2015/2016 シーズン 演劇ラインアップ

Contents
演劇芸術監督 宮田慶子 ……………………………………
2
2015/2016 シーズン 演劇 ラインアップ ……………
3
日本初演 ……………………………………… 4
パッション 桜の園
……………………………………………………
8
日本初演 … 12
バグダッド動物園のベンガルタイガー 鄭義信三部作 Vol.1
再 演
焼肉ドラゴン ………………………………… 16
鄭義信三部作 Vol.2
再 演
たとえば野に咲く花のように …………… 20
鄭義信三部作 Vol.3
再 演………………………………… 24
パーマ屋スミレ あわれ彼女は娼婦…………………………………… 26
新 作
竹取物語 ∼よみがえり篇∼(仮題) ………… 30
公演一覧(1997.10 〜 2015.7)……………………………… 34
2015/2016シーズン 演劇
底力のある舞台を
Lineup
2015/2016シーズン 演劇 ラインアップ
〈計 8 演目〉
2015/2016シーズンは、
『太平洋序曲』
(2000 年・2002 年)
、
『INTO THE WOODS』
(04 年・06 年)でおなじみの、作曲家ソンドハイムのミュージカル『パッション』
「愛するこ
で幕を開けます。ブロードウェイ初演時にトニー賞の 4 部門に輝いた、
と」の核心に迫る独創的で知的な魅力に溢れる作品を、日本初演で上演します。
続く 11 月は、チェーホフの名作『桜の園』の登場です。新国立劇場ではこれま
でに 2002 年にシリーズ「チェーホフ・魂の仕事」vol.5 として上演をしていますが、
今回は鵜山仁の演出による新制作の上演です。
演劇芸術監督
12 月は、現代世界の紛争に題材をおいて描く『バグダッド動物園のベンガルタ
宮田慶子
イガー』
。09 年にアメリカで初演され、ピュリッツァー賞候補にもなった話題作
Artistic Director (Play)
Miyata Keiko
の日本初演に、気鋭の演出家・中津留章仁が新国立劇場に初登場します。
3 ~ 5 月は、
シリーズ「鄭義信三部作」と題し、
劇作家・演出家 鄭義信が、
そして、
、
『た
新国立劇場に書き下ろした記憶に残る名作、
『焼肉ドラゴン』
(08 年・11 年)
、
『パーマ屋スミレ』
(12 年)がいよいよ三作
とえば野に咲く花のように』
(07 年)
品そろって再登場します。戦後の 50 年代、60 年代、70 年代それぞれの時代を、哀しくおかしく、たくましく生き
抜くひとびとの姿を描いた、
心に響く三作品を連続上演いたします。演出は、
初演と同じく、
『焼肉ドラゴン』
『パー
マ屋スミレ』には鄭義信、
『たとえば野に咲く花のように』には鈴木裕美があたります。
。道徳・因習への挑戦、
そして、6 月は 17 世紀イギリスの劇作家ジョン・フォードの代表作『あわれ彼女は娼婦』
正義、愛を描いた問題作を栗山民也の演出で上演します。
60 年代から現在まで、
現代日本の演劇を代表し、
劇作の可能性を牽引しつづける劇作家、
シーズン最後の 7 月は、
別役実の書き下ろし新作を上演します。日本の文化文明の土壌に、まっすぐに切り込む意欲作を、宮田が演出に
2015.10 ~ 11
パッション
作曲・作詞:スティーブン・ソンドハイム
台本:ジェームス・ラパイン
翻訳:浦辺千鶴
訳詞:竜 真知子
音楽監督:島 健
演出:宮田慶子
2015.11
桜の園
作:アントン・チェーホフ
翻訳:神西 清
演出:鵜山 仁
2015.12
バグダッド動物園のベンガルタイガー
作:ラジヴ・ジョセフ
翻訳:平川大作
演出:中津留章仁
2016.3
鄭義信三部作 Vol.1
焼肉ドラゴン
作:鄭 義信
演出:鄭 義信
挑みます。
2016.4
ひとの肉声によってのみ伝わり、感じ取り、共有できる演劇の大切さが、ますます切実に必要な時代になってき
たとえば野に咲く花のように
ている気がします。演劇の魅力をお届けするとともに、しっかりとした、底力のある舞台を作っていきたいとお
もいます。ご期待ください。
鄭義信三部作 Vol.2
作:鄭 義信
演出:鈴木裕美
2016.5
鄭義信三部作 Vol.3
〈プロフィール〉
1980 年、劇団青年座(文芸部)に入団。83 年青年座スタジオ公演『ひといきといき』の作・演出でデビュー。翻訳劇、近代
古典、ストレートプレイ、ミュージカル、商業演劇、小劇場と多方面にわたる作品を手がける一方、演劇教育や日本各地で
の演劇振興・交流に積極的に取り組んでいる。
公益社団法人日本劇団協議会常務理事、日本演出者協会副理事長。主な受賞歴に、94 年第 29 回紀伊国屋演劇賞個人賞(青
)
、97 年第 5 回読売演劇大賞優秀演出家賞(青年座『フユヒコ』
)
、98 年芸術選奨文部大臣新人賞(新国立
年座『MOTHER』
劇場『ディア・ライアー』
)
、2001 年第 43 回毎日芸術賞千田是也賞、第 9 回読売演劇大賞最優秀演出家賞(青年座『赤シャツ』
『悔しい女』
、松竹『サラ』
)など。上記以外の主な演出作品に、青年座『ブンナよ、木からおりてこい』
『妻と社長と九ちゃ
ん』
『をんな善哉』
、松竹『愛は謎の変奏曲』
『恋の三重奏』
『ガブリエル・シャネル』
、ホリプロ『ノイゼズオフ』
『エレファ
、アトリエ・ダンカン『伝説の女優』など。新国立劇
ントマン』
『ペテン師と詐欺師』
、パルコ『ふたたびの恋』
『LOVE30』
場では上記『ディア・ライアー』のほか、
『かくて新年は』
『美女で野獣』
『屋上庭園』を演出。芸術監督就任後は 2010/2011
シーズン『ヘッダ・ガーブレル』
『わが町』
『おどくみ』
、2011/2012 シーズン『朱雀家の滅亡』
『負傷者 16 人 ─ SIXTEEN
2012/2013 シーズン『るつぼ』
2013/2014 シーズン『ピグマリオン』
WOUNDED ─』
、
『長い墓標の列』
『つく、
きえる』
、
『永
、2014/2015 シーズン『三文オペラ』
『海の夫人』
。
遠の一瞬 ─ Time Stands Still ─』
2
PLAY
パーマ屋スミレ
作:鄭 義信
演出:鄭 義信
2016.6
あわれ彼女は娼婦
作:ジョン・フォード
翻訳:小田島雄志
演出:栗山民也
2016.7
竹取物語 ∼よみがえり篇∼(仮題)
作:別役 実
演出:宮田慶子
PLAY
3
パッション
Passion
中劇場
2015.10 ~ 11
日本初演
Japan Premiere
●前売開始:2015 年 8 月 1 日(土)
●料金 S:9,720 円 A:5,400 円 B:3,240 円
翻訳家からのメッセージ
浦辺千鶴
イタリア映画『パッション・ダモーレ』
(愛の情熱)をオリジナルとするこの作品『パッション』は、愛の強さ、脆
さ、愚かさ、尊さなど様々な愛の側面を描き、まさに「愛」に彩られている。ただ登場人物それぞれの愛の形には隔
たりがあり、一筋縄ではいかない。物語が進むにつれて、表面に見えていたものとは別の表情が浮かび上がり、最後
作曲・作詞:スティーブン・ソンドハイム
には固定観念、先入観、そして自分の気持ちすら覆されている。そのさまは鮮やかな裏切りの感覚に満ちている。
台 本:ジェームス・ラパイン
ソンドハイムの美しくも複雑な旋律が、さながら愛の迷宮にさまよう男女の心象風景のように、どこか危険な、
翻 訳:浦辺千鶴
訳 詞:竜 真知子
音楽監督 : 島 健
抗うことのできない魅力で突きつけるように迫ってくる。
愛を求め、愛に翻弄される人間の姿が、時に可笑しく、時に愛しく描かれているこの作品を最初に読んだ時、な
演 出:宮田慶子
んだか少し心がざわついた。愛することの本質について、考えさせられたからかもしれない。愛の情熱という劇薬
出 演:井上芳雄、和音美桜、
シルビア・グラブ、福井貴一 ほか
がボディブローのように効いてくるこの作品の、魅力的な毒気を是非楽しんでいただきたい。
企画意図
“ミスター・ミュージカル”の異名を持つスティーブン・ソンドハイムによるミュージカル『パッション』がいよ
いよ新国立劇場に登場します。1994 年に初演され、トニー賞最優秀作品賞、主演女優賞、脚本賞、楽曲賞を受賞し
た本作を、昨年の『三文オペラ』に続き、宮田慶子・島 健の最強タッグでおおくりします。
「ただ愛すること」が愛なのか? 「ひたすらに愛されること」が愛なのか? 井上芳雄、和音美桜、シルビア・グラブ、福井貴一という、ミュージカル界きっての実力者たちを集め、イタリア
