ラクト・ジャパン 乳製品情報 2015年4月号

4月
目
次
 脱脂粉乳・全脂粉乳情報
粉乳市場 再び下降傾向
p. 2-3
 バター情報
弱含みながら安定したバター相場
p. 4
 ホエイ情報
米国産、欧州産共に弱含みにて推移
p. 5
 カゼイン情報
カゼイン EU 生乳生産割当制廃止、生乳増産を睨みもみ p. 5-6
合いに
 乳糖情報
米国西海岸港湾混雑 乳糖相場に影響
p. 6-7
 チーズ情報
DMK 社 チーズ製造設備へ大型投資
p. 7-8
2014 年における CWT 輸出助成金内訳
米国 CME 相場
 国内情報
乳価改定による 4 月以降の需給動向に注意
p. 8-9
DMK 社、DOC Kaas 社 提携に向け協議
p. 10
今月のトピックス
 アムステルダム駐在員情報
2015 年 EU 生乳出荷量は前年比 1%増の見込み
乳製品カルテルで 11 社に罰金 1.9 億ユーロ
 メルボルン駐在員情報
Lion 社、チーズ事業の一部を WCBF 社へ売却
p. 11-15
MG 社、7 月にも基金(Unit Trust)を上場
MG 社、乳価を維持
中国の上海鵬欣、NZ農場資産を倍増へ
Snylait Farms 社、社名変更
Fonterra 社への脅迫事件、事件前出荷のNZ産粉乳、中
国で立ち往生
Fonterra 社、貝因美(Beingmate)社の株式 18.8%を取得
Fonterra NZ 社、配当見通し引き下げ
Synlait 社、乳価見通し引き上げ

米国駐在員情報
2014 年米国平均乳価
p. 16-18
米国生乳生産量引き続き増加
ベラルーシからロシアへの輸出増
米ドル高が輸出に与える負の影響
NFDM 在庫量増加、CME 相場押し下げ
チーズの生産増によって影響を受けるホエイ市場
1 月の乳製品生産量
 中国情報
輸入育児粉乳が中国市場を席巻
p. 19-20
最大手 伊利乳業が中国国内に新工場を設立
 出典
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p. 20
乳 製 品 情 報 2015 年 4 月号
 脱脂粉乳・全脂粉乳情報
▌粉乳市場 再び下降傾向
一旦は上昇を見せた粉乳相場が再び下降に転じている。3 月 17 日に行われた GDT では全粉乳、脱脂粉乳
ともに平均価格が減少し、それにつられるような形で EU 産及び米国産の価格も減少の動きを見せた。
ニュージーランドの南島の干ばつは最近になって降雨を得られ土壌の状態も若干改善されたようであるが、
未だ乾燥状態は続いている模様。来月 4 月から始まる EU の生乳生産割り当て制度の撤廃、供給量の増加を
期待してからか、需要の伸びが和らいだことが、相場が下降した主な要因と考えられる。
欧州
EU の生乳生産量は引き続き前年同月対比を上回り、好調に推移している。一方で前月対比の伸長率に
ついては前年と比べると若干低く推移している。低い伸長率は減少した乳価が主な原因。EU の平均乳価は
昨年 9 月時点でキロ当たり 40 ユーロセントであり、当時の乳製品相場であれば、生乳生産割当を超える
ペナルティを支払っても十分利益を得られる状況だった。その後乳価が値下げになり、現在は 34 ユーロセント
まで減少している。
EU 産脱脂粉乳の価格は再度弱含みに転じ、低いレベルで推移している。先月から一段とユーロ安ドル高
が進み、USD ベースの価格に競争力を与えている。右肩下がりのトレンドを受け市場を静観し購入の
タイミングを伺っている需要者もいる一方で、既に十分な必要量を確保した需要者も散見され、活発な取引は
見られない。
EU 産の全粉乳の価格も若干の弱含みにて推移している。需要者は直近の必要数量は既に確保していると
ころが殆どで、輸出向けの引き合いは少ない。ただ、4 月以降の乳量の増加を期待して、今後全粉乳の
生産量を増やしていこうとするサプライヤーも見られる。
脱脂粉乳及び全粉乳共に更に価格が下降することを期待する需要者もいる一方で、生乳生産割り当ての
撤廃が今後の乳量及び価格にどう響いてくるのか不確かなところも多い。
オセアニア
豪州の主要な乳生産地の生乳生産量は良好な天候が功を奏し、順調に推移している。現在の乳価も
酪農家にとって未だ魅力的で、生産意欲も高い。最近になってビクトリア地方を中心に降雨があり、牧草の
育成にも一役買った模様。一方で、食用の牛肉の相場が上昇していることから屠札率は上昇している。
ABARE(豪州農業資源経済局)によると、2015~16 年のシーズンは乳製品の輸出量は全体で約 8%上昇する
と見通しており、来シーズンに期待が寄せられている。Dairy Australia によると 2014 年 12 月の脱脂粉乳の
生産量は前年同月対比+12.4%、全粉乳は-26.3%となり、利益率の低い全粉乳は大幅下落となった。14 年
7 月~15 年 1 月迄の輸出量は脱脂粉乳が+28.4%、全粉乳は-38.9%となり、生産量に比例して二極化する形と
なっている。
ニュージーランドの生乳生産量は季節的要因で減少している。今シーズンの総生乳生産量は先月と打って
変わって前年対比-1.5~-2.0%減少する可能性も示唆されている。豪州同様屠札率も上昇している模様。
北島はここ最近降雨に恵まれた一方、南島の一部では若干の雨には恵まれたが未だ乾燥した気候が続いて
いる。
オセアニア産脱脂粉乳の価格は若干の弱含みを見せながら推移している。3 月 17 日に行われた GDT の
平均価格は USD 2,731/MT(本船船側渡し価格)となっており、3 月 3 日に行われた GDT の平均価格
USD 2,731/MT(本船船側渡し価格)よりも-7.0%減少している。
オセアニアの全粉乳も脱脂粉乳同様前回の GDT から若干の弱含みを見せており、3 月 17 日の GDT の
平均価格は USD 2,928/MT となっており、3 月 3 日の平均価格 USD3,241/MT と比較すると、-9.7%の減少を
見せた。
脱脂粉乳・全粉乳とも依頼すればオファーは入手できるものの、だんだんと第 2 四半期の供給力は少なく
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p. 2
乳 製 品 情 報 2015 年 4 月号
なってきている模様。
米国
米国の生乳生産量は比較的順調に推移している。ただし、カリフォルニアでは干ばつの影響で 1 月は-2.6%
の減少を見せた。第 2 四半期の生乳生産量は前年同期比+2.5~3.0%程度上昇すると予測されている。また、
乳価は昨年 8 月をピークに右肩下がりに推移しているものの、未だ魅力的なものとなっている。
米国産の脱脂粉乳は不安定に推移しているが、現時点では若干の弱含みを見せている。好調な乳量に
比例し、1 月の生産量も前年同月対比+4.0%上昇した。輸出向けの引き合いは静かで、対ユーロ安の影響を
受けて全体的に少ない需要が更に EU 産に向いていることから、国内在庫が上昇している模様。
今後の見通し
EU では以前までは各酪農家が乳牛の飼育頭数を増やす等して生産意欲が顕著に表れていたことから、
4 月からぐっと乳量が増えることが期待されていた。しかしながら右肩下がりの乳価が酪農家のやる気を若干
削いでしまったこともまた事実であり、急激に増加することはないという考えもでてきている。このまま乳価が
下がり続けると、生乳生産割当が撤廃される 4 月以降であっても生産量は期待されている程増えない可能性
がある。これを受け、既に一部の地域では乳価の引き上げを検討している模様。何れにせよ、世界的に EU の
供給力・価格に注目しており、今後の相場に影響する可能性が高い。オセアニアは今後閑乳期に入っていく
ことから供給面・価格面でみるとやはり EU 産が市場を牽引し、米国産がその後を追うことが予想される。
現在全体的に需要は低く、4 月以降の動きに注視しようとする需要者が多い。相場を大きく左右する中国・
ロシアの動きも未だに静かである。中国は 2015 年 1~12 月までの全粉乳の購入量は前年の 4 割程度に
