日本美容外科学会(JSAPS) 122 回学術集会 プログラム・抄録集

日本美容外科学会
JSAPS
第 122 回学術集会
プログラム・抄録集
2015 年 1 月 10 日(土)
東京
JA共済カンファレンスホール
日本美容外科学会(JSAPS)
122 回学術集会
プログラム・抄録集
開 催 日
会
場
2015 年 1 月 10 日
12:30 ∼
JA 共済ビル カンファレンスホール
東京都千代田区平河町 2-7-9
TEL. 03-3265-8716(施設事業部)
組織会長
阿部 浩一郎(青山研美会クリニック)
事 務 局
医療法人社団研美会 青山研美会クリニック内
〒150-0001 東京都渋谷区神宮前 3-42-16
TEL. 03-5413-1777 FAX.03-5771-1635
E-mail. [email protected]
担当:風間則子
ご注意とお願い
学術集会参加者へのお願い
1.
当日学会会場の受付にて参加登録をお願いいたします。
2.
会場では必ずネームカードの着用をお願いいたします。
3.
お帰りの際にはネームカードのケースの返却をお願いします。
参加費
会員、研修医:5,000 円 非会員:20,000 円
※非会員の参加は事前に会長の許可が必要です。
※研修医の参加は所属長を通じて事前の連絡をお願いいたします。
※演題の発表は PC のみとさせていただきます。
※学会終了後の懇親会の予定はありません。
演者の先生方へのお願い
1. 当日、参加受付付近に PC 受付がございます。発表の 1 時間前までに、試写をお済ませください。
2. プレゼンテーションをされる方は、USB または CD-ROM にてデータをご持参ください。
※念のためバックアップ用のデータも併せてご用意ください。
3. 会場で使用する PC は Windows(OS:Windows7、アプリケーション Microsoft PowerPoint 2003 以降
のバージョン)となります。なお、プレゼンテーションに動画が含まれている時はご自身の PC を使
用して、モニターにつないでご使用いただけますようお願い申し上げます。また、PC でマッキント
ッシュをご使用の時はご自身の PC を使用してモニターにつないで使用してください。モニター接続
用のアダプターを忘れずにご持参ください。
会場へのご案内
JA 共済ビル カンファレンスホール
東京都千代田区平河町 2-7-9
TEL. 03-3265-8716(施設事業部)
東京メトロ
有楽町線・半蔵門線・南北線
「永田町駅」4 番出口
4 番出口
徒歩 2 分
ご挨拶
一般社団法人日本美容外科学会第122回学術集会
組織会長
阿部浩一郎
本日は、年明けのお忙しい時期に、第 122 回日本美容外科学会学術集会に
ご参加賜り、誠にありがとうございます。この度、組織会長としてこの会を
主催させていただきますことを、たいへん光栄に思います。
さて、日本の美容医療は、法制と教育システムの不備の為、混沌とした時代を迎え、それらの整備が急
務となっております。今回は美容医療におけるトラブルについて、消費者の視点から、東京都消費生活総
合センターの井坂江美子主任相談員に特別講演していただけることになりました。
また、私が以前より取り上げてみたかった、
「中顔面の若返り」をメインテーマとして教育講演とシンポ
ジウムを組みました。演者、シンポジストは現在日本の美容医療を牽引されている素晴らしい先生方に引
き受けて頂くことができました。
お陰様で一般演題も多数エントリーしていただき、募集期間終了前に予定数に達したため、発表の準備
をされていたにも拘らず、エントリーできなかった先生にはたいへん申し訳なく存じます。限られた時間
の学術集会ですのでご容赦いただければ幸いです。
演題の内容も、日本美容外科学会の会長経験者を含
む、第一線で活躍されている諸先生によるバリエーションに富んだものとなっています。
本日、参加されました本会会員がこの学術集会を通じ、日常診療に役立つ知識や、ヒントを得て頂けれ
ば幸甚に思います。
最後に、本日の座長を始め,ご講演、そして準備や運営に協力してくださった全ての先生方、スタッフ、
事務局の皆様に心より御礼申し上げます。
日程表
12:30∼12:35
開会の辞
12:35∼13:25
特別講演
座長 原口和久(原口クリニック)
美容医療に関わる消費者トラブルの現状について
井坂江美子
13:25∼14:15
教育講演
東京都消費生活総合センター
座長 青木律(グリーンウッドスキンクリニック立川)
頬は何故弛むのか
白壁 征夫
(サフォクリニック)
14:15∼14:25
休憩
14:25∼16:25
シンポジウム
「中顔面の若返り」
座長 山下理絵(湘南鎌倉総合病院形成外科・美容外科)
1.
