発表資料 - 日本災害情報学会

1
『Lアラート』の避難情報
伝達はどこまで迅速か?
天野
日本災害情報学会 第17回学会大会
篤
2015/10/24
2
❏目次:
1.目的
2.Lアラートとは
3.速さの測定
4.Lアラートの迅速さ
5.SNS等他媒体との比較
6.考察
日本災害情報学会 第17回学会大会
『Lアラート』の避難情報伝達はどこまで迅速か?
2015/10/24
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1.目的
日本災害情報学会 第17回学会大会
『Lアラート』の避難情報伝達はどこまで迅速か?
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❏目的:
緊急の‘災害情報’は、あらゆる人びとへ迅速・確実に届くこと。
行き渡った情報をもとに、住民らがリスクを正しく認識し、自ら回
避行動を起こすようなメッセージが理想。
『Lアラート』による避難情報の伝達が、現状、どれほど迅速かを
確認し、期待される進化の行方を探る。
基本①:速く
⇦ 今回注目
さらに、
基本②:間違いなく
(ふつうにミスあり)
基本③:あまねく
(もう一歩)
情報で人を
動かし、命を
守るために
進化:迅速・確実に伝えるのはもち
ろん、伝わって、的確な回避行動に
つながるメッセージを届ける!
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『Lアラート』の避難情報伝達はどこまで迅速か?
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2.Lアラートとは
日本災害情報学会 第17回学会大会
『Lアラート』の避難情報伝達はどこまで迅速か?
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(今
L春
ア
ラ、
全
ー国
ト
への
発自
信治
し体
なの
い参
と加
、が
避決
難定
情
報
を
出
し
て
い
な
い
と
誤
認
さ
れ
か
ね
な
い
)
FMMC
Lアラート
地
デ
ジ
(
デ
ー
タ
放
送
)
が
本
家
本
元
(
愛
知
万
博
起
源
)
コモンズネットワーク
『Lアラート(災害等公共情報共有システム)』の概要
※ 出典:総務省「Lアラート(災害情報共有システム)」の普及促進ホームページ
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『Lアラート』の避難情報伝達はどこまで迅速か?
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❏Lアラート:
• 物理的には : 多数間の「発信者(送り手)」と「伝達者(伝え手)」を結ぶ、
プ ー ル
と
パ イ プ
公共情報共有&デジタル伝送路(変換機能付)
• 誇れるのは : 運用体制まで含めた災害等公共情報共有システムの実現
GISをはじめ高度で多様な機能をもち、多種多様な情報を網羅
的に盛り込んだ災害情報共有プラットフォーム提案などを尻目
に、市区町村発の避難情報を柱に、唯一、全国規模で実稼働
Open
発信者
国
気象庁、消防庁など
地方公共団体
避難情報など
ライフラインほか
電気・電信・ガスなど
日本災害情報学会 第17回学会大会
Multi
F
M
M
C
L
ア
ラ
ー
ト
伝達者
マスメディア
基幹放送局(テレビ、ラジオ)、新聞
コミュニティメディア
CATV、cFM、デジタルサイネージ
キャリア
緊急速報メール
コンテンツプロバイダ
ポータル、スマホ・携帯プッシュ
『Lアラート』の避難情報伝達はどこまで迅速か?
Broad
エ
ン
ド
ユ
ー
ザ
地
域
住
民
ら
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❏主なメリット:
• 多対多の情報伝達一元化
たくさんのステークホルダー
• 縦横相互の即時情報共有
• 複数フォーマットの標準化された機械可読データ
災対本部への取材も減ら
せ、好循環スパイラルに…
広域関東圏(1都
6県)の発信者数
は、316区市町村
+44行政区=
360
東京都のみでも、
23区+26市+5町
+8村=62
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F
M
M
C
L
ア
ラ
ー
ト
東京都内だけで指定(地方)
公共機関の放送局は15
日本放送協会
※Yahoo!
