CRIコンサルテーションの標準(10) 《 定量データーと定性データー 》 山登りは「山頂」を目指す。そのために日ごろの鍛錬をおろそかにしない。アスリート 達の中で一流と一般の人の違いは何かと言えば「準備の質」であると言う。きっと名登山 家達もそうだろう。目標は「山頂」である。とこがこの山頂を目指すのであるが、人は自 分の山頂と格闘する。一流のアスリート達が一応に「記録は自分との闘いだ」と言ってい るのはそれに違いない。目標とする山頂と克服しなければならない自己課題。この問題に 多くの人が取り組み悩んでいる。それがMBO(目標管理)の実態である。 1.定量目標 そうなるとめざすべき山頂が二つあることになる。山そのものの頂と自分の頂である。 例えば富士山の山頂を目指すとしよう。登った人の話を聞くと「大変な勾配できわめてき つい」と言う。「富士は遠くで見るもので、近くで見るものではない」とも言う。いずれに してもその険しさが推定される。「本当に登れるだろうか?」「足腰に自信がないし…」と 不安がもたげる。そこでトレーニングを始めることにした。「まず歩こう」と…。私は毎朝 2キロのジョギングを始める。今6月だが富士登山は 7 月の予定。それまでに体力をつけ ようと。富士山の高さが定量目標になる。毎日2キロのジョギングも同じく定量目標だ。 しかし実際には8合目でリタイアしたとしよう。それが結果であり今年の記録である。残 念ながら毎朝2キロ歩いて準備をしたのだが 8 合目が結果である。一生懸命、良い原因を 作ったのだが…。では整理をしよう。ここに3つの数値がある。予め目標とした数値、結 果としての数値、原因としての数値である。富士の山頂は素人でも登れる高さである。し かし8合目でリタイアしてしまった。もっとも年配者の中には6合目で脱落した人もいる。 2キロのジョギングで延べ20日間は歩いたのになあ…。それが「資料」である。その資 料に基づいて思案する。来年は踏破できそうな気がしてきた。この資料がデータである。 そのデータに基づいて推理し結論したのである。 2.定性目標 平地を歩くのと登山とではずいぶん違う。登山はまったくの素人だ。そこで数人の先輩 から登山の要領を聞くことにした。随分と話が弾んだ。そのアドバイスから「階段の登り 降り」と「上半身の筋力トレーニング」が大事であること。また「靴の選択」も大事であ ることが分かった。早速「実践」することにした。目標ができたことでなにかワクワクす る。「プラン(計画)」を練ることにした。「階段は三島神社の階段がいい」「筋力トレーニ ングは腕立と倅の2キロのダンベルを借りよう」「靴はアウトレットで買えば安く手に入 る」と…。これらが定性目標である。結果を作り出すための「手段」である。 3.統合的な定量目標と定性目標 これを次のようにまとめて「目標シート」を完成させた。そして次の挑戦を9月と決め たのである。もちろん「詳細計画」については先の「5W1H法」でまとめた。 目 定 定 原 標 量 山頂踏破 トレーニング2ヶ月間 定 性 ご来光を仰ぐために 5時到着をめざす 量 延べ 100 キロメートル 定 ジョギング 天気予報を聞く 階段登り ミーティングを行う 因 性 筋力トレーニング まず「期待目標」を「定量」と「定性」に分けよう。そして次にそれを実現させるため の方策を考えよう。その方策を作り込み実践することが、期待目標を実現させるための原 因になるのだ。これもまた「定量」と「定性」に分ける。このマトリックスをすべて埋め なくても良いが、これを作成するプロセスから何をどうするかが見えてくるし、 「山の頂」 と「自分の頂」が統合されてくるように思う。こうしたことを積み重ねていくと「資料= データ」が出来上がる。積み重ねて見ると言うことは、すなわち「統計的見方」である。 それを「科学的」という。一流のアスリート達は実は優れた「科学者」でることがわかる。 同時に「困難」を克服する「心理学者」でもある。 優れたビジネスの業績は、前週、前月または前年に取られた行動の結果以外のなにもの でもない。 以 上
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