Special Interview いのちを守る森づくり 豊かな生活・生存環境の 再生を A k i r a M i y aw a k i み や わ き あ き ら 昭和27 年 広島文理科大学(現・広島大学)生物学科卒業、理学博士。 昭和48 年に横浜国立大学教授に就任、平成5 年より同大学名誉教授。 同年より財団法人国際生態学センター長も務め、平成19 年より現職 に。ドイツ・ゲッチンゲン大学およびハノーバーより名誉理学博士号、 ドイツ・ザールランド大学より名誉哲学博士号、 タイ国立メージョウ農 工大学より名誉農学博士号、マレーシア農科大学より名誉林学博士号 を贈られるなど、海外からの評価も高く、国際生態学会の会長なども 歴任した。 『日本植生誌』をはじめ、著書も各方面で高い評価を得てお り、毎日出版文化賞や朝日賞なども受賞している。独自の考え方に基 づく “宮脇方式”と呼ばれる森づくりが国内外で注目されている。 公益財団法人 地球環境戦略研究機関 国際生態学センター長 宮脇 昭 氏 地球温暖化対策として森林整備が世界的に推進されています。一方、日本では東日本大震災や近年の台 風、大雨被害を受けて災害対策としての森林のあり方も注目されています。そうした中、「土地本来の 森こそ災害からいのちを守る森となる」という信念に基づく“宮脇方式”と呼ばれる森づくりの手法が 国内外で広がりを見せています。そこで、”宮脇方式“を提唱し、日本でそして世界の各地で植林活動 に取り組んでいる宮脇昭氏に、これからの森づくりのあり方などを伺いました。 きっかけは“雑草” ― 森林の研究を始めたきっかけは。 「私 は 岡山県 の 農家 の 4 男 として 生 まれまし た。小 さい 頃 は 体 が 弱 く 病気 がちだったため、 う 言葉 を 頂 き、私 は 雑草 に 取 り 組 む 意 を 強 くし も 1 年の 3 分の 1 ほどで、大部分は雑草の生態を です。この 潜在自然植生 を 提唱者 の 下 で 学 べる ました。 また、 その 後、 もう 一人 の 恩師 である 調べるためのフィールドワークに費やしていました。 というのは、 私にとっては願ってもないことでした。 ドイツのラインホルト・ チュクセン 教授 との 出 北海道 から 九州まで、60 日かけて 全国 およそ 会 いにより 雑草 の 枠 を 超 えて、土地本来 の 潜在 120ヵ所 の 雑草 の 生態 を 調査 する 旅 を 春夏秋冬 自然植生 に 基 づく 防災・環境保全 を 目指 した 植 それぞれ 1 回 ずつ、6 年間続 けました。大学 から 物生態学へと研究テーマを広げました」 調査費は出ていなかったので、野宿や列車泊の貧 緻密 で 客観的 な 植生 の 現地調査と室内 でのデー ほかの人から見たら異常ともいえる日々 乏旅行で、 タ 解析方法 でした。もう一人 の 恩師 である 堀川 でしたが、私にとっては充実した 毎日でした。そ 教授と同じく、チュクセン教授も現場第一主義の して、その生活の合間を縫って国際的な植物雑誌 人で、朝から晩まで現場、現場、現場の毎日でし 外 で 遊 ぶよりも 家 の 中 からぼんやりと 外 を 眺 め ることが 多 かったんですが、農家 の 方々が 雑草 ―“現場主義”が研究の基本方針と伺いました。 取 りに 苦労 されている 姿 をよく 目 にしました。 2 留学資金 の 捻出 に 苦労しましたが、奨学金制度 を活用してなんとか渡独することができました。 ドイツでチュクセン教授に師事して学んだのは、 そういうときに『大変 そうだな …』と 感 じていた 「86 歳になりましたが、今 では机上の作業より である『ザ・ボタニカル・マガジン』に投稿したド た。あるとき、私が『ドイツの大学で高名な教授 ことが、雑草生態学 を 学 ぶきっかけとなったの も現場で森づくりをしている時間の方が長いです イツ 語 の 論文『3 種 のエロリゲン 属 の 根 の 形態学 の講義を聴き、様々な論文も読んでみたい』と訴 でないかと思います。 ね。こうした現場主義の下地は、前述の堀川教授 的研究』がその後の私の人生を大きく変えました。 えると、 チュクセン教授は 『話はいつでも聞けるし、 後に、広島文理科大学(現在の広島大学)で卒 の影響が大きいと思います。堀川教授の弟子たち 私 の 論文 は、当時 のドイツ国立植生図研究所 本はいつでも読める。見たまえ、この大地を。本 業論文 のテーマを 選 ぶ 際 に、恩師 である 堀川芳 は、大学で学んだ後にフィールドワークを中心とし の所長だったラインホルト・チュクセン教授の目 物の命のドラマが目の前で展開しているではない 雄教授 に 雑草生態学 をやりたいということを 伝 た研究者となっていく人が多く、 私もその一人です。 に留まり、留学の誘いを頂きました。チュクセン か。君 はまず 現場 に 出 て、自分 の 体 を 測定器 と えると、 堀川教授から 『雑草は大事なテーマだが、 私は広島文理大を卒業後、東京大学大学院で 教授 は、潜在自然植生という考 え 方 を 提唱した して目で見て、匂いを嗅ぎ、舐めて、触って、調 日 の 目 を 見 ることがなく、誰 からも 相手 にされ 植物形態学 を 学びながら、横浜国立大学 で 助手 方 です。潜在自然植生とは、人間の 干渉 が 一切 べるべきだ』と応じました。私の現場主義はこの ないだろう。 それでも、君 に 生涯 をかけて 取 り を務めるという生活を送っていましたが、大学の なくなったと仮定したときに、どんな植生が現在 時に刷り込まれたもので、今に至るまで、チュク 組む気持ちがあるのなら、ぜひやりたまえ』とい 構内に足を踏み入れたのは 2 つの大学を合わせて の 立地 や 気候 の 中 で 成長 するかを 考察 する 概念 セン教授のこの言葉が全身に染み付いています。 anagement M izu vol.24 3 Special Interview いのちを守る森づくり 豊かな生活・生存環境 の再生を 「 ドイツからの 帰国後 も 日本全国 の 現地植生 樹林となっています。しかし、現存植生はスギ、 植えてしまったために、管理が行き届かなくなっ 調査 を 行 い、現存植生図 を 作成 しました。 その ヒノキ、 カラマツなど 木材生産 のために 単一植 ている点が問題なんです。 後、土壌断面 や 土地利用形態 など 様々な 資料 を 樹 された 人工林 が 多 くなっており、 かつて 来日 一般的 に、 『管理 しないと 山 は 荒 れる』と 言 わ もとに 潜在自然植生 を 判定 しました。若 い 研究 したチュクセン教授は、日本の森林を見て『まる れています。半分 は 正解 ですが、半分 は 間違 い 者 たちから 悲鳴 が 上 がるほどの 過密 スケジュー で木材生産工場ではないか』と驚かれました」 です。確 かに、針葉樹 の 単植林 は 常 に 管理 が 必 ルでしたが、10 年以上の歳月をかけて日本の現 ▲ 写真 岩沼の植樹祭の様子 要 となりますが、土地本来 の 森 は 草取 りなど 初 存植生 や 潜在自然植生 をまとめた『日本植生誌』 ― これから森づくりを進めていくうえで、 期 の 手入 れ 以外 は、 むしろ 人間 が 手 を 加 えず 自 全 10 巻が完成しました。 