3月号

広島市こども療育センター 心療部
2015
March
走れメロス(園祭りの午前ステージより、分級生の群読)
巻 頭 言
◆ 「希望」 / 副園長
行事あれこれ
◆ 園まつり /
西尾 哲也
角川 寛樹
◆ お餅つき / 福井 由紀
◆ 通園新年会
特別企画
コラム
/ 小板 真木子
● 退園児インタビュー / 村田 洋
■Who
cares? / 矢野 康介
巻 頭
言
愛育園副園長
西
尾
哲
也
「 希 望 」
時 ( と き ) は ど ん な ふ う に 流 れ て い る の か ? 。
時 計 の 針 は 右 回 り に 時 を 刻 む 。
「 未 来 を 切 り 拓 く 」 と い う 表 現 も よ く 耳 に す る 。
「 過 去 の つ け が 今 に ・ ・ ・ 」 と い う ふ う に 、 因 果 関 係 を 含 ん だ 表 現
も 聞 く 。 「 今 」 と い う 時 は 、 瞬 く 間 に 過 ぎ 去 り 、 「 さ っ き ・ ・ ・ 」
と か 「 あ の と き ・ ・ ・ 」 と 語 ら れ る 過 去 に な る 。
果 た し て 、 時 は 、 過 去 か ら 現 在 、 そ し て 未 来 に 向 か っ て 進 ん で
い る の だ ろ う か ?
逆 に 、 時 が 、 未 来 か ら 現 在 、 そ し て 過 去 へ と 流 れ て い る と 考 え
て み る 。
時 の 流 れ を 小 川 の 流 れ に 喩 え て み よ う 。
誰 か が 小 川 の 中 腹 に い る と し て 、 そ こ で 木 の 葉 で 作 っ た 小 舟 を
浮 か べ れ ば 、 川 下 へ と 流 れ て い く 。 川 上 か ら 流 れ て き た も の は 、
時 を 経 て そ の 人 の も と に 流 れ て く る だ ろ う 。
流 れ て く る も の の 中 に は 、 受 け 取 る 受 け 取 ら な い を 選 べ る も の
も あ れ ば 避 け ら れ な い も の も あ る だ ろ う 。
し か し 、 自 分 の 望 む も の を 、 今 、 自 分 で
「 時 の 川 上 」 に 投 げ こ む こ と は で き る 。
園まつり
れこれ
あ
事
行
文責:
∼2014 最高の笑顔ここにあり!∼
角川 寛樹(生活・地域スタッフ)
園 ま つ り の テ ー マは , そ の 年 の 流 行 を反 映 し て い る こ と が よく あ り ま す 。 今 年 は 『2 0
14
最 高 の 笑顔 こ こ に あ り !
∼ 楽 し ま な い とダ メ よ ダ メ ダ メ ∼ 』 で し た 。 園 児も 職
員 も 将 来 思 い 出 す こと が 容 易 で し ょ う 。園 ま つ り の 準 備 は 夏 休み が 明 け る 頃 か ら 始 まり ま
し た 。 実 行 委 員 を 務め て く れ た の は , 小学 生 2 人 と 中 学 生 2 人で し た 。 実 行 委 員 が 動き 始
め る と 、 4 つ の 活 動グ ル ー プ や 手 芸 ク ラブ 、 小 学 校 分 級 、 中 学校 分 級 、 個 別 の ス テ ージ 発
表 者 た ちも 本 格 的に 準 備 を始 め て い きま し た 。
1 1月 1 5日 、 園 ま つ り 当 日 は 天 気 に 恵 ま れ ま し た 。 午 前 の ス テ ー ジ が 始 ま る 前 か ら 会 場 は
人 で い っ ぱ い に な って い ま し た 。 保 護 者や 退 園 児 、 学 校 の 先 生な ど 皆 さ ん が 期 待 の 眼差 し
を 向 け て い ま す 。 そし て 、 つ い に 園 ま つり が ス タ ー ト し ま し た。 副 園 長 、 こ ど も 未 来局 局
長 様 や 常 務 理 事 様 にご 挨 拶 い た だ き 、 園の 一 大 行 事 な ん だ と いう 雰 囲 気 が ま す ま す 高ま っ
て い き ます 。
ものづくりグループの実演
職員と園児との連弾
午 前 の ス テ ー ジ の大 き な 見 せ 場 は 、 この 園 だ よ り の 表 紙 に もな っ て い る 中 学 校 分 級生 に
