準備課程における世代別の指導法 【初めてのスキー~プルークボーゲン

準備課程における世代別の指導法
【初めてのスキー~プルークボーゲンができるまで】
2015.11.27 第37期イグザミナー合宿
DEMO 可児 徹 栗原立人 阿部理沙
EXAMINER 山嵜昭彦 廣村憲郎 前田康夫 木島信彦 滝沢英喜
一般
キッズ・ジュニア
・転ばせないレッスン ・斜面設定 ・トイレの声がけ(配慮) ・用具の確認
各世代共通
注意すべき点
世代別
積極的に行いたい運動要素
その他の提案
・恐怖心をもたせない斜面設定
・子どもを呼ぶ時はきちんと名前で呼びかけ、常に声をかけ飽きさ
せないレッスンを展開
・できたことは褒め、より多くの成功体験をさせる
・体力(骨格)を考慮したグループ編成
キッズ4歳~10歳程度
ジュニア10歳程度~15歳
・SIAメソットに応じた指導
・用具のバラつきの見極め
・体力、骨格、運動能力の差を見極めて、ある程度理論的な説明
・(男性)過信に注意する⇔(女性)恐怖心からくる後傾やX脚
・言葉の使い方(言葉遣い)
・(転んだ時の)起こし方への配慮→プライド
・可動域の狭さ
⇒負荷のコントロール
・体力に応じた滑走回数、距離
・コミュニケーション
・ジャンプ等で身体を大きく使わせる、足裏感覚を養う
・バランスを体感させる
・雪の中で遊ばせることで、用具や雪に慣れさせる
・滑走距離をできる限りとる
・負荷のかけ方(最小限の負荷)
・スキーを履かずにブーツだけで何かを体感させる(負荷の軽減)
・ストックを用いたバランスの安定
・補助用具の活用(トライスキー等)
・キッズパークなどの施設の利用
・教師のデモンストレーション
・用具の特性を説明し、理解させる
・補助用具の活用(ショートスキー等)
・理論的な運動イメージの説明
・体力に応じた休憩の時間、回数
・目的志向を聞き出す
・前後左右のジャンプによるバランスを確認
・ストックを活用した狭い歩幅での足踏み、歩行
・目標物を定め、まっすぐ歩く練習
⇒バランス、用具に慣れる
・片スキーの滑走
・スキーを履いていない足を視点に片足を開き出す操作
・スキーを履いていない足を視点にした方向転換
・ストックを活用した片スキーでの歩行
・ジャンプ等で開き出しの練習
・後ろから押す、前から引っ張ることで、滑るものの中でバランスを
体幹させる
⇒滑走感覚、バランス
・推進させた中での開き出し
・両スキーでの開き出し操作
・両スキーでの方向転換
・緩い斜面で小さなプルーク
⇒負荷の軽減
・平地で押しながらの移動で滑走感覚を体感する
・(特に女性など)斜滑降からの滑走開始
・ストックを持って滑走
⇒ストックを持ったバランスの習得
・斜滑降からの滑走開始
・斜滑降~山まわり(直滑降は極力行わない)
・ブーツを履いて歩く、走る、障害を越える、ジャンプするなど
スキーを履く前 ⇒バランスを取らせる、用具に慣れさせる
片足スキー
両足スキー
プログラム
【方法】
・プルークの大小の連続、停止の練習
・大きな動作で開き出しの練習(全身の補助動作)
斜面での滑走 伸びる→しゃがむ→伸びる→・・・・
・ノーストックでのバリエーショントレーニング
⇒バランス(悪いバランスの中から良いものを引き出す)
連続ターン
シニア
・ノーストックで(膝や腰に手をあてるなど)外スキーに重さを乗せる ・積極的に上下動を活用し、強弱をつけた中で長い距離を滑走する ・小さいプルークからの片開きの操作による浅いターン
・声をかけてたり、教師の方に視線を向けさせたりすることでの連続
・スピードコントロール重視のコース取りをしたターン
ターン
世代別指導法<基礎課程>
佐々木常念、藤本剛士、髙本
稔、的場佑樹、野田隆弘、横尾恵里
「キッズ・ジュニア世代」
1.テクニカルプログラム・バリエーション
・ 初歩の段階では、補助用具を使用しての滑走姿勢
「ハの字」の習得(トライスキー等)
浅まわり インストラクターの誘導(トレーン、バックプルーク)
深まわり マーカーや目印の使用
・ 補助用具を外す
外脚の使い方の習得(例 外脚で雪面を削る 外スキーの角付けを強める操作)
・ 前後上下左右のバランス能力 UP
ジャンプ等を滑走中に行い、様々な斜面状況に対応できるバランスを体で体感し