何が重要になるでしょうか。 然 の 管理 に 任 せた 方 が 良 いのです。古寺院 や 神 社 を 囲 む 鎮守 の 森 などは、 その 多 くが 土地本来 この 調査 によって、日本 においては 土地本来 植物 でも 動物 でも、生 き 物と向 き 合 い 研究 す の 本物 の 森 の 占 める 割合 が 全体 の 0.06% に 「私 は、現存植生 の 多 くを 占 める 人工 の 針葉 の 植生 を 保っていますが、 これは 人 の 手 がほと るには、見えないものを見る努力が必要となりま 過 ぎないということが 分 かりました。日本 の 潜 樹林 のすべてを 否定 するわけではありません 。 んど 入 らなかったからこそ 残 されてきたと 言 う す。いま 存在しているすべてのものを 数値化し、 在自然植生は、関東以西では海抜 800 メートル 現在の日本の森林の問題は、適地の範囲を超え ことができるのです。 測定 できればこんなに 簡単 なことはありません。 付近 までがシイ、 タブ、 カシ 類 を 主木 とする 照 て画一的に単植林を育成したところにあります。 また、人 の 命 や 感情、地球規模 での 環境影響 な 葉樹林(常緑広葉樹林)で、800∼1600 メート つまり、 マツやスギ、 ヒノキの 本来 の 生育適地 な 要素 と 言 えるでしょう。木材生産 が 盛 んに 行 どをその 背景 まで 含 めてすべて 把握 できればい ルまではブナやミズナラを 中心 とする 落葉広葉 をはみだして、全国 にわたって 画一的 に 大量 に われていた 時代 と 異 なり、現在 は 森林 の 管理 を いのですが、残念 ながら 現在 の 科学・技術 では 行 き 届 かせるのが 難 しい 状況 です。一方 で、地 日本列島の現存自然植生図 それは難しく、事象の破片に過ぎないデータに振 り回されるということも少なくありません。 だからこそ、現場に出て自らの体、感覚を計測 器として 調査 することで、見えないものを少しで も 見 えるようにするという努力 が 必要 なんです。 現場 に 何度 も足 を 運び、すべての 植物 を 丹念 に 調 べると、自然が 発しているかすかなサインに気 付くことができるようになります。そこを 丹念 に 探ることで、次第に見えなかった全体が見えはじ その奥にある本質を知ることができます。私は、 め、 そのようにして日本全国の現地植生調査を積み重 ねていくことで、潜在自然植生を判定することが できました。技術で見えないものは、人の感覚や 経験で 補うしかありません。それを磨くのが現場 経験なんです」 土地本来の森は0.06% こうした 特徴 は、 これからの 森 づくりに 必要 自然植生 日本列島の潜在自然植生図 る 企業 の 森 など 植樹 が 積極的 に 行 われるよう 代償植生 高山ハイデ 風衝草原、低木群落 コナラ-ミズナラ群集 亜高山性針葉樹林 アカマツ林 (北海道: エゾマツ-トドマツ群集他) 亜高山性針葉樹林 (本州 四国: シラビソ-オオシラビソ群集他) 日本海ブナ林 (ヒメアオキ-ブナ群集他) スギ植林 ススキ-ネザサ草原 太平洋型ブナ林 (シラキ-ブナ群集他) 北海道落葉広葉樹林 (サワシバ-ミズナラ群集他) 球温暖化対策 や CSR活動 の 一環 として 行 われ 畑耕作他、牧草地 高山ハイデ 風衝草原、低木群落 (カラスビシャク-ニシキソウ群集、 ナガハグサ群落他) (コケモモ-ハイマツ群集、 コマクサ-タカネスミレ群集他) (ウイカク-コナギ群集他) (エゾマツ-トドマツ群集、オオシラビソ群集他) 水田耕作他 市街地、未計測 亜高山性針葉樹林 北海道夏緑広葉樹林 (サワシバ-ミズナラ群集他) 日本海型夏緑広葉樹林 (ヒメアオキ-ブナ群集他) 太平洋型夏緑広葉樹林 (シラキ-ブナ群集他) 常緑カシ林 (シラカシ群集、シキミ-モミ群集他) 常緑シイ-タブ林 (イノデ-タブノキ群集、ミミズバイ-スダジイ他) 奄美 琉球常緑広葉樹林 (オキナワシキミ-スダジイ群集他) になってきています。そこで求められるのは、い かにコストをかけずに 森 を 維持 していくかとい 隆起石灰岩上常緑広葉樹林 うことでしょう。潜在自然植生 に 基 づく 森 づく 湿性夏緑広葉樹林、未計測 りを 行 えば、最初 の 2∼3年 の 除草管理 を 行 う (ガジュマル-クロヨナ群集他) (オニスゲ-ハンノキ群集他) だけで、 あとは 密度効果(※)による 自然淘汰 に よって、木 の 特性 ごとに 成長 し、15∼20 年 で ツガ林 自然 に 近 い 本物 の 森 となります。 こうしてで カシ林 きた 森 は、自然 の 循環 の 中 で 維持 されていきま シイ タブ林 す。 そして、常 に 人 の 手 が 必要 な 森 と 比 べて 災 奄美 琉球常緑広葉樹林 害 に 強 く、地域 の 住民 の いのちを 守 る 森 とな (コカンスゲ-ツガ群集他) (シラカシ群集、シキミ-モミ群集他) (イノデ-タブノキ群集、 ミミズバイ-スジダイ群集他) (アマミナンテンショウ-スジダイ群集 オキナワウラジロガシ群集他) るのです。 また、 植物の世界では 最高条件 が 最適条件 とはなりません。何のストレスもない完全な 最 高条件 は、たった一つバランスが乱れるだけで 破滅してしまう危険な状態とも言えます。一方、 最適条件 とはすべての 条件 が 満 たされている ― 日本全国の植生を調査されましたが、現 訳 ではなく 少 しの 我慢 が 必要 な 状態 ですが、多 在の日本にはどのくらい“本物の森”が残され 少 のストレスではビクともしないバランスの 良 ているのでしょうか。 さがあります。人間社会 も 似 ているかもしれま せん。植物 でも 人間 でも、基本的 には 多少 の 我 4 anagement M izu vol.24 5 Special Interview いのちを守る森づくり 豊かな生活・生存環境 の再生を ▲ 写真 岡山県御前神社の鎮守の森 間活動 と 共存 し、人間 が 手入 れしてきた 雑木林 おそらくどんな高性能の技術を導入するよりも、 も 望 ましいでしょう。 しかし、命 を 守 る 環境保 何百年、何千年 とその 土地 に 根付 いてきた 本物 全機能 や 災害防止機能 という 点 から 見 れば、 そ の 森 の 方 が、安全 で 安定的 に 命 を 育 むために 必 の 土地本来 の 森 に 勝 るものはありません。住民 要な水を供給してくれるはずです。水だけでなく、 の いのち を守ってくれるのは人工林ではなく、 空気 も 食 べ 物 も 我々人間 が 生 きていくうえで 必 どんな 自然災害 にも 耐 えて 生 き 延 びてきた 土地 要 なものはすべて、生 きている 緑 の 植物 を 通 し 本来の 本物の森 なのです。 て 供給 されるものだということを 忘 れてはいけ 土地 に 合 わない 木 を 植 えた 場合 は、絶 えず 手 ないのです。 あまりに 当 たり 前 でつい 忘 れがち を 加 えないと 安定 した 森 にはならず、災害 にも なことですが、我々は 緑 の 寄生者 という 立場 に 慢 が 必要 な 状態 こそが 長生 き、長持 ちするコツ 弱 くなります。