日産自動車の電気自動車(EV)を活用した災害対応訓練を行いました

日産自動車の電気自動車(EV)を活用した災害対応訓練を行いました (2015/11/26)
テーマ:災害時初動対応、非常用電源としての EV の活用法
場所:災害科学国際研究所(東北大学青葉山新キャンパス)
11 月 26 日(木)に当研究所において、宮城県沖での地震およびそれに伴う津波の発生を想定し
た災害対応訓練を実施しました。訓練では、地震発生直後から事業場としての自衛消防活動、安
否確認、施設安全確認を実施し、安全が確保された段階から所内の災害調査対応本部を立ち上げ、
所内に存在する機材、及び EV 等の電力を最大限に利用しながら情報収集活動や情報の整理・分
析・マッピング、被害規模の推定(地震動の面的推定、津波被害推定、建物被害推定等)を行いま
した。また、これらの情報を初動調査への基礎資料として用い、EV で被災地へ出動する準備まで
を行いました。
本訓練の特徴は、電気等の既設ライフラインが途絶し、所内の非常用電源がメンテナンス等に
より使用不可能な状況にあった場合に、代替の電源供給機器を使用することで、研究所の事業所
として上記に挙げた対応を継続実施可能か、検討することにあります。使用した電源供給機器は、
日産自動車株式会社の電気自動車「e-NV200」2台、およびオートモーティブエナジーサプラ
イ株式会社のポータブル蓄電池「ポーチク」および「ポーチクビッグ」となります。日産自動車
は「EV for レジリエンス」という考え方のもと、
「自助(個人やオフィス)
」
「共助(コミュニテ
ィ)
」
「公助(社会)
」の 3 つの軸で EV が防災に果たす役割について検討されています。
本訓練では、これら EV の給電機能およびポータブル蓄電池を活用することで、所内の災害時
初動対応から、
EV で被害のある地域に赴き緊急調査を実施することが可能か検討を行いました。
訓練は当日午後 2 時に宮城県沖を震源とする地震が発生した想定のもと、以下の対応を実施しま
した。
(1) 自衛消防隊による安否確認、施設安全確認等の初動対応
 当研究所の消防計画に基づき、地震発生時を想定した自衛消防隊の活動を実施。およ
び、初動対応後に自衛消防隊から災害対策本部へ移行し対策本部を設置。
 自衛消防隊員により、各研究室の在室確認、建物状況の目視確認を実施。自衛消防隊
本部へ報告。
(2) 災害対策本部会議
 会議に先立ち、情報収集・報告・会議実施に必要な機材を使用するために、EV から電
力供給を開始。
 所内の安全を確認後、災害調査対応本部の設置を決定。
 災害調査対応本部会議を実施することを決定。各担当者に地震・津波の解析作業、被
害状況の報告、および地図等を用いた被害に関する可視化を依頼。
(3) 災害調査対応本部会議
 担当者より、作業進捗状況・解析結果等の報告。
 報告に基づき、現場調査・解析等の今後の対応について協議。
 現場調査日程の決定、調査対象とする被害(地震・津波・土砂災害)
、調査に必要な機
材の選定。
今回の訓練では、訓練に平行して、情報収集・解析作業等による機材の消費電力が電源供給能
力を超過することを避けるため、電力測定器を用いた電力使用量の常時観測を実施しました。結
果として、非常用発電機が使用不可能であることによる解析作業への制約が認められましたが、
その他の上記の対応に必要な電力を確保できることがわかりました。
訓練には日産自動車のほかに、報道各社・見学者等多数ご来場いただき、災害時の新たな EV の
活用法を示すことができました。訓練終了後は、EV の見学・説明会および訓練の講評・反省会が
行われ、訓練を通して得られた各対応の良い点、改善すべき点などについて議論が行われました。
今後、EV を用いた避難所運営訓練などを実施し、さらなる EV の有用性の検証を行っていく予
定です。
文責:安倍祥,林晃大(寄附研究部門)
,佐藤翔輔,柴山明寛(情報管理・社会連携部門)
(次頁へつづく)
使用した EV
使用したポータブル蓄電池
EV から電力供給をしている様子
訓練の様子
訓練の様子
以上