てもらう。
(例 しゃがみこみ、ターン中に外脚側の雪を取る)
大きなプルークから、小さなプルークへ
用具の特性を利用して A パターン寄りの指導から基礎パラレルターンへ
ストックの使用 (初めはストックの真ん中、徐々に持ち方を変えていく)
2.留意点、特徴
言葉の理解力がないので、誘導、真似を多用した指導法を活用する
筋力が少ない
ジュニア期にバランス能力の UP、スピードの UP
ジュニアが使用する用具の特性を理解
(長さが短くフレックスが比較的固めなスキー、足の実寸よりも大きなサイズのブーツ)
3.その他
チャレンジプログラム
「変化のある地形の利用(パーク、ツリーランなど)
マーカーを使用しての競争などの遊び」
「一般世代」
1.テクニカルプログラム・バリエーション
斜行プルーク
斜行プルークからの山回り
滑り出す方向を徐々にフォールライン方向へ
谷回りの練習
A パターン、B パターン、ジャンプ系~基礎パラレルターンへ
※体力のある世代なのでジャンプ系やステップを用いて運動要素を習得する
2.留意点、特徴
体力あり、性別差での体力差の理解
志向を聞き出す
ゴールの設定、目標先に見せて運動の説明を行う
3.その他
チャレンジプログラム「タッピング」
時短!
少しでも早く基礎パラレルターンを習得する
「シニア世代」
ここではあくまでも一般的なシニアを対象とします
1.テクニカルプログラム・バリエーション
プルークファーレン
外脚のテール操作を大きく使う、
(制動操作を主体としたスキー操作)
B パターンを主体とした、内スキー操作の習得、横滑り
テール操作を利用した先落とし
腰高のポジション(身体への負荷の軽減)
2.留意点、特徴
視覚、聴覚の衰え
体力がない
関節の可動域が狭い
運動を覚えるのに時間がかかる
説明をシンプルに
恐怖心
怪我をさせない
バランス、タイミング、安心感、ストックの積極的な使用
3 その他
チャレンジプログラム
時短!
用具の有効活用「エスコート、ヨーイドン等を使用しての指導展開」
世代別指導法
鈴木允智・佐伯
<洗練課程>
敏・佐々木光雄・大塚一樹
洗練課程のテーマ(共通目標)
★スキーの性能を引き出そう(たわみ・走り・回転)★
↥
「ジュニア世代」
「一般世代」
「シニア世代」
上達を妨げている運動や動作をいち早く見つけ出し的確に指導する
「ジュニア世代」
1.テーマ・着眼点
前後の正しいポジションとバランスの修正
※スキーのテールのみを使って滑走してしまう
※ブーツの後ろによりかかってしまう
2.テクニカルプログラム・バリエーション
●2人ペアになり、左右で引っ張り合いながら内傾やアンギュレーションの練習をする
●レールターン
●膝に両手をあてて押すことで脛の前傾をつくる
●踏みかえ(足踏み)ながらターン
●ドルフィンターン
●外手でターンに合わせて、意識する箇所をさわる(腰・膝・足首・ニュートラル)
※運動の流れをつかむ
3.留意点・他
楽しみながら出来るバリエーションを行う
目で見て真似をする(視覚からの情報)ことから、大きくわかりやすく見本を見せること
「一般世代」
1. テーマ・着眼点
切換え動作を洗練させる
※ターン後半でエッジングが強くなってしまう
※切換えでスキーをフラットに出来ていない
2.テクニカルプログラム・バリエーション
●スキーをつけない状態でターンイメージの練習(角づけ~エッジを外す~角づけ)
●室内にて、椅子を使い重心の移動方向を確認する(椅子の位置を変える)+
●切換え時に次のターン方向に目線を先行させる
●切換え時に次のターン方向に指さし確認
●①ターン外手でストックを縦に持ち切換えの際に持ち替える。
②ターン後半、外手に持っているストックが垂直になるように意識をする
③切換えの際にストックを次の手に渡しに行くのではなく、次の手で取りに行くことを意識して
持ち替える
●停止状態からエッジを外しスムーズにスキーの先端がフォールライン方向へ落ちていくために必
要な重心の移動を覚える
●停止状態から内スキーをシザース状に開く(落下方向へ重心移動)
●一本のロングポールを教師と持ち、切換えのタイミングを体感させる ※低速にて
3.留意点・他