を舞台にめくるめく男女の愛を描くソンドハイム・メロディにどうぞご期待ください。
訳詞家からのメッセージ
竜 真知子 『Passion』─私たちは試される
愛とは何か。
私たちは、その真実を、或いはその意味を、
死ぬまで探し続ける存在なのかも知れない。
『Passion』の第一稿を初めて読み通した時、
私は不覚にも泣いてしまった。愛というものの
理不尽さ、愚かさ、やり切れなさを、これでもかと
描いた脚本にいつのまにか翻弄され、その痛切さに
思わず胸を突かれて。
そして、自らの未熟さに気づかされると共に、壮絶な
作品
19 世紀のイタリア。騎兵隊の兵士ジョルジオは、美しい人妻クララとの情熱的な逢瀬に夢中になっている。し
人間の生き方、その思いに心打たれて。
愛とは何か。
かし、ほどなくして彼は、ミラノから辺鄙な田舎への転勤を命じられ、その地で病気療養をする上官の従姉妹フォ
そのひとつの姿を、このミュージカルは崇高なまでに
スカに出会う。病に冒されているフォスカは、ジョルジオを一目見て恋に落ち、執拗なまでに彼を追いかけるよう
愚直に描き出す。
になる。クララへの愛に忠誠を誓い、フォスカの愛を受け入れないばかりか、冷たくあしらうジョルジオだった
この愛は理解できるか。醜いか。愛おしいか。それとも、
が、やがて……。
狂っているか。
現代ミュージカルの巨匠ソンドハイムが導く、究極の世界へようこそ。
『Passion』─この作品に、私たちは試される。
演出家からのメッセージ
宮田慶子
『パッション』は不思議なドラマです。初めて台本を読んだときは、途中であまりの息苦しさに逃げ出したくな
るほどでした。けれど読み返すうちに、次第に、
「愛」を巡る人間達の赤裸々な姿や、本質を描き出す鋭い台詞の力
にぐいぐいと引き込まれ、
「人を愛するとはどういうことなのか」について考えさせられ、まったく別次元の「愛」
の姿に大きく揺さぶられていきます。まさにソンドハイムならではの、一筋縄ではいかない、異色のミュージカル
です。早い場面展開と美しくも思索的な音楽にのせて、
「愛」の奥深さを描き出せればと思います。
4
PLAY ¦
パッション
PLAY ¦
パッション
5
スタッフプロフィール
スタッフプロフィール
パッション
パッション
スティーブン・ソンドハイム
竜 真知子
Stephen Sondheim
Ryu Machiko
青山学院大文学部卒。大学在学中に初めて書いた歌詞が急遽レコード化され、以来、多くのアーティストに作品を提供、多彩なヒット曲を
生む。同時に、海外ミュージカルの翻訳・訳詞も多数。主なヒット曲:サーカス「Mr.サマータイム」、竹内まりや「ドリーム・オブ・ユー」、大
橋純子「サファリ・ナイト」、一風堂、SHAZNA「すみれ September Love」ほか。近年のミュージカル:
『ダンス・オブ・ヴァンパイア』
『マ
リー・アントワネット』
『レベッカ』
『ミュージカル Pippi』
『この森で、天使はバスを降りた』
『ウーマン・イン・ホワイト』
『三銃士』
『リトルショップ・
オブ・ホラーズ』
『Blues in the night』
『Triangle』
シリーズvol.1&2、『ディートリッヒ』
『ルドルフ〜ザ・ラスト・キス』
『シラノ』
『モンテ・クリ
スト伯』
『ラブ・ネバー・ダイ』
『カルメン』
『シェルブールの雨傘』
1930 年、ニューヨーク生まれ。これまでに『サタデー・ナイト』
『ローマで起こった奇妙な
出来事』
『カンパニー』
『フォーリーズ』
『リトル・ナイト・ミュージック』
『スウィーニー・
トッド』
『メリリー・ウィー・ロール・アロング』
『アサシンズ』
『ロード・ショー』などの作曲および
作詞、
『ウエスト・サイド・ストーリー』
『ジプシー』
『ワルツが聞こえる』などの作詞、
『キャ
ンディード』の追捕作詞、映画『薔薇のスタビスキー』や『レッズ』の音楽、『ディック・
トレイシー』の劇中歌、テレビ『イーブニング・プリムローズ』の音楽を手がける。アンソ
ロジー作品として『サイド・バイ・サイド・バイ・ソンドハイム』
『ソンドハイム・オン・ソンド
ハイム』なども発表されているほか、ソンドハイムの歌詞を集めた『フィニッシング・ハット』
『ルック、アイ・メイド・ア・ハット』が出版されている。2010 年にはブロードウェイの「ヘ
ンリー・ミラー劇場」が、ソンドハイムの功績を讃え、「ソンドハイム劇場」と改称された。
『サンデー・イン・ザ・パーク・ウィズ・ジョージ』で 1985 年のピュリッツァー賞、2000
年に第 12 回高松宮殿下記念世界文化賞演劇・映像部門を受賞。
新国立劇場では、『太平洋序曲』が 2000 年と 02 年に、『Into the Woods』が 04
年と 06 年に、上演されている。
島健
ジェームス・ラパイン
Shima Ken
James Lapine
ピアニスト、作・編曲家、プロデューサー
東京都出身。1978 年に渡米。L.A. にてアレンジを学びながらジャズシーンで活躍。
86 年に帰国後は、ジャズピアニストとしての活動だけに留まらず、スタジオ・プレイヤーと
して数千曲に及ぶレコーディングに参加する一方、サザンオールスターズ、浜崎あゆみ、
中島美嘉、ゴスペラーズ、GLAY、平原綾香、JUJU、森山良子、加藤登紀子など幅広
いジャンルのアーティストのアレンジ、プロデュース、テレビドラマ『拝啓、父上様』
『歸國』
や、
ミュージカル『フレディ』
『PURE LOVE』の作曲など、その活動の範囲は多岐にわ
たる。最近では JUJU「DELICIOUS」、
「DELICIOUS 〜JUJU's JAZZ 2nd Dish 〜」
のサウンド・プロデュース、サザンオールスターズ「蛍」弦・管編曲を担当。自身のアルバ
ムとしては、「BLUE IN GREEN」
「Shimaken Super Sessions」などがある。
ブロードウェイにて、ソンドハイムの『サンデー・イン・ザ・パーク・ウィズ・ジョージ』
『Into
the Woods』
『パッション』の脚本・演出を、『メリリー・ウィー・ロール・アロング』の
演出を手がける。また、ウィリアム・フィンと、後に『ファルセット』としてブロードウェイ上
演を果たした『マーチ・オブ・ザ・ファルセット』と『ファルセットランド』を共作したほか、
『ニュー・ブレイン』
『マッスル』
『リトル・ミス・サンシャイン』なども共作。そのほか、ブロー
ドウェイでの演出作品として『ゴールデン・チャイルド』
『アンネの日記』
『アムール』
『ス
ペリング・ビー』など。また、HBO 製作のドキュメンタリー番組『シックス・バイ・ソンドハイ
ム』でも監督を担当、エミー賞にノミネートされる。2014 年 12月公開の映画『Into the
Woods』( 監督:ロブ・マーシャル) では脚本を担当している。
これまでに 12 回、
トニー賞にノミネートされており、
ドラマ・デスク・アワード、ピーボディ・
アワード、ピュリッツァー賞など、受賞多数。11 年、長年の舞台芸術への功労により、
Theater Hall of Fame 殿堂入り。
浦辺千鶴
Urabe Chizuru
宮田慶子
Miyata Keiko
P2を参照。
上智短期大学英語学科、東京女子大学文理学部英米文学科卒業。小田島恒志、
山内あゆ子両氏に師事。これまでに Bunkamura、パソナ、新国立劇場などからの依
頼で多くの作品の下訳を手掛けている。2009 年、新国立劇場『シュート・ザ・クロウ』
(小田島恒志氏との共訳)で本格的に翻訳家としてデビュー。14 年には新国立劇場
『星ノ数ホド』
を翻訳。
6
PLAY ¦
パッション
PLAY ¦
パッション
7
桜の園
The Cherry Orchard
小劇場
2015.11
●前売開始:2015 年 9 月 13 日(日)
●料金 A:6,480 円 B:3,240 円
作: アントン・チェーホフ
翻訳:神西 清
演出:鵜山 仁
出演:田中裕子、柄本 佑、木村 了、宮本裕子、平岩 紙、奥村佳恵、山﨑 薫、吉村 直、石田圭祐、大谷亮介、金内喜久夫 ほか
演出家からのメッセージ
鵜山 仁
『桜の園』は、言うまでもなくチェーホフの白鳥の歌です。難攻不落の名作といった貌をみせていますが、この
魅力にあふれた作品をもう一度、我々にとって抜き差しならない、ダイナミックな人間ドラマとして再生させた
いと願っています。
企画意図