日本古来 の 植生 を 考 えると、海 あることを 認識 し、自分 のそして 自分 の 家族 の です。 それが、80 年以上 にわたる 人生 の 中 で、 岸沿 いなどの 主木 はタブノキなんです。東日本 命 を 守 るために 森 づくりを 行 う。 そのノウハウ 私自身が植物社会から見出した一つの答えです」 大震災 において、防潮堤 として 植 えられていた やプロセス、成果 が 日本全体 に、 そして 世界 に マツ 林 などはその 多 くが 流 されてしまいました 。 広がっていくことを願っています」 ― “いのちを守る森”とはどのようなもの しかし、タブノキやヤブツバキ 、モチノキ、マサ でしょうか。 キなどの 常緑広葉樹 を 中心 に、多様 な 混合林 を 形成する 本物の森 は根がまっすぐに深く張り、 して 命 をつなぐ 資源 である 水 を 守 るために、 い のちの森 を創ることです。日本人が長きにわたっ 「日本文化を象徴する木というとマツやヒノキ 津波 だけでなく 台風 や 火災、山崩 れ、洪水 にも を 思 い 浮 かべる 人 が 多 いかもしれません。日本 強 いのです。 つまり、土地本来 の 本物 の 森 こ 「私 たちが 未来 を 心身 ともに 健全 に 生 き 延 び まだ 不十分 ではありますがいのちと 環境 の 総合 には 海岸沿 いにマツが 立 ち 並 ぶ、白砂青松 と 称 そが、住民 の『 いのちを 守 る 森』と 言 うことがで ていくには 、 その 基盤 として 環境 を 守 らなけれ 科学、エコロジー(植物生態学)の研究成果を踏 される 美 しい 景観 が 多 く 存在 していますが、 こ きます」 ばなりません。環境問題 は、小学校 の 児童 から まえて、 あらゆる 自然災害 に 耐 える 本物 の 森 で 世界 の 政治家 までが 取 り 組 むべき 最重要課題 で ある、 いのちの森 を作ることが重要です。 うした 日本的 な 景観 は、1,000∼2,000 年前 に 定住生活 をするようになってから 人 の 手 によっ ― 水源林の保全も注目されていますが。 て培ってきた鎮守の森づくりの伝統的な知見と、 す。 そして、本当 の 環境対策 とは 失 われた 環境 環境 を 守 り、綺麗 な 水 を 守 るということは、 を 元 に 戻 すだけでなく、未来 のための 豊 かな 生 命 を 守 るということと 同義 です。生物学的 に 見 存・生活環境 を 積極的 に 再生、創造 していくと ると 我々人間 も、30 数億年一度 も 切 れずに 現 広葉樹 の 森 は 水 を 涵養 し、浄化 する 緑 のダム いうことではないでしょうか。上下水道 も、 い 代 まで 続 いている 細 い DNA、遺伝子 の 糸 を 未 また、何百年 にわたって 人間 が 薪 や 木炭 を 作 る とも 呼 ばれますが、針葉樹林 はこの 機能 が 弱 い のちを 育 むのに 必要 な 水 を 守 る 重要 な 事業 で 来 につなげていくために、100 年足 らずの 一里 ための 薪炭林 として 定期的 に 伐採 した 後 の 切 り のです。 また、広葉樹林 はフィルターとしても す。言 うなれば、 いのちを 守 るための 事業 と 言 塚 として 現代 を 生 きているに 過 ぎないのではな 株 から 芽生 え、生長 したものであり、 雑木林 十分 な 機能 を 発揮 します。森林 に 降 り 注 いだ 雨 うことができるでしょう。特 に、下水道 は 汚水 いでしょうか。私 も 一 つの 一里塚 として、体 の も 2∼3 年 に 1回 の 下草刈 りや 落 ち 葉掻 きなど はゆっくりと 地面 に 染 み 込 み、土壌 など 自然 の をきれいにした 後 も、毒性 のあるものや 分解困 動 く 限 り いのちの 森 づくりを 通 して、豊 かな の 人間活動 の 影響下 における 代償植生、置 き 換 フィルターを 通 して 不純物 が 除去 され、自然 の 難なものを取り除けば、すべてが 生きた緑の森 生存・生活環境の再生に寄与していきたいと思っ え 群落 として 持続 してきたものです。 つまり、 ミネラルを 含 むようになり 、豊富 な 栄養素 を 含 づくりのための 素材 となります。 すべてが 堆肥 ています」 これらの 緑 は 石油・石炭 などの 化石燃料 や 化学 んだ 水 として 川 に 戻っていきます。自然 のフィ などとして 森 づくりに 活用 することができます 。 肥料がなかった時代に、あくまでも人間が肥料、 ルターを 通った 水 は、川 だけでなく 豊 かな 海 の 地球上に存在する多くのいのちはこうした 生き 飼料、燃料、建築材 などの 資源 として 利用 す 生態系 の 形成 にも 貢献 します。 すべての 生態系 た素材 の循環の中で守られているのです。 るために管理してきた人工林なんです。 の 基本 となるのが 水 であり、自然 の 水 の 質 を 左 て 整備 されたもので、 その 土地本来 の 姿 ではあ りません。 また、日本 の 原風景 と 思 われている 里山 も もちろん、人 の 手 によって 造 られる 緑 や 景観 6 環境を守ることはいのちを守る こと ▲ 写真 ケニアの植樹祭 「水源林 の 保全 も 非常 に 重要 な 取 り 組 みです。 かんよう 右するのが森であると私は思っています。 ― 本日はありがとうございました。 日本 は 自然豊 かな 美 しい 国 です。 しかし、同 時に大地震や大津波、 台風、 洪水、 土砂災害など、 が 悪 いというわけではありません。都市公園 の その点からも、水源地域にこそ本物の いのち 自然災害 も 極 めて 多 い 国 です。東日本大震災 を 中 や 地域 の 散策 の 場 としては、数百年前 から 人 と、いのちをつなぐ水を守る森 を作るべきです。 教訓として、いまやるべきことは国民と国土、そ (※)密度効果とは、個体群の密度が及ぼす成長率などへ の影響のこと。空間や資源には限りがあることから、最初 のうちは個体数が増えるが、やがて淘汰され横ばいとなっ ていく。 anagement M izu vol.24 7 Fea ture Ar ticle Fea ture Ar ticl e 特集 特集 ~兵庫県の場 合~ 近年増加する大雨。ひとたび大雨が降ると、土砂崩れや浸水などにより多大な被害が発生 します。これまでの治水対策は、河川整備や下水道整備を中心に進められてきましたが、近 年では短時間に集中的に降る大雨が増えており、従来の対策のみでは対応が難しくなって きています。そこで、注目されているのが“総合治水”という考え方です。今回は、総合 兵庫県 は 自然災害 が 多 く 発生 する 地域 で 、近 います 。 このうち 、 『 ながす 』対策 では 、河川整備計画 や 下水道整備計画 に 基 づき 、引 き 続 き 効率的 な 治水対策 を 進 めています 。 