理論的に説明をし、理解をしてもらう。納得した状態で練習に取り組んでもらう
「シニア世代」
1. テーマ・着眼点
角づけの量を増やす
※角づけが出来ず、必要以上にズレが多くなっている
2.テクニカルプログラム・バリエーション
●スキーをつけない状態で膝・脛の前傾感覚の練習をする
●小刻みにジャンプしながらターンをする
●ワンターンで後半角づけを強め踏みあがる(踏みかえる)
●ショートターンの幅にショートポールを立て、そこへ雪を集めるようにエッジング
●Bパターンを取り入れ外方向への荷重、抵抗を受け止めることを再確認
●ターン中に内側の手(グリップ位置)が下がらないようにする
●内スキーのテールを持ち上げ、フォールラインまで外足のみでターンに入りターン中盤でもどす
3.留意点・他
斜面設定を工夫する
体力を考慮しながらではあるが、チャレンジする気持ちも持ってもらう
用具のチェック(エッジ・ブーツのカント)
、
外見のイメージが高いので、スキーの動き・順番を理解してもらう
※角づけ➡荷重➡フラット➡角づけ➡荷重
世代別指導法<オフピステ・パウダー>
佐藤玲奈、柴崎正弘、宮本光章
オフピステ、パウダーの魅力とは
オフピステ、パウダーは一部の上級者だけのものではなく、初、中級者も状況を選べば年代も問わずに自
然を楽しむことが出来るものであります。
また、今の技術を試せる場でもあります。自分の技術を実感しやすく、出来なかったことは整地に戻って
練習をすることが出来ます。
引率するにあたって全体的な注意点
解放値の設定、リューシュコードが必要な状況かの助言、滑る順番(雪が浅い場合は教師が先頭でデモン
ストレーションを行ったり、深い場合は最後に滑り転んだ人などのフォローをする。斜面の難易度、状
況、お客さんのレベルによってその都度判断をする)、雪質の違いの見極め(底がフラットか荒れたとこ
ろに積もっている雪か、表面が固い雪なのか、雪の重さはどうかなどで滑る斜面の向きを選定する)
、転
倒したときの対処方法、スキーが外れた時の対処方法についてもレクチャーする。
「キッズ・ジュニア世代」
1. テクニカルプログラム・バリエーション
軽いパウダーでの直滑降や浅回りターン
軽いジャンプでの浮遊感を体感させる
2.留意点
浅いパウダーや軽い雪質、斜度はあまり急斜面では行わない
濡れると気分が下がるので濡らさないようにする
板の長さがそれぞれ違うこともあるので個々に気を配る
「一般世代」
1.テクニカルプログラム・バリエーション
外足一本だとバランスを崩すので両足操作で
スピードを出して滑る
抜重と加重を使う練習としてジャンプターン
屈伸系のターン
小さいターンから始めずに中回りターンで滑る
2.留意点
後傾になりやすいので足首の前傾を意識させる
先行動作を使いすぎない
角を立て過ぎずに面での操作をさせる
「シニア世代」
1.テクニカルプログラム・バリエーション
柔らかい雪に馴れる為に浅いパウダーで斜滑降
直滑降中に足踏みをして滑る
整地とパウダーの違いを体感してもらうために緩い斜面を使う
中回りターンで滑る
2.留意点
メンタル面の恐怖心を取るために斜面設定を浅いパウダーやゆるい斜度にする
広い斜面、立ち木や藪などの少ないバーンを選ぶ
運動量が多くなるので体力面に気を配り疲れさせない
コブへチャレンジする生徒さんへの世代別レッスン
今
<指
導
元将、井村正章、福田 咲
法>
「ジュニア
※小学生まで」
・ 本気のデモを見せる(憧れを持たせる)
・ 全習法を多く取り入れる
・ ポコジャンでコブの起伏を身体で覚えさせる
・ 素早い動きを慣れさせる(練習斜面
整地からコブまで)
・ リズム変化のないところと、リズム変化の多いコブを両方滑らせる
・ 遊び感覚の中でスピード感と対応力を養うために林間コースなどコース脇の起伏を利
用する
「一般
※中学生から」
・ 分かりやすいデモンストレーション
・ インスペクションさせる
・ その人の趣向に沿ったレッスンをする(例 安全ゆっくり型、モーグル型、基礎っぽく)
・ 滑る前に集中させる
「シニア ※60 歳以上」
・ デモンストレーッションはゆっくり横滑りを多く使った、シニアの方のライン取りに近
いところ(例、横ズレを多く使ったライン)
・ コブを横切らせる
