清水印刷紙工 UV印刷コラム 第9回:究極のUV印刷 弊社の印刷との関わりの中で、環境と品質の両面からの検証を重ねた結果として辿り着いたのが、 『水なし UV 高精細印刷』です。 今回はこの最高の技術が集約された印刷方式についてご説明いたします。 ●高精細印刷(FM スクリーニング印刷) 一般の印刷が網点の大きさを変化させる 175 線/ inch であるのに対し、175 線の 2%相当サイズの小さ な網点の数を変化させる FM スクリーニングは約 400 線/ inch の精度で印刷が可能です。網点の大きさが小 さいので、インキ皮膜が薄くてもある一定の色濃度が出 るため(図 1) 、色の安定や UV インキ硬化にはこの薄 膜が大きくプラスに働いています。 この 400 線によるメリット(図 2)としては; ①ジャギーにならずに細線の表現が可能 UV インキで PP に印刷する場合、175 線のレベルで は 0.1mm で既に線切れ現象が見え始めてしまいます。 400 線では 0.02 mm程度であればはっきりと一本の 線で繋がっていることが視認できるほど、その差をはっ きりと確認できます。 ②色の再現領域が拡大 4 色のプロセスカラーでの色表現だけでは淡い色などが 表現できないので、 “特色”として色を追加します。し かし、400 線では極少網点がなめらかな階調表現を可 能としますので、掛け合わせで表現できる色域が拡大さ れています。 ③モアレ・ロゼッタなどの解消 175 線の網点の掛け合わせでは、そのピッチの微妙な ずれによってモアレ(干渉縞)やロゼッタ(亀甲模様) が発生して印刷品質を著しく貶めていました。400 線 で使われる極少網点ではこの問題は過去のものとなっ ています。 ●水なし印刷 水なし印刷は、そのシンボルマークであるバタフライ マークとともに、万人が知るところにまで認知されて きているのが現状です。環境側面から考えた場合、ま ず印刷版の現像工程で強アルカリ薬品が使用されない ことにより環境負荷はかなり低くなります。一般の印 刷版現像では強アルカリ廃液は特別管理廃棄物扱いで、 特定の業者による回収が義務付けられていますが、水な し印刷でその必要はありません。印刷工程では、一般印 刷ではインキを印刷版に着肉させない箇所に“湿し水” を付けますが、水なし印刷では特殊シリコン層によりイ ンキを着肉させないように反撥させるので、この“湿し 水”は不要です。湿し水には、有機溶剤であり急性毒性 物質でもある IPA(イソプロピルアルコール:印刷し ない箇所に万遍なく湿し水を行き渡らせる効果あり)を 3 ∼ 5%混ぜることが一般的で、又これが汚れた際には 印刷機に付設されるタンクの湿し水(5 色機で 100L 位)を入れ替えなくてはなりません。環境配慮を考えた 場合、水を使わないことでの環境負荷低減には多大な効 果があるのです。 環境と並んで重要な品質においても、水なし印刷は圧倒 的な差を見せつけています。水はインキに微量混じり合 い、その濃度を低減させ輪郭をぼやかせることがありま すが、水なしでは網点がシャープでエッジの効いた印刷 を実現できるのです。 又、印刷の色合わせから本刷りまでのリードタイムを著 しく短縮させることが可能で、さらに生産に入ってから の色の安定度は水有りの一般印刷と比較して非常に安 定しています。 400 線高精細と水なし印刷とを UV 印刷において融合 させた『水なし UV 高精細印刷』は、今までの印刷の 究極であると確信しています。 http://www.shzpp.co.jp
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