また 、 『 ためる 』 対策 では 、県立高校 や 大学、県内 の 小中学校 の 兵庫県県土整備部 土木局総合治水課 副課長 グラウンドなどを 活用 した 校庭貯留 や 、田 ん 前川 広治氏 ぼから 水路 への 流出量 を 抑制 する 堰板 を 活用 民 の 協働 による 総合治水 の 取 り 組 みがスター した 田 んぼダム 、ため 池 の 放流口 を 改造 し 水 トしました 。 位調整 を 行 う ため 池 の 治水活用 、市町補助 校庭や田んぼ、ため池を 活用した雨水貯留 金 などにより 公共施設 や 一般家庭 への 雨水貯 留 タンクの 設置 を 促進 する 各戸貯留 などの 取 り 組 みを 進 めています 。 校庭貯留 は 、グラウンドなどの 周囲 にコン 総合治水条例 は 、①総合治水 の 基本理念 を 明 クリートの 壁 を 設置 して 、一時的 に 雨水 を 貯 め らかにする ②総合治水 に 関 するあらゆる 施策 を るというものです 。1件 ごとの 貯留量 は 大 きく 定 める ③県、市町、県民 が 協働 して 総合治水 を ありませんが 、多 くの 施設 で 実施 することで 全 ケースもあります 。単 に 生活 の 利便性 を 追求 す 推進 する ―― の 3 項目 を 目的 としています 。 こ 体 として 大 きな 効果 を 得 ることができます 。一 るだけではなく 、 リスク 対策 も 併 せて 考慮 する のうち 、③ については 主体 ごとの 役割 も 明確化 方、 「翌日 の 校庭利用 に 影響 するのではという 必要 があると 考 えています 」と 語 っています 。 しており 、県 と 市町 は 施策 の 策定・実施 を 担 い 、 意見 もあり 、利便性 と 防災 のバランスが 今後 の 県民 は 雨水貯留、災害 への 備 え 、施策 への 協力 課題」 (前川副課長)としています 。 治水に先進的に取り組んでいる兵庫県の取り組みを紹介します。 増加する大雨・台風被害 『ながす』 『ためる』 『 そなえる』で防災・減災を推進 ス に よ り 効果的 な 対策 を 実施 す る こ と と し て 『ながす』 『 ためる』 『 そなえる』で防災・減災を推進 大雨対策へ協働で 進める“総合治水” 大雨対策へ協働で進める“総合治水” 年 も 大雨 や 台風 により 、浸水 や 土砂崩 れなどの 兵庫県 における 主 な 大雨 の 被害 を 見 ると 、平 被害 を 多 く 受 けています 。兵庫県 における 自然 成 16 年 の 台風第 23 号 では 豪雨 による 浸水被 などを 行 うこととしています 。 災害 の 状況 について 、兵庫県県土整備部土木局 害 や 土砂災害 に 加 えて 、ため 池決壊 による 連鎖 対策 の 実施 にあたっては 、 総合治水課 の 前川広治副課長 は「兵庫県 は 災害 的 な 被害、山林 の 荒廃 や 人工林等 に 起因 する (1)『ながす』 (河川・下水道対策) 増 やします 。県 では 、この 田 んぼダム の 推進 が 多 く 、 この 10 年 を 振 り 返 ってみても 大型台 風倒木被害 が 発生 し 、約 7,900 棟 の 住宅 が 全 (2)『ためる』 (流域対策) に 向 けて 、 『 セキ 板 1,000 枚配布大作戦』を 実 風 などによる浸水被害 が多発 しています 。また 、 壊 または 半壊、床上・床下浸水 による 被害 は 1 (3)『そなえる』 (減災対策) 施 しました 。 「 この 取 り 組 みは 、水田所有者 の もともと 浸水 が 発生 しやすい 地域 において 都市 万棟 を 超 えました 。 また 、平成 23 年 の 台風第 開発 が 進 んだ 結果、被害 が 拡大 しているような 12 号 では 、県内 にある 152 ヵ 所 の 観測所 のう また 、 田 んぼダム では 堰板 を 用 いることで 、 田 んぼの 水位 をより 高水位 に 設定 し 、貯留量 を の 3 つ の 柱 を 設定 し 、 こ れ ら の ベ ス ト ミ ッ ク ち 47 ヵ 所 で観測史上最大 の雨量 となりました 。 心意気 による 部分 が 大 きいので 、推進 のために ▼ 写真 校庭貯留(県立宝塚東高校) これにより 、住宅開発 が 進 んでいた 下流域 を 中 心 に 、約 7,600 棟 が 床上・床下浸水 の 被害 を 受 けました 。 こうした 状況 のなか 、兵庫県 では 平成 21 年 度 から 総合治水 の 条例化 を 目指 した 検討 を 開始 しました 。先行 して 進 められていた 武庫 川流域 の 取 り 組 みも 参考 に 、平成 24 年 4 月 1 日 には『総合治水条例』を 施行 し 、県、市町、県 ◀ 写真 平成21 年の台風第9 号による浸水被害の様子(佐用町) 8 平常時 大雨 時 anagement M izu vol.24 9 Fea ture Ar ticl e 特集 『ながす』 『ためる』 『 そなえる』で防災・減災を推進 こうした 普及・啓発活動 の 成果 が 徐々 に 出 輪中堤 整備イメージ 始 めており 、県民 に 対 して 実施 したア ン ケー ト 調 査 の 結 果 を 見 る と 、 平 成 25 年 度 に は 床上浸水の解消 輪中堤 大雨対策へ協働で進める“総合治水” 34 . 1 % だ っ た『総合治水』の 認知度(「内容 も 含 め 知 っ て い る 」+「言 葉 は 見 聞 き し た こ と 輪中堤 があるが 、内容 は 知 らない 」の 合計)が 、平成 26 年度 には 62 . 1 % と 大幅 に 増加 しています 。 集落 一時的な湛水 堤防 河川 地 域 特 性 に 応じ た『 地 域 総 合 治水推進計画 』を策定 ▲ 図 イメージアップキャラクター の雨水をためる 「はばタン」 『 ながす 』『 ためる 』『 そなえる 』の 3 本柱 を 全 を 盛 り 込 んでいる 地域 もあります 。森林 を 基本方針 として 、地域特性 に 応 じた 効果的 な 健全 に 保 つことにより 、森林 およびその 土壌 かんよう 大作戦 と 題 して 無料配布 を 行 いましたが 、予 低地 の 住宅 の 周囲 を 囲 むように 設置 する 防水 対 策 を 構 築 す る た め に 、 県 内 を 11 地 域 に 分 中 に 雨水 を 涵 養 して 河川 への 流出量 を 平準化 想以上 の 反響 があり 、結果的 には 堰板 4,000 壁 輪中堤 の 設置 や 、浸水防止壁 や 止水板等 け 、 そ れ ぞ れ の 地域 で『地域総合治水推進計 し 、降雨時 の 河川水量 の 増加 を 抑制 すること 枚 を 配布 し 、約 1,000 ヘクタールが 田 んぼダム による 医療機関 など 重要施設 の 耐水化、洪水 画』も 策 定 し て い ま す 。 計 画 の 策 定 に あ た っ ができます 。 として 機能 しています 」 (前同課・石原純主査) や 津波、土砂災害 などに 関 する 被害想定 を 示 ては 、 協働 の 観点 から 県民、学識者、行政 地 域 総 合 治 水 推 進 計 画 に つ い て は 、「推 進 と 成果 を 語 っています 。 