剣道指導案 初任研 H26

男子保健体育科学習指導案
1
単元名 F 武道 (剣道)
2
単元について
(1)一般的特性
・竹刀を使い、基本となる技や得意技を用いて相手と攻防を展開しながら、互いに「有効打突」を目指し
て相手の構えを崩して打ったり、受けたりして勝敗を競い合う運動である。
・相手の人格を認め合い、礼儀作法など、人間形成の面からも非常に効果的な運動の一つである。
・相手の動きに対応し、対人的機能を中核とした攻防が展開されるため、相手を尊重し公正な態度と安全
に留意して行動することが要求される。
(2)生徒から見た特性
・小学校では経験していない運動であるため、興味・関心は高くはない。
・
「基本となる技」が習得できたとき、相手の動きや技に対して攻防する技を習得したときに喜びが増す。
・体格や体力に差があり過ぎると、活動の意欲が低下する傾向もある。
・打突を受ける際に怖い、痛いという先入観で、嫌う傾向にある。
・対人での練習が多く、互いに教え合うことが積極的にできる。
・心身の鍛錬、礼儀正しい日本古来の武道という印象が強い。
(3)生徒の実態
第 1 学年。授業への取り組みは、教科係や授業に積極的に参加する生徒、真面目に取り組む生徒を中心
に前向きな姿勢が見られる。しかし、場面によっては、授業に対する緊張感や集中力が足りないときがあ
るため、周りへの影響力をもつ生徒に全体が流されてしまうこともある。
(4)教師の指導観
剣道は、ほとんどの生徒が中学校に入って初めて取り組む単元であり、1からのスタートである。その
ため、剣道の歴史や特性、防具の着装、基本的な動作を、安全に留意させながらしっかりと習得させて進
めていきたいと考える。そして、剣道の歴史や特性に触れることで生徒一人一人の関心を高め、意欲的な
活動を進めていきたい。その中でも、剣道は「礼に始まり、礼に終わる」と言われているため、技術面以
上に礼儀作法に力を入れて、相手を尊重する態度をきちんと身に付けさせる。それと同時に、授業の始め
と終わりに行う「着座→黙想→礼」を通して、生徒の礼儀を重んじる心・人格の形成を図っていきたい。
また、1対1で相手と攻防や練習をする対人的競技でもあるため、基本動作がしっかりとできている生徒
とできていない生徒でペアを組ませるなど、相手を尊重しながら教え合うことや謙虚な心を持つというこ
とも指導していきたい。剣道の授業ではけがの危険性が高いため、特に緊張感を持ち、メリハリのある授
業を展開する必要がある。また、礼儀作法や武道の伝統的な考え方や行動の仕方を身に付けさせることで、
日常生活にも生かせるようにしたい。
-1-
3
単元目標と道すじ
(1)単元目標
・剣道に興味・関心を持ち、仲間と協力して積極的に取り組むとともに、相手を尊重し、伝
統的な行動の仕方を守れるようにする。
関心・意欲・態度
・剣道の約束や決まりを守り、練習場や周囲の状況を確認し、自他の健康・安全に留意して
学習することができるようにする。
・課題に応じた運動の取り組み方を工夫することができるようにする。
思考・判断
・技ができる楽しさや喜びを味わい、基本動作や基本となる技ができるようにする。
・相手の動きに応じた基本動作から、基本となる技を用いて、打ったり受けたりするなどの
技能
攻防を展開することができるようにする。
・剣道の特性や成り立ち、伝統的な考え方、技の名称や行い方、関連して高まる体力などを
知識・理解
理解し、知識を身に付けることができるようにする。
(2)学習の道すじ(学習過程)
<ねらい①>安全に剣道の学習ができるように基本動作、基本打突を正確に身につける。
<ねらい②>構えや体さばきと基本打突の仕方や受け方を一連の動きとして身に付ける。
4
時間配分
過程
はじめ
分
1
時
10分
20分
30分
オリエンテーション
なか
2
3
4
5
6
挨拶・健康観察・本時の説明・準備運動・ドリル運動
7
8
技能テスト
・防具の着装
・学習の流れ
・足さばき
・剣道の歴史特性
打突テスト
・礼儀作法
・面打ち
ねらい①
40分
まとめ