よ る 群 読 劇 ( ぐ ん どく げ き ) で し た 。 学習 し た こ と を 発 展 さ せて 、 『 走 れ メ ロ ス 』 の世 界
を 情 緒 豊 か に 表 現 し て い ま し た 。 観 客 が 引 き 込 ま れ て 、 固 唾 ( か た ず ) を 呑 む よ う に ス テー
ジを見 つめていたことは忘れられません。午 後のステー
ジ ま で は 、 屋台 で 食 事 を し たり 、 ゲ ー ム コー ナ ー で 遊 ん
だ り と 思 い 思い に 過 ご し ま した 。 屋 台 の 目玉 は 、 ポ ッ プ
コ ー ン と 綿 菓子 で し た 。 特 にポ ッ プ コ ー ンは 、 で き る と
き の 音 や 香 りが と て も 魅 力 的で し た 。 子 ども た ち の お 手
伝 い の せ い もあ っ て か 、 か ら揚 げ な ど 大 盛況 で 売 り 切 れ
て し ま うほ ど で した 。
午後 は、午前と同様に個人の発表や、○×クイ
ズ、そ して恒例の職員出し物と続いていきます。
最後の 出し物は、小学校分級生によるソーランで
した。 息を合わせて一生懸命踊る姿は祭りの最後
にふさ わしいものでした。実行委員を中心にみん
なで作 り上げた園まつり。書ききれないほど多く
の 思 い 出を 残 し て今 年 も 幕を 閉 じ まし た 。
お餅(もち)つき
文責:福井 由紀(生活スタッフ)
今年も恒例行事のお餅つきが12月18日(木)に行われました。毎年子ども達と一緒に事前準備を
して当日に備えるのですが、今年は綺麗(きれい)なお餅を作りたいという思いを胸に、お餅を丸める
練習にも取り組みました。杵(きね)と臼(うす)を綺麗に磨(みが)いて、もち米を研(と)いだら準備万
端(ばんたん)です。
そして迎えた本番当日。前日の大雪で天候が心配されました
が、雪も止み無事に園庭で行うことができました。もち米の蒸
(む)し上がった良い香りがしてきたらお餅つきのスタートです。
小学生から高校生まで力を合わせて杵と臼で力いっぱいついた
後は、熱∼いお餅を適度な大きさに切り分け、手のひらに包ん
でコロコロと丸めていきます。さて、練習の成果を発揮(はっ
き)して綺麗なお餅が出来上がっていたでしょうか?また、お餅つきは日頃お世話になっている地域の
方々との交流を深める絶好の機会。事前に手作りの招待状を配り、当日は職員だけでなく子ども達も
一緒に心を込(こ)めておもてなしをしました。
行事は、昔ながらの伝統を知り、季節
を感じることのできる大切なものです。
自分達の手で作ったお餅をみんなが
美味(おい)しく食べてくれる喜びや、
みんなで美味しいお餅を味わう楽しい
時間が子ども達の心を豊かにしてくれる
ことを願っています。
4∼6月の主な行事
花見
離退任式
国際交流
通園新年会
文責:小板
真木子(生活スタッフ)
愛育園の数ある行事の中でも、唯一の“通園児”だけの行事、『通園新年会』を1月19日に
行いました。通園児は曜日が違えばあまり会うこともなく、同じ“通園児”と言っても初対面
の子たちもいます。そんな彼らが協力して色んな事に挑戦しました。
朝 10時から集合した精鋭たちは鍋の用意です。食材を洗って切って運んで
慣れない子もそれぞれが一所懸命準備しました。
キムチ鍋、寄せ鍋、石狩鍋と3種類用意され「キノコが嫌だ!」と触るのさ
え嫌がっていた子がいつの間にか「俺、キノコ食べられる∼!」とバクバク
食べています。また別の子は、一緒に食べるひろばの先生へ鍋の具を取り分
ける姿も見られました。やっぱり“自分たちが用意した”という誇りと自信
があったように思いました。
その後は名刺カードを配ってお互い
に自己紹介し、職員が作った『通園すごろく』等のゲー
ムをチームに分かれて楽しみました。一部はさっさとあ
がってしまい、暇を持て余していましたが…。
楽しみ過ぎて時間がオーバーしましたが、最後の片づ
けまでみんなよく手伝ってくれました。
行事の後の「今日は楽しかった!」と話すみんな
の
笑顔がとても可愛かった☆
画
特別企
退園児インタビュー
文責:村田 洋(生活・地域スタッフ)
『継続は・・・』
一年前に愛育園を退園した高校生の近況をインタビューしたので紹介します。
Q:高校生活は楽しいですか?
