道内で取組まれる 温暖化対策の事例 2014 ! ● 市民・民間による自発的な環境保全活動を促進し、環境学習の機会や情報交流などさまざまな活動 支援を行うために設立された非営利団体です。環境・経済・社会が調和した持続可能な北海道づく りをめざして、人や地域をつなぎ、道内の環境保全活動や環境教育を発展、深化させてゆくことを 目的として活動しています。地域、立場、分野を超えた環境保全活動の推進・支援をはじめ、環境教育、 そして地球温暖化防止の取り組み推進を大きな柱として、様々な事業を実施しています。その活動 が都道府県地球温暖化防止活動推進センターの役割と一致するものとして、1999 年 4 月 13 日に全 国に先駆けて北海道における同センターに指定されています。 [公益財団法人北海道環境財団 HP] http://www.heco-spc.or.jp/ [道内で取組まれる温暖化対策の事例 HP] http://www.heco-spc.or.jp/kiban/ [本紙に関するお問合せ] 〒060-0004 札幌市中央区北 4 条西 4 丁目 伊藤・加藤ビル4階 TEL:011-218-7811 FAX:011-218-7812 本紙は、「平成 26 年度地域における地球温暖化防止活動促進事業」で作成しています。 1 ! はじめに 道内では、多くの方々が様々な分野で温暖化防止に向け ● た取組を行っています。 こうした取組は、温暖化防止対策だけを目的とした取組 みではなくエネルギー対策をはじめ、産業や農業、住宅、 食、家 庭 生 活、福 祉、防 災 な ど 様 々 な 分 野 で、地 域 の 特 ● 性や状況に応じて進められています。 本紙では、北海道地球温暖化防止活動推進センターのス タ ッ フ が、こ う し た 取 組 を 現 地 で 取 材 し、見 た こ と、聞 いたこと、感じたことをレポートに取りまとめてお知ら せします。 ここで紹介している事例は取組事例のほんの一部ですが、 年2月 少しずつ取材を続けて一つでも多くの事例を皆さんにお 知らせしていきたいと思います。 平成 公益財団法人北海道環境財団 27 事例1 事例2 事例3 賃貸住宅 温暖化防止︵実施地域 × 当別町︶ 下川町︶ 下川町︶ 利尻町︶ ペレットストーブ&菜園付き エ コ ア パ ー ト 音楽ライブ 温暖化防止︵実施地域 × バイオマスライブ 小規模集落再興 温暖化防止︵実施地域 × バイオビレッジ 離島の防災とまちづくり 温暖化防止︵実施地域 × 富良野市︶ 自立・分散型エネルギーシス テ ム 温暖化防止︵実施地域 × 3 5 7 9 事例6 事例7 事例8 事例9 事例 環境教育 温暖化防止︵実施地域 × 富良野市︶ 温暖化防止︵実施地域 中標津町︶ × 日々の生活を見直す体験プログラム 生乳の熱利用 浜中町︶ 温暖化防止︵実施地域 中標津町︶ × ミルクヒートポンプ 水耕栽培 温暖化防止︵実施地域 × 水耕栽培の低炭素化 地域循環型酪農 温暖化防止︵実施地域 弟子屈町︶ × 小規模分散型メガソーラー 宿泊施設 温泉熱を活用したペンション ! 2 13 15 17 19 21 小水力発電 自然河川での小水力発電 10 事例4 事例5 ! 11 事例1 賃貸住宅 温暖化防止 × 分の エコアパート かたくりの里とうべつ﹁空﹂ 2014年春、札幌から電車で約 ﹁空﹂を 経 営 し て い る の は、当 別 で 数 十 年アパート業を営む大澤産業株式会社で す。 現在の代表取締役、大澤俊信さんは、東 ト経営に関する勉強会に参加していまし 京の大手企業に勤めていた頃から﹁いつか うべつ﹁空﹂です。 た。その中で、足立区にある畑付きエコア と こ ろ に あ る 当 別 町 に、環 境 配 慮 型 の ア こ の ア パ ー ト の 特 徴 は、暖 房 設 備 に ペ パートを知り、実際に足を運んで、エコア は家業を継がなければ﹂との思いで、アパー レ ッ ト ス ト ー ブ を 導 入 し て い る こ と で す。 パートの構想を練っていたそうです。 パートが完成しました。かたくりの里 と ペレットはもちろん道内産で、地域の燃料 常識からすると、エコアパートは初期投資 年で次に向けた投資をするアパート経営の ﹁初 期 投 資 を 短 期 間 で 回 収 し、5 年、 澤さんは、次のように話しています。 だ珍しい存在です。その理由について、大 全国的に見ても、エコアパートはまだま 環境問題から取り残された 賃貸住宅 完成させました。 用、各世帯専用の菜園付きエコアパートを ストーブ全室導入、道内産木材100%使 宅に強い道内の業者と協力して、ペレット 当別に戻った大澤さんは、環境配慮型住 店が各 世帯 の保 管 庫 にま と めて 配送 して く れます。また、外壁や内装には全て道産材 を用い、断熱材にも道内の間伐材などを原 料とする木質繊維断熱材を使用していま す。さらに、地熱を利用するためのアース チューブが、菜園の下に埋設されています。 こ の ア ー ス チ ュ ー ブ か ら の 熱 を、2 階 に 設 置され たサ ー キュ レータ ーで 室 内に 循環さ 度 せて、夏は涼しく、冬は暖かくなるように 設計されています。 積雪量が多く、寒い日にはマイナス にもなる当別町で、温暖化の原因となる化 石燃料の使用を抑え、快適に冬を過ごすこ とができるアパートです。 10 ! 40 20 3 ペレットストーブ&菜園付きエコアパート 1 1 1.2階も使用できるメゾネットタイプで、計4世帯が居住できる。外壁と内装には、全て道内産の木材が使われて いる。日当たりのいい南側には、各世帯専用の菜園(約20㎡)があり、菜園の水やりに使える雨水タンク(写真左 下のドラム缶)も各世帯に設置されている。 スパンで見れば経営として成り立つと判断 わらず一定以上の入居率を確保でき、長い 高品質な住居環境を提供すれば、家賃に関 入 居 者 の 健 康 の 両 方 に 配 慮 し た ア パ ー ト。 は、無添加・自然素材にこだわり、環境と ければ、その対象にすらなりません。﹃空﹄ ても、アパート自体が環境に配慮していな 者が環境に配慮した暮らしをしたいと思っ くさんありますが、賃貸住宅の場合、入居 宅だけ取り残されています。環境政策はた 問題が叫ばれているにも関わらず、賃貸住 だから、これだけエネルギー問題や、環境 が 大 き く、回 収 に 時 間 が か か り す ぎ ま す。 いきたいと思っています。そして、地域に 能エネルギーに関する興味・関心を高めて ト ス ト ー ブ を き っ か け に、当 別 で の 再 生 可 で 賄 え る よ う に す る こ と。﹃空﹄と ペ レ ッ 量を半分にして、残りを自分たちのエリア ます。今の目標は、地域で消費する灯油の ネルギーを身近に感じることにもつながり で、自身の生活を見つめ直し、再生可能エ 地域の資源を使って産業を生み出すこと 性があると考えたからです。地域の住人が、 ト産業が地産地消の産業の一つになる可能 森林資源がある当別では、近い将来、ペレッ る 時 に ペ レ ッ ト に こ だ わ っ た の は、豊 富 な 新しい人を呼び、若者が戻って来たくなる ような町にしたいと考えています﹂。 最後に、当別への熱い想いとビジョンを ! 4 しました﹂ 。 若者が戻ってくる町を 目指して 持つ大澤さんに、次に建ててみたいアパー トについて、聞いてみました。 月 7 ﹁当 別 は、札 幌 に 近 い が ゆ え に、若 者 が ﹁ト イ レ を 雨 水 か バ イ オ 利 用 に し て、そ れが菜園に活用される仕組みのアパートを 建 て て み た い。風 が 強 い 気 候 を 活 か し て、 風力発電も取り入れてみたいと考えていま 4.木質繊維断熱材(200㍉)は、高性能グ ラスウールと同等の断熱性能があるだけでな く、熱容量が高く周囲の温度影響を受けにく い、木材の特性である調湿性能で湿度をコン トロールできる等、様々なメリットがある。 す﹂。 記事に関するお問合せ 年 公益財団法人北海道環境財団 ︵担当 杉岡︶ 連絡先 011‐218‐7811 取材日 平成 26 年度地域における地球温暖化防止活動促進 事業﹂で作成しています。 本紙は﹁平成 26 離れて戻ってきにくい町です。