ねらい②
・竹刀、防具の扱い
・小手打ち
・胴打ち
・安全に関する確認
50分
片付け・反省・健康確認・次時の説明・挨拶
-2-
4
評価規準
ア 運動への
イ
関心・意欲・態度
運動についての
内
容
の
ま
と
ま
り
ご
と
の
評
価
規
準
運動の技能
エ
思考・判断
運動についての
知識・理解
・武道の楽しさや喜びを味
・生涯にわたって武道を豊
・武道の特性に応じた基本
・伝統的な考え方、技の名
わうことができるよう、
かに実践するための自己
的な技能を身につけ、相
称を理解し、技能を高め
積極的に取り組もうとし
の課題に応じた運動の取
手との攻防を展開して練
るための効果的な練習や
ている。
り組み方を工夫してい
習や試合ができる。
試合の行い方を理解して
・健康や安全に留意して練
る。
いる。
習や試合をしようとして
いる。
・剣道に積極的に取り組む
・課題に応じた運動の取り
・相手の動きに応じた基本
・剣道の特性や成り立ち、
動作から、基本となる技
伝統的な考え方、技の名
伝統的な行動の仕方を守
を用いて、打ったり受け
称や行い方、関連して高
ろうとすること、分担し
たりするなどの攻防を展
まる体力などを理解して
た役割を果たそうとする
開できる。
いる。
とともに、相手を尊重し、
単
元
ご
と
の
評
価
規
準
ウ
組み方を工夫している。
ことなどや、禁じ技を用
いないなど健康・安全に
気を配ることができる。
① 剣道の特性に興味・関
①
心を持ち、意欲的に練
習に取り組もうとして
②
いる。
学
習
活
動
に
即
し
た
評
価
規
準
③
①
相手の動きに応じて、
①
剣道の特性や基本動作
題を設定している。
中段に構えることがで
および技を理解してい
技を身に付けるための
きる。
る。
運動の行い方のポイン
② 仲間と協力しながら練
習を行い、礼儀作法や
自己の能力に応じた課
②
相手の動きに応じて、
②
礼法などを身に付ける
トを見つけている。
歩み足や送り足ができ
ことで伝統的な考え方
お互いの技能が高まる
る。
を理解している。
相手を尊重する態度で
ように考えながら相手
授業に取り組もうとし
にアドバイスを送って
打ったり受けたりする
など試合に関するきま
ている。
いる。
基本打突ができる。
りを理解している。
③ 剣道の攻防の楽しさを
④
味わおうとしている。
④ 決まりや約束を守り安
全に留意して、けがの
⑤
自他の練習方法や技の
③
④
面や胴、小手の部位を
基本動作、対人技能で
③
④
ルールや勝敗のつけ方
安全に練習を行うため
できを確かめ合おうと
身に付けた体さばきや
の用具の点検ポイント
している。
打突を練習や試合で生
を理解している。
学習カードを確実に記
かそうとしている。
防止に努めようとして
入し、反省することが
いる。
できている。
⑤
しかけ技や応じ技の基
本となる技を用いて攻
防を展開することがで
きる。
-3-
5
単元計画(授業の展開と評価計画)
過程
学習内容と活動
指導・支援
評価
ア
用具・
イ
ウ
エ
資料
①
学習
1、オリエンテーション
① 武道(剣道)の特性を知る。
・剣道の特性を説明する。
② 学習の進め方を知る。
・授業全体の流れの説明、用
①
4
カード
③ 剣道の評価について知る。
具の準備や片付け、授業の
④ 授業の約束事や安全に練習する
約束や決まり、安全につい
手拭い
て説明する。
防具
ための方法を知る。
面
2、剣道の歴史について学ぶ
は
じ
め
・資料を使い剣道について考
④
えさせ、意見を聞く。
1
3、剣道の防具着装と竹刀について学ぶ
胴
小手
・正しい着装を手本で見せな
たれ
がら説明する。
4、礼儀作法の習得
②
正座~黙想~礼
②
・左座右起や正座など伝統的
立礼~蹲踞
資料
な行動の仕方を手本で見せ
ながら説明する。
ボード
ねらい1 安全に剣道の学習ができるように基本動作・基本打突を正確に身につける。
2
1、基本動作の練習
・左手の小指・薬指・中指に
・中段の構え:竹刀の持ち方
足の位置
②
