自然環境保全の啓発 ナチュラリスト(自然解説員)による自然解説 1974年(昭和49年)に、富山県が全国に先駆けて配置したナチュラ リスト(自然解説員)が、自然観察ツアーを通じて、立山の自然や歴史 はもとより、立山における自然環境を守る取り組みを、次世代を担う 青少年や観光客の皆さんに伝える活動をしています。 立山の室堂平(標高2,450m)では、5月から10月までナチュラリス トを配置して、5つの自然観察コース(所要時間30分から2時間)を用 意しています。 ナチュラリストによる解説活動(室堂) 弥陀ヶ原(標高1,950m)でも4つの自然観察コース(所要時間1時 間から2時間30分)を用意しています。 ナチュラリストの皆さんは、自然観察ツアーの時にもゴミ袋を持って、 率先してゴミを収集しています。そのため、全国各地から訪れる観光 客から「立山はゴミが少ない」と評判です。 ナチュラリストによる解説活動(弥陀ヶ原) ナショナル・パーク・クリーン作戦 立山黒部環境保全協会(市町村、山小屋、運輸事業者等で構成)で は、1967年(昭和51年)から、①ゴミ持ち帰り運動の実施、②美化 清掃大会の開催、③アルバイトによる巡回ごみ収集などを行ってい ます。 ゴミ持ち帰り運動を推進するために、公園内のゴミ箱を撤去し、ゴミ 持ち帰り用の袋を観光客に無償配布しています。 立山美化清掃大会 美化意識を啓発するために、夏山シーズンの終わりに、美化清掃大 会を開催していますこれには、県内ボランティア、自然保護団体、山 岳団体等の関係者が多数参加されます。 シーズン中は、環境保全協会でアルバイトを雇用し、定期的に巡回 してゴミ収集を行っています。 アルバイトによる巡回ゴミ収集 貴重な動植物の保護 特別天然記念物ライチョウの保護対策 氷河期からの生き残り生物として、明治43年に保護鳥に指定されて捕獲禁止、 大正12年に天然記念物、昭和30年に特別天然記念物に指定され、大切に保 護されてきました。 遊歩道からライチョウ生息地のハイマツ地帯へ踏み込まないよう保護柵を設置 したり、保護柵を乗り越えた人に注意を促すパトロールを実施しています。 春山でスキーやスノーボードをする人たちが、ライチョウのエサ場と なるハイマツ帯に立ち入らないよう立入禁止区域を設け、繁殖期を 迎えて活動し始めたライチョウを保護しています。 ライチョウ生態調査 県では、雷鳥保護のために、昭和47年から、富山雷鳥研究会等の 協力を得て、「ライチョウ生態調査」を継続的に実施しています。 立山自然保護センターでは、平成17年からライチョウ募金箱を設置 して、立山を訪れた方たちに支援をお願いしています。集まったお金 は、県が実施するライチョウ保護対策に使われています。 雷鳥保護のための柵、注意表示 植生復元と歩道整備 立山地区植生保護と公園施設整備 登山者や観光客の踏み荒らし等によって消滅した植生を、現地の植物により復元を図っています。 遊歩道や登山道等を整備して利用者の安全を図るとともに、植生への踏み込みを防止しています。 外来植物の除去 立山の山岳景観と生態系に影響を及ぼす外来植物(立山に本来なかったセイヨウ タンポポ、シロツメクサ、オオバコ、スギナ等62種)を積極的に除去しています。 立山自然保護センターや立山駅、扇沢駅などアルペンルートの各駅舎にフロアマットを 設置し、観光客の靴底について運ばれる外来植物の種子の浸入を防いでいます。 ボランティアによる除去作業 平成23年に外来植物除去マニュアルを作成し、毎年、関係機関や自然保護団体 のボランティア活動として、外来植物除去に取り組んでいます。 外来植物除去は、平成9年ころから始まった取り組みですが、平成26年では16 団体、40回、延べ750人の参加があり、これまでに約120万本を除去し、常に 外来植物が少ない状態を保つようにしています。 