落ち着くのではないかと予想するトレーダーもおり、そのことから同国の需要は第 4 四半期までは静かである
と考えるものも出てきた。
期待される供給量、静かな需要から直近の相場は低いレベルで推移されると考えられる一方で、
サプライヤーが今後どの製品に注力して製造していくのかをしっかり把握し、買い遅れのないようにしたい
ところである。
(現在の粉乳取引価格)
EU 産脱脂粉乳価格(ADPI EXTRA GRADE)
EU 産全粉乳価格(ADPI EXTRA GRADE)
オセアニア産脱脂粉乳価格(ADPI EXTRA GRADE)
オセアニア産全粉乳価格(ADPI EXTRA GRADE)
米国産脱脂粉乳価格(ADPI EXTRA GRADE)
:
:
:
:
:
USD 2,700 – 3,000/MT CFR ASIAN PORTS
USD 3,200 – 3,500/MT CFR ASIAN PORTS
USD 2,800 – 3,100/MT CFR ASIAN PORTS
USD 3,000 – 3,300/MT CFR ASIAN PORTS
USD 2,750 – 3,050/MT CFR ASIAN PORTS
<清水>
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p. 3
乳 製 品 情 報 2015 年 4 月号
 バター情報
▌弱含みながら安定したバター相場
欧州相場は 3 月中旬から弱含みとなっており、
ZMB(ドイツ乳製品市場価格情報センター)および、
オランダ公定価格は 3 月第三週、第四週と続落して
いる。またユーロ安ドル高は、EU 域外への輸出に
おいて追い風が吹いている。
EU当局はPSA(民間補助在庫)について2 度目の
適用期間延長を発表した。ロシアへの禁輸措置は
少なくとも今年夏まで、あるいは年内までという声も
あり、同委員会は影響を最小限に食い止めるため
今回の実施に至ったと見受けられる。2 月末時点で
PSA の対象となっている民間在庫量は約44 千トンと
なっている。
ニュージーランド(以下NZ)、豪州共に生乳生産のピークは過ぎており、NZ は南島での干ばつの影響もあっ
て減産を余儀なくされている模様、一方で豪州においては主要な生乳生産地域が順調に増産したことにより、
2 月の生乳生産量は前年比 6.4%増となったが、国内需要が堅調で輸出力は乏しい模様。
3 月に実施された gDT オークションは、1 回目平均価格(3 月 3 日)は AMF が USD4,237/MT FAS(本船船側
渡し)で、前回(2 月 17 日)比 1.8%減、バターが USD3,912/MT FAS で前回比 2.3%増。2 回目(3 月 17 日)は
AMF が USD3,877/MT FAS の前回比 8.5%減、バターが USD3,555/MT FAS の前回比 9.1%減となった。
多くの需要者は第 2 四半期の玉を既に確保した模様で、結果オークション価格が下がったと思われる。
米国のバター在庫量は 1 月末
から 2 月末にかけて続伸した。
USDA(米国農務省)の発表に
よると 2 月末のバター在庫量は
178.2 百万ポンド(約 81 千トン)で
前年比 3.7%増、1 月末から約 13 千
トン積み増しされた。通常この
時期は イ ース タ ー 祭と ユ ダ ヤ 教
過ぎ 越し 祭を 見越し て バ タ ー の
製造が活発に な る 傾向に あ る 。
米国は値動きが激しいので
要注意だが、現状輸出市場で
戦える圏内に戻ってきている。
2015 年 3 月のバター取引価格
EU 産バター価格
NZ 産バター価格
豪州産バター価格
米国産バター(無塩 82%脂肪)価格
(換算レート EUR/USD1.09)
: USD4,000~USD4,300/MT CFR ASIAN PORTS
: USD3,900~USD4,100/MT CFR ASIAN PORTS
USD4,300~USD4,500/MT CFR ASIAN PORTS
: USD4,100~USD4,400/MT CFR ASIAN PORTS
<小瀬村>
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p. 4
乳 製 品 情 報 2015 年 4 月号
 ホエイ情報
▌米国産、欧州産共に弱含みにて推移
米国産ホ エ イ パ ウ ダ ー は 好調な チ ー ズ 生産に
後押しされ順調に生産が行われている。一部では
追加で出てきたホエイを WPC からホエイパウダーの
生産に向ける動きも見られておりホエイパウダーは
順調に在庫を積み増している。
一方で、米国内需要は落ち着いており、バイヤーは
長期的な契約を避け、直近で必要な玉は当用買いで
補い、今後更にホエイパウダーの価格が下がることを
期待している模様。輸出向けに関しては、西海岸港湾
労働争議による輸出遅延の影響で、国際市場からの
需要はさほど強くなく、相場は横ばいから弱含みで
推移し て い る 。 市場関係者は 更な る 相場軟化を 見込み 、 必要量以上の 取引は 控え て い る 状況。
EU ではチーズの生産量が減少したことに伴い、ホエイパウダーの生産量も落ち込んでいるが、EU 域内の
需要が落ち着いていることで、価格は横ばいもしくは若干の弱含みにて推移している。ユーロ安の影響も
あり、国際市場では依然大きな競争力を持っている。生乳生産割当が 2015 年3 月末で撤廃となることを受け、
4 月より生産量が増加し、価格が軟化することを期待する声も多い。
米国産 WPC-34 の価格は現在横ばいから弱含みで推移している。東南アジア諸国からの需要が落ち
着いていることに加え、米ドル高の影響もあり、在庫は積み増し傾向にある。脱脂粉乳の相場も弱含み傾向で
あるため、今後短期的に WPC-34 の相場が反転する可能性は低いが、脱脂粉乳国際相場の動向に
よっては、昨年のように急激に WPC-34 の相場が変化する可能性があるため、状況注視する必要がある。
<帆秋>
 カゼイン情報
▌カゼイン EU生乳生産割当制廃止、生乳増産を睨みもみ合いに
ニュージーランドにおける干ばつ・欧州生乳生産量の伸び率が期待していたよりも大きくなかったことを
受け、先行き不透明感から他乳製品同様、カゼイン相場も堅調に推移していた。しかし、ニュージーランドに
おける干ばつの影響も懸念されるほどではなかったことから、再び乳製品相場は全般に亘って軟調に推移
している。そのような中で 4 月より施行される EU
生乳生産割当制廃止に伴う生乳生産量増加・価格
-レンネットカゼインの GDT 過去 3 ヵ月の落札価格下落期待から、既に期近の必要量を確保した主要
入札日
カゼイン(単位:MT)
カゼインユーザーは第 2 四半期の買付けを抑え、
2015 年 1 月 6 日
USD 7,911
スポットで手当てしていく意向を強めている。この
2015 年 1 月 20 日
USD 8,159
ため購買量が減っており、GDT オークションでの
2015 年 2 月 3 日
USD 8,776
レンネットゼイン価格は大きく下落した。
2015 年 2 月 17 日
USD 8,897
カ ゼ イ ン 価 格 の 指 標と な る 脱 脂 粉 乳 価 格 に
2015 年 3 月 3 日
USD 8,694
ついても年初来急激な上昇を見せていたが、欧州
2015 年 3 月 17 日
USD 7,507
で は 3 月初旬の 直近高値と 比較し て 約 5 % 、
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p. 5
乳 製 品 情 報 2015 年 4 月号
-レンネットカゼインの GDT 価格動向(USD/MT)14,000
12,000
10,000
8,000
6,000
4,000
オセアニアでも GDT オークションで欧州
同様 5.5%強の下落となっている。
生乳生産が順調、且つ増産期待が
高まっている中、中国における需要回復・