『桜の園』はチェーホフ最後の戯曲です。1904 年 1 月 17 日にモスクワ芸術座で初演。その日はチェーホフ44 歳
の誕生日であり、その約半年後、彼はこの世を去ります。
この作品は今日では、チェーホフ戯曲の集大成としてばかりでなく、古今の演劇作品の最高峰とまで評される
こともありますが、チェーホフ自身は「喜劇」と捉えていたものの、
「悲劇」的な演出をほどこされるなど、初演時
から作者と演出家との間で、作品をめぐる見解に隔たりがあったことは有名です。
我が国でも 1915(大正 4)年の初演以来、21 世紀の現在まで繰り返し上演され、最も親しまれた西洋戯曲のひ
とつとなっています。新国立劇場でも 2001/2002 シーズンに「チェーホフ・魂の仕事」と銘打ち、栗山民也演出に
よって舞台を日本に移し翻案上演されました。今回は鵜山仁が原作に忠実な形で上演します。鵜山は 2009 年『ヘ
ンリー六世』三部作、12 年『リチャード三世』と中劇場でのダイナミックな演出が記憶に残っていますが、今回は
感情の機微が緻密に描かれたこの戯曲を、小劇場の濃密な空間でどのように上演するか期待が高まります。
「この芝居を上演するのは困難だった。が、この戯曲がひじような難物だというのは驚くに当たらない。その
魅力は、深く蓋われたとらへがたい香りの中にあるのだ。それを感じるためにはどうにかしてその花のつぼみ
をひろげなければならない……しかもそれは乱暴せずに、自然になされなければならぬのだ。さもないと、こ
の美しい花をいため、しをらせる。
」
( スタニスラフスキー『私の芸術的生涯』
・米川正夫訳)
台本の行間にどれだけ豊かな生命力を読みとることができるか。芝居を作る現場にとって、あまりにも基本的
な、しかし永遠、究極の課題を、
『桜の園』ほど厳しく、また面白く突きつけてくる戯曲はめったにありません。
一見静的なセリフの底流には大笑と慟哭、微笑とすすり泣きが封じ込められています。
チェーホフの時空は様々な位相を巡って、例えば宇宙から俯瞰した人間世界、また顕微鏡で拡大した生命現象
の不思議かと、様々に例えられるでしょうが、いずれにせよ、ここに満ちているのは確かな体温と体臭を持った
生命の息吹です。
とりわけ『桜の園』に転写された風景は、人の生の源流にあった穢れない子供の時間が、現実の大人の時間の波
作品
に洗い削られて解体、分解し発酵に至るさまでもあります。その過程を描き切ることができれば、舞台の上には人
南ロシア、ラネーフスカヤの領地、
「桜の園」
。5 月のとある日、夜明け前にラネーフスカヤ夫人一行がパリから
が生きることの内実、更にはこの宇宙の持続を支えるエネルギーの秘密の一端が、幾分開示されるような気がす
帰国する。家族や使用人たち、地元の名士たちは再会を喜ぶが、その胸中は穏やかではなかった。
るのです。
彼女はパリでの生活に疲れ果て、破産状態にあり、先祖代々の「桜の園」は今や競売にかけられようとしていた
一人の一生を超えた、また目先の経済効率を超えた大きな射程で、この作品とこの世界とをとらえることが、
からだ。それを嘆きながらも浮世離れしたラネーフスカヤは浪費と享楽的な生活を止めようとしない。折しも華
今日我々に求められている切実な課題だと考えています。
やかな舞踏会の最中に、
「桜の園」が落札された知らせが届く。そして失意のラネーフスカヤは……。
8
PLAY ¦
桜の園
PLAY ¦
桜の園
9
スタッフプロフィール
桜の園
アントン・パーヴロヴィチ・チェーホフ(1860 ~ 1904)
Anton Pavlovich Chekhov
ロシアの劇作家、小説家。モスクワ大学医学部を卒業後、医師として働く。生活費を稼
ぐため短編ユーモア小説を書き始め、その後本格的に文学作品を執筆するようになる。
1881 年から戯曲を書き始め、87 年に長編『イワーノフ』が初演。89 年の再演が好
評を博し、96 年初演の『かもめ』以降、99 年『ワーニャ伯父さん』、1901 年『三人
姉妹』、04 年『桜の園』
を執筆、劇作家としての名声を確立した。
鵜山 仁
Uyama Hitoshi
舞台芸術学院、文学座附属研究所を経て、1981 年、文学座座員に。83 年から 1 年
間、文化庁派遣芸術家在外研修員としてパリに滞在。毎日芸術賞千田是也賞、紀伊
國屋演劇賞個人賞など、受賞多数。最近の演出作品に『尺には尺を』
『十二夜』
『終の
楽園』
『死神』など。
新国立劇場では、『リア王』
『新・雨月物語』
『新・地獄変』
『コペンハーゲン』
『花咲く
港』
『カエル』
『アルゴス坂の白い家』
『オットーと呼ばれる日本人』
『舞台は夢』
『現代能
楽集 鵺』
『イロアセル』
『リチャード三世』、オペラ『カルメン』
『鹿鳴館』
を演出。
2009 年『ヘンリー六世』の演出で芸術選奨文部科学大臣賞、読売演劇大賞最優秀
演出家賞などを受賞。07 年 9月より10 年 8月まで新国立劇場演劇芸術監督。
10 PLAY ¦ 桜の園
PLAY
11
バグダッド動物園のベンガルタイガー
Bengal Tiger at the Baghdad Zoo
小劇場
2015.12
日本初演
Japan Premiere
●前売開始:2015 年 10 月 10 日(土)
●料金 A:5,400 円 B:3,240 円
作: ラジヴ・ジョセフ
翻訳:平川大作
演出:中津留章仁
出演:杉本哲太 ほか
翻訳家からのメッセージ
平川大作
『ガラスの動物園』を観劇なさって「あれ、動物が出てこないぞ?」と首をかしげた紳士のみなさま、
『動物園物
語』を読んで「結局、出てくるのは男二人だけなんだ……」と肩を落とした淑女の方々、お待たせしました。アメ
リカ発三大「動物園」戯曲の真打ち『バグダッド動物園のベンガルタイガー』をお届けいたします。
企画意図
「酔ったアメリカ兵がトラを射殺─」2003 年にバグダッド動物園で実際に起きた事件に想を得て書かれた、ア
メリカの劇作家ラジヴ・ジョセフによる話題作。09 年に初演され、その年のピュリッツァー賞にノミネートされ
ました。欧米の優れた同時代作品の中から日本未上演のものを選りすぐって上演する企画の中でも、
『負傷者 16
人 ─ SIXTEEN WOUNDED ─』
『永遠の一瞬 ─ Time Stands Still ─』に続き、世界の紛争へまなざしを向ける宮
田芸術監督の思いの込められた作品です。
射殺されたトラが幽霊となって街をさまよい歩き、自分を殺した兵士に取り憑く、という荒唐無稽なシチュ
エーションを借りながら、イラク戦争によって引き起こされた人々の狂気、憎しみ、欲望が深く描かれるこの作品
は、実際のできごとからフィクションの世界へ大きくジャンプし、そこから現実を照らし出す、そのふり幅の大
きさが一つの魅力です。
演出は、TRASHMASTERS で作・演出をつとめる中津留章仁が新国立劇場に初登場。骨太な社会派作品を数
多く世に問うている中津留が、世界の問題をどう捉え、表現するかもみどころです。
どうぞご安心ください。この作品はまさにタイトルに偽りなし、間違いなくトラが登場します。
「イメージとし
てのトラ」なんて出し惜しみはしません。決して飛ぶことがない鳥の作りもので我慢するしかなかったチェーホ
フの『かもめ』のことは忘れてください。トラが私たちの前を歩き、語り、その獰猛な本性をむき出しにします。
でも大丈夫。その昔、アテネの公爵が自らの婚礼の余興で吼えたライオンを評してのたまったごとく、こちらの
トラも「なかなか礼儀正しいけだもの」で、
「分別ももちあわせて」いますから(小田島雄志訳)
。
これは、言葉を話すトラの出るお芝居です。だから戦争にまつわる場面がいかに激しく痛ましく描かれようと
も、それと同時に芝居ならではの並外れたブラック・ユーモアが弾け、こころ奪われるような幻想が広がり、胸
を衝かれるような感情が迸ります。過酷な砂漠のなかに演劇の豊かな時空が生まれる瞬間を、観客のみなさまと
ともに分かち合えることを心から願っています。
演出家からのメッセージ
中津留章仁
アメリカの劇作家、ラジヴ・ジョセフの戯曲。2003 年に米兵らが軍用車両で動物園に乗り付け、酒に酔った米
作品
空爆によって破壊されたバグダッド動物園、ベンガルタイガーの檻の前。ふざけあっていた警護のアメリカ兵
が、腹をすかせたトラに手を噛みちぎられる。トラは即座に別の兵士に撃ち殺されるが、幽霊となって撃った兵士
に取り憑く。取り憑かれた兵士はやがて精神に異常をきたし、自殺。これまた幽霊となり、義手をつけた元相棒に