A 型ボツリヌス毒素製剤 IncobotulinumtoxinA: XEOMIN®を使用した臨床
佐藤 和夫(日本医科大学形成外科・美容外科)
2.
HIFU、RF 機器を用いた中顔面の若返り
加王 文祥(天神下皮フ科形成外科 )
3.
脂肪注入術による中顔面の若返り法について
市田 正成 (いちだクリニック)
4.
フェイスリフトと脂肪注入の併用
矢永 博子(Yanaga CLinic)
5.
Midface rejuvenation for Japanese:My personal journey
鈴木 芳郎(ドクタースパクリニック)
16:25∼16:40
休憩
16:40∼17:40
一般講演
1.
座長 衣笠哲雄(きぬがさクリニック)
Baggy eyelid は PRP+b-FGF で改善できるか
亀井 康二、木村 哲治(カメイクリニック)
2.
顔面陥凹の注入治療について
征矢野 進一(神田美容外科形成外科医院)
3.
ヒアルロン酸注入による人中稜の作成
荒尾 直樹 先生(あらおクリニック)
4.
マイクロカニューレを用いた局所麻酔注入法
當山 護、山城 栄津子(当山美容形成外科)
5.
最新テクノロジーによる蓄熱脱毛®と施術例のアップデート
有川 公三
6.
今川 賢一郎
7.
(有川スキンクリニック)
ヒゲ植毛術について
(ヨコ美クリニック)
電磁波腋臭症治療器(miraDry®)による腋臭症の治療経験
清水 祐紀(昭和大学形成外科学教室)
佐々木 英悟(佐々木美容形成外科クリニック)
17:40∼17:45
閉会の辞
17:45∼18:00
臨時社員総会
抄録
特別講演
12:35 ∼ 13:25
座長 原口 和久 (公益社団法人日本美容医療協会 事務局長、原口クリニック)
美容医療に関わる消費者トラブルの現状について
井坂 江美子 (東京都消費生活総合センター 美容等関連サービスグループ 主任相談員)
【はじめに】
美容医療に関する消費生活相談は、近年増加傾向にある。
「広告で見た安価な施術を目的
に美容外科に出向くと、広告よりも高額な目的とは全く別の施術を勧められ、即日施術を受
けたが効果がない」等、販売方法や広告の問題をはじめ、施術結果に納得できないという相
談や、施術によって身体に危害が生じた等の相談も寄せられている。
以下に最近の美容医療関連の相談事例と、その特徴、問題点等を紹介する。
【相談事例と特徴】
①痛みに苦しんだ効果のないリフトアップ術
②解約しても返金が少ない継続的役務
③信用性に欠ける高額過ぎる施術
④突然閉院して連絡不能になった美容クリニック
【問題点】
①医療広告の問題
②高額な解約料
③不十分なインフォームド・コンセント
④医師以外の者による医療行為
⑤医療機関の開設者及び非営利性の確認について
【むすびに】
美容医療に携わる医療機関においても、収益向上の意味で「医療経営コンサルタント」に
経営上の支援を求めるケースが増えていると聞く。
医療分野の中でも、「自由診療」という領域は成長市場にあり、今後も相談が減ることは
ないと思われる。
「美容医療」に関する消費生活相談には、民事的効果のある業法がないことや、医療とい
う高度専門的分野の契約問題であること等から、消費生活センターでの解決は難しいとい
われている。
しかしながら「美容医療」に関する相談も「消費者契約」であり「消費者問題」である。
他の消費生活相談と同様に、我々行政が対応していかなければばらない。相談において実効
性のある解決を得るためには、さらなる法整備が必要である。
美容医療に携わる医師の方々には、美容医療の目的とされる患者の肉体的かつ精神的苦
