第2章(2)(PDF:2MB)

図 2-18
写真撮影位置
図 2-17
図 2-20
図 2-19
図 2-17
図 2-17 盛土斜面の概況(左:南から北へ向かって撮影・斜面上ボーリングは Br-1、右:左写真の反対側から撮影)
尾
根
図 2-18 調査地の全景(北側から南側を撮影、写真手前の樹木部分は尾根部)
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図 2-18
写真撮影位置
図 2-17
図 2-20
図 2-19
図 2-17
図 2-19 斜面上に見られる凹み部分(矢印箇所、右側写真は近景、斜面上のボーリングは Br-4 地点、赤白ロッドは全長2m)
図 2-20 斜面下の状況(斜面下から東側(谷の下流方向)に向かって撮影、竹が生い茂る、矢印部分が谷頭部に見られる地下水湧出に伴う浸食地形)
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第4節
考察
1)支持層
支持層としては、図 2-21 に示すように、二宮層(Ni)の固結凝灰質シルト層をあげること
ができる。
Niは安定した層相を示し、1カ所のみN値 46.5 を示すが、これは地層境界のデータである
ことから除外できる。このN値以外はすべて 50 以上(平均換算N値=88.8)を示す。
支持層
図 2-21 支持層として想定できる地層(B断面)
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2)土質定数の推定
ア)土質定数の推定
○設計N値
・B層:ガラ等の混入物があることから、マトリックスの強度として、礫打ちの打撃
を除いた換算N値の平均値を採用した。
・dt層:N値が安定している(図 2-15)ことから、平均の換算N値を採用した。
・Lc層:深度方向へN値が増加する傾向が認められる。計測値のヒストグラム(図
2-15)をみると、測定頻度はほぼ等しく分布している。従って、代表値として平
均値を用いることとした。
・Ni層:地層境界部の1箇所を除き、いずれもN=50 以上である(図 2-15)ことか
ら、換算N値の平均値を採用した。
表 2-6 N値の概況と提案設計N値
地層
性
状
換算N値の概況
B
粘性土をマトリックスとした、コンクリ
ートガラ混じりの盛土。
dt
設計N値
全N値:1.7~9.0(平均 4.5)
礫打ち除くN値:1.5~5.0(平均 3.2)
3.2
人工物を含まないローム質粘土。極微細
な火山砕屑物からなり、ごくまれに異質
の円磨礫(直径5~20mm)を含む。
0.9~11.0(平均 3.4)
3.4
Lc
粗粒な火山砕屑物よりなる凝灰質粘土
層。
2.9~25.0(平均 12.5)
12.5
Ni
固結した軟岩様のローム(凝灰質粘土)
。
46.5~150.0(平均 88.8)
88.8
○単位体積重量
室内土質試験が行われていないことから、一般値として最も良く用いられている表 2-6
の土質定数一般値より推定を行った。同表に基づく分類と推定値、また提案する単位体積重
量は、以下の通りである。
・B層:ガラ混じりの粘性土であることから、「盛土-粘性土」に相当すると考える。
従って、20 (kN/m3)を提案値とした。
・dt層:関東ローム層によってつくられている崖錐土砂であることから、
「盛土-関
東ローム」に相当すると考える。同表では締め固めた盛土として 14 (kN/m3)とし
ている。dt層の設計N値は3.4であることから、ほぼ締め固めた盛土相当と考
えられる。以上より提案値は同表の推定値 14 (kN/m3)とした。
・Lc層:粗粒な火山砕屑物よりなる凝灰質粘土層よりなることから、
「自然地盤-関
東ローム」に相当すると考える。同表より、14 (kN/m3)を提案値とした。
71
・Ni層:固結した軟岩様のローム層であるNi層については、日本道路公団設計要
領第二集の第6編橋梁下部構造(p.6-6 以降)に示されている以下の推定式(図
2-22 参照)を用いた。
ρt=( 1.173 + 0.4 Log N ) × 9.8 (kN/m3)
ここにNは、換算N値(30cm 貫入させたときの打撃回数に換算したもの)
この推定式に基づく計算の結果、単位体積重量は 19.1(kN/m3)となった。この結果に
基づき、提案する単位体積重量は 19(kN/m3)とした。
図 2-22 岩の湿潤密度(単位体積重量と
表示されている)の測定例
(設計要領第二集:日本道路公団より引用)
○土のせん断定数
室内土質試験が行われていないことから、一般値として最も良く用いられている表 2-6
の土質定数一般値より推定を行った。同表に基づく分類と推定値、また提案する単位体積重
量は、以下の通りである。
・B層:単位体積重量の推定と同様に、
「盛土-粘性土」に相当すると考えることから、
φを15度、Cを50以下(kN/m3)としている。この値を提案値とした。
・dt層:単位体積重量の推定と同様に、「盛土-関東ローム」に相当すると考える。
提案するCφは、同表に示される「盛土-関東ローム」の値とした。
・Lc層:については、単位体積重量の推定と同様に、
「自然地盤-関東ローム」に相
当すると考える。提案するCφは、同表に示される「盛土-関東ローム」の値と
した。
・Ni 層:日本道路公団設計要領第二集の第6編橋梁下部構造(p.6-6 以降)に示され
ている以下の推定式(図 2-23 参照)を用いた。
φ = 0.888 × Log N + 19. 3 (度)
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C = 16.5 × N
0.606
(kN/m2) ・・・・・・・・・・・泥岩・凝灰岩・凝灰角礫岩
ここにNは、換算N値(30cm 貫入させたときの打撃回数に換算したもの)
この推定式に基づく計算の結果、Ni層のせん断抵抗角は 21.0(度)、粘着力は 250.1
(kN/m2)となった。これに基づき、提案せん断定数は、φ=20度、c=250(kN/m2)とした。
図 2-23 せん断定数の測定例(泥岩・凝灰岩・凝灰角礫岩)
(設計要領第二集:日本道路公団より引用)
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表 2-7 一般的な土質とその土質定数( 設計要領第1集 日本道路公団より抜粋)
留意点
1)地下水位以下にある土の湿潤密度は、表中のそれぞれの値から 1.0 を差し引いたものとする。
2)湿潤密度の値を決定する場合、次の点に注意すること。
・ 砕石は礫と同じ値とする。
・ トンネルずりや岩塊などは、粒径や間隙により異なるので既往の実績や現場試験により決定する。
・ 礫混じり砂質土や礫混じり粘性土は、礫の混合割合および状態により適宜決める。
3)せん断抵抗角および粘着力の値は、圧密非排水せん断に対する概略的な値である。この場合、盛土に対する
地下水・湧水などの影響は考慮していない。
4)砕石、トンネルずり、岩塊などのせん断抵抗角および粘着力は、礫の値を用いてよい。
5)粒度の悪い砂とは、粒径のそろった砂を言う。礫の場合も同様である。
6)粘性土、粘土およびシルトの区分で、N値の目安は、おおむね次の通りである。
・ 固いもの(N=8~15)
・ やや軟らかいもの(N=4~8)
・ 軟らかいもの(N=2~4)
7)摘要に示す統一分類(地盤工学会耳順)はおおよその目安である。
74
イ)提案する土質定数
本調査から得られた試験結果を用いて、土質定数を推定した。推定した値を表 2-8 に示す。
表 2-8 提案土質定数
地層区分
設計N値
※
単位体積
3
重量(kN/m )
粘着力
2
(kN/m )
せん断
抵抗角(度)
B
2.4
18
50
15
Dt
3.4
14
20
10
Lc
12.5
14
30
5
Ni
88.8
19
250
20
※:換算N値
以
75
上