力を入れて竹刀を握るよう
①
②
カード
にアドバイスする。
剣先の高さ
・剣先が相手ののどの位置に
・体さばき:歩み足、送り足
向いていることを意識させ
・素振り:上下振り
る。
・中段の構え~体さばきを用いて打つ
な
か
竹刀
②
手拭い
防具
ずに額の上まで振り上げ、
面
④
③
胴
振り下ろすように呼びかけ
2、正面打ちと受け方(面をつけず)
・正面打ちと受け方
①
学習
・左こぶしを正中線から外さ
3
掲示用
小手
る。
③
たれ
・打ち込みは、踏み込みなが
体さばきを用いて、竹刀や防具で
の受け方
ら大きく振りかぶらせる。
掲示用
・相手の動きに応じた体さば
資料
きをするように意識させ
3、正面打ちと受け方の判定試合
・5人グループを作り、2人組で対決
し、動きの出来栄えを判定する。
4
る。
・練習の前後に礼をするとき
は、相手を尊重する気持ち
で行うようにする。
③
④
④
③
ボード
時計
①
ねらい2 構えや体さばきと基本打突の仕方や受け方を一連の動きとして身に付ける。
1、正面・胴・小手打ちと受け方
(面をつけず)
5
・素振り:上下振り・跳躍素振り
・正面、胴、小手打ちと受け方
体さばきを用いて、竹刀や防具で
の受け方
・受けは面の高さで構えさせ
①
①
③
学習
る。
カード
・踏み込み足と声と打突が一
緒になるように打ち込ませ
竹刀
る。
手拭い
・打突のときは、肘を伸ばし
②
防具
手首を絞るように意識させ
6
2、正面、胴、小手打ちと受け方
面
る。
②
胴
(面あり) ・打突のときは、左足の引き
・正面、胴、小手打ちと受け方
体さばきを用いて、防具での受け方
な
か
7
3、正面、胴、小手打ちと受け方の
判定試合
小手
つけを早くして、姿勢が崩
たれ
れないようにさせる。
・基本動作の判定試合を行う
③
ことにより、形や動きを正
・5人グループを作り、2人組で対決
しく行うようにさせる。
し、動きの出来栄えを判定する。
・仲間の良い点を指摘し、よ
③
④
③
④
掲示用
資料
ボード
り良くなるための改善点を
4、簡単な試合(3人組)
ルール:試合時間 1分
勝負
判定
審判 生徒による1審制
アドバイスするように指示
④
⑤
③
時計
する。
・判定のポイントを明確に提
示する。
・試合方法を理解させる。
学習
1、剣道の防具・展開場所の準備をする。 ・防具の点検や場所の安全性
④
④
カード
を確認させる。
2、挨拶、準備体操
3、自由練習(1人30秒×3回)
ま
と
め
防具
・テストで重要なポイントを
①
説明してから行わせる。
②
4、技能テスト
8
・防具の着装
竹刀
②
時計
・打突するときは、打つ部位
・足さばき
を大きな声で言わせるよう
・面・胴・小手打ち 各2本ずつ
にし、達成感を味わえるよ
視覚
うにする。
5、学習活動のまとめをする。
・学習カードに記入させる。
教材
①
・今までの学習を振り返り、
自己の力の伸びがわかるよ
うに記述させる。
―5―
⑤
③
①
6
本時の指導
(1) 目標
<関心・意欲・態度>・規則や礼法、約束を守り、相手を尊重しながら運動をしようとする。
<技能>・体さばきを用いて、基本打突を正確に打ったり、受けたりすることができる。
(2) 展開
過
時
程
間
学習内容と活動
指導・支援(○)評価(●)
用具
資料
分
※準備
○素早く着替え、防具の着装を支援する。
1、剣道防具の準備・整列
○健康状態を確認し、見学者を確認、指示を
※4列横隊で整列する。
する。
じ
防具
○服装・忘れ物の確認をする。
は
10
2、挨拶、出席確認、健康状態の確認をする。 ●礼法などを身に付けることで伝統的な考
・正座~先生に礼~お互いに礼
め
竹刀
え方を理解している。(知識・理解②)
○本時の活動の流れを確認し、ねらいを説明
面
小手
胴
たれ
する。
3、本時の説明
○本時の内容を理解し、課題を確認できるよ
・ねらいを確認する。
うにきちんとした姿勢で、しっかりと顔を
上げさせてから話をする。
ねらい2 構えや体さばきと基本打突の仕方や受け方を一連の動きとして身に付ける。
