うほど惚れ込んだ相手もいないレイオ
ットの場合、必然的に上流階級から探す以外に相手を見つける手段
がない。結果として、売約済み以外は驚くほど碌な女がいないとい
う現実に、父親と一緒に頭を抱えている。
子供が産める体で良識さえ持っていれば細かい事は言わないとい
う条件で足きりに引っかかる女ばかりであるあたりに、上流階級の
女性、それもレイオットと同年代の女性がどれだけ人材難なのかが
うかがえる。同じ年頃の嫡男を抱えるまともな神経をした貴族達が、
皆同じように頭を抱えているのはここだけの話。
なお、最近では同年代以上から探すのは諦め、五歳以上下の年齢
層からちゃんと育ちそうな娘のうち、婚約者がいない相手を選んで
経過観察の上で適齢期まで待つ方針に切り替わりつつある。場合に
よってはアズマ工房の職員から一人口説き落とすことも視野に入れ
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ているあたり、王太子と言うのもつらい立場である。
余談ながら、年上を最初から除外しているのは、まともなのは基
本的に、全員結婚しているもしくは秒読み段階だから。人格的にま
ともで未婚の年上女性はエレーナのように何らかの事情を抱えてい
る事が多く、子供が産める身体と言う条件の方に引っかかる人ばか
りだったりする。
名前の由来は特になし。ファーレーン王家の人物は、基本的に特
別な由来は持っていない。
レグナス
作中では基本ファーレーン王としか表記してもらえない国王様。
身長は百八十センチほどあるが、それ以外は一般に王さまと聞いて
想像するそのものずばりな外見をしている。本編開始時点で四十三
歳。書籍版のイラストでは結構老けて見えるが、実はわざとそう見
えるようにしている。
祖父に当たる人物の乱心を直接は知らない世代だが、あちらこち
らからしつこく言い聞かされているため、現行法がなぜそう簡単に
変更できないほどガチガチにされているかはよく理解している。
ある意味で祖父の乱心によるとばっちりを一番受けた人物。父親
である先王のカリスマ頼りの統治により表面化しなかった問題が次
々噴出し、更に先王に押さえつけられていた不満分子が法の隙間を
ついて好き放題やりだすという非常にやりづらい環境で統治を続け
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る羽目になる。
即座に革命を起こされるほど権力基盤が弱い訳ではないが、ガチ
ガチの法を無視してまでカタリナやバルドを処罰できるほどの強権
も持っていないため、国内ではどうしても侮られがちだった。逆に、
先代の手によって制定された極端な法律とその問題点を知る国から
すれば、それだけのハンデを抱えながら外交で付け入る隙を与えな
かった点により、タヌキ認定せざるを得ない人物。自身が苦労して
いるからか、なんだかんだで国家間のトラブルの調停役としては結
構な手腕を見せる。
あえて反乱を誘発させるという手段で売国奴を一掃した事につい
ては、レイオット同様かなり遺憾に思っている。また、カタリナを
単なる愚物に育て、エアリスに不遇を強いる羽目になった事に関し
ては、親として死ぬほど情けない気持ちでいっぱいである。ただし、
エアリスに関しては不運が積み重なった結果であり、カタリナに至
っては親としてできる事は全てやってあの体たらくだったため、む
しろレグナス王に関しては同情的な人物の方が多い。
目下の悩みは、レイオットの嫁にふさわしい歳の釣り合うまとも
な女が見つからない事と、エアリスが宏に惚れてしまっている事。
レイオットの方はもはや時間が解決することを期待する心境だが、
エアリスの方は宏に不満があるのではなく、エアリスが宏を口説き
落とせそうにない事の方が悩みの種である。なお、エレーナの身体
については、宏がいずれどうにかしてくれると確信しているため、
後遺症に苦しんでいる事には心を痛めていても、将来についてはそ
れほど悲観していない。
最近は忙しい合間を縫って末っ子の双子やエアリスと親子の時間
を過ごし、充実した毎日を送っている。
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名前の由来は特になし。
エレーナ
ファーレーンの第二王女。正室の子供としては一番年上。本編開
始当時で十九歳。身長百六十七センチ。顔に関する特徴はほぼエア
リスと同じ。エアリスを大人にして、やや目つきをきつめにした容
姿。作中では毒の後遺症のために体重がかなり落ちており、非常に
痩せ衰えている。
エアリスが生まれるまで、次代の姫巫女候補として育つ。資質と
してはかなり高い方であったが、その資質の高さゆえにエアリスの
とんでもない資質を見抜き、自ら姫巫女候補を下りる。以降、陰に
日向にエアリスを支え、教え諭す立場に立つ。
皮肉にも、その事がカタリナを刺激し、彼女が悪い方へ一気に転
がり落ちる最後のひと押しになってしまったのだが、何もしなくて
もアルフェミナがエアリスを巫女に指名したであろう事、またエレ