日本テレビ放送網
はじめ通信
TBSテレビ
系メディア
フジテレビジョン
も、このほ
テレビ朝日
かに有り
テレビ東京
文化放送
ニッポン放送
TBSラジオ&コミュニケーションズ
東京メトロポリタンテレビジョン
アール・エフ・ラジオ日本
日経ラジオ社
エフエムインターウェーブ
エフエム東京
J-WAVE
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3.速さの測定
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❏速さの拾い方(リードタイム):
②
①
① ⇦時間差⇨ ② … Lアラート向け発信作業の所要時間
t
∵ ① 発令等決定時刻 … 自治体が「避難指示・勧告」の「発令・更新・
解除」を決めた公式時刻
→ 消防庁の災害情報、内閣府の災害状況、Lアラート、SNS
などの記載内容に基づく(思いのほか食い違う)
② Lアラート登録時刻 … 避難情報がLアラートなどに入力され、共
有サーバに登録された時刻
→ Lアラートなどのタイムスタンプに基づく
※ ただし、2日以降の後追い入力(結果報告目的)は集計対象から除外
「避難準備情報」は、消防庁など他の記録から裏が取れないので対象外
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『Lアラート』の避難情報伝達はどこまで迅速か?
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8:00
後追いで入力
t
6:00
2015
9/18
3:00
a.m.
起
点
の
経
過
時
間
5:00
誤差要因
前もって入力
決定時刻
繰り上げ
Lアラート登録時刻
避難情報発令決定時刻
津波予想到達時刻
4:00
グレーとピンクの間を
リードタイムとして測定
(グレーの上端+αが
全所要時間)
3:00
2:00
1:00
0:00
津波注意報発表(3:00a.m.)
Y市
H市
G市
M市
N市
H村
S市
H市
S町
S市
N町
O町
C市
K市
K市
M市
M区
M市
Y市
N市
S市
M町
M町
T市
T市
H町
T市
S市
T市
A市
K市
T町
U市
K町
Y村
N村
↑
7:00
Lアラートに避難指示・勧告発令を登録した35自治体
『平成27年チリ中部沖地震による津波』
 気象庁は9月18日午前3時、全国一斉に「津波注意報」を発表(事前予告した上で)
 「避難指示」発令が21自治体、「避難勧告」が14(このほかに「避難準備情報」5)
 避難指示・勧告決定を、津波注意報発表時刻に合わせたのが、35自治体中13自治体
• 注意報発表から1時間以内に決定が、6自治体
• ↑↓間のタイミングが、13自治体
同じ注意報が元なのにまちまち、
発信が間に合っていないのも
• 津波予想到達時刻に合わせたのが、3自治体
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16:36 大雨洪水警報(常総市)
×:三坂町決壊
(12:50発生→13:23常総市ツイート)
23:00 鬼怒川はん濫警戒情報
※ 出典:国土交通省「水文水質
データベース」、常総市、およ
び、アジア航測ホームページ
0:15 鬼怒川はん濫危険情報
1:40 避難準備情報 → 1:55 Lアラート
▲:若宮戸越水
(6:00すぎ発生→7:50常総市ツイート)
これらの時間差を抽出
2:20 避難指示 → 2:26 Lアラート
(本例では、6~25分)
4:00 避難勧告 → 4:25 Lアラート
10.0
4:15 土砂災害警戒情報(常総市)
8.06
7.91
×7.67
8.0
7.33
はん濫危険水位
⇨ 避難勧告等
▲
5.30
4.70
3.50
避難判断水位
⇨ 避難準備
はん濫注意水位
2.46
2.0
0.0
9/9 0:00
計画高水位
7.29
6.84
6.26
5.62
4.97
4.24
3.43
6.0
4.0
観測水位 (m)
9/9 12:00
9/10 0:00
-2.0
-4.0
『平成27年9月
関東・東北豪雨』
日本災害情報学会 第17回学会大会
9/10 12:00
9/11 0:00
9/11 12:00
9/12 0:00
9/12 12:00
9/13 0:00
14:00 小貝川はん濫危険情報
13:20 鬼怒川はん濫発生情報(三坂町)
10:30 小貝川はん濫警戒情報
7:45 大雨特別警報(茨城県)
6:30 鬼怒川はん濫発生情報(若宮戸)
t
「鬼怒川水海道」観測水位と「防災気
象情報」常総市「避難情報」の時系列
※ 同種災害情報の初出だけを表示
『Lアラート』の避難情報伝達はどこまで迅速か?