地域に若者 3.冬は暖気、夏は地下の冷気を循環させる 換気システム。穴のあいた仕切りと、穴のな い仕切りを入れ替ることで循環させる。とて もシンプルな仕組み。 かたくりの里とうべつ「空」に関するお問合せ 〒061-0233 石狩郡当別町白樺町60番地 TEL 0133-27-5006 大澤産業株式会社(当別町) 代表取締役の大澤俊信さんのおじいさんの代に、当別に移り住む。 アイスクリームのスティックなどを作る製造業を営んでいたが、昭 和 50 年、北海道医療大学が当別に移転したことをきっかけに、ア パート業に転向。北海道科学大学(旧北海道工業大学)寒地環境エ ネルギーシステム研究所の協力のもと、「空」の室内環境性能の実 測調査を、今年度からふた冬かけて行う予定。 1 や新しい人を呼ぶには、地域の産業や魅力 2.マンションや6畳間にも設置でき、天面 で調理もできるタイプのペレットストーブを 全室に導入。南側の菜園に面した土間に設置 してある。 が 不 可 欠 だ と 感 じ て い ま す。﹃空﹄を 建 て 4 2 3 事例2 音楽ライブ 温暖化防止 × 車の燃料として使用しています。 ∼ リッ トルのバイ オディ ーゼ ル燃料 ﹁し も か わ バ イ オ マ ス ラ イ ブ﹂で は 一 日 に 約 を使用しています。 もので、地域循環を活用したエネルギーの 町内 の業者 がバイ オディ ーゼル 燃料に した の 家 庭 か ら 廃 棄、回 収 さ れ た 廃 食 用 油 を、 われているバイオディーゼル燃料は、町内 また﹁しもかわバイオマスライブ﹂で使 を楽しむことができます。 酸化炭素排出量の削減を図りながら、音楽 できる、カーボンニュートラル︵ ︶ ※な燃 料です。地球温暖化の原因の一つである二 れ、ディーゼルエンジン用燃料として使用 オディーゼル燃料とは、廃食用油から作ら 電力で、音響設備を動かしています。バイ 料︵BDF︶を使って発電機を回し、その 廃食 用油か ら作ら れたバ イオデ ィーゼ ル燃 ジャム﹂の運営は、町内の事業者やNPO、 4年7月、 開催されました。第一回目の﹁森 テンツからなるイベントに発展し、201 ア ー ト﹂ ﹁森 の マ ー ケ ッ ト﹂の 3 つ の コ ン が決定し﹁バイオマスライブ﹂ ﹁チェンソー 蚤の市集団を中心としたマーケットの参加 さ ら に、前 年 度 試 行 的 に 出 展 を 行 っ た、 に﹁森ジャム﹂の計画がスタートしました。 同でイベントを実施しようと、2014年 れ、同 じ 課 題 を 抱 え て い た チ ェ ー ン ソ ー び悩んできたことから、同じ下川町で行わ イブを行っていました。しかし、集客が伸 ライブ実行委員会に加盟し、バイオマスラ 下川町は、数年前から北海道バイオマス 名の実行委員と、町内外の 1.「しもかわバイオマスライブ2014」の様子。出演しているのは、地元下川町や近郊で活動するミュージシャンたち。 音響設備の電源は、町内で作られたバイオディーゼル燃料で発電した電気を使っている。 バイオマスライブ 音楽ライブの低炭素化 バイオマス資源を活用した取組が全国的 に有名な、下川町で行われている音楽ライ ブ﹁しもかわバイオマスライブ﹂をご存知 でしょうか? ﹁森ジャム﹂へ発展 ∼キーワードは﹁森﹂∼ ひとつでもあります。 町職員など約 名で行われまし ! こ の﹁し も か わ バ イ オ マ ス ラ イ ブ﹂は、 このバイオディーゼル燃料は、低温下で ボランティアの合計約 アートの国際大会﹁EZO CUP﹂と共 の使用には適していないため、下川町では た。 20 10 5 50 夏に限ってゴミ処理場の重機や、ゴミ収集 1 30 目指すのは、地産地消の 道北一大イベント 今 回 取 材 に 対 応 し て 下 さ っ た の は、 ﹁森 ジ ャ ム﹂の 実 行 委 員 長 を 務 め、 ﹁し も か わ バイオマスライブ﹂にも出演している、一 般財団法人下川町ふるさと開発振興公社ク ラスター推進部の徳間和彦さんです。 ﹁森 ジ ャ ム﹂の 目 指 す と こ ろ に つ い て、次 のようなお話を伺いました。 ﹁バイオマスライブ単独のイベントから、 ﹃森 ジ ャ ム﹄に 発 展 さ せ る こ と で、町 内 外 ﹁今 年 始 め た﹃森 の マ ー ケ ッ ト﹄で、自 転車で発電してコーヒーを沸かしたり、太 陽光発電を体験したりできる啓発コーナー を作りました。今後は、木質バイオマスや、 木製品など、下川町の豊かな森林資源も今 まで以上に活用して、地産地消、低炭素型 のイベントとして定着させていけたらと考 えています。課題は、できる限り環境負荷 カ ※ーボンニュートラル 植物由来の燃料や原料を燃焼させるなどして排 出される二酸化炭素の量に対し、その植物が成 長する過程で光合成を通じて吸収した二酸化炭 素の量が同じになるという概念。 記事に関するお問合せ 月 を減らし、自立した予算で、長く続けてい 年 けるようにすること。また、地元の幅広い 取材日 平成 公益財団法人北海道環境財団 ︵担当 杉岡︶ 連絡先 011‐218‐7811 年代の人たちにも、今以上に参加してもら え る よ う に し て い き た い と 考 え て い ま す。 9 5.今回取材に対応して下さった徳間さん。ギタリストとし てバイオマスライブに出演。 年度地域における地球温暖化防止活動促進 26 3,4.「森のマーケット」に用意された啓発コーナー。 本紙は﹁平成 26 事業﹂で作成しています。 2.チェーンソーアートの国際大会。国内外から10名が参加 した。森林資源が豊かな下川町だからできる国際大会。 そして、主催するスタッフ自らが楽しめる イベントにできたらと思っています﹂。 3 約700名の来場につながりました。観光 資 源 の 少 な い 道 北 で、 ﹃森 ジ ャ ム﹄の よ う ! 6 な新しいスタイルのイベントが注目され 5 4 て、地域の一大イベントになるように育て ていきたいと思っています﹂ 2 しもかわバイオマスライブ・森ジャム に関するお問合せ 一般財団法人下川町ふるさと開発振興公社 クラスター推進部(下川町) 〒098-1206 上川郡下川町幸町95番地 TEL 01655-5-2770 URL http://www.shimokawa-zaidan.jp クラスター推進部は、事業化につながるアイデア発掘から、研究開 発地域産品の開発支援と販売促進、地域活性化に関する調査・研究 など総合的な支援と事業を行い地域産業の振興を目的に、財団法人 下川町ふるさと開発振興公社内に設置された。 温暖化防止 × 小規模集落の再興 木質バイオマスでエネルギーを自給する 集住化モデルを形成し、次世代に向けた持 続可能な地域をつくる。これらを目的に作 ら れ た、環 境 未 来 都 市︵ ︶下 川 町 の﹁一 キ ⑤地域課題の解決に向け、高度な知識、技 術を導入すること このバイオビレッジ構想を基に、201 3年5月に完成したのが﹁一の橋バイオビ レッジ﹂です。 ス タ イ ル の 住 宅 で、コ レ ク テ ィ ブ ハ ウ ス、 バイオビレッジは、人が集まって暮らす 地域資源を活用して 自立して暮らせる場所に え、鉄道も走っていた地域ですが、現在の 人口は約140人、世帯数は全部で 高齢化率は約 %です。 下川町の厳しい冬に対応した、高断熱性 戸あり、複数戸から成 地域を再興するため、数年にわたって地 65 能の住居が全部で または集住化住宅と呼ばれています。 世帯、 ロのところにあります。かつては林業で栄 一の橋地区は、下川町市街地から約 の橋バイオビレッジ︵ ︶﹂をご紹介します。 ※1 し、バイオビレッジ構想が作られました。 の末、自律して暮らしていける地域を目指 等 が 話 し 合 い を 続 け て い ま し た。話 し 合 い 対応できるようになっています。 トタイプ︶の3種類で、様々な世帯構成に は、3LDK、2LDK、1LDK ︵メゾネッ る住居棟6棟に分かれています。住居形態 また、これらの住居棟は、屋内化された 共有の廊下で繋がっているので、玄関前の とができます。 ①地域を担う人財を確保すること ビレッジ内には、地域おこし協力隊が駐 雪かきなど、住民の負担を大きく減らすこ ネスを数多く起こすこと 警 察 立 ち 寄 り 所 や、郵 便 局 も 併 設 さ れ て い 在 し 管 理 人 を 務 め る 住 民 セ ン タ ー が あ り、 すること ます。また、交流プラザの﹁駅カフェイチ ③バイオマス等を活用した集住型の住環境 ④住民の生活支援システムを構築すること を整備し、環境負荷を低減した地域を形成 ②地域資源を最大限に活用し、小規模ビジ にしています。 バイオビレッジ構想は、次の5つを基本 26 ! 10 ※3 7 ※2 区 の 住 民、行 政、地 域 お こ し 協 力 隊︵ ︶ 50 小規模集落再興 1.26世帯が暮らす「一の橋バイオビレッジ」。一の橋の住人をはじめ、地域おこし協力隊等が暮らしている。 一の橋に住む人たちは、地域おこし協力隊が困りごとを助けてくれる「見守りサービス」を受けられる。 事例3 バイオビレッジ 1 日用品の販売も行っています。 ノハシ﹂では、飲食のほか、必要最低限の ています。 力をまかない、住居の電力の一部も自給し ビレッジ内の全ての施設と、近隣施設の 給湯と暖房をまかなっているのが、木質バ 熱供給施設には、バックアップ用も含めて 境未来都市推進課の仲埜公平さんに、バイ 今回取材に対応して下さった、下川町環 一の橋をモデルに 他地域への展開を目指す 2機設置され、町内の間伐材等からできた オビレッジをこれからどのように発展させ イオマスボイラーです。バイオビレッジの チップを燃料として使用しています。燃焼 1 ※ 環境未来都市 環 境 や 高 齢 化 な ど 人 類 共 通 の 課 題 に 対 応 し、環 境、社会、経済の三つの価値を創造することで の実現を目指す、先導的プロジェクトに取り組 ﹁誰もが暮らしたいまち﹂ ﹁誰もが活力あるまち﹂ んでいる都市・地域として国が選定。 2 ※ バイオビレッジ 持続可能な生産活動や自然生態系の復元を可能 とする自然との共生、調和のとれた緑豊かな集 落という想いが込められた造語。 3 ※ 地域おこし協力隊 人口減少や高齢化等の進行が著しい地方におい ていくのかをお聞きしました。 ﹁ひ と ま ず 集 住 化 の 仕 組 み は で き ま し た くことを目的に国が支援する制度。 に応えながら、地域力の維持・強化を図ってい 定着を図ることで、意欲ある都市住民のニーズ て、地域外の人材を積極的に誘致し、その定住・ たり、診療所や日常的な遊び場などがあれ 成していません。住民の交通の便を良くし が、バイオビレッジ構想のプランはまだ完 によって出た灰も、農地の土壌改良材とし て 活 用 し て い ま す。ま た、近 隣 施 設 で は、 ボ イ ラ ー の 熱 を 活 用 し て、木 の オ ガ 粉 を 使った菌床しいたけを栽培し、地域住民の 雇用を生み出しています。 ばもっと暮らしやすくなると考えていま す。ボイラーの温水熱の利活用もすすめた 記事に関するお問合せ 年 月 公益財団法人北海道環境財団 ︵担当 杉岡︶ 連絡先 011‐218‐7811 取材日 平成 ! 8 さらに、熱供給施設の屋根には太陽光パ ネルが設置されており、ボイラーの運転動 い。バイオビレッジに実際に住んでいる方 からの評判はよく、今では空きが出ると抽 選になるほど。町内外からの視察者も多く、 住んでみたいという他の地区の人もいま 年度地域における地球温暖化防止活動促進 9 5.今回取材に対応して下さった仲埜 さんも、一の橋の住民。 本紙は﹁平成 26 4.十数名が働く、しいたけの栽培施 設。近隣市町村をはじめ、全国にも出 荷している。 す。今、別の地区の住民からも集住化住宅 3.給湯と暖房をまかなう、木質バイ オマスボイラー(550kW)。 事業﹂で作成しています。 2.各世帯をつなぐ廊下。月に一度、 住民みんなで清掃をする。 にしてほしいという声があり、準備をすす めています﹂ 。 4 26 5 2 3 一の橋バイオビレッジ に関するお問合せ 下川町 環境未来都市推進課 〒098-1206 上川郡下川町幸町63番地 TEL 01655-4-2511 旭川から北に約 100 キロのところに位置し、人口約 3500 人。町面積の 9 割を覆う森林資 源を活用した取組が全国的に注目されている。一の橋地区の取り組みを通し、地域資源を 最大限に生かした森林未来都市を目指す同町のチャレンジを紹介した「エネルギー自立と づくり 地域創造(中西出版)」を、2014 年 7 月に刊行。 事例4 離島の防災とまちづくり ×温暖化防止 る保証はありません。また、輸送に費用が れてくるため、災害時に安定して確保でき 火力発電の燃料である重油は、船で運ば 力発電でまかなっています。 する実証実験を行っています。 な再 生 可能 エネ ル ギーの 導入 可能 性 を調査 とを活かした水産系バイオマスなど、様々 風力だけでなく、海に囲まれた島であるこ ∼ かかるので、他地域に比べて価格が高いう ・ 北海道北部の日本海に浮かぶ島、利尻島。 え、不安定な石油価格は、住民、特に高齢 離島の防災対策 ∼危機感を覚えた 島の 西側に位置 する利尻 町で進 められて い 町内への再エネ普及には 離島ならではの課題も る、防災と低炭素型のまちづくりを兼ねた 者の生活を圧迫しています。さらに、地球 町 の 災 害 時 収 容 避 難 所 で も あ る 総 合 体 育 取組をご紹介します。 が多いことも課題でした。 年に新エネルギービジョン ギー自立に向けた取組を進めるため、利尻 陽光発電と風車には、それぞれ蓄電池電源 には防災用LED照明を設置しました。太 1kWの小型風車を4基、そして体育館内 町では、平成 年には町内の笹をペレット システムが導入されており、災害等の停電 を策定、平成 化する実証実験などを実施してきました。 時でも、自立電源として活用できるように の強化を図り、非常用電源を確保すると同 東日本大震災を契機に、防災拠点の機能 うなるのか、危機感を覚えた﹂と言います。 のような災害が利尻島で起きたら、一体ど ル ギ ー 係 長 の 佐 藤 弘 人 さ ん は、﹁も し、あ さった、利尻町の防災広報係長兼環境エネ が 起 こ り ま し た。今 回 取 材 に 対 応 し て 下 その一方で、一般家庭への再生可能エネ 調に進んでいます。 施設への再生可能エネルギーの導入は、順 るデマンド監視システムの導入など、公共 ワーク化して電力使用量を町役場で管理す 入 や、町 内 の 公 共 施 設 や 学 校 等 を ネ ッ ト 蓄電池、コージェネレーション設備等の導 なっています。また、町庁舎への太陽光や そんな中、平成 時に、再生可能エネルギーを進める可能性 きています。 ルギーの普及には、離島特有の課題も出て を 探 る こ と に な り ま し た。平 成 新 エ ネ ル ギ ー ビ ジ ョ ン を も と に、太 陽 光 や 24 ! 温暖 化の原 因で も ある二 酸化 炭素 の 排出量 北海道本土の電力系統から独立した電力 館﹁夢交流館﹂に、 kWの太陽光発電と こうした課題を解消し、地域内のエネル 年に 稼働開始し た北電の ディー ゼル 火 系統の利尻島では、ほとんどの電力を、昭 和 42 15 年3月、東日本大震災 21 17 年 に は、 23 9 11 1 3 自立・分散型エネルギーシステム 1.総合体育館「夢交流館」の小型の風力発電、 1 kW×4基。「1kWが4基の方が、万が一 1 基壊れても、残り 3 基が使えるから」とのこと。 2 3 平成 年、再生可能エネルギーと連携し た取組として、電気自動車を公用車として 年には漁業者にも使用 してもらいました。その結果、電気自動車 る、と佐藤さんは言います。 しかし、一方で離島ならではの強みもあ 地域資源を活用し 島国のモデル地域に の性能には問題はないものの、充電の手間 ﹁離 島 は 人 も 物 も 限 ら れ て い ま す。だ か 試験導入し、平成 が障害となってしまうことがわかりまし らこそ、地域資源を活用したまちづくりが ま す が、小 さ な コ ミ ュ ニ テ ィ だ か ら こ そ、 た。また、家庭向け太陽光発電なども、塩 新しい取組を積極的に受け入れられるよう 必要です。抱えている課題はたくさんあり せん。 