平成 27 年度 6 月 10 日 「平成 27 年度 J クイックハンドボール指導者講習会」報告書 1.場所: 味の素ナショナルトレーニングセンター: 講義(会議室)・実技(共用コート) 2.日時:平成 27 年 5 月 31 日(日) 3.講師:日本ハンドボール協会 指導委員会 指導者育成専門委員: 三輪 一義 4.参加者:都道府県小学生クラブ担当者 (東地区)約60人 ※沖縄県参加者:沖縄県ハンドボール協会 常任理事 :吉田 忠 沖縄県ハンドボール協会 審判部 :宮城 亮平 沖縄県ハンドボール協会 普及強化部 :新垣 誠 ※実技講習特別参加: ①東久留米ハンドボールクラブ(男女)・約20人 ②府中ハンドボールクラブ(男女) ・約20人 5.講習会の趣旨 ①Jクイックハンドボールの理念への理解 ②実施方法、ルールの理解 ③練習方法の提示実技研修 ※講習会趣旨は今回の講習会資料より抜粋致しました。 6.講習日程内容:10:30 (受付) 11:00-12:00(講義) 12:00-13:30(昼食) 13:30-15:00(実技研修①練習方法) 15:00-16:00(実技研修②モデルゲーム:東久留米 HC / 府中 HC) 16:00-16:15(講義・実技講習の質疑応答) 16:15 (講習会終了) 16:15-16:30(専用ハンドボールコート視察) 7.報告: 講義 ①11:00-11:15 ☆講師による、プロジェクターを使用しての講義でした。 ☆まずはじめに「我々は、何を求めて指導している?」このようなタイトルからはじまりました。 ※各指導者のさまざまな価値観があるとは思うが、最終的に考え付くのは、 「子供の笑顔(喜び)」ではないのか? と言う事でした。 最終的にはこのような事(子供の笑顔―喜び)を考えて指導しているのではないか… では 子供の笑顔(喜び)とは何だろう??? 1つ目は出来た嬉しさではないだろうか。(出来なかった事が出来るようになった!!) 2つ目は勝った嬉しさではないだろうか。(試合で勝った喜びを知る事の大切さ!!) 「出来た嬉しさ」「勝った嬉しさ」を指導した先には「子供の笑顔(喜び)」があり、 この様な考え方を最終的に指導者が求めているのではないか、という話がありました。 ☆次に、「我々(小学校指導者)は、今、何を目指すべきか?」このようなタイトルでした。 ① 2020 TOKYO(オリンピック) or ②2015 KYOTO(全国大会) or ③2020~japan(2020 年以後の日本) ※現在小学生クラブ指導者としての考え方として下記のような答えになるだろうとの話でした。 ①2020 TOKYO(オリンピック)...×(現在小学生なので5年後の未来にはなかなか難しいのではないか) ②2015 KYOTO(全国大会)………...△(再来月の事も大事だが、それだけではないだろうとの事でした) ③2020~(2020 年以後の日本)...◎(他の誰でもない現在の指導者がささえていくものである) ※具体的な例(2015年・現在4年生―10歳とすると) 2015年・小学校4年生(10歳)☆Jクイック導入 ↓(体験・経験) 2020年・中学校3年生(15歳)☆少なくとも個人判断能力は格段にアップ ↓(体験・経験) 2025年・大学2年生(20歳) ☆日本代表の基礎能力(個人技術・戦術理解力・思考判断力) 2015とは比較できないほど高くなっているだろう。 (暫定てきにすぎませんがとの事でした) ※この様なハンドボールの練習過程を得て、選手を育てていくという1つの考え方もあるだろうとの事でした。 ☆次に、「2015年 U-12 ゲーム様式」今なぜ? このようなタイトルで話をされてました。 世界のハンドボールに着目し、現在どのようなハンドボールを世界が行っているのか? 世界のデータを分析し集約して今後の日本のハンドボールを強化していく必要があるとの事。 ※ロンドンオリンピックの各国の DF をまとめた表です。 2012 LONDON OLYMPIC DF 6-0 ノルウェー モンテネグロ フランス ブラジル クロアチア ロシア デンマーク スウェーデン イギリス 5-1 スペイン アラブ 女子 3-2-1 3-3 4-2 韓国 IHF・EHF によるセットディフェンスのトレンド ☆ 6:0 System: 近年このシステムは大幅に発達している!!