課題名: 独創的な家具の設計から見る適切な材料選択とデザイン性の研究

課題名:
独創的な家具の設計から見る適切な材料選択とデザイン性の研究
<<CLICKDINER CHAIR DELTA BAMBOO>>
指導教員: 千葉
一雄 教諭
玉木 真
補佐員
1. 研究目的
設計図のない状態から、資料をもとにオリジナルに近づけていくことで、製作者の作品構
想を学び、自分の構想力の向上に役立てる。使われている材料と、その使い方を調べること
で、適切な材料選択をできるようになる。
2. 実験方法
接合部に下記の方法で力を加えてその強度と壊れ方を調べる。
・2 等分点荷重による曲げ試験
・3 等分点荷重による曲げ試験
・引張試験
図 1. 2 等分点荷重
図 2. 3 等分点荷重
表 1. 試験体の規格
試験体
厚さ[mm]
18
16
16
15
パインの集成材
シナベニヤ
竹の集成材
ランバーコア
幅
[mm]
53
47.5
47.5
47.5
図 3. 引張
長さ[mm]
360
320
320
320
図 4. 寸法
3. 実験結果
3.1 2 等分点荷重による曲げ試験
図5
試験体種類
①パイン
②シナベニヤ
③竹
図6
表 2. 2 等分点荷重による曲げ試験の結果
断面2次モーメント[mm
断面係数[m
4
m3]
]
長さ[mm]
荷重[N]
曲げモーメント
曲げ強度[N
ひずみ
[N・mm]
/mm]
[mm]
17496
1944
360
2200
198000
101.85
11.58
8192
1024
320
860
68800
67.19
16.925
12255
1532
320
1640
131200
85.65
27.14
④ランバーコア
6750
900
320
700
56000
62.22
15.515
3.2 3 等分点荷重による曲げ試験
図7
図8
表 3. 3 等分点荷重による曲げ試験の結果
試験体種類
①パイン
断面2次モーメント
断面係数
[mm4]
[mm3]
長さ[mm]
荷重[N]
曲げモーメント
曲げ強度[N/m
ひずみ
[N・mm]
m]
[mm]
17496
1944
360
1680
201600
103.70
9.625
②シナベニヤ
8192
1024
320
1200
128000
125.00
13.825
③竹
8192
1024
320
2200
234667
229.17
21.98
④ランバーコア
6750
900
320
600
64000
71.11
8.68
3.3 引張試験
表 3.引張試験の結果
引っ張り
赤は力が
最も加わ
る所を表
す。
パイン
1300
シナベニヤ
2200
竹
2200
ランバーコア
図9
強度[N]
640
図 10
3.4 各材の特徴
パイン:強度、質感は全体的に良いが、むく材に近いので、加工の際繊維方向に注
意がいる。
シナベニヤ:加工は比較的簡単だが、断面が粗く見た目がよくない。
竹:見た目のわりに重くしっかりとしていて、質感もとてもよい。しかし、加工が
難しい。
ランバーコア:とても軽く、加工が簡単だが同時にとても脆い。
4. 考察
今回、家具の材料選択において重要とするのは、質感、加工のしやすさ、強度である。
オリジナルの竹は加工のしやすさを除けば最適であるといえる。残る3種を比較する
と、強度においては人が乗るには十分な強度があるので、質感と加工の点で評価する。
評価のウェイトの割合は質感の方が高いので、パインが最適である。
今回の実験の結果から選んだ材料で、椅子の製作に取り掛かる。