害に対する不安を抱く住民が少なくありま 佐藤さんは、離島で再生可能エネルギー な雰囲気が出てこれば、地域資源を活用し たエネルギーの自立に向けた動きも、より を推進する時の課題について、次のように 話しています。 一層進むと思っています。今後、利尻島の 再 生 可 能 エ ネ ル ギ ー は も ち ろ ん、エ ネ ル ﹁住 民 の 生 活 ス タ イ ル に 合 い、使 い や す ギー管理システムも積極的に活用して、低 スマートコミュニティビジョンを作り、現 難しいのが現状です。また、再生可能エネ くて、かつメリットがなければ、一般の家 ルギーの機械や設備は、島にはない、町民 炭素型のまちづくりを進めていきたいと考 実 に 可 能 か ど う か の 調 査 を 行 う 予 定 で す。 が実際に見たことのないものであることが えています。広く言えば、北海道も島、日 庭に再生可能エネルギーを普及させるのは ほとんどです。設備に関する専門的な知識 生可能エネルギーとまちづくりのモデル 本も島。島における地域資源を活用した再 たつの異なる機械が、本当に組み合わせて を、利尻島で作れたらと考えています﹂ 。 を持った人材も、十分とは言えません。ふ 使えるのか、メンテナンスはどうするのか など、細かい技術的な部分は、エネルギー 記事に関するお問合せ 月 9 業界の人や、専門家でなければわからない 年 公益財団法人北海道環境財団 ︵担当 杉岡︶ 連絡先 011‐218‐7811 取材日 平成 26 年度地域における地球温暖化防止活動促進 事業﹂で作成しています。 本紙は﹁平成 26 ! 25 ことが多いと感じています﹂。 3.停 電 時、通 常 時 共 に 使 用できる太陽光発電。 10 24 2.防 災 広 報 係 長 兼 環 境 エ ネルギー係長の佐藤弘人さ ん。 自立・分散型エネルギーシステム に関するお問合せ 利尻町防災広報係 / 環境エネルギー係 〒097-0401 利尻郡利尻町沓形字緑町14番地1 TEL 0163-84-2345 北海道北端の稚内市から西方約53キロにあり、「利尻」はアイヌ語「リイ・ シリ」で「高い・島」を意味する。島の中心にそびえる秀峰利尻山は、日本 百名山のひとつに数えられている。水産業と観光業が盛んで、毎年春から夏 にかけて多くの観光客が訪れる。 小水力発電 温暖化防止 × 自然の川を活かして発電 富良野市麓郷地区にある、ドラマ﹁北の しら とり 国 か ら﹂の ロ ケ 地 近 く を 流 れ る 白 鳥 川 に、 小 水 力 発 電 の 水 車 が 設 置 さ れ て い ま す。こ こには、全国でもあまり例のない、自然河 川に設置された水車があります。 自然河川は規制が厳しく、河床に手を加 えたり、工作物を直接置いたりすることが できません。そのため、この水車は、岸辺 から川に向かって、アームでつるして設置 しています。 水車の直径は2・25メートルで、アー ム の 先 だ け で 重 さ は 2 6 0 キ ロ あ り ま す。 増・減水時には、川の水量に合わせて水車 を上下に調整できるようになっています。 最大出力は200W、発電された電力は、 ロケ地の外灯と、隣接する教員住宅の外灯 に使用されています。 さんの考えでした。 富 良 野 は 盆 地 で、日 照 時 間 は 長 く な く、 風も比較的穏やかな場所が多いため、太陽 光 発 電 や 風 力 発 電 の 適 地 で は あ り ま せ ん。 時間 一方、水力発電は、周りの山々から大小様々 な 河 川 が 注 ぎ 込 む た め 最 適 で、か つ 安定して発電できます。 熊崎さんは、富良野でエネルギーを自給 することを目指し、熊崎さんの考えに共鳴 する地域の人と一緒に準備を進めていまし た。そして、 2010年、熊崎さんを顧問に、 富良野地域小水力発電普及協議会が発足 し、取組が進められることになりました。 自然河川での小水力発電は、前例がほと んどなく、設置に関する課題などわからな いことが多いため、まずは試験的に設置す ること、また小水力発電は、再生可能エネ ルギーの中でも認知度が低いので、普及啓 発や環境教育としても活用できるよう、構 造のわかりやすさや、メンテナンスのしや す さ を 考 慮 し、﹁開 放 型 下 掛 け 水 車﹂と 呼 地元の灌漑機械製造企業が、製作した水 ばれる形にしました。 小水力に注目したきっかけは、麓郷地区 車と設備小屋を地域に寄贈し、富良野市の 市民による 市民のための発電 で農業を営み、市議も務めた故・熊崎健治 ! 11 24 事例5 1.2011年12月に、富良野市麓郷地区の白鳥川に設置された。冬、氷点下25℃以下になることもあるため、 水車が凍りついてしまったこともあるそう。でも、それも実験のひとつ。 自然河川での小水力発電 1 敬介さんも、中心メンバーのひとりです。 設置されました。今回お話を伺った、家次 予算と、観光協会や地域住民の協力を得て 緒に、地元の未来を考えながら進めていく れています。私たちは、地元の人たちと一 会社経営者、議員など様々な市民で構成さ いかもしれませんよ﹂。 とをやり遂げるだけなので、実現は割と近 が、それが楽しいんです。あとは楽しいこ やりたいことをやっているだけなんです きても、困らないように頑張っています﹂ 同じようなことをやりたいと言う人が出て や っ て み る。そ れ が 私 た ち の や り 方 で す。 置したという意義は大きいと考えていま んな富良野で、小水力発電を自然河川に設 暮らしていくのが富良野の生き方です。そ 生活の基礎でもあります。自然と共生して ﹁富 良 野 は 自 然 環 境 が 観 光 資 源 で あ り、 取材日 平成 年 月 年度地域における地球温暖化防止活動促進 事業﹂で作成しています。 本紙は﹁平成 公益財団法人北海道環境財団 ︵担当 杉岡︶ 連絡先 011‐218‐7811 記事に関するお問合せ ことが重要だと考えています﹂。 ﹁今、自 然 河 川 で 小 水 力 発 電 を 行 う 場 合 に、どんな問題が発生するのか、試行錯誤 自然と共にある暮らし それが富良野の生き方 ﹁東日本大震災以降、再生可能エネルギー す。昨年、富良野市民が集まって﹃ふらの 9 している真っ最中。今まで、このような取 家次さんに、富良野における今後の再生 が注目され、固定価格買取制度も拡大した 環 境 エ ネ ル ギ ー 株 式 会 社︵仮 称︶準 備 室﹄ 26 組がほとんどなく、様々な許可を取るのも 大変ですが、これも実験のひとつだと思っ ことで、首都圏からたくさんの企業が北海 ! 12 可能エネルギーの可能性について、聞いて 道に進出し、太陽光パネルや風車を設置し を立ち上げました。目的は、富良野盆地を 4.発電効率よりも、わかりやすさを 優先した水車。 ています。何をどうすればいいのか、よく て売電しています。しかし、本当にそれで 100%再生可能エネルギーでまかなえる 4 26 3.水車小屋内部。発電した電力は、 ここで三相交流から直流に変換され、 バッテリーに充電される。取材時は、 80W 発電していた。 みました。 続 け て い け る の か 疑 問 で す。こ の 水 車 は、 ようにすることです。今考えられる最善の 2.富 良 野 と 言 え ば「北 の 国 か ら」。 このロケ地「拾ってきた家」の入り口 の隣に、水車へ続く道がある。 わからないので、それならまず自分たちで 製造も設置も地元、メンテナンスも自分た ことを、地域の将来を夢見ながら、勝手に 3 ち で で き ま す。協 議 会 は、主 婦 や 農 業 者、 2 白鳥川小水力発電 に関するお問合せ 有限会社 三素(富良野市) 〒076-0028 富良野市錦町14番3号 TEL 0167-22-0383 社名は、「太陽」と「水」と「風」という生命に必要不可欠な3つの 要素に由来。太陽や水のエネルギーから電気を生み出し、水や土を汚 さずに生活する。そんなことに取り組む一般家庭を応援したいという 思いで始まった会社。家次さんは、北海道地球温暖化防止活動推進員 や、ふらの市民環境会議会長等も務める。 事例6 環境教育 温暖化防止 × せるかどうかは、参加者にゆだねられてい ました。そのため、スタッフの間では、理 所を訪れた時に、エネルギーの大切さを痛 ました。