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❏測定対象事例:
① 平成27年6月10日から続く梅雨前線等
6.11~12 犠牲者なし 「梅雨」と略記
② 平成27年台風第11号
7.16~18 犠牲者2名 「T1511」と略記
※ 予稿集段階ではこの1事例のみ使用
③ 平成27年台風第15号
8.24~26 犠牲者1名 「T1515」と略記
④ 平成27年台風第18号による大雨等
9.8~12 犠牲者8名 「T1518」と略記
⑤ 平成27年チリ中部沖地震による津波
9.18 犠牲者なし 「津波」と略記
⑥ 平成27年台風第23号から変わった低気圧
10.8~9 犠牲者なし 「T1523」と略記
2015年 6月
7月
日本災害情報学会 第17回学会大会
8月
9月
10月
11月
※ 出典:気象庁、消防庁、内閣府(防災)、および、
国立情報学研究所「デジタル台風」ホームページ
『Lアラート』の避難情報伝達はどこまで迅速か?
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4.Lアラートの迅速さ
日本災害情報学会 第17回学会大会
『Lアラート』の避難情報伝達はどこまで迅速か?
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❏対象6事例で
避難指示・勧告
をLアラートに
発信した自治体
と件数:
災害
事例
都道
府県
市区
町村
該当
件数
梅雨
1
13
48
T1511
14
85
321
T1515
5
15
50
T1518
18
92
358
津波
13
35
70
T1523
1
6
24
30*
228*
871
全体
発信市区町村分布
(12県)
* 重複を除く
日本災害情報学会 第17回学会大会
『Lアラート』の避難情報伝達はどこまで迅速か?
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災害
梅雨
T1511
T1515
T1518
津波
T1523
全体
項目
データ数
平均値
最小値
最大値
中央値
データ数
平均値
最小値
最大値
中央値
データ数
平均値
最小値
最大値
中央値
データ数
平均値
最小値
最大値
中央値
データ数
平均値
最小値
最大値
中央値
データ数
平均値
最小値
最大値
中央値
データ数
平均値
最小値
最大値
中央値
発令
避難指示
解除
2
0 1:03:42
0 0:17:10
0 1:50:13
0 1:03:42
20
0 0:59:09
0 0:02:12
0 6:17:49
0 0:25:00
4
0 0:22:45
0 0:01:42
0 0:30:20
0 0:29:29
39
0 2:59:14
0 0:00:00
1 0:04:33
0 1:10:08
21
0 1:04:14
0 0:00:00
0 6:03:09
0 0:24:04
3
0 1:22:42
0 0:53:07
0 1:47:21
0 1:27:38
89
0 1:52:13
0 0:00:00
1 0:04:33
0 0:29:46
日本災害情報学会 第17回学会大会
2
0 0:05:13
0 0:05:13
0 0:05:13
0 0:05:13
20
0 0:35:06
0 0:02:23
0 2:03:58
0 0:31:09
4
0 0:21:41
0 0:03:42
0 0:42:42
0 0:20:11
34
0 1:50:46
0 0:02:35
0 6:55:11
0 1:00:38
21
0 0:16:44
0 0:00:00
0 0:48:40
0 0:16:14
3
0 4:00:18
0 0:12:38
0 9:02:36
0 2:45:39
84
0 1:07:07
0 0:00:00
0 9:02:36
0 0:25:20
計
4
0 0:34:27
0 0:05:13
0 1:50:13
0 0:11:11
40
0 0:47:07
0 0:02:12
0 6:17:49
0 0:26:30
8
0 0:22:13
0 0:01:42
0 0:42:42
0 0:25:00
73
0 2:27:21
0 0:00:00
1 0:04:33
0 1:06:39
42
0 0:40:29
0 0:00:00
0 6:03:09
0 0:18:14
6
0 2:41:30
0 0:12:38
0 9:02:36
0 1:37:29
173
0 1:30:19
0 0:00:00
1 0:04:33
0 0:28:46
発令
22
0 0:20:07
0 0:00:00
0 1:07:07
0 0:16:43
141
0 0:27:57
0 0:00:00
0 4:51:44
