2015年11月24日 公益社団法人日本造園学会関東支部 関東支部大会 見学会 報告 「未来に引き継ぎたい TOKYO 緑のレガシー」 作成:小松秀次、津久井敦士 ●日 時:平成 27 年 11 月 21 日(土)10:00~15:00 ●主 旨:造園学会関東支部は、TOKYO GREEN 2020 などを通して、2020 東京オリンピックの開催をきっかけに 東京の水と緑の再構築を図り持続可能な環境都市東京を目指している。以上を踏まえ、1964 東京オリ ンピックで整備された中心エリアをたどりながら、日本を代表する新旧のランドスケープを見学。その魅力 やポテンシャルを探り、東京の緑の未来像を提案する材料としたい。 ●行 程: 10:00 フルオープンバスにて都内のランドスケープを見学 11:50 徒歩にて丸の内・銀座地区見学し浜離宮庭園へ移動 13:10 浜離宮恩賜庭園見学~松の御茶屋など特別見学コースを見学 15:00 終 了 ●講 師:都立浜離宮恩賜庭園サービスセンター長 中山なつ希 氏 ●コーディネーター:㈱三菱地所設計 津久井敦士 、 ㈱石勝エクステリア 小松秀次 ●参加者数 :講師等含め 20 名 ●後 ●内 ◇ 援:公益財団法人東京都公園協会 容 3 フルオープンバスにて都内のランドスケープを見学 丸の内を出発し国会議事堂前を通過すると周囲に高層建築物がないことから、 街路樹と青空が美しい解放感のある景色(3)が飛び込んでくる。オリンピック通りと 称される青山通りからは神宮外苑のイチョウ並木(12)が見える。表参道のケヤキ 12 並木(6)の迫力に驚きながら、代々木公園、渋谷で折り返し。赤坂御用地から迎 賓館前を抜け国会議事堂前から皇居を望む(17)。 同コースは、東京観光の代表的なコースのひとつである。鑑賞対象の約 8 割が ランドスケープ遺産であり、その魅力を再認識できた。 6 17 【バス行程】丸の内・表参道・渋谷コース 10:20~11:40 1 東京駅・丸の内周辺 ⇒2日比谷公園⇒3国会議事堂⇒4赤坂御所⇒5青山通り⇒6表参道ケヤキ並木⇒7神宮内苑入口⇒ 8 代々木公園⇒9渋谷公園通り⇒10 渋谷駅再開発⇒11 青山学院⇒12 神宮外苑イチョウ並木⇒13 京都造形芸術大学⇒14 明治記念館⇒15 迎賓館⇒16 山王日枝神社⇒17 皇居外苑 【徒歩行程】 丸の内・銀座・浜離宮庭園 11:50~15:00 1 丸の内エリア⇒18 東京国際フォーラム 19 銀座エリア(ランチ)⇒20 汐留エリア⇒21浜離宮恩賜庭園見学 ◇ 徒歩にて丸の内・銀座エリアのランドスケープを見学 ■丸の内仲通り ㈱三菱地所設計の津久井氏の解説により、丸の内仲通り地区を見学した。 舗装は、車歩道共にアルゼンチン斑岩にて舗装され、歩車道の一体感を高めている。車道には、硬化アスフ ァルト工法を採用しているほか、貼パターンは、パターンの繰り返しながらも、ランダム貼りに見える工夫がなされ ている。街路樹は、交差点部や横断歩道部にケヤキを配置し、他はアメリカフウやシナノキ、カツラなどがバラン スよく植栽され、建物の屋外サインの設置が制限されていることもあり、すっきりとした美しい景観となっている。と ころどころに配置されているアートは、彫刻の森美術館と提携し、作品を入れ替えながら展示している。 歩車道と街路樹 アルゼンチン斑岩の方形乱貼り 定期的に入れ替わるアート ■三菱一号館、東京国際フォーラム 三菱一号館広場は、丸の内地区の緑豊かな憩いの場となっている。洗練されたデザインに加え、ミスト付き壁面 緑化や保水性舗装など最新の環境技術が導入されている。また、建築計画との一体的な取り組みにより、広場 に賑わいを創出している。 近年植え替えられた東京国際フォーラムのケヤキとカツラの並木を見学。 人工地盤上でありながら自然樹 形を活かした美しい景観が維持されていた。 賑わう三菱一号館広場 ◇ 建築計画と一体となった賑わいの創出 東京国際ファーラム 浜離宮恩賜庭園を見学 ■浜離宮恩賜庭園見学会の概要 東京都公園協会浜離宮恩賜庭園中山センター長と上杉常務理事のご解説のもと、園内を見学した。 1654 年江戸時代に造られてから今日に至るまでの同庭園の歴史や特徴、東京都による復元の取り組みなど を興味深いトピックを交えてご解説頂いた。 とりわけ普段公開されていない「松の御茶屋」の内装見学ができまし たこと、東京都ならびに東京都公園協会のご関係者の皆様へ感謝申し上げたい。 上杉常務理事・中山センター長 松の御茶屋 三百年の松を背景に記念撮影 ■復元と修復工事 国の特別名勝及び特別史跡として指定され、文化財として極めて価値の高い浜離宮恩賜庭園において、修 復と復元が進められている。 文化財を傷めず景観の妨げにならないよう園路脇に仮設の木製ロープ柵が設置 するなど工夫がなされていた。 鴨場では、来園者による土手の痛みが課題との報告があった。 修復された園路 中島橋の改修に伴う護岸の修復工事 鴨 場 ■松の御茶屋 松の御茶屋は、11 代将軍家斉の時代に建てられた茶屋群のひとつ。戦災で焼失し遺構調査を経て 2010 年に復元された。名前の由来は、松ぼっくり型の釘隠金物とされる。天井板は木目が美しい屋久杉が用いられ、 違棚(ちがいだな)はヒノキの一枚板に漆塗りが施されている。杮(こけら)葺き屋根の断面サンプルや漆塗りの サンプルなどを用いた伝統工法の解説は大変分かりやすく大変勉強になった。今回は天気にも恵まれ、池の 反射光でゆらゆらと壁面に投影される浜千鳥の透かし技法を観察できた。 松ぼっくり形の長押釘隠金物 屋久杉の天井板 投影された浜千鳥 欄間板の浜千鳥の透かし ヒノキの違棚 杮葺き屋根の断面サンプル ■新旧のコントラスト 江戸時代から引き継がれたレガシーと現在の風景のコントラストが印象的であった。 お上がり場 中の御門 中島の御茶屋 以上
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