自然塾のスタッフが被災地の避難 ちょうど同じ頃、東日本大震災が起こり るようにしたいという議論がありました。 グラムを通じて、エネルギーと自分の生活 育プログラムを体験します。2日間のプロ で行ってみるプログラム、2日目は環境教 しました。1日目は、炊事などを自分の力 今回は、2日間のプログラムを体験取材 論的な部分だけでなく、実践の部分も補え 感し、普段の私たちの生活では火のつけ方 2014年7月に始まったばかりのプロ の関わりや、地球環境とのつながりについ が 主 宰 し て い た 富 良 野 塾 が 閉 塾 し ま し た。 グラムですが、家族連れや夫婦、首都圏の て学び、考えることができます。 富良野塾は﹁あなたは文明に麻痺していま 企業のCSR担当者など多くの方々が参加 すら知る機会がないと感じたそうです。 せ ん か﹂と い う 起 草 文 を 掲 げ て 始 ま っ た、 しているそうです。 今回﹁生活体験プログラム﹂のサポート と、取材に対応して下さったのは、富良野 自 然 塾 の 中 島 吾 郎 さ ん、田 中 由 紀 子 さ ん、 原田知典さんです。中島さんに、このプロ グラムを通して伝えたいことについて伺い れたのが、電気・ガス・石油を使わずに過 して、自分たちにできることを考え、作ら その経験をもとに、今までの生活を見直 で続けられるのか、それを考え、実行する せん。どんなライフスタイルなら次世代ま きれいな土を次世代に残さなければなりま ﹁私たちは、きれいな空気、きれいな水、 ました。 ごす﹁生活体験プログラム﹂です。 タッフ自らが経験しました。 ずに、自分の力を最大限使う暮らしを、ス 営んでいたような、エネルギーを極力使わ その跡地を利用して、かつて富良野塾生が 共 同 生 活 を 営 み な が ら 学 ぶ と こ ろ で し た。 に働きに出て生活費を稼ぎ、人力を頼りに 俳優、シナリオライターの養成塾で、農家 また、2010年に、脚本家の倉本聰氏 エネルギーの使い方と 日々の生活を見直す 日々の生活を見直す体験プログラム 理論も実践も 学べるプログラム ドラマ﹁北の国から﹂の舞台である富良 野 市 で 取 組 ま れ て い る、 NPO法 人C・C・ C富 良 野 自 然 塾 の﹁生 活 体 験 プ ロ グ ラ ム﹂ をご紹介します。 これまで富良野自然塾では、ゴルフ場跡 地の自然返還事業や、地球の歴史と環境に 億年・地球の道﹂ 、富良野自然塾のスタッ 成り立っています。 自然とのつながりや、地球の歴史につい て、理論的に学べるよう設計された人気プ ログラムですが、日々の生活に学びを活か ! 13 NPO 法人 C・C・C 富良野自然塾 SMBC 環境プログラム ついての理解を深めるための﹁環境教育プ ログラム﹂などの活動を行ってきました。 この﹁環境教育プログラム﹂は、森と私 た ち の 関 係 に つ い て 学 ぶ﹁緑 の 教 室﹂ 、目 隠しをして裸足になって歩き、大自然を感 じ る﹁裸 足 の 道﹂ 、石 で で き た 地 球 の 模 型 億年の地球の歴史を460メート を使って地球と太陽の関係を学ぶ﹁石の地 球﹂ 、 ﹁ ルの 距離に置き換 えた道を 歩き ながら学 ぶ 46 フが育てた苗木を植える﹁植樹﹂の5つで 46 生活体験プログラム に関するお問合せ 〒076-0017 富良野市下御料 TEL 0167-22-4019 URL http://furano-shizenjuku.com E-MAIL [email protected] 富良野プリンスホテルゴルフコースが閉鎖するのに伴い、そのゴルフ場跡地を植樹 により元の森に再生しようと活動を開始。また、その森林再生の場を中心として、 『地 球』 ・ 『五感』をキーワードにした心に響く体感的なプログラムを子どもから大人ま で、日本から世界まで広く届け、より多くの方々に地球環境と私たち人類の生き方 を見つめ直してもらうべく環境教育活動を行っている。 16 17 17.就寝 富良野塾生が建てた 家で、就寝。1日目 が終了。 ★ ★ 農家さんから、富良 野の農業や食に対す る思いを聞く。 11 11.薪割りは続く 作業の合間をぬって 薪割りの続き。慣れ てきた…はず。 ★ ★ ★ ★ ★ ★ 16.星空観察 真っ暗な坂道をライ トなしで上っていく と…満点の星空! 15 15.夜ごはん 薪で炊いたご飯は本 当に美味しい∼!! 13 13.ドラム缶風呂 日が暮れる前に、ド ラム缶風呂で汗を流 す。 12 12.炊飯用薪割り ナタで薪を細く割 る。これもなかなか 上手くいかない…。 2日目 寝袋で一夜を過ごす。 ろうそくの明かりで 夜ごはん。スタッフ も一緒に楽しいひと とき。 14 14.ご飯が炊けた 清々しい秋の朝、森 の中のひんやりした 空気で目覚めたら、 2日目の始まり! 18 18.富良野塾跡見学 富良野塾生が建てた 建物を見学しながら 塾の歴史や思想につ いて聞く。 19 19.朝ごはん 夜ごはんの残りを温 めていただきます。 20 20.山ブドウ採り 特別編。近くに自生 する山ブドウをデザ ートに。この季節な らではのご馳走。 14 ! 21 21.環境学習 地球の歴史について 学ぶプログラム。体 を使って楽しく学べ る。 22 22.植樹体験 スタッフが丹精込め て育てた苗木をゴル フ場跡に植樹。正午 全プログラム終了。 ときなのではないでしょうか。いずれにせ ★ 10 10.農業体験③ 電気・ガス・石油を 使わない生活。スタ ッフに見守られて、 スタート! よ、化石燃料を大量に使う今の生活を未来 ★ とう立ちしたニンジ ンを抜く。ニンジン の花は結構かわいい んです。 み 朝9時集合、まずは 水 み。湧水で生活 に必要な水を調達す る。 生活体験プログラム ★ 9.農業体験② 1.水 体験してきました。 ★ 星空観察中 ★ ★ 元富良野塾生が営む 有機農家でジャガイ モの仕分け。 夕飯のすいとん用 に、小麦を く。力 を入れずに体重を乗 せてぐるぐる…。 永劫続けていける保障はありません。もち 1日目 染めたハンカチを川 で洗う。きれいなベ ージュのハンカチが できました。 2.石臼で粉ひき 9 8 7 6 の使い方から教え てもらい、薪割りに 挑戦!なかなか割れ ない…。 周りにあるものだけ で火をおこす。使っ ていいのはマッチ3 本! 8.農業体験① 7.染色② 6.薪割り 3.火起こし 1 玉ねぎの皮を使って ハンカチを染める。 小石と輪ゴムで模様 を作って。 地産地消、富良野の 美味しいお弁当でお 昼休憩。 2 3 4 5 4.昼ごはん 5.染色① ろん、化石燃料を全く使わない生活は現実 的ではありませんが、使い方を見直すこと はできます。今は、自分たちにあるエネル ギーの範囲で、幸せを求めていくという考 え方、価値観に気づくときだと考えていま す。家族や友人の近くで暮らし、ときどき 何 か を 見 た り、読 ん だ り し て、感 動 す る。 こうしたエネルギーを使わない生活は実現 できると思っています﹂ 。 また、今後の展望についても伺いました。 ﹁プログラム自体は試行段階ですが、 ﹃エ ネルギーを使わずに、自分たちの力でどこ までできるか﹄を伝えるべく、これからも 発展させていく予定です。今後は、家畜体 験を取り入れたり、自治体などとも協力し 名程 15 てやっていけたらと思っています。今の課 ∼ 10 題は、採算を合わせることです。現時点で 受け入れられる人数は、最大で 度。もう少し組織的にして、より多くの方 月 にこのプログラムを体験してもらいたいと 考えています﹂ 。 年 10 記事に関するお問合せ 取材日 平成 年度地域における地球温暖化防止活動促進 26 公益財団法人北海道環境財団 ︵担当 杉岡︶ 連絡先 011‐218‐7811 本紙は﹁平成 事業﹂で作成しています。 26 事例7 生乳の熱利用 温暖化防止 × て生乳から得た熱を、ヒートポンプシステ ﹁ミルクヒートポンプ﹂は、熱交換によっ ます。 用するため、エネルギーもコストもかかり 電力消費が大きく、また水道水も大量に使 いずれの場合も、生乳を急速冷却するので、 い、そ の 後 バ ル ク ク ー ラ ー で 貯 蔵 し ま す。 ミルクヒートポンプ 酪農の町の温暖化対策 北海道東部の中標津町は、酪農が盛んな 町です。