「お客さまの感動のために」 地域になくてはならない会社になる

アイ・ケイ・ケイ 株式会社
【 婚礼事業 】/佐賀県
「お客さまの感動のために」
地域になくてはならない会社になる
自分たちの想いを明文化する
集団の変化は、そこから始まった
反復により、社員が自分たちの言葉で
経営理念を語れるようになる
アイ・ケイ・ケイ株式会社は、1995年に佐賀県伊万里市
経営理念の共有の場として、同社では毎日、朝礼・昼
で創業。2000年から、
ゲストハウス型の婚礼サービスを展
礼・終礼があり、経営理念の項目に沿った具体的な行動
開し、成長を続けている。現在、北陸や東北などの地方都
をスタッフが発表する。繰り返し話すことで、社員一人ひと
正社員は、業績への貢献と経営理念に沿った行動、
それ
顧客の声の収集は、披露宴出席者全員に配布される
市を中心に、14都市16店舗を展開。
自然と調和した大邸
りが自分の言葉で経営理念を語れるようになる。経営理
ぞれで活躍したと思う社員をピックアップし、評価とその理
アンケートによる。お褒めの言葉があれば、店舗全員に共
宅をコンセプトとし、すべての施設が異なるテーマで設計
念の内容についても、毎年社員の声を吸い上げ、意見を
由を提出し、順位付けをする。
またサービススタッフの人
有され、
クレームがあれば、即経営会議に掛けられ、1週
されており、
日常から離れた別世界を演出している。2013
反映させるなど見直しが行われている。
材育成のため、5段階のクラリティ制度を設けている。
ラン
間以内の改善を行う。
さらに8年前から独自システムを開
年には東証1部に上場。現在社員数はパート
・アルバイトな
新卒採用で求める人材は、経営理念を実現するため
クに応じて時給が上がり、
ランクに応じた胸章を付けた写
発し、成約率を「同社への来館順位」、
「 来館動機」、
「決
どを含め1,400名を越える。
に、顧客を好きになり、顧客の役に立ち、顧客との約束を
真が館内に飾られる。
こうした評価制度は社員、準社員
定・キャンセル理由」等でデータ化し、成約理由である顧
代表取締役CEOの金子和斗志氏は、故・松下幸之助
守る人である。6∼7回と面接を重ね、学生と多く接点を持
のモチベーションアップとなっている。
客の声を「会場の雰囲気」、
「スタッフの対応」、
「料理」
が、経営成功の秘訣として語っていた「経営理念の確
って、求める人材かどうかを見極める。
ひとりの採用担当
等で件数化することで、定量的に分析している。個人別、
立。
これが出来れば、経営は50%成功したようなものであ
者が見るのではなく、複数の幹部が話すことで、学生に
日別の成約率や来店動機、成約理由、
キャンセル理由な
る」
という言葉を大事にしている。同社の経営理念は、
「お
会社の一貫性を実感してもらう。
客さまの感動のために」である。
ここでいう
「お客さま」
と
人材育成も経営理念に沿って行われる。入社すると、
は、挙式を行う新郎新婦だけでなく、それに携わる従業
まず価値観研修と呼ばれる研修を1週間行うが、
その間
員、取引のあるパートナー企業を含めたすべてを指す。
仕事のスキルは一切教えない。同社の歴史や、
これまで
同社が顧客から特に評価されているのが、
「すべては
「地域・社会に必要な会社、
なくてはならない会社であ
この経営理念は、以前からあったものの、店舗数、社員
どういう想いで、
どういう判断を行ってきたかを丁寧に伝
お客さまの感動のために」
との経営理念を具現化した、
ること、それが大きな柱。」
と金子社長は語る。同社は33
数の増加により、その浸透が十分にできない状況にあっ
えるのだという。
この価値観研修は、社長ではなく、幹部
社員の「接客」である。披露宴で出す料理は、四半期ごと
年間、
ウェディング事業を継続しており、親子2世代にわた
た。
そのような状況を憂いだ幹部社員たちにより、2002年、
が行う。
なぜなら、経営理念の策定に携わった幹部が話
に顧客の声を取り入れてメニューの変更を行う。希望が
って同社で式を挙げるケースが増えた。
これは世代を超
内容を再考したポケットサイズの理念冊子が考えだされ
すことで、社員が実体に沿った経営理念を具体的に学ぶ
あれば、新郎新婦の出身地の郷土料理も加えるという。
え、地域で愛されている証でもある。2002年10月、福岡県
た。経営理念を明確にしたことで、誰のために仕事をして
ことが出来るだけでなく、常に社員の手本とされる幹部自
同社では、全施設で「オープンキッチン」を採用してお
に立ち上げた「ララシャンス博多の森」は、設立から13年
いるのかがハッキリとし、職人気質で頑固な料理スタッフ
身も成長し、幹部育成にも寄与すると考えるからだ。
り、顧客は安心して料理を口に運び、料理スタッフは顧客
が経ち、現在は同業他社が福岡市内で20社近く進出し
たちが、除々に「お客さまの感動のために」
と仕事に取り
また、同社の人事考課は、社員一人ひとりが、業績だけ
の食べ進め具合を見ながら、ベストタイミングで料理を出
てきたが、いまでも地域でトップレベルの評価を受けてい
組むようになったという。
でなく経営理念に沿った行動が出来ているか、
上司だけで
すことが出来る。調理場で働くあるスタッフは、
「お客さま
るという。
に見られることで、美味しい料理を食べていただこうと燃
他都市で展開している店舗でも、経営理念とそれを実
えてくる。私達は、
お皿に料理と
“人間力”
を乗せている。」
現するためのノウハウは、
それぞれの地域でしっかりと根
と熱く語る。
付いており、
その地域で愛される企業となっている。
なく同僚、部下からも評価を受ける。発言だけでなく、行動
が伴う社員が評価されるように、
多方面の評価を採用した。
下見では式当日をイメージできるよう、社員が様々なサプライズを用意し出迎えてくれる。
「世界に一つのウェディング」として
満足をトータルに演出
式場のコンセプトは地域にあわせ、展開している。
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ど、様々な属性で集計を行う。
このシステムは顧客分析だ
けでなく、
スタッフの分析にも活用し、成約率の高いスタッ
フのノウハウを蓄積・分析し業務改善に繋げている。
会社
概要
全国14都市に広大な敷地の式場を構えている。
社員はそれぞれの分野で主体性を発揮し活き活きと働いている。
・法人名:アイ・ケイ・ケイ株式会社
・代表者:金子 和斗志 代表取締役CEO
・所在地:伊万里市新天町722番地5
・設立年月:1995年11月
・資本金:350,000,000円
・ホームページ:http://www.ikk-grp.jp/
・社員数:正規441名、パート・アルバイトなど1,001名
・事業内容:挙式・披露宴に関する企画・運営等のサービスの提供
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