痛を解決させるため、患者との信頼関係に基づいたコミュニケーションと適切なインフォ
ームド・コンセントに務めていただきたい。
教育講演
13:25 ∼ 14:15
座長 青木 律 (グリーンウッドスキンクリニック立川 院長)
頬は何故弛むのか
白壁 征夫 (サフォクリニック)
顔面老化について表面的な皺や皮膚の変性は数多く報告されているが、これらの老化の原
因について解剖的に述べられた文献は海外には多くあるが、日本では皮膚、皮下組織的な変
化についてはあるものの、臨床に基づいた解剖学的文献は少ない。原因の一つに我が国では
新鮮な検体が少ないことが挙げられる。そこでここでは最近の老化に関する海外の解剖学
的文献をいくつか取り上げ、これ等を参考に「何故老化で頬は弛むのか」について述べる。
この中でも 2004 年 APS の Thierry Basins の顔面縦3分画の論文をもとに演者の顔を使っ
て日本人の頬の弛みについて座位、臥位の顔で立証し、2007 年 PRS ,Rod .J. Rohrich の脂
肪の重力による下垂、2013 年 Mohammed Alghol のリガメントの弛緩、2007 年 A.S.J. Elisa
Raskin の SMAS の弛緩の原理をもとに演者の 10 年間隔の30年間の頬の弛み状態、70
歳での座位と臥位での違いを比較し、これらの条件下での左右の異なった2つの術式で下
眼瞼縁切開からの頬部位のリフトアップ手術を行った。一般的な耳前部からの切開による
フェイスリフト手術結果との比較を考えても、この方法は皮膚の厚い日本人の頬の若返り
に、より効果的な方法であることがわかった。以上文献による解剖学的な頬のたるみの原因、
これに基づく臨床的な手術方法とその結果について報告する。
シンポジウム
14:25 ∼ 16:25
「中顔面の若返り」
座長 山下 理絵 (湘南鎌倉総合病院形成外科・美容外科部長)
1.
A 型ボツリヌス毒素製剤
IncobotulinumtoxinA: XEOMIN®を使用した臨床
佐藤 和夫 (日本医科大学形成外科・美容外科)
加齢による皮膚の皺に関しては効果が高いが、 たるみ になると皮膚と骨格筋に密着させ
る収縮力が減弱し、重力に耐えきれず下方にずれ、 機能的な再構築が出来ない状態であ
る。 修復機構が維持出来ず、 構造の変化と変性を生じ固定した部位より離れたるむこと
になる。
IncobotulinumtoxinA: XEOMIN® の特徴:不要な蛋白限界まで除去した製剤で特異的中
和抗体が産生される危険性が少ない、 常温保存が可能、 保存期間 48 ヶ月、 注入後効果
発現が早い、 複合蛋白を除去し pH7.4 に設定されている。他の製剤と比較すると pH が
酸性になればなる程、 注入時痛が増す。
BoNT/A:Xeomin®を使用し従来の Intradermal Injection Lift は、1ヶ所につき投与単位
が 0.2 0.25U/1site 1cm 間隔で注入していたが、 十分な結果が得られなかった。
数年前より韓国に於いては、 高濃度の BoNT/A を顔面に注入する MISBIB : Multiple
intradermal small boulus injection of botulinum toxin, or Meso-Botox, Dermatoxin という注
入方法に変更され、 1.5Unit/1ヶ所各 2cm 離し、 計 3∼6 ヶ所に各々皮内に注入する方法
であったが、 現在更に改善されより高濃度の BoNT/A 各 1 ヶ所に付き各々4 単位等を複数
部位に注入する方法が施行され中顔面の BoNT/A の検証を行った。
2.