・ 小さいコブを選ぶ
・ コブの横のコブのないところでシュミレーションさせる
<全体に使用できる指導法>
・ 追いかけながらのリアルタイムな声がけ
・ リズム感を声がけする
・ 目標を持たせる(1つのコブから2つのコブ)
・ 整地からのコブ作り(リズムがつかみ易い)
・
<注
意
点>
「ジュニア
※小学生まで」
・ 適切なコブを選んであげる
・ 極端に難しい状況に連れて行かない(身体が小さいため対応力に欠ける)
・ 不安を取り除く工夫をする
・ スキーをささらせないようなライン取りをさせる
「一般
※中学生から」
・ 年齢の幅が大きいので体力の差、運動能力の差を見極めて個人に合わせたライン取りや
指導法を多く取り入れる(無理のある人には見学させることも必要)
「シニア ※60 歳以上」
・ 体重移動の大きい動きはさせない
・ すぐに次の工程にいかない(一つのことを十分に習得させる)
・ ゆっくりのスピードで転ばせない
・ 体力、バランス能力、動体視力などの衰えが予想されるため、ライン取りや雪面状況に
配慮する
・ 自信は持たせても過信はさせない
<全体に共通する注意点>
・ マテリアルチェック(開放値)
・ 怪我の有無
<バリエーションプログラム>
・ ダブルストック(上体の矯正)
・ 早いストックワーク
・ テールジャンプ(片足ずつでも)
・ ピポッドターン
・ 踏み替えターン
・ プロペラターン(整地、中級斜面)
<チャレンジプログラム>
・ フェイキーターン(木の葉落とし)
・ ストックなし
<そ
の
他>
・ レーサーのためのコブ活用
スラロームが苦手、荒れたコースがなかなか完走できない。上体の位置が安定しない。そ
んな欠点を改善に導いてくれる要素がコブには詰まっている。
スラロームは小回りの要素が強く、的確なスキー操作とリズム変化をスムーズに滑らなけ
ればならない。コブではスラロームのターンスペースより距離が短く荒れたスラロームバ
ーンより深い溝があるため、レースシーンにも有効なトレーニング方法になりうる。
コブを滑れることによって、スキー操作の幅が広がり、オフピステなど様々な雪面状況に
応じた対応力強化につながる。
世代別指導法<ポール>
湯下大地、古谷正臣、長谷川勝彦、小上理恵、西山直亨
「全世代」一般スキーヤー
1.テクニカルプログラム・バリエーション
一般スキーヤーが、ポールトレーニングをするメリットが多い
ポールは様々に形を変えて設置することができることで、目的とする滑りに近づきやすい
・ターン弧の矯正ができる
・左右差の矯正ができる
・ターンを分割して考えられるようになる
・運動のタイミングを取り易くなる
・ターンの弧を描けるようになる
・フリーでのバリエーショントレーニングの難易度を上げることが出来る
2.留意点
安全性を考慮する
・ブラシポールなどを利用
思いきったターンが出来る
恐怖心を緩和できる
・コースの整備の幅はかなり広くする
規制があるが、滑る幅が広ければ安全や安心感に繋がる
3.その他
ポールトレーニングのみでは、矯正はできるが理解は浅くなるので、フリー
等をすることで理解を深める必要性が出てくる
ポールトレーニングができない環境の場合(ターンを規制する)
・ペアを作ってトレインをする(上手な人が前)
・フォーメーション
・八の字滑走
「全世代」レーサー
1.それぞれの世代の大会(目標)がある
キッズ:ナスターレース、地域の大会(区民大会等)、ローカル大会
K1.K2(ジュニア):ジュニアオリンピック、ポイントレース、全中
一般:国体、地域の大会、ローカル大会
シニア:マスターズ
*カテゴリーガイドブックが必要。各世代にポールのセッテイングや用具の
ルールが決められているので、その基準がわかっていなかったら、指導がしにくい。
近年成績を出す選手たちを考察すると
「固いバーン」
「ロングコース」
「斜面変化」
「急斜面」の要素を含んだ環境でトレーニングしている選手
が成績を出している
その環境でトレーニングすることが重要である
2.テクニカルバリエーショントレーニング
上記の4つの要素がない環境の場合どのように補うか
①固いバーンが無い
腰の位置や向き
ローテーションしない
外足にしっかり乗る
例えば..
