第2日 BSC CASE PRESENTATION AWARD 2015 10:40~12:15 (ケースプレゼンテーションアワード) 根津 崇 ■ 略歴 2005 年 3 月 2009 年 3 月 2010 年 3 月 2010 年 4 月 神奈川 根津矯正歯科クリニック 東京歯科大学 卒業 東京歯科大学 歯科矯正学講座 卒後研修課程修了 東京歯科大学 大学院歯学研究科 博士課程修了 根津矯正歯科クリニック勤務 現在に至る 日本矯正歯科学会認定医 上下叢生を伴うⅡ級不正咬合の非抜歯症例 症例の概要 前歯の前突感と叢生を主訴に来院した初診時 12 歳 11 ヶ月の男子。顔貌所見として、側貌 は口唇閉鎖時に頤部の過緊張を認め、convex type を呈していた。口腔内所見では overjet +12mm、overbite +5mm、L-ALD -6mm、犬歯、臼歯共に 1 歯分のⅡ級関係であり、上下顎 第一大臼歯間幅径の不一致、下顎第二大臼歯の萌出スペース不足を認めた。 側面セファログラムにおける骨格の垂直的記載は Brachy 傾向の Mesio facial pattern であり、 McNamara Line による水平的記載は上下骨顎共に後退を示した。正面セファログラムは左右 対称で特記すべき問題はなかった。コーンビーム CT 所見では上下顎歯列弓の側方拡大の可能 性が示された。機能的には口唇閉鎖不全、低位舌、舌前方突出癖等を認めた。 治療上の要点 舌癖などの機能訓練は治療前後を通して行った。上下顎幅径のコントロールと叢生の改善を 行うため、上顎にクワドヘリックス、下顎にバイへリックスを装着しトランスバースコントロー ルを行った。その後段階的にマルチブラケットを装着し、上下的な前歯のコントロール後、下 顎歯列を近心移動することにより前後的な改善を行った。治療期間は 2 年 7 ヶ月であり良好な 咬合を得ることが出来た。Profile としては口唇閉鎖時に未だ若干の緊張を認めるので、今度も 口唇の機能訓練などを継続して保定を行う必要がある。 20 21 第2日 BSC CASE PRESENTATION AWARD 2015 10:40~12:15 (ケースプレゼンテーションアワード) 深井 統久 ■ 略歴 1992 年 1996 年 1997 年 1999 年 2007 年 大阪 医療法人 深井矯正歯科クリニック 大阪歯科大学卒業 大阪歯科大学大学院(歯科矯正学)修了 博士(歯学) 大阪歯科大学矯正学講座 非常勤講師 深井矯正歯科クリニック開設 医療法人 深井矯正歯科クリニック設立 前歯の叢生と突出を伴う骨格性上顎前突 症例の概要 前歯の叢生と突出を主訴に来院した 21 歳の女性。顔貌所見では上下口唇の 突出と口唇閉鎖時には口もとと頤部の緊張感が認められた。 口腔内所見では上下前歯部の叢生と上顎前歯の唇側傾斜、さらに左側第二大臼 歯の鋏状咬合と上顎右側中切歯の舌側傾斜により下顎がロックかつ偏位してい る様子も見られた。下顎の叢生量は7mm、オーバージェットは6mm、オーバー バイトは4mm で臼歯関係は左右ともⅡ級関係であった。骨格的には Dolico facial pattern で、機能的問題は習慣性の口呼吸が見られた。 治療上の要点 上下前歯の叢生と突出を改善するため、上下顎左右第一小臼歯の抜歯症例と 判断した。まず始めに上顎の TPA にアームを鑞着し、上顎第一大臼歯の固定 と拡大に加えパワーチェーンを用いて左側第二大臼歯の鋏状咬合の改善を行っ た。その後、上下の第一小臼歯を抜去し上顎は UA と loop section にて犬歯の リトラクトを行い、下顎はレベリングをしながらスピーカーブを除去、さらに 上顎前歯に CTUA・下顎は double key-hole loop にⅡ級顎間ゴムを併用して下 顎大臼歯の近心移動と上顎前歯の後退をはかった。 