取り憑く。トラの幽霊、アメリカ兵の幽霊、さらにはサダム・フセインの二人の息子の幽霊、殺された女の子の幽
霊……幽霊と現実を生きる人間とが綯い交ぜとなり、バグダッドに渦巻く欲望と残虐さがあらわになっていく。
兵の一人がベンガルタイガーに食べ物を与えようとしたところ指を噛み切られ、別の米兵が射殺したという実話
を元にした作品だと思われる。先日亡くなられたロビン・ウィリアムズが主演している。
ピュリッツァー賞の最終選考に残った程の優れた作品であるが、アメリカでは「近代戦争もの」の集客は難しい
という。アメリカ人でも戦争へのメッセージが籠められた作品は重いと感じられるようである。
現代演劇は娯楽的価値と芸術的価値に特化した作品の二つに分類される傾向にある。しかしながら、娯楽=金
(経済)という図式が構築される前に、人間は永い年月をかけて芸術=娯楽の関係をつくった。思想に触れる喜び
も、ある。
この二つを区別する必要はあるのか? 国立の劇場で、再度、日本人に問う。
12 PLAY ¦ バグダッド動物園のベンガルタイガー
PLAY ¦
バグダッド動物園のベンガルタイガー 13
スタッフプロフィール
バグダッド動物園のベンガルタイガー
ラジヴ・ジョセフ
Rajiv Joseph
2010 年にピュリッツァー賞候補となった『バグダッド動物園のベンガルタイガー』をはじ
め、戯曲としては『Gruesome Playground Injuries』
『Animals Out of Paper』
『The
North Pool』
『The Lake Effect』
『Mr. Wolf』
を執筆。また、
ミュージカル『Fly』の作
者であり、共同作詞家でもある。さらに、テレビシリーズ『Nurse Jackie(シーズン3、
4)』の脚本家、14 年に公開された『Draft Day』
(ケヴィン・コスナー、ジェニファー・
ガーナー出演)の共同脚本家など、そのフィールドは多岐に渡る。学士号をマイアミ大
学文芸部で、劇作の修士号をニューヨーク大学 Tisch School of the Arts で取得。
西アフリカのセネガルで Peace Corps(平和部隊)のボランティア活動を 3 年間経験
している。
平川大作
Hirakawa Daisaku
1969 年、愛知県犬山市生まれ。九州大学文学部、大阪大学大学院演劇学専攻で学
び、「ひょうご舞台芸術」に調査研究員として参加。2000 年より大手前大学に勤務。
メディア・芸術学部准教授。
主な翻訳作品に 01 年『コペンハーゲン』
(新国立劇場)
、03 年『扉を開けて、
ミスター・
グリーン』
(ひょうご舞台芸術)
、12 年『アテンプツ・オン・ハー・ライフ』
(エイチエムピー・
シアターカンパニー)
、13 年『OPUS/作品』
(新国立劇場)など。11 年に『モジョ ミ
キボー』
(オーウェン・マカファーティ作、鵜山仁演出)で第 3 回小田島雄志・翻訳戯曲
賞受賞。
中津留章仁
Nakatsuru Akihito
1973 年、大分県生まれ。TRASHMASTERS 主宰。劇作家。演出家。
ストレートプレイの枠組みの中で、より独創的で革新性あふれる舞台表現を求める作風
を得意としている。現代社会が抱える問題等を取り入れた骨太な物語で、観る者の魂
を揺さぶる重厚な人間ドラマを中心に描いている。2011 年、東日本大震災と原発事
故を真正面から扱った『背水の孤島』で、第 19 回読売演劇大賞・選考委員特別賞、
同・優秀演出家賞、第 46 回紀伊國屋演劇賞、第 14 回千田是也賞などを受賞。日
本劇作家協会理事。
14 PLAY ¦ バグダッド動物園のベンガルタイガー
PLAY
15
鄭義信三部作 Vol.1
焼肉ドラゴン
2016.3
再 演
Original Production 2008
●前売開始:2016 年 1 月 24 日(日)
●料金 A:5,400 円 B:3,240 円
小劇場
作・演出:鄭 義信
出 演: 馬渕英俚可、中村ゆり、高橋 努、大沢 健、あめくみちこ
ハ・ソンクァン、コ・スヒ ほか
作・演出家からのメッセージ
鄭 義信
父と母が『焼肉ドラゴン』を初めて観劇したのは、韓国ソウル初演の千秋楽だった。その時、ソウルに父と母が
なぜいたのか、理由は定かには思い出せない。わざわざ『焼肉ドラゴン』を観に来たわけではなかったはずだ。
ホテルまで送っていくタクシーの中で、父が「よかったな」と、僕に唐突に語りかけた。脈絡もない父の言葉に、
企画意図
2016 年、新国立劇場では、鄭義信が日本の影の戦後史を描いた三部作の一挙上演を企画しています。朝鮮戦争
、60 年代半ばの九州のとある炭鉱町で炭鉱事故に
が始まった 1950 年代を描いた『たとえば野に咲く花のように』
巻き込まれた在日コリアンの家族を描いた『パーマ屋スミレ』
、そして万博が開催された高度経済成長に踊る 70
年前後の在日コリアンの家族を描いた『焼肉ドラゴン』です。鄭義信が現在「記録する演劇」を書き続ける転機に
なったのが、これら新国立劇場に描き下ろした作品群です。
『焼肉ドラゴン』は、日本の焼肉屋を舞台に、ある在日コリアンの家族を通して、日韓の現在、過去、未来を、音
2008 年、11 年に、東京・兵庫・北九州・ソウルで上演され、
楽入り芝居でおかしく、
そして哀しく切なく描きます。
毎回スタンディングオベーションとなる熱狂的な支持を受けました。今回は、ほとんどのキャストを入れ替えて
のニューバージョンとなります。
助手席に座っていた僕は「うん……」と答えただけで、なにがどうよかったのか聞かなかった。父もそれ以上、語
ろうとはしなかった。
父は十五の歳に、教師になることを夢見て、日本に渡ってきた。しかし、
その夢は戦争が阻んだ。父は憲兵になっ
た。
戦後、父は日本を離れ故郷に戻ろうとしたことがある。一切合財を船に積んで家族ともどもいざ出発しようと
した時、母の妹が風邪をひいて寝こんでしまった。しかたなく一便ずらしたところ、全財産を積んだ船が沈んだと
の報せを受けた。
「これは、もう帰るなっちゅうことやなって、思うた……」
帰ったとしても、父の居場所はなかっただろう。父の父(つまり、僕の祖父)は、父が憲兵であったことで、村八
分になっていたからだ。
父が半世紀以上、韓国に帰ろうとしなかった理由を、僕はずいぶん大きくなってから知った(父は決して、自分
からそのことを話そうとしなかったのを、僕が無理やり聞きだしたのだ)
。
作品
万国博覧会が催された 1970(昭和 45)年、関西地方都市。高度経済成長に浮かれる時代の片隅で、焼肉屋「焼肉
『焼肉ドラゴン』に登場する焼肉屋の親父の金龍吉には、僕の父のそうした半生が滲んでいる(国有地を買った
というのも、実際の話である)
。僕が紡ぎだした物語を観て、父はほんとうのところ、どう思ったのだろうか。あの
ドラゴン」の赤提灯が今夜も灯る。
時、タクシーの中で「よかった」と言ったのは、芝居がよかったのか、万雷の拍手で韓国の観客に迎えられたこと
店主・金龍吉は、太平洋戦争で左腕を失ったが、それを苦にするふうでもなく淡々と生きている。
がよかったのか、それとも父自身の人生を肯定して、そう言ったのか……今になってはもうわからない。父は二
家族は、先妻との間にもうけた二人の娘と、後妻・英順とその連れ子、そして、英順との間に授かった一人息子
年前の冬、あまりにあっけなく逝ってしまった。
……ちょっとちぐはぐな家族と、滑稽な客たちで、今夜も「焼肉ドラゴン」は賑々しい。ささいなことで泣いたり、
今回、新国立劇場で僕の三本の作品が一挙に上演される運びとなった。どの作品も思い入れ深く、僕にとって特
いがみあったり、笑いあったり……。
別な作品である。父が生きていれば、この三本全部を観てほしいと思う。もし、観てくれたとしたら、父はあの日
そんな中、
「焼肉ドラゴン」にも、しだいに時代の波が押し寄せてくる。
のように、
「よかった」と言ってくれるだろうか……。
最後になりましたが、三本の作品を上演するために
ご尽力くださった新国立劇場芸術監督宮田慶子氏、新
国立劇場制作の皆様、三本の作品に関わった全スタッ
フたち、全キャストたち、そして、三本の作品をこよな
く愛してくださった観客の皆様に、心から感謝とお礼
の言葉を贈ります。
「ありがとうございます!」
2008 年公演より
16 PLAY ¦ 焼肉ドラゴン
PLAY ¦
焼肉ドラゴン 17
スタッフプロフィール
焼肉ドラゴン
鄭 義信