そのほか 、兵庫県 は 全 した 兵庫県 CG ハザードマップ の 公開、県内 か ら な る『地 域 総 合 治 水 推 進 協 議 会』を 設 置 協議会 などを 通 して 今後 も 継続 して 議論 を 行 国一 のため 池保有数 を 誇 ることから 、ため 池 を 93 河川、124 カ 所 に 設置 した 河川監視 カメラ し 、各主体 の 意見 を 取 りまとめています 。 い 、内容 に 厚 みをもたせていきたいと 考 えて 活用 した 治水 などにも 取 り 組 んでいます 。 の 映像 の 公開 などの 情報提供 に 努 めています 。 “減災” 推 進 へ 情 報 共 有や 啓発事業も 近年 の 大雨 は 、短時間 に 予想 を 大 きく 超 え 計画 では 、地域性 を 考慮 した 対策 の 具体化 こうした 情報 をもとに 、市町 でも 防災訓練 や に 向 けて 、 モ デ ル 地区 やモ デ ル 施策 も 設定 し 防災学習 を 実施 しており 、 『 そなえる 』対策 の ています 。例 えば 、 モ デ ル 施策 として 森林保 います 。 モ デ ル 施策 の 状況 なども 踏 まえなが ら、 計画 をブラッシュアップしていく 方針 です 」 (前同課・山田真太郎主査)と 語 っています 。 実践 に 向 けた 準備 も 各地 で 進 められています 。 さらに 、県民 の 意識啓発 や 対策 の 普及 に 向 け た 出 前 講 座 や PR 展 示 も 実 施 し て い ま す 。 る 雨量 に 達 するため 、浸水 を 防 ぐ 防災 だけで 出前講座 では 、神戸大学 の 学生 と 共同 で 製作 なく 、被害 を 最小限 に 抑 える 減災 の 視点 も した 模型 を 使 って 実験 を 行 い 、校庭貯留 の 仕 重要 になります 。そこで 、 『 そなえる 』 対策 では 、 組 みや 、通常 のア ス ファル ト 舗装 と 透水性 ア 《私立佐用中央病院の耐水化(佐用町)》 ス ファル ト 舗装 の 雨水 のしみこみ 方 の 違 いな ど 、流域対策 に 関 する 情報共有 のための 体感 型 の 授業 を 行 っています 。また 、 兵庫県 のキャ ▲ 写真 建物内にアルミ止水板 ラ ク ター はばタ ン を 活用 した 普及啓発活動 に 加 え 、県内 の 工業高校 や 高専 と 協働 し 、学 生 が 総合治水 に 関 する 学習 の 過程 で 製作 した 模型 などを 、県内 のイベントで 展示 するといっ た 取 り 組 みも 実施 しています 。 ◀ 写真 出前講座の様子 10 ▲ 写真 私立佐用中央病院の高さ1.2 mの門扉 ▲ 写真 病院入り口に止水板を設置 anagement M izu vol.24 11 兵庫県県土整備部 土木局総合治水課 兵庫県県土整備部 土木局総合治水課 石原 純氏 主査 水攻めも凌ぐ難攻不落の “忍の浮き城” 主査 (当時) 『総合治水』 実践のカギは “協働” 山田 真太郎氏 おしじょう 埼玉県行田市 忍 城 (当時) います 」 (前川副課長) 協働 とは 、地域 のあらゆる 主体 が 相互連携 う埼玉(さきたま)は現在の行田市にある地名で、 流通の拠点として栄えた水郷 利根川水運 の 船着場 である 埼玉 の 津 もこの 地 に 総合治水 の 取 り 組 みを 進 めていくうえで 特 に して 主体的 に 取 り 組 んでいくことを 意味 する 言 埼玉県行田市 には、関東七名城 のひとつに 数 重視 していることについて 、前川副課長 は「総 葉 です 。現代社会 では 地域 のコミュニケーショ えられた「忍城」があります。映画 にもなった 小 合治水 は 県内全体 の 取 り 組 みであり 、行政 の 押 ンが 希薄 となってきており 、相互連携 の 機会 も 説『のぼうの 城』の 舞台となった 城 で、江戸時代 し 付 けでは 進 みません 」としています 。 減少 していますが 、 協働 が求 められる 総合治水 には 松平氏 や 阿部氏 など 江戸幕府 の 要人 が 治 の取 り組 みが 、 地域 のコミュニティを見直 すきっ め、城主の多くが老中となったことから『老中の かけとなるかもしれません 。 城』とも 呼 ばれました。明治維新後 の 廃藩置県 小田原征伐の際 に伴い解体されましたが、昭和 63 年に復元され には、北条勢の拠 た 土塀、土塁、御三階櫓(実質的 な 天守)から、 点として石田三成 当時の姿の一部をうかがうことができます。 の率いる豊臣の軍 ため池 の所有者、 「学校 の管理者 や水田、 企業、 なにより 県民 の 理解、 協力 が 不可欠 です 。また 、 パンフレットの 作成・配布 など 民間企業 にも 協 * 力 を 呼 びかけています 。産官学民 あらゆる 主体 * * 取材協力:兵庫県県土整備部土木局総合治水課 が 、 協働 の 理念 の 下 で 積極的 に 取 り 組 んで いくことで 、 はじめて 実現 するものだと 思 って 《地域総合治水推進計画の計画地域》 ⑪ 淡路島 ⑩ 計画地域の名称、地域に属する代表的な河川及び市町 ⑧ ⑤ ② ④ ③ ① 全国制覇を目指す豊臣秀吉が北条氏を攻めた 勢に攻め込まれま めていた成田氏によって築城されたとされていま した。小説『 のぼ す。利根川 の 水運 の 拠点 でもあり、上杉氏 と 北 うの 城』ではこの 条氏 の 勢力圏 が 重 なる 地域 だったため、低湿地 合戦 の 様子 を 綴っていますが、豊臣勢 は 地形 を の 沼沢 を 濠 とし、 その 中 に 浮 かんだ 島 を 曲輪 と 考慮 し、堤 を 築 いて 利根川 や 荒川 の 水 を 引 き 入 して 利用 して 築 かれた 堅城 でした。 その 風景 を れ、忍城を水攻めにします。全長 28 ㎞に及ぶ堤 室町時代 の 連歌師 の 大家 である 宗長 は、 「水郷 は、自然堤防 や 微高地 をつなぎ 合 わせて 約 1 週 也。館のめくり四方沼水幾重ともなく蘆の霜かれ。 間で造り上げられたとされています。 ▲ 写真 石田堤は全長28kmに及んだとされ ています 廿餘町四方へかけて、水鳥おほく見えわたりたる ② 阪神西部 武庫川(尼崎市、西宮市他) さまなるべし」 (城の四方は沼にかこまれていて、 れています。自然堤防 より 1∼2m ほどの 高 さの ③ 神戸 新湊川(神戸市) 霜で枯れた葦が幾重にもかさなり、水鳥が多く見 堤防 でわずか 250m ほどですが、当時 の 様子 を ④ 神明 明石川(神戸市、明石市) え、まことに水郷である)と評しています。 伝えています。 東播磨・ 北播磨・丹波 加古川(加古川市、西脇市他) 市川(姫路市、市川町他) また、 この 地 は 古 くから 物流 の 拠点 として 栄 なお、市内に堤の一部が『石田堤』として残さ 忍城は、日本三大水攻め(忍城、高松城・岡山県、 え、万葉集にも「埼玉の 小埼の沼に 鴨ぞ翼きる 太田城・和歌山県)の一つに数えられるこの激戦 ⑦ 西播磨東部 揖保川(たつの市、宍粟市他) 己が尾に 零り置 に耐え、寄せ手の豊臣勢から「この城は水に浮く ⑧ 西播磨西部 千種川(赤穂市、佐用町他) ける 霜 を 掃 ふと と恐れられ、 忍の浮き城 と称されたという のか」 にあらし」という 逸話も残されています。