町内の人口が約2万4千人である のに対し、乳牛は3万9千頭以上で、人よ りも牛が多い地域です。 酪農においても、機械化・大規模化が進 ム︵温度の低いところから高いところへ熱 を移動させるシステム︶で利用し、そこで 事の林義和さんは、導入のメリットは多い 1.林さんの牛舎で搾乳を待つ牛たち。林さんは夫婦二人で牧場を経営している。 み、搾 乳 の 機 械 や 生 乳 を 冷 や す ク ー ラ ー、 そし て機械 を洗浄する ため にお湯 を大量 に できた温水を、機械洗浄のお湯を作る時の するために4℃程度まで温度を下げる必要 と言います。 1 沸かすなど、使用するエネルギー量は増え、 熱源として活用できるようにしたシステム ℃位 ま で 一 気 に 下 げ ら れ る た め、 です。搾乳の直後に生乳の熱を取ることで、 温度を 衛生的なだけでなく、生乳を冷やすための 電力や、機械洗浄のためのお湯を作る時の 燃料も削減できる、まさに一石二鳥のシス があります。通常は、バルククーラーと呼 ﹁実 際 に 使 っ て い る 印 象 と し て は、予 備 ! 15 二酸化炭素の排出量も増加しています。 そこで、今回は、中標津町にある北海道 新エネルギー事業組合が取組む、しぼりた ての生乳の熱を利用し、酪農家経営でエネ ル ギ ー 使 用 量 を 減 ら す シ ス テ ム﹁ミ ル ク ヒートポンプ﹂をご紹介します。 テムと言えます。 2 0 1 3 年 6 月 か ら、﹁ミ ル ク ヒ ー ト ポ 母牛の体温を無駄にしない 搾乳した直後の生乳は、牛の体温と同じ ン プ﹂を 導 入 し て い る、JA道 東 あ さ ひ 理 ばれるステンレス製のタンクで直接冷却す 冷却 として 生乳の温度 を一 気に下 げられ る で約 ℃ですが、細菌を増やさないように コスト削減と衛生面を 両立させたシステム 10 るか、あるいは冷却クーラで一次冷却を行 38 の高 い牛乳 だとい うこと を消費 者にア ピー 資を回収できるかということと、付加価値 ﹁こ の シ ス テ ム が 普 及 す る に は、初 期 投 話しています。 フッ トプリ ントの ような 仕組み も必要 だと 環 境 負 荷 を 客 観 的 に 評 価 す る、カ ー ボ ン さらに、林さんは、牛乳の生産や出荷の スの必要もありません﹂ 。 削減できています。今のところメンテナン ので衛生的で、洗浄のお湯を作る灯油代も 要があります﹂ 。 にも、システムについて理解してもらう必 バルクのメーカーにも、そして酪農家自身 ことが重要です。搾乳機械のメーカーにも、 いように、バルクのメーカーに了解を得る 置によって菌が増えたり、詰まったりしな 所にヒートポンプの装置をつけるので、設 ﹁搾 乳 機 械 か ら バ ル ク ク ー ラ ー に つ な ぐ います。 場合の留意点について、次のように話して さんは﹁ミルクヒートポンプ﹂を導入する 応えるべく、試行錯誤しています﹂ 。 を冷 や せる よう に して ほし いと いう 要望に 在は、酪農家の方からのより効率よく生乳 たり前になってほしいと思っています。現 てら れ てし まう 熱 を活 用し たシ ステ ムが当 す。﹃ミ ル ク ヒ ー ト ポ ン プ﹄の よ う な、捨 酪農家だけです。酪農は必ずお湯を使いま も の と せ ず に、何 か に 役 立 て ら れ る の は、 ています。その貴重な母牛の熱を、邪魔な のまま飲むはずのミルクを、わけてもらっ 母牛の体温。私たち人間は、本来子牛がそ ﹁ミ ル ク ヒ ー ト ポ ン プ﹂の 展 望 に つ い て もお話を伺いました。 年 月 公益財団法人北海道環境財団 ︵担当 杉岡︶ 連絡先 011‐218‐7811 記事に関するお問合せ ルできるかがカギになると思います。日本 ではやっと100%有機牛乳ができ、かな り の 付 加 価 値 が あ り ま す。 ﹃ミ ル ク ヒ ー ト ﹁今 の 酪 農 は 重 装 備 産 業 で、初 期 投 資 も 膨大なうえ、利益が少ないため頭数を増や 取材日 平成 ! 16 ポンプ﹄を使った牛乳は、今は一元集荷さ れていますが、環境に配慮した牛乳として さ な け れ ば な ら な い の が 現 状 で す。﹃ミ ル 年度地域における地球温暖化防止活動促進 事業﹂で作成しています。 本紙は﹁平成 10 今後市場で差別化されるようになればと 思っています﹂ 。 クヒートポンプ﹄は、経費である燃料代を 削減できるので、削減できた分は、そのま 26 4.バルクを設置している場所も、生乳 の温度管理に影響する。林さんはコンク リートの建物内に置いているので、真冬 でも氷点下にはならない。 北海道新エネルギー事業組合の組合員で 3.林 さ ん が 使 用 し て い る バ ル ク ク ー ラー。ここに入る時には生乳は既に 10℃ 位まで温度が下がっている。 ま酪農家の利益となり、酪農家の経営を支 26 2.搾乳後、タンク(写真中央部)に送ら れた牛乳は、プレートクーラー(写真左上 の黒い装置)の中で熱交換される。 あ り、 ﹁ミ ル ク ヒ ー ト ポ ン プ﹂の 考 案 者 で 4 え る こ と に も つ な が り ま す。生 乳 の 熱 は、 3 もある有限会社柳田電気の社長、柳田清志 2 LLC 北海道新エネルギー事業組合(中標津町) ミルクヒートポンプ に関するお問合せ 〒086-1272 標津郡中標津町字開陽1360-4 TEL 0153-73-2050 FAX 0153-73-3050 省エネルギー・低炭素システムの販売、自然環境の中に埋もれてい る未利用エネルギーを有効に活用するための研究・開発など、農業 者をはじめとする町の基幹産業の活性化を図り、地域社会の抱える 様々な環境問題解決の一助となるための取り組みを行う。写真左か ら林理事夫妻、柳田社長、寺端代表社員組合長。 事例8 水耕栽培 温暖化防止 × ヒートポンプシステムを取り入れていま この水耕栽培では、複層エアーハウスと します。 水耕 栽培の 低炭素化を 目指 す取組 をご紹 介 業を行っています。今回は、その内の一つ、 結集して、二酸化炭素排出削減のための事 新エネルギー事業組合は、組合員の技術を 道東の中標津町に事務所を構える北海道 場合と、ヒートポンプと組み合わせて使用 測定では、灯油ボイラーによる暖房のみの す。平成 減することができることもわかっていま ムと併用することで、電気代や灯油代を削 複層エアーハウスとヒートポンプシステ ています。 寒い場合に備えて、灯油ボイラーも設置し ることもあるため、ヒートポンプだけでは ころもあり、また冬の積雪にも耐えられる ハウスは、部分的に3層になっていると うことができます。 大限活かしつつ、エネルギーを効率よく使 に自分たちが作った野菜を食べてもらいた した。しかし、地元をはじめ、多くの道民 し、札幌の農業法人が全て買い取っていま サラノバというリーフレタスのみを栽培 このハウスでは、当初、オランダ原産の 新鮮な野菜を 多くの道民に届けたい よ う、骨 組 み も 頑 丈 に つ く ら れ て い ま す。 いと、独自野菜の栽培も始めることにしま 1.複層エアーハウス内部。幅 10.8 メートル × 長さ 92 メートル。白い台の下を、液肥が入った井戸水が流れる。 種を植えてから 60 ∼ 100 日程度で収穫できる。 水耕栽培の低炭素化 度の 低いところ から高い ところ へ熱を移 動 させるシステム︶を使って温めていますが、 中標津町では、真冬にマイナス ℃を下回 す。複層エアーハウスは、ハウスに使うビ した場合とでは、後者の方がランニングコ 高効率・省エネの ハウス水耕栽培 ニールが複層になっており、ビニールとビ ストを半分程度にまで削減できました。 年の事業開始時に行ったデータ ニールの間に空気が入ることで、断熱性能 を通常よりも高めています。そのため、単 層のハウスや、ハウスの中に小さなハウス さらに、換気用の網戸や、夏の太陽光を遮 した。 を建てる場合と比べて、ハウスの広さを最 るための遮光シートもあります。 現在、北海道新エネルギー事業組合の事 1 20 ハウス内は、ヒートポンプシステム︵温 ! 17 24 記事に関するお問合せ 月 よ り 効 率 が 上 が る と 考 え て い ま す。