Chong Wishing
1993 年に『ザ・寺山』で第 38 回岸田國士戯曲賞を受賞。その一方、映画に進出し
て、同年『月はどっちに出ている』の脚本で、毎日映画コンクール脚本賞、キネマ旬報
脚本賞などを受賞。98 年には、
『愛を乞うひと』でキネマ旬報脚本賞、日本アカデミー
賞最優秀脚本賞、第一回菊島隆三賞、アジア太平洋映画祭最優秀脚本賞など数々
の賞を受賞した。
新国立劇場では『たとえば野に咲く花のように ―アンドロマケ―』
『アジア温泉』の脚
本。『焼肉ドラゴン』
『パーマ屋スミレ』の脚本・演出を務め、初演の『焼肉ドラゴン』
で、第 16 回読売演劇大賞優秀演出家賞、第 12 回鶴屋南北戯曲賞、第 43 回紀伊
國屋演劇賞、第 59 回芸術選奨文部科学大臣賞を受賞した。近年では『僕に炎の戦
車を』
『しゃばけ』
『さらば八月の大地』と話題作を生み出している。2014 年春、紫綬
褒章受章。
18 PLAY ¦ 焼肉ドラゴン
PLAY
19
鄭義信三部作 Vol.2
たとえば野に咲く花のように
小劇場
2016.4
再 演
Original Production 2007
●前売開始:2016 年 2 月 14 日(日)
作: 鄭 義信
演出:鈴木裕美
演出家からのメッセージ
鈴木裕美
『たとえば野に咲く花のように』は、
「ギリシャ悲劇のアンドロマケを下敷きに」というお題で、鄭さんが書き下
ろしてくださった芝居です。
『アンドロマケ』は、トロイア戦争に敗れて亡くなった夫を想いながら、敵国で囚わ
『たとえば野に咲く花のように』は、太
れ人として生きるアンドロマケを起点に連鎖する、4 つの恋の物語です。
企画意図
2007 年、鵜山仁・前芸術監督の就任一年目のオープニングを飾った企画「三つの悲劇 ─ギリシャから」の第二
弾として生まれた、
『たとえば野に咲く花のように』
。鄭義信は、この作品を書いたことで、作家として「記憶する
演劇」を書くことを再認識し、ここから『焼肉ドラゴン』
『パーマ屋スミレ』の執筆へと繋がっていくこととなりま
した。
朝鮮戦争さなかの九州のとある港町を舞台に、8 人の男女の、切ないまでの究極の「愛」の形を描いた本作を、
07 年 10 月の初演から 8 年余の歲月を経て、鄭義信三部作連続上演企画の第二弾として、新しいキャストと演出で
お送りします。
平洋戦争で亡くなった恋人を想って、朝鮮戦争時の日本で生きる朝鮮人の女性、満喜と、彼女を取り巻く人々のた
くさんの恋が錯綜する物語です。
以前から『アンドロマケ』については、これは悲劇なのか?むしろ喜劇じゃないのか?と思っていました。
「こ
の世は、感じる者にとっては悲劇であり、考える者にとっては喜劇である」という言葉があります。恋に落ちると
人は周囲が見えなくなり、普段なら決して言わないことを言ったり、やらないことをやらかしたりします。その
恋がうまくいかなければ、なおさらやらかします。それは恋をしている当人たち=感じる者にとっては悲劇で
しょうが、端から見れば=それを観察し、考える者にとってはくだらない大騒動、喜劇と映りがちです。
もはや戦後ではなく、戦前なのではないのかと思ってしまう現代の日本で、その後鄭さんが書かれた二つの作
品と並んで再演をさせて頂けることは、身の引き締まる思いです。
恋と戦争、その喜劇の側面と、悲劇の側面、どちらも取りこぼすことなく丁寧にお客様にお届けできればと思
います。
作品
1951 年夏、九州 F 県の、とある港町の寂れた「エンパイアダンスホール」
。戦争で失った婚約者を想いながら働
く満喜。そこへ、先ごろオープンしたライバル店「白い花」を経営する康雄と、その弟分の直也が訪れる。
戦地から還った経験から「生きる」ことへのわだかまりを抱える康雄は、
「同じ目」をした満喜に夢中になるが、
満喜は頑として受け付けない。一方、康雄の婚約者・あかねは、心変わりした康雄を憎みながらも、恋心を断ち切
れずにいる。そんなあかねをひたすら愛する直也。 一方通行の四角関係は出口を見つけられないまま、もつれていくばかりだった……。
2007 年公演より
20 PLAY ¦ たとえば野に咲く花のように
PLAY ¦
たとえば野に咲く花のように 21
スタッフプロフィール
たとえば野に咲く花のように
鄭 義信
Chong Wishing
P18を参照。
鈴木裕美
Suzuki Yumi
1963 年生まれ、東京都出身。日本女子大学卒業。82 年、日本女子大学在学中に「自
転車キンクリート」を結成。
「自転車キンクリートSTORE」を含むほとんどの公演に関わり、
『OUT』
『第 17 捕虜収容所』
『法王庁の避妊法』
『富士見町アパートメント』などを演
出。現在は小劇場から大劇場、ストレートプレイ、
ミュージカル、ダンスと多種多様なジャン
ルで精力的に活動中。2011 年より個人ユニット「鈴木製作所」を立ち上げ、『ノミコム
オンナ』などを製作。
最近の主な演出作品に、
『宝塚 BOYS』
『アンナ・カレーニナ』
『トップ・ガールズ』
『八百
屋のお告げ』
『サンセット大通り』
『英国王のスピーチ』
『アリス・イン・ワンダーランド』
『パ
パのデモクラシー』
『きのうみたゆめ』
『フランケンシュタイン』
『夜中に犬に起こった奇妙
な事件』
『ブラック メリーポピンズ』などがある。第 35 回紀伊國屋演劇賞個人賞、第 8
回/第 15 回/第 18 回読売演劇大賞優秀演出家賞、第 10 回千田是也賞、第 33 回
菊田一夫演劇賞、07 年ミュージカル・ベストテン演出家賞、第 61 回芸術選奨文部科
学大臣新人賞を受賞。新国立劇場では、『たとえば野に咲く花のように ─アンドロマケ
─』
『エネミイ』
『ウィンズロウ・ボーイ』のほか、演劇研修所の試演会として第 5 期生『ゼ
ブラ』、第 7 期生『ぼくの国、パパの国』
を演出。
22 PLAY ¦ たとえば野に咲く花のように
PLAY
23
鄭義信三部作 Vol.3
2016.5
パーマ屋スミレ
小劇場
再 演
Original Production 2012
●前売開始:2016 年 3 月 13 日(日)
作・演出:鄭 義信
出 演: 南果歩、根岸季衣、村上淳、千葉哲也 ほか
作・演出家からのメッセージ
鄭 義信
P17 を参照。
企画意図
鄭義信三部作の掉尾を飾るのは、1960 年代半ばの九州のとある炭鉱町で炭鉱事故に巻き込まれた在日コリア
ンの家族を描いた『パーマ屋スミレ』です。
『パーマ屋スミレ』は、1960 年代半ばの九州の炭鉱町に店を構える“高山厚生理容所”を舞台に、在日コリアン
の炭鉱労働者とその家族、そして彼らを取り巻く人々に光を当てます。 物語の軸となるのは、いつか“パーマ屋
スミレ”を開店させたいと願う在日コリアンの元美容師・高山須美と、その夫で炭鉱事故が原因の一酸化炭素中
毒の後遺症に苦しむ張本成勲。
逆境にめげず力強く生き抜く庶民の姿を、笑いあり涙ありの喜怒哀楽の中に描きました。
作品
「アリラン峠」と呼ばれた小さな町があった。そこからは有明海を一望することができた。アリ
1965 年、九州。
ラン峠のはずれにある「高山厚生理容所」には、元美容師の須美とその家族たちが住んでいる。須美の夫の成勲は
炭鉱での爆発事故に巻きこまれ、CO 患者(一酸化炭素中毒患者)となってしまう。 須美の妹・春美の夫もまた
CO 患者となり、須美たちは自分たちの生活を守るために必死の戦いを始めた。しかし、石炭産業は衰退の一途を
たどり……。
2012 年公演より
24 PLAY ¦ パーマ屋スミレ
PLAY ¦
パーマ屋スミレ 25
あわれ彼女は娼婦
2016.6
'Tis Pity She's a Whore
中劇場
●前売開始:2016 年 4 月 2 日(土)
作: ジョン・フォード
翻訳:小田島雄志
演出:栗山民也
演出家からのメッセージ
栗山民也
時代を鏡に映すように、演劇はその主題や手法を、
「いま」という鏡に映し出さなければ、そこに何も生み出さ
れないだろう。エリザベス朝に続く時代に生まれた劇作家ジョン・フォードの作品『あわれ彼女は娼婦』の手触り
は、今読み返しても、実にギザギザした動物的な感触で、今のわたしたちが忘れてしまった人間のいくつもの感覚
企画意図
イギリスの劇作家、ジョン・フォードが 1620 年ごろに執筆した彼の代表作であり、シェイクスピアやクリスト
ファー・マーロウなど名立たる劇作家を輩出したエリザベス朝演劇の終盤を代表する名作戯曲です。