ロシア向け輸出再開といった本格的な
需要回復の目途が立っていないことから、
今後とももみ合いの展開が続くことが予想
される。
2,000
<藤井>
 乳糖情報
▌米国西海岸港湾混雑 乳糖相場に影響
欧州
国別乳糖輸入量:2 月時点での累計(単位/トン)
欧州産乳糖相場は、横ばいもしくは軟調に推移して
2014
2015
(%)
いる。1 月の EU28 ヵ国の生乳生産量は、1,100 万 6 千
オランダ
1,192
1,080
-9
トンで昨年同月比0.7%減も好調を維持しており、チーズ
フランス
254
212
-17
生産量も順調に推移している。その結果、原料ホエイ
ドイツ
1,889
2,603
38
も潤沢で乳糖生産も好調である。また、生産設備を
カナダ
478
756
58
増強した一部メーカーが増産体制に入るため、供給量
米国
6,233
5,511
-12
は増加傾向にある。需要面では、ロシア禁輸措置に
豪州
0
18
よるチーズの減産、脱脂粉乳増産に伴う蛋白調整用
ニュージーランド
352
346
-2
途の乳糖需要増により引き合いが増えた事に加え、
その他
513
261
-49
米国西海岸港湾混雑の影響で、欧州産乳糖の引き
合計
10,911
10,786
-1
合いが一時的に増加した 。 米国産乳糖の相場が
下落している事もあり、欧州相場も基本的に軟調に
推移しているが、需要増によるタイト感から、一部サプライヤーで第 2 四半期は横ばいでの価格提示となっ
た。米国港湾混雑が解消するまでしばらく時間がかかる様子で、直近での相場は、引き続き横ばいもしくは
軟調に推移するものと思われる。
米国
米国産乳糖の相場は軟調に推移している。相場が下落した
-米国からの乳糖輸出量(2015 年 1 月)ことから、一部メーカーは乳糖生産から歩留りが良いホエイ 1. 中国
4,481 トン
パーミエイトへの生産へシフトしており、2015 年 1 月の米国 2. メキシコ
2,948 トン
乳糖生産量は、40,596 トンと昨年同月比 7.7%減少している。
3. ニュージーランド
2,905 トン
需要面では、オセアニアは季節要因により脱脂粉乳の 4. 日本
1,721 トン
生産量が減り、蛋白調整用途の引き合いが落ち着いている 5. シンガポール
1,613 トン
事と、一部需要家が今後も相場が下落する事を期待し、必要 6. インドネシア
1,028 トン
最低限の数量だけ契約している事から低調で、1 月の在庫量 7. 豪州
841 トン
は 57,742 トン、昨年同月比 25%増となった。需要の落ち込み 輸出量総計
22,634 トン
から、食品用途の乳糖も安価な飼料用途として一部出回り
始めている模様。また、西海岸港湾混雑の影響により、欧州産への切り替えで一時的に需要が減少してい
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p. 6
乳 製 品 情 報 2015 年 4 月号
る。
-米国の乳糖生産量と在庫量(2015 年 1 月)西海岸港港湾労使交渉は、2 月 20 日に暫定
乳糖生産量
40,596 トン
前年比 7.7%減
合意に至り、正常化する兆しが見られるが、山積
月末在庫
57,742 トン
前年比 26%増
したコンテナの停滞解消に数ヵ月かかる見込みで
暫く船積み遅延が続くものと思われる。船積みを
確保するために、第 2 四半期は例年よりも早めに価格提示をするサプライヤーも見受けられた。需要と港湾
混雑がすぐに回復しなければ、今後も軟調に推移するもの予想されるが、生産量も減少に転じており、既に
相場は底値に近付いているという見方も出ている。
<真野>
 チーズ情報
▌DMK社 チーズ製造設備へ大型投資
ドイツ最大の乳製品製造者である DMK 社が、過去 3 年間で製造設備に総額 5 億ユーロ以上を投資
していたことが分かった。設備投資の主な背景としては、2015 年 4 月 1 日より EU の生乳生産割当が廃止
されることが大きな要因となっている。同社は生乳生産割当の廃止に伴って、2015 年のドイツにおける生乳
生産量は前年と比べて4%増加すると予想しており、生乳生産割当が廃止される前に着実に増産体制を整えて
いたことが明らかとなった。
主な投資設備先としては、EU 最大のチーズ製造工場である Edewecht 工場となっている。同社によると同
工場は様々な増設を行っており、今後の増産に向けて万全の体制であるとのことである。
また、同社は Georgsmarienhütte 工場に新たにモザレラチーズ製造ラインを組み込んでおり、春以降
モザレラチーズの製造が開始される予定となっている。同社はこれらの設備投資によりアジアなどの急成長
を遂げている新興国よりの需要にも対応できるとしている。
▌2014年におけるCWT輸出助成金内訳
2014 年における米国 CWT(Cooperatives Working Together ; 酪農協共同基金)による輸出援助の内訳が
明らかとなった。チーズに関しては、合計 951 件の助成金への入札があり、その内 386 件が落札となった。
数量に換算すると 1 億 2 百 5 十万ポンド(46,500 トン)に達し、チェダーチーズがその内の 90%を占め、ゴーダ
チーズとモントレージャックチーズがそれぞれ 5%を占めるという結果となった。
地域別の輸出量をみてみると、半数近くをアジア圏が占め、合計量の 46%を占めた。その中で、最も輸出
された国は日本で、アジア圏への輸出量の 80%を占めた。次いで中東向けの輸出量が多く、合計量の 27%
という結果であった。中東向けで最も輸出された国はサウジアラビアで、中東向け輸出量の 89%を占めた。
船積み時期に関しては、上記 386 件の内、約 80%は 2014 年の内に船積みされたが、残りの 20%は
2015 年の上半期中に船積みされる予定となっている。20%の中には、西海岸港湾労使交渉の影響により、
船積み時期が遅延したことが多少影響されたものがあると思料される。
2015 年における CWT 輸出助成金に関しては、米国の乳製品が世界市場で価格競争力を持つための
十分な助成金が付与されると予想されており、米国乳製品が世界市場でシェア取るための重要な役割を
果たすと予想されている。尚、現状 2015 年末までの輸出助成金付与制度の継続は決定しており、2016 年
以降(原則として 2 年単位)の制度継続に関しては、6 月に予定されている会合で決定される見込みとなって
いる。
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p. 7
乳 製 品 情 報 2015 年 4 月号
▌米国CME相場
2015 年 3 月の CME スポット相場は
3 月 2 日に USD 3,407/MT から開始と
なった。2 月に引き続き、3 月も CME
スポット相場は値動きが乏しく、最安値
は23~25 日に記録した USD 3,374/MT、
最高値は 12~18 日に記録した
USD 3,462/MT であった。
(※左記相場価格は全てメーカー現地工場からの
庫前渡し価格)
<土屋>
 国内情報
▌乳価改定による4月以降の需給動向に注意
生乳・牛乳
2015 年 2 月の全国生乳生産量は 572,758 トン、前年同月比並みとなった。先月まで 20 ヵ月連続での減産と
なっていたが、今年度で初めて前年同月比並みとなった。
地域別では北海道が 295,982 トンで前年同月比 0.9%増と 4 ヵ月連続で前年を上回ったものの、都府県は
276,776 トンで前年比 0.9%減と 28 ヵ月連続で減少しており、都府県は引き続き減産に歯止めがかからない
状況が続いている。
都府県と同様に北海道も複合的な要因(高齢化、後継者問題、飼料コスト高、TPP 問題等)により、酪農
家数が減少を続けており、 ホクレンの集計によると北海道の受託酪農家戸数が 6,000 戸の大台を割って
しまった模様である。
