パブコメ12 (中西)

パブコメ意見一覧(WEB 投稿)
整理番号
意見全文
28E3
28E4
28E5
<イグナイタによる水素爆燃は格納容器内水蒸気爆発の強大なトリガー>
「4−1.2.2.4
原子炉圧力容器外の溶融燃料−冷却材相互作用、3.審査過程における主な論点、(1)水蒸気爆発が実
機において発生する可能性、200ページから201ページ。申請者は、実機において想定される溶融物(二酸化ウランとジルコ
ニウムの混合溶融物)を用いた大規模実験として、 COTELS、FARO 及び KROTOS を挙げ、これらのうち、KROTOS の一部
実験においてのみ水蒸気爆発が発生していることを示すとともに、水蒸気爆発が発生した実
験では、外乱を与えて液−液直
接接触を生じやすくしていることを示した。さらに、大規模実験の条件と実機条件とを比較した上で、実機においては、液−液
直接接触が生じるような、外乱となり得る要素は考えにくいことを示した。さらに、上記の水蒸気爆発に関する大規模実験の
知見と実機条件との
比較及び JASMINE コードにおける評価想定と実機での想定との相違を踏まえ、実機においては、水蒸気爆発の発生の可能
性は極めて低いとする根拠を示した。これにより、規制委員会は、原子炉圧力容器外の
FCI で生じる事象として、水蒸気爆発
は除外 し圧力スパイクを考慮すべきであることを確認した。」についての意見。
伊方原発3号原子炉は、格納容器内水素爆轟(ばくごう)対策として、イグナイタによる水素爆轟の前の水素爆燃対策を取っ
ている。「ページ202、(3)
初期の対策: PWR プラントは原子炉格納容器自由体積が大きいことにより水素濃度が高濃度に
ならないという特徴がある。その上で、主に炉心損傷時に発生した水素の処理を行う。このため、イグナイタを重大事故等対
処設備として新たに整備する。」
伊方原発3号原子炉に過酷事故(重大事故)が発生し、ジルコニウム・水 蒸気反応により発生する水素は水素濃度が爆発
限界4%を超えた初期にイグナイタで着火すれば、格納容器内では水素爆轟は起こらずに、水素爆燃が起きて、格納容器の
直接の破壊原因にならない場合が想定される。
しかし、水素爆燃は格納容器内で水蒸気爆発が起きるときの、強力なトリガ(外乱)になることは、ガス爆発や水蒸気爆発を
絶対的には防止できない、溶融金属製錬に携わる人間にとっては、常識である。
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四国電力株式会社伊方発電所の発電用原子炉設置変更許可申請書(3号原子炉施設の変更)に関する審査書(案)には、
「イグナイタによる
水素爆燃は格納容器内水蒸気爆発の強大なトリガーに成るか成らないかの検討が全く行われていない。
格納容器が水蒸気爆発で破壊すれば、放射性物質の大気中への飛散量は、181ページに示されているような「
納容器から環境に放出される
d. 原子炉格
Cs- 137 の放出量は、 7 日間で約 5.1TBq であり、100TBq を下回っている。」ものでは無くな
る。
福島第一原発の
1、2、3号炉は2号炉のみが格納容器ベローズ付近の破損による直接の漏洩、1号炉、3号炉は格納容器
からの漏洩と大量水を潜らせたウエットベントによる放出で、 Cs- 137 の放出量は、 7 日間で約10,000
TBq と言われていま
す。
伊方原発3号原子炉の格納容器が水蒸気爆発で大破したら、格納容器を持たず、原子炉建屋が大破したチェルノブイリクラ
スの Cs- 137 の放出量になります。
Cs- 137 の放出量は、 7 日間で約 5.1TBqか、チェルノブイリクラスのCs- 137 の放出量かを運に任せるような審査書案は到
底認められません。
29E1
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31E11
<フィルター付きベントの無い伊方原発3号炉は非常ブレーキの壊れた特急列車と同じ>
「4−1.2.2.1
雰囲気圧力・温度による静的負荷(格納容器過圧)1.申請内容(2)解析手法及び結果、不確かさの影響
評価(2)解析結果
181ページ「
b. 格納容器内自然対流冷却により原子炉格納容器の除熱が確立するため原子炉格納容
器の最高圧力・最高温度はそれぞれ、約
0.335MPa[gage]、約133℃に抑えられる。以降、原子炉格納容器圧力・温度は、約
72 時間時点でも低下傾向が維持されてお
り、安定状態となっている。」についての意見。
伊方3号機の原子炉格納容器の設計圧力は0.283MPa、限界圧力は0.566MPaである。
伊方3号機が大地震等により、停電が発生し、かつ1次冷却系配管に大破断が起き、格納容器内への大量の水蒸気漏洩
が発生した時、(沸騰水型原子炉が付帯している)ウエットウエル(圧力制御プール)を付帯していない伊方3号機は長時間核
燃料への注水を続けると、スプレ イ水の散布だけでは格納容器内の水蒸気圧が限界圧力0.566MPaを超えて、(福島第一
2号機に起きたような)格納容器破裂が起きる可能性が大きい。
そして、格納容器破裂を防止するためには、フィルター付きベントが必要である。
しかし、伊方3号機は新規制基準により、フィルター付きベントの取り付けが5年間猶予されているので、審査書案にはフィ
ルター付きベントの取り付けの項目の審査が何も無い。
そして、フィルター付きベントの設置の無い状態での、苦肉の策として、キャビティ(格納容器下部窪み)に緊急に大量貯水を
行い、原子炉圧力容器内核燃料の冷却を行わず、2800℃程度の超高温度になった溶融燃料をキャビティの大量貯水に落
とし込んで、圧力制御プールの代替を行ったものと思われる。
佐藤暁氏が岩波の「科学」2015年5月号「深層防護の考え方とフィルター・ベントの設計」0500ページに「深層防護の実践
は、安全文化と並び、その国や企業の危険対応能力の熟度を左右しますが、日本の原子力の場合、米国や欧州に遅れを取
っていると認めざるを得ない事実が多々見受けられます。今回取り上げるフィルター・ベントが、西欧諸国では1980年すでに
殆どの原 子力発電所に設置されていたこともその一例にすぎません。」と説明しているように、フィルター・ベントは格納容器過
圧破損防止の安全装置です。フィルター・ベントではほとんど捕集できない放射性ガスもありますが、大量の放射性物質を捕
集できる可能性が有ることは事実です。
そして、西欧諸国では殆どの原子炉にフィルター・ベントが設置されているので、IVR−AM(
In- Vessel Retention:溶融物の圧
力容器内保持)対策のような、水蒸気爆発の起こらないような少量の水の冷却方法の選択肢もあるのです。川内原発、高浜
原発、伊方原発では、運が良ければ、水蒸気爆発による格納容器の破裂を免れたというような危険な選択しか取れないので
す。
特急列車で非常ブレーキを掛ければ、急激な衝撃で乗客が怪我をする事もありますが、特急列車が正面衝突をする事よりも
良い選択で有ることは間違いないと思います。
原子力規制委員会は、川内原発、高浜原発、伊方原発の再稼働には、フィルター付きベントが無くて、コアキャッチャーが無
くても再稼働を認可する事は、非常ブレーキの壊れた特急列車でも慎重に運転する条件なら運行を認める事と同じと思われ
ます。
伊方原発3号炉 の審査書案は認められません