「クラスのみんなは明るく、仲がいいです」
Q:何か、興味のあることや、チャレンジしていることは?
「看護師の職業に興味があります」
「海外(ヨーロッパ)にもいってみたい」
「コンビニでバイトをしてます。土日も含めて週に3回
バイトして半年になります。学校もあって大変だけど
がんばってます」
「学校では、友達と一緒に茶道部を作ろうと先生に相談し
てるところです」
Q:最後に愛育園に通ったことで、今の自分に役に立っている
と思うことがあれば教えてください。
「愛育園にいた時には、つらいこと、嫌だなあと思ったこと
がたくさんありました。でも1年ちょっとの園生活だったけど、
中学を卒業するまで、がんばって通園を継続(けいぞく)し
たことで、前の自分より、強くなった気がします」
コラム
Who cares?
児童精神科医師
矢野康介
私 事 だ が 、 昨 年 1 2月 か ら 英 会 話 を 習 い 始 め た 。 外 国 人 講 師 と マ ン ツ ー マ ン で の 月 に 2回
約1時間のレ ッスンだ。き っかけは特に ない。強いて 言えば外国人と 話したいと いう思い
が 昔 か ら あ っ て 、 や っ と 重 い 腰 を 上 げ た と い う の が 正 し い 。 実 は 3年 間 ア メ リ カ で 暮 ら し
た 経 験 が あ る 。 と い っ て も 0 歳 か ら2 歳 ま で の 間 な の で 全 く 記 憶 に な い 。 あ る の は 大 量 の ア
メ リ カ 人 と 写 っ た 写 真 だ 。 英 語 を 習 い 始 め て NHKの 英 会 話 番 組 や A BCニ ュ ー ス な ど を 見 て 英
語に接する機会をせっせと作っている。
そういった中で、あるネットの記事を見た。
アメ リカ 人は よく も悪 くも 『Who
cares?』、
訳 すと『 誰が 気にす るっ て言う のよ』 気質 だ
そ うだ。 人と 違うこ とは いいこ とで、 人の 言
う ことな んて 気にし ない 、とい う感覚 をア メ
リカ人は往々にして持っているらしい。
一方 で、 日 本人 は みん なと 一 緒が いい こ と
で、他人に合わせるため人 目を気にする、という感覚だと思う。これは国の成り立ちの違
い(アメリカは移民が多く 人種のるつぼであり、日本は島国で移民が少ない)からでもあ
るが、どちらがいいという訳でもない。
実は『対 人恐怖 症』が 日本独 特の
も のだとい うのも そのあ たりに 理由
が ありそう だ。他 人と違 っても 構わ
な い、人に はそれ ぞれ良 いとこ ろと
苦 手なとこ ろがあ る。そ れら自 分の
特 徴 を 理 解 す る こ と が 大 切 か と 思 う。
日 本 人 は もう 少 し 『 Who car es?』
精神が必要なようだ。
瀬戸の船上で釣り人にこんな話を聞きました。原爆ドームの傍(かたわ)ら
を流れる太田川を遡上(そじょう)すること13km。 高瀬堰(たかせぜき)の
下で、鱸(スズキ、Sea
Bass)をドライフライで狙うんだ、と。
鮎を追う1mに達するハンターが水面を踊る姿、を想うと胸が騒ぎます。
「春宵一刻(しゅんしょういっこく)…」の宵(よい)を。
夢見る頃を遠く過ぎても。
(指導員 村田
広島市こども療育センター心療部
洋)
愛育園
〒732−0052
広島県広島市東区光町二丁目15番55号
(082)263−0683(代)
[email protected]
http://www.hsfj.city.hiroshima.jp/data/aiiku.htm