立山駅に設置したフロアマット 自然への負荷軽減 アルペンルート沿線施設のゴミ処理 従来、ホテルや山小屋、立山センターや各駅舎などのアルペンルート 沿線施設では、それぞれが焼却炉等でゴミを処理していましたが、平 成6年以降は、各施設が費用を分担しゴミ収集車により可燃ゴミを平 地まで下ろし、クリーンセンターで焼却処分をしています。 現在は、毎日、平地からゴミ収集車が来て、ゴミを収集しています。 収集したゴミの重量は当初250トン近くもありましたが、ゴミ持ち帰り運 動の効果もあって、年々ゴミの量が減少しています。ちなみに、1トン当 りのゴミ処理費用は4万円強で平地の2倍以上の経費がかかっていま す。 ゴミ収集車でゴミの回収 室堂平周辺施設の排水処理 立山黒部アルペンルートの開通とともに室堂平への電力供給が可能と なったことから、室堂周辺のホテルや山小屋、公共施設等では、合併処 理浄化槽を設置して排水基準をクリアする灰主意対策を講じています。 合併処理浄化槽の定期点検 環境に配慮したトイレの推進 電気・水の供給が困難な山岳地の公衆トイレを、汲取り式トイレから、 し尿を土壌バイオ菌で浄化し、線浄水として循環させ外部に排水しな い自己処理方式の環境配慮型トイレとして再整備しています。 環境配慮型システム これまでに、一ノ越、弘法、別山乗越、美女平等の登山道沿いのトイ レ、剱沢、薬師峠、雲の平等の野営場のトイレを整備してきました。 民間の山小屋のトイレ改修には、国及び県が助成して、室堂平の各 山小屋をはじめ、剱沢小屋、奥黒部ヒュッテ、五色ケ原山荘、高天原 山荘、内蔵助山荘など奥山の山小屋も整備を進めています。 公衆トイレ・山小屋トイレ このように改良整備したトイレにはチップ制(1回100円程度)を導入 して、利用者に協力を呼びかけています。 チップ箱 携帯トイレ 登山中やむを得ず行われる野外排泄による環境汚染を防ぐために、 登山する時には携帯トイレを携行し、いざという時に使用していただく ようお願いしています。 携帯トイレ(300円)を販売し、使用済みのものを回収(100円)する仕 組み(携帯トイレネットワーク)を関係機関の協力を得て構築しました。 排気ガスの低減 立山有料道路のマイカー規制 桂台~室堂平間の立山有料道路では、昭和46年の開通時から、自然保護 及び交通安全上の観点からマイカーの乗り入れを禁止しています。 通行できる車両は、旅客用バス(緑ナンバーの営業車)と公安委員会の許可 を受けた車両(工事用、山小屋関係、管理用等)だけで、タクシーは通行でき ません。 全国の国立公園内の自動車道で、開通時から全期間にわたってマイカー規 制を継続してきたのは立山だけです。 桂台料金ゲートでマイカー乗り入れ規制 環境にやさしい交通体系 立山黒部アルペンルートは、ケーブルカー、ハイブリットバス、トロリーバス、ロープウェーなど環境への負 荷が少ない交通機関で構成されています。 ケーブルカー ハイブリッドバス トロリーバス ロープウェー ケーブルカー トロリーバス バスの排出ガス規制とアイドリングストップ条例 富山県は、平成27年4月から立山有料道路を通行する大型バスの排気ガス から沿線の貴重な動植物を保護するため、「立山におけるバスの排出ガスの 規制に関する条例」により、バスの排出ガス規制を行います。 規制内容は、自動車Nox・PM法の窒素酸化物基準及び粒子状物質基準に適 合しないバスは桂台~室堂平間を通行することが出来ません 地元立山町では、立山地区での排気ガスの 抑制を図るために、平成12年7月にアイドリ ングストップ条例を制定しました。 エアコンを効かせて待つ駐車中のバス等に、 出発直前までエンジンをかけないよう協力して いただいています。 アイドリングストップの呼びかけ バス排出ガス規制
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