②ロングコースが無い
インターバルを短くして、短いスキー板で滑ることでターン数を増やし
1ターンごとの負荷を大きくする
③斜面変化が無い
セットのリズムを変えてポールを設置する
フォールラインを変えてセットする(ギルランデ)
安全を考慮した中でホレ(深い溝)の中を滑る
対応能力を上げることが目的
④急斜面が無い
ライン取りを高くする(補助ポールの使用)
難しいセット
腰の位置を高くする
3.「キッズ・ジュニア」
・目標設定をして、そこに向かわせる為に上記4つの要素を練習する
目標が明確になることでやる気が出る。
厳しいトレーニングでも克服することで、技術向上だけではなく
人間性の向上においても効果がある。
4.「一
般」
・時間が限られている為、効率良く行う
具現化する為に頭で理解した上で、効率良く練習を行う
大会や目的に合わせて、上記の4つの中からピックアップ
理論や理屈をしっかり理解してもらう
5.「シ
ニ
ア」
・満足度を上げる
現状を維持
気分が良く滑れるようなセット
世代別指導法<テレマーク>
塚田洋平、横田英二、千葉
亮、川辺貴子
「キッズ・ジュニア世代」
1.テクニカルプログラム・バリエーション
★準備過程:平らでスキーをつけて→歩く・のぼる・滑る・止まる・ジャンプなど、用具に慣れさ
せてポジションの確認(鬼ごっこ・競争など)
・歩く動作を主体にテレマークポジションの感覚を掴ませる
★基礎過程:主に A パターンの運動動作からの導入
・直滑降をしながらの脚の入れ換え、滑らせ歩き。アーチをくぐるなどの上下動
・緩斜面で滑らせ歩きをさせながら方向を変える、向きを変える。浅回りターン
・あえてストックを使用させずに脚の動きに集中させる
・アルペンポジションから斜滑降〜テレマークポジションの斜滑降移行
・脚の入れ換えからの山回り。山回り〜滑り出しの角度を変えて谷回りへ。浅回りターンから基礎
テレマークターンへ(最初はストックなし)
・ゲートトレーニング(目標物を設ける)
2.留意点
・遊びの要素を入れながら歩く動作を主体にテレマークターンに導入していく。
・子供の体力や筋力を考慮し、後傾姿勢やプルークスタンスになりやすいものを考慮
・順番にこだわらずできないことよりもできることを優先して、やる気をなくさないように飽きさ
せないように工夫する
3.その他
・テレマークスキーはバックカントリースキーから発展してきたこともあり、子供用の用具が市場
にないのが現状である
・クロスカントリーの用具を代用することで、かかとが浮く感覚やテレマークポジションに必要な
センターポジションを学ばせる
「一般世代」
1.テクニカルプログラム・バリエーション
平地にて:用具に慣れてアルペンポジションとテレマークポジションの違いを確認(歩く・直滑降・
ジャンプなど)
・斜面にて:アルペンポジションからテレマークポジションでの展開で滑走し違いを確認(プルー
クボーゲン〜シュテムターン〜パラレルターン)
・横滑り〜斜滑降〜山回りをして舵取り感覚をつかむ
・B パターンの運動動作を主体にテレマークポジションでの舵取り感覚を洗練させる。後ろ足への荷
重やジャバラを曲げる感覚を掴む
・ショートターンからの導入しパラレルターンへの展開(アンギュレーション姿勢の確保がしやす
い為)
2.留意点
・お客様の求めているものを明確に把握する
・アルペンスキーとテレマークスキーのポジションの違いや運動の違いを確認する
・年齢的にはハードな部分を指導に積極的に取り入れることができ、頭と体の両方を使わせること
のできる世代。面白さと難しさの両方を取り入れられる
・筋力の違いで男女差が出てくる世代
・指導の流れや順番にこだわらず様々な角度からのアプローチをしていく
3.その他
・様々な運動を積極的に取り入れる
「シニア世代」
1.テクニカルプログラム・バリエーション
・一般世代と基本的には同じ指導の流れ
・アップライトなポジションを確立(深いテレマークポジションから高いテレマークポジションを
確認→股関節をおらずに足首を曲げる。前後に開きすぎない)
・上下動の動きの中で楽なポジションを作り上げる