0 0:16:17
21
0 0:19:14
0 0:01:46
0 1:34:43
0 0:15:11
149
0 1:24:22
0 0:00:00
1 3:45:02
0 0:31:30
14
0 0:47:44
0 0:00:00
0 2:19:07
0 0:24:43
9
0 2:31:01
0 0:07:33
0 5:43:13
0 1:59:26
356
0 0:54:27
0 0:00:00
1 3:45:02
0 0:22:11
避難勧告
解除
22
0 0:09:52
0 0:01:07
0 0:25:11
0 0:08:39
140
0 0:30:39
0 0:00:00
0 7:42:15
0 0:11:56
21
0 0:18:06
0 0:01:42
0 0:57:20
0 0:12:42
136
0 0:53:55
0 0:00:00
0 6:57:42
0 0:22:36
14
0 0:20:07
0 0:06:11
0 1:16:34
0 0:12:05
9
0 1:24:03
0 0:04:37
0 5:22:49
0 0:53:07
342
0 0:38:46
0 0:00:00
0 7:42:15
0 0:14:43
計
44
0 0:15:00
0 0:00:00
0 1:07:07
0 0:11:09
281
0 0:29:18
0 0:00:00
0 7:42:15
0 0:13:24
42
0 0:18:40
0 0:01:42
0 1:34:43
0 0:13:06
285
0 1:09:50
0 0:00:00
1 3:45:02
0 0:28:09
28
0 0:33:56
0 0:00:00
0 2:19:07
0 0:14:52
18
0 1:57:32
0 0:04:37
0 5:43:13
0 0:55:19
698
0 0:46:46
0 0:00:00
1 3:45:02
0 0:17:36
『Lアラート』の避難情報伝達はどこまで迅速か?
避難指示・勧告
解除
24
24
0 0:23:45
0 0:09:29
0 0:00:00
0 0:01:07
0 1:50:13
0 0:25:11
0 0:17:41
0 0:08:11
161
160
0 0:31:49
0 0:31:12
0 0:00:00
0 0:00:00
0 6:17:49
0 7:42:15
0 0:16:42
0 0:13:18
25
25
0 0:19:48
0 0:18:40
0 0:01:42
0 0:01:42
0 1:34:43
0 0:57:20
0 0:15:37
0 0:12:46
188
170
0 1:44:02
0 1:05:17
0 0:00:00
0 0:00:00
1 3:45:02
0 6:57:42
0 0:34:49
0 0:27:27
35
35
0 0:57:38
0 0:18:05
0 0:00:00
0 0:00:00
0 6:03:09
0 1:16:34
0 0:24:06
0 0:14:03
12
12
0 2:13:57
0 2:03:06
0 0:07:33
0 0:04:37
0 5:43:13
0 9:02:36
0 1:37:29
0 0:53:07
445
426
0 1:06:00
0 0:44:21
0 0:00:00
0 0:00:00
1 3:45:02
0 9:02:36
0 0:24:31
0 0:15:53
発令
計
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1
0
48
0:16:37
0:00:00
1:50:13
0:11:09
321
0:31:31
0:00:00
7:42:15
0:14:47
50
0:19:14
0:01:42
1:34:43
0:14:40
358
1:25:38
0:00:00
3:45:02
0:31:30
70
0:37:51
0:00:00
6:03:09
0:17:55
24
2:08:31
0:04:37
9:02:36
1:12:34
871
0:55:25
0:00:00
3:45:02
0:19:24
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❏所要時間:
① 原因の発生・覚知~避難指示・勧告の決定まで(概観)
ケースバイケースだが、30分以上?かかっている模様
② 避難指示・勧告の決定~Lアラート登録まで(全数定量的に)
中央値で19分、平均値で55分
③ Lアラート登録~広報開始まで(サンプル的に実況確認)
システム接続され、機械的に自動処理する場合は2分程度、
人手の確認プロセスが入ると5分程度プラス
④ 広報開始~住民到達まで(推測)
それぞれだが、10分位?と見込み、①~④合計で1時間強?