豊臣勢の猛攻に耐え、小 歌が詠まれてい 田原城の落城まで持ちこたえましたが、北条氏の ま す。 こ こ で い 敗北とともに開城し、豊臣勢に引き渡されました。 ⑨ 但馬 円山川(豊岡市、養父市他) ⑩ 丹波東部 竹田川(篠山市、丹波市) ⑪ 淡路 三原川(洲本市、淡路市他) ▲ 写真 堤跡は公園や土手となっています 12 市内に残る『石田堤』 猪名川(尼崎市、伊丹市他) ⑥ 中播 磨 ⑥ 由来になったという説もあります。 ① 阪神東部 ⑤ ⑦ ありました。なお、ここが現在の埼玉県の名前の 忍城は文明 10(1478)年ごろに、この地を治 くるわ ⑨ ▲ 写真 復元された忍城御三階櫓 anagement M izu vol.24 13 柏市における 下水道事業のPRについて 千葉県柏市下水道整備課 海田 悠作 氏 4. 見学会の開催 私 が 担当 しているシールド 工事 柏市 において 土木技師 が 所属 する 主 な 部署 に 2.下水道事業のPRの必要性について い 方々の 参加 をいただき 、盛況 のうちに 終 える ことができました 。 は 3 カ 年継続事業で 柏市 の 中 でも 規模 の 大 きな 工事 であり、多額 の 費用 がかかってい 1. 下水道事業との出会い 実際 には 我々 の 予想 を 遥 かに 上回 る 100 名近 ます。しかし、 施工現場は地中や建屋の中であり、 5. 今後の課題 周囲 からはどのような 工事 が 行 われているのか 多 くの 市民 にとって 、地下 にあり 目 に 見 えな をうかがい 知 ることができません。 この 工事 に 見学会 の 様子 は NHK の 他 にも 地元 のチバテ は 、土木部 の 他 に 水道部 や 都市部 があります 。 い 下水道 の 事業 は 認識 しにくい 存在 です 。市 で 限らず、 工事の施工にあたっては地元住民の方々 レビや 新聞 にも 取 り 上 げられ 、我々の 予想 して 大学 では 景観 などのまちづくりを 専攻 していた はこれまでもホームページや 広報誌等 で 事業内 の 理解 と 協力 が 不可欠 です。 そのようなことか いた 以上 の 大 きな 効果 があったのではないかと 私 は 、平成 23 年 に 土木技師 として 柏市 に 入庁 容 を 公表 するなどしてきましたが 、市民 に 対 し ら、 本工事の見学会を開催することとなりました 。 思 います 。 また 、検討部会 で 作成 したハザード し 、下水道整備課 に 配属 されました 。当時 は 何 て十分 に周知 されているとは言 えない状況 です 。 見学会 は 市職員 が 作成 した 動画 を 用 いて 浸水 マップを 兼 ねた 浸水対策 のパンフレットは 人気 の 知識 もない 下水道部署 で 働 くというイメージ 一方、下水道事業 には 多額 の 費用 を 要 するこ 対策 などの 柏市 の 取 り 組 みを 紹介 した 後、実際 が 高 く 、見学会 に 合 わせて 2度目 の 増刷 をしま がなかなか 掴 めず 不安 な 状態 だったことを 覚 え とや 、近年 ではゲリラ 豪雨等 による 浸水対策(雨 に 施工中 の 雨水管内 へ 入っていただくという 普 した 。 ています 。 それでも 、先輩 や 上司 の 方々に 教 わ 水処理)にも 注目 が 集 まるようになってきたこ 段 は 経験 できないことを 体験 していただく 内容 りながら 日々の 業務 をこなしていくうちに 、 そ ともあり 、費用負担者 である 市民 の 方々に 下水 としました。 ういった 不安 も 薄 れていきました 。 道事業 に 対 する 理解 を 深 めていただくことがよ 柏市 の 下水道事業 は 市 の 事業 の 中 でも 大 き な 事業 となっており 、入庁 5 年目 の 私 は 未普及 地域 の 下水道管布設工事 の 他 に 、老朽化 した 管 の 改築工事 や 大口径 の 雨水管 シールド 工事 も 担当 しています 。 り 一層重要 となってきています 。 3. PR検討部会の立ち上げ 柏市 では 、下水道事業 の PR の 必要性 は 認識 しているものの 、具体的 な PR活動 があまり 行 われておらず 、また 、どのようにすればよいかも 午前 は 水 の 循環 に 関 する 授業 の 一環 として 地 一方、柏市 の 下水道事業 の PR ではインター ネットの 活用 などが 依然 として 検討課題 となっ ています 。 元 の 小学 4 年生 90 人程 を 招 きました。土砂運 こういった 下水道事業 の PR活動 は 、設計 や 搬用 の 台車 を 人 が 乗 れるように 改造 し、1 クラ 工事 といった 従来 の 下水道業務 とは 趣 が 異 なる ス 2 班 に 分 かれて 雨水管 の 内部 を 探検 してもら こともあり 、優先 して 取 り 組 むことが 難 しいの い、記念 に 雨水管 の 内面 に 落書 きをしてもらい が 現状 ですが 、 より 伝 わりやすい 広報手段 の 検 ました。 この 様子 は NHK のニュースでも 放映 討 など 、限 られた 予算 の 中 で 工夫 しながら 下水 され、子供 たちには 良 い 思 い 出 となったのでは 道 の 見 える 化 を 進 め 、市民 にとって 身近 な 下水 ないかと思います。 道 を 目指 していきたいと 思 います 。 また 、午後 は 地元 の 3 町会 を 対象 としました 。 分 からないような 状況 にありました 。 そのよう 見学会 の 案内 は 町会 の 回覧 や 掲示板 で 行 い 、ど な 状況 を 踏 まえ 、平成 25 年度 に 市 の 職員提案 れだけの 人 が 集 まるのか 不安 もありましたが 、 * * * 制度 を 活用 し 、下水道 に 関 する 3 課 1 室 の 若手 職員 による PR検討部会 を 立 ち 上 げて 、下水道 事業 の PR に 取 り 組 むこととなり 、私 もそのメ ンバーに 選 ばれました 。 PR検討部会 では 、汚水管 の 普及率 などの データを 更新 するだけになっていた 広報誌 の 刷 新 や 、 メンバーのデザインによるキャラクター 作成 などを 行 いました 。 柏市下水道キャラクター れんこちゃん ▲ 写真 小学四年生90 人が雨水管の内部を探検 14 anagement M izu vol.24 15 水道事業におけるアセットマネジメント 注目される上下水道 アセットマネジメント 「今後必要な施設更新費用」 と 更新需要の平準化 「施設更新への投資可能額」 の 比 較 金額 近年、道路や橋梁など社会インフラの老朽化問題が注目されていますが、上下水道施設におい ても耐用年数を超過した老朽化施設が増加傾向にあります。