2008 年に約 8,000 戸あった北海道の受託酪農家戸数は 7 年で 2,000 戸減少した事になる。生乳生産に
ついては引き続き厳しい状況が続くものと推測する。
バター
2015 年 2 月のバター生産量は 5,231 トンで前年同月比 9.1%増、在庫量は 17,731 トンで前年同月比 2.6%減と
なった。農畜産業振興機構が発表した 3 ヵ月需給予測によると 4 月のバター出回り量は約 6,300 トンとなり、
前年同月比 2%減と予想されている。
平成 27 年度の輸入入札は 5 月にその時の需給状況を踏まえて輸入の判断を行う予定となっており、
2015 年 4 月からの乳価、製品値上げにより市場がどう反応するか、今後の需給動向が注目されている。
脱脂粉乳
2015 年 2 月の脱脂粉乳の生産量は 10,081 トンで前年同月比 6.4%増、在庫量は 42,595 トンで前年同月比
4%増となった。 農畜産業振興機構が発表した 3 ヵ月需給予測によると 4 月の脱脂粉乳の出回り量は約 11,600
トンとなり、前年同月比 2%減と予想されている。
脱脂粉乳については平成 26 年度の追加輸入として昨年 10 月に実施された一般入札落札分で一部遅延が
発生しており、売渡予定が 6 月となっている。2 月 3 日に実施された一般入札分(平成 27 年カレント
アクセス分)4 千トンと合わせて夏場の需要期前の売渡予定となっており、売り渡し価格がどの様な価格帯に
なるのか、4 月以降の生産動向と値上げによる需給状況には注視したい。
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乳 製 品 情 報 2015 年 4 月号
-生乳生産量(27 年 2 月)-(単位:千トン)
平成 26 年度
前年比
生乳生産量
牛乳等向け
573
100.0%
299
98.7%
内業務用
22
90.0%
乳製品向け
その他
269
101.6%
4.8
100.6%
-平成26 年度、バター需給予想-(単位:トン)
生産量
前年比
消費量
第 1 四半期
16,943
86.1%
16,137
第 2 四半期
12,922
93.9%
14,691
第 3 四半期
13,649
100.2%
22,100
第 4 四半期
18,049
104.7%
17,081
合計
61,563
95.7%
70,009
在庫量はカレントアクセスによる輸入バター(民間)を含む
前年比
94.7%
89.2%
100.5%
97.7%
95.9%
在庫量
前年比
18,126
70.5%
16,357
71.1%
15,132
86.2%
16,100
93.0%
16,100
93.0%
月数
3.0
2.7
2.5
2.6
2.6
-平成 26 年度、脱脂粉乳の需給予想-(単位:トン)
生産量
前年比
消費量
第 1 四半期
31,289
83.2%
36,791
第 2 四半期
24,840
95.1%
34,820
第 3 四半期
29,381
95.6%
33,859
第 4 四半期
35,426
103.2%
34,000
合計
120,936
93.9%
139,470
在庫量はカレントアクセスによる輸入脱脂粉乳(民間)を含む
前年比
95.6%
97.9%
97.9%
99.0%
97.5%
在庫量
前年比
39,158
73.9%
33,578
76.1%
33,500
83.2%
46,300
115.0%
46,300
115.0%
月数
3.4
2.9
2.9
4.0
3.9
<神田>
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p. 9
乳 製 品 情 報 2015 年 4 月号
 アムステルダム駐在員情報
▌DMK社、DOC Kaas社 提携に向け協議
3 月 23 日、ドイツ最大酪農協である DMK 社のプレスリリースにて、同社とオランダの DOC Cheese 社が
提携に向け協議に入ったことが公表された。同公表内容によれば、DOC Kaas 社はステークホルダーでもある
同社傘下の酪農家に対し、DMK 社の株式の取得を勧め、交渉を進めていくことに対する委任を取り付けて
いく方針となっている。
現段階では詳細は公表されていないが、同公表内容によれば、DMK 社と DOC Kaas 社の母体となる両社の
酪農協組織(Deutches Milchkontor eG 及び DOC Kaas BA) は統合することなく引き続き独立した組織として
存続されることが見込まれている。
DOC Kaas、DMK 両社は共にチーズ製造では欧州最大手の一角であるため、今後の提携交渉の動向は
注視したい。
▌2015年 EU生乳出荷量は前年比1%増の見込み
欧州委員会が公表した短期見通しによると、2015 年の EU 生乳出荷量は 2014 年対比 1%程度増となる
見込みになっている。2015 年3 月末を持って生乳生産割り当て制度は廃止されるが、2014 年の生乳出荷量が
好調に推移したことなどから、2015 年は大幅な増加は見込まれていない模様。2014 年は上半期の国際相場
が堅調に推移し、酪農家に対する乳価も高く支払われたことから、好調に生乳生産も推移し、生乳出荷量は
前年対比 4.5%増の 145 百万トンを記録した。
しかしながら、2014 年後半から国際相場の下落により酪農家への支払い乳価も減額。2013 年 12 月には
EU 平均で 40.21 セント/kg の乳価が支払われていたが、2014 年 12 月には 18%減の 33.05 セント/kg となった。
2015 年 3 月末までは割り当て超過による課徴金を支払わなければならず、乳価が低調に推移した影響もあり
課徴金の支払い額を抑制するため生乳生産量を抑える酪農家が増加した。そのため、2015 年第 1 四半期の
生乳出荷量は 2014 年対比では減産に転じる見込みとなっている。4 月以降生産量は増加していくことが
見込まれているが、低調に推移した第 1 四半期の影響もあり、生乳生産割り当て制度廃止後 最初の年となる
2015 年通期では前年対比で大幅な増産は見込めない模様となっている。
▌乳製品カルテルで11社に罰金1.9億ユーロ
フランス公正取引当局は、ヨーグルトなどの乳製品でカルテルを結んでいたとして、11 社に総額1億
9,270 万ユーロ(約 250 億円)の罰金を科したと発表した。11 社を合わせた市場シェアは 90%に上り、
大掛かりなカルテルの実態が浮き彫りになった。
当局はこれら企業が 2006 年から 2012 年にかけ、ヨーグルトやフレッシュチーズ、クリーム類、デザート類
などのスーパー向けプライベートブランド(PB)製品で価格協定を結んでいたと断定。各社の幹部はカルテル
専用の携帯電話を持ち、パリ市内のホテルやアパートなど場所を変えながら会合を開いていたという。
最大の罰金を科されたのはフランス乳業大手 Lactalis Group 社とスイスの世界的食品大手 Nestle 社の合弁
会社で 5,610 万ユーロ(約 73 億円)。同社は決定に対し異議を申し立てる構えという。
一方、同カルテルの存在を最初に通知した Yoplait 社は罰金を全額免除され Senagral 社にも減額措置が
適用されている。
フランスの乳製品業界にとってスーパーマーケットやハイパーマーケットは売り上げの 92%を占める最大
市場。2013 年の売上高は約 50 億ユーロ(約 6,500 億円)に上る。
<木幡>
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p. 10
乳 製 品 情 報 2015 年 4 月号
 メルボルン駐在員情報
▌Lion社、チーズ事業の一部をWCBF社へ売却
キリン・ホールディングス子会社の醸造・乳製品大手の Lion 社が、クーンやクラッカーバレルブランド等の
チーズ事業を、Warrnambool Cheese & Butter Factory (WCBF)社へ売却することを決定した。
