「高無症状期ヨーネ病の病理組織学的検査」 家畜改良事業団

日本政策金融公庫
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日本政策金融公庫農林水産事業からのお知らせ -その -
広島県の酪農家の皆様へ
このコーナーでは日本政策金融公庫から、酪農家の皆様の経営に役立つ情報を提供して参ります
TOPIC 高無症状期ヨーネ病の病理組織学的検査に役立つ~ヨーネ菌感染早期の肉芽腫病変と菌増殖の特徴~
公庫では、農業の最新技術を研究してきた「テクニカルアドバイザー」が、酪農や稲作など、各農業分野の最新
技術情報を「技術の窓」としてまとめ、皆様にご紹介する活動も行っています。今回は「高無症状期ヨーネ病の病
理組織学的検査に役立つ~ヨーネ菌感染早期の肉芽腫病変と菌増殖の特徴~」についてご紹介します。
牛のヨーネ病は、ヨーネ菌が子牛の口から侵入し数年にわたる無症状期の後、妊娠・出産などを機に菌
増殖を伴う肉芽腫性腸炎を発症する病気です。発症牛は、水様の下痢が長く続き、著しく痩せて死亡します。
本病の撲滅には,下痢を発症しヨーネ菌を多量に排出する前に摘発・淘汰することが不可欠ですが、菌
の増殖部位を明確にすることも診断上重要です。病理組織学的検査ではヨーネ菌の感染が疑われる無症状
の牛の腸管内のどこに病変を形成し、菌が増殖しているかを調べることが可能です。
☆技術の概要
ヨーネ菌感染早期で無症状期の腸管を病理組織学的に検査するため、乳用種子牛に菌を飲ませ、下痢発
症前の接種後 3 ヶ月と 6 ヶ月に解剖検査とともに採材しました。農研機構動物衛生研究所が推奨する「ヨー
ネ病検査マニュアル」で指定した腸管採材部位(回盲部及び同部位より 10cm、30cm、50cm、1m の遠位部)
からホルマリン固定パラフィン包埋切片を作製し、HE 染色と抗酸菌染色を行って検査しました。菌増殖を
伴う肉芽腫病変(図)は、接種後 3 ヶ月で確認され、病変好発部位は回腸絨毛先端部の粘膜固有層とパイエ
ル板リンパ濾胞間上部の粘膜下組織でした。接種後 6 ヶ月でも肉芽腫病変の形成が限局的に観察されまし
たが、病変内に菌は検出されず、症状や病変のない不顕性感染に移行すると思われました(表)。以上の結
果から、発症前であってもマニュアルで指定された腸管採材部位の病変好発部を採材・検査することで感
染が疑われる牛の病変や菌の検出が可能であることが示されました。
図 肉 芽 腫 結 節
が回腸パイエル
板リンパ濾胞
(LF)間上部の粘
膜下組織に認め
ら れ る( 矢 頭 )。
HE 染色
☆活用面での留意点
発症牛の子や同居牛など感染早期で無症状期にあることが疑われるヨーネ病の診断には、マニュアルで
指定された腸管パイエル板の病変好発部位の採材、検査が重要です。
詳細については、農研機構動物衛生研究所情報広報課(電話 029-838-7708)までお問い合わせください。
※詳細については、農林水産省のホームページをご参照ください。
⇒ http://www.maff.go.jp/j/keiei/koukai/hito_nouchi.html
㈱日本政策金融公庫 広島支店 農林水産事業
所在地:〒 730-0031 広島市中区紙屋町 1-2-22 広島トランヴェールビルディング 6 階
TEL:082-249-9152 FAX:082-249-9102
○相談窓口も以下の場所で開催しております。
三次相談窓口(12 月は 2 日と 16 日)
場所:三次農業協同組合本店
庄原相談窓口(12 月は 3 日と 17 日)
場所:庄原農業協同組合本店
福山相談窓口(12 月は 11 日)
場所:日本政策金融公庫福山支店
※予約制で開催しております。ご来店の際は事前にご連絡をお願いいたします。
広島
2015年
(平成 27年)11月
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家畜改良事業団
第 14 回全日本ホルスタイン共進会北海道大会にて国産種雄牛が大活躍!!
平成 27 年 10 月 23 日から 26 日に亘り、第 14
回全日本ホルスタイン共進会
(以降「全共」)が北
海道ホルスタイン共進会場(北海道安平町)にて
開催されました。全国より 374 頭の出品牛が集
まり、しのぎを削りました。その中で、国産種雄
牛の活躍も目立ちましたので、優等賞に選ばれた
国産種雄牛の娘牛及び出品者をご紹介いたしま
す。
上位入賞には、開催地である北海道の出品牛の
活躍が多く見受けられましたが、第 6 部の優等
賞 4 席には広島県から藤本雄紀氏出品の「ウイステリアブツク LM モギヤナギ」が選出されました。体高、体長
は他の牛が優れていたところもありましたが、非常にバランスが良く、欠点が少なかったと思います。誠にお
めでとうございます。
(出品者氏名:敬称略)
今回の全共は、参加者や出品牛等に大きな事故や怪我も無く、大盛況の中、閉幕することができました。次
回の第 15 回全共は 2020 年に宮崎県で開催が決定しており、宮崎大会での広島県出品牛の御活躍を期待してお
ります。また、第 14 回全共に出品された出品者、関係機関の皆様、大変ご苦労様でした。
詳細は岡山種雄牛センター(電話 0868-57-2475)
四宮、または大島までお問い合わせ下さい。
広島
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(平成 27年)11月
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