これらを放置してしまうと施設機 能の突然停止や管路施設の破損などのリスクが高まるため、施設を適切に改築・更新していく 耐震化を伴う 更新の前倒し等 更新需要に 対応できない 10年後 20年後 30年後 健全施設の 供用延長等 金額 今後必要な施設更新費用 施設更新への投資可能額 現在 持続可能な事業運営へ 金額 料金改訂等により、 財源の確保の検討 40年後までに○○億円が必要 40年後 現在 10年後 20年後 必要がありますが、改築・更新需要の集中による施設運用への支障や財政負担が懸念されてい 30年後 40年後 施設の統廃合、ダウン サイジング等により、 更新費用の削減の検討 現在 10年後 20年後 30年後 40年後 全国水道関係担当者会議資料より作成 ます。そこで、処理機能を維持しながら改築・更新の平準化を図るため、施設の長寿命化も含 めた事業全体のより効率的なマネジメント(管理)手法の確立が求められており、人・モノ・ カネの一体的な管理が可能なアセットマネジメントが注目されています。 更新ピークに備え、 求められる 効率化 が 増加 する 見込 みで、平成 37 年 には 必要 な 更新 に 対 する 投資額 が 不足 し 始 めるとの 見通 などを行い、それをもとに 今後必要な施設更 の 進展 により 使用料収入 は 減少傾向 にあり、 新費用 と 施設更新 への 投資可能額 の 長期 これからの 上下水道事業 の 運営 には 財政的 な 的 な 比較 を 行 います。次 に、耐震化 を 伴 う 更 効率化が求められています。 新 の 前倒 しや 健全施設 の 長寿命化 など、施設 また、上下水道 ストックが 増大 する 一方、 運営 とリスクを 踏 まえた 優先順位 に 基 づき 更 しもあります。また、法定耐用年数が 40 年と 管理 する 地方公共団体 の 職員数 は 減少 して 新需要 を 平準化 し、 そのうえで 料金改定 など 国土交通省 の 発表 によると、平成 25 年度 される 水道管路 については、高度経済成長期 います。総務省 の 統計 によると、平成 26 年 による 財源 の 確保 や 施設 の 統廃合、 ダウンサ 末現在で下水管路延長は約 46 万 km、下水処 に 整備 された 施設 の 更新 が 進 んでおらず、平 に お け る 水 道 事 業 の 職 員 数 は 4 万 5,029 人 イジングなどによる 更新費用 の 削減 の 検討 を 理場数 は 約 2,200ヵ所 に 達 しています。 この 成 25 年度 の 管路更新率 0.79% に 基 づく 単純 で、20 年 前(平 成 6 年)と 比 べ て 2 万 5,883 行うことで、長期的な更新計画を策定します。 うち、耐用年数が 15 年とされている処理施設 計算 では、 すべての 管路 の 更新 には 約 130 年 人(36.5%)減少 しています。同様 に、下水 これらの 取 り 組 みには、時間 と 労力 がかか やポンプ場などの機械・電気設備については、 を要するという試算も出されています。 道 事 業 で も 2 万 7,606 人 と 同 1 万 4,269 人 るため、厚生労働省 では 検討体制 を 構築 しに 約 6 割 が 耐用年数 を 超過 した 老朽化施設 と こうした 状況 を 受 けて、施設 の 改築・更新 (34.1%)減 となっています。 こうした 状況 の くい 中小規模 の 事業体 などを 主 な 対象 とした なっています。 また、50 年 と 比較的耐用年 は 急務 とされていますが、財政的 な 制約 があ 中 で、上下水道事業 を 安定的 に 運営 していく 水道 アセットマネジメントの『簡易支援 ツー 数が 長 い 下水管路施設では、老朽化施設は 約 ります。上下水道 ともに、事業運営 は 使用料 ためには、 人的な効率化も求められており、 人・ ル』を作成、提供しています。これにより、建 2%にとどまっていますが、今後は老朽化施設 収入による独立採算制を原則としていますが、 モノ・ カネの 一体的 な 管理 が 可能 とされるア 設改良費の経年実績や最新年度の決算など取 の急激な増加が見込まれています。 水道 では 料金収入 の 不足 により、老朽化施設 セットマネジメントへの注目が高まっています。 り扱いやすいデータを用いた検討から着手し、 水道事業 でも 同様 の 傾向 にあり、厚生労働 の 更新 や 耐震化 の 推進 が 滞っている 事業体 も 省 によると 平成 50 年頃 をピークに 更新需要 多 いとされています。 また、下水道 では 平成 23 年 度 の 経 費 水道・下水道分野の職員数の増減 区分 昭和50年 昭和58年 昭和63年 平成6年 平成26年 平成6年との比較 増減数 増減率 水道 76,033 75,129 72,042 70,912 45,029 ▲25,883 ▲36.5% 下水道 24,366 32,294 35,418 41,875 27,606 ▲14,269 ▲34.1% 注)・各年4月1日の職員数。 ・昭和50年が定員管理調査の開始年。 徐々にデータ 量 を 増 やすことで 計画 の 精度 を 簡易支援ツールや試行認証事業も 上 げていくという 段階的 なアセットマネジメ ントの構築を支援しています。 回収率(使用料 アセッ 水道事業を所管する厚生労働省では、 国土交通省 では、下水道 アセットマネジメ 収入÷汚水処 トマネジメントを「中長期的な視点に立ち、水 ントを「人・ モノ・ カネが 一体 となった 事業 理量)が約 77% 道施設 のライフサイクル 全体 にわたって 効率 管理手法」と定義しています。具体的には、ア と、不足分を一 的 かつ 効果的 に 水道施設 を 管理運営 する 体系 セットマネジメントは下水道施設(モノ)の運 般会計繰入金 化された実践活動」と定義しています。 営に要する費用の最小化や財源の確保(カネ) で 補っている 状 総務省「地方公共団体定員管理調査結果」より作成 16 さらに、上下水道 ともに、人口減少 や 節水 況です。 具体的 には、資産・施設台帳 や 維持・管理 を 検討 したうえで、人員 の 投入 や 民間委託 の 台帳 など 必要 な 情報 の 整備・ データベース 化 を確保し、 活用など必要な体制 (人) 良好なサー anagement M izu vol.24 17 ビスを 継続的 に 提供 するための 事業運営手法 であり、 この 導入促進 により 経営的視点 を 含 んだ 施設管理 の 最適化 の 実現 を 目指 すとして ISO55001におけるマネジメントシステムの構造 水防法、 下水道法などを改正 計画 Plan また、国土交通省 ではアセットマネジメン に 発行 したアセットマネジメントに 関 する 国 際規格 である ISO55001 の 普及 を 促進 する 方 針 も 打 ち 出 しており、ISO55001 認証取得 の 組みも進めています。 組 織・ 事 業 改 善 へ キーワードは“継続性” ISO55001 は、上下水道だけでなく、道路や 橋梁、鉄道、電力 など 様々なインフラに 適用 下水道法の一部改正を含む「水防法等の一部を改正 リーダーシップ 計 画 する法律」が成立し、平成 27 年 5 月 20 日に公布され 支 援 実行 Do 下水道法の改正では、民間施設を活用した内水対策 水貯留施設の整備を促進し、所有者との協定に基づき 下水道管理者が管理する制度を創設します。