同社は 3 月 2 日、同一部のチーズ事業を、1億 3,750 万豪ドルで WCBF に売却すると発表、手続きは 5 月を
めどに完了する見通しである。
同社は、WCBF 社株 10.22%を保有する大株主だったが、Saputo 社による WCB 社買収前からチーズ事業で
WCB 社と提携していた。これまでの提携では、Lion 社は、同社と WCBF 社向けチーズのカットや包装を請け
負っており、一方で、WCBF 社の業者がチェダー・チーズを Lion 社の同施設に納入しており、2017 年半ばまで
契約は有効だった。しかし「(乳製品・飲料部門の)再建 3 ヵ年計画の一環として最善の策を積極的に探した
結果」、契約満了前の事業売却を決めたという。WCBF 社とは、今後も Lion 社のネットワークを通じた WCBF
社製品の流通などで提携関係を続ける。
この事業売却益は、同再建計画で成長の中核と位置付ける、乳飲料、ヨーグルト、高級チーズに投じる。
乳製品価格の低迷が懸念される中、Lion 社は再建計画が順調に進んでいることを理由に、乳製品部門の
持続的な成長に自信を見せている。高品質を求める消費者の好みに沿った品ぞろえは国内で結果を
出しており、今後はブランド力を生かして市場への浸透を図る。
▌MG社、7月にも基金(Unit Trust)を上場
Murray Goulburn 社は、本年7月にも、経営参加権のない株主基金 (Unit Trust)の上場を通じた 5 億豪ドル
規模の資金調達を実現したい考えを公表した。
同社は、2 月末の中間決算発表で、生産者乳価の支払額を乳固形分1kg 当たり 6.00 豪ドルで据え置いた。
安定した支払いを農家に確約することで、増産を促し、2014 年 12 月中間期の生乳回収量は 20 億リットルと
前年同期比 6.8%増加した。
同期の売上高は、乳製品相場安にも関わらず前年同期比1%減の 13 億豪ドル。しかし、純利益は同 8 割減
の 1,290 万豪ドルと、売上高のわずか1%に留まり、これは、協同組合として農家への支払いを重視している
ためとしている。
▌MG社、乳価を維持
Murray Goulburn(MG)社は、2014-15 年シーズン(7 月-6 月)の乳価は、乳固形分 1kg 当たり 6.00 豪ドルの
見通しを再度示した。同社によると 6.00 豪ドルは史上 3 番目に高い乳価となる。
2014 年 7 月以降世界的に起きている乳製品価格の大幅な下落にもかかわらず、同社は乳価をシーズン
開始レベルの 6.00 豪ドル(/kg 乳固形分)に保っている。主な乳原料の価格は過去 6 ヵ月で大幅に下がり、
乳製品を輸出する国の乳価を最大 40%下げる結果となっている。
一方で、予測乳価 6.00 豪ドル(/kg 乳固形分)は記録的な終値となった 2013-14 年シーズンの 6.81 豪ドルと
比べ 12%低いだけである。
同社は「この価格は、国内および海外、さらに小売りや食品、食材など、市場の様々な製品や条件において
乳価を出来るだけ高く保てるように投資努力した当社の戦略が成功した証拠。昨年 12 月末までの 6 ヵ月間で
MG はコストを削減し、製品構成を調整するなど世界的な乳製品価格の動きが価格に与えるインパクトを
軽減してきた。その努力は同社の上半期の業績へプラスの影響を与えるとともに、乳固形分 1kg 当たり 6.00
豪ドルという結果に結び付いた。」と報告した。
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乳 製 品 情 報 2015 年 4 月号
▌中国の上海鵬欣、NZ農場資産を倍増へ
中国の複合企業である上海鵬欣が、ニュージーランド(NZ)に保有する農場資産を向こう 5 年以内に現在の
5 億 NZ ドル規模から 10 億 NZ ドルに増やす考えを明らかにした。(NZ Herald)鵬欣 NZ Farm Group の CEO
は酪農会議の席で、事業規模の拡大に向け、さらなる農場買収に目を向けていると説明。「現時点で農場 26
ヵ所を保有しているが、さらに 50 ヵ所ほど増やしたい」と述べた。
同社は、現在、Taupo 近くにある1万 3,843 ヘクタールの肉牛・羊農場ロッキンバー (Lochinver) ・
ステーションの買収に関して、投資委員会からの承認を待っている状況。他にも、北島で総額 7 千万 NZ ドル
相当の複数の農場と買収について合意した他、Taharoa 地区に保有する農場の近隣農家とも取引を進めて
いる。
上海鵬欣は 2012 年に、経営破綻した酪農業者クラファーの農場 16 ヵ所を買収し、NZの酪農市場に進出
した。
▌Snylait Farms社、社名変更
2 月 25 日、上海鵬欣が 14 年に取得した酪農場運営会社 Synlait Farms 社は、社名を「Purata(プラタ)」に
変更すると発表した。同社は南島 Canterbury に酪農場 13 ヵ所を保有する大手。社名変更後も、中国の光明
乳業や三井物産が出資する Canterbury の Synlait Milk 社との提携関係は維持する。Synlait Farms 社と
Sylait Milk 社は、かつて同一会社だったが、その後、別企業として分離独立している。
▌Fonterra社への脅迫事件、事件前出荷のNZ産粉乳、中国で立ち往生
NZ の警察当局は 3 月 10 日、Fonterra 社と農業生産者団体の農業連盟(FF)が昨年 11 月、害獣駆除に
用される毒物の 1080 と粉ミルクの入った小包と書簡を受け取り、書簡には、「同毒物の使用を(今年)3 月末
までに中止しなければ、Fonterra 社製品に同じ毒物を混入する」との脅迫内容が記されていたと発表した。
現在も捜査が続いており、事件発生から 4 ヵ月後の公表を遅すぎると批判する声も上がっている。
同社が同脅迫を受けていることを受け、事件が公表される以前の 2 月に中国向けに輸出された乳幼児用
粉乳の荷揚げが、同国港湾で差し止められている。(3 月 17 日、stuff.co.nz)
脅迫事件が発表された 3 月 10 日、中国当局は、同日以降に中国に輸入されるNZ産の乳幼児用粉乳に
ついて、毒物であるモノフルオロ酢酸ナトリウム(別名:1080)が検出されなかったことを示す NZ 政府による
公式証明書の添付を要求。NZ 政府も証明書の発行に迅速に応じるとし、証明書作成の遅れなどが輸出に
響くことはないと示していた。
NZ 乳幼児用粉乳輸出業者連盟(NZIFEA) の会長によると、3 月 10 日以前の 2 月に中国向けに出荷された
乳製品についても、3 月 13 日の時点で中国での荷揚げが差し止められている状態だという。同会長によると、
中国当局は到着した製品に「1080」が含まれていないか、独自のテストを行いたい考えとみられる。
同会長は、第一次産業省へ状況を説明したが、今月 10 日以前に出荷された乳製品への対応はなされて
いない模様で同省参事官は、中国に到着している製品について、問題があるとすれば脅迫事件とは無関係
だと主張している。
▌Fonterra社、貝因美(Beingmate)社の株式18.8%を取得
Fonterra NZ 社は 3 月 16 日、中国の乳幼児食品メーカー・貝因美嬰童食品(貝因美、Beingmate)社の株式
18.8%を公開買い付けで取得したと発表した。取得額は 34 億 6,400 万元(1 人民元=約 19 円)。目標としていた
20%には届かなかったが、満足のいく結果としている。今後は貝因美を通じて同社乳幼児用粉乳「アンマム
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p. 12
乳 製 品 情 報 2015 年 4 月号
(Anmum)」を中国で販売するほか、昨年 8 月、両社は豪州で粉ミルクを製造する合弁会社を設立する提携を
発表していた。
▌Fonterra NZ社、配当見通し引き下げ
Fonterra NZ 社は 3 月 25 日、農家に対する通期の株主配当見通しを 1 株当たり 0.20-0.30NZ ドルと、前回
