10月号 本会記事 - 粉体粉末冶金協会

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本会記事
分科会紹介
粉体成形分科会
射出成形委員会
株式会社キャステム 中山 英樹
近年,精密機器,通信機器,自動車部品,医療機器をはじめとした製品の小型化・高性能化は目覚ましく,これらに伴って部
品の高精度化・複雑形状化に対する要求がますます厳しくなっている.これらの金属部品に対する加工法は,切削加工,溶融加
工である鋳造,ダイカスト,精密鋳造,塑性加工である鍛造,プレスさらにはプレス焼結(PM)など様々であるが,これらの
加工法によりミリオーダーで高精度かつ 3 次元複雑形状品を製造することは難しい.これらを解決する加工法として「射出成形
技術」と「焼結技術」を複合化した金属粉末射出 Metal Powder Injection Molding: MIM)が著しい進歩と相俟って着実に成長して
きており,成形加工技術の重要な地位を確立してきている.その中で,当委員会では MIM における各種問題点やさらなる展開
のための研究課題を探り,討議するとともに,国際的な情報も取り入れて,情報交換を行っている.
最近の射出成形委員会の活動では,昨年の秋に開催した委員会では 6 件の報告があった.最新の技術動向として近年注目を浴
びている 3D プリンタについてと今後の MIM の材料に展開の可能性がある調和組織制御について講演があった.また,MIM に
関する報告が 4 件あり,マイクロ MIM に関する報告,MIM 大物部品の変形に関する報告,成形をマイクロ波による特殊な成形
法の報告および世界の MIM の技術動向などについての報告があった.また,今年の春の委員会では,粉末製造技術の見学と研
究会を合わせた委員会を開催した.研究報告は 3 件あり,MIM に関する疲労強度などの規格化に関しての報告,MIM によるチ
タン合金の量産化に関しての報告およびアジアの MIM 市場と技術動向についての報告があった.
当委員会では,MIM の最新の技術動向を見据え,我が国の MIM 業界の発展に付与するために,有効な情報交換する場として
活動している.当委員会に関心がある方々の新規加入をお待ちしております.
新機能材料分科会
電子部品材料委員会
ナミックス株式会社 嶋田 勇三
情報通信技術(ICT)の発展は,人類の生活環境を大きく変え,社会,文化にも変革をもたらしています.この ICT の発展に
大きく寄与しているのが,半導体デバイスを含めた電子部品であり,その部品を形成する電子材料です.半導体技術を基盤とし,
システム性能を効率的かつ効果的に最大限引き出すために,電子部品材料の研究開発が各方面で精力的に進められています.本
技術委員会は,IoT(Internet of Things)の社会を実現する高速コンピュータや通信機器,携帯性の高いウェアラブル端末,各種
センサーなどのエレクトロニクス機器の動向を議論するとともに,それらを構成する材料や部品の最先端研究開発,技術動向を
調査し,情報交換することを目的としています.
高機能高性能な電子部品を実現するためには,革新的な新材料開発が必要です.従来にない新しい機能や特性を発現する材料
が必要です.また,それらを部品に仕上げていくためのプロセス技術も重要であり,さらには部品材料を機能的に組み上げ,シ
ステム化していくエレクトロニクス実装技術も極めて重要となります.最近では,動画や高精細画像の高速データ通信や自動車,
エネルギーを考えたパワーエレクトロニクス,医療,ヘルスケアのためのセンサー,ネットワーク,MEMS を応用した知能ロ
ボットなどエレクトロニクス領域での機能高度化が進んでいます.電子部品材料,プロセス技術,実装技術の新たな展開が期待
されており,今後ますます,これらの分野が重要となり,本委員会の役割も注目されるものと確信しています.
本技術委員会の活動は,年に数回の先端研究開発の紹介と情報交換,討論を行うとともに,春季大会や秋季大会での講演特集
を開催し,幅広い分野からの発表を通して,将来技術の方向を探っていくことを考えています.ぜひ,興味のある方の参加を期
待しています.