ボスニア・ヘルツェゴビナの ボスニア・ヘルツェゴビナの教育制度

ボスニア・ヘルツェゴビナの教育制度
ボスニア・ヘルツェゴビナの教育制度
ボスニア・ヘルツェゴビナの国家の仕組みは、国家憲法、2つのエンティティ(ボスニア・ヘルツェゴビナ連邦とスルプス
カ共和国という、高度に分権化された政治体)の憲法と10のカントン(自治体)の各憲法、ブルチコ特別区の法律により定
められており、ボスニア・ヘルツェゴビナの教育制度はその複雑な国家制度を反映している。ボスニア・ヘルツェゴビナの
国家レベルでは5つの法律が制定されている。幼児教育に関する法律, 初等教育・中等教育(日本の小学校・中学校・高等
学校)に関する法律,中等専門教育と実習(訓練)に関する法律, 高等教育(日本の大学・大学院)に関する法律, 幼児教育、
初等・中等教育機関に関する法律。
教育システム
教育システム
ボスニア・ヘルツェゴビナの教育は4つのレベルで行われている。
・ 幼児教育
・ 初等教育(日本の小学校・中学校に当たる)
・ 中等教育(日本の中学校・高校に当たる)
・ 高等教育(大学教育)
初等教育は6歳から始まる義務教育で、9年制である。初等教育は無償である。
中等教育は全ての生徒が受けることができるが、小学校での成績、本人の希望と能力によって進路が決まる。
中等教育課程修了後は高等教育課程(大学教育)に進むことができ、国際的に認められた水準の教育を受けることができる。
ボスニア・ヘルツェゴビナの4年制中等学校を卒業した全ての人が、大学教育を受けられる。
美術教育
小学校の最初の4年間では、美術の授業は週2時間(時限)、年間で68時間(時限)行われる。後の5年間は、週に1時間(時限)
、
年間34時間(時限)行われている。 小学校における美術教育の目的は、美術の基礎知識、文化、想像力を高めることにある。
授業を通じて、生徒は美術の道具や素材の使い方を知り、技術(技法)と美術用語を学ぶ。公立の普通中等学校教育は無償で
ある。美術教育はギムナジウムなどの普通中等学校で行われている。授業は理論と実技で構成されている。理論部分では、
古代から現代までの美術史の概要を学ぶ。中等学校の科目数は13または14科目ある。芸術科目には美術と音楽が含まれ
ている。美術は1年生、音楽は2年生で履修する。美術と音楽の授業は週に1回2時間、1年間で70時間行われている。美術の
中等学校は4年制で、卒業後は就職したり、大学へ進学することもできる。
中等美術学校の授業は、組(クラス)とグループに分かれて行われる。組ごとの授業では一般科目、グループごとの授業で
はそれぞれの専門に沿った授業を受ける。一般科目は以下の通りである:数学、ボスニア語・クロアチア語・セルビア語と
文学、英語(必修)
、フランス語またはドイツ語(1つを選択)、哲学、美学、地理、ボスニア・ヘルツェゴビナ史、スポーツ、
民主主義と人権教育。専門科目には、解剖学、立体製作(陶芸)、彫刻、金属加工、情報(コンピューター)、製本、テキス
タイル・デザイン、設計理論(基礎)、グラフィックデザイン、デッサン、美術史、がある。専門教育は6つのコースに分か
れている:絵画、造形(彫刻),金属加工、テキスタイル・デザイン、製本とイラストレーション、グラフィックデザイン。
高等教育(
高等教育(大学教育)
大学教育)
ボスニア・ヘルツェゴビナには美術大学が3校ある。最も歴史が古いのは国立サラエボ美術大学である。
美術大学は6学科から構成され、多数の選択科目がある。
・ 美術教育学科
・ 絵画学科
・ 彫刻学科
・ 版画学科
・ グラフィックデザイン学科
・ プロダクト・デザイン学科
各学科におけるカリキュラムは、学生がヨーロッパの美術教育水準を満たすように設定されている。国立サラエボ美術大
学は、2006年・2007年度からボローニャ・教育システム(学部4年+修士1年)を採用した。
大学教育は3つの課程で構成されている。第1課程の4年間(240単位)の学部教育で、修了すると美術学士号を得ることができ
る。第2課程は1年間(60単位)で、美術修士号を取得することができる。
現在、第3課程のカリキュラムが編成されており、3年間の課程(180単位)を修了すると美術博士号が与えられる。