見通しから 0.05NZ ドル下方修正した。上半期で減益となったことが理由とみられているが、通期配当見通しの
引き下げは予想外であった。今後、酪農家の資金繰りに影響が出るとの懸念も浮上。(stuff.co.nz など)
今季の生産者乳価の支払い見込みは、乳固形分 1kg 当たり 4.70NZ ドルで据え置いた。同日発表した
1月中間決算は、純利益が1億 8,300 万 NZ ドルと前年同期から 16%減少。売上高も 97 億 NZ ドルと、同 14%
減少した。中間配当は 1 株当たり 0.10NZ ドルと、昨年同期から同 0.05NZ ドル増えた。通期の業績予想は
発表していない。
今回の配当見通しの引き下げにより、配当を含む今季の農家への支払額は、乳固形分 1kg 当たり
4.90-5.00NZ ドルとなる見通し。しかし、生産コストが平均で同 5NZ ドル前後とされる中、特に干ばつに見舞わ
れた地域の農家は、採算割れになるとみられている。農家の間では、農家の苦境を和らげるため、
Fonterra 社が配当見通しを引き上げるとの期待が広がっていた。
同社の会長は、業界の厳しさに言及した上で、今回の発表に対し「農家は大きく落胆すると思う」との
コメントも。乳製品価格の変動が大きいとして、農家には引き続き資金繰りに注意するよう呼び掛けた。
ANZ 銀行は、来季の生産者乳価の支払い見込みを、乳固形分 1kg 当たり 5.75NZ ドルと予想。
同社は、5 月に来季の生産者乳価見通しを示す見込み。
同社の CFO は、メディアに対し 3 月 25 日、農家の資金繰りを支援する投資ファンド「エクイティ・
パートナーズ・ファンド」の設立について、設立を無理には急がないとした上で「10 月までには準備が整う」と
した。同社は昨年 9 月から、同ファンドについて投資家候補や農家との協議を開始。投資家の資金を集めて
酪農家の資金調達を支援するのが目的で、実現すれば農家は銀行からの融資への依存を減らすことが
できる。
低迷する豪州事業については、需要にあわせた生産品の見直しを進める方針。高付加価値品の比重を
高めるグループ全体の経営戦略の一環。同国での生産の軸を低価格の脱脂粉乳から、栄養強化粉乳や
高級チーズなどに移す。
▌Synlait社、乳価見通し引き上げ
NZ 南島 Canterbury の Synlait Milk 社は、3 月 25 日、今季の生産者乳価の支払い見込みを、乳固形分 1kg
当たり 4.50-4.70NZ ドルと、前回予想の同 4.40NZドルから引き上げた。
Synlait 社の社長は、乳価見通しの引き上げについて、「今季がいかに酪農家にとって経済的に困難で
あるか」を踏まえて、農家の資金繰りを支援することが目的と説明した。一方、業界の見通しは引き続き
不安定としている。
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乳 製 品 情 報 2015 年 4 月号
-2015 年 2 月のビクトリア州の主な町の降雨量 (mm)Tatura (北部)
Warrnambool (西部)
Bairnsdale (東部)
Albury (北東部)
Melbourne
2 月降雨量
昨年同月降雨量
平年
平年比
30.4
9.0
38.0
35.2
37.8
27.6
8.0
12.8
31.6
25.6
34.0
31.0
49.5
48.5
48.0
-10.6%
-71.0%
-23.2%
-27.4%
-21.3%
平年
平年比
34.7
49.2
45.2
42.3
50.1
-82.7%
+2.0%
-70.4%
-88.7%
-54.1%
-2015 年 3 月のビクトリア州の降雨量
3 月降雨量
Tatura (北部)
Warrnambool (西部)
Bairnsdale (東部)
Albury (北東部)
Melbourne
29 日時点 (mm)昨年同月降雨量
6.0
50.2
13.4
4.8
23.0
25.6
42.6
41.8
48.0
26.2
※グラフは 2015 年 3 月 29 日までの降雨量
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p. 14
乳 製 品 情 報 2015 年 4 月号
-ニュージーランドの主な町の降雨 2015 年 2 月と累計 (mm)2 月降雨量
昨年同月降雨量
South Auckland (北島)
Taranaki (北島)
North Canterbury (南島)
Southland (南島)
26.5
82.6
11.4
108.1
11.3
20.2
51.8
58.8
-生乳生産量NSW
Victoria
Queensland
South Australia
Western Australia
Tasmania
Australia
61.0
95.8
43.0
86.7
-56.6%
-13.8%
-73.5%
+24.7%
’15, 2 月の生乳生産量(前年同月比)
80.5 (+11.5%)
423.2 (+5.6%)
30.3 (-3.7%)
38.4 (+5.3%)
23.9 (+6.4%)
68.7 (+11.5%)
665.0 (+6.4%)
749.3 (+5.4%)
4,564.4 (+2.0%)
282.2 (-5.4%)
350.7 (-0.6%)
235.7 (+4.8%)
624.6 (+11.3%)
6,807.0 (+2.8%)
単位:千リットル
’14, 7 月~累計(前年同時期比)
145.4 (+7.7%)
144.3 (+2.3%)
133.5 (+6.9%)
423.2 (+5.6%)
1,516.8 (+5.8%)
1,495.2 (+2.7%)
1,552.4 (-2.1%)
4,564.4 (+2.0%)
’15, 1 月 (前年同月比)
単位: トン
’14, 7 月~累計(前年同時期比)
8,159 (+0.8%)
1,066 (+1.8%)
17,476 (+22.8%)
11,409 (-4.1%)
23,641 (+11.1%)
4,279 (-31.9%)
5,875 (-5.4%)
56,780 (-1.0%)
8,541 (+21.2%)
113,689 (+14.7%)
87,552 (+7.6%)
169,714 (+12.8%)
65,541 (-26.4%)
34,601 (-8.8%)
-豪州品目別生産状況バター
バターオイル
チェダー
その他チーズ
脱脂粉乳
全粉乳
ホエイ、WPC
平年比
単位:百万リットル
’14 7 月~累計(前年同時期比)
-ビクトリア州の地域別生産量’15, 2 月の生乳生産量(前年同月比)
東 部
北 部
西 部
ビクトリア州全体
平年
<辰澤>
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乳 製 品 情 報 2015 年 4 月号
 米国駐在員情報
▌2014年米国平均乳価
2014 年、米国平均乳価は 0.53 米ドル/kg となり、同 2013 年比 0.09 米ドル/kg 上回った。
飲用乳向け生産が多いフロリダ州の乳価は 0.60 米ドル/kg と最も高く、全米平均より 12.6%高かった。
2010 年同州の乳価は全米平均よりも 19%高かったが、近年その価格差は縮まっている。
2014 年の米国東部の乳価は 0.55 米ドル/kg を超えており、ロッキー山脈以東の地域全域での平均でも
0.53 米ドル/kg を超える高水準となっている。ロッキー山脈以東で中西部を代表するミネソタ州や
ウィスコンシン州の乳価は 0.53 米ドル/kg であった。インディアナ州やミシガン州は 0.52 米ドル/kg と僅かに
低い水準であった。ニューメキシコ州は最も低く 0.47 米ドル/kg、次いでテキサス州が 0.48 米ドル/kg なっ
ている。カリフォルニア州の乳価はテキサス州とほぼ同様で 0.48 米ドル/kg であった。