ま た、 で、作業や地元の人たちとの交流を通じて 26 10 3.遮光カーテンや換気扇は、制御盤で自 動制御されているが、 「結局は人間の感覚が 一番頼りになる」とのこと。 事業﹂で作成しています。 年度地域における地球温暖化防止活動促進 年 務所に隣接する複層式エアーハウス3棟で 北海道新エネルギー事業組合の代表社員 ケアに取り組んでもらうなど、事業を通じ 取材日 平成 熱源を空気から地中熱にする方法もありま 組合長、寺端祐介さんに複層エアーハウス て地域に貢献したいと考えています。私た 4.栽培中の苗。年間を通じて収穫できる よう、栽培スケジュールを立てている。 本紙は﹁平成 は、サラノバのほか、小松菜やホウレン草 げで、バイヤーの方をはじめ、たくさんの 公益財団法人北海道環境財団 ︵担当 杉岡︶ 連絡先 011‐218‐7811 ています。そして、販路の拡大にも取り組 方が見学に来て下さっています。また、給 すが、その場合はコストがネックになりま み、地 元 の 市 場 や 運 送 業 者 の 協 力 を 得 て、 食用に仕入れて下さっているところから など、計6種類の葉物野菜を栽培しており、 周 辺 地 域 の ホ テ ル を は じ め、北 見 や 釧 路、 は、水耕栽培は土汚れがないので、調理し す。話題性のある複層エアーハウスのおか 苫小牧、函館、帯広など、道内各地に出荷 やすいという声ももらっています。今後は、 一日1棟あたり300株程の野菜を収穫し しています。 栽培の回転率を上げて、経営を安定させる とともに、高齢者や、障害者の雇用、メン とヒートポンプの水耕栽培事業についてお ちの事業の基本は ﹃低炭素﹄です。今後も﹃低 タルヘルスの問題を抱えている人を呼ん 話を伺いました。 炭素﹄を軸に事業を発展させていきたいと 地域の低炭素化に 貢献したい ﹁ハ ウ ス 自 体 の 技 術 は 優 れ て い る と 思 い ! 18 26 5.北海道新エネルギー事業組合代表社員 組合長の寺端さん。寺端さんの後ろにある のは、水耕栽培で使うカルシウム、窒素、 リンなどの液肥。液肥は自動制御されてい る。虫が少ないことから、低農薬栽培を行っ ている。 5 2.事務所に隣接するハウス。3 棟とも、 高効率、省エネの水耕栽培を行っている。 4 考えています﹂ 。 3 ます。ハウスの大きさを半分程度にすれば、 2 水耕栽培の低炭素化 に関するお問合せ LLC 北海道新エネルギー事業組合(中標津町) 〒086-1272 標津郡中標津町字開陽1360-4 TEL 0153-73-2050 FAX 0153-73-3050 省エネルギー・低炭素システムの普及・販売、自然環境の中に埋もれている未利用エネル ギーを有効に活用するための研究・開発など、農業者をはじめとする町の基幹産業の活性 化を図り、地域社会の抱える様々な環境問題解決の一助となるための取り組みを行う。 事例9 地域循環型酪農 温暖化防止 × 能性を模索していました。 当時、太陽光発電の設備は、 kWで約 年、農林水産省による農業者に 700万円という初期投資がネックでした が、平成 対 す る 太 陽 光 発 電 補 助 事 業 を き っ か け に、 導入の機運が高まりました。 農水省の補助と中山間地域向け交付金を 組み合わせて、各戸の投資額を6∼7年で 回収できる150万円程度にまで抑え、さ ら にJA が 融 資 を 用 意 す る な ど し て、酪 農家の最大限に負担を減らしました。そし て、百 軒 以 上 の 酪 農 家 が 導 入 に 手 を 挙 げ、 環境との調和や、地域社会の共存共生を目 段か ら酪農家と いろいろ な話を してい た こ 談係長宮崎義幸さんです。高橋さんは、普 浜中町の参事高橋勇さんと、営農課営農相 1∼3.浜中町内の酪農家が設置している太陽光パネル。パネルの設置工事は、町内の業者が担い、徹底した分業体制 で約1ヶ月という短い工期で100件以上を完成させた。使用する電力量は、酪農家の規模によって様々だが、JA全体と してみると、自家消費と売電が半々くらいとのこと。 小規模分散型メガソーラー 太陽光発電で作る牛乳 北 海 道 東 部、太 平 洋 に 面 し た 浜 中 町 は、 冷涼 な気候 と広大な牧 草地 を活か した酪 農 が盛んな町です。浜中町農業協同組合︵以 下、 JA浜 中 町︶で は、科 学 的 な 分 析 と 徹 底し た品質 管理に基づ く高 品質な 牛乳を 生 産しているだけでなく、環境保全のための 先駆的な取組を行っています。 その取組の一つは、組合員の酪農家約1 k 90戸のうち、105箇所で行っている太 陽光発電です。各戸の敷地にそれぞれ 申請から工事着工、完成までを半年間とい う短期間で一気に進めました。 完成から約3年が経ちましたが、大きな トラブルもなく、順調に稼働しています。 大切なのは、地域の人が 生活していけること 指した取組を行ってきました。原油価格が とが功を奏した、と言います。 今 回 取 材 に 対 応 し て 下 さ っ た の は、JA 年々高騰し、エネルギーを大量に使う酪農 ﹁浜 中 町 で は、JAと 酪 農 家 が 普 段 か ら、 年以上前から、自然 経営の負担となっていたことや、二酸化炭 ! 19 10 素 排 出 量 を 削 減 す る た め、 JAの 職 員 と 酪 1 22 地域をどうしていくか、さまざまな議論を JA浜中町では、 機運が熟し一気に設置 ます。 使用し、余剰分は北海道電力に売電してい バルククーラー、換気扇などの動力として 乳機 械や絞 った牛乳を 急速 冷蔵す るための 電システムを導入し、発電した電力は、搾 W、地域全体で計1・05MWの太陽光発 10 農家が話合いながら、太陽光発電導入の可 15 2 3 年の秋でしたが、再生 した。太陽光発電に対する農水省の補助を 水や自然環境、地域の話をずっとしてきま し て い ま す。自 分 た ち の こ と だ け で な く、 集めて、地元の人たちがやるべきだと考え います。私たちは、市民や銀行からお金を れで は 地域 資源 に よ る 利 益が 流出 し て しま 導入したりする例が後を絶ちませんが、そ 題 と な る の は、接 続 す る 送 電 網 の 問 題 と、 ﹁農 村 で 太 陽 光 発 電 を 設 置 す る 場 合 に 課 がなかったら、できなかったと思います﹂ ました。もし、こういった話ができる関係 られたので、すぐに話を進めることができ や、金銭的な負担を回収する見通しも立て おり、地域のイメージ向上というメリット 可能 エネル ギー につ いても ずっと 話を して 情報収集していれば、自分たちがどういう し、一般紙で報道されている程度のことを は な い で し ょ う か。日 頃 か ら 地 域 で 議 論 を の議論や、動機付けが足りなかったからで ぜ自 分 たち でや る べき なの かと いう 全体で た動きがなかなか出てこなかったのは、な 地域振興に使うべきです。道内でそういっ も、売電の利益も地元に入ります。それを ています。そうすれば、設備にかかる税金 知ったのは、平成 農地に対する規制だと思います。送電網に 行動をすればいいか、わかるはずです﹂ 。 これからの展望についてお聞きしたとこ ! ついては、3・ 以降、再生可能エネルギー に関する情勢が大きく変わって、浜中町で ﹁一 番 大 切 な の は、農 家 や 地 域 の 人 た ち ろ、次のように仰っていました。 受 入 容 量 を 越 え て い ま す。当 初 の 目 標 は、 が、ちゃんとご飯を食べていけることです。 も新規参入が相次いだため、既に送電網の 地域 の酪農 家全戸 に太陽 光発電 を導入す る しているところです。バイオガスでトラク 地域に眠る資源の活用方法を、逃さず見つ きますが、古い牛舎などは、強度の問題が ターが走れたり、ボイラーでお湯を沸かし ことでしたが、すぐに達成することは難し ある のでパ ネルを 載せて もメン テナンス 時 た り は も ち ろ ん、養 殖 場 の 動 力 に す る と けたいと思っています。今は、家畜糞尿を に問題が起こる可能性があります。国のエ いった、農業と漁業のコラボみたいなこと くなってきています。