ーナの行動自体は人として当然のことしかしていない事を考えると、
その事を責めるのは酷であろう。
エアリスを可愛がり始めた事でカタリナに逆恨みされ、毒を盛ら
れてじわじわと死に追いやられる。レイオットが宏と接触した頃に
は、もはや余命いくばくもないところまで追い込まれており、間に
あったのは奇跡の範疇である。
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今でもカタリナに対して方法はなかったのかと自問自答しており、
自身の行動がカタリナを追い詰めた事に関しては色々と後悔してい
る。カタリナが嫌いだった訳ではなく、バルドをはじめとした不穏
な連中に付け込まれて堕ちていく過程を見てきたため、結局何もで
きなかった自分を情けないと思っている。
他者との接し方は、王女という身分にも関わらずそれを鼻にかけ
る事はなく、身分の高低に関係なく気さくに接しつつも線引きすべ
きところはきちっと線引きする。また、法に触れない限りはどんな
仕事をしていても相手を侮ったり見下したりすることはなく、他者
を食い物にしない形でちゃんと働いて生計を立てている人間を尊重
する。その態度が国の内外問わず庶民に人気がある一方、身分とい
うものを絶対視する人間には不興を買っている。
余談ながら、宏がエレーナの治療にわざわざ専用の解毒剤を調合
したのは、あの時点で調合できる万能薬では解毒不可能だったから。
特殊な毒物だったために万能薬で解毒するには三級程度のものが必
要で、材料がどうやっても調達できなかったのである。
間にあったのが奇跡の範疇であったため、世界編まで重い後遺症
に悩まされ続ける。材料不足で彼女の治療薬を作るのが遅れた事が、
宏の﹁材料が無ければただの人﹂という限界を端的に示している。
名前の由来は特になし。
アヴィン
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ファーレーン王国第一王子。側室第一妃の子供でレグナス王の子
供としては一番年上。物語開始時点で二十二歳。身長百八十三セン
チでファーレーン人男性としてはほぼ標準。親しみやすいタイプの
色男。
ローレンのルーフェウス学院に留学し、そこでファルダニアの次
期女王であるプレセア王女と出会い、相思相愛になる。母親である
第一妃が現ファルダニア王の従妹にあたるため、血縁的にもほどよ
く離れつつファルダニア王家の血がちゃんと入っていると言う点で
丁度いい事もあり、王配候補として両王家に歓迎されている。
弟のレイオットを大層可愛がり、またその出来の良さを自慢に思
ういいお兄ちゃん。弟が余りに出来が良いので、留学先でプレセア
と出会ったこともあってとっとと継承権を放棄している。お家騒動
回避と本人の恋愛感情、更に政略結婚なしで同盟を強化できる点も
相まって、この判断には誰も異を唱えていない。
当人もレイオットほど派手に能力を見せてはいないが、年齢や経
験の問題でまだまだ未熟なところがある弟を裏で地味にフォローし
つついろいろ経験を積ませている、なかなかできる人。諸般の事情
であまり表に出せていないが、レイオットの方もその事実をちゃん
と理解しており、この兄には心の底から感謝し尊敬している。
カタリナに対しては、赤子であるエアリスを一方的に嫌うなど、
人としてどうかという問題が目についていたため、できるだけ親身
になって話を聞き、全否定しないよう注意しながら諭すという難し
い対応を続けていた。結局その努力は実を結ばなかったが、エレー
ナが姫巫女候補を辞退するまでカタリナが決定的な行動に移らなか
ったのは、アヴィンの努力があったからなのは間違いない。
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エレーナの、身分に関係なくちゃんとした仕事をして生活を成り
立たせている人間を尊敬し尊重する姿勢は、実の所アヴィンの影響
が大きい。彼自身がそういうタイプであり、あちらこちらに出入り
しては気さくに声をかけ、多数のシンパを作り上げている姿は兄弟
全員に大きな影響を与えている。
当人に自覚は薄いが、いろんな意味で弟や妹に影響を与えており、
ファーレーン王室が基本的に仲が良く結束力が強いのは、アヴィン
の手柄が大きい。
名前の由来は特になし。
マーク
ファーレーン王国第三王子。側室第二妃の息子。本編開始時点で
十三歳。金髪が可愛らしいジャニーズ系。全身からいじりたくなる
ようなオーラを発散する癒し系。宏にマー君というあだ名をつけら
れ、それが身内での呼び名として定着している。
この歳にして真面目で融通がきかない堅物で、とにかくルールを
重んじる。ルールに不備があるならその不備を直してから行動すべ
し、というタイプで、それゆえに誰の目にも明らかな欠陥をまとも
に修正できないファーレーンの法体系に、歯がゆさを感じていた。
可愛らしい容姿で融通がきかない堅物なものだから、年上でいた
ずらが好きな連中にはとことんいじられる。いじった時の反応の美
味しさが更にいじりを加速させるのだが、本人はそれを自覚してい