・ 直滑降〜斜滑降〜横滑りを同様のポジションで行なう(腕の構え・左右のバランスも同時に確認)
・シュテムテレマークターン〜フロントステップターン〜バックステップターン状況に応じて導入
2.留意点
・疲れない楽なポジションや姿勢を身につける
・怪我をさせない為にゆっくりと安全に下りられる技術を身につける
・スタンス幅にこだわらないで個々に合ったスタンスで操作させる
3.その他
・テレマークを始めることで、ピステだけではなく、今まで経験してこなかったオフピステや山歩
きなどを始めるきっかけになる
・楽にゆっくりと滑る技術を身につけることで健康維持に役立てられる可能性がある
・年齢を理由にできないと決めつけず、様々な切り口で可能性を探り、安全に配慮して上達を促し
達成感を得られるように工夫することが大事
・技術練習一辺倒にならず、条件が良ければ見晴らしのきく、コース脇の安全な林の中をテレマー
クスキーで散策し雪山の美しい自然とのふれあいを体験してもらう
世代別指導法<スノーボード>
藤井耕司、神永慎二、小池穂高、永田結子
「キッズ・ジュニア世代」
1.テクニカルプログラム・バリエーション
①直滑降をするためのプロセス。
スキーのプルークファーレンのように、フォールラインに向けた状態で止まっている事ができな
いので、ジャンプでポジションを正しい位置に導き、ジャンプで向きを変えて直滑降をする(自
然に止まれる斜面)
②停止をするためのプロセス
スノーボードの場合、いきなり立つと危険なので両手を雪についての横滑りや、強いアンギュ
レーションをとった横滑り
③ボードの向きを変えるためのプロセス。
上半身を捻って板の動きをリードすることや、ボードを捻って左右に移動する。
④エッジを切り替えるためのプロセス。
少しずつフォールラインに向けて最終的にターンになるように、ネトロンなどを使い、行きた
い方向に目印になるように誘導する。
2.留意点
○ジャンプやゲームなどを取り入れた色々な道具を使って、遊びを織り交ぜて楽しく学んでもら
う。大人と違って子供は頭で考えるよりも体で覚える方が効率よくできる。
○お友達(受講生)とスピードの速さやジャンプの高さ、誰が基本姿勢の形がきれいにできてい
るかなどを競い合って競争心を養ってもらい向上心をつける。
○ジャンプなどでポジションのトレーニングをすることで、バランスが良くなり、転倒率をさげ
安全性を高めていく。
3.その他
10 年後の子供達が楽しく上達した姿を想像してこのプログラムを作ってみました。
未来のスキー場に早くカービングをしながら地形などでトリックをいれるスノーボーダーがたく
さん増え、そのまた次の世代の子供たちのあこがれの存在になってほしいと思います。
「一般世代」
1.テクニカルプログラム・バリエーション
○フリースタイル要素を取り入れたポジション及びバランストレーニング
①斜滑降からのスライド180°
②スライド180°からのフェイキーターン
③フェイキーターンからのリバース180°
※ターンの練習にこだわらず、早い段階でトリッキーな練習をしていくことで、より良いポジシ
ョンでスノーボードを操作していくことを習得してもらう
2.留意点
現在のスノーボードは 10 年前より進化し、ボードの両端が反りあがったロッカーボードや、1 本
のボードに2カ所のキャンバーがあるダブルキャンバーと呼ばれるボードなど、様々な形がでてき
ていることで、以前よりトリックがしやすい用具になってきている。そのような用具の進化ととも
にトリックに挑戦する人が増えてきていて、10年前はトリックがうまくできない、ターンがうま
くできないという人たちも再びスノーボードを始めても気軽に楽しめるようになっている。
この様な用具の進化とともにスノーボードの操作技術も変わってきていて、ボードを捻じったり、
より少ない力で操作できることで、トリックの動きがしやすくなっている。
以前トリック技術にチャレンジした時は、恐怖心や怪我へ対する過剰な意識から躊躇してしまっ
ていたが、用具の進化、それに伴う操作技術を身につけることで「トリック」というものへのハー
ドルが低くなっており、ターン技術が完璧に身についていない初・中級者でも、捻じるという操作
