班員:阿部美智果、池田健人、白木義彦、高橋正樹 指導教員:平嶋竜一 招聘准教授、清野智史 講師 「緊急時・災害時用の新しい医療機器を提案する」 前提知識 プロセス 〜胸骨圧迫(CPR)補助器具の検討〜 ~救命の現状・胸骨圧迫・AED~ 暫定課題 課題設定 【一般人の胸骨圧迫における問題】 救命の現状について 施術時に疲労を抑える胸骨圧迫補助器具 調査結果により、以下の情報が得られた。 平成23年に日本で心肺機能停止の瞬間を目撃された人数 • 圧迫深さが5cm未満であることが多い • 疲労の影響により胸骨圧迫の質が低下 検証内容① (被験者=n) 平均圧迫 深さ [cm] 部位異 常 リズム以外の情報を与えない (n=11) 4.0 6名/11名 掌底を意識 (n=7) 4.2 面積の大小 (n=5) (”Decay in Quality of Closed-Chest Compressions Over Time”より) 圧迫力を補い、胸骨圧迫中に 疲労が溜まりにくい補助器具は有用 3名/7名 重要な気付き 疲れの影響を評価する以 前に、一般人は圧迫深さ が5cm未満で、部位異常も 多かった。 大:4.3 小:4.3 握りの有無 (n=5) フィードバックに関する検証 疲れに関する検証 使用した簡易補助器具で は圧迫深さの改善は見ら れなかった。 有り:4.2 無し:4.3 検証内容② (被験者=n) 平均圧迫 深さ [cm] 圧迫深さのフィード バック情報を与える (n=11) 無し:4.1 有り:4.8 部位 異常 (総務省消防庁 平成24年版 救急・救助の現状 より) 圧迫深さに関する フィードバック情報を与えた ところ、深さが大幅に改善 最終課題 フィードバックにより、施術の圧迫深さ・圧迫部位を 適切にする胸骨圧迫補助器具 圧迫深さ測定の技術要素検討 死亡者数 88%(25,391人) 29,001人 〈目撃件数と救命処置者別生存率〉 目撃件数 (目撃率) 1ヶ月後生存数 (生存率) 全体 29,001 一般人 23,266 (80%) 2,655(11.4%) 救急隊 5,705 (20%) 955(16.7%) 5.3%の差=約1,500名の生死を左右 『一般人によるCPRの機会は多い』 『一般人によるCPRの質は悪い』 B班意見書を利用した機器設置場所設定 B班意見書では、A班が心肺蘇生が行われる状況について十分な検 討が行われていないとした上で、B班独自に機器の設置場所及び 各々で必要な機能の提案が述べられていた。この提案を参考にしつ つ、機器の設置場所を決定した。 現在の医学では不可能 生理的反応測定 圧迫深さの測定 物理的測定 機構がシンプルで小型 加速度センサー α案 1 x = a t 2 + v0t 2 【検証用アプリ開発】 加速度センサーを用いたフィードバックの実現可能性を評価するための 検証用機器として、スマートフォン用の変位測定アプリを試作した。 最終的に、PocketCPRによって加速度センサーの有効性を確認 AEDとの併設型 ⇒他案と比べると最も現実的 β案 AEDとは別に単独設置型(自動車等) ⇒新たな機器の理解・普及は困難 γ案 常時携帯型 ⇒一般人が常に携帯するのか疑問符 ⇒小型化は困難 胸骨圧迫について 【胸骨圧迫の必要性】 心停止など、心臓が正常に機能しなくなった 人は血液が心臓から脳などの重要臓器に送ら れなくなり、死に至る。救命率は呼吸が止まっ てから分単位で減少する。 「胸骨圧迫」は心臓をポン ピングし、前進に血液を循 環させる。⇒死へのスピー ドを遅らせることができる。 〈カーラーの救命曲線〉 既存製品①(PocketCPR) 【PocketCPRの概要】 満たすべき機能 その理由 (状況設定) 救命現場で使用し、 ←テーマとの整合性 対象は一般人 ←ビジョン AEDとの併設 ←B班のα、β、γ案の考察 (一般人の胸骨圧迫の問題点) 5cm以上の圧迫深さを達成 ←圧迫深さ不足 適切な圧迫部位を伝える ←圧迫部位異常 (競合商品の問題点) ←使用方法がわからない 使用方法の教育が不必要 ために使用されない 従来の作業工程を増加させ ←救命処置における作業 ることなく維持 の増加 普及が容易であること ←普及の困難さ 既設のAEDに対応可能 PocketCPRを施術者の手と被施術者の圧迫部 と間に挟み込み、PocketCPRごと圧迫を行う。 PocketCPRに内蔵されている圧迫深さフィード バック機能により、施術者に圧迫深さの情報 を与え、適切な胸骨圧迫を実現させる。 【特徴】 ®ZOLL MEDICAL CO. 加速度センサーによる圧迫深さ測定 ランプ点灯によるフィードバック 機器使用方法の音声ガイド 携帯性 PocketCPRの短所 • 機器の新たな使用方法の教育が必要 • 一般人への普及が困難 • 救命処置の作業手順が増加 PocketCPRとの差別化 • 使用方法の新たな教育が不必要 • 現在の救命処置の作業手順が増やさない 実施形態 傷病者を仰向けに寝かせ、施術者は 傷病者の胸の横にひざまずく 【AED Plusの概要】 圧迫深さのフィードバック機能を付与 させたAED。