思
い
の
ほ
か
長
い
30分
t
日本災害情報学会 第17回学会大会
『Lアラート』の避難情報伝達はどこまで迅速か?
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18
50%
100%
中央値 19分
平均値 55分
89.8%
86.6%
40%
92.9%
80%
78.3%
74.7%
70.0%
30%
62.6%
27.9%
60%
全体(N=871)
50.7%
21.0%
20%
40%
29.7%
11.8%
10%
8.3%
7.5%
4.7%
1.8%
3.6%
7.1%
3.2%
20%
3.1%
0%
0%
0分
~10分
~20分
~30分
~40分
~50分
~60分
~90分
~120分 ~180分 180分~
避難情報(勧告・指示の発令・更新・解除)のLアラート到着までの所要時間度数分布
• リードタイムは、全体では、中央値19分・平均値55分
• 10分未満が3割、20分未満が5割、40分未満が7割
∴ 半数以上は20分未満でOK、20分以上を縮めて、
40分以上をなくしたい
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『Lアラート』の避難情報伝達はどこまで迅速か?
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50%
89.0%
40%
72.6%
30.1%
65.5%
30%
77.1%
65.3%
80.7%
91.5%
82.7%
100%
94.8%
85.0%
80%
76.9%
68.8%
60%
59.5%
53.6%
21.9%
17.9% 39.3%
18.5%
20%
31.7%
50.9%
8.7%7.2%
8.1%8.3%
5.8%4.4%
5.8%
3.5%3.6%
2.6% 2.3%3.3%
21.4%
10%
40%
15.0%
11.9%
11.6%
2.9%1.6%
5.2%
0%
20%
0%
0分
~10分
~20分
~30分
~40分
~50分
避難指示(N=173)
~60分
~90分 ~120分 ~180分 180分~
避難勧告(N=698)
50%
100%
40%
30.5%
30%
20%
67.1%
58.2%
25.8%
58.2%
25.4%
16.4%
32.4%
27.2%
73.7%
66.5%
78.6%
71.0%
81.9%
74.8%
88.7%
84.5%
89.9%
89.7%
93.9%
91.9%
80%
60%
43.6%
14.6%
10%
40%
8.9% 8.3%
6.6%
1.8%1.9%
4.5%4.9% 3.8%3.3%
9.7%
6.8%
5.2%
4.0%
1.2% 2.2%
8.1%
6.1%
0%
20%
0%
0分
~10分
~20分
~30分
~40分
~50分
発令(N=445)
~60分
~90分 ~120分 ~180分 180分~
解除(N=426)
避難指示と勧告(上)・発令と解除(下)別のLアラート到着までの所要時間度数分布
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『Lアラート』の避難情報伝達はどこまで迅速か?
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0:00
全体
0:10
0:20
0:30
0:40
0:50
1:00
1:10
1:20
1:30
1:40
0:19
0:55
0:28
指示
1:30
vs.
勧告
中央値
0:17
平均値
0:46
0:24
発令
1:06
vs.