を習得していれば簡単にチャレンジできる。
ただし、両足固定されているスノーボードは、スキー・テレマークに比べ転倒のリスクも高いこ
とから、ヘルメットやパットなどを装着することで、怪我へのリスクは減ってくる。
3.その他
実際にゲレンデを見てみると、バランスが不安定にも関わらず、トリックに挑戦しているスノー
ボーダーを多く見かけます。これが現在のスノーボーダーにとっての魅力の一つになっている。今
まではボード操作やターン技術を習得後、トリック技術を応用編として取りいれるという組み立て
方が多かった。しかしトリックは上級者だけの技術ではなく、正しいボード操作を覚え始め初・中
級者にも簡単に挑戦することができ、若い世代の人たちにも興味をもってもらいやすく、「楽しい」
という部分を感じてもらえる。また、トリック動作をすることで様々なバランスを覚え、ターン技
術の向上にもつながっていく。
「シニア世代」
1.テクニカルプログラム・バリエーション
○ボードを捻じる為のプログラム
①手と足を同調させてトレーニング
②雪玉等でターン幅を規制
③雪玉ズレ幅を規制したトレーニング
※年齢的な事を考慮し、たくさんの事をやるのではなく、ポイントを押さえたシンプルな動きだけ
を習得してもらう
2.留意点
以前の滑走時に後ろ足でボードを振りだし操作していた方は、余分な力を使って滑っていた為、
すぐに疲れてしまったり、ワンパターンな滑りになり、つまらなくなってしまう人もいます。ボー
ドを捻じって滑ることを習得できれば、以前よりも少ない力でより楽に滑ることができ滑走の幅が
広がります。その事により今まで滑ることのできなかった斜面やパウダーなどへのチャレンジにも
つながっていき、新たな楽しみ方が見つかります。
ただし、シニア世代は安全への配慮を最大限に注意していかなくてはならない。天候への考慮、
無理のない斜面設定に気をつける。体力的にも衰えがみられる為、休憩をしっかり取ったり、転倒
時の安全対策として手首のプロテクターやヘルメットの装着を推奨する。
3.その他
今まで知らなかった技術を伝えることは、お客様にとって、新たな発見につながる。その喜びか
らお客様はスノーボードの楽しさ、気持ちよさを再認識しゲレンデに戻ってきてくれると思います。
世代別指導法<全体研究>
池田
進、梁取克昌、北村芳則、山之内 弘、笠井
久、山岸
聖
世代別指導法の主旨は、
お客様個人に細かく対応した質の高いレッスンを提供すること!
×一方的な技術の押し付けレッスンにならないようにしたい。
『お客様の思いに100%寄り添ったレッスンを心掛ける。』
※レッスンに際しての最重要ポイントは→ お客様を理解すること
★レッスン前の情報収集
*受付時の質問事項の見直し(技術レベル、目指すテーマなど)
*クラス分け方法を見直す
(斜度を変えてみるなど、ストレスをかけない程度の情報の収集)
*親からの情報
(キッズなどでは、子供本人だけでなく親からの情報も大切)
(親の意向確認・・・技術か? マナールールか? 楽しませたいのか?)
★レッスン時の情報収集
*リフト乗車時の会話
(リフト乗車の時間を有効に使いお客様の意向を探る。固定した生徒とだけの乗車ではなく、
ローテーションすることでの情報の収集)
*レッスンの途中においても折々にお客様が満足しているかを確認
(外国人インストラクターのレッスンなどに見受けられるストレートなやり取り)
(are you happy with~?)(満足していますか?)(理解していますか??)
入手した情報を基に“BEST”なレッスンを構築する
★それぞれの、お客様の要望に合った指導法の提供
(的確なアドバイスができるように、メソッドや今回の世代別指導法を有効に使いバリエーションを幅広
く持つ必要がある。)
導いていくゴールは 100 通り
個々に対応したレッスンスタイルが今求められるように、お客様が満足されるゴールもさまざまであるこ
とを我々は理解しておかなければならない。
様々なスタイルの「満足」を商品として用意すること・・・
今後のスノースポーツ教師に求められ、それに対応できる教師の育成が急務と考える。