舞台はイタリアのパルマ。純粋にお互いを愛するがゆえに近親相姦という禁忌を犯してしまうジョヴァンニと
アナベラ兄妹を中心に、二人を取り巻く人々の欲望が壮絶に描かれる愛憎劇です。
によみがえる。人間の愛や欲望や復讐が混ざりあうことで起こる残酷で透明な劇として、今のわたしたちの感情
を激しく揺さぶる。
自分が傷つくのが怖くて、尖った意見を控え、皆より上に上がることも、また落ちこぼれからも逃れることで、
一番安全な平均値という評価へ必死に収まろうとしがみつく。これが、現代の日本全体の姿なのか。同じ顔の人ば
かりが、同じ価値観で既成の秩序を守り通すことで、自分の居場所だけを守る。これがまさに、現代の匂いまでも
失ったわたしたちなのか。
この劇には、秩序を失った人間たちのいろんな欲望が、その不条理性のまま激しく照らし出される。人間、そ
してこの世界が決して、同じ表情ではなく、異質なものがぶつかり合うことで、そこに新たな価値が生まれると
いうことを、
「いま」という鏡に映す。
作品
中世のイタリア、パルマ地方。勉学に優れ、人格的にも非の打ち所がないと将来を嘱望されるジョヴァンニは、
尊敬する修道士ボナヴェンチュラに、自分の心を長く苦しめてきた想いを打ち明ける。それは、類まれな美貌の妹
アナベラを女性として愛しているという告白だった。ボナヴェンチュラは叱責するが、ジョヴァンニは鎮まらず、
アナベラに気持ちを伝えてしまう。するとアナベラもまた、兄を男性として愛していたことを告白する。
二人は男女として結ばれるが、幸福な時間は続かず、やがて妊娠が判明。カモフラージュのために、アナベラは
かねてから求婚されていた貴族のソランゾのもとに嫁ぐが、ソランゾは彼女の不義を見抜き、お腹の子供の父親
が妻アナベラの実の兄であることを探り当てる。狂乱し復讐を誓うソランゾに対し、事態が露見したことを知っ
たジョヴァンニがとった行動は……そして兄妹の運命は……。
26 PLAY ¦ あわれ彼女は娼婦
PLAY ¦
あわれ彼女は娼婦 27
スタッフプロフィール
あわれ彼女は娼婦
ジョン・フォード
John Ford
ジョン・フォードの生涯について分かっている事は少ない。1586 年 4月17日、デヴォンシャーで受洗(生後 3 ~ 5日目)
。オックスフォード
のエクセター・カレッジに学び、1602 年 11月にはミドル・テンプル(四法学院の一つ)のメンバーになったが、17 年に退会するまで弁護
士の資格はとらなかった。
20 歳の頃から詩や散文を書き始め、1621 年以後はジョン・ウェブスターやトマス・デカーと共作して劇作家としての地歩を固めた。24 年
以降は独立して戯曲を書いたが、単独作 7 本の創作年代も順序も不明である。『あわれ彼女は娼婦』も 24 年から 33 年までの間に初演
された、ということしか確定できない。
1576 年に初めてロンドンに劇場が建てられてから、1642 年ピューリタン革命によって劇場が閉鎖されるまでの、いわゆるエリザベス朝演
劇において、フォードはその掉尾を飾る劇詩人であり、「エリザベス朝演劇の白鳥」と呼ばれるに相応しい作品を歌い上げた。
栗山民也
Kuriyama Tamiya
早稲田大学文学部演劇科卒業。主な演出作品に『GHETTO/ゲットー』
『太鼓たたい
て笛ふいて』
『マリー・アントワネット』
『ロマンス』
『炎の人』
『組曲虐殺』
『日本人のへそ』
などがある。紀伊國屋演劇賞、読売演劇大賞最優秀演出家賞、芸術選奨文部大臣新
人賞、毎日芸術賞千田是也賞、朝日舞台芸術賞などを受賞。新国立劇場では『今宵か
ぎりは…』
『ブッダ』
『キーン』
『夜への長い旅路』
『欲望という名の電車』
『ピカドン・キジ
ムナー』
『夢の裂け目』
『ワーニャおじさん』
『櫻の園』
『浮標』
『夢の泪』
『涙の谷、銀河
の丘』
『世阿彌』
『胎内』
『喪服の似合うエレクトラ』
『箱根強羅ホテル』
『母・肝っ玉とそ
の子供たち』
『夢の痂』
『CLEANSKINS/きれいな肌』
『氷屋来たる』
『まほろば』
『雨』
『マニラ瑞穂記』、オペラ『夕鶴』
『蝶々夫人』を演出。著書に『演出家の仕事』。新国
立劇場演劇芸術監督を 7シーズン務め、現在、新国立劇場演劇研修所所長。2013
年春、紫綬褒章受章。
28 PLAY ¦ あわれ彼女は娼婦
PLAY
29
竹取物語
2016.7
新 作
New Play
∼よみがえり篇∼(仮題)
小劇場
●前売開始:2016 年 5 月 14 日(土)
作: 別役 実
演出:宮田慶子
作家からのメッセージ
別役 実
これまでの竹取物語には前篇があったはずだと、折口信夫氏が言っている。
いきさつ
確かに、かぐや姫がこの世にやって来た事については、何らかの経緯があってしかるべきであろう。しかもそ
れは追跡され難い事柄であろうから、近親相姦とか其の種の根深いものであることが伺える。
企画意図
シーズンの最後を飾るのは、別役実による新作です。これまでも『マッチ売りの少女』
『象』と別役作品を上演し
てきた新国立劇場に、満を持して別役実が新作を書き下ろします。竹取物語をモチーフに、まったく新しい「かぐ
や」の物語が誕生します。
これにもう一つ、うつぼ舟伝説(父なし子を産んで流されるお話)を重ねあわせたのが今回の私の仕事である。
一体、かぐや姫を巡ってどの様な出来事が巡り、巡り取られて行くのであろうか。そしてそれが、どの様にして
収まるべくして収まるのか。竹取物語を巡って、オイディプス事件的解読をしてみようと思うのである。
かみ よ
つまり、竹取物語には表面は静かでありながら、オイディプスと同様の神代のダイナミズムが働いていると思
われるのであり、それを見顕したいと考えているのである。
演出家からのメッセージ
宮田慶子
かつて私が演劇に目覚めた学生の頃、すでに別役実氏は時代の先端を疾走していました。固有名詞を持たない
登場人物、一本の電信柱、平易な日常語でありながら、不条理な世界を描く数々の戯曲に、私は夢中でした。発表
されるすべての戯曲を、待ちわびながら読みました。個や社会、家族の関係性、空洞化する精神性……。常にまっ
すぐ核心を見抜きながら「日本の現代」を鋭く突く作品を作り続ける別役氏は、日本演劇界の宝、そしてわたしに
とっては永遠の憧れの存在です。その別役氏に「新作を書き下ろしていただく」ことは、
「夢」以外の何ものでもあ
りません。全力で向き合わせて頂くのみです。
30 PLAY ¦ 竹取物語 ~よみがえり篇~(仮題)
PLAY ¦
竹取物語
~よみがえり篇~(仮題) 31
スタッフプロフィール
竹取物語 ∼よみがえり篇∼(仮題)
別役 実
Betsuyaku Minoru
1937 年、旧満州(現、中国東北部)生まれ。劇作家、小説家、エッセイスト。日本の不
条理演劇を確立した第一人者。
早稲田大学政治経済学部政治学科に入学、ベケットらの不条理劇に影響を受け、鈴
木忠志らと劇団「自由舞台」
(後の早稲田小劇場)
を創設。その旗揚げ公演であった
戯曲『象』
(62 年)で注目され、『マッチ売りの少女』
(66 年)
と『赤い鳥の居る風景』
(67 年)で第 13 回〈新劇〉岸田國士戯曲賞を受賞。68 年に早稲田小劇場を離れ
てからは、俳小、演劇集団円、木山事務所、俳優座、文学座 アトリエなどに次々と戯
曲を提供。72 年に山﨑正和、末木利文らと「手の会」を結成。71 年『街と飛行船』
『不思議の国のアリス』で紀伊國屋演劇賞個人賞受賞。同年『そよそよ族の叛乱』
で芸術選奨新人賞、87 年に戯曲集『諸国を遍歴する二人の騎士の物語』で読売文
学賞、88 年『ジョバンニの父への旅』で芸術選奨文部大臣賞を受賞。98 年には毎
日芸術賞特別賞など受賞歴多数。2007 年、劇作 130 本を達成する。
戯曲や童話のほかに、生物学の常識を覆す奇書のふりをしたジョークエッセイ
『虫づく
し』
をはじめ、日本古来、および現代の妖怪の生態を解説した『もののけづくし』や、
『け
ものづくし』
『鳥づくし』
『魚づくし』など「~づくし」
シリーズは、ナンセンス作家としての
著者を一躍有名にした。また衝撃的な事件の闇に包まれたメカニズムを鋭敏な目で分
析した犯罪エッセイ、「犯罪症候群」などの独創的な論考も発表しており、その関心
は森羅万象に及ぶ。
宮田慶子
Miyata Keiko
P2を参照。
32 PLAY ¦ 竹取物語 ~よみがえり篇~(仮題)
PLAY
33
PLAY
公演一覧
開場記念公演〜2014/2015シーズン
★=新作
シーズン
演目
紙屋町さくらホテル
★