また、農地の利用に ネルギー政策が明確になり、パネルを農地 も で き た ら と 思 い、情 報 収 集 を し て い ま 利用 し たバ イオ ガ ス で 何 かで きな い か 検討 に建ててその下で子牛を放牧したり、農機 す﹂。 は様々な規制があります。建物には設置で 具の倉庫にしたりするなど、もっと柔軟に 記事に関するお問合せ 月 農地を活用できるようになれば、より可能 年 性が広がると思います﹂ 取材日 平成 公益財団法人北海道環境財団 ︵担当 杉岡︶ 連絡先 011‐218‐7811 ﹁道 内 で は、未 利 用 地 を 道 外 の 企 業 に 売 12 年度地域における地球温暖化防止活動促進 事業﹂で作成しています。 本紙は﹁平成 26 浜中町は、釧路と根室のほぼ中間に位置し、ラムサール条約にも登録されてい る霧多布湿原が広がる美しい自然に恵まれた町で、酪農と漁業が盛ん。浜中町 農協は、牛乳の品質を良くするために、様々な先駆的取組を行っているだけで なく、地域社会との共存のために幅広い取組を行っている。写真は、今回お話 を伺った高橋勇参事。 〒088-1363 厚岸郡浜中町茶内栄5番地 TEL 0153-65-2141 FAX 0153-65-2236 22 り、その企業が再生可能エネルギー設備を 26 20 11 小規模分散型メガソーラー に関するお問合せ 浜中町農業協同組合 営農課 営農相談係 宿泊施設 温暖化防止 × 温泉熱を活用した 灯油使用ゼロのペンション 道東の阿寒国立公園にある、世界有数の カ ル デ ラ 湖、屈 斜 路 湖。そ の 湖 畔 近 く に、 再生可能エネルギーにこだわり、灯油使用 ℃まで温 さらに、暖房や給湯に使った後の温泉も 無 駄 に し て い ま せ ん。別 の ミ ル ク ク ー ラ ー にためて熱交換、温められた不凍液のパイ プを玄関前の石畳の下に通し、ロードヒー ティングの熱源として使用するほか、ペン ション横の畑下にも不凍液を通して、寒い 年前の創業以来、大きなトラブルは 季節 で も野 菜 を作 れるよ うに設 計し ていま す。 ギーを最大限に活用して、ペンションを経 スのみです。温泉熱という再生可能エネル た、使用している化石燃料は、調理用のガ いで、基本的に使うことはありません。ま ボイラーを、メンテナンス時に動かすくら は暖房 と給 湯の 非常 用と し て設 置し て あ る 国平均と比べて多いのが特徴ですが、灯油 北海道では、暖房や給湯の灯油使用が全 ています。 ており、照明などの一部の電力をまかなっ 小型 の 風力 発電 機 と太 陽光 パネ ルを 設 置し れるようにしています。さらに、屋根には れ だ け で 寒 い 場 合 は、薪 ス ト ー ブ で 暖 を と も 温 か く 過 ご せ る よ う に な っ て い ま す。そ 層ガラスを使っているので、温泉熱だけで また、建物の断熱にもこだわり、窓も3 ないそうです。 12 ゼ ロ を 達 成 し た ペ ン シ ョ ン が あ り ま す。レ イクサイドリゾート﹁クッシャレラ﹂です。 ﹁ク ッ シ ャ レ ラ﹂で は、オ ー ナ ー の 松 室 勲さんが考案した、温泉熱を取り出して利 ∼ ぐって部屋を温め、さらにお風呂の床に敷 か れ た テ ラ コ ッ タ の タ イ ル も 温 め ま す。給 湯は、加温の必要もなく、そのままシャワー や調理に使用しています。 熱交換した後の温泉は、お風呂のお湯と してちょうど良い温度になるので、かけ流 しの内湯と露天風呂に送られます。 ! 21 用 す る 仕 組 み を 使 っ て い ま す。2 0 0 メ ー トル ほど離 れた 別 荘 地の 源 泉か ら温 泉を 引 き、酪農家から譲り受けた、ステンレス製 のミルククーラー︵2000リットル︶に 溜めます。ミルククーラーには、暖房用の ℃の温泉と熱交換して 40 不凍液と、給湯用の水を通すパイプが入り、 約 60 められます。不凍液は、ペンション中をめ 45 事例 1 温泉熱を活用したペンション 10 1.ヨーロッパの田舎の家をイメージして、石壁で作ったペンション。客室は全 3 部屋。徹底して健康にこだわり、 壁は漆 や珪藻土、フロアや家具には無垢材を使い、床はテラコッタのタイルを敷いている。温泉熱利用のアイディ アは、松室さんご自身によるもの。 営しています。 ことや、メカ好きだったこともあり、定年 後は 北 海道 で再 生 可能 エネ ルギ ーを 取り入 たのは、全国紙の新聞記者だった頃、北海 松室さんが再生可能エネルギーに注目し 電ま で はハ ード ル が高 くで きま せん でした 電の初期投資は大きく高価だったうえ、売 在とは異なり、当時は太陽光発電や風力発 オーナーの松室さんは、元全国紙新聞記者。道東の魅力にとりつかれ、 屈斜路湖畔に移住。徹底した健康志向で、建築材にもこだわり、再 生可能エネルギー取材の経験から温泉熱を最大限に利用し、太陽光 発電や風力発電も設置し、灯油利用ゼロの省エネペンションを実現。 〒088-3351 川上郡弟子屈町屈斜路市街3-2-3 TEL 015-484-3232 FAX 015-484-3233 URL http://www.kussha-rera.com れたペンションをやろうと思っていまし 道の団体が主宰したデンマークへのスタ が、当時できる最大限のことをしたと思っ た。再生可能エネルギーが普及してきた現 ディ ツアー に参加した こと がきっ かけで し ています﹂。 エコツアーで訪れた デンマークの取組に感銘 た。ツアーで再生可能エネルギーの研修施 設﹁風のがっこう﹂を訪れ、市民レベルで ﹁エコ﹂とは ちょっとした工夫のこと 新聞記者から、ペンション経営者に転身 した松室さんに、ペンションでできる取組 温泉熱を活用したペンション に関するお問合せ クッシャレラ(弟子屈町) レイクサイドリゾート 環境に配慮した仕組みが作られ、生活に根 付いていることに感銘を受けたそうです。 ﹁デ ン マ ー ク は、高 福 祉 社 会 で、消 費 税 は日本よりずっと高いですが、誰も損をし についてご意見を伺いました。 ﹁温 泉 が 豊 富 な と こ ろ で は、温 泉 に た だ 入 る だ け だ っ た り、温 泉 を 直 接 床 暖 房 に 使って、目詰まりを防ぐために太いパイプ に温 泉 を流 しっ ぱ な し に した りす る と 聞き ! 22 ないような社会の仕組みができていまし た。空き瓶の徹底したリユースやレンタサ イクル、農家による風力発電や糞尿を使っ たバイオガス発電など、先進的な取組がた 5.補助暖房用の薪ストーブ。 ます。それだと、温泉がいくらあっても足 月 12 くさん行われていることを知り、目からウ 4.屋根に設置してある小型風力発電機。 風力と、太陽光発電を合わせて 900W の 電力をまかなう。 りません。温泉は温度も湯量も不安定です が、賢く使えば、給湯も、暖房もまかなえ ます。エコとはちょっとした工夫のことな のではないかな、と思っています﹂。 記事に関するお問合せ 年 公益財団法人北海道環境財団 ︵担当 杉岡︶ 連絡先 011‐218‐7811 取材日 平成 26 年度地域における地球温暖化防止活動促進 事業﹂で作成しています。 本紙は﹁平成 26 ロコが落ちる思いでした。もともと、ツー 3.ミルククーラー内部。水や不凍液の 通ったパイプが入っている。パイプの長 さは 200 メートル。 リン グが趣味で 北海道に 憧れを抱い てい た 2.温泉熱交換のミルククーラー。仕組み はとてもシンプル。クッシャレラの取組を 見て、同じ仕組みを取り入れた所もあるそ う。写真右は松室さん。 2 3 4 5 道内で取組まれる 温暖化対策の事例 2014 〒060-0004 札幌市中央区北 4 条西 4 丁目 伊藤・加藤ビル4階 TEL:011-218-7811 FAX:011-218-7812 URL:http://www.heco-spc.or.jp/ 本紙は、「平成 26 年度地域における地球温暖化防止活動促進事業」で作成しています。 ! 平成 27 年 2 月
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