解除
0:15
0:44
避難指示と勧告(上)発令と解除(下)別のLアラート到着までの所要時間代表値
•
•
•
•
•
リードタイムは、避難指示では、中央値28分・平均値90分
避難勧告では、中央値17分・平均値46分 (<指示)
発令では、中央値24分・平均値66分
解除では、 中央値15分・平均値44分 (<発令)
緊迫度が高いときのほうが、どうやらリードタイムが長い
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0:00 0:10 0:20 0:30 0:40 0:50 1:00 1:10 1:20 1:30 1:40 1:50 2:00 2:10 2:20
0:19
全体
梅雨
T1511
T1515
0:55
0:11
0:16
0:14
0:31
0:14
0:19
0:31
T1518
津波
中央値
平均値
1:25
0:17
0:37
1:12
T1523
2:08
災害事例別のLアラート到着までの所要時間代表値
• 短い順に、梅雨≦T1515≦T1511≦津波<T1518<T1523
• 最も短い梅雨では、中央値11分・平均値16分(熊本県内)
• 最も長い台風第23号では、中央値72分・平均値128分(道内)
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50%
100%
92.0%
85.4%
84.0%
40%
61.1%
58.0%
54.3%
60%
54.7%
47.9%
20%
38.0%
80%
73.5%
70.0%
72.9%
30%
81.9%
78.6%
47.8%
40%
38.8%
32.0%
30.0%
25.0%
20.9%
10%
25.0%
20.8%
20%
8.3%
0%
0%
0分
梅雨(N=48)
~10分
~20分
~30分
T1511(N=321)
~40分
~50分
T1515(N=50)
~60分
~90分
T1518(N=358)
~120分
~180分
津波(N=70)
180分~
T1523(N=24)
災害事例別のLアラート到着までの所要時間度数分布
• 右下がり形状(青)が次第に崩れ、ランダム(黄)に
• 避難情報の発信漏れが、津波(25件)とT1518(10件)で発生
• T1518では入力ミスもふつうに…
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20
避
難 15
情
報
発 10
信
自 5
治
体
数 0
リードタイムは、東日本で長く西日本で短い傾向
梅雨
T1511
T1515
T1518
津波
T1523
北 青 宮 秋 福 茨 栃 千 東 神 新 石 福 山 長 岐 静 愛 三 滋 京 大 兵 鳥 島 岡 広 徳 香 愛 高 熊 大 宮 沖
海 森 城 田 島 城 木 葉 京 奈 潟 川 井 梨 野 阜 岡 知 重 賀 都 阪 庫 取 根 山 島 島 川 媛 知 本 分 崎 縄
道 県 県 県 県 県 県 県 都 川 県 県 県 県 県 県 県 県 県 県 府 府 県 県 県 県 県 県 県 県 県 県 県 県 県
県
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5.SNS等他媒体との比較
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❏比較結果:
 SNSなど(twitter、facebook、メールなど)
• 今や、対象事例(871件)のうち45%以上
(394件)で、SNSなどの手段による避難情
報の直接発信あり
• Lアラートへの発信と迅速さはまったく互角
(196件はSNSなどが先)
• 現在も、自治体公式アカウントなどは増加中
• かつて速報マスメディアといえばラジオ・テレ
ビだったが、いまや、ネット通信、とくに携帯・
スマホなどへのコンテンツ配信も肩を並べつ
つある
• 「Lアラート・ファースト」と言いたいが、あれも
これも、どちらが先?と戸惑わずにすむよう、
ワンストップで複線発信できるようにしたい
※出典:twitter「ねむろのぼうさい」⇢
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FAX
• 民放局(指定地方公共機関)には市区町村から「ファクスが来
ればよいほう」
• 台風第18号時の一例では、避難解除決定の34分後にファクス
着信(Lアラートより少し遅い)
• 都道府県を経由(集約)したり、そもそも順次送信なため、送付
順にもよる
• 気象情報とか、交通状況、学校の休校なども送られてくる(報
道してもらえるといいもの)
• 機械可読なデータでなく、様式もまちまちで、その後の処理に
手間どる
• Lアラートの登場により、おそらく時間遅れは縮まり(それでも
30分オーダーならば電話で定期的にローラー取材か)、情報
が届く自治体数は増える傾向
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6.考察
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❏考察1:リードタイムはどこでも常に30分未満を目標に