[蒲田行進曲完結編]銀ちゃんが逝く
1998/
1999
公演初日
井上ひさし
渡辺浩子
97.10/22
つかこうへい
つかこうへい
97.11/13
木村光一
97.12/4
鵜山 仁
98.1/17
脚色 村山知義
原作 島崎藤村
リア王
ウィリアム・シェイクスピア
虹を渡る女 ★
岩松 了
岩松 了
98.5/7
幽霊はここにいる
安部公房
串田和美
98.5/12
竹内銃一郎
栗山民也
98.6/12
栗山民也
98.9/7
今宵かぎりは… ★
1928 超巴里丼主義宣言の夜
THE PIT フェスティバル
カストリ・エレジー
スタインベック「二十日鼠と人間」より
原作 手塚治虫
補訂脚本 津上
忠
松岡和子
脚本 佐藤
信
シーズン
演目
作
太陽劇団
堤防の上の鼓手
海外招待作品 Vol.1
2001/
2002
鐘下辰男
98.10/3
演出
公演初日
エレーヌ・シクスー
字幕翻訳 松本伊瑳子
アリアーヌ・ムヌーシュキン
01.9/7
コペンハーゲン
マイケル・フレイン
平川大作
鵜山 仁
01.10/29
美女で野獣★
荻野アンナ
宮田慶子
01.12/10
マキノノゾミ
02.1/11
熊倉一雄
02.2/28
岩松 了
02.4/1
02.5/9
シリーズ チェーホフ・魂の仕事
Vol.1 かもめ
アントン・チェーホフ
Vol.2 く
しゃみ/the
Sneeze
Vol.3 「三人姉妹」を追放されし
トゥーゼンバフの物語 ★
脚本 鐘下辰男
訳・脚色
アントン・チェーホフ
英訳 マイケル・フレイン
翻訳 小田島雄志
台本 マイケル・フレイン
翻訳 小田島恒志
岩松 了
Vol.4 ワーニャおじさん
四幕の田園生活劇
アントン・チェーホフ
小野理子
栗山民也
Vol.5 櫻の園
アントン・チェーホフ
潤色 堀越
真(神西清翻訳による) 栗山民也
神々の国の首都
坂手洋二
坂手洋二
98.10/17
寿歌
北村 想
北村 想
98.10/29
その河をこえて、五月 ★
平田オリザ/金 明和
李 炳焄/平田オリザ
02.6/3
宮田慶子
98.11/4
海外招待作品 Vol.2
国際チェーホフ演劇祭 in モスクワ
西川信廣
98.12/2
ウィリアム・シェイクスピア
ペーター・シュタイン
02.9/7
鵜山 仁
99.1/11
演出・振付 宮本亜門
02.10/11
太田省吾
太田省吾
02.11/12
①ピルグリム
鴻上尚史
鴻上尚史
03.1/14
②浮標
三好十郎
栗山民也
03.2/19
③マッチ売りの少女
別役 実
坂手洋二
03.4/8
④サド侯爵夫人
三島由紀夫
鐘下辰男
03.5/26
松田正隆
栗山民也
03.5/13
永井 愛
03.6/18
ディア・ライアー
すてきな嘘つき
野望と夏草
2000/
2001
演出
夜明け前
音楽劇 ブッダ ★
1999/
2000
訳・脚色
ジェローム・キルティ
丹野郁弓
山崎正和
新・雨月物語 ★
脚本 鐘下辰男
子午線の祀り
木下順二
演出 観世栄夫/内山
セツアンの善人
ベルトルト・ブレヒト
松岡和子
羅生門
原作 芥川龍之介
棋人 —チーレン—
過 士行
キーン 或いは狂気と天才
美しきものの伝説
菱沼彬晁
J.P. サルトル
上演台本
栗山民也/江守 徹
鈴木力衛
宮本 研
鶉/酒井 誠/高瀬精一郎
2002/
2003
99.2/3
串田和美
99.5/18
構成・演出 渡辺和子
99.6/4
林 兆華
99.7/1
栗山民也
99.10/4
木村光一
99.11/4
ハムレット
ブロードウェイ・ミュージカル
太平洋序曲
→
開場記念公演
作
ヤジルシ —誘われて ★
涙の谷、銀河の丘 ★
森本 薫
宮田慶子
99.12/8
怒濤
森本 薫
マキノノゾミ
00.1/11
華々しき一族
森本 薫
鐘下辰男
00.2/9
鵜山 仁
00.3/23
木村光一
00.4/11
栗山民也
00.5/11
鐘下辰男
00.9/8
新・地獄変 ★
原作 芥川龍之介
脚本 鐘下辰男
なよたけ
加藤道夫
夜への長い旅路
ユージン・オニール
マクベス
ウィリアム・シェイクスピア
ブロードウェイ・ミュージカル
太平洋序曲
作曲・作詞 スティーブン・ソンドハイム
台本 ジョン・ワイ
ドマン
翻訳・訳詞 橋本邦彦
演出・振付 宮本亜門
00.10/2
欲望という名の電車
テネシー・ウィリアムズ
鳴海四郎
栗山民也
00.10/20
沼澤洽治
福田恆存翻訳より
潤色 鐘下辰男
ゴロヴリョフ家の人々
2003/
2004
構想・構成 ダムタイプ
母たちの国へ ★
松田正隆
ピカドン・キジムナー ★
★
原作 サルティコフ・シチェドリン
翻訳 湯淺芳子
脚本 永井
愛
nocturne —月下の歩行者 ★
構成 松本雄吉
松本雄吉
03.9/8
夢の泪 ★
井上ひさし
栗山民也
03.10/9
世阿彌
山崎正和
栗山民也
03.11/27
字幕 角田美知代
ジム・チム/オリヴィア・ヤン
04.2/20
水谷八也
孫 策
04.4/12
楓 振
松本祐子
04.5/11
木村光一
04.6/22
シリーズ「女と男の風景」
①海外招待作品 Vol.3 香港・劇場組合
The Game /ザ・ゲーム
② THE OTHER SIDE
/線のむこう側 ★
③てのひらのこびと ★
シリーズ「時代と記憶」
memorandum メモランダム ★
翻訳・訳詞 橋本邦彦
シリーズ「現在へ、
日本の劇」
—森本薫の世界—
かくて新年は
作曲・作詞 スティーブン・ソンドハイム
台本 ジョン・ワイ
ドマン
02.6/21
④請願 ─静かな叫び─
ウジェーヌ・イヨネスコの悲喜劇『椅子』より
翻案 ジム・チム/オリヴィア・ヤン
アリエル・ドーフマン
鈴江俊郎
ブライアン・クラーク
吉原豊司
00.11/27
西川信廣
こんにちは、母さん
永井 愛
永井 愛
01.1/10
04.3/10
坂手洋二
栗山民也
透明人間の蒸気
野田秀樹
野田秀樹
01.2/10
04.3/17
こんにちは、母さん ★
永井 愛
永井 愛
作詞・作曲 スティーブン・ソンドハイム
01.3/12
ブロードウェイ・ミュージカル
INTO THE WOODS
04.6/9
井上ひさし
栗山民也
台本 ジェイムズ・ラパイン
演出・振付 宮本亜門
夢の裂け目 ★
01.5/8
紙屋町さくらホテル
井上ひさし
渡辺浩子/井上ひさし
01.4/4
贋作・桜の森の満開の下
野田秀樹
野田秀樹
01.6/1
翻訳・訳詞 橋本邦彦
THE LOFT 小空間からの提案
2004/
2005
* 胎内
三好十郎
栗山民也
04.10/4
* ヒトノカケラ ★
篠原久美子
宮﨑真子
04.10/22
* 二人の女兵士の物語 ★
坂手洋二
坂手洋二
04.11/8
栗山民也
04.11/16
松本 修
05.1/14
鵜山 仁
05.3/14
喪服の似合うエレクトラ
ユージン・オニール
沼澤洽治
城★
原作 フランツ・カフカ
構成 松本
修
シリーズ 笑い
①花咲く港
②コミュニケーションズ ★
高橋徹郎/竹内 佑/鄭 義信/土田英生/別役 実/ふじきみつ彦/武藤真弓
構成・演出 渡辺えり子
05.4/8
③箱根強羅ホテル ★
井上ひさし
④うら騒ぎ ノイゼズ・オフ
マイケル・フレイン
現代劇作家によるコント集
その河をこえて、五月
海外招待作品 Vol.4 ベルリナー・アンサンブル
アルトゥロ・ウイの興隆
34 PLAY ¦ 公演一覧
菊田一夫
作 綾田俊樹/いとうせいこう/ケラリーノ・サンドロヴィッチ/杉浦久幸
原作使用 筒井康隆
小田島恒志
平田オリザ/金 明和
ベルトルト・ブレヒト
イヤホンガイド翻訳
新野守広
栗山民也
05.5/19
白井 晃
05.6/27
李 炳焄/平田オリザ
05.5/13
ハイナー・ミュラー
05.6/22
PLAY ¦
公演一覧 35
シーズン
演目
作
* 黒いチューリップ/盲導犬
2005/
2006
訳・脚色
唐 十郎
* 屋上庭園/動員挿話
中野敦之
宮田慶子〈屋上庭園〉
岸田國士
母・肝っ玉とその子供たち
演出
深津篤史〈動員挿話〉
公演初日
05.9/27
05.10/31
ベルトルト・ブレヒト
谷川道子
栗山民也
05.11/28
ガラスの動物園
テネシー・ウィリアムズ
小田島雄志
イリーナ・ブルック
06.2/9
十二夜
ウィリアム・シェイクスピア
脚本 山崎清介
小田島雄志翻訳による
山崎清介
06.3/7
—三十年戦争年代記
シーズン
ヘンリー六世
2009/
2010
シリーズ「われわれは、どこへいくのか」
