別記様式第 11 平成20年度地域木造住宅市場活性化推進事業費補助金成果報告書 1. 事業名 「j.Pod 工法による耐震シェルター及び木造住宅の開発・普及に関する事業」 2. 事業実施期間 平成20年 8 月~ 平成21年 3 月 3. 事業主体 有限責任事業組合 j.Pod エンジニアリング 4. 事業の成果 平成20年度は事業計画書にもとづき下記の3項目について事業を行い、それぞれ所期の目標を達 成した。 ①「品質管理基準の確立事業」 地域産のスギ材を用いた j.Pod(耐震構法システム)を下表のように体系化し、素材および構成部 材、施工(組立)の品質管理基準を定めて、1冊の技術基準書(提出成果物として添付)に取りまと めた。本基準にもとづく特記仕様書および品質管理チェックリストならびに標準価格表も併せて作成 し、山元から一般ユーザーに至るまでのトレーサビリティを可能としている。今年度は 3 物件の試験 施工(ただし交付金対象外)を行い、品質管理の手法を確立することができた。 名称 用途 種別 標準部材 付帯シス テム リブフレーム j.Pod ウォール j.Pod j.Pod 耐震シェルター 在来軸組工法におけ 柱壁として木製横架 戸建て住宅、集合 既存の木造住宅内に設置 る耐震要素として耐 材または鉄骨梁と組 住宅ほかの一般建 して生命を守る耐震シェ 震改修工事に適用 合せ、大架構を形成 築物に適用 ルター(居室) 内法幅:300~1500 シ 内法スパン:4.5m 以上 内 法 幅 : 1.82m ・ 内法幅:2.73m、 リーズ(小幅・中幅)、 階数:平屋 2.73m・3.64m 奥行:2.73m、 1820~3640 シリーズ リブフレーム:300~ 階数:平屋・2 階・ 内法高さ:2.54m 以下(端 (大幅) 1500 シリーズ 3階 2-36×150(180) 固定金物(専用) 2-36×150 屋根システム 部はダブル) 2-36×180 2-36×180 GAP(連結)システ 水平面(落下防止)およ ム び座屈止め仕様 ②「構造耐力実証実験事業」 【実験の概要】 j.Pod 耐震シェルターの性能を検証するために、木材お よびねじ類の材料実験、リブフレームの水平載荷実験 鉄筋ブレース 1-M22 (ターンバックル付き) と、j.Pod 耐震シェルター(単体)の鉛直方向と斜め方 向からの載荷実験を下記の大学と公的機関に委託して 行った。 耐震シェルターの鉛直載荷実験 2008 年 8 月 7 日(財)日本建築総合試験所(予備実験につき交付金対象外) 耐震シェルターの斜め載荷実験(フレーム方向) 2008 年 10 月 30 日 同試験所 耐震シェルターの斜め載荷実験(ブレース方向) 2008 年 10 月 31 日 同試験所 リブフレーム要素の水平載荷実験・材料実験 2008 年 10 月 21~12 月 10 日 福山大学 j.Pod 耐震シェルター(鉛直耐力約 1000kN)のフレーム方向斜め載荷の荷重と変形の関係は、オイ ルジャッキのストロークの限界である 1/5 まで安定した状態で実験を終了した。ブレース方向は、ブ レースが降伏してひずみ硬化領域に入っても耐震シェルターの性状は安定していた。 j.Pod 耐震シェルター(4.5 畳間相当)は、2 階建ての木造住宅(2.5kN/㎡)1 階で 12 畳間程度の 部屋に設置した場合、家屋が倒壊しても耐震シェルターとして十分な生存空間が確保できることが確 認できた(大阪府木造住宅耐震改修マニュアルによる) 。 リブフレーム試験体 加力ジグ 押し側(-) 耐震シェルター斜め載荷実験-フレーム方向 ((財)日本建築総合試験所) 【j.Pod 耐震シェルターの適用】 上記の実験結果にもとづき、国土交通省近 畿地方整備局建政部および大阪府、大阪市の 担当部署を交えて耐震シェルターの行政上 の取り扱いにつき協議を行って、添付の耐震 シェルターリーフレットを作成、j.Pod エン ジニアリングのホームページに掲載した。 (2009 年 4 月より大阪で供給を開始予定) 試験架台 モートルシリンダ 容量 100kN ストローク 630mm 引き側(+) 試験体固定ジグ リブフレーム要素実験(福山大学) ③「材料調達・流通確立事業」 【生産拠点の確保】 j.Podの主要構成資材は地域産のスギ材と鋼製部材および金物類である。鋼製部材などはすでに市場が確 立しており安定的な供給は問題ない。本事業では地域産のスギ材を一定の品質(強度および含水率)を確 保しつつ安定的に供給できるルートを確立すべく、大阪府近辺から可能な各地を訪問してデータを蓄積し た。当面の生産拠点としては、四国(高知県吾川森林)からの供給ル ートを確保し、リブフレームの製作は香川県内および兵庫県内、奈良 県内の製材工場にて行える体制を整えた。これらの供給体制は3件の 試験施工にて実証した。ただしスギ材の生産拠点としては大阪府近郊 の兵庫県・京都府・奈良県・和歌山県・福井県の原木市場からも可能 であり、原木伐採→集積→製材→乾燥→リブフレーム製作→現場搬送 →j.Pod組立の一貫作業をトレースできる体制をとっている(添付の技 術基準書に品質管理体制を記載)。 リブフレームの製作指導状況 【j.Pod工法協会の設立】 j.Podを用いた木造住宅を安定し て供給するシステムを構築するため に関連の業種からなるj.Pod工法協 会を設立し、組織的な供給体制を整 備した。j.Podに関する特許は複数あ り、それぞれの特許権は4者の共同所 有であるが、有限責任事業組合j.Pod エンジニアリングが独占的に実施す る契約が締結されている。本実施契 約にもとづいて、大阪府内を中心と して設計事務所・工務店・木材加工 業者・関連資材メーカーなど16社で 構成するj.Pod工法協会の会員(企 業)が連携をとりつつ、品質の高い 木造住宅を供給する。また既存の木 造住宅耐震改修工事を行っていくことができる。本協会は大阪および近畿圏での生産供給・施工の体制で あるが、今後は全国的に工法を普及させるとともに、地域ごとに組織化を行っていく予定である。 耐震シェルターの試験組立(2009 既存木造長屋の耐震改修(2009 年 1 寺院の耐震改修(2008 年 12 月香川 年 2 月大阪府内) :交付金対象外 月大阪市内):交付金対象外 県内):交付金対象外
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