HIFU、RF 機器を用いた中顔面の若返り
加王 文祥、谷野 隆三郎 (天神下皮フ科形成外科)
機器を用いた頬部のたるみ治療は主として真皮層をターゲットとして熱エネルギーを加え、
真皮層の熱による収縮、線維芽細胞の増成によるコラーゲンの増加などによりたるみを改
善してきた。これらの熱刺激は皮膚表面から熱エネルギーが入るという構造上、冷却による
表皮の保護が不可欠である。すなわち表皮の保護する能力によりその機器の熱エネルギー
注入量が決定され、効果を発揮する上での律速段階となっていた。また熱エネルギーの媒体
である光または電磁波の性質により注入熱エネルギーの分布が決定され、任意の部位に必
要な量の熱エネルギーを注入できていなかった。
これに対して近年では高密度焦点式超音波(high-intensity focused ultrasound:HIFU) を用い
て SMAS を含めた深部の治療が可能となってきた。この治療では、機器から発振された超
音波の焦点を結んだ部位のみで分子レベルの摩擦熱により熱エネルギーを発生させるとい
う原理から、任意の部位に任意の形で必要な量の熱エネルギーを注入できる。したがって冷
却による表皮の保護が不必要で、効果を発揮するのに十分な量の熱エネルギーが注入でき
る。また焦点部位以外ではまったく組織に影響を及ぼさないのも特徴である。
今回は HIFU 治療装置(ウルセラ)と RF 治療装置(サーマクール)を併用した顔面のたる
み治療を行ったので、その特徴と治療効果の経時的変化を報告する。
3.
脂肪注入術による中顔面の若返り法について
市田 正成 (いちだクリニック)
中顔面の加齢現象は、他の部位例えば顔面の下三分の一の輪郭の崩れ現象よりも早期に現
れる傾向がある。実際には20代後半から、主に陥凹現象として徐々に進行する。これを改
善する方法として、脂肪注入術は有効な手段と考え、長年にわたり症例を重ねてきた。下眼
瞼下部の陥凹は、眼瞼頬溝、nasojugal いわゆるゴルゴ線、法令線として次第に深さを増し
ていくのであるが、早期に処理をする場合ほど脂肪注入のみで改善させることが出来る。ゴ
ルゴ線が早期に目立つ人はその部位の解剖学的な構造に原因があると考えられる。そうい
うケースでは完全にゴルゴ線を消失させることは難しいが、回を重ねるうちにかなり良い
結果を得ることが出来る。メスを使わないでできる若返り術がますます広まる今日、手術と
の境界線上にある脂肪注入術はかなり希望者が多いのが現状である。
今回は、良好な改善例だけでなく、困難例も含めて症例を供覧する。
4. フェイスリフトと脂肪注入の併用
矢永 博子、矢永 茄津 (医療法人 Yanaga CLinic・組織再生研究所)
中顔面の若返りという点に焦点をあてると、皮膚のたるみや下垂の引き上げだけでは解決
できない問題がある。それは中顔面のAging は加齢による重力方向への皮膚のたるみに加
えて、皮下組織すなわち脂肪の萎縮を伴うからである。フェイスリフトはスタンダードな手
術手技であり、1)しわの減量 2)contour の改善、3)皮膚やSMASの tightening の効
果がある。他方、顔面の Anti-aging を目的とした脂肪注入は比較的低侵襲手術であり、他の
異物を用いた注入療法にくらべて、1)自家組織を用いること、2)生着すれば比較的長期
間維持されることから、有用な方法である。また従来、生着率が安定しないという問題があ
ったが、脂肪組織の中の血管系周囲にある間葉系細胞(mesenchymal stem cell)の存在が発見
され、これらを温存または混合して移植することで生着率を向上させることが可能になっ
てきた。さらに移植方法の key point は脂肪を複数箇所に少量ずつ移植することであること
もわかってきた。
症例により我々はこれら 2 つを組み合わせた治療が中顔面の若返りに効果があることによ
り、フェイスリフトの際に頬部、ホウレイ線、目の下のボリュームを補う目的で脂肪注入を
併用した若返り手術を行っている。
その際、なるべく間葉系細胞脂肪を温存し、脂肪そのものを細かくし、かつ少量ずつ移植す
る方法(マイクロリポインジェクション)を行っている。この方法はフェイスリフト手術と同
時に行うこともできる。またフェイスリフトを行い、あとから患者の希望で脂肪注入を追加
することもある。