①カエル
鵜山 仁
06.4/1
岩松 了
岩松 了
06.4/19
③やわらかい服を着て ★
永井 愛
永井 愛
06.5/22
④夢の痂 ★
栗山民也
06.6/28
ブロードウェイ・ミュージカル
井上ひさし
作詞・作曲 スティーブン・ソンドハイム
Into the Woods
台本 ジェイムズ・ラパイン
演出・振付 宮本亜門
06.5/19
アジアの女 ★
長塚圭史
長塚圭史
06.9/28
* ②マテリアル・ママ ★
2006/
2007
原作 エドモン・ロスタン
イワーノフ/
原作 アントン・チェーホフ
オイディプス王
原作 ソフォクレス
* エンジョイ★
菱沼彬晁
翻訳・訳詞 橋本邦彦
翻訳 辰野
隆/
鈴木信太郎
2010/
2011
構成・演出 鈴木忠志
06.11/2
翻訳 池田健太郎
日本語 福田恆存
構成・演出 鈴木忠志
06.11/4
岡田利規
06.12/7
ドイツ語 ヘルダーリン
岡田利規
コペンハーゲン
マイケル・フレイン
平川大作
鵜山 仁
07.3/1
CLEANSKINS /きれいな肌 ★
シャン・カーン
小田島恒志
栗山民也
07.4/18
李 六乙/平田オリザ
07.5/15
下周村 —花に嵐のたとえもあるさ—
★
平田オリザ/李 六乙
夏の夜の夢
ウィリアム・シェイクスピア
松岡和子
ジョン・ケアード
07.5/31
氷屋来たる
ユージン・オニール
沼澤洽治
栗山民也
07.6/18
2011/
2012
「三つの悲劇」 —ギリシャから
2007/
2008
Vol.1 アルゴス坂の白い家
★ —クリュタイメストラ—
Vol.2 たとえば野に咲く花のように ★
—アンドロマケ—
Vol.3 異人の唄
★
—アンティゴネ—
屋上庭園/動員挿話
川村 毅
鵜山 仁
07.9/20
鄭 義信
鈴木裕美
07.10/17
土田世紀
脚色 鐘下辰男
鐘下辰男
宮田慶子〈屋上庭園〉
岸田國士
焼肉ドラゴン ★
鄭 義信
深津篤史〈動員挿話〉
梁 正雄/鄭 義信
オットーと呼ばれる日本人
木下順二
鵜山 仁
09.10/28
09.10/29
象
別役 実
深津篤史
東京裁判三部作
井上ひさし
栗山民也
10.4/4
夢の泪
10.5/6
Ⅰヘッダ・ガーブレル
ヘンリック・イプセン
翻訳 アンネ
・ランデ・ペータス
長島 確
テネシー・ウィリアムズ
翻訳 常田景子
松本祐子
10.11/9
ソーントン・ワイルダー
翻訳 水谷八也
宮田慶子
11.1/13
Ⅳ ゴドーを待ちながら
サミュエル・ベケット
翻訳 岩切正一郎
森新太郎
11.4/15
焼肉ドラゴン
鄭 義信
翻訳 川原賢柱
鄭 義信
11.2/7
鳥瞰図 ─ちょうかんず─
早船 聡
松本祐子
11.5/10
雨
井上ひさし
栗山民也
11.6/9
おどくみ ★
青木 豪
宮田慶子
11.6/27
Ⅰ 朱雀家の滅亡
三島由紀夫
宮田慶子
11.9/20
Ⅱイロアセル ★
倉持 裕
鵜山 仁
11.10/18
Ⅲ 天守物語
泉 鏡花
白井 晃
11.11/5
パーマ屋スミレ ★
鄭 義信
鄭 義信
12.3/5
まほろば
蓬莱竜太
栗山民也
12.4/2
翻訳 常田景子
宮田慶子
12.4/23
【美×劇】
─滅びゆくものに託した美意識─
Ⅴ サロメ
オスカー・ワイルド
翻訳 平野啓一郎
宮本亜門
12.5/31
Ⅵ 温室
ハロルド・ピンター
翻訳 喜志哲雄
深津篤史
12.6/26
ウィリアム・シェイクスピア
翻訳 小田島雄志
鵜山 仁
12.10/3
リチャード三世
2012/
2013
[JAPAN MEETS…
─現代劇の系譜をひもとく─]
Ⅶ るつぼ
アーサー・ミラー
翻訳 水谷八也
宮田慶子
12.10/29
08.5/27
音のいない世界で★
長塚圭史
振付 近藤良平
長塚圭史
12.12/23
長い墓標の列
福田善之
宮田慶子
13.3/7
With ─つながる演劇─
ジョン・E・マグラー
13.4/9
孫 策
13.5/10
宮田慶子
楓 振
13.6/4
深津篤史
13.7/2
08.4/17
08.6/27
ウェールズ編『効率学のススメ』★
アラン・ハリス
翻訳 長島
Vol.3 まほろば
蓬莱竜太
栗山民也
08.7/14
韓国編
アジア温泉★
鄭 義信
翻訳 朴
近代能楽集『綾の鼓』
『弱法師』
三島由紀夫
前田司郎〈綾の鼓〉深津篤史〈弱法師〉 08.9/25
ドイツ編
つく、きえる★
ローラント・シンメルプフェニヒ
翻訳 大塚
山の巨人たち
ルイジ・ピランデルロ
翻訳 田之倉稔
ジョルジュ・ラヴォーダン
08.10/23
舞台は夢 ─イリュージョン・コミック─
ピエール・コルネイユ
翻訳 伊藤
洋
鵜山 仁
08.12/3
ローラント・シンメルプフェニヒ
翻訳 大塚
直
倉持 裕
09.3/12
シリーズ・同時代【海外編】
Vol.3 タ
トゥー
現代能楽集
鵺★
09.4/10
デーア・ローアー
翻訳 三輪玲子
岡田利規
09.5/15
ウィリアム・シェイクスピア
翻訳 松岡和子
ジョン・ケアード
09.5/29
鵜山 仁
09.7/2
坂手洋二
10.9/17
Ⅲ わが町
白井 晃
田村孝裕
宮田慶子
Ⅱ やけたトタン屋根の上の猫
前田司郎
翻訳 浦辺千鶴/小田島恒志
10.7/1
[JAPAN MEETS…
─現代劇の系譜をひもとく─]
Vol.2 混じりあうこと、消えること ★
オーウェン・マカファーティー
鈴木裕美
[JAPAN MEETS…
─現代劇の系譜をひもとく─]
07.11/14
08.2/26
10.6/3
蓬莱竜太
08.6/11
夏の夜の夢
10.3/5
夢の裂け目
松本祐子
Vol.2 シュート・ザ・クロウ
鵜山 仁
第三部 薔薇戦争
早船 聡
★
公演初日
09.10/27
Vol.1 鳥瞰図 —ちょうかんず— ★
Vol.1 昔の女
* =THE LOFT 公演
象
確
賢淑
直
別役 実
Try・Angle ─三人の演出家の視点─
2013/
2014
マイケル・ホリンガー
翻訳 平川大作
小川絵梨子
13.9/10
Vol.2 エドワード二世
クリストファー・マーロウ
翻訳 河合祥一郎
森 新太郎
13.10/8
Vol.3 アルトナの幽閉者
ジャン=ポール・サルトル
翻訳 岩切正一郎
上村聡史
14.2/19
Vol.1
OPUS /作品
[JAPAN MEETS…
─現代劇の系譜をひもとく─]
Ⅷ ピグマリオン
ジョージ・バーナード・ショー 翻訳 小田島恒志
宮田慶子
13.11/13
マニラ瑞穂記
秋元松代
栗山民也
14.4/3
テンペスト
ウィリアム・シェイクスピア
翻訳 松岡和子
白井 晃
14.5/15
十九歳のジェイコブ★
原作 中上健次
脚本 松井
松本雄吉
14.6/11
宮田慶子
14.7/8
永遠の一瞬 ─ Time Stands Still ─ ドナルド・マーグリーズ
36 PLAY ¦ 公演一覧
翻訳 小田島雄志
演出
第二部 敗北と混乱
負傷者16 人 ─ SIXTEEN WOUNDED ─ エリアム・クライエム
シリーズ・同時代
2008/
2009
ウィリアム・シェイクスピア
訳・脚色
第一部 百年戦争
夢の 痂
エネミイ★
「劇的な情念をめぐって」—世界の名作より—
シラノ・ド・ベルジュラック
作
かさぶた
過 士行
★
演目
周
翻訳 常田景子
PLAY ¦
公演一覧 37
Memo
シーズン
2014/
2015
演目
作
訳・脚色
演出
公演初日
[JAPAN MEETS…
─現代劇の系譜をひもとく─]
Ⅸ 三文オペラ
ベルトルト・ブレヒト
翻訳 谷川道子
宮田慶子
14.9/10
Vol.1 ブレス・オブ・ライフ 〜女の肖像〜
デイヴィッド・ヘア
Vol.2 ご臨終
モーリス・パニッチ
翻訳 鴇澤麻由子
蓬莱竜太
14.10/8
翻訳 吉原豊司
ノゾエ征爾
Vol.3 星ノ数ホド
14.11/5
ニック・ペイン
翻訳 浦辺千鶴
小川絵梨子
14.12/3
テレンス・ラティガン
翻訳 小川絵梨子
鈴木裕美
15.4/9
宮田慶子
15.5/13
二人芝居 ─対話する力─
ウィンズロウ・ボーイ
[JAPAN MEETS…
─現代劇の系譜をひもとく─]
Ⅹ 海の夫人
38 PLAY ¦ 公演一覧
ヘンリック・イプセン
翻訳 アンネ・ランデ・ペータス/
長島 確
東海道四谷怪談
鶴屋南北
上演台本 フジノサツコ
森 新太郎
15.6/10
長塚圭史新作 ★
長塚圭史
振付 近藤良平
長塚圭史
15.7
PLAY
39
Memo
40 PLAY