Venture Clef 人工知能・ロボティックス、この激流にどう乗るか 人工知能による自動運転技術 Nvidiaが開発しAudiなどに提供 2015年4月8日 VentureClef, LLC © 2003 - 2015, VentureClef, LLC 人工知能による自動運転技術 Venture Clef 自動車運転支援技術 – CES • Nvidia CEOのJen-Hsun Huangは、 2015年1月4日、ラスベガスで開催 されたCESで、自動運転コンピュー ター「Nvidia Drive PX」を発表した。 • また、自動車の運転を支援する技 術「ADAS」(Advanced Driver Assistance Systems)を公開。 ADASはCruise Control、Blind Spot Detection、Parking Assistanceなどから構成される。こ れらはレーダー、超音波、カメラを センサーとして利用する。 出典: Nvidia © 2003 - 2015, VentureClef, LLC 人工知能による自動運転技術 Venture Clef 自動車運転支援技術 – カメラがレーダーを置き換える • これらのセンサーがカメラに置き換 えられている。カメラの性能はスマ ホなどのモバイル技術により著しく 向上。解像度、ダイナミックレンジ、 夜間撮影性能などが向上。 • Smart Cameraがオブジェクト(歩行 者や道路標識など)を認識する。 レーダーがカメラに置き換えられる ことで自動車のコストが低下する。 更に、カメラを統合することで、 Auto-Pilot Car (自動運転車) への 道が開ける。 出典: Nvidia © 2003 - 2015, VentureClef, LLC 人工知能による自動運転技術 Venture Clef 自動車運転支援技術 – Software-Define Car • 自動運転技術を提供するためには; カメラで捉えた画像から自動車周 辺のモデル(Environmental Model)を作成。自動車が今の状況 を理解する(Situation Awareness)。 そこから走行路を決定(Path Finding)。そして自動車が自ら学習 する能力(Learning)が必要。 • 将来の自動車はスーパーコン ピューターを搭載し、ソフトウエアが 走行を制御する。つまりソフトウエ アが自動車の機能を決定する 「Software-Define Car」となる。 © 2003 - 2015, VentureClef, LLC 出典: Nvidia 人工知能による自動運転技術 Venture Clef Nvidia Drive PX – プロセッサー性能 • これらカメラは車載スーパーコン ピューターに接続される。これが 「Nvidia Drive PX」である。 • Drive PXは「Tegra X1」を二台搭 載し、並列に、また、二多重に稼働 する。最大性能は2.3Tflopsとスー パーコンピューター並みの演算能 力を持つ。 • 12台のHDカメラ(60Hz)と接続でき、 1.3Gpix/秒の処理速度を持つ。 Cuda 6.0に対応している。 出典: Nvidia Cuda: Compute Unified Device Architecture © 2003 - 2015, VentureClef, LLC 人工知能による自動運転技術 Venture Clef Nvidia Drive PX – イメージ処理 • Computer Visionは「Deep Neural Network」と「Surround Vision」を 取り入れている。 • フロントカメラ(Tight Focal、Long Distance、Wide View)、サイドカメ ラ、リアカメラ、車内カメラ、デジタル ミラーなどがTegra X1ベースの Drive PXに入力される。 • 入力イメージはクロスバーで四つの モジュールに振り分けられる。ISP はイメージ処理を司り、White CollectionやColor Balancingなど を実施。 VPE: Vertex Processing Engines ISP: Image Signal Processor © 2003 - 2015, VentureClef, LLC 出典: Nvidia 人工知能による自動運転技術 Venture Clef Nvidia Drive PX – Deep Neural Network • Drive PXはComputer Visionに 「Deep Neural Network」を採用。 Deep Neural Networkを自動車に 応用すると、オブジェクト認識率が 大きく向上。単にオブジェクトを認識 するだけでなく、置かれた状況を理 解(Situational Awareness)する。 • 今まではオブジェクトを認識するた めに、エンジニアは「Feature Detectors」を開発してきた。 Feature Detectorsは歩行者、標識、 自動車など、特定オブジェクトを検 出るための専用のフィルター。 © 2003 - 2015, VentureClef, LLC 出典: Nvidia 人工知能による自動運転技術 Venture Clef Nvidia Drive PX – Deep Learning実用化 • Situational Awarenessはオブジェ クトだけでなく、多くのことを認識す る必要がある。これを可能にしたの がDeep Learningで、Yann LeCun とGeoffrey Hintonが開発。 • Deep Learning計算環境を支える のが、超並列プロセッサーNvidia GPU。更に、大量の画像や音声 データを教材として使える環境がで きた。最後に、最新アルゴリズム Convolutional Neural Network (CNN) がDeep Learningを実用化 へと導いた。 © 2003 - 2015, VentureClef, LLC 出典: Nvidia 人工知能による自動運転技術 Venture Clef Nvidia Drive PX – ImageNetでの性能 • CNNが一躍注目を集めたのは、 2012年に行われた画像認識に関 するコンテスト「Large Scale Visual Recognition Challenge」。このコン テストは、120万の画像に何が写っ ているかを、1000のクラスに分類。 • 今までは従来技術を改良する方法 で行われ、一年で精度が2%程度 向上したが、Nvidia Cuda GPUで CNN(AlexNet)を使うと、精度が 74%から84%にジャンプ。ちなみに 2014年はGoogleが「GoogLeNet」 で圧勝している。 © 2003 - 2015, VentureClef, LLC 出典: Nvidia 人工知能による自動運転技術 Venture Clef Nvidia Drive PX – Convolutional Neural Network • CNNは多層ネットワークで、入力イ メージから、特徴を抽出し、オブジェ クトを分類。 • 右はAudiのイメージをCNNで解析 するプロセス。左側は入力イメージ から、Audiの低次元の特徴(単純な 形状など)を抽出し、処理が進むに つれ、高次元の特徴(タイヤなど)を 抽出し、自動車全体を把握。低次 元の特徴を抽出することで、Audiを 形成する不変の要素を把握。CNN に教育を行うと、その後は自動でイ メージの区分を行うことができる。 © 2003 - 2015, VentureClef, LLC 出典: Nvidia 人工知能による自動運転技術 Venture Clef Nvidia Drive PX – Convolutional Neural Network • このケースではニューロン(計算素 子、写真の丸の部分)の数は6万 5000(ロブスターの脳の半分程度) で、パラメーターの数は6000万。 • このプロセスには大規模な演算量 が必要となるため、NvidiaのGPU が威力を発揮する。 • 市場には様々なDeep Learning開 発フレームワークがあるが、Nvidia は米カリフォルニア大学バークレー 校(UC Berkeley)が開発した 「Caffe」をサポートしている。 出典: UC Berkeley © 2003 - 2015, VentureClef, LLC 人工知能による自動運転技術 Venture Clef Nvidia Drive PX – 応用事例:歩行者 • CNNを自動車に応用すると、単に オブジェクトを認識するだけでなく、 置かれた状況を理解することがで きる。 • 右がその事例で、左側の歩行者は、 従来モデルで把握できる。しかし、 歩行者が自動車の影に隠れ、一部 しか見えない場合は、従来モデル では対応できない。 • CNNを使うと、頭部や脚部を認識し、 これは歩行者であると判断する (右 側の歩行者)。 出典: Nvidia © 2003 - 2015, VentureClef, LLC 人工知能による自動運転技術 Venture Clef Nvidia Drive PX – 応用事例:自動車 • CNNを使うと自動車でも、セダンと スクールバスを区別できる。 • スクールバスを認識すると、特別の 対応をすることなどが可能となる。 • スクールバスが停車して、赤色のラ イトをフラッシュしている時は、CNN はこの状況を把握し、特別な注意 が必要であると認識する。これは Situational Awarenessの事例。 出典: Nvidia © 2003 - 2015, VentureClef, LLC 人工知能による自動運転技術 Venture Clef Nvidia Drive PX – 応用事例:バックミラー • 右はバックミラーで後続の自動車を 検出した状態。 • 一般車両を検出した時は、特別な 対応は必要ないが、救急車など緊 急自動車を検知した際は、警告メッ セージを表示する。これに従って、 ドライバーは車を路肩に寄せて停 車する。 • CNNはオブジェクトの検出だけでな く、そのコンテクストを理解できる。 出典: Nvidia © 2003 - 2015, VentureClef, LLC 人工知能による自動運転技術 Venture Clef Nvidia Drive PX – 実例:従来方式 • Nvidiaは、実際にビデオ撮影をしな がら市街地を走行し、その映像を Drive PXで処理した結果を公開。 Drive PXでCNNを使うと、どんな利 点があるかを理解できる。 • 右下は従来方式で横断歩道の標 識を検出したところ。Histogram of Oriented Gradients (HOG)という 技法で、システムに横断歩道のダ イヤ型のイメージを大量に入力し教 育する。遠くから標識を認識し、高 速走行していても減速する時間が 十分ある。従来方式で対応できる。 © 2003 - 2015, VentureClef, LLC 出典: Nvidia 人工知能による自動運転技術 Venture Clef Nvidia Drive PX – 実例:一部が隠れている場合 • 右上は歩行者の一部が隠れている 場合の事例。サイクリストの一部が パトカーの陰に隠れていても正しく 検出できる。 • 右下は信号機を検知し、その色(赤、 青、不明など)を認識している事例。 入力イメージはモノクロームで、信 号機というクラスを把握。次に信号 機の種類(横長・縦長)のクラスを把 握し、点灯している色を判定。 • これは事前にビデオ撮影して、この イメージをTegra X1でバッチ処理し たもの。 © 2003 - 2015, VentureClef, LLC 出典: Nvidia 人工知能による自動運転技術 Venture Clef Nvidia Drive PX – 実例:夜間ドライブ • 右上は英国における夜間ドライブ の様子。