今回、我々が行っているフェイスリフトと脂肪注入の併用について報告する。
5. Midface rejuvenation for Japanese:
My personal journey
鈴木 芳郎 (ドクタースパ・クリニック)
私が顔の若返りにおける中顔面の重要性を意識し始めたのは、2000 年に Gordon H Sasaki
M.D.のところで Cable-suture を用いた Malar Fat の suspension を学んでからである。それ
以来、フェイスリフト手術の際、あるいは下眼瞼除皺術の際に中顔面の改善ということを常
に意識して手術を行ってきた。今回は、私がこれまで行ってきた中顔面の若返りのための方
法の変遷を紹介するとともに、中顔面の若返りに関する最近の見解を述べる。
一般講演
16:40 ∼ 17:40
座長 衣笠 哲雄 (きぬがさクリニック 院長)
1. Baggy eyelid は PRP+b-FGF で改善できるか
亀井 康二、木村 哲治 (カメイクリニック)
Baggy eyelid の治療は主としてこれまで眼窩脂肪の除去や移行を行う手術治療が標準とさ
れてきたが、演者らは積極的に Baggy eyelid 症例に PRP+ b-FGF(PRPF)を施行し、副作用
もなく、よい結果を得てきたので報告する。PRPF 療法は硬結などの副作用も報告されて
いるが、それは、塩化カルシュウムなどの活性化剤や b-FGF の濃度によるものであり、演
者らはこのような症例はこれまで経験していない。
2. 顔面陥凹の注入治療について
征矢野 進一 (神田美容外科形成外科医院)
下眼瞼から上口唇までの顔面の陥凹に対して、各種材料で注入治療により対処した。
ウシ由来およびブタ由来コラーゲン、ヒアルロン酸製剤、ハイドロキシアパタイト、自
己脂肪などを用いて治療を行った。
どの材料を用いて、どの程度の量をどのように注入するかを決定するのが、困難である
が、患者の希望とその体質に合わせて選択することが肝要である。現在までの治療経験を
報告する。
3. ヒアルロン酸注入による人中稜の作成
荒尾 直樹 (あらおクリニック)
【目的】加齢とともに上口唇はそのボリュームを失い平坦化し、人中稜もはっきりしなく
なることが多い。
人中稜は若々しく立体的な上口唇に欠かせない構造であり、その形態を再現することに意
義はある。
今回、アンチエイジング目的に上口唇にヒアルロン酸を注入する際、失われた人中稜の再
現を試み良好な結果を得たので報告する。
【方法】上口唇にヒアルロン酸製剤(TEOSYAL PureSense GlobalAction,スイス TEOXANE
社製)を 30G 鋭針または 27G ブラントカニューラを用いて注入した。
【結果】全例で良好な形態を作成できた。口唇の動きが不自然になることはなく、患者の
満足度も高かったが、一例で「見慣れた自分の口唇の形態ではない」ことを理由にヒアル
ロニダーゼで溶解をしている。
【考察】上口唇のアンチエイジングを行う際に、ボリューム・しわの改善とともに人中稜
や上唇結節、ホワイトロールの高まりといった形態を再現することは若々しい外見を獲得
するために重要であると考える。ヒアルロン酸の注入方式は、ボリュームアップにはブラ
ントカニューラが適し、人中稜のような鋭角な形態を再現するためには鋭針が適している
と考えた。
また、患者の年齢が高い場合、長年見慣れた自身の形態が変化することについていけずに
強い違和感を感じることがあることを知り、われわれ医師が自分の考える理想の形態を追
い求めるだけではいけないことを学んだ。
4. マイクロカニューレを用いた局所麻酔注入法
當山 護、山城 栄津子 (形成会 当山美容形成外科)
美容、形成外科では小外科手術を取り扱う事が多く、局所麻酔剤を使用する。
然し、その麻酔注入の痛さから手術を避けたがる患者さん心理を垣間見えるのは臨床医が
しばしば経験する所でもある。
一方、近年美容外科外来ではフィラー注入時、マイクロカニューレを用いる機会も増え
つつある。利点は注射時の痛みの軽減と共に内出血予防などであろう。
我々はこのマイクロカニューレを用いて美容形成外科の局所麻酔注入を行ってみた。
使用したカニューレは22∼27G、長さは3∼5cm位のものを用いている。
使用した場所は顔面(目の下、頬)
、前腕、腋窩、陰部(男女)などであり、5cmカニ