また、雨 運 用 水排除に特化した「雨水公共下水道」の新設により雨 水対策を強化します。さらに、下水道の維持修繕基準 点検 Check パフォーマンス評価 の創設や、事業計画の記載事項への点検の方法・頻度 の追加など、計画的な維持・管理も推進します。 水防法の改正では、これまで河川整備における基本 降雨量をもとに設定していた浸水想定区域を、想定し 改善 Action 得る最大規模の洪水を前提とした想定区域とすること 改 善 で、避難体制等の強化を図ります。 国土交通省「下水道分野におけるISO55001適用ユーザーズ ガイド」より作成 日本の水道水がモンドセレクションで受賞 福島市など 認証 と い う 位置付 け で す が 、国内 に お い て モンドセレクション 2015 で金賞以上を受賞しました。 ム(AMS)を 構築 することで、現場 レベルでの は 、平成27年5月現在 で 国土交通省 の 試行認 受賞したのは、 『ふくしまの水』 (福島市) 、 『とやまの水』 PDCA に加えて、事業全体の PDCA サイクルを 証事業 の 3 件 を 含 め て 9 件 が 認証 さ れ て い ま 回 し、組織 や 事業 の 内部改善 を 通 して持続的 す。一般的には、プライベート認証が一定数 な事業運営を図っていくというものです。 に達した段階で認定機関による「認定」活動 具体的 な 実施内容 としては、組織 の 事業目 が開始されるとされており、今後の認証数が 標 と 整合 したアセットマネジメントの 方針 お 増加 す れ ば 認定活動 が 開始 さ れ る 見通 し と よび 目的 の 策定、施設・設備 や 経営状態 など なっています。 に 関 するデータベースの 作成、事業運営 に 関 国土交通省 の 試行認証事業 を 活用 して 下 するリスクアセスメントの実施、リスクアセス 水道事業 の 認証 を 取得 した 仙台市 では、 「組 メントを 反映 したアセットマネジメント 計画 織の問題は、計画の策定や AMS の導入によっ の策定、 および評価などが挙げられます。 実行、 て 解決 できるものではなく、改善 し 続 けるた これらを 基盤 に、持続的 な 改善 を 通 して、 ア めの 仕組 みを 作 る 必要 がある」としています。 セットマネジメントの効率化、高精度化を図っ 持続可能な 上下水道事業の 実現に 向 けて、 ア ていきます。 セットマネジメントなどを 通 した 継続性 のあ 機関による 認証機関の「認定」が 行 われていま せん。現 在 、認 証 機 関 に よ る プ ラ イ ベ ー ト ました。それによると、官民連携の状況については「個 別委託」が 65.2%と多数を占め、次いで「実施してい ない」 (18.5%) 、 「第三者委託」 (9.7%)となっています。 なお、包括委託やDBM(デザイン・ビルド・メンテナ ンス)を含む「その他」は約4%となりました。 また、 今後 の予定では、 「 検 討の予定は無い」 が 59.7%と過半数を占め、 「個別委託」 (18.2%) 、 「第三者 委託」 (9.7%) 、 「その他」 (7.2%)と続いています。なお 「その他」の多くは、包括委託が占めています。 現在の状況、今後の予定ともに、責任も含めて委託 する「第三者委託」よりも事業体が責任を有する「個別 委託」のニーズが高くなっています。 「品川シーズンテラス」 がグランドオープン 芝浦水再生センター 東京都では、東京都品川区のビジネスエリアに位置 を実施しており、第 1 期事業として雨天時貯留池を整備 しました。一方、このエリアは都の環境モデル都市形成 の拠 点エリアでもあり、 日本の水道水を詰めたペットボトル水が、相次いで 規格 に 基 づき、 アセットマネジメントシステ ISO55001 は 新 しい 規格 であり、 まだ 認定 に関するアンケート調査を実施し、その結果を公表し する「芝浦水再生センター」の老朽化に伴う再構築事業 されるアセットマネジメントの国際規格です。 18 ました。 の推進に向けて、国庫補助や税制優遇により民間の雨 ためのユーザーズガイドの作成や、 「下水道分 野 における ISO55001 試行認証」などの 取 り 国土交通省 組織の状況 います。 トの 取 り 組 み 拡大 に 向 けて、平成 26 年 1 月 ネット 探 訪 * * 部空間も 「環境への配慮」 や「安全・安心」をテー (富山市) 、 『たかおかの水』 (富山県高岡市) 、 『縁の水』 マとした有効利用方法が (島根県松江市)などです。このうち、 『とやまの水』 が最高金賞、ほか 3 点が金賞を受賞しました。 福島市の小林香市長は、 「国際的な第三者機関でこの ような高い評価を受けたことは、 風評被害を払拭する上でも大変 うれしい。今後、イベントなどで 積極的に活用し、福島の水の安 ▲ 受賞したペットボトル水 「ふくしまの水」 全性とおいしさを PR していきた い」と受賞の喜びを語っています。 官民連携 「検討の予定無し」 が過半数 厚生労働省 厚生労働省は、新水道ビジョンの実現に向けて、水 道事業体などを対象とした官民連携や広域化等の推進 る取り組みの実施が求められています。 * 芝浦水再生センターの上 編 集 後 記 ▲ 雨天時貯水池の上に建つ 「品川シーズンテラス」 検討されてきました。 そして、 5 月 28 日にグラ ンドオープンを迎えたのが「品川シーズンテラス」です。 これは、雨天時貯水池の上部空間に建てられたオフィス ・商業施設で、約 20 件の店舗やオフィスエリアで構成 されています。“エコロジカル・インフラ” をテーマに、 環境に配慮した太陽光採光システムや太陽光発電など 『光』の活用、外気を利用した空調や夜間の冷たい空 気を利用する冷房システ ムなど『風』の活用、そ して再生水や下水熱など の『水』の活用といった 最先 端の環境技術を備 えています。 ▲ 水処理施設も隣接している 発行が滞っており、 誠に申し訳ありません。 深くお詫び申し上げます。 読者の皆さまに役立つ情報の提供を目指して、 定期的 に発行して参りますので、 今後ともご愛読いただければ幸いです。 さて、「水防法等の一部を改正する法律」 が成立するなど、 水分野においても危機管理の強化が大きな課題とされています。 気候変動や人口減少など事業環境が変わりつつある中、 事業運営におけるリスク管理のあり方も“変化”しており、 安定的な水 インフラの運営には、こうした“変化”への対応力も求められるようになってきています。 (編集室・宮坂智博) anagement M izu vol.24 19 24 Vol. July 2015 2015 年 7 月 30 日発行 編集: [水マネジメント]編集室 発行・制作:株式会社ウォーターエージェンシー 発行責任者:榊原 秀明 〒 162- 0813 東京都新宿区東五軒町 3 -25 TEL:03 - 3267- 4005 Email:[email protected] URL:http://www.mizu-management.jp/ 本誌は再生紙を使用しております。
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