との話でした。 注意!! 6:0 System は我々が思っているベタな一線ではない!!との事です。 ※ベタ下がりの 6:0 では無く、6:0 System を取りながら、5:1 /3:2:1 に連動させる様なDF。 ☆ 5:1 System:ヨーロッパで長い伝統と流行があったが、6:0 とは対照的に 近年注目の発達が無いとの事でした。 ☆ 3:2:1 System: 近年、特にトップレベルのハンドボールで人気が低下している。 結果として、2012世界選手権ではどのチームも使用されては無かった。 主要な性質としては、攻撃性、深さ、想像力。困難な状況からシュートを打たせること。 この概念は現在 6:0 と 5:1 の概念の中にも含まれているとの話でした。 ※多くの国は、若手選手育成の段階に、3:2:1 DF で技術的な知識を身につける、 将来の DF 戦術に繋がるとの事です。 ☆ 3:3 System: ヨーロッパではあまり使用されてない。伝統的に韓国チームが使用している。 積極的な DF によって、身長と体重のハンデを補おうとしている。 技術のある個人や高い戦術能力を持つチームにとって、あまりにも大きな領域を与えてしまう。 若い年齢の選手にとって非常に重要なままである。 ☆ まとめ:①グローバルスタンダードのようなものが出来ている。 ②メインの DF システムのシンプル化+アグレッシブな要素 ③ここの DF 行為における高度なレパートリー ↓ すべての国が必ずアグレッシブな要素を持っている。 ↓ すべての国が同じように発展して行っているわけではない U-12 なぜ変えるのか!? 日本が世界で勝つためには(日本がオリンピックに出られるには) ① 判断力、想像力、トータルモビリティー(総合的機動力)が必要との話でした。 ヨーロッパでの育成法 ① トータルモビリティー(総合的機動力)、判断力、少年期のトレーニング ※練習:ゲーム的要素をふんだんに取り入れた練習 大会:練習成果を確認 (上記を含め)全国大会のゲーム様式を変える=普段の練習方法を変える ※普段の練習の中でJクイックを取り入れた練習をチャレンジしてもらいたい! ※全国大会のルールを変える事で、普段の練習を変えてもらいたい!! ②11:15-11:30 ☆次にゲームの発達の段階についてを学びました。(世界で考えられている段階のシステムの流れ) ①だんご型(ボールを中心に攻撃と防御が入り乱れる・小学1年生~3年生ぐらい) ↓(体験・経験) ②半ゾーン型(ボールに密集するグループと速攻に対応した防御グループ(ゾーン)に分かれる。・3年生~4年生ぐらい) ↓(体験・経験) ③ゾーン型(速攻に対応した防御グループ(ゾーン)で試合運びが出来るようになる・4年生~5年生ぐらい) ↓(体験・経験) ④システム型(意図的なプレーによって判断力が伴うゲームが出来るようになる・5年生~6年生ぐらい) ↓(体験・経験) ⑤機動性に富んだ柔軟なゲーム(U-13~15年代) ↓(体験・経験) ⑥多様で応用力のある組織的ゲーム(U-16年代~) ☆次に「スキャモンの発達・発育曲線」について学びました。 スキャモンの発育発達曲線を参照すると、神経系統は生まれてから5歳頃までに 80%の成長を遂げ12歳でほぼ 100%になります。 この時期は、神経系の発達の著しい年代で、さまざまな神経回路が形成されていく大切な過程となります。神経系は、一度その経 路が出来上がるとなかなか消えません。 ※スキャモンの発達・発育曲線についてはインターネット等でも確認できます。 ※「スキャモンの発達・発育曲線」にハンドボール選手を照らし合せると、小学生の段階で選手たちに 「出来た喜び、勝てた喜び」与えるような価値観を持って頂きたいとの話でした。 ③11:30-11:45 ☆小学生段階で身につけさせたい要素とプレースキル ①走・跳・投そろった運動能力 ②判断力・創造力 ③仲間と連携 正確なパスキャッチ 的確で速い状況把握と判断 力 フットワーク(多様な足さばき) 求められる選手像 問題のない攻防の切り替えに対処できる身体さばき 広がりや奥行きの感覚 動きながらの的確な判断・正確な技術 ☆ゲーム様式 10-(5)-10-(5)-10 キーパースローからのスタート 三セット シャトルラン(実質24メートル反復走) 間断の無い攻防 視野の広さ、動きながらの正確な技術 積極的な防御 オープンディフェンスの採用 防御とは、ボールを獲得するために行う 個の力を高める(防御力ともに攻撃も高まる) ボールを奪って攻める ☆新ルールのねらい(目的) 基本的な DF 足を使った Open DF の徹底 空いているところを攻める習慣付け 基本的な OF 空けたところを攻める習慣付け ③11:45-12:00 オープンディフェンス導入のための教材例として you tube にある映像勉強をしました。 映像勉強資料として、下記に記載されてある You Tube で日ホンハンドボール協会委員会で検索し 練習内容の中からいくつか抜粋し映像勉強及び練習紹介がありました。 You Tube 日ホンハンドボール協会委員会での検索例 ①NTS2004 ジュニアハンドボールの基本 U-12 ②NTS2006 ジュニアハンドボールの基本 U-12 ③NTS2009 個人スキルトレーニング金・銀・銅 U-12 ④2014 年トップコーチセミナー東京会場(フェルドマン) ⑤2015 年トップコーチセミナー(モチャイ) ※映像を見てたくさんの指導に役立つヒントがあるので参考にして下さいとの事です。 ☆次に参考資料として弟9回浦添市小学生新人大会の映像を見ました。 男子・準決勝 神森A 41-21 八重瀬A 決勝 神森A 23-19 浦城A 男子Cパート 神森C 27-4 宮城C ☆映像資料を見て jクイックを導入した事で、準決勝ではありえないような点差が開く事もあるし、決勝の様な点数にもなりう るし、Cパートのように点差が開く事も起こりうるが、そのような現実に起こった事も理解した上で、将来のこと を想定し、小学生の段階には必要な事としJクイック導入するに至ったとの事です。 ☆前半講習のまとめ 日本ハンドボール協会がさまざまなデータをもとに、将来の日本ハンドボールにとって今やるべき事の1つとし、 新たな試みとしてU-12の時期にJクイックを導入させ将来の日本ハンドボールの活躍を想定し、今回のJクイ ックの導入に至ったとの事でした。 8.報告:実技講習 ①13:30-16:00 ※下記の内容で実習が行われました。 W-UP ○紙鉄砲で「腕のしなり」と「肘を上げる」習慣づけ ・ボールは身体の中心から離す癖をつける ○小刻み切り替えしフットワーク ・1セット15秒間の3セット、1m/2m/3m/5m ・パスカットの腕を出し続ける ○2:1の追いかけっこ、3:1の追いかけっこ ・その場に留まらずにパス&ラン(3歩 OK)-2:1 ・ターゲットをしっかり探す(キャッチ後は0歩)-3:1 パススキル ○対面パス1<ノーマル> ・ボールは体軸から必ず離す ○対面パス2<ノールック> ・シュートを狙いながらパス(ステップ・ジャンプ) ○対面パス3<フェイクパス><フェイクシュート>右・左 ・シングルフェイクからパス、シングルフェイクからジャンプシュート ○対面パス4<ダブルフェイクパス><ダブルフェイクシュート>右・左 ・ダブルフェイクからパス、ダブルフェイクからジャンプシュート マークDF ○3人組で空間1:1 ○センターラインか上から1:1マーク(ドリブル及びドリブルカット) 中間ポスト ○高めDFをかわして、ディスタンスシュート 〃 (パス&ラン) (ボールなしラン) ○高めDFをかわして、ラインDFにカットインシュート(パス&ラン) 〃 (ボールなしラン) ○マークDFをかわして、中間ポスト2:2 2ヶ所の3:3 2ヶ所の4:3 Jクイック デモストレーションゲーム (東久留米 HC - 府中 HC)男女・2試合ずつ ☆まとめ Jクイックハンドボール講習会を受講し、日本ハンドボール協会の U-12 に対しての実技指導方法、考え方、方向 性が確認できた講習会でした。 ※本派遣は、2015年度「J クイック指導者講習会」競技力向上対策のひとつとして開催さ れました。 報告者:新垣誠(小学校普及強化部) ☆会議室で講義の様子 ☆実技講習の様子-① ☆実技講習の様子-②
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