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ない。結果として王やその三人の后、兄や姉に宏達はおろか、一部
老臣達にまでからかわれいじられてしまう。オクトガルに至っては
マー君﹁で﹂扱いである。
アヴィンとレイオットという偉大すぎる兄がいたため、色々とコ
ンプレックスがある。ただし、あくまで経験が足りなく手玉に取ら
れやすいだけで、そこまで能力が劣っている訳ではない。また、手
玉に取られやすいという欠点に直結しがちではあるが、真面目で融
通がきかずルールを重んじる部分についてはそれなりに評価されて
いる。
法の不備が大きかったこともあり、ファーレーンの王室や政府は
誇大解釈や重箱の隅をつつくやり方で物事を解決する傾向が強く、
油断すると実に奔放なやり方をしかねない部分が大きい。その奔放
さをかなりの割合でマークが食いとめているのだが、本人はいじら
れまくっているせいかその自覚はない。
カタリナに関しては、自分にはまともで優しい姉だったこともあ
り、エアリスに対する理不尽な態度がなおのこと目について許せな
かった。目を覚ましてほしいと何度も正面からぶつかって行ったも
のの玉砕。最終的にはかわいさ余って憎さ百倍という風情になって
いた。
目下の悩みはオクトガル達、ではなく、物凄く忙しいのに人材が
なかなかそろわない事。最近では宏やオクトガルにいじられること
については、完全に諦めている。
名前の由来は特になし。
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カタリナ
ファーレーン編のボスの一人。ゴージャスな美少女で、自身の魅
力をよく知りつくして磨き抜いていたものの、結局最後まで容姿で
一番になることは無かった。享年十六歳。
あの親から生まれあの兄弟の中で育って、なぜこういう育ち方を
したのか分からない、というほど歪んだ性格に育った人物。生まれ
つき共感能力に欠ける部分があり、物事を全て理屈で考えようとし
ていた。
情に厚すぎるファーレーン王家において異質とも言える共感能力
のなさだが、逆にそれが功を奏して情に流されやすいレグナス達の
ブレーキになっていた部分もあった。だが、大半においては一見合
理的でいて、その実視点が片手落ちとしか言えない考え方と、自身
が割と感情的なのに感情というものを軽視、というより無視した判
断を下しがちであり、容姿以外の面ではあまり人気は無かった。
エレーナ同様、歴代の姫巫女の中でも上から数えた方が早い程度
の資質は持っていたが、エレーナと違い、エアリスの資質がどれほ
どとんでもないものかは理解できなかった。また、どういう訳か、
赤子のエアリスを見た瞬間から、存在そのものを消し去りたいほど
の憎悪を持っていた。
この時に、赤子に対してそんな感情を持つことに悩んでいればま
だ救いもあったのだが、自身が非常に感情に流されやすい癖に理屈
っぽい彼女は、憎悪を抱くにはそれ相応の理由があり、自分は悪く
ないと早々に結論付けてしまう。
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これにより、家族から愛されているのに孤立するという妙な状況
になり、そこをバルドにつけこまれて悪役の道を一直線となってし
まう。
最終的に、自分のよりどころとしていたもの全てを否定され、最
後まで分かりあえず一方的に憎悪を向けていたエアリス以外、誰に
も悼まれることなくその生涯をとじた。
名前の由来は特になし。
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登場人物紹介 ファーレーン王家︵後書き︶
バルドはどうしようか悩んだ末に外しました。
ドーガとレイナも、一般人枠で。
また、嫁いだ王女は嫁ぎ先の国の人物として紹介予定です。
なお、王妃様方と末の双子は、あまりに書く内容が無いために挫折
しました。思いついたらそのうち追記します。
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PDF小説ネット発足にあたって
http://ncode.syosetu.com/n1916cc/
フェアクロ設定資料集
2016年3月12日10時34分発行
ット発の縦書き小説を思う存分、堪能してください。
たんのう
公開できるようにしたのがこのPDF小説ネットです。インターネ
うとしています。そんな中、誰もが簡単にPDF形式の小説を作成、
など一部を除きインターネット関連=横書きという考えが定着しよ
行し、最近では横書きの書籍も誕生しており、既存書籍の電子出版
小説家になろうの子サイトとして誕生しました。ケータイ小説が流
ビ対応の縦書き小説をインターネット上で配布するという目的の基、
PDF小説ネット︵現、タテ書き小説ネット︶は2007年、ル
この小説の詳細については以下のURLをご覧ください。
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