4、準備体操・ストレッチ
○大きな声で元気よく、準備体操ができるよ
※準備体操は体育係を中心に大きな声を出
しながら行う。
視 覚
教材
う、声をかける。
<POINT>
・左こぶしは正中線を外さずに額の上
5、2人組での基本動作の確認(ドリル運動)
・素振り:上下振り20本
時計
こと。
跳躍振り20本
・打突の瞬間、両手をしぼり、両肘を
伸ばすこと。
な
か
まで振り上げ、まっすぐ振り下ろす
○剣先が、相手ののどの位置に向けるように
30
・体さばき:歩み足、送り足の確認
30秒×2set
①互いに向き合って前後左右
②一刀一足の間合いを確認す
る
説明する。
○相手の動きに応じた体さばきをするよう
に説明する。
●仲間と協力しながら練習を行い、礼儀作法
や相手を尊重する態度をとろうとしてい
る。(関心・意欲・態度②)
●決まりや約束を守り安全に留意して、けが
6、2人組で竹刀の振り方の確認
の防止に努めようとしている。
・前に出ながらの正面打ち
20本
(関心・意欲・態度④)
・前進後退正面打ち
20本
○練習の前後に礼をするときは、相手を尊重
※練習の前後は互いに礼をする。
する気持ちを持つように呼びかける。
7、2人組で正面打ちを行う。
※面を着装させ
る
打ち込み30秒・インターバル5秒×3set
<POINT>
・踏み込み足と打突、声が一緒になるよ
うに打ち込ませる。
・打突の時は、肘を伸ばし手首を絞るよ
うに意識させる。
・打突の時は、左足の引きつけを早くし
時計
て、姿勢が崩れないようにさせる。
○大きな声で数えながら行うよう声かけを
する。
○受けは面の高さで構えさせる。
○大きく正しく振りかぶり、正面を打たせ
る。
○正面打ちの素振りを打突に意識させる
●お互いの技能が高まるように考えながら
相手にアドバイスを送ろうとしている。
(思考・判断③)
●剣道の特性に興味・関心を持ち、意欲的に
な
練習に取り組もうとしている。
30
か
(関心・意欲・態度①)
学習
●面や胴、小手の部位を打ったり受けたりす
資料
る基本打突ができる。(技能③)
<つまずいている生徒への手立て>
・鏡を見ながら、左こぶしをまっすぐに上げさせる。
・まっすぐに振り下ろされているか、鏡で確認させたり、友達にアドバイスを
してもらう。
○基本動作の判定試合を行うことにより、形
8、正面打ちと受け方の判定試合
<ルール>
・2人組で対戦をする。
・打つことと受けることを交互にそれぞれ
2回ずつ行う。
<判定>
・対戦していない人が、対戦者の動きの出
来
栄えが良い方に挙手をし、多い方を勝者
とする。
や動きを正しく行うように呼びかける。
○判定試合は、5人グループで行い、対戦し
ていない3人は、判定を行い、説明する。
○判定試合の後に、仲間の良い点を指摘し、
より良くなるための改善点をアドバイス
するように指示する。
○判定がはっきりできるように、判定のポイ
ントを提示する。
●基本動作、対人技能で身に付けた体さばき
や打突を練習や試合で生かそうとしてい
る。(技能④)
●ルールや勝敗のつけ方など試合に関する
決まりを理解している。
(知識・理解③)
9、集合、整列
○各クラス、体育係を中心に素早く整列させ
・クラスごとに4列横隊で整列する。
る。
10、整理運動を行う。
11、健康状態の確認をする。
○授業の中でけがや体調不良になった生徒
の確認を必ず行う。
12、学習のまとめ・反省
○学習カードを活用して、課題への取り組み
・記録、反省の記入
ま
と
め
についての反省点を記入させる。
10
筆記
●学習カードを確実に記入し、反省すること
用具
○次時の確認・健康状態の確認は安座できち
んと顔を上げさせてから話をする。
○全体を通して、よい活動をしていた生徒を
賞賛し、次時への意欲を高めようとする。
14、挨拶、片付けをし、解散する。
○礼法を意識して、大きな声であいさつをさ
せる。
―8―
カード
○反省を見まわりながらチェックする。
ができている。
(思考・判断⑤)
13、次時の確認をする。
学習