22 23 第2日 BSC CASE PRESENTATION AWARD 2015 10:40~12:15 (ケースプレゼンテーションアワード) 文野 弘信 ■ 略歴 1990 年 1993 年 1994 年 1999 年 東京 DIO 文野矯正歯科 東京歯科大学卒業 New York 大学大学院修了(Master of Science) 永田矯正歯科勤務(京都市) 文野矯正歯科開設(東京都) ガミースマイルを伴う上下顎前突症例 症例の概要 上下唇の突出とガミースマイルを主訴に来院された成人女性。アーチフォー ムは上下 Ovoid Arch で、僅かな正中のズレと下顎第2大臼歯に乱れがある 以外に問題はない。L1 to Apo は 9mm と下顎前歯は著しく突出している。上 顎第3大臼歯は抜歯済みで下顎第3大臼歯が半埋伏状態である。正貌より下 顎骨の僅かな右側偏位が認められる。側貌より上下顎骨ともに後退型を示す。 Facial pattern は Dolico を示す。機能的問題としては舌の前方突出癖があり、 異常嚥下癖も認める。口唇閉鎖時には口腔周囲筋およびオトガイ筋の著しい緊 張があり口呼吸を呈す。 治療上の要点 機能的問題の改善として口呼吸、舌低位、異常嚥下癖に対してアウェアネス トレーニングを終始行いつつ、上下第 1 小臼歯抜歯による本格矯正治療を行っ た。上下大臼歯は最大固定として Reversed Porter Holding Arch を装着し、 上下前歯の遠心移動とガミースマイル改善のため上顎前歯の圧下とトルクコン トロールを行った。Facial pattern は Dolico を呈するため、下顎骨の後下方へ の回転(チンコントロール)に充分配慮しつつ治療を行った。 24 25 第2日 BSC CASE PRESENTATION AWARD 2015 10:40~12:15 (ケースプレゼンテーションアワード) 寺尾 牧 ■ 略歴 1987 年 3 月 4 月 1995 年 5 月 愛知 てらお矯正歯科 愛知学院大学歯学部卒業 浅見矯正歯科クリニック勤務 (愛知県名古屋市) てらお矯正歯科 開設(愛知県名古屋市) 現在に至る 著しい歯幅過大を伴う 1 級叢生開咬症例 症例の概要 上顎前歯部の叢生と開咬を主訴に来院した初診時年齢 7 歳 9 か月の女児。 顔貌所見では、本人が口唇閉鎖を意識するため、口腔周囲筋とオトガイ筋の緊張がみられた。 口腔内は、臼歯部咬合関係は大臼歯はⅡ級ではあるがターミナルプレーンは垂直型で正常で あった。前歯部は叢生と開咬を呈し、歯間部には著しい舌の突出と咬舌癖がみられた。永久前 歯歯幅は +3SD 大と著しい歯幅過大でであった。口蓋扁桃の著しい肥大がみられた。Overjet +1mm、overbite -3mm、下顎 TALD -1mm であった。 最初に口蓋扁桃の摘出術を勧めたが、家族の同意が得られず、そのまま矯正治療を開始した。 AWT として、安静時の咬舌癖の改善と嚥下時に臼歯を咬み締めながら嚥下することを意識し てもらった。第一期治療として歯列の unlocking のため、上顎歯列弓の側方拡大を行ったとこ ろ、overbite が改善し上下顎前歯が接触してきた。このため無理に前歯部のレベリングを行わ ず、永久歯交換後に第二期治療として、上下顎第一小臼歯を抜歯し、マルチブラケット装置にて、 上下顎犬歯の遠心移動、上下顎前歯の舌側移動、上下顎歯列弓の整列を行った。 治療上の要点 Unlocking の 概 念 に 基 づ き、 第 一 期 治 療 に て、1.AWT 2.transverse control 3.U/L incisors control を予定したが、上顎歯列弓の側方拡大を行ったところ、舌の佇まいが良くなり、 舌突出が軽減し、overbite が改善したものと考える。上下顎前歯の接触がえられたため第一期 では上顎前歯の整列は行わなかった。第二期治療として、上下顎第一小臼歯を抜歯し、歯列の 調整を行った。第一期治療にて FAX が 3.5°クローズした。口元はそれほど悪く無かったため、 第二期治療では上下顎前歯の入りすぎに注意し、大臼歯はある程度ロスさせる治療目標とした。 26 27
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