▌米国生乳生産量引き続き増加
全米の生乳生産量は 2015 年 2 月 7,333,412 トンで、2014 年 2 月比 1.7%増であった。1 月比では季節的要因
もあり 1.4%増。増加率は 2014 年 2 月と比較して落ちている。
米国で最も生乳生産が多いカリフォルニア州は 1,483,272 トンで 2014 年同月比 3.8%の減少。過去 3 ヵ月
連続で前年同月比減少となっている。ウィスコンシン州とミシガン州の 2015 年 2 月の生乳生産量はそれぞれ
4,865,596 トン、1,701,967 トンでそれぞれ前年比 4.3%、7.8%の増加となっている。昨年の中西部は厳冬に
見舞われたが、本年は天候に恵まれ1頭当たりの搾乳量が増加した。全米酒要生乳生産 23 州の 1 頭当たり
の平均搾乳量 797kg で過去最高の量となった。
2015 年 2 月の乳牛頭数は 930 万頭で、2014 年 2 月比 10 万頭の増加となった。しかしながら、米国農務省
の統計によると、屠殺頭数は増加しており 2015 年 2 月は 242,300 頭が屠殺されている。これは 2014 年 2 月
比 5,700 頭多く、1 月比 33,100 頭少ない。2015 年 1 月、2 月の合計屠殺頭数は 2014 年同期比 2.2%増えている。
主要州別昨年 12 月比
ワシントン州
アイダホ州
カリフォルニア州
ニューメキシコ州
ウィスコンシン州
ミネソタ州
ミシガン州
ニューヨーク州
+2.4%
+1.5%
-3.8%
-3.7%
+4.3%
+4.3%
+7.8%
+2.3%
▌ベラルーシからロシアへの輸出増
2014 年ベラルーシからロシアへの乳製品輸出量は前年 2013 年比 5.6%増の 724 千トンであった。
2014 年 8 月にロシアで欧州 28 ヵ国、ノルウェー、豪州、米国に対乳製品の禁輸措置が施行されて以来
ベラルーシのロシア向け輸出量が増加した。ロシアはベラルーシにとって最大の乳製品輸出の向け先であり
ベラルーシの統計によるとベラルーシの輸出量の 70%以上をロシア向けが占めている。
2014 年前半ベラルーシの生乳生産量は 2013 年と比べ 1.65%少ない水準であったが、2014 年後半は同期比
3.7%上回った。さらに、2015 年 1 月のベラルーシの生乳生産量は、2014 年 1 月比 3.5%増の 521,800 トンとなっ
ており、前月である 2014 年 12 月と比べても 9.6%増えている。
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p. 16
乳 製 品 情 報 2015 年 4 月号
2015 年のベラルーシの生乳生産量の増加分は、ロシアへと向けられるものと思われる。仮に 2014 年 7 月
までに、ベラルーシの生乳生産量が徐々に減少していれば、ロシアによる乳製品の禁輸措置はべラルーシ
国内での乳製品需給を急激に逼迫したと思われる。
2014 年 8 月~12 月の間、リトアニアとポーランドはベラルーシに対してそれぞれ 40,687 トン、24,844 トンの
乳やクリームを輸出した。前年同時期には、両国ともベラルーシに対してほとんど輸出していない。
同様に、EU28 ヵ国のべラルーシへのチーズ輸出は 2014 年 8~12 月の間で 3,125 トンと 2013 年同期比 444%
増となった。これらの EU 諸国からベラルーシへの輸出がベラルーシのロシアへの輸出を後押ししている。
前述の通り、ベラルーシの生乳生産量は急激に増加しており、2015 年リトアニアやポーランドはベラルーシ
への輸出が減少すると思われ、欧州産チーズや乳においてもベラルーシへの輸出は減少すると思われる。
▌米ドル高が輸出に与える負の影響
2015 年 1 月の米国乳製品の輸出量はほぼ全品目で前月 2014 年 12 月と前年同月 2014 年 1 月比ともに
大きく数量を減らした。
NFDM(無脂乳固形=脱粉)とアイスクリームのみ 2014 年 12 月比では増加、「ヨーグルトおよびその他の
発酵乳」のカテゴリーでも 2014 年 1 月比では増加となっているが、それらを除く全ての品目において 2014 年
12 月比、2014 年 1 月比ともに減少となった。2014 年 1 月と比べると、2015 年 1 月の輸出量はバターが 74.8%、
ホエイパウダーが 26.8%、チーズが 26%、NFDM が 9.8%とそれぞれ数量を減らしている。
米国西海岸のストライキは 1 月の乳製品輸出に大きく影響を与えたが、2 月、3 月以降から徐々に解消
されるであろうと思われる。しかしながら、それとは別に乳製品も含む全ての輸出品に新たに大きな問題が
生じた。それは、米ドルの対他通貨の為替レートが 11 年振りの高値をつけたことである。2014 年 7 月以降、
NZ ドルに対して 16%の米ドル高、ユーロに対しては 20%以上の米ドル高となっている。これにより更に米国は
NZ、EU に対し輸出競争力を失っている。
世界各国の中央銀行は金融緩和に動いているが、米国の連邦準備銀行は利上げを示唆しており、今年中
にさらに米ドルが強まる可能性がある。その結果、米国乳製品の輸出にとっては痛手を被る状況となり、逆に
輸入が増えることにもなり得る。
米国は乳製品の生産量の 15%を輸出しており、現在の在庫積み上がりに増して重い在庫を持ち続けると
いうことに繋がる可能性がある。
▌NFDM在庫量増加、CME相場押し下げ
米国における 2015 年 1 月の NFDM と脱脂粉乳の合計生産量は、十分な生乳生産量であったことから、
93,895 トンと多く 2014 年 1 月と比べ 4.7%数量を伸ばした。
2015 年 1 月の米国 NFDM の生産量は 2014 年 1 月比、全米平均で 2 桁の割合で数量が増加しており、
東部では 13,608 トンと 53%増、中西部では 11,612 トンと 15%増、米国の 3 分の 2 の数量を生産している西部に
おいても 50,077 トンと 13.7%とそれぞれで数量が増加している。
カリフォルニアでは、2015 年 1 月の生乳生産量は 2014 年 1 月比で 2.6%減少しているにも拘らず、NFDM の
生産量は 28,939 トンと 2014 年 1 月比較 17%増加している。その結果、2015 年 1 月の脱脂粉乳の生産量は
18,688 トンと 2014 年 1 月比 30%減少している。同州食料農産物省は、米国の 2015 年 1 月における全粉乳、
バターミルク、脱脂粉乳、MPC、その他粉乳の生産量は 13,517 トンと 2014 年 1 月の生産量と比べると 34%
減少していると発表した。
NFDM は生産増と輸出減によって、米国内の在庫が増加しており、米国農務省の発表によると 2015 年
1 月末の NFDM 在庫量は 10,886 トンである。これは 2014 年 1 月末を 61%上回っており、記録的な量での
前月の 2014 年 12 月の 10,949 トンからは動いていない。
生産および在庫状況から NFDM の CME(シカゴ先物市場)現物と先物相場を押し下げている。
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乳 製 品 情 報 2015 年 4 月号
▌チーズの生産増によって影響を受けるホエイ市場
2015 年1 月の米国チーズ単月での生産量は過去で最高の量となった。即ち、副産物のホエイも同様に増加
していることを意味する。
事実、食用ホエイパウダーの 2015 年 1 月の生産量は 2014 同月比 9.5%増加している。しかしながら
2014 年 1 月の同生産量は非常に少なく、2015 年の生産量は 2013 年以前と比較すると決して多いとは
言えない。
2014 年前半、ホエイパウダーよりも WPC を製造することで付加価値をつけようとするメーカーが多かった。