夜間ドライブはComputer Visionにとって難しい環境。街路灯 などがあり判定が難しいが、システ ムはスピードカメラを検出。更に、 速度標識(50)を認識。標識は50Hz で点灯しており、カメラは30Hzでイ メージ取り込みが困難。 • 右下の左端に「Queue」を認識。こ れはメッセージボードの道路情報で、 この先渋滞であることを示している。 複数のクラスを同時に認識している。 出典: Nvidia © 2003 - 2015, VentureClef, LLC 人工知能による自動運転技術 Venture Clef Nvidia Drive PX – 実例:車種クラスまで検知 • 右はラスベガスの事例で、システム は自動車の車種クラスまで検知す る。右上はSUVを検知し、右下は TrackやVanを検知している様子。 • 従来モデルは車種毎にFeature Detectorsを開発する必要があった。 • CNNはシステムが自動車を認識し、 そのサブクラス(TrackやVan)を教 育するだけで、分別が圧倒的に効 率的になった。この事例では40時 間のビデオを入力し、16時間の教 育を行った。 出典: Nvidia © 2003 - 2015, VentureClef, LLC 人工知能による自動運転技術 Venture Clef Nvidia Drive PX – 実例:高速走行している自動車 • 右上は自動車(Passenger Car)が 高速で追い越したシーン。従来方 式ではフレーム毎に処理するため、 高速で動くオブジェクトはイメージが 崩れ、上手く認識できない。一方、 CNNは特徴量を掴むことができ、こ のケースでも対応可能。 • フロントカメラだけでなくリアカメラで の映像も解析する。右下はリアカメ ラでパトカー(Police)を認識した様 子。警察の指示に従って路肩に寄 せて駐車する必要がある。 出典: Nvidia © 2003 - 2015, VentureClef, LLC 人工知能による自動運転技術 Venture Clef Nvidia Drive PX – アーキテクチャー • GPU搭載システムでCNNを教育す る。具体的には大量のイメージを読 み込み、CNNパラメターの最適化 を行う。 • その結果教育されたCNNが出来上 がる。このシステムを車載Drive PX に搭載する。車載カメラから読み込 んだイメージをCNNに入力すると、 イメージ上のオブジェクトを分類す る。Tegra TX1は(2Mpix x 30 frame/s)は同時に150のオブジェク トを認識できる。 出典: Nvidia © 2003 - 2015, VentureClef, LLC 人工知能による自動運転技術 Venture Clef Nvidia Drive PX – アーキテクチャー • 認識できない「Unknown」オブジェ クトについては、再度、GPUシステ ムに戻し、データサイエンティストが タグ付けをして、教育する。 • 一台の自動車でCNNがアップデー トされると、更新されたCNNは他の 自動車にダウンロードされる。 • Connected CarがSuper Mobile Chipを搭載し、Deep Learning技 法でオブジェクトを認識し、学習を 続ける。 出典: Nvidia © 2003 - 2015, VentureClef, LLC 人工知能による自動運転技術 Venture Clef Nvidia Drive PX – Surround Vision • Nvidiaは独自で自動運転技術を顔 初している。「Surround Vision」と いうシステムで、複数の車載カメラ で捉えた映像を繋ぎ合わせ、周囲 の状況を理解する。 • Nvidiaは高精度なシミュレーターを 開発し、Computer Visionの試験を 実施。シミュレーター上で、複数の 車載カメラが捉えた映像で自動運 転。右はNvidiaガレージを再現した もので、自動車は他車を認識し、空 きスポットを見つけ、駐車する。 出典: Nvidia © 2003 - 2015, VentureClef, LLC 人工知能による自動運転技術 Venture Clef Nvidia Drive PX – Audi • NvidiaはAudiと10年にわたり共同 開発を続けている。 • Audiは自動運転車RS7コンセプト カー「Bobby」をHockenheimレース 場で試験し、時速150マイルで走行 することに成功した。自動車には人 は登場しておらず、自動車は自律 走行した。これは人間のトップドライ バーの技術に相当する。 • A7ベースの自動運転車「Jack」は シリコンバレーからラスベガスまで 自動運転で走行するデモを実施。 右は出発式の様子。 © 2003 - 2015, VentureClef, LLC 出典: Audi 人工知能による自動運転技術 Venture Clef Nvidia Drive PX – Audi • Audi上級副社長のRicky Hudi氏は Drive PXを採用する計画を明らか にした。既に開発を進めている画像 認識システムのプラットフォームとし て、Drive PX を使う。これは超並列 システムと機械学習を応用したシス テムで、Audiの自動運転車が市場 に登場するのはそう遠くないとして いる。 • 自動運転技術のトップランナーは Googleとの見方は多いが、Nvidia の協力を得た自動車メーカーが巻 き返す可能性はある。 © 2003 - 2015, VentureClef, LLC 出典: Audi Venture Clef Thank You! Kaz Miyamoto | [email protected] | +1 650-224-5464 © 2003 - 2015, VentureClef, LLC
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