(津波、ゲリラ豪雨、火山などでは30分までが限度)
⇩
0% 20% 40% 60% 80%100% • リードタイムは、現状、10分未満が約3割、20分
未満が半数
静岡県
• 現場の実作業を考えると、20分以上の残る半数
京都府
の改善を期待
香川県
• 当面の目標として、 全体の約2割を占める20~
40分を10分短縮
高知県
• さらに、全体の約3割を占める40分以上は、前後
熊本県
に加わる所要時間をも考慮すると、もはや広報
により命を守る意味をなさないので、極力なくす
全国
• ノーチェックで配信できるように入力ミスを減らす
15分未満 30分未満 30分以上
• そのためには、日頃いろいろなパターンの訓練
優良な5府県下の
を繰り返して使い込むとともに、ワンソース・マル
リードタイム構成比
(対象サンプル>20)
チユースなどの合理化支援策も
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❏考察2:リードタイムが長くなる&ミスが生じる原因から
① 推定される原因を、具体にひとつずつ確認して改善につなげたい。
② 自治体から住民らへの緊急時広報手段は、かつてと変わってきた。
いつ、どこでも一人ひとりに伝わる携帯やスマートホンへのPUSHが
注目される。
短 ←
→ 長
リードタイム
避難勧告
避難指示
よって、単に複数 決定からアッ
解除時
発令時
媒体に回線をつ プロードまで
の所要時間
事態(判断)が軽い
事態(判断)が重い
なげるだけでなく、
【推定される原因】
本
風
・ ルーチン業務として定着していない
テレビにも、SNS
番
これらを
水 ・ 操作が不慣れで作業時間を要する
短
西
運
改善
にも、メールにも、 日 用 害 ・ 担当者が少なくて手が回らない
が ・ 他の緊急対応に追われて後回しに
デジタル・サイネ ← 本 が 多
・ 疲れでケアレスミスし、何度もやり直し
長
ージなどにも、即
め ・ 勤務時間外の出来ごと(要員、責任者不在)
い
・ 不意打ちの自然事象発生
使える、コンテン
本 風 ・ 同報系防災行政無線、電話、ファクス、広報車、緊急速
ツレベルでの、真
番 水 報(エリア)メール、メルマガ、SNS、ホームページなどの発
→ 東 運 害 信を優先
のワンソース・マ 日 用 が ・ Lアラート=外部機関による広報の意義を感じておらず
ルチアウトプット 長 本 が 少 落ち着いてから(報告義務的)
短 な ・ システム連携になっていない(真逆なのは、ワンソース・
を実現したい。
い め マルチアウトプットのシステムが導入)
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❏おわりに:
『Lアラート』は、たくさんの関係者の協働で成り立っています。
避難指示・勧告の情報伝達に関するひとつのデータとして、本成果が
皆様の参考になれば幸いです。
「避難勧告等の判断・伝達マニュアル作成ガイドライン」
平成27年8月 内閣府(防災担当)
10. 避難勧告等の情報伝達
10.2 避難勧告等の伝達手段
防災情報の伝達は、共通の情報を様々な伝達手段を組み合わせることで、広く確実に伝達することが基本
である。
そのために、市町村防災行政無線等、情報の受け手側の能動的な操作を伴わず、必要な情報が自動的に配信
されるタイプの伝達手段であるPUSH型の伝達手段を活用する。ただし、PUSH型の伝達手段のうち、屋外拡声器
を用いた市町村防災行政無線(同報系)での伝達については、大雨等により屋外での音声による伝達が難しい面
もあることから、市町村防災行政無線(同報系)戸別受信機、IP(Internet Protocol)告知システム、緊急速報メール、
登録制メールやコミュニティFM(自動起動ラジオを使用する場合)等の屋内で受信可能な手段を組み合わせる。
さらに、より多くの受け手により詳細に情報を伝達するため、PUSH型に加え、市町村ホームページのほか、SNS、
CATV、コミュニティFM(一般のラジオ端末を使用する場合)、テレビ・ラジオやウェブ、テレビのデータ放送等、情
報の受け手側の能動的な操作により、必要な情報を取りに行くタイプの伝達手段であるPULL型手段も活用して伝
達手段の多様化・多重化に取り組む。その際には、より効率的に情報を伝達するため、Lアラートも活用してい
くべきである。
なお、PUSH型からPULL型に誘導する場合、例えば市町村のホームページの活用にあたっては緊急時のアクセ
ス増によりサーバーがダウンしないよう回線増設等の対応を検討するとともに、市町村に問い合わせが殺到しない
よう、伝達内容を工夫する必要がある。
また、防災情報が住民に迅速かつ確実に伝達されるよう、防災情報を伝達する役割を担うマスコミ、通信事業
者と平時から連携をとっておかなければならない。
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ご清聴ありがとうございました
(一財)マルチメディア振興センターのご協力と、
亡き藤吉洋一郎先生に、深く感謝いたします
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