1 平成26年度 事業報告

平成26年度
事業報告
東京湾水先区水先人会
1.重点事業
昨年度は、水先業務実態が通し業務による肉体的・精神的ストレスが増加す
る就業環境となったこと、技術面・人格面など総合的な観点からユーザーの
水先人を見る目が厳しくなっていること、水先人養成制度が大幅に見直され
水先人がその教育の大半を担うこと、三級水先人が二級進級時期を迎えること、
新たに二級水先人の養成が始まったこと、東京湾内において船舶衝突や乗揚げ
事故を含む様々な事故やトラブルが多発したこと等に鑑みて、下記の重点目標
を掲げた。
1)湾内全域に通し業務が定着したことに伴い、個別バースに入出港する機
会が減少し、必然的に港内業務の技量の低下が危惧されている。また、
就業表が改訂されたことにより、慣れないバースに入出港する機会が増加
している。こういった就業状況の変化に対応して安全運航の実を上げるた
め、定期的に研修会を開催し、座学・意見交換をする場を設け、技術の
維持・向上を図ることとする。研修会においてシミュレーターを有効に活
用することができるように、シミュレーターモデルの整備を進める。
2)水先人養成制度の見直しが行われ、一級~三級水先人の養成方法が変わり
養成期間の後半の個別教育は各水先人会に委ねられることになった。
新しい養成方法に沿った実務修習・座学のための規程類、マニュアルを
整備して、受け入れ態勢を整え、水先修業生の教育に万全を期したい。
また、進級養成課程が具体的に示された時点で、三級水先人の二級進級に
向けた会内の環境・体制を整備する。
3)平成25年度は病気休業及び早期廃業の傾向が著しい年であった。一方、
数年後には、団塊の世代の廃業年齢が迫っている。水先人会としては、
今から湾内水先業務の維持・継続を確実なものとするため、新人教育、
進級教育、二人乗り大型船の主水先人の養成等に会を挙げて取り組む。
1)については、会員に対して水先技術の維持・向上のため座学や操船シミュ
レーターによる訓練を定期的に実施し、2)については、教育訓練会議及び
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教育訓練センターで検討し内部における教育訓練体制を整え、3)については
立案したスケジュールに従って二人乗り大型船の主水先人の養成を行った。
その詳細については、後述する。
2.会則第4条に規定された各事業
(1)会員の品位保持に関する諸施策の実施
1)連合会の実施する研修の受講
連合会の実施する安全研修が8月に行われ、対象水先人29人が参加
した。また、連合会の実施する一級水先人及び三級水先人の新人研修
が夫々5月及び10月に行われ、平成26年度入会の水先人が参加し
た。
2)会員の継続的かつ定期的健康管理の実施
平成26年4月~6月に会員の自主健康診断を石川町内科クリニック
で行った。
3)法定委員会の開催
通常総会及び臨時総会、理事会、法定委員会を定期的に開催した。
(別紙-1 添付資料を参照)
4)ISO品質管理システムの運用
今年度は第2回サーベイランス審査を受けた。事前に内部監査を実施
し問題のないことを確認した後に受検し、マネジメントシステムが引
き続き有効であることが実証された。
5)海難防止対策
①Safety Bulletin 等による情報の共有化
ヒヤリハットやトラブル事例の情報を共有化し、海難事故を防止する
ため、Safety Bulletin や会長通達により会員に対し注意喚起を行った。
②安全運航強調月間行事
平成26年9月の一ヶ月間に、安全運航強調月間の諸行事を行った。
海中転落者救助訓練、緊急対応訓練、関係諸団体との意見交換、航行安
全に関する講演会等の行事を行い、延べ参加人数は 287 名に上った。
③東京湾海上交通センターとの意見交換
東京湾海上交通センターとの定期意見交換会を開催した。今回の主な
議題は、航路内の遊漁船による航路閉鎖について、英国版浦賀・中ノ
瀬航路の行先信号記載内容について、航路内速力及び入航順序の確認
等で、活発な意見交換が行われた。
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④技術研修会の開催
教育訓練センターの ISO 品質目標に従い、水先人及び陸上職員に対し
て研修会を実施した。特に水先人に対しては、安全に関する講習や操船
シミュレーターを使用した技術研修を合わせて16回開催し、技術の伝
承を図った。
⑤乗下船安全対策
6月30日~7月4日までの5日間、連合会主導による乗下船安全キャ
ンペーンを実施した。また、安全運航強調月間行事の一つである海中転
落者救助訓練や新入会水先人の陸上研修の機会を捉えて、乗下船時の
安全対策の徹底を図った。
(2)合同事務所の設置及び運営に関する事務の実施
1)事務局組織の再編
限られた人材を有効活用し増加傾向にある事務作業に対応するため、
グループ制を導入し事務局の再編を行った。オペレーション部をオペ
レーショングループ、海務グループ及び業務グループに三分割すると
ともに、総務部に総務グループと教育訓練センターグループを置いた。
2)通し水先業務の推進
通し業務も開始後7年目を迎えることを踏まえ、通し業務に係る制限を
港区・地区毎の業務制限表に組込み、従来運用されてきた通し業務の制
限の簡素化を図って運用した。
3)指名制度の適正な運用
前年度に引き続き、適切に指名制度の運用を行った。グループ指名制度
の加盟船社に関しては邦船社11社外船社11社で、本年度の新規参加
船社はなかった。
4)情報公開