ューレで注射時の痛み軽減、局所麻酔剤の血管内注入や損傷回避に役立った。
幾つかの症例を供覧してご批判をいただく。
脱毛時のマイクロカニューレ挿入ポイント(♀)
脱毛時、麻酔の刺入点(男性陰部)
5. 最新テクノロジーによる蓄熱脱毛®と施術例の
アップデート
有川 公三 (有川スキンクリニック)
第 116 回本学会において、蓄熱脱毛®の soprano laser XL®は従来の脱毛レーザーよりも遥
かに疼痛が少なく、脱毛効果も高いレーザーであると報告した。今回新たにモジュール 2 種
類と、細かな施術を可能としたフェイシャルチップを搭載した soprano laser ICE®が開発さ
れた。新しいレーザーは、従来のおよそ半分の時間で推奨される熱量に到達し、また冷却機
能の性能が上がったため、施術時間の短縮と疼痛軽減が可能となった。我々は、ICE®の実力
を図るため、モニター、皮膚疾患患者に施術し検証したので症例写真と共に供覧し報告する。
6. ヒゲ植毛術について
今川 賢一郎 (ヨコ美クリニック)
従来はヒゲを濃くしたいという目的で来院する患者は非常にまれであったが、多くのハリ
ウッドスターやセレブがヒゲをたくわえるようになった影響のためか、我が国でも美容目
的のヒゲ植毛術を希望する症例が増加している。
海外のヘア関連の学術集会では美容目的でのヒゲへの植毛術に関する発表も多いが、我が
国では瘢痕修正など再建目的を除き皆無であった。
今回実際の治療例を供覧し、ヒゲへの植毛術について若干の知見を加えた。
7. 電磁波腋臭症治療器(miraDry®)による
腋臭症の治療経験
清水 祐紀、佐々木 英悟※
(昭和大学形成外科学教室、※佐々木美容形成外科クリニック)
【はじめに】
腋臭症治療は古典的な剪除法や、クアドラカッターによる治療などの外科療法、ボツリヌ
ス毒素による多汗症治療などが行われている。今回われわれは電磁波腋臭症治療器である
miraDry®を使用し治療する機会を得、術後治療部位の病理を採取できたので、その病理結
果とともに報告する。
【対象と方法】
対象は 40 代男性 2 名の腋臭症患者である。miraDry®(米国ミラマー社製)は皮膚を切開す
る事なく、皮膚の表面から電磁波(マイクロ波)の熱を送り込み、選択的に皮膚表面より 1∼
5 ミリの深さの組織に熱損傷を加え汗腺の働きを永続的に失わせる治療である。この
miraDry®による治療をメーカーのプロトコル通りに 2 回施行し、施行後 6 か月以上経過し
た後に治療部位の皮膚、ならびに未治療側の皮膚を採取し病理組織学的検討を行った。
【結果】
2 例とも真皮浅層から深層にかけて瘢痕組織に置換され汗腺組織の数の減少が認められ、
1 例では顕著に汗腺細胞が減少していた。
【考察】
miraDry®は非手術療法であり、術後のダウンタイムがほとんどなく、瘢痕もできないた
め、手術療法に比較し患者に受け入れられやすい治療であるが、その治療結果については、
客観的根拠に乏しい報告しかない。今回われわれは 2 例の治療結果より、汗腺細胞の明ら
かな数の減少を確認し、症例 2 ではエクリン汗腺を含み顕著に汗腺細胞が減少していた。
これらの結果を踏まえて治療方法を工夫することにより、剪除法と同等の治療結果を得る
ことが可能なことが示唆され、今後さらなる検討を行っていく予定である。
謝辞
日本美容外科学会(JSAPS)第 122 回学術集会の開催・運営にあたり、下記の企業様より格
別の協賛を賜りました。ここに謹んで御礼申し上げます。
日本美容外科学会(JSAPS)第 122 回学術集会
組織会長
阿部 浩一郎
協賛企業一覧
五十音順
・株式会社ウィステリア
Tel 03-4588-1847
・株式会社ウェルハート
Tel 03-5276-6071
・株式会社カキヌマメディカル
Tel 03-3813-8485
・ジェイシスジャパン株式会社
Tel 03-5992-3741
・株式会社ジェイメック
Tel 03-5688-0713
・株式会社スキンキュア・ラボ
Tel 03-6380-1278
・株式会社 DEKA JAPAN Tel 03-5785-2133
・マーベラスビューティージャパン株式会社
・株式会社メイフラワー
・メディカランド株式会社
Tel 03-5259-1115
Tel 03-5500-6213
Tel 03-3516-7737