電極パッド中央部に加 速度センサーが付いてあり、圧迫深 さの情報を本体から施術者へ音声で 伝えられる。 圧迫部位 圧迫の深さ ®ZOLL MEDICAL CO. 【特徴】 圧迫部位 胸骨の下半分(右図参照) • AED自体にフィードバック機能を有する • 音声と液晶画面でのAED使用方法の音声ガイド • 従来のAEDと作業工程が同じ 成人:胸が少なくとも5cm 小人:胸の厚さの1/3 圧迫のテンポ 1分間に100回 胸骨圧迫の継続 救急隊に引く津具まで絶え間なく続ける AED Plusの短所 〈救命処置のフローと胸骨圧迫の位置付け〉 • 既存のAEDとの交換が必要 ⇒普及が困難 AED Plusとの差別化 • 機器の普及が容易であること • 既に設置されているAEDに対応できること 提案機器 〜S-Padz〜 【開発コンセプトを満たす機能】 S-Padz 開発コンセプト=『より多くの人に正しい胸骨圧迫を』 S-Padzの機能的特徴 適切なCPRのために 電極パッド 圧迫深さ表示LED より使用しやすく、普及させるために • 加速度センサーにより圧迫深さを測定 • LED点灯色により圧迫深さをフィードバック • S-Padz中央部に圧迫部位を明示 ① 一般人のCPRの質を向上 ② CPRに対する精神的な不安・躊躇の除去 AEDの電極パッド 電極パッド 加速度センサー • 電極パッド交換により既設のAEDに対応 • AEDからの電源供給により自動起動 • 特別な操作は不要 ③ 新たな作業が無く、使用しやすい ④ パッド交換によって普及が容易 【AEDの概要】 • 心臓の痙攣(心室細動)が起きたとき、付属する電 極パッドを患者に貼り付け、電気ショックを与えて 一度心臓を停止させる 胸骨圧迫とAEDの役割は別 処理回路(内蔵) 従来のAEDの電極パッド+圧迫深さフィードバック機能 AEDについて 『より多くの人に正しい胸骨圧迫を』を実現 • 「ただちに胸骨圧迫を開始して下さい」など、AED到 着後の一次救命についてガイドを行う 【AEDの使用方法】 【使用方法】 1. 2. AED到着後,電源を入れる 3. 4. 5. 電極パッドを貼り付ける (必要に応じて) 電気ショックを行う 現場に持ってくるように依頼して AEDの電源を入れる。 いたAEDが到着する。 AEDからリズム音が流れ始めるとと もに、「電極パッドを貼り付けて下さ い」というアナウンスが流れる。 【S-Padzに必要な技術】 加速度センサーによる測定 自動起動システム 電気ショック発生部との一体型 圧迫深さの表示機構 圧迫深さ計算処理・処理回路搭載 40 35 30 25 20 10 5 0 H19 H20 AED台数(全国) H21 H22 AED台数(日本光電) H23 H24 H25 H26 AED電極パッド交換数(日本光電) (近藤久禎 「AEDの普及状況に関わる研究」より) 心停止者の胸骨上に 手を置く 胸骨圧迫を行う (%) 〈必要販売率の概算〉 15 日本光電工業株式会社へのヒアリング 等の調査によりクリアされたことを確認 繰 り 返 し 電気ショック後(行わない場合もある)、 胸骨圧迫を行う。 S-Padz中央の加速度センサー部に胸 AEDの音声ガイドに従い、電気ショッ 骨圧迫をするために両手を上図のよう ク〜胸骨圧迫を繰り返す。 に置く。 【S-Padzに必要な技術】 〈AED電極パッドの市場〉 (万台) AEDに付属しているS-Padzを、S-Padz上に記載 されている貼付位置図に従って、心停止者に 貼り付ける。 S-Padzを貼り付けると、AEDは心停止者に対し て、電気ショックが必要かどうかを判断する。 販売価格 固定費(年額) 変動費(製品1個当たり) 限界利益率 (1-変動費率) 損益分岐点売上高 年間の必要販売数 年間営業機会 ※日本光電AEDのみ 年間必要販売率 20000円 111,400,000円 13,720円 日本光電製AEDのみにおいて 31.4% 6.3%以上の取替購入 or 新規購入 で収益が発生する 354,777,070円 17,739個 283,688回 6.3% 〈AEDの実施による生存率の差と実施数〉 (件) 50 限界利益率条件を満たす (医療機器業界) 800 700 40 1ヶ月後生存率 • • • • 既存製品②(AED Plus) 提案機器が満たすべき機能のまとめ 【胸骨圧迫の施術方法】 600 500 30 400 20 300 200 10 100 0 ビジネスとして成立する 可能性を確認 0 H17 H18 H19 H20 H21 H22 H23 除細動不実施 除細動実施 除細動実施数 (総務省消防庁 平成24年版 救急・救助の現状 より)
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