ホームページ上に会則で定められた情報の公開を行った。当会の情報
公開基準に基づくユーザーからの情報開示請求はなかった。
5)ユーザーとの定期的な懇談会の開催
ユーザー対応委員会や業務運営協議会を定期的に開催し、ユーザーと意
見の交換を行った。
6)各常設委員会の定期的開催
総務委員会、海務委員会、業務委員会、財務委員会及び ISO 管理委員
会を定期に開催した。(別紙-1 添付資料を参照)
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(3)水先人の養成に関し必要な事務の実施
1)一級水先人6期生6名の特訓・習熟期間終了後に操船技術研修会を
開催し、操船に関する質疑応答を行い技術の伝承を図るとともに、操
船シミュレーターを使用し技術研修会を行った。
2)4月に入会した一級水先人7-1期生に対し、入会後の陸上研修及び
実船研修を実施し、評価後、特訓・習熟期間に移行させた。
9月に入会した一級水先人 7‐2期生1名に対しても、7‐1期生と
同様の研修を行い、評価後、特訓・習熟期間に移行させた。
3)一級水先修業生8期生7名及び二級水先修業生1期生1名に対し、新
しい水先人養成制度のシラバスに基づいた水先区個別教育を行った。
一級8期生7名は12月の水先人試験を受験し、全員が合格した。
その後3月に入会、陸上研修及び実船研修を実施した。また二級1期
生1名は12月の水先人試験に合格し、次年度入会予定である。
4)三級水先人1期生7名の業務評価を行い、全員進級可と評価されたの
で、新しい養成制度による二級進級課程を受講させ、水先区個別教育
を行った。その後12月に二級水先人の国家試験を受験し、全員が合
格した。次年度に進級評価し、二級水先人としての単独操船に移行す
る予定。
5)三級水先人2-1期生を対象に、操船に関する質疑応答を主とした技
術研修会を開催し技術の伝承を図った。また、三級水先人2-2期生
3名の特訓・習熟期間終了後、業務評価を行い単独操船に移行させた。
その後、操船に関する質疑応答を主とした技術研修会を開催した。
6)三級水先人3期生4名の実船研修終了後、業務評価を行い特訓・習熟
訓練の過程に移行させた。
7)9月に入会した三級水先人4期生6名に対し、陸上研修及び実船研修
を実施した。
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「二人乗り大型船の主水先人養成に関する規程」に従い、二人乗り大型
船の主水先人の養成を行った。
(4)本会及び会員の水先業務に関する日本水先人会連合会及び官公署等との
連絡協議
1)日本水先人会連合会等の要請により、理事その他役員及び委員等を
派遣し各種連絡協議を行った。
2)各外郭団体の開催する各種委員会、協議会等に理事その他の役員及び
委員等を派遣し各種連絡協議を行った。
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3)水先関連課題に関する懇談会及び同ワーキンググループに参加し、これ
からの水先制度や後継者の確保・育成などを含む諸課題について検討を
行った。
4)横浜川崎区の強制水先に関する検討会及び強制緩和に伴う安全対策協議
会に参加し、安全対策を主とする検討を行った。
(5)前号に掲げるもののほか、会員に対する指導、連絡及び監督に関する諸
施策その他本会の目的を達成するために必要な施策の実施
1)本会の広報活動として下記の活動を実施した。
① 平成26年7月10日発売(8月号)掲載
中央公論「ガイドの力~水辺の案内人たち」
② 平成26年7月5日発売(8月号)、8月5日発売(9月号)掲載
舵社「月刊 Kazi」マリン業界お仕事訪問
③ 平成27年3月8日 公益財団法人横浜ユース主催
みなと体験プログラム事業
「みる しる ふれる みなとのしごと」出展
~日本丸メモリアルパーク~
3.平成26年度の会員の異動状況
平成 26 年 3 月 31 日
在籍員数
入会
退会
平成 27 年 3 月 31 日
在籍員数
171
17
9
179
会員の異動
4.後発事象
当会は、平成25年8月、独占禁止法に違反する行為が行われている疑いが
あるとして、公正取引委員会の立ち入り検査を受け、平成27年4月16日
同委員会より排除措置命令を受けた。
同命令の骨子は、当会に対し、
① 各会員が自からの判断により水先の利用者と契約して水先を引き受けるこ
とを制限している行為
② 各会員に代わって水先の利用者から収受した水先料をプールし、頭割りを基
本とする計算方法により各会員に配分している行為
の取りやめと、これに付随関連する措置をとることである。
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当会としては、上記排除命令が発せられたことを真摯に受け止めるとともに、
法令遵守と水先業務の安全かつ適切な運用を行うという観点から、今後の対応
を真摯に検討しているところである。
なお、上記排除措置命令においては、当初の当会に対する被疑事実であった
「水先人会は、会員が水先法に基づいて国土交通大臣に認可申請する水先料の
上限額及び同大臣に届け出る水先料を決定している疑いがある。
」という点につ
いての違法行為の認定は行われず、これについての排除措置命令は発せられな
かった。
以
(添付書類)
・別紙-1 添付資料
上
平成 26 年度会議、法定委員会及び常設委員会等 開催一覧表
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