それにより、WPI は 2014 年 1 月に歴史的生産量を記録した。また WPC(タンパク含有量 25%~49.9%)も
2014 年同月比で 46.4%数量を伸ばした。
2015 年 1 月、WPC(タンパク含有量 50%~89.9%)は 2014 年同月比 10%生産量を伸ばした一方で、WPC
(タンパク含有量 25%~49.9%)は 7.7%数量を減らした。
ホエイパウダーの在庫は 2015 年 1 月末 26,716 トンとなり 2014 年比 2.8%増、昨年 3 月末ごろの取引価格と
比較し、3 割程度安い。チーズ生産量の増加とホエイ輸出の減少により、ホエイパウダーや WPC の在庫は
増え続けるであろう。
▌1月の乳製品生産量
米国農務省の発表によると、米国の 2015 年 1 月のチーズ生産量は 444,573 トンとなり、前月比では 1.9%
減少したものの、前年同月比では 2.8%増加している。1 月単月でのチーズ生産量としては過去 15 年間に
おいて最も多い量となっている。
種類別にはチェダーチーズが 132,315 トンで前年同月比 5.3%と大幅に数量を伸ばしている。中西部での
生乳生産の増加が寄与している。さらにアイダホ州のチェダーチーズの生産量は 19,232 トンと前年同月比
19%増加しておりカリフォルニア州の同チーズ生産量の落ち込みを上回っている。一方で、アイダホ州に
おける 1 月のイタリアンタイプチーズの生産量は前年同月比 28%減と著しく生産量を落としている。
2015 年 1 月の米国バターの生産量は 81,421 トンと前月より 7.1%増加したが前年同月比 1.6%減少した。
カリフォルニア州におけるバター生産量は縮小を続けており、前年同月比で 3%の減少となっている。これらの
減少傾向は他の西部の州でも同じである。一方で米国中部、東部では大幅に生産量は増えている。
2015 年 1 月カリフォルニア州の生乳生産量が減少しているにもかかわらず、米国における NFDM の生産量
は 75,206 トン、脱脂粉乳は 18,688 トンとそれぞれを合計すれば前年と比べて変わっていない。
USDA(米国農務省)の発表によると、現在 NFDM の在庫量は 108,773 トンで、昨年同月比 61%も多い。
<斉藤>
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乳 製 品 情 報 2015 年 4 月号
 中国情報
▌輸入育児粉乳が中国市場を席巻
ニュージーランド Fonterra 社への脅迫事件により一時的に中国国内乳製品市場の混乱が生じているが、
旧 正 月 が 明 け て 新 年 に 入 り 海 外 よ り の 育 児 粉 乳 の 輸 入 が 加 速 し て い る 。
中国では一般消費者はベビー用品店で育児粉乳を購入するのが一般的であるが、輸入ブランドの台頭により
ベビー用品店での育児粉乳の販売競争が激化してきているとのことである。中国は米国に次ぎ、ベビー用品
市場では世界第二位の規模となっており、既に多くのブランドが凌ぎをけずっているが、依然として新規
ブランドが参入してきている状態である。
インターネット通販が一般的になったことで、一般向けの育児粉乳販売への新規参入のハードルは下がっ
ており、中国国内の育児粉乳の売上は順調に拡大している。ただし、大手スーパーマーケットやベビー用品店
と比較して、インターネット通販の占めるシェアは依然として小さく、現在でも売場としてはベビー用品店が
大きなシェアを占めている。
供給業者の動向も同様であり、2014 年に韓国ロッテ食品は、新商品の中国販売は、ベビー用品店での
販売に注力すると記者会見時に発表した。
2015 年のベビー用品店での育児粉乳の競争はさらに激化すると見られている。ベビー用品店での販売率
が高く、各ブランドが率先してチェーン店へ納品したため大都市圏では中国産の育児粉乳が 2~3 ヵ月間販売
不振であればすぐに撤去され、輸入品に置き換わってしまうこともあり、商品の流動性が高くなっていると
言われている。CBME(Children Baby Maternity Expo)の報告によると中国はベビー用品市場(育児粉乳、
補助食品、ベビー服、玩具を含む)でも世界第二位の消費国となっており、2015 年のベビー用品市場規模は
2 兆元となると見られている。中国へ進出している多くの海外ブランドのうち、欧米ブランドの多くは、原料乳の
品質と技術力を訴求し、日本、韓国等のアジアブランドは欧州、豪州産を原料乳とし高い品質を PR することに
加え、アジア人向けの配合であることを強調しており、ますます中国市場の競争が激化する見通しである。
▌最大手 伊利乳業が中国国内に新工場を設立
中国最大手乳業メーカーの伊利乳業は自己資金でヨーグルトと乳酸菌飲料の新工場を建設することを 3 月
18 日に発表、投資額は約 6.5 億元(約 130 億円)、工事期間 22 ヵ月となっておりこの資金は 4.43 年で回収
する見通しであることも同時に表明した。
2006 年~2013 年の中国国内市場の年平均成長率はヨーグルトで 19.1%、乳酸菌飲料で 37.1%となっている。
現在、中国国内での液状乳製品(飲用乳、ヨーグルト、乳酸菌飲料を含む)の市場規模は約 2 千億元
(約 4 兆円)となっており、この中でヨーグルトは 800 億~900 億元と売上ベースでは飲用乳製品市場の半分
近くを占めている。
また、中国の毎日経済新聞によると、乳酸菌飲料とヨーグルトは他の乳製品に比べ相対的に粗利率が
高いとのことである。
端銀証券の発表によると、2014 年 12 月までの統計では、伊利乳業の市場シェアはそれぞれ液状乳製品
35%、幼児向け飲用乳 33%、飲用乳 21%、ヨーグルト 18%、乳酸菌飲料 10%となっておりヨーグルトと乳酸菌飲料
の同社シェアは他製品比較低くなっている。
前述の通り、近年乳酸菌飲料は急激に市場を拡大しており、業界 1 位の伊利乳業と業界 2 位の蒙牛乳業の
乳酸菌飲料の年間成長率は約 100%に達しており、需要の急拡大に伴い、同社では新工場の設立を発表
したと見られている。
2014 年 3 月 22 日以降、伊利乳業は計 47.15 億元(約 940 億円)を投資し新たに 12 社を設立した。工場の
内訳としてはホールディング会社と保険会社の 2 社を除き、10 社は製造工場であり、フレッシュミルク、育児
粉乳、UHT 牛乳の工場が含まれている。伊利乳業は年内に多くの工場へ投資・増設し、中国国内の乳製品
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乳 製 品 情 報 2015 年 4 月号
供給量を拡大させる方針であると分析されている。
北京普天盛道企業企画有限公司の総経理である雷永軍氏によると「中国最大の乳業メーカーとして生産
工場・ラインを増設することは、コストの適正化に繋がる。将来、乳製品の粗利は現在より少なくなると
言われているが、物流コストの管理・適正化は乳製品メーカーが最も重視すべき点である。」とコメント
している。
<江本>
お問い合わせ先:
株式会社 ラクト・ジャパン
[email protected]
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出典:
AGRA EUROPE 各誌、
Dairy Industry Newsletter
農畜産業振興機構“畜産の情報”
AMS Dairy Market News
日刊酪農乳業速報
Rice Dairy
NZ Herald
Stuff.co.nz
食品産業網
Weeklytimes
USDEC Export Trade Data
Global Trade Information Service
USDA’s Dairy Market News
Australian Financial Review
食品産業サイト
中国饲料工业信息网
中国食品招商网
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